タイトル: | 特許公報(B2)_運動能力のためのACTN3遺伝子型スクリーニング |
出願番号: | 2004534867 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | C12Q 1/68,A63B 69/00,C12N 15/09,G01N 33/53 |
キャサリン・ナンス・ノース JP 5523649 特許公報(B2) 20140418 2004534867 20030915 運動能力のためのACTN3遺伝子型スクリーニング ジェネティック テクノロジーズ リミテッド 503009948 村山 靖彦 100108453 志賀 正武 100064908 渡邊 隆 100089037 実広 信哉 100110364 キャサリン・ナンス・ノース AU 2002951411 20020916 20140618 C12Q 1/68 20060101AFI20140529BHJP A63B 69/00 20060101ALI20140529BHJP C12N 15/09 20060101ALI20140529BHJP G01N 33/53 20060101ALI20140529BHJP JPC12Q1/68 AA63B69/00 CC12N15/00 AG01N33/53 D C12N15/00-15/90 PubMed JSTPlus/JST7580(JDream2) Nature Genetics,1999年,vol.21,pp.353−354 The American Journal of Sports Medicine,1984年,vol.12,no.3,pp.212−217 European Journal of Human Genetics,2001年,vol.9,pp.797−801 Medicine & Science in Sports & Exercise,2000年,vol.32,pp.1709−1712 生化学辞典第3版,株式会社東京化学同人,1998年,pp.830−831 17 AU2003001202 20030915 WO2004024947 20040325 2005538710 20051222 35 20060825 2011011055 20110525 鈴木 恵理子 田中 晴絵 高堀 栄二 本願は、2002年9月14日に出願されたオーストラリア国仮特許出願第2002951411号の利益を主張する。 本発明は、個体の成功の機会を増大するために、スポーツまたはスポーツ競技(例えば、短距離/パワースポーツまたは持久力スポーツ)を個体に対して選択するかまたは適合させるための方法、個体の訓練プログラムを最適化するための方法、および個体の運動能力を予測するための方法に関する。本発明の特定の実施形態は、潜在的運動能力と相関する特定の遺伝子またはその遺伝子における変化を同定することに関する。より詳細には、本発明は、骨格筋タンパク質であるα-アクチニン-3(ACTN3)をコードする遺伝子に関して個体を遺伝子型決定する方法に関する。特定の実施形態において、ACTN3遺伝子型は、一塩基多型(SNP)部位1747 C>Tについて決定される。 運動能力について増大しつつある競争的な環境において、エリート運動選手になる潜在能力を有する人が人生のより初期において同定されて、彼らの努力において有利なスタートを可能にし、彼らのピークの能力に達することを確実にする才能調査プログラムが増えている。これらの才能調査プログラムは、現在、実際の運動能力データおよび着手される訓練の型によって決定される表現型的予測因子、ならびに特定のスポーツからの可能性のある必要性に基づいている。現在の訓練プログラムおよび才能調査判断基準の両方の1つの弱点は、個体が、彼/彼女の潜在的運動能力にすでに達したか否かを決定することができないこと、およびしたがって、さらなる訓練に最適に応答する見込みがないことである。 現在の才能調査プログラムの別の弱点は、大きな地理的な領域における比較的小さな集団の基礎を有する国々において特に関連性があり、この弱点とは選択のための機会である。スポーツ機関および指導機関への広範なアクセスを有する環境において育成された個体はより成功を達成する可能性があり、それゆえに、比較的隔離された地域に住んでいるか、またはさもなくば恵まれない背景を有する潜在能力を有するかもしれない若い個人よりも、コーチおよび才能スカウトの注意を引く可能性が高い。同様に、漕艇のようなより目立たないスポーツに秀でている潜在能力を有する個体は、単にこれらのスポーツプログラムが大多数の学校において利用されることが少ないという理由で見落とされ得る。重ねて、これは、初期の同定および参加の機会を減少させ、続いてコーチおよび才能スカウトによって見落とされることをもたらす。これらは、Australian Institute of Sport(AIS)のようなスポーツ組織が直面するジレンマである。なぜなら、潜在的なエリート運動選手は、好ましくは若い年代で選択され、かつ関連する訓練プログラムに導かれるからである。 特定の生理学的形質に対する遺伝子型または遺伝子型マーカーの連鎖または関連が、エリート運動選手における能力に寄与し得るか、または能力を低下させ得る可能性が存在する。このような方法は、エリート運動選手の潜在能力を有する個人の選択において補助するためのDNAスクリーニングの開発を可能にし得る。このようなスクリーニングは、現在の才能調査プログラムの選択制限のいくつかを克服する際に補助となり得る。さらに、このようなスクリーニング方法は、誰にまたはいつ、おそらく小さいが決定的な違いが個人の訓練プログラムにおいてなされるべきであるかを認識する際に補助となり得る。α-アクチニンはジストロフィンおよびスペクトリンに関連するアクチン結合タンパク質のファミリーである(Blanchard,A.ら、Journal of Muscle Research & Cell Motility、10、280-289、1989)。骨格筋においては、α-アクチニン-2およびα-アクチニン-3のファミリーメンバーが筋節Z線の主要な構造成分であり、ここではこれらは構成的な様式で、アクチンを含有する薄いフィラメントをアンカーするように機能する(Beggs,A.H.ら、 Journal of Biological Chemistry、267、9281-9288、1992)。しかし、最近の研究は、骨格筋におけるα-アクチニンのさらなる役割を示唆している。 筋節α-アクチニンは、他の薄いフィラメントおよびZ線タンパク質(ネブリン、ミオチリン、CapZ、およびミオゼニンを含む(Nave,R.ら、FEBS Letters、269、163-166、1990、Papa,I.ら、Journal of Muscle Research & Cell Motility、20、187-197、1999、およびSalmikangas,P.ら、Human Molecular Genetics、8、1329-1336、1999))、中間体フィラメントタンパク質、シネミンおよびビンクリン(Bellin,R.M.ら、 Journal of Biological Chemistry、274、29493-29499、1999、およびMcGregor,A.ら、Biochemical Journal、301、225-233、1994)、ならびに筋線維膜タンパク質、ジストロフィンおよびβ1インテグリン(Hance,J.E.ら、 Archives of Biochemistry & Biophysics、365、216-222、1999、およびOtey,C.A.ら、Journal of Biological Chemistry、268、21193-21197、1993)に結合することが見い出された。これらの結合研究は、α-アクチニンが薄いフィラメント組織化および筋節細胞骨格と筋膜の間の相互作用において役割を果たすことを示唆する。さらに、筋節α-アクチニンは、ホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸(Fukami,K.ら、Journal of Biological Chemistry、269、1518-1522、1994)、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(Shibasaki,F.ら、 Biochemical Journal、302、551-557、1994)およびPDZ-LIMアダプタータンパク質(Pomies,P.ら、Journal of Cell Biology、139、157-168、1997、およびPomies,P.ら、Journal of Biological Chemistry、274、29242-29250)に結合し、このことは、筋線維分化および/または収縮の調節における役割を示唆する。 ヒトにおいては、α-アクチニン-2遺伝子、ACTN2がすべての骨格筋線維において発現されるのに対して、α-アクチニン-3をコードするACTN3の発現は2型(速)線維のサブセットに限定される(North,K.N.ら、Nature Genetics、21、353-354、1999)。最近、一定の範囲のヒト集団中の個体の〜18%でα-アクチニン-3が存在しないこと、および早すぎる終止コドン577Xについてのホモ接合性が今日までに同定されたすべての場合の真のα-アクチニン-3欠損状態を説明することが実証された。さらなる多型(523R)は577Xとの連鎖不均衡を生じるが、577Rとの共役においてヘテロ接合性状態で発現された場合には有害な効果を発揮しないように見える。さらに、α-アクチニン-3の不存在は、明白な疾患表現型とは関連性がなく、このことは、ACTN3がヒトにおいては冗長であることを示唆する(North,K.N.ら、Nature Genetics 21:353-354、1999)。 2つの遺伝子が重複機能を行いその結果その遺伝子の一方の不活性化が表現型にほとんど効果を有しないか、または効果を有しない場合に、機能的冗長性が存在する(Nowak,M.A.ら、Nature、388、167-171、1997に概説されている)。ヒト骨格筋においては、α-アクチニン-2発現がα-アクチニン-3と完全に重複している。ACTN2およびACTN3はまた、80%同一でありかつ90%類似であり(Beggs,A.H.ら、1992、前出)、そしてα-アクチニン-2およびα-アクチニン-3はインビトロおよびインビボでヘテロ二量体を形成することができ、このことは、2つの骨格筋α-アクチニンアイソフォームの間の構造的な類似性、およびこれらの間の有意な機能的な違いの欠如を示唆する(Chan,Y.ら、Biochemical & Biophysical Research Communications、248、134-139、1998)。α-アクチニン-2がヒトにおける2型(速)線維中のα-アクチニン-3の不存在を補償することができることが仮定されている。Blanchard,A.ら、Journal of Muscle Research & Cell Motility、10、280-289、1989Beggs,A.H.ら、Journal of Biological Chemistry、267、9281-9288、1992Nave,R.ら、FEBS Letters、269、163-166、1990Papa,I.ら、Journal of Muscle Research & Cell Motility、20、187-197、1999Salmikangas,P.ら、Human Molecular Genetics、8、1329-1336、1999Bellin,R.M.ら、Journal of Biological Chemistry、274、29493-29499、1999McGregor,A.ら、Biochemical Journal、301、225-233、1994Hance,J.E.ら、Archives of Biochemistry & Biophysics、365、216-222、1999Otey,C.A.ら、Journal of Biological Chemistry、268、21193-21197、1993Fukami,K.ら、Journal of Biological Chemistry、269、1518-1522、1994Shibasaki,F.ら、Biochemical Journal、302、551-557、1994Pomies,P.ら、Journal of Cell Biology、139、157-168、1997Pomies,P.ら、Journal of Biological Chemistry、274、29242-29250North,K.N.ら、Nature Genetics 21:353-354、1999Nowak,M.A.ら、Nature、388、167-171、1997Chan,Y.ら、Biochemical & Biophysical Research Communications、248、134-139、1998Reiderら、「Sequence variation in the human angiotensin converting enzyme」Nat Genet、1999 第22巻、59-62頁Gayagayら、1998「Elite endurance athletes and the ACE I allele;the role of genes in athletic performance」Hum Genet 103:48-50Montgomeryら、1998 Human gene for physical performance.Nature 393:221-222Myersonら、1999 Human angiotensin I-converting enzyme gene and endurance performance.J Appl Physiol 87:1313-1316Nazarovら、2001 The angiotensin converting enzyme I/D polymorphism in Russian athletes Eur J Hum Genet 9:797-801Myersonら、1999 Human angiotensin I-converting enzyme gene and endurance performance.J Appl Physiol 87:1313-1316Nazarovら、2001 The angiotensin converting enzyme I/D polymorphism in Russian athletes Eur J Hum Genet 9:797-801Woodsら、2001 Elite swimmers and the D allele of the ACE I/D polymorphism.Hum Genet 108:230-232Garlandら、1990「Heritability of locomotor performance and its correlates in a natural population」Experientia 46:530-533Van Dammeら、2002 Performance constraints in decathletes.Nature 415:755-756Rankinenら、2002、「The human gene map for performance and health-related fitness phenotypes:the 2001 update」Med.Sci.Sports Exerc.34:1219-33Perusseら、2003、「The human gene map for performance and health-related fitness phenotypes;the 2002 update」Med.Sci.Sports Exerc.35:1248-1264Millsら、Differential Expression of the Actin-binding Proteins,α-actinin-2 and -3,in Different Species:Implications for the Evolution of Functional Redundancy」2001 Hum Mol Gene 13:1335-1346Ellisら、 Characterization of the Equine Angiotensin-converting Enzyme」第7回World Congress on Genetics Applied to Livestock Production、2002年8月19-23日、Montpellier、France Session 05.Horse breeding Abstract of N゜05-07 GENE.N:A.I.Tammen、F.W.NicholasおよびH.W.Raadsma.ReproGen、University of Sydney、Camden、AustraliaEizamaら、Differential Expression of Equine Myosin heavy-chain mRNA and Protein Isoforms in a Limb muscle」J Histochem 2003年9月;51(9):1207-1216米国特許出願シリアル番号801274、公開番号20020032319米国特許第5,952,174号米国特許第5,919,626号Guide to Molecular Cloning Techniques、BergerおよびKimmel編、Academic Press、New York、NY、1987Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Sambrook、Fritsch およびManiatis編、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NY、1989米国特許第4,683,195号米国特許第4,683,202号米国特許第4,800,159号WO 90/07641米国特許第4,883,750号Walkerら、Proc.Nat'l Acad.Sci.USA 89:392-396、1992GB出願第2 202 328PCT出願PCT/US89/01025Kwohら、Proc.Nat'l.Acad,Sci.USA 86:1173(1989)Gingerasら、PCT出願WO 88/10315Daveyら、欧州出願第329 822号Frohman,M.A.、PCR PROTOCOLS:A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS、Academic Press、N.Y.(1990)Oharaら、Proc.Nat'l Acad.Sci.USA、86:5673-5677(1989)Wuら、Genomics 4:560 1989米国特許第5,297,721号米国特許第5,206,347号North,K.N.ら、Neuromuscular Disorders、6、229-235、1996HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988Rankinenら、2002「The human gene map for performance and health-related fitness phenotypes:the 2001 update」Med Sci Sports Exerc 34:1219-1233FridenおよびLieber 2001、「Eccentric exercise-induced injuries to contractile and cytoskeletal muscle fiber components Acta Physiol Scand 171:321-326」 ヒトにおけるACTN3およびACTN2の見かけの機能的冗長性にもかかわらず、エリートオーストラリア人運動選手および著名なコーカソイドの短距離選手(特に短距離走選手、水泳選手、自転車競技選手)のプールの遺伝子型スクリーニングは、全体のオーストラリア人コーカソイド集団と比較して、ACTN3の早すぎる終止コドン577X変異について、非常に低い頻度のホモ接合性を示した(すなわち、ACTN3ヌル変異、577XX)。それゆえに、ACTN3遺伝子型についてのスクリーニングは、短距離型スポーツおよび競技においてエリート運動能力の潜在能力を有する若い個体の選択において顕著な補助を提供すると見なされる。また、遺伝子型スクリーニングは、577XX遺伝子型の頻度が、コーカソイドエリート持久力運動選手において比較的高いことを示した。このように、ACTN3 577XX遺伝子型についてのスクリーニング手順はまた、持久力スポーツおよび競技においてエリート運動能力について潜在能力を有する若い個体を同定する際に補助を提供し得る。 本発明は、潜在的運動能力について個体をスクリーニングするためのインビトロ方法を提供することによって当該分野における必要性を解決する。1つの実施形態において、個体の遺伝子型は、遺伝子ACTN3について決定され得る。別の実施形態において、mRNAまたはタンパク質が2型骨格筋から単離され、ACTN3の存在の有無について分析される。別の実施形態において、個体は血液試料または頬側スワブ試料からDNAを単離することによって同定され、そしてそのDNAが増幅されかつACTN3遺伝子中の早すぎる終止コドン(577X)の存在の有無について分析される。他の実施形態は、ACTN3のスクリーニングを、他の遺伝的試験および生理学的試験と組み合わせることによって、潜在的運動能力について個体をスクリーニングするための方法を提供する。さらに、記載される方法は、遺伝的評価、生理学的試験、身体的測定、および/または心理学的評価によって、個々の運動選手により良好に適合する訓練プログラムを開発することを提供する。 別の実施形態において、本発明は、エリート潜在的運動能力について個体をスクリーニングすることを提供し、その方法は、例えば、個体から適切な筋肉細胞試料を入手すること、および試料中のα-アクチニン-3タンパク質および/またはそのタンパク質をコードするメッセンジャーRNAを検出することによって実行される。 本発明の特定の実施形態は、特定の表現型の存在の有無を予測する方法に関する。この方法は、個体からの核酸試料を入手する工程、および本明細書中に記載される核酸分子の特定の(例えば、多型の)部位において1つまたは複数の塩基(ヌクレオチド)の同定を決定する工程を包含し、ここで、その部位における特定の塩基の存在は、特定の表現型と相関し、それによって、個体における表現型の存在、不存在、または存在もしくは不存在の可能性を予測する。 以下の図面は本明細書の一部を形成し、かつ本発明の特定の局面をさらに実証するために含められる。本発明は、本明細書中に提示される特定の実施形態の詳細な記載と組み合わせるこれらの図面の1つまたはそれ以上への言及によってより良好に理解され得る。定義 本明細書中で使用される場合、「a」または「an」は1つまたはそれ以上を意味し得る。本明細書中、特許請求の範囲で使用される場合、語「含む」と組み合わせて使用されるときには、語「a」または「an」は1または1より多くを意味し得る。本明細書中で使用される場合、「別の」は少なくとも第2のまたはそれ以上を意味し得る。 「エリート運動選手」またはその異形は、持久力、速さ、および/または強さによって、まさに最高のレベルで実行する(例えば、その結果、彼らがそれらのスポーツにおいて州レベル、国レベル、および/または国際的なレベルで競争できる)運動選手をいう。 本明細書中で使用される場合、用語「SNP」または「一塩基多型」とは、生物(例えば、ヒト)のゲノムにおける特定の位置での単一の塩基変化をいう。 以下の節において、例えば、方法のいくつかの実施形態が本発明の種々の実施形態を例示するために記載される。しかし、種々の実施形態を実施することが、本明細書中に概説されるすべてまたはいくつかの特定の詳細でさえの利用も必要とはしないことは当業者には明らかである。ある場合において、周知の方法または成分は記載の中に含まれていない。 運動能力の潜在能力について個体をスクリーニングするための方法および組成物が開示される。本発明の1つの実施形態において、ACTN3タンパク質および/またはmRNAの存在の有無について個体をスクリーニングするための方法が開示される。本発明の別の実施形態において、ACTN3遺伝子型のバリエーションの存在の有無について個体をスクリーニングする方法が開示される。本発明の別の実施形態において、特定のACTN3遺伝子型、例えば、577RR、577XR、または577XXの存在の有無について個体をスクリーニングする方法が開示される。ACTN3タンパク質の同定は、タンパク質レベルを直接的に測定すること、またはタンパク質レベルを間接的に測定すること(例えば、抗体など)によって達成され得る。ACTN3多型および他の遺伝的変異 ヒトにおける一般的な多型が、2型(速)線維においてのみ存在する骨格筋タンパク質α-アクチニン-3(ACTN3)をコードする遺伝子中で同定された。可能性のある3つの遺伝子型577RR(野生型-α-アクチニン-3を発現する)、577RX(ヘテロ接合性-α-アクチニン-3が存在する)、および577XX(ホモ接合性ヌル-α-アクチニン-3が骨格筋中に存在しない)が同定された。対立遺伝子頻度は異なる人種グループにおいて変動する(すなわち、約18%のコーカソイドは、アフリカのズールー族の〜1%と比較してα-アクチニン-3が欠損している)(表3を参照されたい)。西アフリカ人およびアメリカ黒人は?。以下の実施例において議論されるように、コーカソイドのエリート短距離競技/パワー競技の運動選手において、577XX遺伝子型の頻度は非常に低い。したがって、ACTN3 577RR遺伝子型についてのスクリーニング手順は、短距離またはパワー型のスポーツおよび競技におけるエリート運動能力のための潜在能力を有する、例えば若いコーカソイド個体を同定する際の補助を提供し得る。対照的にコーカソイドのエリート持久力運動選手において、577XX遺伝子型の頻度は比較的高い。したがって、ACTN3 577XX遺伝子型のスクリーニング手順はまた、持久力スポーツおよび競技におけるエリート運動能力のための潜在能力を有する、例えば若いコーカソイド個体を同定する際の補助を提供し得る。さらに、表6は異なるヒト集団におけるACTN3 577R/X対立遺伝子の遺伝子型および対立遺伝子頻度を例証する。表6および表2において、スクリーニングされたアフリカ黒人(すなわち、ズールー族)は極度に少ない数の577XX個体を有する。したがって、アフリカ黒人集団(および、おそらく関連する西アフリカ人およびアメリカ黒人)においてACTN3をスクリーニングして577XX遺伝子型を検出することは、持久力の潜在能力を有する個体を同定する際に有用であると立証され得る。1つの実施形態において、単独でまたは別のスクリーニング方法と組み合わせた、ACTN3対立遺伝子(例えば、577R、577X)のスクリーニングのための方法は、エリート短距離競技/パワー競技の潜在能力を有する若い個体(例えば、トラック短距離走選手、短距離競泳選手、およびトラック自転車競技選手)を選択するために使用され得るか、または少なくともその選択において補助し得る。 他の遺伝子もまた、短距離競技/パワー競技および/または持久力競技の運動能力に対する有益な効果を有し得る。例えば、アンギオテンシン変換酵素(ACE)は2つの対立遺伝子、IおよびDを有し、これらは運動能力に効果を有することが報告されている。I対立遺伝子は、血清および組織の両方におけるより低いACE活性と関連している(Reiderら、「Sequence variation in the human angiotensin converting enzyme」Nat Genet、1999 第22巻、59-62頁)。エリート持久力運動選手においてI対立遺伝子の頻度の増加が存在することが報告されている(Gayagayら、1998「Elite endurance athletes and the ACE I allele;the role of genes in athletic performance」Hum Genet 103:48-50;Montgomeryら、1998 Human gene for physical performance.Nature 393:221-222;Myersonら、1999 Human angiotensin I-converting enzyme gene and endurance performance.J Appl Physiol 87:1313-1316;Nazarovら、2001 The angiotensin converting enzyme I/D polymorphism in Russian athletes Eur J Hum Genet 9:797-801)。逆に、ACE D対立遺伝子の頻度の増加は、エリート短距離運動能力と関連していた(Myersonら、1999 Human angiotensin I-converting enzyme gene and endurance performance.J Appl Physiol 87:1313-1316;Nazarovら、2001 The angiotensin converting enzyme I/D polymorphism in Russian athletes Eur J Hum Genet 9:797-801;Woodsら、2001 Elite swimmers and the D allele of the ACE I/D polymorphism.Hum Genet 108:230-232)。 ヒトおよび他の脊椎動物における身体的能力の進化に対して制限を課す短距離競技の特質と持久力競技の特質との間の矛盾が存在するという可能性がある (Garlandら、1990「Heritability of locomotor performance and its correlates in a natural population」Experientia 46:530-533)。このことは、国際的レベルの10種競技の選手からのデータによって支持されており、これは、100m走、砲丸投げ、走り幅跳び、および110mハードル(瞬発力および速く疲労しやすい筋線維に依存する)における能力が、1,500mレース(持久力および疲労抵抗性の遅い線維活性を必要とする)における能力と負に相関することを実証する(Van Dammeら、2002 Performance constraints in decathletes.Nature 415:755-756)。このことは、個体がこれらの2つの領域(短距離/パワー対持久力)の一方のみにおいて専門家としての能力を有する素因があり得ることを示唆する。本発明の特定の実施形態において、ACTN3についてのスクリーニング試験は、他の性能に関連する遺伝子についての1つまたはそれ以上の遺伝的試験と組み合わせられ得る。このような試験には、短距離能力/パワーパフォーマンスおよび/または持久力能力と関連する当該分野で公知の任意の遺伝子が含まれ得る(例えば、Rankinenら、2002、「The human gene map for performance and health-related fitness phenotypes:the 2001 update」Med.Sci.Sports Exerc.34:1219-33;Perusseら、2003、「The human gene map for performance and health-related fitness phenotypes;the 2002 update」Med.Sci.Sports Exerc.35:1248-1264、これらの全体は参照として本明細書に組み入れられる)。 2つの報告(Rankinenら、2002;Perusseら、2003)は、身体能力および健康関連フィットネス表現型の研究の結果を要約した。ヒトの身体能力および健康関連フィットネス遺伝子マップは2002年の論文の図1として示される。このマップは運動関連表現型との関連または連鎖を示したすべての遺伝子エントリーおよびQTL(量的形質座位)を含む。染色体およびそれらの領域は、ヒトゲノムウェブサイトの遺伝子マップ、the National Center for Biotechnology Information(NCBI)、National Institutes of Health、Bethesda、MDからである。ACTN3スクリーニングと組み合わせる潜在的な用途の遺伝子の遺伝子座の略語およびフルネームは表4に要約される。1つの実施形態において、表4において参照される1つまたはそれ以上の遺伝子の分析は、個体のエリート潜在的運動能力を予測するためにその個体のACTN3遺伝子の評価と組み合わせて使用され得る。 表5は、持久力運動選手と座業の対照との間のADRA2A(α-2A-アドレナリン作動性レセプター)遺伝子およびACE(アンギオテンシン1変換酵素)遺伝子の対立遺伝子および遺伝子型の頻度の研究(Perusseら、2003)を要約する。表5は、持久力運動選手と座業の対照との間の違いを例証する。本発明の1つの実施形態において、潜在的なエリート運動選手のACTN3遺伝子型の試験は、個体の潜在的運動能力をより正確に予測するために、ADRA2A遺伝子型および/またはACE遺伝子型のいずれかの評価と組み合わせ得る。別の実施形態において、運動選手のACTN3遺伝子型の評価は、運動選手のための訓練をカスタマイズするために、ADRA2A遺伝子型および/もしくはACE遺伝子型のいずれかの評価、ならびに/または他の生理学的評価(例えば、最大酸素有効量など)と組み合わせ得るACTN3およびACTN2の進化的分岐 非ヒト霊長類の遺伝子型決定から、577Xヌル変異がヒトにおいて生じたらしいことが示される。マウスゲノムは、4つのヒト遺伝子について進化的に保存された領域にすべてがマッピングされる4つのオルトログを含む。マウスACTN2およびACTN3は、胚発生の間、空間的および時間的に差示的に発現され、そしてヒトとは対照的に、α-アクチニン-2発現は、出生後骨格筋において、α-アクチニン-3とは完全には重複せず、このことは独立した機能を示唆する。さらに、ヒト、マウス、およびニワトリのα-アクチニン遺伝子の比較は、ACTN3が長い進化の時間の間にわたって保存されてきたことを実証し、この遺伝子の継続した機能によって課せられた進化の割合に対する制限を暗示する。これらの観察は、遺伝的冗長性の理論的モデルを試験するための真の枠組みを提供する。これらがヒト集団ならびに他の動物に適用されるからである(Millsら、Differential Expression of the Actin-binding Proteins,α-actinin-2 and -3,in Different Species:Implications for the Evolution of Functional Redundancy」2001 Hum Mol Gene 13:1335-1346)。 577X対立遺伝子(および523R対立遺伝子、これは577Xと強力な連鎖不均衡を生じる)の起源を決定するために、36例の関連性のないヒヒ(ヒト系統から25×106年前に分岐した)および33例の関連性のないチンパンジー(ヒト系統から5×106年前に分岐した)が遺伝子型決定された。69例すべての非ヒト霊長類は、エキソン15(523Q)および16(577R)において「野生型」対立遺伝子についてホモ接合性であった。このことは、多型がヒトおよびチンパンジーの系統の分離後に生じたこと、ならびにこれらは非ヒト霊長類において非常に低い頻度を有することを示唆する(Millsら、2001)。 マウスについては、マウスのACTN2およびACTN3の間の類似性はヒトのACTN2およびACTN3の間の類似性と同じであり、すなわち、88%類似であり79%同一である。マウスタンパク質は同一線上にあり、ヒトタンパク質と同じ機能的ドメイン-N末端アクチニン結合ドメイン、4つの中心反復ドメイン、およびC末端EFハンドを有する(Millsら、2001)。 ニワトリにおいて1つのみの骨格筋ACTN遺伝子が存在するのに対して、マウスゲノムは、4つのヒト遺伝子についての進化的に保存されたシンテニー領域にすべてマッピングされる4つのオルトログを含む。マウスとヒトの間のACTN2およびACTN3の配列比較は、α-アクチニンの進化が他の遺伝子と比較してゆっくりとしていたことを示唆する。ACTN3における低い割合の置換は、この遺伝子における固有の低い変異の割合に起因するのではないらしい。 他の哺乳動物(例えば、ウサギおよびブタ)においては、速-筋肉特異的および遅-筋肉特異的なα-アクチニンのアイソフォームもまた存在するが、原因の遺伝子は単離されていない。しかし、2つの筋節α-アクチニン遺伝子の存在は哺乳動物に制限され得る。 哺乳動物においてはこの遺伝子の両方のコピーが残っており、ヒトおよびマウスのACTN2およびACTN3の配列の比較は、これらの遺伝子が哺乳動物の進化を通して高度に保存されてきたことを示す(Millsら、2001)。エリート運動能力およびウマ ウマは、ある種のイヌおよびラクダ以外では、その運動能力のために飼育され、管理され、または売買される、非常にまれな動物の1つであり、それゆえに、運動能力と相関する遺伝子発現を研究するための別のモデルである。例えば、種を通しての、潜在的運動能力のためのヒトにおける運動能力マーカーであるACTN3、およびACTN遺伝子の保存が以前に実証された。等価な遺伝子はウマにおいてまだ同定されていないが、ACTN3のような遺伝子がウマにおいて存在するが、検出から逃れている可能性は高い。本発明の特定の実施形態において、ウマがACTN3様遺伝子についてスクリーニングされ得る。他の実施形態において、競走馬(例えば、ダービーにおいて競争するように訓練されたウマ)が、ACTN-3様遺伝子についてスクリーニングされ得る。あるいはまた、莫大な力を伴う短距離競技に必要とされるウマ(例えば、ポロ競技用ポニーおよび樽競争用のウマ)もまた、ACTN-3様遺伝子の差示的な発現についてスクリーニングされ得る。短距離競技用のウマは、持久力のあるウマとはわずかに異なる遺伝子を発現する可能性があり、それゆえに、ACTN3様遺伝子の分析は、ウマにおけるエリート潜在的運動能力の指標であり得る。ヒトの運動選手において見られるものと同様に、遺伝子のわずかな変化についてのスクリーニング(例えば、特定のヌクレオチド配列の存在の有無(例えば、SNP部位、欠失、もしくは挿入))は、ウマのような動物におけるエリート潜在的運動能力の価値ある指標であり得る。ACTN3様遺伝子は、他の種においてACTN3と同じ機能を有する遺伝子であり、および/またはこれはACTN3遺伝子と配列類似性を有する。 以前の研究は、ウマのアンギオテンシン変換酵素遺伝子がウマにおいて運動能力のための理想的な候補遺伝子であり得ることを示す。この遺伝子のヒト変異型は、エリート持久力運動選手の運動能力の増大および訓練に対する同化作用的応答の増大と関連する多型マーカーを含む(Ellisら、 Characterization of the Equine Angiotensin-converting Enzyme」第7回World Congress on Genetics Applied to Livestock Production、2002年8月19-23日、Montpellier、France Session 05.Horse breeding Abstract of N゜05-07 GENE.N:A.I.Tammen、F.W.NicholasおよびH.W.Raadsma.ReproGen、University of Sydney、Camden、Australia)。今日まで、ACE発現およびエリート運動能力のウマにおける相関は成功していない。他の研究はウマ中殿筋におけるミオシン重鎖遺伝子(MyHC)の研究を含み、ここでミオシン重鎖遺伝子(MyHC)の差示的な発現が子馬において同定されたが、運動能力とこの遺伝子の存在の有無との直接的な相関は、まだ運動能力と相関付けられていない(Eizamaら、Differential Expression of Equine Myosin heavy-chain mRNA and Protein Isoforms in a Limb muscle」J Histochem 2003年9月;51(9):1207-1216)。 ACTN-3様遺伝子ならびに他の生理学的および遺伝的パラメーターの分析が早期の年齢のウマのエリート運動能力により正確にアクセスするためにウマにおいて測定され得ることが意図される。より満足できる遺伝子一致を同定するために、繁殖目的でのためにウマを使用する前に、ウマがあらかじめスクリーニングされ得ることが意図される。さらに、子宮内の子馬が、それが生まれる前に子馬の潜在的運動能力を評価するためにスクリーニングされ得ることが可能である。このようなスクリーニングから生じる情報は、ウマ(ラクダ、イヌ)の飼育者および投資者に莫大な量の時間および資金を節約させ、ならびに発生の初期の段階での動物の潜在能力を同定する。ヒトの場合と同様に、ウマの遺伝子型スクリーニングから生じる情報ならびに他のパラメーター(血統など)は、潜在的なエリート競技動物を同定すること、および/または特定の動物(例えば、ポロ競技用ポニー)のためのより良好な訓練を設計することを補助し得る。一塩基多型(SNP) 本発明の種々の実施形態は、多型または遺伝的変異(例えば、SNP)と表現型との間の相関を決定するための方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する:a)被験体の表現型を決定するため、および多型を検出する検出アッセイのために、1つまたはそれ以上の被験体からの試料;おそらく、1つまたはそれ以上の被験体からの医学的記録を提供する工程;b)試料を、少なくとも1つの多型の存在の有無が明らかになるような条件下で検出アッセイに曝露する工程;およびc)少なくとも1つの多型と被験体の表現型との間の相関を決定する工程。 関心対象の領域における核酸(例えば、関心対象の遺伝的変異を含む領域)が、任意の適切な方法を使用してアッセイされ得、これには、放射活性マーカーヌクレオチドを使用するマニュアル配列決定、または自動化配列決定が含まれるがこれらに限定されない。配列が調べられ得、所定のSNPまたは変異の存在の有無が決定される。遺伝子の特定のSNP部位(例えば、ACTN3の1747 C>T)が使用されて、個体の潜在的運動能力を評価するため、またはその個体のための訓練を改変するために、特定の遺伝子の存在、不存在、または変化を評価し得る。ACTN3についての既知のSNPは表3に列挙される。本発明の種々の実施形態において、ACTN3遺伝子の1747 C>T SNPについてのスクリーニングは、ACTN3遺伝子における任意の他の既知の多型(表3において列挙される任意のSNPを含むがこれらに限定されない)についてのスクリーニングと組み合わされ得る。 特許請求される方法の実施における他のSNPの潜在的使用は、例えば、公開された米国特許出願シリアル番号801274、公開番号20020032319(その全体が参照として本明細書に組み入れられる)の表に開示されている。これらの部位のいずれかの1つまたはそれ以上は、個体の潜在的運動能力を予測するため、個体にスポーツもしくはスポーツ競技を選択もしくは一致させるために(すなわち、個体の成功の機会を増大させるために)、および/または訓練を最適化するために、ACTN3遺伝子の1747 C>T SNPと組み合わせてアッセイされ得る。 本発明の代替的な実施形態において、遺伝的変異のスクリーニングは、他の検出アッセイ、例えば、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションアッセイを利用し得る。ハイブリダイゼーションアッセイにおいて、所定のSNPまたは他の遺伝的変異の存在の有無は、試料からのDNAの、相補的DNA分子(例えば、オリゴヌクレオチドプローブ)にハイブリダイズする能力に基づいて決定される。ハイブリダイゼーションおよび検出のための種々の技術を使用する種々のハイブリダイゼーションアッセイは当該分野で公知であり、および任意のこのような公知の技術が、特許請求された方法において使用され得る。例示的なアッセイは以下に開示される。 ある実施形態において、検出アッセイはDNAチップハイブリダイゼーションアッセイを利用し得る。このようなアッセイにおいて、一連のオリゴヌクレオチドプローブは固体支持体に固着される。ある実施形態において、これらのオリゴヌクレオチドプローブは、所定のSNPまたは変異に独特であるように設計される。関心対象のDNA試料は、DNA「チップ」と接触され、ハイブリダイゼーションが検出される。DNAチップ(特定のSNP配列に特異的なカスタマイズされたDNAチップを含む)は、Affymetrix(Santa Clara、CA)のような販売者から市販されている。 他の例示的な実施形態において、多型は、SNP-ITプライマー伸長アッセイを使用して検出され得る(Orchid Biosciences、Princeton、N.J.;例えば、米国特許第5,952,174号および同第5,919,626号)。このアッセイにおいて、SNPは、特別に合成されたDNAプライマーおよびDNAポリメラーゼを使用することによって同定され、予測されたSNPの位置で1塩基DNA鎖を選択的に伸長する。関心対象の領域におけるDNAは増幅および変性される。次いで、ポリメラーゼ反応が微小流体システムを使用して実行される。検出は、SNPまたは変異の位置にあることが予測されるヌクレオチドに標識を付加することによって達成される。DNAへの標識の取り込みは、任意の適切な方法によって検出され得る(例えば、ヌクレオチドがビオチン標識を含む場合、検出はビオチンに特異的な蛍光標識された抗体を介する)。他の市販のキットが、1つまたはそれ以上のSNPの存在の有無を同定するために使用され得る(例えば、Applied Biosystems:SNaPSHOT、Assay-On-Demand、Assay-By-Design、Pyrosequencing assay(http://wwwpyrosequencing.com/pages/products96hs.htmlを参照されたい))。核酸 本発明の種々の実施形態は、核酸分子(例えば、DNA、mRNA、またはcDNA)の単離および分析を含む。関心対象の核酸は、標的タンパク質(例えば、ACTN3、ACEなど)の一部またはすべてをコードし得る。「核酸」は、本明細書中で使用される場合、一本鎖分子および二本鎖分子、ならびにDNA、RNA、化学修飾された核酸、および核酸アナログを含む。本発明の範囲内にある核酸は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、約250、約275、約300、約325、約350、約375、約400、約425、約450、約475、約500、約525、約550、約575、約600、約625、約650、約675、約700、約725、約750、約775、約800、約825、約850、約875、約900、約925、約950、約975、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1750、約2000、約2250、約2500、またはそれ以上のヌクレオチド残基の長さ、全長染色体DNAまでであり得、および全長染色体DNAを含むことが意図される。 複雑な混合物(例えば、細胞ホモジネートまたは抽出物)からDNAおよび/またはRNAを部分的にまたは完全に精製するための方法は当該分野で周知である(例えば、Guide to Molecular Cloning Techniques、BergerおよびKimmel編、Academic Press、New York、NY、1987;Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Sambrook、Fritsch およびManiatis編、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NY、1989を参照されたい)。一般的に、細胞、組織、または核酸を含む他の供給源材料は、例えば、液体窒素中で凍結すること、続いてすり鉢および乳棒ですりつぶすことによって最初にホモジナイズされる。特定の組織はWaringブレンダー、Virtisホモジナイザー、Dounceホモジナイザー、または他のホモジナイザーを使用してホモジナイズされ得る。粗ホモジネートは、界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、Triton X-100、CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)-ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)、オクチルグルコシド、または当該分野において公知の他の界面活性剤)で抽出され得る。周知であるように、ヌクレアーゼインヒビター(例えば、RNaseインヒビターまたはDNaseインヒビター)は、標的核酸の分解を妨害するために加えられ得る。 抽出はまた、グアニジニウムイソチオシアネートのようなカオトロピック剤、またはフェノールのような有機溶媒を用いて実行され得る。ある実施形態において、プロテアーゼ処理(例えば、プロテイナーゼKを用いて)が細胞タンパク質を分解するために使用され得る。粒子状の夾雑物は、遠心分離または超遠心分離によって除去され得る。低イオン強度の水性緩衝液に対する透析は、塩または他の可溶性夾雑物を除去するために有用であり得る。核酸は、-20℃でのエタノールの添加、または酢酸ナトリウム(pH 6.5、約0.3M)および0.8容量の2-プロパノールの添加によって沈殿され得る。沈殿した核酸は遠心分離によって、または染色体DNAについては、ガラスピペットまたは他のプローブに沈殿したDNAを巻き付けることによって収集され得る。当業者は、上記に列挙した手順が例示のみであること、および多くのバリエーションが、分析される特定の型の核酸に依存して使用され得ることを理解する。 特定の実施形態において、分析される核酸は、天然に存在するDNA分子またはRNA分子であり得る。実質的に任意の天然に存在する核酸が開示された方法によって分析され得、これには、非限定的に以下が含まれる:染色体DNA、ミトコンドリアDNA、もしくは葉緑体DNA、またはリボソームRNA、転移RNA、異種核RNA、もしくはメッセンジャーRNA。核酸は、当該分野で公知の標準的な方法によって、原核生物供給源または真核生物供給源のいずれかから入手され得る。代替的には、関心対象の核酸は、例えば、PCR(商標)もしくは他の公知の増幅プロセスによって、または核酸挿入物を含むライブラリー(例えば、BACライブラリー、YACライブラリー、コスミドライブラリー、プラスミドライブラリー、またはファージライブラリー)の調製によって、人工的に調製され得る(例えば、BergerおよびKimmel、1987;Sambrookら、1989を参照のこと)。核酸の供給源は分析の目的のためには重要ではなく、実質的に任意の供給源からの核酸が分析され得ることが本発明の範囲内において意図される。核酸増幅 特定の実施形態において、スクリーニングのために分析される核酸は、最初にシグナル強度を増加させるために増幅され得る。増幅のための鋳型として使用される核酸配列は、標準的な方法論に従って、生物学的試料(例えば、骨格筋からのDNAまたはmRNA)中に含まれる細胞から単離され得る。核酸は、ゲノムDNAまたは分画されたかもしくは全体の細胞のRNAであり得る。RNAが使用される場合、RNAを相補的なcDNAに変換することが所望され得る。1つの実施形態において、RNAは全体の細胞のRNAであり、および増幅のための鋳型として直接的に使用される。1つの例において、ACTN3遺伝子型の決定は、ACTN3ポリヌクレオチド配列、もしくはより好ましくは、1747 C>T SNP(例えば、エキソン16)を含むその断片を増幅すること(例えば、PCRによって)、およびその増幅産物を配列決定すること、またはさもなくばその増幅産物中の1747 C>T SNPの存在および/もしくは不存在を検出することによって実行される。別の例において、577X対立遺伝子は、増幅産物のDdeI消化および消化産物のサイズ分画(例えば、ゲル電気泳動による)によって容易に検出され得るDdeI制限部位を含むことが知られている。産物のサイズは個体におけるACTN3遺伝子座を遺伝子型決定するために使用され得る。種々の型の増幅が当該分野において周知であり、任意のこのような公知の方法が使用され得る。一般的に、増幅は、増幅される標的核酸配列に選択的にまたは特異的にハイブリダイズする1種またはそれ以上のプライマーの使用を含む。プライマー 用語プライマーは、本明細書中で定義される場合、鋳型依存的プロセスにおいて新生核酸の合成を開始することができる任意の核酸を含むことを意味する。代表的には、プライマーは、10から20塩基対の長さのオリゴヌクレオチドであるが、より長い配列も利用され得る。プライマーは、二本鎖型または一本鎖型で提供され得るが、一本鎖型が好ましい。プライマー設計の方法は当該分野において周知であり、これは標準的なWatson-Crick塩基対形成(すなわち、アデニンのチミジンまたはウラシルへの結合、およびグアニンのシトシンへの結合)から得られる相補的配列の設計に基づく。増幅プライマーの選択および設計のためのコンピュータプログラムは、当業者に周知の商業的なおよび/または公的な供給元から利用可能である。運動能力を予測する遺伝的変異型(例えば、ACTN3における1747 C>T SNP)を検出する際に使用する特定のプライマー配列は、以下の実施例において提供される。当業者は、提供される特定の配列が例示のみのためであること、ならびに代替的なプライマー配列および/またはプローブ配列が特許請求される方法の実施において使用され得ることを理解する。増幅方法 多数の鋳型依存性プロセスが所定の試料中に存在するマーカー配列を増幅するために利用可能である。最も良好な公知の増幅方法の1つは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCRと呼ばれる)であり、これは、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,800,159号に詳細に記載されている。 本発明の1つの実施形態は、個体から適切な試料を入手する工程、および特定のメッセンジャーRNA(例えば、ACTN3 mRNA)を検出する工程を含み得る。この方法における使用のための例示的な試料は筋肉組織試料(例えば、筋肉組織生検、例えば、パンチ生検)である。一旦、組織試料が得られたら、試料は標準的な技術(例えば、単一細胞単離、外膜の消化、mRNAのオリゴdT単離など)によって核酸の単離のために調製され得る。mRNAの単離はまた、当該分野で公知のキットを使用して実行され得る(Pierce、AP Biotechなど)。逆転写酵素PCR増幅手順は、増幅されるmRNAの量を定量するために実行され得る。RNAをcDNAに逆転写する方法は周知であり、Sambrookら、1989に記載されている。逆転写のための代替的な方法は、耐熱性DNAポリメラーゼを利用する。これらの方法は、1990年12月21日に出願されたWO 90/07641に記載されている。 核酸の増幅のための別の方法は、欧州出願第320308号に開示されているリガーゼ連鎖反応(「LCR」)である。LCRにおいては、2つの相補性プローブ対が調製され、そして標的配列の存在下で、各対が標的の反対の相補鎖に結合し、その結果これらが隣接する。リガーゼの存在下では、2つのプローブ対が単一の単位を形成するように連結する。温度サイクリングによって、PCRと同様に、結合したライゲーションされた単位が標的から解離し、次いで過剰のプローブ対をライゲーションするための「標的配列」として働く。米国特許第4,883,750号は、標的配列へのプローブ対の結合のためのLCRに類似する方法を記載する。 PCT出願番号PCT/US87/00880において記載されているQβレプリカーゼもまた、本発明におけるなお別の増幅方法として使用され得る。この方法において、標的配列の領域に相補的な領域を有するRNAの複製配列がRNAポリメラーゼの存在下で試料に加えられる。ポリメラーゼは、次いで欠失され得る複製配列をコピーする。 制限エンドヌクレアーゼおよびリガーゼが、制限部位の一方の鎖にヌクレオチド5'-[α-チオ]-三リン酸を含む標的分子の増幅を達成するように使用される等温増幅方法もまた、本発明の核酸の増幅において有用であり得る(Walkerら、Proc.Nat'l Acad.Sci.USA 89:392-396、1992)。 鎖置換増幅(SDA)は、複数ラウンドの鎖置換および合成、すなわち、ニックトランスレーションを含む、核酸の等温増幅を実行する別の方法である。修復鎖反応(RCR)と呼ばれる類似の方法は、増幅のために標的とされる領域の全体にわたっていくつかのプローブをアニーリングする工程を包含し、続いて修復反応を行い、ここでは4塩基のうちの2つのみが存在する。他の2塩基は検出を容易にするためにビオチン化誘導体として加えられ得る。同様のアプローチがSDAにおいて使用される。標的特異的配列はまた、環状プローブ反応(CPR)を使用して検出され得る。CPRにおいては、非特異的DNAの3'配列および5'配列、ならびに特異的RNAの中間の配列を有するプローブが、試料中に存在するDNAにハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションに際して、反応はRNase Hを用いて処理され、プローブの産物が消化後に遊離される識別可能な産物として同定される。もともとの鋳型は別のサイクリングプローブにアニーリングされ、反応が反復される。 GB出願第2 202 328およびPCT出願PCT/US89/01025に記載されるなお他の増幅方法が本発明に従って使用され得る。前者の出願において、「修飾された」プライマーが、PCR様の鋳型および酵素依存性合成において使用される。プライマーは捕捉部分(例えば、ビオチン)および/または検出器部分(例えば、酵素)を用いて標識することによって修飾され得る。後者の出願において、過剰の標識されたプローブが試料に加えられる。標的配列の存在下において、プローブが結合し、触媒的に切断される。切断後、標的配列はインタクトで遊離され過剰のプローブによって結合される。標識されたプローブの切断は、標識配列の存在のシグナルを与える。 他の核酸増幅手順には、転写に基づく増幅系(TAS)(核酸配列に基づく増幅(NASBA)および3SRを含む)が含まれる(Kwohら、Proc.Nat'l.Acad,Sci.USA 86:1173(1989);Gingerasら、PCT出願WO 88/10315)。NASBAにおいては、核酸は、標準的なフェノール/クロロホルム抽出、臨床試料の熱変性、溶解緩衝液を用いる処理、およびDNAおよびRNAの単離のためのミニスピンカラム、またはRNAの塩化グアニジニウム抽出によって、増幅のために調製され得る。これらの増幅技術は、標的特異的配列を有するプライマーをアニーリングする工程を包含する。ポリメラーゼ反応後、DNA/RNAハイブリッドはRnaseHで消化されるのに対して、二本鎖DAN分子は再度熱変性される。いずれの場合においても一本鎖DNAは第2の標的特異的プライマーの付加、続いてポリメラーゼ反応によって完全に二本鎖にされる。次いで、二本鎖DNA分子は、T7またはSP6のようなポリメラーゼによって多転写される。等温サイクル反応において、RNAは二本鎖DNAに逆転写され、そしてT7またはSP6のようなポリメラーゼを用いて再度転写される。得られる産物は、短縮型か完全型かにかかわらず、標的特異的配列を示す。 Daveyら、欧州出願第329 822号は、一本鎖RNA(「ssRNA」)、ssDNA、および二本鎖DNA(dsDNA)をサイクル的に合成する工程を含む核酸増幅工程を開示し、これは、本発明に従って使用され得る。ssRNAは、逆転写酵素(RNA-依存性DNAポリメラーゼ)によって伸長される第1のプライマーオリゴヌクレオチドのための第1の鋳型である。次いでこのRNAは、リボヌクレアーゼH(RNase H、DNAまたはRNAのいずれかとの二重鎖におけるRNAに特異的なRNase)の作用によって得られるDNA:RNA二重鎖から除去される。得られるssDNAは、鋳型へのその相同性に対して5'側にRNAポリメラーゼプロモーター(T7 RNAプロモーターによって例示される)の配列をまた含む、第2のプライマーのための第2の鋳型である。このプライマーは、DNAポリメラーゼ(E.coli DNAポリメラーゼIの大きな「Klenow」断片によって例示される)によって伸長され、プライマーの間にもともとのRNAの配列と同一の配列を有し、さらに一方の末端にプロモーター配列を有する二本鎖DNA(「dsDNA」)分子を産生する。このプロモーター配列は、適切なRNAポリメラーゼによって使用され、DNAの多くのRNAコピーを作製し得る。次いで、これらのコピーは、サイクルに再び入り得、非常に迅速な増幅をもたらす。適切な酵素の選択を伴うと、この増幅は、各サイクルでの酵素の付加なしで等温で行われ得る。このプロセスのサイクル的性質のために、開始配列はDNAまたはRNAのいずれかの形態であるように選択され得る。 Millerら、PCT出願WO 89/06700は、標的一本鎖DNA(「ssDNA」)へのプロモーター/プライマー配列のハイブリダイゼーション、続いてその配列の多くのRNAコピーの転写に基づく核酸配列増幅スキームを開示する。このスキームはサイクル的ではなく、すなわち、新しい鋳型が生じたRNA転写物から産生されない。他の増幅方法には「race」および「片側PCR」が含まれる。Frohman,M.A.、PCR PROTOCOLS:A GUIDE TO METHODS AND APPLICATIONS、Academic Press、N.Y.(1990)およびOharaら、Proc.Nat'l Acad.Sci.USA、86:5673-5677(1989)。 得られる「ジ-オリゴヌクレオチド」の配列を有し、それによってジ-オリゴヌクレオチドを増幅する核酸の存在下での2つ(またはそれ以上)のオリゴヌクレオチドのライゲーションに基づく方法もまた、本発明の増幅工程において使用され得る(例えば、Wuら、Genomics 4:560 1989)。分離方法 増幅後、特異的増幅が起こったか否かを決定する目的のために、鋳型および過剰のプライマーから増幅産物を分離することが所望され得る。1つの実施形態において、増幅産物は、標準的な方法を使用するアガロース、アガロース-アクリルアミド、またはポリアクリルアミドのゲル電気泳動によって分離される(例えば、Sambrookら、1989)。代替的には、クロマトグラフィー技術が分離をもたらすために利用され得る。本発明において使用され得る多くの種類のクロマトグラフィーが存在する(Freifelder、1982)。同定方法 核酸配列変異型の検出のための種々の方法が当該分野において公知であり、任意のこのような公知の方法が使用され得る。1つの実施形態において、検出は、標識されたプローブを用いるサザンブロッティングおよびハイブリダイゼーションによってなされ得る。サザンブロッティングに含まれる技術は当業者に周知である(例えば、Sambrookら、1989)。手短に述べると、増幅産物はゲル電気泳動によって分離される。次いで、そのゲルをニトロセルロースのようなメンブレンと接触させ、核酸の転写および非共有結合的な結合を可能にする。続いて、そのメンブレンを、標的増幅産物とハイブリダイズすることができる発色団結合体化プローブとともにインキュベートする。検出は、メンブレンのx線フィルムへの露出、またはイオン放射検出装置による。前述の1つの例は米国特許第5,297,721号に開示されており、これは、自動化電気泳動および核酸の転写のための装置および方法を示す。この装置は、ゲルの外部操作なしで電気泳動およびブロッティングを可能にし、本発明に従う方法を実行するために適している。 核酸配列変異型を検出するための方法および装置は種々の供給源(例えば、Third Wave、Pyrosequencing、Applied Biosystems、Affymetrix、Sequenom、Nanogenなど)から市販されており、任意のこのような市販のシステムがACTN3 または他の運動能力関連遺伝子の配列変異型を検出するために使用され得る。タンパク質およびペプチド 特定の実施形態において、開示された方法は、スクリーニングされる試料中の特定のタンパク質(例えば、ACTN3)の量を検出および/または定量する工程を含み得る。便宜上、用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」は本明細書中で交換可能に使用される。タンパク質定量の種々の方法が当該分野において知られておりかつ使用され得るが、抗体に基づくアッセイ(例えば、ELISA)がタンパク質定量のために特に有用である。当業者は、以下の議論が例示のみであること、およびタンパク質同定/定量のための任意の公知の技術が使用され得ることを理解している。 特定の実施形態において、タンパク質またはペプチドは単離または精製され得る。タンパク質精製技術は当業者に周知である。これらの技術には、1つのレベルにおいて、細胞、組織、または器官の均質化および粗分画から、ポリペプチドおよび非ポリペプチド画分までを含む。関心対象のタンパク質またはポリペプチドは、クロマトグラフィー技術および電気泳動技術を使用してさらに精製され、部分的または完全な精製(または均一までの精製)を達成し得る。純粋なペプチドの調製に特に適した分析方法は、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル排除クロマトグラフィー、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、FPLC(AP Biotech)、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィー、免疫アフィニティークロマトグラフィー、および等電点電気泳動である。アフィニティークロマトグラフィーによるレセプタータンパク質精製の例は、米国特許第5,206,347号において開示されており、その全体のテキストは参照として本明細書に組み入れられる。ペプチドを精製する、より効率的な方法の1つは、迅速液体クロマトグラフィー(AKTA FPLC)またはHPLCさえもである。 精製されたタンパク質またはペプチドは、他の成分から分離可能である組成物をいうことが意図され、ここで、そのタンパク質またはペプチドは、その天然に入手可能な状態に対して任意の程度まで精製される。それゆえに、単離または精製されたタンパク質またはペプチドはまた、それが天然に存在し得る環境を含まないタンパク質またはペプチドをいう。一般的に、「精製された」とは、分画に供して種々の他の成分を除去したタンパク質またはペプチドの組成物をいい、この組成物は実質的にはその発現された生物学的活性を保持している。用語「実質的に精製された」が使用される場合、この表現は、タンパク質またはペプチドが組成物の主要な成分を形成し、例えば、その組成物中で、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、またはそれ以上のタンパク質を構成する、組成物をいう。 特定の実施形態において、開示された方法は、1種またはそれ以上のタンパク質またはペプチドを精製する工程を包含し得る。タンパク質またはDNA試料を精製する場合に、分子を単離するため、続いて試料中の分子の量を同定および定量化するために磁気ビーズ(Dynal,Dynaビーズ)を使用することが有用であり得る。これらの技術は当業者に公知である。抗体 特定の実施形態において、関心対象の特定のタンパク質またはペプチド(例えば、ACTN3)に対する抗体を作製することが所望され得る。適切なタンパク質またはその一部が、当該分野において周知であるように、それらの免疫原性を増強するための1つまたはそれ以上の因子と結合体化され得るか、またはそれに化学的に連結され得る。好ましい因子は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはウシ血清アルブミン(BSA)のようなキャリアである。 1つの実施形態において、標的化されたタンパク質の検出は、標的タンパク質(例えば、ACTN3)のすべてまたは一部に対する1種またはそれ以上の特異的抗体を使用する、特定の抗体またはその断片(例えば、Fab断片または組換え抗体断片(例えば、scFv))を用いる、ウェスタンブロットまたは免疫組織化学によってであり得る。使用され得る抗体の1つの例は抗ACTN3抗体である(North,K.N.ら、Neuromuscular Disorders、6、229-235、1996において開示されるようなもの)。別の実施形態において、標的化されたタンパク質のレベルは、個体から試料(例えば、筋生検)を得ることによって、および標的化されたタンパク質に指向される1種またはそれ以上の抗体に試料をさらすことによって検出され得る。 用語「抗体」は、抗原結合領域を有する任意の抗体様分子をいうために使用され、Fab'、Fab、F(ab')2のような抗体断片、単鎖抗体(DAB)、Fv、scFv(単鎖Fv)などを含む。種々の抗体に基づく構築物および断片を調製および使用するための技術は当該分野において周知である。抗体を調製および特徴付けするための手段もまた当該分野において周知である(例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1988を参照されたい;これは参照として本明細書に組み入れられる)。ELISA 特定の好ましい実施形態において、関心対象のタンパク質(例えば、ACTN3)の量は、当該分野において公知である種々の型の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)またはラジオイムノアッセイ(RIA)によって決定され得る。組織切片を使用する免疫組織化学検出もまた、特に有用である。しかし、検出がこれらの技術に限定されないことが容易に理解され、ウェスタンブロッティング、ドットブロッティング、FACS分析などもまた使用され得る。 1つの例示的なELISAにおいて、標的タンパク質(例えば、ACTN3)に結合する抗体が、タンパク質アフィニティーを示す選択された表面(例えば、マイクロタイタープレートのウェル)上に固定化される。タンパク質またはタンパク質の一部を含むと考えられる試験組成物をウェルに導入する。非特異的に結合した免疫複合体を除去するための結合および洗浄の後、結合した抗原(関心対象のタンパク質)が検出され得る。検出は、一般的には、検出可能な標識に連結された標的タンパク質に特異的な二次抗体の付加によって達成される。この型のELISAは「サンドイッチELISA」である。検出はまた、二次抗体の付加、続いて二次抗体に結合アフィニティーを有する三次抗体の付加により達成され得、この三次抗体は検出可能な標識に連結されている。 別の例示的なELISAにおいて、タンパク質(抗原)を含むと考えられる試料は、ウェル表面に固定化され、次いで、本発明の抗体と接触させる。非特異的に結合した免疫複合体を除去するための結合および洗浄の後、結合した抗原が検出される。最初の抗体が検出可能な標識に連結されている場合、免疫複合体は直接的に検出され得る。代替的には、この免疫複合体は、一次抗体に結合アフィニティーを有する二次抗体を使用して検出され得、この二次抗体は検出可能な標識に連結されている。 タンパク質またはペプチドが固定化される別のELISAには、検出において抗体競合の使用が含まれる。このELISAにおいて、標識された抗体はウェルに付加され、標的タンパク質に結合することが可能にされ、そしてそれらの標識によって検出される。次いで、未知の試料中の標的抗原の量を、コートされたウェルとのインキュベーションの前またはその間に、試料を標識された抗体と混合することによって決定する。試料中の標的抗原の存在は、ウェルへの結合のために利用可能な抗体の量を減少させるように作用し、したがって、最終的なシグナルを減少させる。これは、未知の試料中で抗体を検出するためには適切であり、ここでは、未標識の抗体が抗原コートされたウェルに結合し、そしてまた、標識された抗体に結合するために利用可能な抗原の量を減少させる。 抗原または抗体のいずれかでプレートをコートする際に、一般的に、プレートのウェルを抗原または抗体の溶液ともに、一晩または特定の時間の間のいずれかでインキュベートする。次いで、プレートのウェルを、不完全に吸着した物質を除去するために洗浄する。次いで、ウェルの残りの利用可能な任意の表面は、試験抗血清に関して抗原的に中性である非特異的タンパク質で「コート」される。これらには、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン、および粉乳の溶液が含まれる。このコートは、固定化表面上での非特異的吸着部位のブロッキングを可能にし、したがって、表面上への抗血清の非特異的結合によって引き起こされるバックグラウンドを減少させる。 ELISAにおいて、直接的な手順よりはむしろ、二次または三次検出手段を使用することがより一般的である。したがって、タンパク質または抗体のウェルへの結合、バックグラウンドを減少させるための非反応性物質でのコート、および未結合物質を除去するための洗浄の後、固定化表面は試験される対照生物学的試料と、免疫複合体(抗原/抗体)形成を可能にするために有効な条件下で接触させる。次いで、免疫複合体の検出は、標識された三次抗体または第3の結合リガンドとともに、標識された二次結合リガンドもしくは抗体、または二次結合リガンドもしくは抗体を必要とする。 「免疫複合体(抗原/抗体)形成を可能にするために有効な条件下」は、条件が好ましくは、BSA、ウシγグロブリン(BGG)およびリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)/Tweenのような溶液で抗原および抗体を希釈することを含むことを意味する。これらの加えられる因子はまた、非特異的バックグラウンドの減少において補助する傾向がある。 「適切な」条件は、インキュベーションが有効な結合を可能にするのに十分な一定の温度、および時間の間であることを意味する。インキュベーション工程は、代表的には、約1時間から2時間、4時間まで、好ましくは25℃から27℃までのオーダーの温度で、または一晩で約4℃程度などであり得る。 ELISAにおけるすべてのインキュベーション工程後、接触された表面は非複合体化物質を除去するために洗浄される。好ましい洗浄手順は、PBS/Tweenまたはホウ酸緩衝液のような溶液を用いる洗浄を含む。試験試料およびもともとの結合物質との間の特異的免疫複合体の形成、および引き続く洗浄の後、均一な微量の免疫複合体の発生が測定され得る。 検出手段を提供するために、第2または第3の抗体が、検出を可能にするために結合した標識を有する。好ましくは、これは、適切な色素原性基質とインキュベートする際に発色を生じる酵素である。したがって、例えば、第1または第2の免疫複合体を、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはハイドロゲンペルオキシダーゼで結合体化した抗体と、一定の時間の間、およびさらなる免疫複合体形成の発生を助ける条件下で、接触およびインキュベートすること(例えば、PBS-含有溶液(例えば、PBS-Tween)中での室温で2時間のインキュベーション)が望ましい。 標識された抗体とのインキュベーション、および引き続く未結合物質を除去するための洗浄の後、標識の量は、酵素標識としてのペルオキシダーゼの場合、例えば、尿素およびブロモクレゾールパープルまたは2,2'-アジド-ジ-(3-エチル-ベンゾチアゾリン-6-スルホン酸[ABTS]およびH2O2のような、色素原性色素とのインキュベーションによって定量される。次いで、定量は、発色の程度を測定することによって達成される(例えば、可視スペクトル分光光度計を使用する)。キット なおさらなる実施形態において、本発明は、上記の核酸または免疫検出方法を用いる使用のための検出キットに関する。利用されるアッセイの型に依存して、キットは、標的核酸配列の増幅のため1種またはそれ以上のプライマー対、遺伝的変異型を検出するための1種またはそれ以上のプローブ(例えば、標識されたプローブ)、ならびに増幅および/またはプローブ結合条件を確認するための1つまたはそれ以上の対照標的配列を含み得る。対照は、例えば、ACTN3における1747 C>T SNPの各対立遺伝子についての特定の標的配列を含み得る。プローブはまた、1747 C>T SNP対立遺伝子へのハイブリダイゼーションについて特異的であり得る。有用な種々の他の試薬(例えば、緩衝液、ヌクレオチド、およびポリメラーゼ)もまた、含まれ得る。 タンパク質のイムノアッセイのためのキットにおいて、免疫検出キットは、適切な容器手段、標的のタンパク質もしくはペプチド、または標的のタンパク質もしくはペプチドに結合する第1の抗体、および免疫検出試薬を含み得る。このキットは、標的のタンパク質もしくはペプチドに特異的な第1の抗体、および第1の抗体に特異的な標識された第2の抗体を含み得る。代替的には、キットは、標識された第2の抗体とともに、関心対象のタンパク質について特異的または選択的な第1および第2の抗体を含み得る。代替的には、第1および第2の抗体は標識されなくてもよく、そして第2の抗体に特異的な第3の抗体が含まれ得る。他の標準的な試薬、例えば、緩衝剤、および種々の基質、または標識された抗体を発色するために使用される反応剤もまた、含まれ得る。 キットの容器手段は、一般的に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、または他の容器手段を含む。試料はそこに配置され得、および好ましくは、適切にアリコートとされ得る。第2または第3の結合リガンドまたはさらなる成分が提供される場合、キットはまた、一般的に、第2、第3、または他のさらなる容器を含み、そこにこのリガンドまたは成分が配置され得る。このようなキットは、インジェクションまたはブロー成形プラスチック容器を含み得、そこで所望のバイアルが保持される。運動能力試験 特定の実施形態において、有用なスクリーニング方法は、ACTN3アッセイに加えて、1つまたはそれ以上の運動能力に基づく試験を含み得る。このような運動能力試験は、例えば、ACTN3 SNP試験またはACTN3タンパク質もしくはmRNAアッセイと組み合わせて使用され得る。種々の例示的な運動能力試験は以下に議論される。当業者は、実施例が制限ではなく、当該分野において公知の任意の運動能力アッセイが使用され得ることを理解している。最大酸素有効量試験 最大酸素有効量試験は、運動選手の生理学的潜在能力の直接的測定を彼らに提供する。活発な運動の条件下での最大酸素消費速度は、当該分野において周知の方法によって決定される。データは、有酸素性および無酸素性閾値、心拍数および速度、換気パラメーター、最大心拍数および心拍ゾーンを含む。無酸素性作業閾値試験(血中乳酸および換気性) 無酸素性作業閾値試験は、乳酸産生が除去に等しい運動の点をいう。この強度は、フィットネス、技術、および経験に依存して、60-120分間の走りまたはサイクリングに等しい。この試験は、換気ならびに血液乳酸レベルを同時に測定することによって行われる。換気および血液乳酸法が非常に類似の結果を生じるが、これらの両方は無酸素性閾値を正確に決定する。この試験によって提供される情報は、血液乳酸閾値および換気性閾値、無酸素性閾値における心拍数および無酸素性閾値におけるスピード(走り)またはワット(サイクリング)を含む。無酸素性パワーおよび運動能力試験(Wingate試験) Wingate試験は、脚のパワーおよび運動能力を決定し、パワースポーツ選手のために設計される。試験は、疲労に抵抗するピークのパワーおよび能力を決定する、サイクルエルゴメーターで30秒間全速力の試みである。Wingate試験から収集したデータは以下を含む:(30s試験)ピークパワー(ワット)、絶対的、相対的、および疲労指標(30s試験にわたっていかに速くパワーが低下するか)および仕事量(ジュール)(エネルギー消費)。限界パワー(CP) CP試験の目的は、運動選手が所定の時間または距離の間に保持し得る最適作業負荷が何であるかを決定することである。最も一般的なCP試験はCP(60-180s)、スポーツに依存する時間フレーム;およびCPタイムトライアルを含み得る。安静代謝率(RMR) RMRは、安静エネルギー消費(REE)とも呼ばれる。これは、個体が1日に利用する最小量のカロリー(Kcal)を決定する非侵襲性方法である。RMAが高くなるほど、より多くのカロリーを個体が燃焼させる。結果は、O2およびCO2吸気および呼気によって直接的に測定される。1つの試験プロトコールは、12時間食物またはアルコールなし、24時間刺激物(例えば、コーヒー)なし、および24-36時間運動なしからなる。この試験は、最も一般的には、早朝が推奨される。個体は、30分間、仰向けで休息状態で横になりながら代謝測定マシンに接続される。試験の間、個体は、マウスピースおよび備え付けのホースを通して代謝測定マシンに呼吸する。試験の完了時に、以下の情報が収集される:代謝率(RMR)-Kcal/日・呼吸率(RR)、呼吸交換率(RER)、休息時の換気および心拍数、休息時に使用される炭水化物および脂肪の%。速度/パワー試験 速度/パワー試験は最も一般的には3つの試験からなる:走行速度:赤外タイミングライト(5-50メーター);垂直跳びおよび脚力:Vertec装置および敏捷性試験:標準およびスポーツ特異的。これらの試験は、例えば、パワースポーツにおける個体の能力の分析を補助する。強度/柔軟性試験 強度/柔軟性試験は、一般的に以下からなる:RM(休止筋肉)強度:スクワット、ベンチ、デッドリフト、レッグプレス;筋肉持久力:特定の重量での連続反復;オリンピックリフト:クリーンアンドジャーク、スナッチ、パワークリーン、パワースナッチ;柔軟性:標準的およびスポーツ特異的ならびに腹部および下背強度。身体組成 身体組成試験は、Harpenden皮下キャリパー試験(腕、臀部などの下のような身体のいくつかの部位の皮膚をはさむ)および体脂肪パーセントの見積もりならびにやせた筋肉塊および脂肪塊の見積もりからなり得る。別の方法は、肺を収縮させてタンク中の水への浸漬を含む。身体脂肪は水の置き換えを決定する特別な測定装置によって測定される。方法の適用性 開示される方法は、コーカソイド個体における短距離/パワー型スポーツおよび競技における運動能力の予測のために特に適切であり、この方法は、一般的に、高い頻度(すなわち、好ましくは、少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、および最も好ましくは少なくとも15%)の577XX遺伝子型を示す任意の他の人種グループにおける使用のためにも適切であり得る。複数のコーカソイドおよびいくつかの他の人種グループを分析した後で、存在しない場合、ズールー族および特定のコーカソイド女性のような個体運動選手からのヌル遺伝子型が、短距離/パワー型エリート運動選手対持続型運動選手である潜在能力に相関するようである。例えば、ヌル遺伝子型は、ネイティブアメリカン集団(29%)、アジア人集団(25%)、および欧州白人(20%)、PNG高地居住者(15%)、アメリカ黒人集団(13%)、およびオーストラリア先住民集団(10%)内で一般的である。 才能調査プログラムは、それ自体によって、または運動能力に連鎖する他の遺伝子に関して個体を遺伝子型決定するための同様の方法と組み合わせて、本発明の方法を利用し得る。開示される方法と組み合わされ得る他の方法は、運動能力データおよび表現型および予測因子(例えば、身長および体格)などに基づく。したがって、本発明の方法の結果は、エリート運動選手の潜在能力を有する若い個体を選択するか、もしくは少なくともその選択を補助するために、および/または若い個体が専門家になることを選択し得るスポーツの型の手引きを提供するために、使用され得る。 別の実施形態において、訓練プログラムは、人の訓練能力を予測する遺伝的要因の知見(例えば、ACTN3のタンパク質もしくはmRMAのレベルおよび/またはSNP検出)に基づいて、より高い成功の機会を有する、潜在的なまたは現在のエリート運動選手のために工夫され得る。個人向けの訓練プログラムは、成功する可能性が最も高い訓練の型を同定することによって特定の才能(遺伝的構成から決定される)に焦点を当て得る。これは、エリートレベルでの成功と疲労との間の小さな限界部分を狭くすること、予想される利得を伴わない(例えば、遺伝的潜在能力が存在しない)過剰な訓練からの不要な疲労を回避すること、資源の浪費および早まった「燃え尽き」を減少させることを補助し;および個体運動選手における長期的な目的および自己評価を高め得る。資源は毎回浪費され、エリート運動選手の潜在能力を有する個体がプログラムから除かれている。なぜなら、彼/彼女は成功を達成することができないからである。個人レベルにおいては、このような個体によってすでに着手された努力および犠牲は、彼らの人生の目的および自己評価に有害な影響を与え得る。これらの状況において、単独または他の予測因子と組み合わせた遺伝的構成の知見は、なぜ成功が達成されないかを明らかにするために補助となり得、およびより適切なスポーツを含み得るより現実的な人生の目的にその個体を向けさせることの補助となる。 それゆえに、1つの実施形態において、運動選手のための改善された訓練プログラムを同定することは、運動選手の標的化された遺伝子(例えば、ACTN3遺伝子型)の特定の遺伝子型の決定を含み得る。潜在的または現在の運動選手のための訓練プログラムの開発の別の例は、標的化された分子についての1つまたはそれ以上の試験を、以前に示したような他の運動能力評価試験と組み合わせる工程、およびプログラムを開発するために、2つまたはそれ以上の試験の結果を分析する工程を包含し得る。(実施例1)エリート運動選手におけるACTN3ヌル(577XX)遺伝子型のスクリーニング材料および方法 ヒトゲノムDNAを、エリート運動選手(108例の持久力運動選手および83例の短距離運動選手)、88例のアフリカのズールー族個体、および152例の対照オーストラリアコーカソイド個体のプールより、フェノール:クロロホルム抽出、その後のTriton X-100を用いる細胞溶解およびプロテイナーゼKを用いる消化によって、血液から単離した。ACTN3のエキソン16をゲノムDNAから増幅した。エキソン16に隣接するイントロン配列に対応するプライマーは:フォワード:5' CTGTTGCCTGTGGTAAGTGGG 3'(配列番号:1)リバース:5' TGGTCACAGTATGCAGGAGGG 3'(配列番号:2)であった。 これらのプライマーのためのPCR反応サイクルは:94℃で30秒および次いで72℃で1分間を35サイクル、および最終伸長の94℃10分間であった。R577X対立遺伝子(それぞれ、コドンCGAおよびTGA)を、エキソン16中のDdeI(CTNAG)制限部位の存在(577X)または不存在(577R)によって区別し得る。577R(野生型)PCR産物は205bpおよび86bpの断片を有する;一方577X PCR産物は108bp、97bp、および86bpの断片を有する。消化されたPCR断片を10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し、臭化エチジウムを用いる染色によって可視化した。結果および考察 遺伝子型決定アッセイの結果を表2に示す。ACTN3遺伝子型決定をエリート運動選手(すなわち、持久力、速度および/または強度によって最高のレベルで実行する個体)において実行した。対照と比較して、エリート短距離運動選手は、低い頻度のACTN3ヌル変異577XXを有した(6%対18%の対照コーカソイド集団;p<0.05)。これはズールー族集団において観察された傾向と同様であった。高速での2型筋線維の力発生能力、スピードおよびテンポの運動、ならびに運動訓練に適合する個体の能力は、すべて強力に遺伝的に影響されるようなので、ACTN3遺伝子型は、一般的集団における筋肉機能の通常のバリエーションに影響を与える因子であるらしい。これらの結果に基づいて、ACTN3遺伝子型決定は、エリート潜在的な運動能力を有する若い個体の選択において顕著な潜在能力があること、または少なくともその選択において補助することが示される。(実施例2)方法 3つの異なる供給源からの436例の関連性のないコーカソイド対照(150例の血液ドナー、関連性のない研究に参加している71例の健常な子供、およびAustralian Institute of Sportの才能同定プログラムに参加している215例の健常な成人)を、Millsら(2001)によって記載された遺伝子型決定方法論の使用を通して、遺伝子型決定した。性別は、292例の女性対照および134例の男性対照について知られていた。14の異なるスポーツからの429例のエリートコーカソイド運動選手を遺伝子型決定した。例示目的のために、運動選手が国際レベルにある彼らのスポーツにおいてオーストラリアを代表したならば、彼らを「エリート」と規定した;50例の運動選手がオリンピックの試合で競技した。 速骨格筋線維においてα-アクチニン-3の位置付けが与えられると、α-アクチニン-3の欠損は短距離競技/パワー競技における能力を減少すること、およびそれゆえにエリート短距離運動選手において頻度が少ないことが仮定された。この仮説を試験するために、107例のエリート運動選手(72例が男性、および35例が女性)のサブセットの遺伝子型を分析し、先験的に専門的短距離競技者/パワー運動選手として分類し、遺伝子型決定結果に対してはブラインドとした。このグループは、800mで競技する46例のトラック競技運動選手、200mで競技する42例の水泳選手、9例の柔道選手、7例の短距離トラック自転車選手、および3例のスピードスケート選手を含んだ。比較のために、194例の被験体(122例の男性および72例の女性)のサブセットを独立して専門の持久力運動選手として分類および分析し、これは77例の長距離自転車選手、77例の漕艇選手、400m以上の距離で競技する18例の水泳選手、5,000mで競技する15例のトラック競技選手、および7例のクロスカントリースキー選手を含んだ。32例の短距離運動選手(25例が男性、7例が女性)および18例の持久力運動選手(12例が男性、6例が女性)がオリンピックレベルで競技した。分類基準の厳しさのために、128例のエリート運動選手は、短距離/パワーグループまたは持久力グループのいずれにも明白に割り当てることができず、次の分析からは除外した。 ACTN3対立遺伝子の均一性、および運動選手と対照のグループの間の遺伝子型頻度について試験するために、HuttleyおよびWilson(2000)によって記載されるような対数線形モデリングアプローチを使用した。これは、パッケージ(J.Maindonaldによって提供される;The R Project for Statistical Computing Web siteから利用可能)の使用を通して、統計学的プログラミング言語R(バージョン1.6.2)において実行される。「X」2値を、運動選手と対照との間の比較のための遺伝子型の数を使用して見積もった。3つの対照群の遺伝子型プロフィール(150例の血液ドナー、71例の健常子供、および215例の健常成人)は、互いに有意に異なっておらず(X2=0.19;P=.996)、また以前に遺伝子型決定された107例の欧州白人のグループとも異なっておらず(Millsら、2001)、対照コホートにおけるこの遺伝子型の頻度はより広いコーカソイド集団で代表的であることを示唆する。ACTN3遺伝子型頻度は、男性と女性の対照被験体の間で異なっておらず、および、全体として、Handy-Weinberg(H-W)平衡からの有意な偏差は存在しなかった。 対照、短距離/パワーグループ、および持久力グループからのACTN3遺伝子型決定データを表2および図1に要約する。全体としてのエリート運動選手グループと対照との間には、有意な対立遺伝子または遺伝子型の頻度の違いは存在しなかった。しかし、運動選手が短距離/パワーグループおよび持久力グループに分けられ、かつ対照と比較された場合、対立遺伝子頻度のバリエーションの強い証拠が存在した(X2[df=5]=23;P<.001)。短距離運動選手と対照との間で、男性(X2[df=1]=14.8;P<.001)および女性(X2[df=1]=7.2; P<.01)の両方について、有意な対立遺伝子頻度の違いが存在した。短距離運動選手はより低い頻度の577XX(α-アクチニン-3ヌル)遺伝子型を有し(6%対18%)、および女性のエリート短距離選手またはオリンピック短距離選手は577XXではなかった。短距離運動選手グループはまた、対照と比較してより高い頻度の577RR遺伝子型を有し(50%対30%)、およびより低い頻度のヘテロ接合性577RX遺伝子型を有した(45%対52%)。エリート持久力運動選手は、対照(18%)よりもわずかに高い頻度の577XX遺伝子型(24%)を有した。より重要なことに、短距離運動選手および持久力運動選手における対立遺伝子の頻度は、反対の方向に偏っており、男性(X2[df=1]=13.3;P<.001)および女性(X2[df=5]=5.8;P<.05)の両方において互いに有意に異なっていた。2つのグループ間の違いはお互いを効果的にキャンセルし、全体のエリート運動選手コホートが対照グループと比較された場合の関連性の欠如を説明する。 全体として、対立遺伝子頻度の違いによって説明されない遺伝子型バリエーションの証拠もまた存在した(X2[df=5]=16.7;P<.01)。これは、全体のH-W平衡からの逸脱について証拠が存在しないのにもかかわらず、グループ間のH-W不平衡係数におけるバリエーションを示唆する。この効果は、女性の短距離運動選手(X2[df=1]=7.4;P<.01)および持久力運動選手(X2[df=1]=6.0; P<.05)に制限されており、H-W平衡において予測されたよりもよりヘテロ接合性の女性の短距離運動選手であり(20対15)、および予測されたヘテロ接合性の女性の持久力運動選手よりも少なかった(25対36)。女性の短距離運動選手と持久力運動選手の間の対立遺伝子頻度非依存性遺伝子型の違いは高い有意性であった(X2[df=5]=13.8;P<.001)。男性においては効果が見られず、ACTN3遺伝子型の運動能力に対する効果は、男性と女性の間で異なることを示唆した。 これらの知見は、ACTN3 577R対立遺伝子がパワー競技活動および短距離競技活動のための利点を提供することを示唆する。試料中の女性のエリート短距離運動選手はα-アクチニン-3欠損を示さなかった(男性の8%と比較される)。男性においては、訓練に対するアンドロゲンホルモン応答は、運動能力の改善に対する有意な寄与をなすらしく、その結果、筋力に対する相対的なα-アクチニン-3の効果が減少され得る。興味深いことには、このコホート中のすべての男性のパワー競技オリンピック選手が、少なくとも1コピーのACTN3の機能的577R対立遺伝子を有した(骨格筋におけるα-アクチニン-3の存在と関連する)。これは、最高レベルのスポーツ競技において、「あらゆる可変性のカウント」を示唆する。少なくとも73の遺伝子座がフィットネスおよび運動能力表現型と関連付けられてきたが(Rankinenら、2002「The human gene map for performance and health-related fitness phenotypes:the 2001 update」Med Sci Sports Exerc 34:1219-1233)、ACTN3は、このような関連が実証された最初の構造骨格筋遺伝子である。 α-アクチニン-3タンパク質は、速筋線維の形成を促進し得、訓練に応答してグルコース代謝を変化させ得る。さらに、α-アクチニン-3は、異様な筋収縮によって引き起こされる損傷の最小化のために進化的に最適化されているかもしれない。糖分解性速線維におけるZ線は、運動誘導性の損傷に対して最も脆弱な構造であり、形態学的な損傷および関連タンパク質(α-アクチニンを含む)の分解を生じる(FridenおよびLieber 2001、「Eccentric exercise-induced injuries to contractile and cytoskeletal muscle fiber components Acta Physiol Scand 171:321-326」)。 577XX遺伝子型が、577R対立遺伝子が短距離競技運動能力を増強するらしいのと同様に、持久力競技運動能力を増強するならば、577R対立遺伝子および577X対立遺伝子は集団中に維持されるかもしれない。なぜなら、これらの両方が異なる環境条件下で選択的利点を付与し、したがって、選択を均衡させることによって高い集団頻度で保持されるからである。(実施例3) 図1は、対照、エリート短距離/パワー運動選手、および持久力運動選手におけるACTN3遺伝子型頻度のヒストグラム編集物を表す。健常コーカソイド対照と比較して、エリートコーカソイド短距離運動選手において、ACTN3 577XX遺伝子型の頻度の顕著な減少(α-アクチニン-3欠損と関連する)が存在する;顕著には、女性の短距離運動選手またはオリンピックレベルで競技した短距離運動選手(25例が男性、および7例が女性)はα-アクチニン-3欠損ではなかった。逆に、持久力運動選手において577XX遺伝子型の増加に向けた傾向が存在するが、この関連性は女性においてのみ統計学的な有意さに達する。エラーバーは95%CIを示す。 多数のバリエーションおよび/または改変が、広範に記載された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、特定の実施形態において示されたのと同様に本発明に対してなされ得ることが当業者によって認識される。それゆえに、本発明の実施形態は、すべての点において例示的と見なされるべきであって、制限的と見なされるべきではない。 本明細書中に開示および特許請求されたすべての組成物、方法、および装置は、本開示に鑑みて過度の実験なしで作製および実行され得る。本発明の組成物および方法は好ましい実施形態によって記載されてきたが、本発明の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、バリエーションがその組成物、方法、および装置に対して、ならびに本明細書中に記載された方法の工程またはその工程の順番に適用され得ることは、当業者には明らかである。より詳細には、化学的および生理学的の両方で関連する特定の薬剤が、本明細書中に記載された薬剤の代わりに置換され得、なお同じかまたは同様の結果が達成されることは明らかである。当業者に明らかである、すべてのこのような同様の置換物および修飾物は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神、範囲、および概念の範囲内にあると見なされる。表の説明表1は、特定の訓練のコーカソイドエリート運動選手におけるACTN3中のR577X SNPの遺伝子型を表す。表2は、対照、エリート短距離/パワー運動選手、および持久力運動選手におけるACTN3対立遺伝子の数および頻度(%)について、試験した個体をまとめたものを表す。表3は、これまでにACTN3遺伝子において同定され、NCBI SNPウェブサイトからのリストにおいて蓄積されたSNPを表す。表4は、2002 Human Gene Map for Performance and Health-Related Fitness Phenotypesの核遺伝子およびミトコンドリア遺伝子の記号、フルネーム、および細胞発生部位を表す。表5は、持久性表現型およびケースコントロール研究を表す(DNA多型)。表6は、異なるヒト集団におけるACTN3 577/R/X対立遺伝子の遺伝子型および対立遺伝子頻度を表す。対照、エリート短距離/パワー運動選手、およびエリート持久力運動選手におけるACTN3遺伝子型頻度を示す図である。[配列表]ヒト個体における運動能力を予測する方法であって、a)運動能力に関連するヒトα-アクチニン-3(ACTN3)遺伝子のアミノ酸番号577をコードするコドンにおける遺伝的変異の存在について前記個体をスクリーニングする工程;およびb)前記遺伝的変異の存在に基づいて運動能力を予測する工程を包含し、i)577RR遺伝子型が短距離運動能力またはパワーパフォーマンスに対して正の関連性を示し、ii)577XX遺伝子型が短距離運動能力またはパワーパフォーマンスに対して負の関連性を示し、iii)577XX遺伝子型が持久力運動能力に対して正の関連性を示し、iv)577RX遺伝子型が雌性個体において短距離運動能力またはパワーパフォーマンスに対して正の関連性を示し、及びv)577RX遺伝子型が雌性個体において持久力運動能力に対して負の関連性を示す、方法。ACTN3遺伝子における1747 C>T一塩基多型(SNP)について前記個体をスクリーニングする工程を包含する、請求項1に記載の方法。前記個体の骨格筋中に存在するACTN3タンパク質の量を測定する工程を包含する、請求項1又は2に記載の方法。前記ACTN3タンパク質の量が前記ACTN3タンパク質に特異的な抗体を使用して測定される、請求項3に記載の方法。前記個体の骨格筋中で発現されるACTN3メッセンジャーRNA(mRNA)の量を測定する工程を包含する、請求項1又は2に記載の方法。前記スクリーニングが、DNA配列決定、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、対立遺伝子特異的増幅、または制限断片長多型分析による、請求項2に記載の方法。少なくとも1つの他の遺伝子において1つまたは複数の遺伝的変異の存在について前記個体をスクリーニングする工程をさらに包含する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。前記少なくとも1つの他の遺伝子が表4に列挙される遺伝子からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。ACE(アンギオテンシン変換酵素)I対立遺伝子およびACE D対立遺伝子の存在について前記個体をスクリーニングする工程を包含する、請求項8に記載の方法。前記ACE I対立遺伝子が持久力運動能力に対して正の関連性を示す、請求項9に記載の方法。前記ACE D対立遺伝子が短距離運動能力またはパワーパフォーマンスに対して正の関連性を示す、請求項9に記載の方法。ADRA2A(α-2A-アドレナリン作動性レセプター)対立遺伝子の存在の有無について前記個体をスクリーニングする工程を包含する、請求項8に記載の方法。最大酸素有効量、無酸素性作業閾値試験、Wingate試験、限界出力、安静代謝率、身体組成、速度試験、パワー試験、強度試験、柔軟性試験、筋生検、速筋線維試験、および遅筋線維試験からなる群より選択される試験を使用して前記個体をスクリーニングする工程をさらに包含する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。訓練プログラムを最適化する方法であって、a)運動能力に関連するヒトα-アクチニン-3(ACTN3)遺伝子のアミノ酸番号577をコードするコドンにおける遺伝的変異の存在についてヒト個体をスクリーニングする工程;およびb)短距離運動能力、パワーパフォーマンス、または持久力運動能力を最適化するために、前記個体の訓練プログラムを選択する工程を包含し、i)577RR遺伝子型が短距離運動能力またはパワーパフォーマンスに対して正の関連性を示し、ii)577XX遺伝子型が短距離運動能力またはパワーパフォーマンスに対して負の関連性を示し、iii)577XX遺伝子型が持久力運動能力に対して正の関連性を示し、iv)577RX遺伝子型が雌性個体において短距離運動能力またはパワーパフォーマンスに対して正の関連性を示し、及びv)577RX遺伝子型が雌性個体において持久力運動能力に対して負の関連性を示す、方法。ACTN3遺伝子における1747 C>T一塩基多型(SNP)について前記個体をスクリーニングする工程を包含する、請求項14に記載の方法。スポーツまたはスポーツ競技をヒト個体に対して選択する方法であって、a)運動能力に関連するヒトα-アクチニン-3(ACTN3)遺伝子のアミノ酸番号577をコードするコドンにおける遺伝的変異の存在について前記個体をスクリーニングする工程;およびb)短距離/パワー型のスポーツもしくは競技、またはさもなくば、持久力型のスポーツもしくは競技を、前記スクリーニングの結果に基づいて選択する工程を包含し、i)577RR遺伝子型が短距離運動能力またはパワーパフォーマンスに対して正の関連性を示し、ii)577XX遺伝子型が短距離運動能力またはパワーパフォーマンスに対して負の関連性を示し、iii)577XX遺伝子型が持久力運動能力に対して正の関連性を示し、iv)577RX遺伝子型が雌性個体において短距離運動能力またはパワーパフォーマンスに対して正の関連性を示し、及びv)577RX遺伝子型が雌性個体において持久力運動能力に対して負の関連性を示す、方法。ACTN3遺伝子における1747 C>T一塩基多型(SNP)について前記個体をスクリーニングする工程を包含する、請求項16に記載の方法。配列表