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タイトル:特許公報(B2)_スクラレオリドの前駆体の光学分割法
出願番号:2004525601
年次:2008
IPC分類:C07C 59/11,C07C 51/50,C07C 215/40,C07D 307/83,C07B 61/00


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アレクサンドル ウブー JP 4130822 特許公報(B2) 20080530 2004525601 20030724 スクラレオリドの前駆体の光学分割法 フイルメニツヒ ソシエテ アノニム 390009287 FIRMENICH SA 矢野 敏雄 100061815 山崎 利臣 100094798 久野 琢也 100099483 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 100114890 アレクサンドル ウブー IB PCT/IB02/03055 20020731 20080806 C07C 59/11 20060101AFI20080717BHJP C07C 51/50 20060101ALI20080717BHJP C07C 215/40 20060101ALI20080717BHJP C07D 307/83 20060101ALI20080717BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080717BHJP JPC07C59/11C07C51/50C07C215/40C07D307/83C07B61/00 300 C07C 59/11 C07C 51/50 C07C 215/40 C07C 215/08 CAplus(STN) REGISTRY(STN) Tetrahedron: Asymmetry,1998年,9,3819-3823 Chirality,2000年,12(1),16-25 10 IB2003002933 20030724 WO2004013069 20040212 2005534692 20051117 10 20050621 水島 英一郎 技術分野 本発明は有機合成の分野並びに、殊に式(I)又は(I′)[式中、Xは(2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル)メチルアンモニウムの光学活性エナンチオマーを表す]の化合物を、出発材料としてラセミ体の[(1RS,2RS,4aSR,8aSR)−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルデカヒドロナフタレン−1−イル]酢酸誘導体を使用して得るための方法に関する。 すなわち、本発明の方法は分割剤として2−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−プロパノールの光学活性エナンチオマーを使用する、ラセミ体の[(1RS,2RS,4aSR,8aSR)−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルデカヒドロナフタレン−1−イル]酢酸誘導体の光学分割に関する。 先行技術 以下に(2R)−ヒドロキシ酸とも呼称される[(1R,2R,4aS,8aS)−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルデカヒドロナフタレン−1−イル]酢酸は(+)−スクラレオリドの有用な前駆体、香料成分の(−)−アンブロックス(Ambrox)(R)の合成における中間体であってよい。 この事実にもかかわらず、以下に(2RS)−ヒドロキシ酸又はその塩とも呼称されるラセミ体の[(1RS,2RS,4aSR,8aSR)−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルデカヒドロナフタレン−1−イル]酢酸の光学分割による(2R)−ヒドロキシ酸又はその塩の製造方法は先行技術で殆ど報告されていない。 EP550889号において1−(アリール)エチルアミンを分割剤として使用する(2RS)−ヒドロキシ酸の光学分割のための方法が報告されている。同様の方法であるが、出発材料として(2RS)−ヒドロキシ酸のナトリウム塩を使用する方法については、Koga et al. in Tetrahedron Asymmetry, (1998), 9 3819は前記の1−(アリール)エチルアミンの他に幾つかの1,2−又は1,3−アミノアルコールの分割剤としての使用を報告している。 しかしながら全ての先行技術による方法は緩慢かつ複雑な結晶化法及び/又は再結晶化を含む複雑な手順を必要とするという欠点を有する。従って最終生成物の低い収率が常にではないがしばしば観察される。 従って(2RS)−ヒドロキシ酸又はその塩の光学活性エナンチオマーを改善された効率で提供可能な方法が必要とされている。 発明の詳細な説明 前記の先行技術法の欠点を克服するために、本発明は式(I)又は(I′)[式中、Xは(2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル)メチルアンモニウムの光学活性エナンチオマーを表す]の化合物を高度に効率的に得る方法において、a)[(1RS,2RS,4aSR,8aSR)−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルデカヒドロナフタレン−1−イル]酢酸を2−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−プロパノールの光学活性エナンチオマーで処理するか、又は[(1RS,2RS,4aSR,8aSR)−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルデカヒドロナフタレン−1−イル]酢酸のアルカリ性塩を、2−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−プロパノールの光学活性エナンチオマーと5未満のpKaを有する酸との反応によって得られるアンモニウム塩で処理し、かつb)前記の処理を、式(I)又は(I′)の化合物が異なる溶解度を有する溶剤中で実施することを特徴とする方法に関する。 表現「pKa」はこの分野では通常の意味を有し、かつ特に−log10Ka[式中、Kaは標準温度及び圧力における水中での酸の解離定数である]を表す。 化合物(I)は[(1R,2R,4aS,8aS)−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルデカヒドロナフタレン−1−イル]アセテートの塩であるが、一方で化合物(I′)は[(1S,2S,4aR,8aR)−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルデカヒドロナフタレン−1−イル]アセテートの塩である。 化合物(I)及び(I′)も本発明の対象である。2−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−プロパノールを以下にシュードエフェドリンとも呼称する。 また本発明のもう一つの対象は(2RS)−ヒドロキシ酸又はそのそれぞれのアルカリ性塩の光学分割のための、前記のシュードエフェドリンの光学活性エナンチオマー又はアンモニウム塩の使用に関する。すなわち、その対象は(2RS)−ヒドロキシ酸の光学活性エナンチオマー又はそのアルカリ性塩を得るにあたり、(2RS)−ヒドロキシ酸又はそのアルカリ性塩を前記のシュードエフェドリンの光学活性エナンチオマー又はそのそれぞれのアンモニウム塩と反応させる方法に関する。 ラセミ体の出発材料、すなわち(2RS)−ヒドロキシ酸又はそのアルカリ性塩は、(±)−スクラレオリドとしても知られる(3aRS,5aSR,9aSR,9bRS)−3a,6,6,9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2,1−b]フラン−2(1H)−オンの加水分解によって得ることができる。 該加水分解は、先行技術に記載される、例えばKoga et al. in Tetrahedron Asymmetry, (1998), 9, 3819又はGoro et al. in EP 550 889によって記載される任意の最新法により実施してよい。一般に、該加水分解は(±)−スクラレオリドをアルカリ性塩基、例えばNaOH、KOH又はLiOHによってアルコール溶剤、例えばメタノール又はエタノール中で処理して、(2RS)−ヒドロキシ酸の相応のアルカリ性塩を得ることで実施される。所望であれば前記アルカリ性塩を、前者を酸、有利には無機強酸、例えばHCl、HBr、H2SO4、HNaSO4、HKSO4、HNO3、H3PO4、HPF6、HBF4、HClO4、パラトルエンスルホン酸(TsOH)、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸等で処理することによって(2RS)−ヒドロキシ酸に変換してよい。 使用される出発材料が(2RS)−ヒドロキシ酸のアルカリ性塩である場合に、前記の塩は有利にはNa+塩、K+塩又はLi+塩であり、より有利にはNa+塩である。 前記のように、分割剤として以下にシュードエフェドリンエナンチオマーとも呼称されるシュードエフェドリンの光学活性エナンチオマーを使用する。前記のシュードエフェドリンエナンチオマーは遊離塩基又はアンモニウム塩の形で使用してよい。 シュードエフェドリンエナンチオマーは(1S,2S)又は(1R,2R)−2−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−プロパノールであってよい。使用されるシュードエフェドリンエナンチオマーのエナンチオマー純度又はエナンチオマー過剰(ee)は本発明の方法の効率に影響し、シュードエフェドリンエナンチオマーのeeが高いほど、(2RS)−ヒドロキシ酸又はそのアルカリ性塩の光学分割はより効率的になる。有利にはシュードエフェドリンエナンチオマーは50%より高いeeを、又はより有利には95%より高いeeを、又は更には98%より高いeeを有する。 本発明による光学分割において(2RS)−ヒドロキシ酸を出発材料として使用する場合に、シュードエフェドリンエナンチオマーは遊離塩基として使用される。選択的に、(2RS)−ヒドロキシ酸のアルカリ性塩を使用する場合には、シュードエフェドリンエナンチオマーはアンモニウム塩の形で使用される。シュードエフェドリンエナンチオマーのアンモニウム塩は本発明の方法で事前形成された塩として使用されるか、又は遊離塩基と酸とを、例えば遊離塩基あたり約1当量のプロトンの量で一緒に反応させることによってインサイチュウで製造してももよい。適当な酸は5未満のpKaを有し、有利には5〜12を有する。かかる酸の制限されない例は、HX[式中、Xはハロゲン化物である]、H2SO4、HNO3、H3PO4、HPF6、HBF4、HClO4、C1〜C10−スルホン酸及びC1〜C10−モノ−、ジ−又はトリカルボン酸からなる群から選択される。特に以下のHCl、HBr、HClO4、H2SO4、HNaSO4、HKSO4、HNO3、H3PO4、HPF6、HBF4、パラトルエンスルホン酸(TsOH)、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、クエン酸、酢酸又はプロピオン酸を指摘できる。 こうしてアンモニウム塩のアニオンの制限されない例は、Cl−、Br−、ClO4−、SO42−、HSO4−、NO3−、H2PO4−、HPO42−、PF6−、BF4−、ClO4−、パラトルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、メタンスルホネート、アセテート又はプロピオネートであってよい。 前記の任意の形のシュードエフェドリンエナンチオマーを(2RS)−ヒドロキシ酸又は(2RS)−ヒドロキシ酸のアルカリ性塩に関して0.35〜1.2モル当量、有利には0.5〜1.0当量、より有利には0.6〜0.8当量の量で添加してよい。 前記の光学分割の原理は式(I)又は(I′)のジアステレオマー塩の溶解度の差異を基礎としている。従って有利には1つだけの式(I)又は(I′)を沈殿させることができる。 一般に、(1R,2R)−シュードエフェドリンを使用する場合に、沈殿物は式(I)(式中、Xは((1R,2R)−2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル)メチルアンモニウムである)の化合物を優勢に含有し、かつ液体は式(I′)の化合物を優勢に含有することが判明した。反対に、(1S,2S)−シュードエフェドリンを使用する場合には、液体は式(I)の化合物を優勢に含有し、かつ沈殿物は式(I′)の化合物を優勢に含有する。 「化合物を優勢に」とは本願では少なくとも60%、有利には少なくとも75%の式(I)又は(I′)の化合物、又は少なくとも95%を意味する。 本発明の方法の光学分割は、式(I)及び式(I′)の化合物が異なる溶解度を有する溶剤中で実施する。かかる溶剤の例は、C6〜C9−芳香族溶剤、例えばトルエン、キシレン又はベンゼン、C6〜C10−石油留分又は炭化水素、例えばシクロヘキサン又はヘプタン、C1〜C2−ハロゲン化溶剤、例えばクロロホルム又はジクロロメタン、C4〜C10−エーテル、例えばテトラヒドロフラン、アニソール、t−アミルメチルエーテル又はt−ブチルメチルエーテル、C3〜C10−エステル、例えばエチルアセテート、エチルプロピオネート又はイソプロピルアセテート、C3〜C10−アルコール、例えばイソプロパノール又はシクロヘキシルメタノール又はその混合物である。かかる溶剤は無水物であってよく、又はそれ自体の質量の50%までの水を含有してよい。「無水溶剤」として本願ではそれ自体の質量の1%未満の水を含有するか、又は0.5%未満の水を含有する溶剤を意味する。 有利には溶剤は無水テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ベンゼン又はシクロヘキサンからなる群から選択される。 前記のように本発明の方法により得られる式(I)又は(I′)の化合物は(+)−スクラレオリド((3aR,5aS,9aS,9bR)−3a,6,6,9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2,1−b]フラン−2(1H)−オン)又は(−)−スクラレオリド((3aS,5aR,9aR,9bS)−3a,6,6,9a−テトラメチルデカヒドロナフト[2,1−b]フラン−2(1H)−オン)それぞれの製造のための有用な中間体又は出発材料である。 従って本発明のもう一つの態様は(+)−スクラレオリド又は(−)−スクラレオリドそれぞれの合成のための式(I)又は(I′)の化合物の使用並びに、特に(+)−スクラレオリド又は(−)−スクラレオリドを得る方法において、i)式(I)又は(I′)それぞれの化合物を、5未満のpKaを有する酸で処理し、引き続きii)60℃〜150℃の温度で熱処理することを特徴とする方法に関する。 該方法は化合物(I)を(+)−スクラレオリドに、又は化合物(I′)を(−)−スクラレオリドに変換することを可能にする。この方法は、ヒドロキシ酸又はその塩からラクトンを製造するための任意の標準的方法により実施してよい。 例えば式(I)の化合物の(+)−スクラレオリドへの変換は、例えば室温で式(I)の化合物を前記のような無機強酸で処理して、(2R)−ヒドロキシ酸を回収することによって実施できる。かかる酸の制限されない例は、HCl、HBr、HClO4、H2SO4、HNaSO4、HKSO4、HNO3、H3PO4、HPF6、HBF4、C1〜C10−スルホネート、例えばパラトルエンスルホン酸(TsOH)、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸などである。 引き続き(2R)−ヒドロキシ酸を触媒量の酸、例えば酢酸又はプロピオン酸で処理するが、強酸を使用してもよい。無機強酸は式(I)の化合物に対して0.95〜1.05当量のプロトンを有する量で使用し、かつ式(I)の化合物に対して0.01〜0.15、有利には0.03〜0.10当量のプロトンを有する量の触媒酸を使用するが、より大量の触媒酸を使用してもよい。 この反応段階は溶剤の存在下に実施する。かかる溶剤の制限されない例はC6〜C9−芳香族溶剤、例えばベンゼン、トルエン又はキシレン、C6〜C10−炭化水素溶剤、例えばシクロヘキサン、C4〜C10−エーテル又はその混合物を含む。しかしながら芳香族溶剤が有利である。(+)−スクラレオリドの形成の間に、形成される水を、例えば共沸蒸留によって除去することが有効な場合がある。 (2R)−ヒドロキシ酸を(+)−スクラレオリドに変換できる温度は60〜150℃、有利には95〜125℃である。 選択的に(+)−スクラレオリドへの変換は、式(I)の化合物を直接的に過剰の強酸と、例えば後者に関して1.01〜1.15当量のプロトンを有する量で、かつ60〜150℃の温度で反応させることによって達成できる。 所望であれば前記の同様の方法を(−)−スクラレオリドを得るためにも適用できると解されるべきである。 出発物としてのラセミ体(2RS)−ヒドロキシ酸又はその塩をラセミ体の(±)−スクラレオリドから得ることを考慮すると、以下の反応工程 I)前記のように(±)−スクラレオリドを、アルカリ性塩基を用いて相応の(2RS)−ヒドロキシ酸又はそのアルカリ性塩に加水分解し、 II)前記方法を実施して、式(I)又は(I′)の化合物を単離し、かつ III)式(I)又は(I′)の化合物を前記の方法によって(+)−スクラレオリド又は(−)−スクラレオリドにそれぞれ変換するを有する方法は、ラセミ体の(±)−スクラレオリドから(+)−スクラレオリド又は(−)−スクラレオリドを、高い収率、高いeeで、かつ一般に先行技術に記載される方法とは反対にもはや再結晶又は複雑な手順なくして単離することを可能にする。かかる方法は発明の更なる対象である。 係る方法の典型的な収率(これも発明の対象である)は、出発物としてのラセミ体のスクラレオリド中に存在する(+)−スクラレオリド又は(−)−スクラレオリドの量に対して80%、又は例えば90%より高い範囲である。本発明の前記の特定の態様の最後に得られる(+)−スクラレオリド又は(−)−スクラレオリドの典型的なeeは50%より高いが、有利には90%又は更に95%より高い。かかる結果は前記の先行技術においては全く予測できなかった。 本発明を以下の実施例により更に詳細に記載するが、その際、略語はこの分野の通常の意味を有し、温度は摂氏(℃)で示され、1H−NMRスペクトルデータは400MHzで、かつ13CNMRスペクトルは100MHzでDMSO中で記録され、化学変位δはスタンダードとしてのTMSに関するppmで示され、結合定数JはHzで示され、かつ全ての略語はこの分野の通常の意味を有する。 例1 (1R,2R)−1−ヒドロキシ−N−メチル−1−フェニル−2−プロパンアミニウム[(1R,2R,4aS,8aS)−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルデカヒドロナフタレン−1−イル]アセテート(式(I)の化合物)の単離 還流凝縮器、機械的撹拌機を備え、かつ1.0lの無水テトラヒドロフラン(THF)を含有する2リットルの3つ口丸底フラスコ中に268.4g(1.00モル)の(2RS)−ヒドロキシ酸(EP550889号により得られた)及び119.8g(0.725モル)の(1R,2R)−シュードエフェドリンを導入した。得られた懸濁液を1時間にわたり還流加熱し、かつ次いで温度を2時間30分にわたり室温へと徐々に低下させた。該懸濁液を濾過し、かつ沈殿物を250mlの無水THFで2回洗浄した。得られた固体を真空下に乾燥させて、199.1g(0.459モル、収率=92%)の表題の塩が得られた。 例2 (1R,2R)−1−ヒドロキシ−N−メチル−1−フェニル−2−プロパンアミニウム[(1R,2R,4aS,8aS)−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルデカヒドロナフタレン−1−イル]アセテートの(+)−スクラレオリドへの変換 例1により得られた199.1gの式(I)の化合物の550gのトルエン中の懸濁液に、T=20−5℃で30分間にわたり230gの10%の水性硫酸を滴加した。反応混合物を50℃に加熱し、かつ水相の除去後に有機相を50mlの水で2回洗浄した。 遊離の(2R)−ヒドロキシ酸を含有するトルエン相に6.9gの酢酸を添加し、かつ該反応混合物を還流下に2.75時間加熱し、Dean−Starkトラップを使用して水を共沸蒸留で除去した。還流時間の完了時に反応混合物を約50℃に冷却し、100mlの水で洗浄し、次いで100mlの3%水性NaHCO3で洗浄した。こうして有機相を得て、溶剤の蒸発後に113.6g(91%の収率)の>98%の純度及びee=99%(純度及びeeはキラルGCによって得られた)を有する(+)−スクラレオリドが得られた。 こうして得られた生成物のNMRスペクトルは先行技術に報告されるスペクトルと合致した。 式(I)又は(I′) [式中、Xは(2−ヒドロキシ−1−メチル−2−フェニルエチル)メチルアンモニウムの光学活性エナンチオマーを表す]の化合物。 請求項1記載の式(I)又は(I′)の化合物を得る方法において、a)[(1RS,2RS,4aSR,8aSR)−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルデカヒドロナフタレン−1−イル]酢酸を2−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−プロパノールの光学活性エナンチオマーで処理するか、又は[(1RS,2RS,4aSR,8aSR)−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルデカヒドロナフタレン−1−イル]酢酸のアルカリ性塩を、2−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−プロパノールの光学活性エナンチオマーと5未満のpKaを有する酸との反応によって得られるアンモニウム塩で処理し、かつ b)前記の処理を、式(I)又は(I′)の化合物が異なる溶解度を有する溶剤中で実施することを特徴とする式(I)又は(I′)の化合物を得る方法。 溶剤がC6〜C9−芳香族溶剤、C6〜C10−石油留分又は炭化水素、C1〜C2−ハロゲン化溶剤、C4〜C10−エーテル、C3〜C10−エステル、C3〜C10−アルコール又はその混合物である、請求項2記載の方法。 溶剤が無水テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ベンゼン又はシクロヘキサンからなる群から選択される、請求項3記載の方法。 2−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−プロパノールの光学活性エナンチオマーが(1R,2R)−2−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−プロパノール又は(1S,2S)−2−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−プロパノールである、請求項2記載の方法。 5未満のpKaを有する酸が、HX[式中、Xはハロゲン化物である]、H2SO4、HNO3、H3PO4、HPF6、HBF4、HClO4、C1〜C10−スルホン酸及びC1〜C10−モノ−、ジ−又はトリカルボン酸からなる群から選択される、請求項2記載の方法。 [(1RS,2RS,4aSR,8aSR)−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルデカヒドロナフタレン−1−イル]酢酸又はそのそれぞれのアルカリ性塩の光学分割のための、2−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−プロパノールの光学活性エナンチオマー又は2−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−プロパノールの光学活性エナンチオマーと5未満のpKaを有する酸との反応によって得られるアンモニウム塩の使用。 (+)−スクラレオリド又は(−)−スクラレオリドそれぞれの製造のための中間体又は出発材料としての、請求項1記載の式(I)又は(I′)の化合物の使用。 (+)−スクラレオリド又は(−)−スクラレオリドを得る方法において、 i)請求項1記載の、式(I)又は(I′)それぞれの化合物を、5未満のpKaを有する酸で処理し、引き続き ii)60℃〜150℃の温度で熱処理することを特徴とする(+)−スクラレオリド又は(−)−スクラレオリドを得る方法。 (+)−スクラレオリド又は(−)−スクラレオリドを得る方法において、 I)(±)−スクラレオリドを相応の[(1RS,2RS,4aSR,8aSR)−2−ヒドロキシ−2,5,5,8a−テトラメチルデカヒドロナフタレン−1−イル]酢酸又はその塩に加水分解し、 II)請求項2記載の方法を実施し、かつ III)請求項8記載の方法を実施することを特徴とする(+)−スクラレオリド又は(−)−スクラレオリドを得る方法。


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