タイトル: | 公表特許公報(A)_男性における勃起機能不全を治療し、性欲を増進する方法 |
出願番号: | 2004546863 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 31/565,A61K 9/06,A61K 31/417,A61K 31/472,A61K 31/475,A61K 31/519,A61K 45/00,A61K 47/10,A61K 47/12,A61K 47/14,A61K 47/32,A61K 47/38,A61P 15/10,A61P 43/00 |
ダドリー、 ロバート イー. JP 2006505587 公表特許公報(A) 20060216 2004546863 20031016 男性における勃起機能不全を治療し、性欲を増進する方法 ユニメッド ファーマシューティカルズ、 インク. 505143020 伊藤 克博 100106297 小野 暁子 100129610 ダドリー、 ロバート イー. US 10/273,484 20021018 A61K 31/565 20060101AFI20060120BHJP A61K 9/06 20060101ALI20060120BHJP A61K 31/417 20060101ALI20060120BHJP A61K 31/472 20060101ALI20060120BHJP A61K 31/475 20060101ALI20060120BHJP A61K 31/519 20060101ALI20060120BHJP A61K 45/00 20060101ALI20060120BHJP A61K 47/10 20060101ALI20060120BHJP A61K 47/12 20060101ALI20060120BHJP A61K 47/14 20060101ALI20060120BHJP A61K 47/32 20060101ALI20060120BHJP A61K 47/38 20060101ALI20060120BHJP A61P 15/10 20060101ALI20060120BHJP A61P 43/00 20060101ALI20060120BHJP JPA61K31/565A61K9/06A61K31/417A61K31/472A61K31/475A61K31/519A61K45/00A61K47/10A61K47/12A61K47/14A61K47/32A61K47/38A61P15/10A61P43/00 111A61P43/00 121 AP(GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IT,LU,MC,NL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW US2003032597 20031016 WO2004037173 20040506 26 20050614 4C076 4C084 4C086 4C076AA09 4C076BB31 4C076CC30 4C076DD37E 4C076DD41A 4C076DD45N 4C076EE09P 4C076EE32P 4C076FF01 4C084AA19 4C084MA02 4C084MA05 4C084MA27 4C084MA63 4C084NA05 4C084NA11 4C084ZC102 4C086AA01 4C086AA02 4C086DA09 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA27 4C086MA63 4C086NA05 4C086NA11 4C086ZC10 本発明は、男性における勃起機能不全を治療し、性欲を増進する方法に関する。 A.男性における性的遂行能力、勃起機能不全(「ED」)、および性欲 1.性的遂行能力とED 本明細書において一般に使用される「性的遂行能力」は、男性がオルガスムを有するか、勃起を得るか、または自慰行為もしくは性交を行う能力のことを呼ぶ。「インポテンス」は性行為遂行不能の1種である。本明細書において使用されるインポテンスまたは「勃起機能不全」は、男性が試行回数の25%以上で膣への挿入に十分な硬直を有する勃起の達成に不能であることを一般に呼ぶ。 4500万人もの男性がある程度の勃起機能不全を有する。少なくとも1000万人のアメリカ人男性(成人人口の約9%にあたる)がインポテンスを有すると考えられている。その割合は年齢と共に増加する。このように、インポテンスは60代男性の約10%、70代男性の25%、80代男性の40%、および90代男性の半数以上を冒している。若いカップルでは、インポテンスの発生率は約7%である。医療を受けている高齢男性の3分の1も勃起機能に障害を有している。 過去10年間にわたり、インポテンスの原因に関する医学的観点は変化した。従来の通念は、インポテンスのほぼすべての症例を心理学的要因に帰するのが常であった。現在では、研究者はインポテンスの70%から80%の症例が医学的問題を本来の原因とすると予測している。インポテンスの危険因子には、性腺機能低下、アテローム性動脈硬化、高血圧、糖尿病、うつ病および他の情動障害もしくは心理学的疾患、骨盤手術、腎不全、多発性硬化症、卒中、一部の種類のてんかん、ならびにアルコール中毒がある。別の危険因子は、心血管薬、中枢神経系に影響する薬物、いくつかのホルモン調製物、ヘロイン、およびコカインを含めた多様な薬物のうち任意のものを取り込むことである。 今日、すべてのインポテンス症例のうち90%がVIAGRA(登録商標)(クエン酸シルデナフィルUSP)で治療されている。インポテンスの治療に有用な他の薬物としては、限定されないが、ペントキシフィリン(TRENTAL(登録商標))、塩酸ヨヒンビン(ACTIBINE(登録商標)、YOCON(登録商標)、YOHIMEX(登録商標))、アポモルヒネ(UPRIMA(登録商標))、アルプロスタジル(MUSE(登録商標)システム、TOPIGLAN(登録商標)、CAVERJECT(登録商標))、パパベリン(PAVABID(登録商標)、CERESPAN(登録商標))、およびフェントラミン(VASOMAX(登録商標)、REGITINE(登録商標))が挙げられる。一実施形態では、アポモルヒネは約2mgから約3mgの用量で経口投与される。 これらの医薬品は多様な生理メカニズムにより作用する。例えば、陰茎の勃起の生理メカニズムは、性的刺激時の海綿体での一酸化窒素(「NO」)の放出を伴う。次にNOは酵素グアニル酸シクラーゼを活性化し、それによりサイクリックグアノシンモノホスフェート(「cGMP」)のレベルの増加を招き、海綿体における平滑筋の弛緩を起こし、血液の流入を可能にする。VIAGRA(登録商標)は、単離したヒト海綿体に対して直接の弛緩効果を有さないが、海綿体におけるcGMPの分解を担うホスホジエステラーゼ5型(「PDE5」)を阻害することによりNOの効果を増強する。性的刺激がNOの局所放出を引き起こすと、シルデナフィルによるPDE5の阻害は海綿体におけるcGMPレベルの増加を引き起こし、平滑筋の弛緩および海綿体への血液流入を招く。一方で、UPRIMA(登録商標)は中枢神経系に作用するドーパミン受容体作動薬である。いったん吸収され脳に輸送されると、UPRIMA(登録商標)は雄性の生殖器への血流の増加と勃起とを生ずる連鎖反応を開始する。本発明にしたがって、テストステロンは生理学的に有益な役割を果たし、性的動機づけ(すなわち性欲)と性的遂行能力との両方を刺激する。 2.性的動機づけと性欲 「性的遂行能力」および「インポテンス」という用語は生理作用を述べているが、「性的動機づけ」および「性欲」という用語は心理作用を述べている。本明細書において使用されるように「性欲」または「性的動機づけ」は、性的夢想、性の期待感、戯れ、および性的相互関係の持続時間、頻度および程度により測定されるパラメータである。 上に論じたように、医師は勃起機能不全が生理メカニズムにより本来引き起こされると現在考えているが、一部の症例は依然として心理的原因に帰される。さらに、減少した性欲はインポテンスの経験に対する反応でもありうる。残念ながら、VIAGRA(登録商標)のような医薬品は、勃起を達成し維持する生理メカニズムに焦点を置くことにより勃起機能不全を治療し、勃起機能不全を患う男性の性的動機づけまたは性欲の増進にはほとんどまたはまったく何もなさない。よって、インポテンスのような性的遂行能力の障害を、その障害に付随する生理問題と心理問題との両方を克服するやり方で治療する必要性は変わらない。 性腺機能低下症の雄性でのテストステロン置換を伴う多数の臨床研究は、テストステロンが性的動機づけである性欲と性的遂行能力との両方に役割を果たすという納得させる証拠をもたらした。例えば、テストステロン置換が性的空想、性的喚起および性欲、睡眠中および朝の自然勃起、射精、パートナーとの、およびパートナーなしの性活動、ならびに交尾または自慰によるオルガスムの増加を招くことを研究者は報告した。一般にChristiansen、「Behavioral Correlates of Testosterone」、TESTOSTERONE:ACTION,DEFICIENCY,SUBSTITUTION 109〜111頁(1998)を参照のこと。 B.テストステロンの合成、代謝および調節 男性における主要な循環中のアンドロゲンであるテストステロンは、コレステロールから合成される。精巣にあるおよそ5憶個のライディヒ細胞は、1日あたり産生されるテストステロン6〜7mgのうち95%を超える量を分泌している。下垂体で産生される2つのホルモンである黄体形成ホルモン(「LH」)および卵胞刺激ホルモン(「FSH」)は精巣の機能の発達と維持に必要であり、テストステロンの産生の負の調節を行っている。循環中のテストステロンは2つの異なる経路を介して様々な17−ケトステロイドに代謝される。酵素5α−レダクターゼはテストステロンをジヒドロテストステロン(「DHT」)に代謝でき、アロマターゼ酵素複合体はエストラジオール(「E2」)に代謝できる。 テストステロンは98%がタンパク質と結合して血中を循環する。男性では、結合のおよそ40%が高親和性の性ホルモン結合グロブリン(「SHBG」)に対するものである。残りの60%はアルブミンと弱く結合している。よって、臨床検査室からテストステロンについての多数の測定値が入手できる。本明細書において使用されるような「遊離」テストステロンという用語は、タンパク質と結合していない血中テストステロン画分のことを呼ぶ。本明細書において使用されるような「総テストステロン」または「テストステロン」という用語は、遊離テストステロンと、タンパク質と結合したテストステロンとの合計を意味する。本明細書において使用されるような「生物学的に利用可能なテストステロン」という用語は、SHBG非結合型テストステロンのことを呼び、アルブミンと弱く結合したテストステロンを含んでいる。 UCLAハーバー医療センターからの下記の表は、正常な成人男性におけるホルモン濃度の範囲をまとめている。 文献で報告されているテストステロンの半減期には、10から100分までかなりの変動がある。しかし、研究者は循環中のテストステロンが正常な青年では日周変動を有することに意見が一致している。最大レベルはおよそ午前6時から8時までに起こり、テストステロンのレベルは日中に減少する。特徴的なプロフィールは最大テストステロンレベル720ng/dLおよび最小テストステロンレベル430ng/dLを有する。しかし、この日周サイクルの生理学的重要性は、たとえあるにしても明らかではない。 C.テストステロンレベルと性行動/性的遂行能力 テストステロン濃度を増加させることは性的遂行能力および性欲を変えることが示されたため、研究者は男性にテストステロンを送達する方法を検討した。これらの方法には、筋肉内注射(43%)、経口置換(24%)、ペレット埋込み(23%)、および経皮パッチ(10%)がある。これらの方法のまとめを表2に示す。 しかし、現在採用されているテストステロン置換法のすべてが1つまたは複数の欠点をもっている。例えば皮下ペレット埋め込みおよびエステル注射には疼痛があり、医師への来診を必要とする。経口/舌下/口腔調製物のようなこれらの方法の多くが、生理濃度を上回ってからベースラインに戻るテストステロン濃度を引き起こすという望ましくない薬物動態プロフィールを有する。経皮パッチは最適に達さない薬物動態的特性をもたらし、多くの患者は当惑する。さらに経皮パッチは重大な皮膚刺激を伴う。このように、有効なテストステロン置換法の必要性が数十年間存在するが、これらの問題を克服する代替置換療法はまったく開発されていない。 本発明は、水性アルコール性テストステロンゲル製剤に関し、このゲルは皮膚刺激をほとんどまたはまったく示さずに、とりわけホルモンの所望の薬物動態プロフィールを示すことにより、他のテストステロン送達メカニズムに付随する問題を克服している。このゲルは、VIAGRA(登録商標)のような勃起機能不全の治療を目的とする医薬品の有効性を増強するために、その医薬品と共に使用される。 本発明は多くの異なる形態で具体化されうるが、本開示を本発明の原理の例示としてのみ見なすべきであり、例示された実施形態に本発明を限定する意図はないことを理解した上で、本明細書にいくつかの特定の実施形態を論じる。本発明はテストステロンに特に関して本明細書において説明されるが、テストステロン合成経路中の他の任意のステロイドを、本明細書において記載される方法、キット、組合せ、および組成物におけるテストステロンの全体または部分の代わりに望むならば用いることができる。シルデナフィルを特に参照して本明細書において本発明を説明するが、勃起機能不全を治療するための他の任意の薬剤を、望むならば本明細書において記載される方法、キット、組合せ、および組成物におけるシルデナフィルの全体または部分の代わりに用いることができる。 本発明は、性的遂行能力を改善する必要のある対象、例えば雄性対象においてそれを改善するための方法、キット、組合せ、および組成物を対象とする。この方法は、テストステロン合成経路中の薬理学的に有効量のステロイドを勃起機能不全治療用の薬剤と共に対象に送達することを含む。一実施形態では、本発明は、勃起機能不全または性欲欠乏を治療するために有用な、テストステロン合成経路中のステロイド、例えばテストステロンを水性アルコール性ゲルの形で経皮投与するための、方法、キット、組合せ、または医薬組成物を対象とする。このゲルは、エタノールまたはイソプロパノールのような1つまたは複数の低級アルコール、透過促進剤、増粘剤、および水を含む。さらに、本発明は塩類、皮膚軟化剤、安定化剤、抗菌剤、香料、および噴射剤を任意選択で含みうる。 本発明は、いったん臨床的に顕性となった対象における性機能不全の進行を逆転、停止もしくは減速させるための、または性機能不全に付随もしくは関係する症状を治療するためのキット、方法、組合せ、および医薬組成物も含む。対象は投与の時点ですでに性機能不全を有するか、または性機能不全を発生するリスクを有している可能性がある。 一実施形態では、本発明の医薬組成物を1日に1回、2回もしくは3回、または望みの治療効果を達成するのに必要な多くの回数だけ投与する。別の実施形態では、本発明の組成物を1日に1回、2回もしくは3回、隔日投与する。別の実施形態では、本発明の組成物を1日に1回、2回もしくは3回、毎週、隔週もしくは毎月投与する。 本発明の方法、キット、組合せおよび組成物に有用な、テストステロン合成経路中のステロイドのクラスには、テストステロンの同化経路または異化経路中のステロイドがある。本発明の広い態様において、本発明に採用される有効成分は、アンドロイソキサゾール、アンドロステンジオン、ボラステロン、クロステボール、エチルエストレノール、ホルミルジエノロン、4−ヒドロキシ−19−ノルテストステロン、メテノロン、メチルトリエノロン、ナンドロン、オキシメステロン、キンボロン、ステンボロン、トレンボロンのようなアナボリックステロイド;ボルデノン、デヒドロエピアンドロステロン、フルオキシメステロン、メスタノロン、メステロロン、メタアンドロステノロン、17α−メチルテストステロン、17α−メチル−テストステロン3−シクロペンチルエノールエーテル、ノルエタンドロロン、ノルメタンドロン、オキサンドロロン、オキシメトロン、プラステロン、スタンロロン(stanlolone)、スタノゾロール、ジヒドロテストステロン、テストステロンのようなアンドロゲン性ステロイド;およびアナゲストン、酢酸クロルマジノン、酢酸デルマジノン、デメゲストン(demegestone)、ジメチステロン、ジヒドロゲステロン、エチニルエストレノール、エチステロン、エチノジオール、二酢酸エチノジオール、酢酸フルロゲストン、ゲストデン、カプロン酸ゲストノロン、ハロプロゲステロン、17−ヒドロキシ−16−メチレン−プロゲステロン、17α−ヒドロキシプロゲステロン、カプロン酸17α−ヒドロキシプロゲステロン、メドロゲストン、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メレンゲストロール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチノドレル、ノルゲステロン、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン、19−ノルプロゲステロン、ノルビニステロン(norvinisterone)、ペンタゲストロン、プレグネノロン、プロゲステロン、プロメゲストン、キンゲストロン、トレンゲストンのようなプロゲストーゲン;ならびにこれらの化合物のすべての塩、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互変異性体、プロドラッグおよび誘導体がある。(Merck Index、Merck & Co.、ローウェイ、ニューヨーク州(1998)が提供する表に一部基づく)。上記のステロイドの組合せを本明細書において記載された方法、キット、組合せ、および組成物に使用できる。 本発明の一実施形態では、テストステロン合成経路中のステロイドを勃起機能不全治療用の別の薬剤、例えばホスホジエステラーゼ活性を阻害する上で有効な薬剤と共に、対象における性障害の治療のためのこれらの治療剤の同時作用から有益効果をもたらすことを意図する特定の治療計画の部分として投与する(「併用療法」)。組合せの有益効果には、治療剤の組合せの結果として生ずる薬物動態または薬力学上の同時作用があり、かつ例えば対象における勃起機能不全を治療することおよび性欲を増進することのような性的遂行能力を改善することもあるが、それらに限定されない。これらの治療剤の組合せ投与は、概して一定の時間(選択された組合せに応じて通常は同時に、数分間、数時間、数日、数週間、数カ月または数年間)実施される。併用療法は一般に、本発明の組合せを偶然および任意に生じるような別々の単一治療計画の部分として2つ以上のこれらの治療剤の投与を包含することを意図していない。併用療法では、これらの治療剤の連続的な投与、すなわち各治療剤が異なる時点で投与されること、およびこれらの治療剤またはその少なくとも2つの実質的同時投与を含むことが意図される。実質的な同時投与は、例えば各治療剤を一定割合で有する単一のゲルを、または治療剤のそれぞれについての単一のカプセル、錠剤またはゲルの複数を対象に投与することにより達成できる。各治療剤の連続投与または実質的な同時投与を、経口経路、経皮経路、静脈内経路、筋肉内経路を含めるがそれらに限定されない任意の適当な経路により、または鼻腔内経路のような粘膜組織を介した直接吸収により作用させることができる。 治療剤は、同一の経路により、または異なる経路により投与できる。例えば、選択された組合せのうち第一治療剤を経口投与し、その組合せのもう一方の治療剤を経皮投与してもよい。代わりに、例えばすべての治療剤を経皮投与するか、すべての治療剤を静脈内投与するか、すべての治療剤を筋肉内投与するか、またはすべての治療剤を粘膜組織を介した直接吸収により投与してもよい。治療剤が投与される順序は厳密に重大なわけではない。併用療法は、限定されないが、対象におけるテストステロンレベルを増加させる別のステロイドまたは他の薬剤等の他の生物学的有効成分、および、限定されないが、手術のような非薬物療法とさらに組み合わせて、上記の治療剤を投与することも含みうる。 本発明の方法、キット、組合せ、および組成物に有用な、対象におけるテストステロンレベルを増加させるステロイドまたは薬剤のクラスには、性ホルモン結合グロブリンの合成を阻害する化合物がある。性ホルモン結合グロブリンは血清タンパク質であり、テストステロンおよびエストラジオールと結合してこれらのホルモンの生体活性に影響すると考えられている。性ホルモン結合グロブリンの合成を阻害する、興味のある特定の化合物としては、メチルテストステロンおよびフルオキシメステロン、ならびにこれらの化合物のすべての塩、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互変異性体、プロドラッグおよび誘導体があるが、それらに限定されない。上のこれらの化合物の組合せを、本明細書において記載された方法、キット、組合せ、および組成物に使用できる。メチルテストステロンは、例えばANDROID(登録商標)およびTESTRED(登録商標)のような経口的に利用できるものを含めた様々な製剤で現在入手できる。フルオキシメステロンも、HALOSTESTIN(登録商標)のような経口的に利用できるものを含めた様々な製剤で現在入手できる。 併用療法を構成する治療化合物は、合剤(組合せ)剤形または実質的な同時投与を意図した個別剤形であってもよい。二段階投与を求める治療計画にしたがって両方の治療化合物を投与して、併用療法を構成する治療化合物を連続投与してもよい。よって、治療計画は、別々の有効薬剤を間隔を空けて投与することを伴う治療化合物の連続投与を求める場合がある。複数の投与段階の間の時間は、治療化合物の効力、溶解性、バイオアベイラビリティ、血漿中半減期、および動態プロフィールのような各治療化合物の性質に応じて、ならびに食物摂取の効果、対象の年齢および状態に応じて、例えば実質的に同時、または数秒もしくは数分から数時間から数日まで変動しうる。標的分子の濃度の概日変動も最適な投与間隔を決定しうる。一実施形態では、勃起機能不全治療用の薬剤の前24または48時間以内に、テストステロン経路のステロイド投与する。別の実施形態では、テストステロン経路のステロイドの後、少なくとも1日以内に勃起機能不全治療用の薬剤を投与する。 同時、実質的に同時、または連続的に投与されるものに拘わらず、併用療法の治療化合物は、例えば一方の治療化合物を経口経路または鼻腔内経路で、かつ他方の治療化合物を経皮経路で投与することを求める治療計画を伴うことができる。併用療法の治療化合物が経口で、吸入スプレーで、鼻腔内に、直腸に、局所に、口腔に(例えば舌下)、または非経口(例えば皮下、筋肉内、静脈内および皮内注射、または点滴法)で、別々にまたは一緒に投与されようと、そのような治療化合物の各々は、薬学的に許容可能な賦形剤、希釈剤、または他の製剤成分からできた適当な医薬製剤に含まれる。治療化合物を含有する適当な薬学的に許容可能な製剤の例を本明細書に示す。さらに、薬物の製剤は例えばHoover、John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、イーストン、ペンシルベニア州、1975に記載されている。薬物の製剤についての別の考察をLiberman、H.A.およびLachman、L.編、「Pharmaceutical Dosage Forms」、Marcel Decker、ニューヨーク、ニューヨーク州、1980に見いだすことができる。 ヒトの治療に有用である以外に、本発明は哺乳類、爬虫類、鳥類、ならびに哺乳類、げっ歯類などを含めた外来動物および農用動物の獣医学的治療にも有用である。一実施形態では、哺乳類には例えばヒト、サル、もしくはキツネザルである霊長類、ウマ、イヌ、ブタ、またはネコがある。別の実施形態では、げっ歯類にはラット、マウス、リスまたはモルモットがある。 本発明の方法、キット、組合せ、および組成物は、現在利用できる治療選択と比べて対象、例えばヒトにおける性機能不全を治療するための増強した治療選択をもたらす。 記載された化合物の異性体および互変異性体、ならびにその薬学的に許容可能な塩が、本発明の方法、キット、組合せ、および医薬組成物に含まれる。例示的な薬学的に許容可能な塩は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸、b−ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸から調製される。 本発明の別の実施形態では、テストステロン経路のステロイドおよび勃起機能不全治療用の薬剤は、本発明の治療化合物の1つまたは複数を含むキットまたはパッケージの形態をとる。本発明のこれらの治療化合物を、キットまたはパッケージの形態で包装することができ、そのキットまたはパッケージでは妥当な順次投与または同時投与のために1時間、1日、1週間、または1カ月(もしくは他の期間)分の投薬量が配置されている。本発明は、連続した毎日投与に適合した複数の投薬単位を含むキットまたはパッケージをさらに提供し、各投薬単位は、本発明の治療化合物の少なくとも1つを含む。本発明の治療化合物の様々な実施形態のうち任意なものの投与を容易にするために、この薬物送達系を使用できる。一実施形態では、当該の系は1日または1週間に投与されるべき複数の投薬を含む。キットまたはパッケージは、剤形の妥当な投与を容易にするための併用療法で利用される薬剤も含むことができる。キットまたはパッケージは、対象のための説明書のセットも含みうる。 さらに別の実施形態では、本発明は下記のようなテストステロンゲルの成分と適合性のポリエチレンライナーを有する小包装を採用する。小包装は1回量または多数回量を収容してもよい。別の実施形態では、方法、キット、組合せ、および組成物は、例えば容器内部に組成物の大きめのフォイル製小包装を有する堅い多回量容器(例えばハンドポンプ付き)から分配される組成物を採用する。そのような大きめの小包装も、上のようなポリエチレンライナーを含みうる。 「プロドラッグ」という用語は、(治療用有効薬剤の)薬理作用が体内での代謝過程による変換から生じるような薬物または化合物のことを呼ぶ。プロドラッグは、対象への投与およびその後の吸収の後に、代謝過程のようなある過程により活性種またはさらに活性な種に変換される薬物前駆体と一般に見なされる。変換過程からの他の生成物も生体により容易に処理される。プロドラッグは、そのプロドラッグ上に存在する化学基を一般に有し、その化学基が薬物の活性を低くし、かつ/または薬物に溶解性または他の何かの性質を付与する。その化学基がいったんプロドラッグから開裂されると、活性のより高い薬物が発生する。プロドラッグを可逆的薬物誘導体として設計して、組織への部位特異的な薬物輸送を促進するための修飾物質として利用してもよい。現在まで、プロドラッグの設計は、治療化合物の有効な水溶性を増加させて、水が主な溶媒である領域にターゲティングすることであった。例えば、Fedorakら、Am.J.Physiol、269:G210〜218頁(1995)はデキサメタゾン−β−D−グルクロニドについて記載している。McLoedら、Gastroenterol.、106:405〜413頁(1994)は、コハク酸デキサメタゾン−デキストランについて記載している。Hochhausら、Biomed.Chrom.、6:283〜286頁(1992)はデキサメタゾン−21−スルホ安息香酸ナトリウムおよびデキサメタゾン−21−イソニコチネートについて記載している。さらに、J.LarsenおよびH.Bundgaard[Int.J.Pharmaceutics、37、87(1987)]は潜在的プロドラッグ誘導体としてのN−アシルスルホンアミドの評価について記載している。J.Larsenら[Int.J.Pharmaceutics、47、103(1988)]は、潜在的プロドラッグ誘導体としてのN−メチルスルホンアミドの評価について記載している。プロドラッグは、例えばSinkulaら、J.Pharm.Sci.、64:181〜210頁(1975)にも記載されている。組合せおよび本発明の方法で使用できる「プロドラッグ」の、限定するものでない他の例には、パレコキシブ(プロパンアミド、N−[[4−(5−メチル−3−フェニル−4−イソキサゾリル)フェニル]スルホニル]−)およびMAG−カンプトテシンがある。 「誘導体」という用語は、類似構造の別の化合物から製造される1つの原子、分子または基を別のものと置き換えまたは置換することにより製造される化合物のことを呼ぶ。例えば、化合物の水素原子をアルキル、アシル、アミノなどに置換してその化合物の誘導体を製造してもよい。 「透過促進剤」という句は、皮膚を介した薬物の送達を加速する薬剤のことを呼ぶ。これらの薬剤は加速剤、補助剤、および吸収促進剤とも称し、本明細書においてはまとめて「促進剤」と呼ぶ。このクラスの薬剤には、薬物の溶解性および拡散性を改善する機能を有する作用メカニズム、および角質層が水分を保持する能力を変化させること、皮膚を軟化させること、皮膚の透過性を改善すること、透過補助剤または毛包開放剤として作用すること、または境界層のような皮膚の状態を変化させることにより経皮吸収を改善する作用メカニズムを含めた多様な作用メカニズムを有する薬剤がある。本発明の透過促進剤は、脂肪酸の機能的誘導体であり、脂肪酸の等配電子的(isosteric)修飾体、または脂肪酸もしくはその等配電子的修飾体のカルボキシ官能基の非酸誘導体である。一実施形態では、脂肪酸の機能的誘導体は、不飽和アルカン酸であり、その不飽和アルカン酸では、−COOH基はアルコール、ポリオール、アミドおよびその置換誘導体のような機能的誘導体に置換されている。「脂肪酸」という用語は、4つから24個までの炭素原子を有する脂肪酸を意味する。 透過促進剤の限定されない例としては、イソステアリン酸、オクタン酸、およびオレイン酸のようなC8〜C22脂肪酸;オレイルアルコールおよびラウリルアルコールのようなC8〜C22脂肪族アルコール;オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、およびラウリン酸メチルのようなC8〜C22脂肪酸の低級アルキルエステル;アジピン酸ジイソプロピルのようなC6〜C22二塩基酸のジ(低級)アルキルエステル;モノラウリン酸グリセリルのようなC8〜C22脂肪酸のモノグリセリド;テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル;ポリエチレングリコール、プロピレングリコール;2−(2−エトキシエトキシ)エタノール;ジエチレングリコールモノメチルエーテル;ポリエチレンオキシドのアルキルアリールエーテル;ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル;ポリエチレンオキシドジメチルエーテル;ジメチルスルホキシド;グリセロール;酢酸エチル;アセト酢酸エステル;N−アルキルピロリドン;およびテルペンが挙げられる。 本明細書において使用される増粘剤またはゲル化剤は、ポリアクリル酸(CARBOPOL(登録商標)、B.F.Goodrich Specialty Polymers and Chemical Division of Cleveland、オハイオ州)、カルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース等の陰イオンポリマーが上げられ、それにはCarbopol(登録商標)Ultrez10、Carbopol(登録商標)940、Carbopol(登録商標)941、Carbopol(登録商標)954,Carbopol(登録商標)980、Carbopol(登録商標)981、Carbopol(登録商標)ETD2001、Carbopol(登録商標)EZ−2およびCarbopol(登録商標)EZ−3のようなCarbopol(登録商標)ポリマーの誘導体、ならびにPemulen(登録商標)ポリマー性乳化剤、およびNoveon(登録商標)ポリカルボフィルのような他のポリマーを含めた類似物が挙げられる。それ以外の増粘剤、促進剤および補助剤は、「Remington’s The Science and Practice of Pharmacy」、Meade Publishing Co.、米国薬局方/国民医薬品集に一般に見いだすことができる。 本明細書において使用されるように、単独または組合せで使用される「低級アルコール」という用語は、1つから約6つの炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルコール部分を意味する。一実施形態では、低級アルコールは1つから約4つの炭素原子を含み、別の実施形態では、低級アルコールは2つから約3つの炭素原子を含む。そのようなアルコール部分の例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、およびtert−ブタノールがある。 本明細書において使用されるように、単独または組合せで使用される「低級アルキル」という用語は、1つから約6つの炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。一実施形態では、低級アルキルは1つから約4つの炭素原子を含む。そのような基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルがある。 組成物は「薬学的な有効量」で使用される。これは、組成物中の投与される薬物の濃度が、その薬物が使用される期間にわたり治療レベルの薬物が送達される程度であることを意味する。そのような送達は、個別の投薬単位が使用される期間、組成物からの薬物の流出速度、例えばゲルからのテストステロンの流出速度、適用部位の表面積などを含めた多数の変数に依存する。例えばテストステロンについては、促進剤を伴う場合と伴わない場合でのゲルおよび皮膚を通過するテストステロンの流出速度に基づいて、必要なテストステロンの量を実験的に決定できる。 例示的に、本発明のある製剤は投薬単位あたりテストステロン約0.01gから約100g、またはその等価量を対象に送達する。本発明の別の実施形態では、製剤は投薬単位あたりテストステロン約0.1gから約10g、またはその等価量を対象に送達する。本発明のなお別の実施形態では、本発明の製剤は投薬単位あたりテストステロン約0.17gから約5g、またはその当量を対象に送達する。本発明の別の実施形態では、本発明の製剤は、投薬単位あたりテストステロン約1gまたはその等価量を対象に送達する。本発明のさらに別の実施形態では、本発明の製剤は投薬単位あたりテストステロン約0.25gまたはその等価量を対象に送達する。よって、例えば1日1回投与用の1投薬単位として製剤されたテストステロンのゲル、軟膏、クリームまたはパッチは、テストステロン約0.17g、約0.25g、約0.5g、またはテストステロン約1.0gを含む。一方、1週間に1回投与用の1投薬単位として製剤された例えばテストステロンのゲル、軟膏、クリームまたはパッチはテストステロン約1.19g、約1.75g、約3.50g、または約7.0gをそれぞれ含む。 一実施形態では、製剤はゲル、軟膏、クリームまたはパッチであり、テストステロン、ミリスチン酸イソプロピルのような透過促進剤、Carbopolのような増粘剤、エタノールまたはイソプロパノールのような低級アルコール、および水を含有する。別の実施形態では、製剤はゲル、軟膏、クリームまたはパッチであり、適当なパーセントの以下の物質から成る。 例示的に、ゲル、軟膏、クリームまたはパッチは組成物100gにテストステロン約0.01gから約70g、透過促進剤約0.01gから約50g、増粘剤約0.1gから約50g、および低級アルコール約30gから約98gを含みうる。別の実施形態では、ゲル、軟膏、クリームまたはパッチは組成物100gにテストステロン約0.1gから約10g、透過促進剤約0.1gから約5g、増粘剤約0.1gから約5g、および低級アルコール約45gから約90gを含みうる。 一実施形態では、組成物は、水酸化ナトリウム(例えば0.1NのNaOH)のような水酸化物放出剤を組成物の約0.1から約10w/w%の量でさらに含むゲル、軟膏、クリームまたはパッチである。 別の実施形態では、医薬組成物はテストステロン約0.5%から約10%、例えばエタノールまたはイソプロパノールであるアルコール約30%から約98%、ミリスチン酸イソプロピル約0.1%から約5%、水酸化ナトリウム約1%から約5%、およびゲル化剤約0.1%から約5%を含む。成分のパーセントは、組成物の重量に対する重要である。 なお別の実施形態では、医薬組成物は水性アルコール性ゲル中にテストステロンを含む。テストステロンは組成物の重量に対して約0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10重量%の濃度で存在しうる。本実施形態における促進剤にはミリスチン酸イソプロピルがあり、それは組成物の重量に対して約0.5%、1%、2%、3%、4%、または5重量%の濃度で存在しうる。医薬組成物は組成物の重量に対して約72.5重量%の濃度で存在するC1〜C4アルコールも含む。さらに、医薬組成物はゲル化剤としてポリアクリル酸および/またはカルボキシメチルセルロースを含む。一実施形態では、ゲル化剤は組成物の重量に対して約1重量%の濃度で存在するポリアクリル酸である。 そのようなテストステロンゲルの1つが、本出願の譲受人であるUnimed Pharmaceuticals、Inc.、マリエッタ、ジョージア州によるAndroGel(登録商標)の商標でごく最近米国で入手できるようになった。一実施形態では、ゲルは概量で以下の物質から成る。 当分野の技術者であれば、この製剤の成分の量が変動しても本発明の精神と範囲内に留まっていればよいことを認識されよう。例えば、組成物はテストステロン約0.1から約10.0g、CARBOPOL約0.1から約5.0g、ミリスチン酸イソプロピル約0.1から約5.0g、およびエタノール約30.0gから約98.0gを含みうる。 さらに別の実施形態では、組成物は組成物の0.01w/w%を超える量のテストステロン、約0.1%を超える量の透過促進剤、約0.1%を超える量の増粘剤、および約30%を超える量の低級アルコールを含む。 ゲル、軟膏、クリーム、またはパッチを対象の皮膚領域に塗りつけるか、または配置し、乾かす。例示的に、ゲル、軟膏、またはクリームを皮膚領域、例えば太ももの外側および/または臀部に1日1回塗りつける。適用後に対象は手を洗う。ゲルの適用により、対象における性機能不全、または性機能不全に付随するか、もしくは関係する症状の治療または予防に有効な望ましい薬物動態プロフィールを有する、増加したテストステロンレベルが生じる。このように、この組成物は、男性および女性の両方における多数の性機能不全、障害、状態または疾病の治療に有用である。 本発明の一実施形態では、性機能不全の治療または予防を必要とする対象、すなわち性機能不全を有するか、またはその発生リスクがあると示された対象においてそれを治療または予防する方法が提供される。この方法は、テストステロン合成経路中のステロイドを対象の血清に送達するために、対象の皮膚領域に薬理学的に有効量の組成物を投与することを含む。この組成物は、 (a)テストステロン合成経路中のステロイド約0.01から約70w/w%と、 (b)透過促進剤約0.01から約50w/w%と、 (c)ゲル化剤約0.01から約50w/w%と、 (d)低級アルコール約30から約98w/w%と を含む。この組成物を皮膚に適用した後に、この組成物は、本発明の一実施形態では1日あたり少なくとも約10μgのステロイドを対象の血清に送達する速度と持続時間で、ステロイドを放出できる。 本発明の一実施形態では、テストステロン合成経路中のステロイドはテストステロンである。 本発明の方法、キット、組合せ、および組成物の別の実施形態では、この組成物を対象の皮膚に適用した後に、この組成物は、投与2時間後から投与24時間後までの時間範囲内に血清1dlあたり約400ngを超えるテストステロンの循環血清中濃度を達成する速度と持続時間で、テストステロンを放出できる。 本発明の方法、キット、組合せ、および組成物の別の実施形態では、この組成物を対象の皮膚に適用した後に、この組成物は、血清1dlあたりテストステロン約400ngから血清1dlあたりテストステロン約1050ngまでの間のテストステロンの循環血清中濃度を達成する速度と持続時間で、テストステロンを放出できる。 本発明の方法、キット、組合せ、および組成物の別の実施形態では、対象の皮膚への本発明の組成物の1日あたりそれぞれ約0.1gの適用について、少なくとも約5ng/dlの血清中テストステロン濃度の増加が対象に生じる。 本発明の方法、キット、組合せ、および組成物の別の実施形態では、本発明の組成物は用量約0.1gから約10gで毎日投与するために対象に供される。 本発明の方法、キット、組合せ、および組成物のさらに別の実施形態では、治療を必要とする対象は、本発明の組成物を初回適用する前(治療前)に約300ng/dl未満の血清中テストステロンレベルを有する。 本発明の方法、キット、組合せ、および組成物の別の実施形態では、本発明の組成物を少なくとも約30日間毎日投与後の対象における血清中テストステロン濃度は、少なくとも約490ng/dlから約860ng/dlである。 本発明の方法、キット、組合せ、および組成物のなお別の実施形態では、本発明の組成物を少なくとも約30日間毎日投与後の対象における血清中総アンドロゲン濃度は約372ng/dlを超える。 本発明の方法、キット、組合せ、および組成物の別の実施形態では、本発明の組成物を1日に1回、2回、または3回、少なくとも約7日間対象に投与する。 本発明は、 (a) (i)テストステロン合成経路中のステロイド約0.01から約70w/w%と、 (ii)透過促進剤約0.01から約50w/w%と、 (iii)増粘剤約0.01から約50w/w%と、 (iv)低級アルコール約30から約98w/w%と を含むある量の組成物と、 (b)勃起機能不全を治療するためのある量の治療剤と を対象に投与することによって、性機能不全を治療する、予防する、またはその発生リスクを低下させることを必要とする対象、すなわち性機能不全を有するか、またはその発生リスクがあると示された対象において、それを治療する、予防する、またはその発生リスクを低下させる方法も提供する。テストステロン合成経路中のステロイドを対象の血清に送達するために、この組成物は対象の皮膚領域に投与され、この組成物は皮膚に適用後に対象の血清に1日あたり少なくとも約10μgのステロイドを送達する速度および持続時間でステロイドを放出できる。組成物の量および治療剤の量が、一緒になって薬理学的な有効量を構成する。 本発明の方法、キット、組合せ、および組成物の一実施形態では、組成物および治療剤は別々の成分としてキットに提供される。 本発明の方法、キット、組合せ、および組成物の別の実施形態では、組成物および治療剤は実質的に同時にまたは連続的に投与される。 本発明の方法、キット、組合せ、および組成物のそのうえ別の実施形態では、治療剤は経口、経皮、静脈内、筋肉内に、または粘膜組織を介した直接吸収により投与される。 本発明は、 (i)テストステロン合成経路中のステロイド約0.01から約70w/w%と、 (ii)透過促進剤約0.01%から約50w/w%と、 (iii)増粘剤約0.01%から約50w/w%と、 (iv)低級アルコール約30から約98w/w%と、 (v)勃起機能不全治療用の治療剤と を含む医薬組成物も提供する。対象の血清にテストステロンおよび治療剤を送達するために、この組成物は対象の皮膚領域に投与され、この組成物は皮膚に適用後に対象の血清に1日あたり少なくとも約10μgのステロイドを送達する速度および持続時間でステロイドを放出できる。テストステロンの量および治療剤の量が一緒になって対象における勃起機能不全を治療するに足る量を構成する。 テストステロンゲルにより実証される標的送達速度の達成を、男性におけるテストステロンゲルの薬物動力学から予測できる。上半身に様々な量のゲルを適用した後の男性における平均血清中濃度(Cavg)の値を下の表に示す。 男性で得られた結果に基づき、用量0.5gのテストステロンゲルは1日あたりテストステロン約300μgを送達する。 有効成分の毒性および治療有効性を、例えばLD50(総数の50%に対して致死の用量)およびED50(総数の50%に治療有効な用量)を決定するための薬学的な標準法により決定できる。有毒作用と治療効果との間の用量比は治療指数であり、LD50/ED50の比として表現できる。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。有毒な副作用を示す化合物も使用できるが、未影響の細胞に対する潜在的な損傷を最小限にすることによって副作用を減らすように、冒された組織の部位にそのような化合物をターゲティングする送達系の設計に注意を払うべきである。 同時係属の米国特許出願第09/703753号において、性機能が低下した男性に対するAndroGel(登録商標)を用いたテストステロンの経皮適用は、性欲および性的遂行能力の改善を生じることが示され、論じられている。AndroGel(登録商標)は、勃起機能不全の治療に有用な医薬品と組み合わせても使用できる。そのような医薬品には、ホスホジエステラーゼの活性阻害に有効な任意の薬剤がある。適当なホスホジエステラーゼ阻害薬にはIII型ホスホジエステラーゼ(cAMP特異的cGMP被阻害型)、IV型ホスホジエステラーゼ(高親和性高特異性cAMP型)およびV型ホスホジエステラーゼ(cGMP特異型)の阻害薬があるが、それらに限定されない。本発明に関連して使用できる追加の阻害薬は、V型阻害薬以外のcGMP特異的ホスホジエステラーゼ阻害薬である。 投与し得るIII型ホスホジエステラーゼ阻害薬の例には、ミルリノンおよびアミリノン(amirinone)のようなビピリジン類、ピロキシモン(piroximone)およびエノキシモンのようなイミダゾロン類、イマゾダン(imazodan)、5−メチル−イマゾダン、インドリダンおよびICI1118233のようなジヒドロピリダジノン類、シロスタミド、シロスタゾールおよびベスナリノンのようなキノリノン化合物、ならびにベモラダン(bemoradan)、アネルグレリド(anergrelide)、シグアゾダン(siguazodan)、トレキンシン、ピモベンダン、SKF−94120、SKF−95654、リキサジノン(lixazinone)およびイソマゾール(isomazole)のような他の分子があるが、それらに限定されない。 適したIV型ホスホジエステラーゼ阻害薬の例には、RO20−1724のようなロリプラムおよびロリプラム誘導体、CP−77059およびRS−25344−00のようなニトラクアゾン(nitraquazone)およびニトラクアゾン誘導体、デンブフィリンおよびICI63197のようなキサンチン誘導体、ならびにEMD54622、LAS−31025およびエタゾラートのような他の化合物があるが、それらに限定されない。 V型ホスホジエステラーゼ阻害薬の例には、ザプリナスト、MY5445、ジピリダモール、バルデナフィルおよびシルデナフィルがあるが、それらに限定されない。他のV型ホスホジエステラーゼ阻害薬はPCT公開番号WO94/28902およびWO96/16644に開示されている。好ましい実施形態では、VIAGRA(登録商標)(クエン酸シルデナフィルUSP)のようなホスホジエステラーゼ5型(「PDE5」)阻害薬を約25mgから200mgの量で投与する。一実施形態では、クエン酸シルデナフィルを約25mg、50mg、または100mgの用量で経口投与する。別の実施形態では、クエン酸シルデナフィルを約10mg、20mg、または40mgの用量で鼻腔内投与する。例として米国特許第6200591号はシルデナフィルの鼻腔内投与を開示している。 PCT公開番号WO94/28902に記載された化合物は、ピラゾロピリミジノンである。阻害薬化合物の例には、5−(2−エトキシ−5−モルホリノアセチルフェニル)−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−(5−モルホリノアセチル−2−n−プロポキシフェニル)−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7−H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−[2−アリルオキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)−フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−[2−エトキシ−5−[4−(2−プロピル)−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−[2−エトキシ−5−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−[5−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニルスルホニル]−2−n−プロポキシフェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルカルボニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、および5−[2−エトキシ−5−(1−メチル−2−イミダゾリル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3d]ピリミジン−7−オンがある。 PCT公開番号WO96/16644に記載されたホスホジエステラーゼ阻害薬には、グリセオール酸(griseolic acid)誘導体、2−フェニルプリノン誘導体、フェニルピリドン誘導体、縮合(fused and condensed)ピリミジン、ピリミドピリミジン誘導体、プリン化合物、キナゾリン化合物、フェニルピリミジノン誘導体、イミダゾキノキサリノン誘導体またはそのアザ類似体、フェニルピリドン誘導体などがある。WO96/16644に開示されているホスホジエステラーゼ阻害薬の特定の例には、1,3−ジメチル−5−ベンジルピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、2−(2−プロポキシフェニル)−6−プリノン、6−(2−プロポキシフェニル)−1,2−ジヒドロ−2−オキシピリジン−3−カルボキサミド、2−(2−プロポキシフェニル)−ピリド[2,3−d]ピリミド−4(3H)−オン、7−メチルチオ−4−オキソ−2−(2−プロポキシフェニル)−3,4−ジヒドロ−ピリミド[4,5−d]ピリミジン、6−ヒドロキシ−2−(2−プロポキシフェニル)ピリミジン−4−カルボキサミド、1−エチル−3−メチルイミダゾ[1,5a]キノキサリン−4(5H)−オン、4−フェニルメチルアミノ−6−クロロ−2−(1−イミダゾロイル)キナゾリン、5−エチル−8−[3−(N−シクロヘキシル−N−メチルカルバモイル)−プロピルオキシ]−4,5−ジヒドロ−4−オキソ−ピリド[3,2−e]−ピロロ[1,2a]ピラジン、5’−メチル−3’−(フェニルメチル)−スピロ[シクロペンタン−1,7’(8’H)−(3’H)−イミダゾ[2,1b]プリン]4’(5’H)−オン、1−[6−クロロ−4−(3,4−メチレンジオキシベンジル)アミノキナゾリン−2−イル]ピペリジン−4−カルボン酸、(6R,9S)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)メチル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクタヒドロシクロペント[4,5]−イミダゾ[2,1−b]−プリン−4−オン、1t−ブチル−3−フェニルメチル−6−(4−ピリジル)ピラゾロ[3,4−d]−ピリミド−4−オン、1−シクロペンチル−3−メチル−6−(4−ピリジル)−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミド−4−オン、2−ブチル−1−(2−クロロベンジル)6−エトキシ−カルボニルベンズイミダゾール、および2−(4−カルボキシピペリジノ)−4−(3,4−メチレンジオキシ−ベンジル)アミノ−6−ニトロキナゾリン、および2−フェニル−8−エトキシシクロヘプトイミダゾールがある。 本発明に関連して有用である、さらに他のV型ホスホジエステラーゼ阻害薬には、IC−351(ICOS)、4−ブロモ−5−(ピリジルメチルアミノ)−6−[3−(4−クロロフェニル)プロポキシ]−3(2H)ピリダジノン、1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソル−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キナゾリニル]−4−ピペリジン−カルボン酸一ナトリウム、(+)−cis−5,6a,7,9,9,9a−ヘキサヒドロ−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニルメチル−5−メチル−シクロペント−4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4(3H)オン、フラズロシリン、cis−2−ヘキシル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクタヒドロシクロペント[4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン、3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート、4−ブロモ−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−6−(3−(4−クロロフェニル)プロポキシ)−3−(2H)ピリダジノン、1−メチル−5−(5−モルホリノアセチル−2−n−プロポキシフェニル)−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ(4,3−d)ピリミジン−7−オン、1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソル−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キナゾリニル]−4−ピペリジンカルボン酸一ナトリウム、ファーマプロジェクト番号4516(グラクソウエルカム)、ファーマプロジェクト番号5051(バイエル)、ファーマプロジェクト番号5064(協和発酵、WO96/26940参照)、ファーマプロジェクト番号5069(シェリングプラウ)、GF−196960(グラクソウエルカム)、Sch−59496、Sch−51866、KF−31327(協和発酵)、N2−イソニコチニルピロロキノロンPDE V阻害薬(ジョンソンエンドジョンソン)、Bカルボリン誘導体(ジョンソンエンドジョンソン)、UK−369003(ファイザー)、NCX−911(NicOx)、DA−8159(Dong−A)、FR−229934(藤沢)、TA−1790(田辺製薬)、NMI−870(NitroMed)、PT−141(Palatin Technologies)、AWD−12171(Viatris)、BMS−223131(ブリストルマイヤーズスクイブ)、E−8010(エーザイ)、LAS−34179(Almirall−Prodesfarma)、PNU−83757(ファルマシア)、ABT−598(アボット)、FG−005(F−Gene)、EMR−6203(メルク)、および塩酸モキシシリト(Viatris)がある。 本発明の方法に使用しうる他のホスホジエステラーゼ阻害薬には、テオフィリン、IBMX、ペントキシフィリンおよびパパベリンのような非特異的ホスホジエステラーゼ阻害薬、ならびにヒドララジンのような直接血管拡張薬がある。 勃起機能不全を治療するための薬剤または治療剤を、望むならば塩、エステル、アミド、プロドラッグ、誘導体などの形で投与してよい。この場合、その塩、エステル、アミド、プロドラッグ、または誘導体は薬理学的に適している、すなわち本方法において有効であることを条件とする。有効薬剤の塩、エステル、アミド、プロドラッグおよび他の誘導体を、有機合成化学の分野の技術者に公知である標準的な方法を用いて調製できる。その方法は例えばJ.March、「Advanced Organic Chemistry;Reactions, Mechanisms and Structure」第4版(ニューヨーク、Wiley−Interscience、1992)に記載されている。例えば、酸付加塩は従来の方法を用いて遊離の塩基から調製され、適当な酸との反応を必要とする。一般に、塩基型の薬物をメタノールまたはエタノールのような極性有機溶媒に溶解し、そこに酸を加える。生じた塩は沈殿するか、または極性の低い溶媒を添加することにより溶液から取り出してもよい。酸付加塩の調製に適した酸には、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの有機酸と、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸との両方がある。適当な塩基で処理することにより酸付加塩を遊離の塩基に再変換してもよい。本明細書において特に好ましい有効薬剤の酸付加塩は、塩酸または臭化水素酸を用いて調製できるようなハロゲン化物の塩がある。逆に、ホスホジエステラーゼ阻害薬分子上に存在しうる酸部分と塩基との塩の調製は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、トリメチルアミンなどのような薬学的に許容可能な塩基を用いて同様に調製される。ここで特に好ましい、塩基との塩は、例えばナトリウム塩および銅塩のようなアルカリ金属塩である。エステルの調製は、薬物の分子構造内に存在しうる水酸基および/またはカルボキシル基の官能基化を伴う。エステルは概して遊離アルコール基のアシル置換誘導体、すなわちRがアルキルであり好ましくは低級アルキルである式RCOOHのカルボン酸に由来する部分に置換した誘導体である。従来の水素化分解および加水分解法を用いることにより望むならばエステルを遊離の酸に再変換できる。アミドおよびプロドラッグも、当分野の技術者に公知であるか、または適切な文献に記載されている技術を用いて調製できる。例えば、適当なアミン反応物を用いてエステルからアミドを調製してもよいし、アンモニアまたは低級アルキルアミンを用いた反応により無水物または酸塩化物からアミドを調製してもよい。プロドラッグはある部分を共有結合することにより通常調製され、それは個体の代謝系により修飾されるまで治療不活性である化合物を生じる。 勃起機能不全の治療に有用な他の化合物を使用してもよい。これらには、(a)ペントキシフィリン(TRENTAL(登録商標))、(b)塩酸ヨヒンビン(ACTIBINE(登録商標)、YOCON(登録商標)、YOHIMEX(登録商標))、(c)アポモルヒネ(UPRIMA(登録商標))、(d)アルプロスタジル(MUSE(登録商標)システム、TOPIGLAN(登録商標)、CAVERJECT(登録商標))、(e)パパベリン(PAVABID(登録商標)、CERESPAN(登録商標))、(f)フェントラミン(VASOMAX(登録商標)、REGITINE(登録商標))、ならびに前記すべての組合せ、塩、誘導体および鏡像異性体がある。 そのような薬物の治療有効性を増加させ増強させるために、勃起機能不全症を有する性腺機能低下症または性腺正常の男性に、AndroGel(登録商標)のようなテストステロン含有ゲルを投与する。VIAGRA(登録商標)のような医薬品は勃起の開始および維持の様々な生理メカニズムにより主として働くが、本発明にしたがって使用されるテストステロンゲルは生理的に有益な役割を果たし、性的動機づけ(すなわち性欲)と性的遂行能力との両方を刺激する。テストステロンは一酸化窒素シンターゼ遺伝子の発現を調節する。Reillyら、「Androgenic Regulation of NO Availability in Rat Penile Erection」、18 J.ANDROLOGY 110(1997);Parkら、「Effects of Androgens on the Expression of Nitric Oxide Synthase mRNAs in Rat Corpus Cavernosum」、83 BJU INT’L.327(1999)を参照のこと。よって、テストステロンおよび他のアンドロゲンは勃起機能不全に明らかに役割を果たす。Luggら、「The Role of Nitric Oxide in Erectile Function」16 J.ANDROLOGY 2(1995);Pensonら、「Androgen and Pituitary Control of Penile Nitric Oxide Synthase and Erectile Function In the Rat」、55 BIOLOGY OF REPRODUCTION576(1996);Traishら、「Effects of Castration and Androgen Replacement on Erectile Function in a Rabbit Model」、140 ENDOCRINOLOGY 1861(1999)を参照のこと。さらに、テストステロン置換は一酸化窒素の活性を回復させる。Babaら、「Delayed Testosterone Replacement Restores Nitric Oxide Synthase Containing Nerve Fibres and the Erectile Response in Rat Penis」、BJU INT’L 953(2000);Garbanら、「Restoration of Normal Adult Penile Erectile Response in Aged Rats by Long−Term Treatment with Androgens」、53 BIOLOGY OF REPRODUCTION 1365(1995);Marinら、「Androgen−dependent Nitric Oxide Release in Rat Penis Correlates with Levels of Constitutive Nitric Oxide Synthase Isoenzymes」61 BIOLOGY OF REPRODUCTION 1012(1999)を参照のこと。 本明細書において開示したように、勃起にはテストステロンの十分な血中レベルが重要である。一実施形態では、AndroGel(登録商標)を実施例1にまとめたプロトコールにしたがって体に適用する。勃起機能不全用の医薬品を処方必要量にしたがって取り入れる。例えば、VIAGRA(登録商標)を性交20〜40分前に用量50mgで一般に取り入れる。この併用療法は、VIAGRA(登録商標)の効果および性体験を全体として最適化するためにテストステロンレベルの増加を必要とする性腺機能低下症の男性に特に有用である。本質において治療効果が得られる。定常レベルのテストステロンに達するように、AndroGel(登録商標)を十分な日数の間、体に適用することが好ましい。 本発明を以下の実施例によりさら例示するが、これらの実施例はいかなる点でも限定するものとして解釈してはならない。本出願にわたり引用されるすべての参照の内容はこれにより参照により明白に組み込まれている。本発明の実施は、別に示さない限り当分野の技術内に属する薬理学および製薬学の従来技術を採用する。 <実施例1> テストステロンゲル+シルデナフィルはシルデナフィル無反応者における性的遂行能力を改善する 本発明の一実施形態は、シルデナフィル単独を用いた勃起機能不全の治療に反応しない性腺機能低下症の男性に勃起反応を起こす方法として、シルデナフィルの経口服用と同時投与したテストステロンゲルの経皮適用を伴う。 本実施例では、勃起機能不全の治療においてシルデナフィル単独に反応しない性腺機能低下症の男性を採用し、米国の数か所のセンターで試験した。その試験はテストステロンゲル1%(Androgel(登録商標))およびプラセボゲルについての二重盲検とした。患者の平均年齢は58.5歳であった。患者の選択基準は、少なくとも過去3カ月間の勃起機能不全、安定した異性間関係への関与、シルデナフィル100mgに無反応(国際勃起機能スコア(IIEF)質問3および4のそれぞれでスコア2または3、下記参照)、および低レベルから正常内低レベルまでの血清中テストステロン(午前10時以前の採集で<400ng/dL)。IIEFは短時間で、信頼性が高く、自己管理された勃起機能の質問票であり、異文化間環境で患者における治療に関係した変化を検出するために利用される。IIEFは個体の性的遂行能力に向けた15個の質問から成る。各質問は6つの可能性のある答(0〜5、0は一般に遂行能力なしを示し、5は一般に徴候なしを示す)を含む。スコアの主成分分析に基づき、次の5つの因子または反応領域が識別される:(1)勃起機能(EF)、(2)オルガスム機能(OF)、(3)性欲(SD)、(4)性交の満足感(IS)、および(5)全般的満足感。 総計75人の患者を登録し、無作為化し、1日あたりAndrogel(登録商標)5.0g(1日あたりテストステロン50mgを皮膚に送達し、そのうち約10%、または5mgが吸収される)およびシルデナフィル100mg(性交の1時間前)を投与するか、または1日あたりプラセボゲル5.0gおよびシルデナフィル100mg(性交の1時間前)を投与した。対象は1日あたり5.0gのAndrogel(登録商標)またはプラセボゲルを肩、上腕、および/または腹部の清潔な乾いた皮膚に適用し、1日あたり100mgのシルデナフィルを経口摂取した。患者を12週間治療した。第4週の時点での対象67人に対する暫定的分析は、Androgel(登録商標)がシルデナフィルに対してEF、OF、およびOSの各領域、ならびにIIEF総スコアで示す反応が、プラセボゲルに比べて有意に改善したことを示した。第1の結果評価(primary outcome measures)は、IIEFの勃起機能領域におけるベースライン(BL)からの平均変化を含んでいた。第2の結果評価(secondary outcome measures)は、IIEFの残りの4つの領域および総スコアのそれぞれにおけるベースラインからの平均変化を含んでいた。安全性の評価は、身体検査、尿検査、PSA、生命徴候、臨床検査および有害事象を含んでいた。 以下の表にIIEFの結果評価をまとめる。 表6に示すように、テストステロンゲルを用いたテストステロン置換療法はシルデナフィルに対する勃起反応を改善する。同療法は、シルデナフィル単独を用いた以前の治療に失敗した、低レベルから正常内低レベルまでのテストステロンを有する男性における勃起機能不全の治療に利用されうる。AndroGel(登録商標)1%テストステロンゲル製剤が本研究に採用されたが、本発明はこの1つの実施形態のみに限定されない。他の実施形態は、本発明を達成するためにさらに大量または少量のアンドロゲン、透過促進剤および賦形剤を使用しうる。 引用されたすべての文献および参照はこれによって参照により本明細書に組み込まれている。本発明を特定の実施形態および実施例に関して記載したが、本発明の範囲を逸脱せずに本発明の概念を利用している他の実施形態が可能であると認識すべきである。本発明は、クレーム要件により、ならびに基礎になる原理の真の精神内および範囲内に属する任意およびすべての改造、変型、等価物により定義される。 雄性対象における性的遂行能力を改善する方法であって、 (a)薬理学的に有効量のテストステロン、透過促進剤、C1〜C4アルコール、およびゲル化剤を含み、水性アルコール性ゲル製剤を形成している医薬組成物を前記対象の皮膚に投与すること、ならびに (b)前記ゲル製剤の前記投与後に、前記対象に薬理学的に有効量のホスホジエステラーゼ阻害薬を投与すること を含む方法。 前記透過促進剤が少なくとも1つのC8〜C22脂肪酸を含む、請求項1に記載の方法。 前記脂肪酸が少なくとも炭素原子数12のアルキル鎖長を有する、請求項2に記載の方法。 前記アルコールがエタノール、2−プロパノール、n−プロパノール、またはその混合物のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。 前記阻害薬が1回用量で投与される、請求項1に記載の方法。 前記水性アルコール性ゲル製剤が1回用量または分割された用量で投与される、請求項1に記載の方法。 前記阻害薬が、前記水性アルコール性ゲル製剤の前記投与後約24時間以内に投与される、請求項1に記載の方法。 前記阻害薬が、III型ホスホジエステラーゼ阻害薬、IV型ホスホジエステラーゼ阻害薬、およびV型ホスホジエステラーゼ阻害薬から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。 前記阻害薬が、シルデナフィル、クエン酸シルデナフィル、ザプリナスト、MY5445、ジピリダモール、およびバルデナフィルから成る群、またはそれらの鏡像異性体、異性体、もしくは塩から選択されるV型ホスホジエステラーゼ阻害薬である、請求項8に記載の方法。 前記阻害薬が、約25mgから約200mgの量で投与されるクエン酸シルデナフィルである、請求項1に記載の方法。 クエン酸シルデナフィルが約25mg、50mg、または100mgの量で投与される、請求項10に記載の方法。 前記阻害薬が、経口、鼻腔内、吸入、非経口、および経皮から成る群から選択される経路を介して投与される、請求項1に記載の方法。 クエン酸シルデナフィルが約25mg、50mg、または100mgの量で経口投与される、請求項10に記載の方法。 クエン酸シルデナフィルが約10mg、20mg、または40mgの量で鼻腔内投与される、請求項12に記載の方法。 前記対象がテストステロンの定常状態ホルモンレベルに達する、請求項1に記載の方法。 前記対象が性腺機能低下症である、請求項1に記載の方法。 前記促進剤がミリスチン酸イソプロピルである、請求項1に記載の方法。 ミリスチン酸イソプロピルが、前記組成物の重量に対して約0.5、1、2、3、4、および5重量%から成る群から選択される濃度で存在する、請求項17に記載の方法。 ミリスチン酸イソプロピルが、前記組成物の重量に対して約0.5重量%の濃度で存在する、請求項18に記載の方法。 前記ゲル化剤が、ポリアクリル酸およびカルボキシメチルセルロースから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。 前記ゲル化剤が、前記組成物の重量に対して約1重量%の濃度で存在するポリアクリル酸である、請求項1に記載の方法。 前記アルコールが、前記組成物の重量に対して約72.5重量%の濃度で存在する、請求項1に記載の方法。 テストステロンが、前記組成物の重量に対して約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10重量%から成る群から選択される濃度で存在する、請求項1に記載の方法。 前記医薬組成物が水酸化ナトリウムをさらに含む、請求項1に記載の方法。 前記医薬組成物が、 (a)テストステロン約0.5%から約10%と、 (b)エタノールおよびイソプロパノールから成る群から選択されるアルコール約30%から約98%と、 (c)ミリスチン酸イソプロピル約0.1%から約5%と、 (d)水酸化ナトリウム約1%から約5%と、 (e)ゲル化剤約0.1%から約5%と を含み、成分の前記パーセントが前記組成物の重量に対する重量である、請求項1に記載の方法。 前記組成物が、単位量小包装および多回量小包装から成る群から選択される小包装中に含まれる、請求項1に記載の方法。 雄性対象における性的遂行能力を改善する方法であって、 (a)薬理学的に有効量のテストステロン、透過促進剤、C1〜C4アルコール、およびゲル化剤を含み、水性アルコール性ゲル製剤を形成している医薬組成物を前記対象の皮膚に投与すること、ならびに (b)前記ゲル製剤の投与後に、前記対象に勃起機能不全治療用の薬剤を投与すること を含む方法。 前記透過促進剤が少なくとも1つのC8〜C22脂肪酸を含む、請求項27に記載の方法。 前記脂肪酸が少なくとも炭素原子数12のアルキル鎖長を有する、請求項28に記載の方法。 前記アルコールがエタノール、2−プロパノール、またはn−プロパノール、およびその混合物のうち少なくとも1つを含む、請求項27に記載の方法。 勃起機能不全治療用の前記薬剤が1回用量で投与される、請求項27に記載の方法。 前記水性アルコール性ゲル製剤が1回用量または分割された用量で投与される、請求項27に記載の方法。 勃起機能不全治療用の前記薬剤が、前記水性アルコール性ゲル製剤の前記投与後約24時間以内に投与される、請求項27に記載の方法。 勃起機能不全治療用の前記薬剤が、ペントキシフィリン、ヨヒンビン、アポモルヒネ、アルプロスタジル、パパベリン、およびフェントラミンから成る群、またはその組合せ、塩、誘導体もしくは鏡像異性体から選択される、請求項27に記載の方法。 勃起機能不全治療用の前記薬剤が、約2mgから約3mgの量で経口投与されるアポモルヒネである、請求項34に記載の方法。 勃起機能不全治療用の前記薬剤が、経口、鼻腔内、吸入、非経口、および経皮から成る群から選択される経路を介して投与される、請求項27に記載の方法。 前記対象がテストステロンの定常状態ホルモンレベルに達する、請求項27に記載の方法。 前記対象が性腺機能低下症である、請求項27に記載の方法。 前記促進剤がミリスチン酸イソプロピルである、請求項27に記載の方法。 ミリスチン酸イソプロピルが、前記組成物の重量に対して約0.5、1、2、3、4、および5重量%から成る群から選択される濃度で存在する、請求項39に記載の方法。 ミリスチン酸イソプロピルが、前記組成物の重量に対して約0.5重量%の濃度で存在する、請求項40に記載の方法。 前記ゲル化剤が、ポリアクリル酸およびカルボキシメチルセルロースから成る群から選択される、請求項27に記載の方法。 前記ゲル化剤が、前記組成物の重量に対して約1重量%の濃度で存在するポリアクリル酸である、請求項27に記載の方法。 前記アルコールが、前記組成物の重量に対して約72.5重量%の濃度で存在する、請求項27に記載の方法。 テストステロンが、前記組成物の重量に対して約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10重量%から成る群から選択される濃度で存在する、請求項27に記載の方法。 前記医薬組成物が水酸化ナトリウムをさらに含む、請求項27に記載の方法。 前記医薬組成物が、 (a)テストステロン約0.5%から約10%と、 (b)エタノールおよびイソプロパノールから成る群から選択されるアルコール約30%から約98%と、 (c)ミリスチン酸イソプロピル約0.1%から約5%と、 (d)水酸化ナトリウム約1%から約5%と、 (e)ゲル化剤約0.1%から約5%と を含み、成分の前記パーセントが前記組成物の重量に対する重量である、請求項27に記載の方法。 前記組成物が、単位量小包装および多回量小包装から成る群から選択される小包装中に含まれる、請求項27に記載の方法。 本発明は、水性アルコール性経皮テストステロンゲル製剤に関し、このゲルは皮膚刺激をほとんどまたはまったく有さずに、とりわけホルモンの望ましい薬物動態プロフィールをもたらすことにより、他のテストステロン送達メカニズムに付随する問題を克服している。さらに、このゲルは、VIAGRA(登録商標)のような勃起機能不全の治療を目的とする医薬品の有効性を増強するために、その医薬品と共に使用される。