生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_タンパク質およびグルコース脱水素酵素の精製方法
出願番号:2004534105
年次:2010
IPC分類:C12N 9/04,C12N 1/20,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

山岡 秀亮 黒坂 啓介 川瀬 至道 JP 4537850 特許公報(B2) 20100625 2004534105 20030820 タンパク質およびグルコース脱水素酵素の精製方法 アークレイ株式会社 000141897 ユニチカ株式会社 000004503 吉田 稔 100086380 田中 達也 100103078 山岡 秀亮 黒坂 啓介 川瀬 至道 JP 2002253742 20020830 20100908 C12N 9/04 20060101AFI20100819BHJP C12N 1/20 20060101ALN20100819BHJP C12N 15/09 20060101ALN20100819BHJP JPC12N9/04 DC12N1/20 AC12N15/00 A C12N 9/04 C07K 1/14-1/22 CA(STN) BIOSIS/WPI(DIALOG) 特開昭57−068138(JP,A) 国際公開第02/036779(WO,A1) IMAI Y.,J. BIOCHEM.,1976年,V80 N2,P267-276 SHIMOMURA Y.,ANALYTICAL BIOCHEMISTRY,1986年,V153,P126-131 Can. J. Biochem.,1982年,Vol.60, No.11,p.1025-1031 19 FERM BP-7306 JP2003010540 20030820 WO2004022732 20040318 18 20060704 吉田 知美 本発明は、液体クロマトグラフィーを利用して、タンパク質を精製する方法に関する。この精製方法は、たとえば電子伝達タンパク質が結合したグルコース脱水素酵素を精製する際に利用されるものである。 特定の基質に対して特異的に反応する酵素を用いたバイオセンサの開発は、産業の分野を問わず盛んに行われている。バイオセンサの代表的なものとしては、主に医療分野で使用されるグルコースセンサが挙げられる。 グルコースセンサは、酵素と電子伝達物質を含む反応系を構築するためのものであり、このグルコースセンサを利用する場合には、たとえばアンペロメトリックな手法を用いてグルコースが定量される。酵素としては、グルコースオキシダーゼ(GOD)やグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)が使用されている。 GODは、グルコースに対する基質特異性が高くて熱安定性に優れており、酵素の量産化が可能であるために生産コストが他の酵素と比べて安価であるといった利点がある。その反面、GODを使用した系は、測定サンプル中の溶存酸素の影響を受けやすいため、溶存酸素が測定結果に影響を及ぼすといった問題がある。 一方、GDHを使用した系は、測定サンプル中の溶存酸素の影響を受けにくい。このため、GDHを使用した系は、酸素分圧が低い環境下で測定を行ったり、酸素量が多く要求される高濃度サンプルを測定する場合であっても、精度よくグルコース濃度を測定することができる。その反面、GDHは、熱安定性が悪く、基質特異性がGODよりも劣るといった問題点がある。 このような事情から、GODとGDHの双方の欠点を補う酵素が模索されていた。早出は、国際公開WO02/36779号公報に開示されているように、温泉付近の土壌から新規菌株(ブルクホルデリア・セパシアKS1株)を分離し、この菌株から新しいGDHを取得した。このGDHは、α,β,γサブユニットからなるものであり(以下「CyGDH」という)、電子伝達物質との反応速度が高く、耐熱性の面でも問題がないものであり、グルコースセンサ用としては好適なものであった。 CyGDHをグルコースセンサに応用する場合には、CyGDHを含む酵素溶液から、CyGDHを精製する必要がある。酵素の精製には、通常、液体クロマトグラフィーが利用されている。そのため、本発明者らは、常法にしたがって、疎水クロマトグラフィーおよび陰イオン交換クロマトグラフィーを併用して酵素溶液の精製を試みた。ところが、精製酵素液をSDS−PAGEで確認したところ、α,β,γサブユニット以外に多くのタンパク質が含まれており、CyGDHを純度良く精製することができなかった。 本発明は、タンパク質の新規な精製方法を提供することを目的としている。 本発明の第1の側面により提供されるタンパク質の精製方法は、目的タンパク質が溶解したタンパク質溶液から、液体クロマトグラフィーを利用して前記目的タンパク質を精製する方法であって、前記液体クロマトグラフィーは、充填剤が充填された充填槽に前記タンパク質溶液を導入し、前記充填剤に対して前記目的タンパク質を保持させる第1ステップと、ヒドロキシコラン酸塩を含む溶離液を用いて、前記充填剤から前記目的タンパク質を溶離させる第2ステップと、を含んでいる。 なお、本明細書においては、「液体クロマトグラフィー」という場合には、特段の限定がない限りは、カラムを用いてフロー(連続式)で精製する場合の他、バッチ式でタンパク質を精製する場合も含まれる。バッチ式の精製方法としては、たとえば容器内に充填剤とタンパク質溶液とを共存させて充填剤に目的タンパク質を結合させた後に充填剤を分離し、この充填剤を溶離液に接触させて充填剤から目的タンパク質を分離して回収する方法が挙げられる。 精製対象となる目的タンパク質としては、たとえば電子伝達タンパク質を含むものが挙げられる。典型的には、目的タンパク質としては、電子伝達タンパク質とグルコース脱水素活性を有するタンパク質とを含んだグルコース脱水素酵素を例示することができる。 充填剤としては、たとえばイオン交換樹脂が使用され、イオン交換クロマトグラフィーによってタンパク質が精製される。この場合、イオン交換樹脂としては、たとえば4級アンモニウム基をイオン交換基として有しているものが使用される。 ここで、「ヒドロキシコラン酸」とは、コラン酸の3水和物であるコール酸および広義での誘導体をさすものとし、ヒドロキシコラン酸塩としては、コール酸塩、グリコウルソデオキシコール酸塩、タウログリコウルソデオキシコール酸塩、タウロウルソデオキシコール酸塩、ウルソデオキシコール酸塩、グリココール酸塩、タウロコール酸塩、グリコケノデオキシコール酸塩、タウロケノデオキシコール酸塩、グリコデオキシコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、ケノデオキシコール酸塩、デオキシコール酸塩、グリコリトコール酸塩、タウロリトコール酸塩、リトコール酸塩などが挙げられる。その中でも、コール酸塩、たとえばコール酸ナトリウムを使用するのが好ましい。 充填剤からの目的タンパク質の溶離は、溶離液におけるヒドロキシコラン酸塩の濃度を一定にして行うのが好ましい。この場合、溶離液におけるヒドロキシコラン酸塩の濃度は、0.5〜2.5重量%の範囲、さらに好ましくは0.8〜1.2重量%の範囲から選択するのが好ましい。このような手法は、バッチ式で目的タンパク質の溶離を行う場合に限らず、連続式で目的タンパク質の溶離を行う場合にも適用される。また、溶離液におけるヒドロキシコラン酸塩の濃度を時間とともに変化させて目的タンパク質の溶離を行うこともできる。この場合、溶離液の濃度の上限は、たとえば3重量%以下、さらに好ましくは1.5重量%、最も好ましくは1重量%とされる。すなわち、溶離液の濃度変化は、たとえば0〜3重量%の範囲、さらに好ましくは0〜1.5重量%の範囲、最も好ましくは0〜1.0重量%の範囲で行われる。 電子伝達タンパク質は、たとえば還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動における分子量が約43kDaである。一方、グルコース脱水素活性を有するタンパク質は、還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動における分子量が約60kDaである。このような電子伝達タンパク質およびサブユニットを含むグルコース脱水素酵素は、たとえばグルコース脱水素酵素を産生する能力を有するブルクホルデリア属に属する微生物から、あるいは形質転換体から取得することができる。 本発明で採用されるブルクホルデリア属に属する微生物は、本酵素の生産能を有するブルクホルデリア属に属する微生物であれば特に制限されないが、ブルクホルデリア・セパシア、特にブルクホルデリア・セパシアKS1株(以下、単に「KS1株」という)が好ましい。このKS1株は、平成12年9月25日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305−8566日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に微生物受託番号第FERM BP−7306として寄託されている。 形質転換体は、たとえばブルクホルデリア属に属する微生物から取得した電子伝達タンパク質およびグルコース脱水素活性を有するタンパク質をコードする配列を含むDNAを、宿主微生物に導入することにより形成することができる。宿主微生物としては、シュードモナス属に属する微生物(とくにシュードモナス・プチダ)または大腸菌を使用するのが好ましい。 国際公開WO02/36779号公報などに開示されているように、KS1株由来のグルコース脱水素酵素は、サブユニット(αサブユニット)および電子伝達タンパク質(βサブユニット)に加えて、還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動における分子量が約14kDaであるγサブユニットを有するものとして産生される。 γサブユニットをαサブユニットとともに発現させると、αサブユニットのみを発現させた場合に比べて高い酵素活性が得られることが早出によって確認されている。したがって、酵素活性の観点からは、γサブユニットを発現させるのが好ましく、前記DNAにおいては、γサブユニットの構造遺伝子は、αサブユニットの上流域に含ませておくのが好ましい。そうすれば、形質転換体においては、αサブユニットを産生する際に、先ずγサブユニットが発現されてタンパク質として存在することにより微生物体内で効率良くαサブユニットを産生することができるものと考えられる。 本発明の第2の側面においては、疎水クロマトグラフィーと陰イオン交換クロマトグラフィーとを組み合わせてグルコース脱水素酵素を精製する方法であって、前記疎水クロマトグラフィーは、固定相に前記グルコース脱水素酵素を保持させるステップと、不要なタンパク質を溶出させるステップと、ヒドロキシコラン酸塩を含む溶離液を用いて前記グルコース脱水素酵素を溶出させるステップと、を含み、前記陰イオン交換クロマトグラフィーは、固定相に前記グルコース脱水素酵素を保持させるステップと、ヒドロキシコラン酸塩を含む溶離液を用いて前記グルコース脱水素酵素を溶出させるステップと、を含むことを特徴とする、グルコース脱水素酵素の精製方法が提供される。 疎水クロマトグラフィーにおいては、たとえばグルコース脱水素酵素の溶出は、溶離液におけるヒドロキシコラン酸塩の濃度を時間とともに変化させて行われる。一方、陰イオン交換クロマトグラフィーにおいては、たとえばグルコース脱水素酵素の溶出は、溶離液におけるヒドロキシコラン酸塩の濃度を一定にして行われる。また、溶離液におけるヒドロキシコラン酸塩の濃度を時間とともに変化させて目的タンパク質の溶離を行うこともできる。この場合、溶離液の濃度の上限は、たとえば3重量%以下、さらに好ましくは1.5重量%、最も好ましくは1重量%とされる。すなわち、溶離液の濃度変化は、たとえば0〜3重量%の範囲、さらに好ましくは0〜1.5重量%の範囲、最も好ましくは0〜1.0重量%の範囲で行われる。 本発明のグルコース脱水素酵素の精製方法では、疎水クロマトグラフィーを行った後に、前記陰イオン交換クロマトグラフィーを行うのが好ましい。 グルコース脱水素酵素は、たとえばグルコース脱水素酵素を産生する能力を有するブルクホルデリア属に属する微生物が産生したものである。ブルクホルデリア属に属する微生物は、たとえばKS1株である。 グルコース脱水素酵素は、形質転換体が産生したものであってもよい。形質転換体は、グルコース脱水素酵素を産生する能力を有するブルクホルデリア属に属する微生物から取得した前記グルコース脱水素酵素をコードするDNAを、宿主微生物に導入することにより形成することができる。宿主微生物としては、たとえばシュードモナス・プチダまたは大腸菌を用いることができる。 本発明のグルコース脱水素酵素の精製方法では、陰イオン交換クロマトグラフィーを、4級アンモニウム基をイオン交換基として有するイオン交換樹脂を用いて行い、ヒドロキシコラン酸塩としてコール酸塩を用いるのが好ましい。図1は、シュードモナス・プチダの形質転換体から得た粗酵素溶液を、溶離剤としてコール酸Naを用いて精製した酵素のSDS−PAGEの結果を示したものである。図2は、シュードモナス・プチダの形質転換体から得た粗酵素溶液を、溶離剤としてNaClまたはKClを用いて精製した酵素のSDS−PAGEの結果を示したものである。図3は、大腸菌の形質転換体から得た粗酵素溶液を溶離剤としてコール酸Naを用いて精製した酵素のSDS−PAGEの結果について、シュードモナス・プチダの形質転換体およびKS1株から得た粗酵素溶液を精製した酵素とともに示したものである。 以下、本発明に係るタンパク質の精製方法について、グルコース脱水素酵素(以下、「GDH」という)を精製する場合を例にとって具体的に説明する。 グルコース脱水素酵素の精製にあたっては、まず、酵素溶液を準備する。酵素溶液は、グルコース脱水素酵素を産生する微生物やその培養液から採取してもよいし、この微生物から取得したDNAを導入した形質転換体やその培養液から採取してもよい。 酵素溶液は、GDHが菌体内に存在する場合には、ろ過または遠心分離などの手段により培養液から菌体を採取した後、この菌体を機械的方法またはリゾチームなどの酵素的方法で破壊し、必要に応じてEDTAなどのキレート剤および界面活性剤を添加してGDHを可溶化することにより得ることができる。一方、GDHが菌体外(培養液中)に存在する場合には、酵素溶液は、ろ過または遠心分離などの手段により培養液から菌体を分離することにより得ることができる。 グルコース脱水素酵素を産生する微生物としては、たとえばブルクホルデリア属に属する微生物、とくにブルクホルデリア・セパシアが好ましく使用される。このブルクホルデリア・セパシアからは、たとえば可溶化膜画分として酵素溶液を採取することができる。可溶化膜画分は、たとえば培養液を遠心分離して得られる菌体を破砕して細胞抽出液を採取し、この細胞抽出液を遠心分離して得られる上清を超遠心することにより沈殿物として得ることができる。菌体の破砕は、常法に従い、機械的方法または酵素的方法により行うことができる。 形質転換体は、たとえばαサブユニット(グルコース脱水素活性を有するタンパク質)およびβサブユニット(電子伝達タンパク質)の発現をコードする配列を含むDNAを取得した後、このDNAを含む組み換えベクターを、宿主微生物に導入することにより形成される。 DNAの取得にあたっては、まず組み換えベクターが構築される。この組み換えベクターは、グルコース脱水素活性を有する酵素を産生する微生物から染色体DNAを分離・精製した後、この染色体DNAを切断した染色体DNA断片またはPCRなどにより増幅させたDNA断片と、リニアーな発現ベクターとを結合閉鎖させることにより構築することができる。 宿主微生物としては、大腸菌をはじめとする腸内細菌群、シュードモナス属やグルコノバクター属などのグラム陰性菌、バチルス・サブチリスなどのバチルス属細菌をはじめとするグラム陽性菌、サッカロマイセス・セビシエなどの酵母、アスペルギルス・ニガーなどの糸状菌が挙げられる。その中でもとくに、大腸菌およびシュードモナス属に属する微生物(たとえばシュードモナス・プチダ)が好ましく使用される。微生物の形質転換は、例えばエシェリヒア属細菌ではカルシウム処理によるコンピテントセル法、バチルス属細菌ではプロトプラスト法、酵母ではKU法やKUR法、糸状菌ではマイクロマニュピレーション法等の方法によって行うことができる。形質転換する方法としては、エレクトロポーレーション法を用いることもできる。 酵素溶液の精製は、液体クロマトグラフィーを利用して行われる。液体クロマトグラフィーによる精製においては、目的とする精製の程度が得られるように、液体クロマトグラフィーの種類、回数、組み合わせが選択される。液体クロマトグラフィーとしては、ゲルろ過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、およびアフィニティクロマトグラフィーを挙げることができる。 液体クロマトグラフィーは、カラム内に形成した固定相に目的タンパク質を保持させた後に、連続的に溶離液を供給して目的タンパク質を溶離させて回収してもよいし、バッチ式で行ってもよい。バッチ式では、たとえば容器内に充填剤と目的タンパク質を含んだ試料とを供給して充填剤に目的タンパク質を保持させた後に不純物を除去し、溶離液を供給して充填剤から目的タンパク質を溶離させ、目的タンパク質が回収される。 溶離液としては、溶離剤としてのヒドロキシコラン酸塩を含む溶液が使用される。複数回の液体クロマトグラフィーにより目的タンパク質を精製する場合には、少なくとも一回の液体クロマトグラフィーにおいて、溶離液としてヒドロキシコラン酸塩が使用される。この場合、最後に行う液体クロマトグラフィーにおいて、溶離液としてヒドロキシコラン酸塩を使用するのが好ましい。 ヒドロキシコラン酸塩としては、コール酸塩、グリコウルソデオキシコール酸塩、タウログリコウルソデオキシコール酸塩、タウロウルソデオキシコール酸塩、ウルソデオキシコール酸塩、グリココール酸塩、タウロコール酸塩、グリコケノデオキシコール酸塩、タウロケノデオキシコール酸塩、グリコデオキシコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、ケノデオキシコール酸塩、デオキシコール酸塩、グリコリトコール酸塩、タウロリトコール酸塩、リトコール酸塩などが挙げられる。その中でも、コール酸塩、たとえばコール酸ナトリウムを使用するのが好ましい。 溶離液は、この液中のヒドロキシコラン酸塩の濃度を一定にして充填剤と接触させてもよいし、ヒドロキシコラン酸塩の濃度を時間とともに直線的に変化させて供給してもよい。 液体クロマトグラフィーは、酵素溶液から直接行ってもよいが、酵素溶液中の目的タンパク質を濃縮した後に行ってもよい。濃縮は、たとえば減圧濃縮、膜濃縮、塩析処理、あるいは親水性有機溶媒(たとえばメタノール、エタノール、アセトン)による分別沈殿法、加熱処理、等電点処理により行うことができる。 このようにして得られた精製酵素は、たとえば凍結乾燥、真空乾燥、スプレードライにより粉末化して市場に流通させることができる。 以下においては、上述した製造方法の具体的な例について説明するとともに、溶離剤としてコール酸Naを用いた場合には、溶離剤としてNaClやKClを用いる場合に比べて、効率よくGDHを精製できることを実証する。 <酵素溶液の取得方法>(1)ブルクホルデリア・セパシアKS1株からの酵素溶液の取得ブルクホルデリア・セパシアKS1株の培養は、好気的培養条件で行った。より具体的には、KS1株の培養は、培養液1L当たりの組成が表1となるように調整された培地20Lを用いて、34℃で8時間行った。 次いで、本培養液20Lを4℃、10分間、9000×gで遠心分離することにより約250gの菌体を得た。回収菌体は、凍結させた後に10mMリン酸緩衝液(pH6)に懸濁させ、高圧ホモジナイザー(Rannie社 デンマーク)を用いて500barの圧力で数回通液して菌体膜を破砕した。菌体膜を破砕することにより得られた細胞抽出液は、GDH活性が60kUであった。この細胞抽出液を8000×gで60分間、遠心分離して細胞固形物を除去した。さらに、その上清を10℃で17万×g、1時間の超遠心分離を行い、沈澱物としての膜画分を回収した。 膜画分は、最終濃度でコール酸Naが1.5%、KClが0.1Mとなるように、10mMリン酸緩衝液(pH6)で再分散させ、4℃で一夜撹拌した。その結果、30kUのGDHを含む膜画分懸濁液が得られた。この膜画分懸濁液を10℃で17万×g、90分間、超遠心分離することにより沈殿を除去し、GDHを含有する可溶化膜画分(GDH活性が26kU)を得た。この可溶化膜画分を10mMリン酸緩衝液(pH6)で3夜透析し、生成した不溶物を10℃で17万×g、90分間の超遠心分離により沈殿として除去した。得られた上清(可溶化GDH画分)中のGDHは、活性が28kU、比活性が6.8U/mgであった。 (2)形質転換体からの粗酵素溶液の取得以下の実施例および比較例における精製を行うに当たって、宿主の異なる2種類の形質転換体のそれぞれから粗酵素溶液を取得した。 形質転換体の形成に当たっては、まず、α,β,γサブユニットをコードする配列を含むDNAを、常法にしたがってKS1株から取得した。 次いで、得られたDNAをベクタープラスミドに挿入してGDH発現用プラスミドを形成し、これを宿主微生物に導入して形質転換した。 宿主としては、シュードモナス・プチダKT2440株(ATCC47054)および大腸菌BL21株を使用した。 宿主としてシュードモナス・プチダKT2440株を用いる場合には、GDH遺伝子を挿入するベクタープラスミドとしてRSF1010を用い、大腸菌BL21株を用いる場合には、ベクタープラスミドとしてpTrc99Aを用いた。また、宿主として大腸菌を用いる場合には、チトクロムC成熟化(Cytochrome C maturation:ccm)遺伝子群を常時発現させた。まず、大腸菌ccm遺伝子群をコードする配列を含むDNAを、常法にしたがってJM109株から取得し、これをベクタープラスミドに挿入してccm発現用プラスミドを形成した。このときにベクタープラスミドとしてpBBR122を用いた。次に、GDH発現用プラスミドを導入済みの宿主大腸菌にccm発現用プラスミドを導入して形質転換した。 それぞれの形質転換体については、別個に培養した。 シュードモナス・プチダの形質転換体の場合は、通常通りの好気的条件で20Lの培養液中において行った。培養液の組成は、3.2%ポリペプトン、2%酵母エキス、0.5%NaCl、2%グリセロール、0.05mL/LアデカノールLG−126(旭電化 東京)、50μg/mLストレプトマイシン(pH7.0)とした。培養液に対しては、200mLの前培養液を植菌し、34℃で培養開始した。培養開始から4時間後には、0.2mMとなるようにIPTG(Isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)を添加して更に20時間培養を行って本培養液を得た。本培養液をシャープレス型遠心分離器で遠心分離し、シュードモナスプチダの形質転換体については約800gの菌体を得た。 大腸菌の形質転換体の場合も、培養は通常通りの好気的条件で2Lの培養液中にて行った。培養液の組成は、3.2%ポリペプトン、2%酵母エキス、0.5%NaCl、2%グリセロール、0.05mL/LアデカノールLG−126(旭電化 東京)、50μg/mLアンピシリン、50μg/mLカナマイシン(pH7.0)とした。培養液に対しては、50mLの前培養液を植菌し、30℃で29時間培養した。培養液からは、遠心分離により大腸菌の形質転換体が約85g得られた。 次いで、得られた菌体(形質転換体)は、10mMリン酸緩衝液(pH8)に懸濁させ、高圧ホモジナイザー(500bar)を用いて破砕した後、マイドール12(花王 東京)およびKClを、それぞれを1%および0.1Mとなるように添加して30分間撹拌した。次に、遠心分離(8000×g、60分、10℃)により沈殿として細胞固形物を除去し、上清として粗酵素液を得た。 粗酵素液は、シュードモナス・プチダの形質転換体については、GDH活性が2930kU、比活性が22U/mgであり、大腸菌の形質転換体についてはGDH活性が259kU、比活性が10.3U/mgであった。 <グルコース脱水素活性の測定方法>グルコース脱水素活性は、グルコースの脱水素化に基づく、電子受容体の還元反応を追跡することにより行った。電子受容体としては、2,6−ジクロロフェノルインドフェノル(DCIP)及びフェナジンメトサルフェート(PMS)を用いた。 具体的には、まず20mMグルコース、2mM PMSおよび0.1mM DCIPを含む47mMリン酸緩衝液(pH6.0)900μLを分光光度計のセルに入れ、37℃で3分間プレインキュベーションした。次に、0.5〜10μLの酵素溶液を添加して、直ちに転倒混和して反応を開始させ、波長が600nmのときの吸光度低下を37℃において経時的に測定した。DCIPの吸収波長は600nmであり、吸光度低下はグルコースの脱水素化に基づく、電子受容体の還元反応によるものである。 ここで、吸光度の演算にあたっては、DCIPのモル吸光係数を4.76mM/cmとした。酵素1単位(U)は、標準測定条件下で1分毎に1μMのグルコースを酸化する量と定義した。タンパク質濃度は、UV法を用いて測定し、280nmにおける吸収が1の場合のタンパク質濃度を1g/Lと定義した。[実施例1]本実施例では、上述した手法によりKS1株から得た酵素溶液(可溶化GDH画分)を、疎水クロマトグラフィーおよび陰イオン交換クロマトグラフィーを組み合わせて精製した。 疎水クロマトグラフィーは、60mMリン酸緩衝液(pH6)によって予め平衡化しておいたOctyl sepharose 4 Fast Flowカラム(44mmID×20cmアマシャムバイオサイエンス)を用いて行った。カラムに対しては、最終濃度が60mMとなるように1Mリン酸緩衝液(pH6)を加えて調製した可溶化GDH画分(酵素溶液)を供給した。続いて、60mMリン酸緩衝液(pH6)を600mL、20mMリン酸緩衝液(pH8)を900mL通液した後に、強固に吸着したGDHを、溶離液を通液することにより溶出させた。溶離液としては、20mMリン酸緩衝液(pH8)中のコール酸Naを溶解させたものを使用した。溶離液は、コール酸Naの濃度が0〜1重量%の範囲において直線的に変化するように、流速を15mL/minとして供給した。 その結果、GDHは、コール酸Naの濃度が約0.8重量%のときに溶出され、GDH活性を有する画分が340mL回収できた。この回収画分(Octyl回収画分)の活性を測定したところ、比活性108U/mg、総活性16kUであった。 陰イオン交換クロマトグラフィーは、20mMリン酸緩衝液(pH8)によって予め平衡化しておいたQ sepharose Fast Flowカラム(32mmID×12cmアマシャムバイオサイエンス)を用いて行った。このカラムに対しては、Octyl回収画分を供給した後、溶離液を供給した。溶離液としては,1重量%コール酸Naを含有する20mMリン酸緩衝液(pH8)を用いた。溶離液は、流速を8mL/minとして600mL供給した。 その結果、GDHは、溶離液を300mL通液した辺りで特異的に溶出され、GDH活性を有する画分を340mL回収できた。この回収画分(Q回収画分)の活性を測定したところ、比活性770U/mg、総活性14kUであった。 なお、各操作後における液量、総活性、比活性、収率をまとめたものを、下記表2に示した。[実施例2]本実施例では、シュードモナス・プチダの形質転換体から得た粗酵素溶液を、疎水クロマトグラフィーおよび陰イオン交換クロマトグラフィーを組み合わせて精製した。 疎水クロマトグラフィーでは、まず、0.1MのKClを含む10mMリン酸緩衝液(pH8)によって予め平衡化しておいたPhenyl cellulofineカラム(300mmID×10cmチッソ、東京)に対して、粗酵素液を供給して充填剤にGDHを保持させた。次に、0.1MのKClを含む10mMリン酸緩衝液(pH8)を7L、10mMリン酸緩衝液(pH8)を21L通液した後に、強固に吸着したGDHを1溶離液を通液することにより溶出させた。溶離液としては、20mMリン酸緩衝液(pH8)中にコール酸Naを溶解させたものを使用した。溶離液は、コール酸Naの濃度が0〜1重量%の範囲において直線的に変化するように、流速を7L/hrとして供給した。 その結果、GDHは、コール酸Naの濃度が約0.9重量%のときに溶出され、活性画分が7300mL回収された。この回収画分(Phenyl回収画分)の活性を測定したところ、比活性204U/mg、総活性596kUであった。 陰イオン交換クロマトグラフィーは、10mMリン酸緩衝液(pH8)で予め平衡化しておいたQ sepharose Fast Flowカラム(44mmID×20cmアマシャムバイオサイエンス)を用いて行った。このカラムに対しては、Phenyl回収画分を供給した。Phenyl回収画分は、分画分子量50000のラボモジュール(旭化成 東京)を用いて10mMリン酸緩衝液(pH8)にバッファー置換した後にカラムに供給した。次に、カラムに対して10mMリン酸緩衝液(pH8)を600mLを供給した後、溶離液を供給した。溶離液としては、1重量%コール酸Naを含有する10mMリン酸緩衝液(pH8)を用いた。溶離液は、流速を10mL/minとして供給した。 その結果、GDHは、溶離液を1400mL通液した辺りで特異的に溶出され、315mLの活性画分が回収された。この活性画分(Q回収画分)の活性を測定したところ、比活性1283U/mg、総活性が390kUであった。 なお、各操作後における液量、総活性、比活性、収率をまとめたものを、下記表3に示した。 本実施例ではさらに、Phenyl回収画分およびQ回収画分をSDS−PAGEで電気泳動を行った。SDS−PAGEは、Tris−Tricine緩衝液を用いて8−25%ポリアクリルアミドの勾配ゲル中で実施した。ゲル中を泳動したタンパク質については、CBB染色を施した。SDS−PAGE電気泳動の結果は、図1に示した。同図においては、レーン2がPhenyl回収画分のCBB染色を、レーン3がQ回収画分のCBB染色をそれぞれ示している。[実施例3] 本実施例では、シュードモナス・プチダの形質転換体から得た粗酵素溶液を、疎水クロマトグラフィーおよび陰イオン交換クロマトグラフィーを組み合わせて精製した。 疎水クロマトグラフィーは、実施例2と同様にして行い、回収溶液を限外濃縮し、比活性300U/mg、総活性が21kUであるPhenyl回収画分を701mL得た。 陰イオン交換クロマトグラフィーは、10mMリン酸緩衝液(pH8)によって予め平衡化しておいたQAE−トヨパール550カラム(44mmID×10cm東ソー 東京)を用いて行った。このカラムに対しては、Phenyl回収画分を供給した後に、溶離液を供給した。溶離液としては、1重量%コール酸Naを含有する10mMリン酸緩衝液(pH8)を用いた。溶離液は、流速を5mL/minとして2000mL供給した。 その結果、GDHは、溶離液を1600mL通液した辺りで特異的に溶出され、300mLの活性画分が回収された。この活性画分(QAE回収画分)の活性を測定したところ、比活性1500U/mg、総活性が7.8kUであった。 なお、各操作後における液量、総活性、比活性、収率をまとめたものを、下記表4に示した。 本実施例ではさらに、実施例2と同様な手法によりQAE回収画分をSDS−PAGEで電気泳動を行った後、タンパク質についてCBB染色を施した。SDS−PAGE電気泳動の結果は、図1に示した。同図においては、レーン4がQAE回収画分を示している。[比較例1] 本比較例では、シュードモナス・プチダの形質転換体から得た粗酵素溶液を、疎水クロマトグラフィーおよび陰イオン交換クロマトグラフィーを組み合わせて精製した。 疎水クロマトグラフィーは、実施例2と同様にして行い、比活性314U/mg、総活性が256kUであるPhenyl回収画分を7200mL得た。ただし、本比較例では、Phenyl回収画分うちの総活性39kUに相当する1100mL(Qアプライ)について、次に説明する陰イオン交換クロマトグラフィーを行った。 陰イオン交換クロマトグラフィーは、10mMリン酸緩衝液(pH8)によって予め平衡化しておいたQ sepharose Fast Flowカラム(44mmID×13cmアマシャムバイオサイエンス)を用いて行った。このカラムに対しては、Qアプライを供給した。その後、カラムに800mLの10mMリン酸緩衝液(pH8)を通液して非吸着タンパク質を洗い流した。次いで、カラムに対して溶離液を供給した。溶離液としては、10mMリン酸緩衝液(pH8)中にNaClを溶解させたものを使用した。溶離液は、NaClの濃度が0〜0.6Mの範囲において直線的に変化するように、流速を7.5mL/minとして供給した。 その結果、GDHは、NaCl濃度が約0.25Mと約0.4Mの2箇所に溶出し、140mLおよび360mLの活性画分が回収された。これらの活性画分(Q回収画分(1)およびQ回収画分(2))のそれぞれについて活性を測定したところ、Q回収画分(1)は比活性600U/mg、総活性4.5kU、Q回収画分(2)は比活性432U/mg、総活性12kUであった。 なお、各操作後における液量、総活性、比活性、収率をまとめたものを、下記表5に示した。 本比較例ではさらに、実施例2と同様な手法によりPhenyl回収画分およびQ回収画分(2)をSDS−PAGEで電気泳動を行った後、タンパク質についてCBB染色を施した。SDS−PAGE電気泳動の結果は、図2に示した。同図においては、レーン2がPhenyl回収画分を、レーン3がQ回収画分(1)をそれぞれ示している。[比較例2] 本比較例では、比較例1で得られたPhenyl回収画分のうち、総活性74kUに相当する2100mL(QAEアプライ)から、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いてGDHを精製した。 陰イオン交換クロマトグラフィーは、10mMリン酸緩衝液(pH8)によって予め平衡化しておいたQAE−トヨパール550カラム(44mmID×10cm東ソー 東京)を用いて行った。このカラムに対しては、まずQAE回収画分(総活性74kU)を供給した。次いで、800mLの10mMリン酸緩衝液(pH8)を通液して非吸着タンパク質を洗い流した。その後、カラムに対して溶離液を供給した。溶離液としては、10mMリン酸緩衝液(pH8)中にKClを溶解させたものを使用した。溶離液は、KClの濃度が0〜1Mの範囲において直線的に変化するように、流速を5mL/minとして供給した。 その結果、GDHは、KClの濃度が約0.23Mと約0.43Mの2箇所に溶出し、200mLおよび400mLの活性画分が回収された。これらの活性画分(QAE回収画分(1)およびQAE回収画分(2))のそれぞれについて活性を測定したところ、QAE回収画分(1)は比活性399U/mg、総活性7.4kU、QAE回収画分(2)は比活性217U/mg、総活性6.4kUであった。 なお、各操作後における液量、総活性、比活性、収率をまとめたものを、下記表6に示した。 本比較例ではさらに、実施例2と同様な手法によりQAE回収画分(2)をSDS−PAGEで電気泳動を行った後、タンパク質についてCBB染色を施した。SDS−PAGE電気泳動の結果は、図2に示した。同図においては、レーン4がQAE回収画分(2)を示している。[実施例4] 本実施例では、大腸菌の形質転換体から得られた粗酵素溶液を、疎水クロマトグラフィーおよび陰イオン交換クロマトグラフィーを組み合わせて精製した。 疎水クロマトグラフィーは、Octyl sepharose 4 Fast Flowカラムを用いて、実施例1と同様な条件において行った。 その結果、GDHは、コール酸Naの濃度が約0.8重量%のときに溶出され、GDH活性を有する画分が220mL回収できた。この回収画分(Octyl回収画分)の活性を測定したところ、比活性503U/mg、総活性149kUであった。 陰イオン交換クロマトグラフィーは、Q sepharose Fast Flowカラムを用いて、実施例1と同様な条件において行った。 その結果、GDHは、溶離液を500mL通液した辺りで特異的に溶出され、GDH活性を有する画分を175mL回収できた。この回収画分(Q回収画分)の活性を測定したところ、比活性1147U/mg、総活性50kUであった。 なお、各操作後における液量、総活性、比活性、収率をまとめたものを、下記表7に示した。 本実施例ではさらに、実施例2と同様な手法によりQ回収画分をSDS−PAGEで電気泳動を行った後、タンパク質についてCBB染色を施した。SDS−PAGE電気泳動の結果は、図3に示した。同図においては、レーン3が本実施例のQ回収画分を示している。図3においては、実施例1におけるQ回収画分(レーン2)および実施例2におけるQ回収画分(レーン4)についても同時に電気泳動を行っている。 <結果の検討>表2〜表7から分かるように、溶離剤としてコール酸Naを用いてGDHを溶出させた場合には(実施例1から4)、溶離剤としてNaClやKClを用いてGDHをグラジエント溶出させた場合(比較例1および2)に比べ、最終的な比活性が高く、効率よくGDHが精製されている。この点については、図1および図2にも明確に表れている。すなわち、KS1株由来のGDHは、α,β,γサブユニットからなるが、これらのサブユニットの還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動における分子量は、それぞれ約60kDa、約43kDa,および約14kDaである。この点を踏まえて図1および図2をみれば、実施例2および3で得られる回収画分では、比較例1および2で得られる回収画分に比べて、α,β,γサブユニットに相当するバンドが大きく、その他の分子量のタンパク質が少なくなっている。したがって、疎水クロマトグラフィーや陰イオン交換クロマトグラフィーを組み合わせてGDHを精製する際に、コール酸Naを用いてGDHを溶出させた場合には、効率よくGDHが精製できるといえる。 また、図3から分かるように、宿主を大腸菌とした形質転換体からの粗酵素を用いた場合には、γサブユニットに相当するバンドが小さいものの、α,βサブユニットに相当するバンドが他の粗酵素溶液を用いる場合に比べて大きくなっている。また、大腸菌は、安価かつ入手容易であるともに、自己増殖性に優れたものである。したがって、工業的な応用を考えた場合には、大腸菌を宿主とする形質転換体から粗酵素溶液を得、この粗酵素溶液を精製してGDHを得る方法は有用であるといえる。 目的タンパク質が溶解したタンパク質溶液から、疎水クロマトグラフィーおよび陰イオン交換クロマトグラフィーを利用して前記目的タンパク質を精製する方法であって、 前記疎水クロマトグラフィーを行い、その後に前記陰イオン交換クロマトグラフィーを行い、 前記疎水クロマトグラフィーは、 第1充填剤が充填された充填槽に前記タンパク質溶液を導入し、前記第1充填剤に対して前記目的タンパク質を保持させるステップと、 ヒドロキシコラン酸塩を含む溶離液を用いて、前記第1充填剤から前記目的タンパク質を溶離させるステップと、を含み、 前記陰イオン交換クロマトグラフィーは、 第2充填剤が充填された充填槽に前記タンパク質溶液を導入し、前記第2充填剤に対して前記目的タンパク質を保持させるステップと、 ヒドロキシコラン酸塩を含む溶離液を用いて、前記第2充填剤から前記目的タンパク質を溶離させるステップと、を含む、タンパク質の精製方法であって、 前記目的タンパク質は、グルコース脱水素活性を有するタンパク質をサブユニットとして含み、且つ、電子伝達タンパク質をサブユニットとして含む、タンパク質の精製方法。 前記第2充填剤は、4級アンモニウム基をイオン交換基として有するイオン交換樹脂である、請求項1に記載のタンパク質の精製方法。 前記電子伝達タンパク質は、還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動における分子量が約43kDaであり、 前記グルコース脱水素活性を有するタンパク質は、還元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動における分子量が約60kDaである、請求項1または2に記載のタンパク質の精製方法。 前記ヒドロキシコラン酸塩は、コール酸塩である、請求項1から3のいずれか一つに記載のタンパク質の精製方法。 前記第2充填剤からの前記目的タンパク質の溶離は、前記溶離液におけるヒドロキシコラン酸塩の濃度を一定にして行われる、請求項1から4のいずれか一つに記載のタンパク質の精製方法。 前記溶離液におけるヒドロキシコラン酸塩の濃度は、0.5〜2.5重量%の範囲から選択される、請求項5に記載のタンパク質の精製方法。 目的タンパク質が溶解したタンパク質溶液から、疎水クロマトグラフィーおよび陰イオン交換クロマトグラフィーを利用して前記目的タンパク質を精製する方法であって、 前記疎水クロマトグラフィーを行い、その後に前記陰イオン交換クロマトグラフィーを行い、 前記疎水クロマトグラフィーは、 第1充填剤が充填された充填槽に前記タンパク質溶液を導入し、前記第1充填剤に対して前記目的タンパク質を保持させるステップと、 ヒドロキシコラン酸塩を含む溶離液を用いて、前記第1充填剤から前記目的タンパク質を溶離させるステップと、を含み、 前記陰イオン交換クロマトグラフィーは、 第2充填剤が充填された充填槽に前記タンパク質溶液を導入し、前記第2充填剤に対して前記目的タンパク質を保持させるステップと、 ヒドロキシコラン酸塩を含む溶離液を用いて、前記第2充填剤から前記目的タンパク質を溶離させるステップと、を含む、タンパク質の精製方法であって、 前記目的タンパク質は、グルコース脱水素酵素を産生する能力を有するブルクホルデリア属に属する微生物が産生したグルコース脱水素酵素である、タンパク質の精製方法。 前記ブルクホルデリア属に属する微生物は、ブルクホルデリア・セパシアKS1株(FERM BP−7306)である、請求項7に記載のタンパク質の精製方法。 前記目的タンパク質は、形質転換体が産生したグルコース脱水素酵素であり、 この形質転換体は、グルコース脱水素酵素を産生する能力を有するブルクホルデリア属に属する微生物から取得した前記電子伝達タンパク質および前記グルコース脱水素活性を有するタンパク質をコードするDNAを、宿主微生物に導入して形成したものである、請求項1から8のいずれか一つに記載のタンパク質の精製方法。 前記宿主微生物は、シュードモナス・プチダである、請求項9に記載のタンパク質の精製方法。 前記宿主微生物は、大腸菌である、請求項9に記載のタンパク質の精製方法。 疎水クロマトグラフィーと陰イオン交換クロマトグラフィーとを組み合わせてグルコース脱水素酵素を精製する方法であって、 前記疎水クロマトグラフィーを行い、その後に前記陰イオン交換クロマトグラフィーを行い、 前記疎水クロマトグラフィーは、固定相に前記グルコース脱水素酵素を保持させるステップと、不要なタンパク質を溶出させるステップと、ヒドロキシコラン酸塩を含む溶離液を用いて前記グルコース脱水素酵素を溶出させるステップと、を含み、 前記陰イオン交換クロマトグラフィーは、固定相に前記グルコース脱水素酵素を保持させるステップと、ヒドロキシコラン酸塩を含む溶離液を用いて前記グルコース脱水素酵素を溶出させるステップと、を含んでいる、グルコース脱水素酵素の精製方法。 前記疎水クロマトグラフィーにおいては、前記グルコース脱水素酵素の溶出は、前記溶離液におけるヒドロキシコラン酸塩の濃度を時間とともに変化させて行われ、 前記陰イオン交換クロマトグラフィーにおいては、前記グルコース脱水素酵素の溶出は、前記溶離液におけるヒドロキシコラン酸塩の濃度を一定にして行われる、請求項12に記載のグルコース脱水素酵素の精製方法。 前記グルコース脱水素酵素は、グルコース脱水素酵素を産生する能力を有するブルクホルデリア属に属する微生物が産生したものである、請求項12または13に記載のグルコース脱水素酵素の精製方法。 前記ブルクホルデリア属に属する微生物は、ブルクホルデリア・セパシアKS1株(FERM BP−7306)である、請求項14に記載のグルコース脱水素酵素の精製方法。 前記グルコース脱水素酵素は、形質転換体が産生したものであり、この形質転換体は、グルコース脱水素酵素を産生する能力を有するブルクホルデリア属に属する微生物から取得した前記グルコース脱水素酵素をコードするDNAを、宿主微生物に導入して形成したものである、請求項12または13に記載のグルコース脱水素酵素の精製方法。 前記宿主微生物は、シュードモナス・プチダである、請求項16に記載のグルコース脱水素酵素の精製方法。 前記宿主微生物は、大腸菌である、請求項16に記載のグルコース脱水素酵素の精製方法。 前記陰イオン交換クロマトグラフィーは、4級アンモニウム基をイオン交換基として有するイオン交換樹脂を用いて行い、 前記ヒドロキシコラン酸塩としては、コール酸塩を用いる、請求項12から18のいずれか一つに記載のグルコース脱水素酵素の精製方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る