生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_抗微生物性を有するペプチド、及びそれらを含む、特に食品保存用の組成物
出願番号:2004516904
年次:2010
IPC分類:C07K 14/465,C12N 15/09,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12N 5/10,A23L 3/3526,A61K 38/00,A61P 31/04,A01N 63/00


特許情報キャッシュ

フィリップ ブレット セシル トゥゾー イヴォン ル マホ JP 4410100 特許公報(B2) 20091120 2004516904 20030701 抗微生物性を有するペプチド、及びそれらを含む、特に食品保存用の組成物 センター ナショナル デ ラ レシェルシェ サイエンティフィック(シーエヌアールエス) 501008819 CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE(CNRS) 大西 正悟 100092897 山口 修之 100115200 フィリップ ブレット セシル トゥゾー イヴォン ル マホ FR 02/08207 20020701 20100203 C07K 14/465 20060101AFI20100114BHJP C12N 15/09 20060101ALI20100114BHJP C12N 1/15 20060101ALI20100114BHJP C12N 1/19 20060101ALI20100114BHJP C12N 1/21 20060101ALI20100114BHJP C12N 5/10 20060101ALI20100114BHJP A23L 3/3526 20060101ALI20100114BHJP A61K 38/00 20060101ALI20100114BHJP A61P 31/04 20060101ALI20100114BHJP A01N 63/00 20060101ALI20100114BHJP JPC07K14/465C12N15/00 AC12N1/15C12N1/19C12N1/21C12N5/00 AA23L3/3526 501A61K37/02A61P31/04A01N63/00 A C07K 14/00 C12N 15/00 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) SwissProt/PIR/GeneSeq GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq 国際公開第02/009738(WO,A1) Aquaculture, vol.191, pp.71-88 (2000) Proc.Natl.Acad.Sci.USA., vol.99(4), pp.2129-2133 (Feb.19,2002) 15 FR2003002041 20030701 WO2004003006 20040108 2006513136 20060420 32 20060531 長井 啓子 本発明は、食品保存、及びヒト、動物又は植物における微生物、細菌及び/又は真菌感染との闘いの分野に関する。本発明は、ペプチド、及び微生物、細菌及び真菌のような病原体による感染を予防及び/又は治療するための、並びに食品保存用の該ペプチドを含む組成物を特には対象とする。 先行技術において、オウサマペンギンのオスは、抱卵の最終部分を遂行するために陸地に滞在する際に、2週間以上胃の中に栄養分を残すことが可能であることが報告された(Gauthier−Clercら、2000)。オウサマペンギンのオス自身も絶食をし、かつその体内貯蔵物質に頼って生きている。 今日、高等脊椎動物において、栄養分を数週間貯蔵する公知の類似した状況は存在しない。この栄養分の保存状態は、注目すべきものであり、その質量及びエネルギー値は変わらない(Gauthier−Clercら、2002)。栄養分の保存状態に関するこれらの観察結果は、胃内容物中に存在する細菌叢の制御を非常に暗示している。この細菌叢の制御により、貯蔵した食料品の分解を減少させることが可能になるのであろう。この制御は、抗微生物活性を有する物質の生成を経由してなされ得るのであろう。 実際、文献は、脊椎動物の胃腸管中の抗微生物活性を有する物質の存在を詳しく記している。これら物質の大部分は、ペプチド性、特に両生類におけるマゲイニン、ブレビニン(brevinines)及びブフォリン(Mooreら、1991;Minnら、1998;Wangら、1998)、ヒトを含む哺乳類におけるラクトフェリシン及びデフェンシン(α、β)(Jones及びBevins、1992;Zhaoら、1999;O’Neilら、2000)である。鳥類において、デフェンシンは、消化管の他の部分、特に舌、食道及び腸で発見された(Zhaoら、2001)。さらに多数の抗微生物ペプチドが、同様に胚上皮中に存在する(点検には、Schroder 1999を参照)。 発明者らは今般、オウサマペンギンの胃内容物中の抗微生物ペプチドの存在を明らかにし、かつオウサマペンギンのオスにおける抱卵絶食の際に、抗微生物活性を有するこれらのペプチドが食物塊を保存する現象に関与することを証明した。この研究作業により、以下でオウサマペンギンが属するペンギン科にならい「スフェニシン(spheniscines)」と指し示す、新規ペプチドを明確にすることが可能になった。 従って、本発明は、オウサマペンギンの胃内容物の精製ペプチド、又はその類似体が以下の実験の部に記載したテストの1つで抗菌活性を有する限りにおいて前記類似体を対象とする。類似体は、前記ペプチドの配列の少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、抑制又は置き換えによって修飾される配列を有する。 本発明は特には、1つ又は幾つかの分子内結合を含み、添付の配列リストに配列番号1で表す次式(I):Xaa-Ca1-Xab-Ca2−Xac−Ca3−Xad−Ca4−Xae−Ca5−Ca6−Xaf (I)[式中:− Xaaは、−NH2基、又は1〜16個のアミノ酸、かつ好ましくは4個のアミノ酸のペプチド残基を表し、好適にはXaaは、次式:−Xaa1−Xaa2−(配列番号2)(式中、Xaa1は、−NH2基、又は1〜13個のアミノ酸のペプチド残基を表し、かつXaa2は、疎水性又は無極性アミノ酸から選択された3個のアミノ酸のペプチド残基を表す)に対応し;− Xabは、1〜6個のアミノ酸、好ましくは6個のアミノ酸のペプチド残基を表し、好適にはXabは、次式:−Xab1−Xab2−Xab3−Xab4−Xab5−(配列番号3)(式中、存在する、同一又は異なるXab1、Xab2、Xab4及びXab5のそれは、塩基性アミノ酸、負に帯電した極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸、及び疎水性又は無極性アミノ酸を含む群から選択され、かつXab3は、次式:−Xab3.1−Xab3.2−(配列番号4)(式中、存在する、同一又は異なるXab3.1及びXab3.2のそれは、塩基性アミノ酸、負に帯電した極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸、及び疎水性又は無極性アミノ酸を含む群から選択される)に対応するペプチド残基を表す)に対応し;− Xacは、1〜4個のアミノ酸、好ましくは4個のアミノ酸を含むペプチド残基を表し、好適にはXacは、次式:−Xac1−Xac2−Xac3−Xac4−(配列番号5)(式中、存在する、同一又は異なるXac1、Xac2、Xac3及びXac4のそれは、塩基性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、及び非荷電大型極性アミノ酸を含む群から選択される)に対応し;− Xadは、1〜9個のアミノ酸、好ましくは9個のアミノ酸を含むペプチド残基を表し、好適にはXadは、次配列:−Xad1−Xad2−Xad3−Xad4−Xad5−Xad6−Xad7−Xad8−Xad9−(配列番号6)(式中、存在する、同一又は異なるXad1、Xad2、Xad3、Xad4、Xad5、Xad6、Xad7、Xad8及びXad9のそれは、塩基性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸、及び負に帯電した極性アミノ酸を含む群から選択される)に対応し;− Xaeは、1〜6個のアミノ酸、好ましくは5個のアミノ酸を含むペプチド残基を表し、好適にはXaeは、次配列:−Xae1−Xae2−Xae3−Xae4−Xae5−(配列番号7)(式中、存在する、同一又は異なるXae1、Xae2、Xae3、Xae4及びXad5のそれは、塩基性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸、及び負に帯電した極性アミノ酸を含む群から選択される)に対応し;− Xafは、−OH若しくは−CONH2基、又は1〜14個のアミノ酸、好ましくは4個のアミノ酸のペプチド残基を表し、好適にはXafは、次配列:−Xaf1−Xaf2−Xaf3−Xaf4−(配列番号8)(式中、存在する、同一又は異なるXaf1、Xaf2、Xaf3及びXaf4のそれは、塩基性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸、及び負に帯電した極性アミノ酸を含む群から選択される)に対応し;− 同一又は異なるCa1、Ca2、Ca3、Ca4、Ca5及びCa6は、少なくとも1つが他のCa1、Ca2、Ca3、Ca4、Ca5及びCa6のいずれかに結合されたアミノ酸を表し、好適にはCa1、Ca2、Ca3、Ca4、Ca5及びCa6は、システインタイプの硫黄アミノ酸であり、かつ好ましくはシステインである]の配列に対応するペプチドに関する。 本発明は特には、次の特徴:− Xaa1は、非荷電小型極性アミノ酸から選択されたアミノ酸、好ましくはセリンである、− Xaa2は、Phe−Gly−Leuである、− Ca1及びCa5は、共有原子価によって結合される、− Xab1は、塩基性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXab1は、塩基性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはアルギニン(Arg)である、− Xab2は、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸、塩基性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXab2は、疎水性又は無極性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはロイシン(Leu)である、− Xab3.2は、塩基性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸、及び疎水性又は無極性アミノ酸を含む群から選択され、かつ非常に好ましくはアルギニン(Arg)である、− Xab4は、疎水性又は無極性アミノ酸を含む群から選択され、かつ非常に好ましくはXab4は、グリシン(Gly)である、− Xab5は、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸、塩基性アミノ酸、負に帯電した極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXab5は、疎水性又は無極性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはフェニルアラニン(Phe)である、− Ca2及びCa4は、共有原子価によって結合される、− Xac1は、塩基性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXac1は、疎水性又は無極性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはアラニン(Ala)である、− Xac2は、塩基性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXac2は、塩基性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはアルギニン(Arg)又はヒスチジン(His)である、− Xac3は、塩基性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXac3は、疎水性又は無極性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはグリシン(Gly)である、− Xac4は、塩基性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXac4は、塩基性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはアルギニン(Arg)である、− Ca3及びCa6は、共有原子価によって結合される、− Xad1は、塩基性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXad1は、塩基性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはアルギニン(Arg)である、− Xad2は、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸、塩基性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXad2は、疎水性又は無極性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはフェニルアラニン(Phe)である、− Xad3は、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸、塩基性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくは疎水性又は無極性アミノ酸であり、好ましくはXad3は、プロリン又はヒドロキシプロリンであり、かつ非常に好ましくはプロリン(Pro)である、− Xad4は、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸、塩基性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸、負に帯電した極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXad4は、非荷電小型極性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはセリン(Ser)である、− Xad5は、疎水性又は無極性アミノ酸、塩基性アミノ酸、負に帯電した極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXad5は、疎水性又は無極性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはイソロシン(Ile)である、− Xad6は、疎水性又は無極性アミノ酸、塩基性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくは疎水性又は無極性アミノ酸であり、好ましくはXad6は、プロリン又はヒドロキシプロリンであり、かつ非常に好ましくはプロリン(Pro)である、− Xad7は、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXad7は、疎水性又は無極性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはイソロイシン(Ile)である、− Xad8は、疎水性又は無極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXad8は、グリシン(Gly)である、− Xad9は、塩基性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXad9は、塩基性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはアルギニン(Arg)である、− Xae1は、塩基性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXae1は、非荷電小型極性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはセリン(Ser)である、− Xae2は、塩基性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXae2は、塩基性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはアルギニン(Arg)である、− Xae3は、塩基性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸、負に帯電した極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくは疎水性又は無極性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはフェニルアラニン(Phe)である、− Xae4は、塩基性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXae4は、疎水性又は無極性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはバリン(Val)である、− Xae5は、塩基性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXae5は、非荷電大型極性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはグルタミン(Gln)である、− Xaf1は、塩基性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXaf1は、塩基性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはアルギニン(Arg)である、− Xaf2は、塩基性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電小型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXaf2は、塩基性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはアルギニン(Arg)である、− Xaf3は、塩基性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸、非荷電大型極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXaf3は、疎水性又は無極性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはバリン(Val)である、− Xaf4は、塩基性アミノ酸、疎水性又は無極性アミノ酸を含む群から選択され、好ましくはXaf4は、疎水性又は無極性アミノ酸であり、かつ非常に好ましくはトリプトファン(Trp)である、の少なくとも1つを示す、式(I)のペプチドに関する。 特別には:− 塩基性アミノ酸は、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)又はホモアルギニンを;− 負に帯電した極性アミノ酸は、アスパラギン酸(Asp)又はアスパルテート、及びグルタミン酸(Glu)又はグルタメートを;− 非荷電小型極性アミノ酸は、セリン(Ser)又はトレオニン(Thr)を、− 非荷電大型極性アミノ酸は、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)又はメチオニン(Met)を、− 疎水性又は無極性アミノ酸は、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、バリン(Val)、アラニン(Ala)、グリシン(Gly)、プロリン(Pro)又はヒドロプロリンを意味する。 本発明は特に、3つの分子内結合、特別には3つのジスルフィド架橋を有する式(I)のペプチドに関し、かつこれらの中で、本発明は、次式(II):(式中、Xaa、Ca1、Xab、Ca2、Xac、Ca3、Xad、Ca4、Xae、Ca5、Ca6及びXafは、式(I)と同じ意味を有する)のペプチドに関係する。 本発明は、式(II)[式中:− Xacは:Xac1−His−Xac3(配列番号9)又はXac1−Arg−Xac3(配列番号10)であり、− Xadは:Xad1−Pro−Xad3(配列番号11)であり、− Xaeは:Xae1−Gln−Xae3(配列番号12)であり、− Xafは:Xaf1−Val−Xaf3(配列番号13)である(但し、Xac、Xac1、Xac3、Xad、Xad1、Xad3、Xae、Xae1、Xae3、Xaf、Xaf1、Xaf3は、式(I)と同じ意味を有する)]のペプチドを特別には対象とする。 式(I)又は(II)のペプチドの特殊な例として:− 一次配列が次の通りであるスフェニシン−1:SFGLCRLRRGFCAHGRCRFPSIPIGRCSRFVQCCRRVW(配列番号14)− 一次配列が次の通りであるスフェニシン−2:SFGLCRLRRGFCARGRCRFPSIPIGRCSRFVQCCRRVW(配列番号15)を挙げることができる。 アミノ酸は、一般的に1文字表記によって表すが、下記の命名法による3文字表記によっても表すことができる: A Ala アラニン C Cys システイン D Asp アスパラギン酸 E Glu グルタミン酸 F Phe フェニルアラニン G Gly グリシン H His ヒスチジン I Ile イソロイシン K Lys リジン L Leu ロイシン M Met メチオニン N Asn アスパラギン P Pro プロリン Q Gln グルタミン R Arg アルギニン S Ser セリン T Thr トレオニン V Val バリン W Trp トリプトファン Y Tyr チロシン 本発明のペプチドは、アミノ酸の幾つかのレベルで、自然翻訳後又は化学修飾を示し得、例えばNH2末端残基は、例えばアシル化を示し得るか、又はC末端残基は、翻訳後又は化学修飾、例えばアミド化、酸化又はエステル化を示し得る。従って本発明は、1個又は数個のアミノ酸がコンフォメーションDのアミノ酸であるものような、式(I)又は(II)のペプチド誘導体にも関し、本発明は、レトロペプチド及びレトロインベルソペプチドも、それらが抗微生物活性を保つ限りにおいて同様にカバーする。 本発明は、食品を微生物(細菌及び真菌)から守るために、前記ペプチドを農業食品分野で使用することも対象とする。 本発明は、微生物、細菌及び/又は真菌感染を予防及び/又は治療するために、前記ペプチドをヒト、動物又は植物において使用することを更に対象とする。 従って本発明は、好適には薬学上許容可能な、1つ又は幾つかのビヒクル、希釈剤又は賦形剤と前記組成物中で結合された、以上で定義したような少なくとも1つのペプチドを活性作用物質として含む薬剤、農学又は農業食品組成物に関する。 ビヒクル、希釈剤及び賦形剤は、薬剤、農学又は農業食品的に組成物を応用するタイプに応じて選択する。 このように、本発明は、抗菌、抗菌及び/又は抗真菌の薬剤、農学又は農業食品組成物を調製するために、以上で定義したようなペプチドを使用すること更に対象とする。 本発明の組成物は、予防的にも治療的にも有用である。 食品保存に関する使用に対して、本発明のペプチド及びそれらを含む組成物は、粉末又は細粒の形状を呈することができる。それらは、食品を含む支持体に固定するか、特に前記ペプチドを生成する酵母のような微生物の形状で、食品中に直接混入することができる。 本発明による薬剤組成物の投与は、治療、農学又は農業食品剤に許容される投与方法のいずれかによって行うことができる。ヒト又は動物における薬剤として、全身、局所又は中枢投与を挙げることができる。経口投与は、錠剤、ゼラチン質カプセル剤、遅延又は持続性放出製剤を含む軟カプセル剤、丸薬、粉末、細粒、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁液、シロップ及びエマルジョンによって行うことができる。抗菌及び/又は抗真菌化合物の非経口投与は、潅流による静脈内又は筋肉内注射によって一般的に行われる。注射可能な組成物は、懸濁又は溶液か、リポゾームのような脂質製剤の生分解性微小粒子中にペプチドを包含するような、遅延又は持続性放出製剤を含む適切な液体中での即時溶解に適した固形での従来の形状で調製することができる。その他の慣習的な局所調剤には、クリーム、軟膏、ローション、ゲル及びエアゾールスプレーを含む。 本質的予防として、ペプチドを使用することは、衛生製品、包帯又は動物用の敷き藁に前記ペプチドを包含することからなる。 投与方法に応じて、化合物は、固体、半固体又は液体形状を取ることができる。 錠剤、丸薬、遊離状態又はゼラチン質カプセル中に含まれる粉末又は細粒、又はリポゾームのような脂質製剤の生分解性微小粒子のような固体組成物に関して、有効成分は、希釈剤、潤滑剤、結合剤、吸収剤、着色剤、芳香剤及び甘味料と組み合わせることができる。 本発明による組成物は、治療的利益を有するその他の物質を含むことも同様にできる。 本発明のペプチドは、単一の一日量の形状で投与することができるか、又は一日薬用量全体を一日当たり2、3又は4回の分量で投与することができる。 本発明は、以上に記載したペプチドだけでなく、宿主、及び特に動物、植物細胞又は原核生物を形質転換するためにこれらのペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の使用も検討する。これらの配列は、文献に記載された遺伝子工学技術に従って使用する。 従って、本発明は、以上に記載したペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクターのような核酸分子、DNA又はRNA、及び前記核酸分子を含む宿主、例えば動物若しくは植物細胞、又は原核生物、並びにそれらを含む特に薬剤組成物を同様に対象とする。 本発明は、植物を植物病原性細菌及び真菌に耐性を有するようにし、かつ環境に有害な化学殺虫剤の使用をこのようにして減少させるための、以上に記載したペプチドの農学的応用にも関係する。有効量の抗菌及び/又は抗真菌ペプチド、又はそれを含む組成物を植物に直接適用することは、農学的応用の第1の実施形となる。この応用の第2の実施形は、上記の1つ又は幾つかのペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を、植物細胞のDNAに安定して組み込むことからなる形質転換生成技術に基づく。このように形質転換した植物細胞により、細菌及び/又は真菌感染に耐性を有する性質を子孫に伝達する植物を再生させることが可能になる。植物の例として、稲、トウモロコシ、菜種、甜菜、小麦、タバコ、トマト、ジャガイモ等を挙げることができる。 本発明のその他の利点及び特徴は、オウサマペンギンのオスの胃内容物の試料から抗微生物ペプチドを明瞭にすること、隔離すること及び特徴付けること、並びにスフェニシン−2の合成形状、その抗微生物活性スペクトル、及び機能性に対するpHの効果の調査に関し、かつ添付図面及び表を参照してなされる、これに続く実施例から現れるであろう。 実施例1:抱卵絶食の際のオウサマペンギンの胃内容物中の抗微生物ペプチドを明らかにすること。 大部分の漂泳鳥類と同じく、オウサマペンギンは、専ら海で食物を取る。オウサマペンギンは、食物を摂取するための海の滞在を、繁殖及び羽毛生え変わりのための陸地での絶食期間と交互に行っている。しかしながら、海での食事移動期間は、同時に餌食のある距離の変わりやすさと、食事探検領域中であってもこれら餌食の入手可能性にも応じて、期間も移動距離も非常に変りやすい。その結果、これらの食事移動の期間は、時に二倍にもなり得る(Bostら、1997)。 繁殖期間中、つがいは、一つの卵を抱くことを遂行するために交代し(54日)、オスは普通、抱卵の最終期間を遂行する。海での移動期間の変わりやすさのために、孵化の瞬間に卵の上にいるつがいの性別に関して不確実さが存在する。大部分の場合、メスは孵化に遅れずに戻るが、メスの帰着は9日以上ずれることもあり得る(Gauthier−Clercら、2000)。その一方で新たに孵った雛の内生貯蔵物質は、2又は3日の自立しか確保しない。 オウサマペンギンのオスが、メスが遅れた場合に雛の生存を確保することを可能にする、注目すべき適応を開発したことが明らかになっている。実際、オウサマペンギンのオスは、抱卵の最終部分を遂行するために陸地に滞在する際に、2週間以上胃の中に栄養分を残すことが可能であることが証明された(Gauthier−Clercら、2000)。オウサマペンギンのオス自身も絶食をし、かつその体内貯蔵物質に頼って生きている。この栄養分の保存状態は、注目すべきものであり、その質量及びエネルギー値は変更がない(Gauthier−Clercら、2002)。 この栄養分の保存の際に、胃温度は、平均して38℃の高い値に維持され、かつ胃pHは、5〜6の間にとどまる(図1)。他方、胃の器官機能は、抱卵絶食中に胃内容物を消化する鳥において観察されるもの(図2)と比較して、栄養分保存の場合に非常に大幅に減少する。これら様々なパラメータは、内容物中に存在する細菌による栄養分の分解に有利であるが、この栄養分の定性及び定量分析により、全く違うことが証明された。 細菌学的調査によって、絶食中に胃内容物を有効に保存するペンギンの胃内容物中で生育力のある非常に高い比率の細菌が存在するが、細菌は外見上発育し得ないことを、証明することが可能になった。これらの細菌は、実際、環境ストレスの条件におかれた細菌の形態学的特徴を有する。他方、培養可能な細菌は、主にコリネバクテリウム、モラクセラ、ブドウ球菌、小球菌及び連鎖球菌種のような環境細菌、並びに恐らく餌食から生じた細菌、すなわちクロストリジウム種である。それに反して、海洋環境中の存在するシュードモナス及びビブリオ種タイプの数種の細菌(Mac Cormack及びFraile、1990)は、検出されなかった。同様に、腸内細菌は、オウサマペンギンにおいて観察されたが(Soucek及びMushin、1970)、いかなる腸内細菌も明らかにされなかった。細菌叢の分析結果もまた、細菌による分解から貯蔵した栄養分を保護することを支持している。鳥が生成する、抗微生物物質による細菌叢の制御が、この保存を解明できるであろう。 抗微生物ペプチドの存在を、抱卵絶食の際にオウサマペンギンの胃内容物中で調査した。以下のことを行った:− 胃内容物中に存在する抗微生物ペプチドの、絶食中の個別検査。絶食中に同一の個体に対して数回の採取が行われた、− 絶食中に胃内容物を保存した(「保存」グループ)か、消化した(「消化」グループ)かに応じた、鳥の2つのグループの間の比較(詳細な手順に関しては実施例2.1を参照)。 胃内容物の抽出物中の抗微生物ペプチドの存在をスクリーニングするために、4株のテスト微生物を選択した:すなわちルテウス菌(グラム陽性)、大腸菌SBS363(グラム陰性)、アカパンカビ(糸状菌)及び酵母カンジダアルビカンスである。これらの株は、抗微生物ペプチドに対して感度が高いために選択した(詳細な手順に関しては実施例2.2、2.3及び2.4を参照)。我々の記載は、細菌大腸菌、ルテウス菌及びアカパンカビの株に向けた活性に限定する。 3つの主要な結果が引き出された:− オウサマペンギンのオスの胃内容物の試料中に抗微生物活性を有する分子が存在する。− これらの抗微生物活性は、「消化」グループの個体と比較して、「保存」グループの個体において異なるように発現する。これらの差は、量的及び質的レベルに位置付けられる。 量的レベルで:− 微生物の抑制活性は、絶食の開始時及び中間で、「消化」グループと比較して、「保存」グループでより大きい(図3)。全体的及び部分的抑制活性の間の区別は、2つのグループ間の差が、絶食期間中、「消化」グループと比較して、「保存」グループでより高い比率の全体的抑制活性に関連することを示している(図4)。− (全体的及び部分的)抑制活性は、「保存」グループで絶食期間中、維持される。「消化」グループで、絶食の中間での非常に大幅な減少が観察される。 質的レベルで(図5):− 3つのタイプのテストした微生物に関して、抑制活性は、絶食期間中、「消化」グループと比較して、「保存」グループでより高い。これらの活性は、テストしたグラム+細菌(ルテウス菌)に本質的に向けられる。− 1つの例外を除き、「保存」グループの個体の試料のみが、テストしたグラム−細菌(大腸菌)に向けられる抑制活性を有する)。 結論として、これらの結果は、オウサマペンギンのオスにおける抱卵絶食の際の食物塊の保存現象に抗微生物活性を有する物質が関与することを強く支持するものである。 実施例2:オウサマペンギンのオスの胃内容物試料からの抗微生物ペプチドの隔離及び特徴付け。 2.1 鳥及び胃内容物の採取。 胃内容物の全ての試料は、オスのオウサマペンギンから自然環境中で採取した。ペンギンのコロニーは、クロゼ群島のポセッション島(46°25’S−51°45’E)にある。採取は、胃プローブを用いて抱卵期間中に行った。保護領域で、かつ保護種に対して行われたこの調査は、フランス南極大陸領土の許可(2000年10月16日の決定第2000−59号)及び国土環境整備省の許可(2000年8月30日の許可00/240/AUT)により行った。 a)鳥:オウサマペンギンのオスを、翼端の高さに一時的に付けたプラスチックリングによって、産卵及びメスとオスの間で卵を渡した直後の、抱卵期間開始時に識別した。 胃内容物の採取は、オスが遂行する抱卵の最終期間中に行った。胃内容物の個別検査を行うために、採取は、同一の鳥に対して絶食の3つの異なる段階で行った:すなわち開始時、絶食の中間(約7日)及び絶食終了時である。絶食開始時及び中間の採取に関して、鳥は、卵の上に乗っている時に調査した。絶食終了段階に関して、オスは、コロニーの外で、メスとの交代直後に捕獲した。 採取は、コロニーの外で静かに行った。鳥のストレスを最小限に抑えるために、頭巾を用いて鳥を暗所に置いた。同様に、卵は、予め温めた石膏の卵と暫定的に取り替えた。天然の卵は、実験時に、人工孵化器に入れた。実験後に、鳥を正確な捕獲場所に戻した。調査した全ての鳥は、抱卵を成し遂げた。 鳥が、抱卵絶食期間中に胃内容物を保存した(「保存」グループ、n=3)か、消化した(「消化」グループ、n=3)かに応じて、鳥の2つのグループを構成した。 b)試料の採取及び調整:胃内容物の試料は、非破壊及び非観血的な挿管及び吸引法によって採取した。均質な試料採取を得るために、必要量より多い量を、数回採取し、次に氷中に保持した容器中で即座に均質化した。試料採取を行ったのは、この均質化後のみである。試料は、−80℃で保存した。フランス本国まで試料を送還する際に、試料を順次−80℃で冷凍した状態に保持し、次に輸送技術(船、次に飛行機)に従ってドライアイス中に保持し、その後それらを分析するまで、改めて−80℃に置き、冷凍作業工程を厳密に守った。 2.2 疎水性カチオンペプチドの抽出及び前精製。 疎水性カチオンペプチドの抽出は、冷凍した胃内容物の試料から行った。胃内容物は、プロテアーゼ抑制因子としてアプロチニン(22.5μg/mlの最終濃度)を含むトリフルオロ酢酸(TFA、0.2%)からなる抽出媒体中で、ウルトラチュラックス(ultraturax)、次に超音波プローブを用いて破砕した。試料は、破砕ステップの間中、氷中で冷凍状態で保持された。試料体積/抽出媒体体積の比は、破砕終了時に、1/10に選択した。ペプチドは、寒冷な部屋で一晩中攪拌して、pH2.5〜3で抽出した。遠心分離(6℃で10分間、10000回転/分)後、上清を逆相カートリッジSep−Pak C18 Vac[5gの相、Waters(商標)]で固相抽出によって前精製した。カートリッジは、メタノールで溶媒化され、かつ酸性化水(0.05%のTFA)により平衡を保った。ペプチド/ポリペプチド及びタンパク質の溶出は、酸性化水中で80%のアセトニトリル溶液により行った。溶出した分画は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製前に凍結乾燥した。 2.3 カチオンペプチドの精製。 a)ステップ1:セミ分取カラムでの精製。 80%のSep−Pak分画は、酸性化水中で2%のアセトニトリル溶液により平衡を保った、セミ分取カラムAquapore RP−300 C18[250×7mm、Brownlee(商標)]で逆相担体上でクロマトグラフィーを受けた。分画は、1.3ml/分の流量で70分間、2%〜72%の酸性化水中のアセトニトリルの線形勾配を用いて分離した。 この精製ステップは、ベックマン168フォトアレイ(photoarray)検出器を備えたベックマンゴールドHPLCシステムで、制御した温度(20〜22℃)のもとで行った。カラムから溶出した分子を、その225nmの吸光度によって検出した。 様々な分画を、手で集め、真空で乾燥させ(Speed−Vac、Savant)、かつ抗微生物活性の分析前に予めろ過した[Millipore(商標)]150μlの超純水[Millipore(商標)]中で復元した。 b)ステップ2:分析カラムでの精製。 抗微生物活性(細菌の2株及び糸状菌の株に向けられた全体的活性)を有する分子の精製を、絶食終了時に、「保存」グループに属する鳥から採取した胃内容物に由来する分画から行った。 精製の第2ステップは、分析カラムAquapore OD−300[220×4.6mm、Brownlee(商標)]で行った。溶出は、0.8ml/分の流量で10分間、2〜23%、次に45分間、23〜38%の酸性化水中のアセトニトリルの二相性勾配を用いて行った。様々な分画を、手で集め、真空で乾燥させ(Speed−Vac、Savant)、かつ70μlのMilliQ水[Millipore(商標)]中で復元した。活性生成物の使用を生物学的テストに限定するため、大腸菌のグラム陰性の株のみをテストした。不活性分画は、その場合アカパンカビに対してテストした。いかなる活性も検出されず、前の精製ステップ中に記録された、糸状菌アカパンカビに向けられる活性が、グラム陰性細菌、大腸菌に向けられる活性を有する分画に確かに関連することを示唆している。 c)ステップ3:分析カラムでの最終精製段階。 精製の第3ステップは、0.8ml/分の流量で10分間、2〜20%、かつ50分間、20〜30%の酸性化水中のアセトニトリルの二相性勾配を溶出条件として使用して、ステップ2と同じ分析カラムで行った。分画を採集し、真空で乾燥させ、かつ40μlの水中に入れ、かつ大腸菌に対する抗微生物活性に関して分析した。 これらの、精製の最後の2つのステップは、可変吸光度検出器(Waters 486)に連結した、生体適合性HPLCシステム(all PEEK Waters、Modele Waters 626)で、制御した温度のもとに行った。カラムから溶出した分子を、その225nmの吸光度及び下記の実施例2.4に記載した手順に従って測定した抗微生物活性によって検出した。 2.4 抗微生物活性の検出。 抗微生物活性を、4株の微生物に対して測定した:すなわちルテウス菌(グラム陽性;パリ、パストゥール研究所のコレクション)、大腸菌SBS363(グラム陰性;サクレー核研究センターのBoquet氏の寄贈)、アカパンカビ[糸状菌;パリ、クローズ社、菌類ライブラリー(mycotheque)]及びカンジダアルビカンス(酵母;ストラスブール、市民病院、Koenig博士の寄贈)である。これら4株は、天然抗微生物ペプチドへの周知の感度のために、公的又は私的コレクションにおいて選択された。 テストする細菌は、超純水中で調製された、NaClを5g/l添加した10g/lのバクトトリプトン溶液に相当する「プアブロス(Poor Broth)」タイプの適当な栄養媒体中で懸濁状態にした。 テストするアカパンカビ菌の胞子は、「ジャガイモ浸剤−ブドウ糖」タイプの適当な培地中で懸濁状態にした。好ましくは、1 lの脱塩水に対して12gの媒体ポテトデキストロースブロス(1/2PDB、Dufco)を使用する。2つの抗生物質を、培地に添加した:すなわちセフォタキシン(100μg/mlの最終濃度)及びテトラサイクリン(10μg/mlの最終濃度)である。 テストする酵母カンジダアルビカンスの株は、「サブロー」タイプの適切な培地中で培養状態に置いた。 抗微生物活性を、微量滴定板中の液状媒体での増殖抑制テストによって検出した(Hetru及びBulet、1997)。(1mDO〜600nmに等しい最終濃度で)微生物を含む90のμlの培地の存在下で、微量滴定板中に集めた10μlの各分画を堆積させる。 細菌及び酵母に関して、培養は12〜24時間、攪拌して30℃で行われた。微生物増殖は、微量滴定板を読み取る分光光度計を用いて600nmで吸光度に応じて、測定した。 糸状菌に関して、培養は48時間、湿った雰囲気下、37℃で行った。真菌増殖は、24時間後にフォトニック顕微鏡で観察され、かつ微量滴定板を読み取る分光光度計を用いて600nmで吸光度を測定して48時間後に数量化された。 2.5 スフェニシンの構造的特徴付け。 2.5.1 質量分析法による分析。 純度及び生物活性分子の分子量決定は、いわゆるマトリックス支援レーザー脱離イオン化後飛行時間測定技術(MALDI−TOF技術)による質量分析法によって行った。使用した設備は、高分解能光学レンズSCOUT(商標)及びリフレクトロンを備えた、質量分析計Brucker BIFLEX(商標) III(ドイツ、ブレーメン)である。この器具は、20kVの最大加速度ポテンシャルを有し、線形モードでもリフレクトロンモードでも使用できる。イオン化は、周波数3Hzの窒素レーザーが発した337nmのビームで行う。質量スペクトルは、ショウジョウバエの標準ペプチド混合物により、すなわち公知の分子量のドロソシン(drosocine)、メチニコウィン(metchnikowine)及びドロソマイシン(drosomycine)をそれぞれ2199.5Da、3046.4Da及び4890.5Daで外部で較正した(Bullet、1999)。 分析する試料は、次のように説明されるサンドイッチ法により調製した(Kussmannら、1997):0.5μlの試料を、アセトン中の飽和溶液の急速蒸発によって得たα−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸結晶の薄膜(4−HCCA、Sigma)上に堆積させた。全体は、水中のアセトニトリル50%の溶液中で飽和する0.5μlのマトリックス4−HCCAによってカバーされた。僅かな真空での乾燥後、試料を改めて乾燥させかつ質量分析計に導入する前に、1.5μlのTFA0.1%で洗浄した。 上記実施例2.3のステップ3の際に隔離した分画に関して得た質量スペクトルは、図7Aに示す。この分画は、4482.84及び4501.67のMH+の分子量の2つの分子を含んでいた。次のステップは、隔離した抗微生物分子中のシステイン残基の存在を確認すること、及びエドマン分解によるペプチド配列決定中に配列識別を容易にするためにこれらのシステイン残基を場合により修飾することであった。 2.5.2 システイン残基の存在の確認及びその数の決定:還元及びS−ピリジルエチル化。 a)ステップ1:化学処理。 システイン残基の存在は、還元及びS−ピリジルエチル化後に決定した。実施例2.3のステップ3で精製したペプチドのアリコート分画は、2mMのEDTA及び6Mの塩化グアニジウムを含む、40μlのトリス緩衝液/HCl、0.5M、pH8.3の中で、4μlのジチオトレイトール(最終濃度2.2M)により、化学還元ステップを受けた。反応媒体は、窒素雰囲気下に置いた。暗所で60分培養した後、2μlの4−ビニルピリジン(アルキル化剤)を反応に添加した。反応媒体は、窒素雰囲気下に置き、かつ暗所で10分、45℃で培養した。反応は50μlのTFA10%による酸性化によって停止した。 b)ステップ2:還元及びアルキル化ペプチドの精製。 ピリジルエチル化ペプチドは、C18ナローボアカラム[DeltaPak HPIC18、2×150mm、Waters(商標)]を使用し、逆相クロマトグラフィーによって反応媒体から精製した。溶出は、0.2ml/分の流量で90分間、2%〜60%の酸性化水中のアセトニトリルの線形勾配を用いて行った。この分離は、可変吸光度検出器(Waters 486)に連結した、生体適合性HPLCシステム(all PEEK Waters、Modele Waters 626)で、制御した温度のもとに行った。カラムから溶出した分子を、その225nmの吸光度によって検出した。 c)ステップ3:質量分析法によるシステイン残基数の決定。 ピリジルエチル化ペプチドの質量測定は、実施例2.5.1に述べた手順によりMALDI−TOF質量分析計によって実行した。この分画は、5120.69及び5141.54のMH+の分子量の2つの分子を含んでいた(図7B)。2つの分子に関して還元前及び後に測定した分子量の差は、6個の4−ビニルピリジン残基(6×106Da)の添加に相当する。このことは、4482.84(m/z)の分子及び4501.67(m/z)のそれの中の6個のシステイン残基の存在、及びそれらが、3つの分子内ジスルフィド架橋の形成に関与することを確認する。 2.5.3 スフェニシンの一次配列決定。 a)ステップ1:エドマン分解による配列決定。 S−ピリジルエチル化ペプチドのエドマン分解による自動配列決定は、シーケンサABI473A(Applied Biosystems Inc.)で行った。14位のアミノ酸(ヒスチジン対アルギニン)によってのみ異なる38個のアミノ酸の2つの一次配列が得られたが、31及び37位のアミノ酸に関しては曖昧であった。この曖昧さを取り除くために、2つのペプチドをキモトリプシンで処理した。 b)ステップ2:キモトリプシンでの消化及び質量分析法によるキモトリプシン分画の分析。 S−ピリジルエチル化ペプチドを含む分画(4μl)は、1/20の比率(酵素/ペプチド、重量/重量)でのキモトリプシンの存在下、10mMのCaCl2を含む、20μlのトリス緩衝液100mM、pH7.8の中で、溶解させた。アリコート分画(0.5μl)を30℃での培養の30分及び55分後にMALDI−TOF質量分析法によって分析した。試料を、実施例1.5.1に記載した手順に従い、MALDI−TOF質量分析法によって分析した。55分後に観察したキモトリプシン分画の中で、1261.05(m/z)で測定した分子量を有する分画の1つが、エドマン分解による配列決定の後で観察された曖昧さを確認し、かつ取り除くことを可能にした。2つのペプチドに関して同一のC末端配列。 使用した技術の集合により、このようにしてスフェニシン−1及びスフェニシン−2の完全な構造を得ることが可能になった。 スフェニシン−1の一次配列は、次の通りである: SFGLCRLRRGFCAHGRCRFPSIPIGRCSRFVQCCRRVW(配列番号9) 計算分子量:4483.38MH+ 測定分子量:4482.84MH+ スフェニシン−2の一次配列は、次の通りである:SFGLCRLRRGFCARGRCRFPSIPIGRCSRFVQCCRRVW(配列番号10) 計算分子量:4502.42MH+ 測定分子量:4501.67MH+ タンパク質及びヌクレオチドデータバンク(FASTA Genome、NCBI−TBLASTN)における分析により、スフェニシンが、動物界に広く普及した抗微生物ペプチドであるβ−デフェンシン科に属することを証明することが可能になった。スフェニシンの配列の詳細な比較を、脊椎動物の上皮中で、かつメンドリ(Gallus gallus)及びホロホロドリ(Meleagris gallopavo)の場合に見つけられた公知のβ−デフェンシンの配列により行った。観察された相同性(図8)は、オウサマペンギンの胃内容物から隔離したスフェニシンが、鳥によって確かに生成かつ分泌され、かつ食料品自体には由来しないことを明瞭に示している。 実施例3:オウサマペンギンにおける抱卵絶食中の胃内容物中のスフェニシンの変化。 3.1 MALDI−TOF質量分析法による胃内容物中のスフェニシンの検出。 分析は、第1の精製ステップ(実施例2.3ステップ1参照)から生じた分画に対して胃内容物の各試料で行った。MALDI−TOF質量分析法による分析手順は、実施例2.5.1に記載したものである。 所定の絶食段階で同じ個体に由来する、第1の精製ステップから生じた、スフェニシン1及び/又は2を含む全ての分画を、再編成した。スフェニシンは、実施例2.3での上記のモデルに従って、適合したアセトニトリル勾配を使用して、適切な逆相カラムでの相次ぐクロマトグラフィーによって精製した。 精製ステップは、可変吸光度検出器(Waters 486)に連結した、生体適合性HPLCシステム(all PEEK Waters、Modele Waters 626)で、制御した温度のもとに行った。カラムから溶出した分子を、その225nmの吸光度及びMALDI−TOF質量分析法によって確認したスフェニシン1及び2の存在によって検出した。 3.2 オウサマペンギンにおける抱卵絶食中の胃内容物中のスフェニシンの数量化及び変化。 a)ステップ1:領域キャピラリー電気泳動法による分析。 スフェニシンの数量化を可能にする第1のステップは、モデル270 A−HT(Applied Biosystems Inc.)に対して領域キャピラリー電気泳動法を行うことからなった。(MALDI−TOF質量分析法によって決定した)スフェニシンを含む、4nlの各分画の「プール」(12μl)を、シリカ毛細管(72cm×50μm)中の真空による補助のもとで注入した。クエン酸緩衝液20mM、pH2.5で分析を行った。電気泳動は、30℃で20分間、陽極から陰極へ20kVで行った。移動は、200nmで記録された。各試料に関して、スフェニシン1及び2に相当するピークの表面を決定した。 b)ステップ2:数量化。 数量化を実行できるように、キャピラリー電気泳動法によって得られたピークの範囲を較正したスフェニシン溶液のそれと比較した。この溶液は、エドマン分解によって分析した試料に対応する。配列決定したスフェニシンの正確な量を、エドマン分解による配列決定中に得られる反復収率及び初期収率の測定によって決定した。 その場合観察される量は、胃内容物の初期試料中に存在した濃度に戻された。得られたデータは、取り扱った2つのグループ:すなわち「保存」及び「消化」グループ(図6)間での胃内容物のスフェニシン含有量の大きな変動を明瞭に示している。他方、「保存」グループにおいて、スフェニシン比率の明確な増加が、絶食の開始時と終了時の間で観察される。 実施例4:スフェニシン−2の合成形状、その抗微生物活性スペクトル及びその機能性に対するpHの効果の調査。 4.1.これらの調査の対象及び主要な結果。 本発明の枠内で、前記発明の対象であるペプチド(スフェニシン)の抗微生物特性、並びに(三次元、3Dの)二次構造を評価するために、新規な調査を行った。これらの調査を実行する目的で、スフェニシン−2である、本発明のペプチドの変異体の1つと同一の構造及び組成の合成ペプチドを化学的に生成した。合成スフェニシン−2により、次の事項に関する調査を企画することができた:− ヒトに対する病原株を含む、広い範囲の微生物に対するスフェニシン−2の活性スペクトル。グラム陽性及びグラム陰性の細菌、酵母及び糸状菌の株を使用した。− 媒体のpHに応じたスフェニシン−2の活性。実際、オウサマペンギンにおける食物塊の保存の場合、pHが4〜6の間で揺れ動くことが証明された(Thouzeauら、2003)。かかるpHが、インビボでスフェニシン活性に影響を有し得るか、インビトロでテストすることが問題であった。この調査は、食品保存又は胃腸媒体での微生物感染に対する闘いに、これらの分子を使用する可能性がある状況で、大変重要であった。 5つの主要な結果が、これら2つの調査から引き出される:− スフェニシン−2は、多数のグラム陽性の細菌株の発育に大いに影響する(表1)。この影響は、主に殺菌タイプである(細菌細胞の溶解);− スフェニシン−2は、非常に多様なグラム陰性の細菌株に対して同様に活性である(表1)。グラム陽性の胚に対して観察されることとは反対に、この効果は、特に静菌性タイプである(細菌繁殖の停止);− スフェニシン−2は、糸状菌と同様に酵母に対しても抗真菌活性を有する(表1)。この効果は、殺真菌(胞子の溶解)であり得るが、ヒトの病原菌、アスペルギルスフミガーツスに関して観察することができるような胞子形成の遮断によって菌の再生段階に影響を及ぼすこともできる。この効果は、添付の図9に示す;− このペプチドに影響される微生物の株に応じて異なるスフェニシンの作用方法の存在;− スフェニシン−2は、ペンギンの胃内容物中で観察したpHの範囲で、すなわちpH4〜pH6で常に機能する(表2)。 結論として、植物及びヒトの病原細菌及び真菌の増殖に影響する、スフェニシン−2の広い活性スペクトルを明らかにすること、及び胃中でインビボで観察したpHへのこのペプチドの機能性を維持することは、オウサマペンギンにおける抱卵絶食の際に、抗微生物活性を有する物質が食物塊を保存する現象に係わることを支持する追加の論拠である。これらの生物学的特性は、pHが適度に酸性である環境中で抗微生物の闘いにこれらの分子を使用することを同様に支持するものである。 以下に続くサブパラグラフは、スフェニシン−2の合成形状、その抗微生物活性スペクトル、及びその機能性に対するpHの効果の調査に関する追加の特徴を示している。 4.2.スフェニシン−2の合成形状を得ること。 スフェニシン−2の特徴の研究には、十分な量のペプチドを使うことが必要であるが、これをペンギンの胃内容物の抽出物から得ることは、困難であった。スフェニシン−2の合成形状は、ALTERGEN研究所(フランス、シルティガン)で得た。スフェニシン−2は、当業者に公知の手順に従って化学合成によって生成した。当業者に公知な、適合した条件で分子を復元した後、分子の純度及び自然分子との同一性は、下記の手順を使用して制御した:a)合成原料の処理:合成原料を構成する粉末を、ACN50%の溶液を用いた数回の相次ぐ洗浄;凍結乾燥ステップが後に続く、真空乾燥ステップ(Speed−Vac、Savant)で中断される洗浄によって存在するトリフルオロ酢酸残部から洗浄した。b)ジスルフィド架橋の分子量及び組織の確認:このように洗浄した合成生成物の同一性は、胃内容物から生じた自然分子のそれにより確認かつ比較した。合成スフェニシンの分子量並びに純度は、いわゆるマトリックス支援レーザー脱離イオン化後飛行時間測定技術(MALDI−TOF技術、技術の詳細に関しては、実施例2.5.1.を参照)による質量分析法によって確認した。分子の特徴を示すジスルフィド架橋の配置(Cys1−Cys5、Cys2−Cys4、Cys3−Cys6)は、この消化によって生じた分画のMALDI−TOFによる質量刻印付け(empreinte massique)が続く、トリプシン(ドイツ、Boehringer Mannheim)での酵素開裂によって確認した。 得られた結果の集合は、合成スフェニシンが、一次構造のレベルでも、ジスルフィド架橋の配置によっても、天然スフェニシン−2分子と完全に同一であることを証明した: 天然(Sphe−2N)及び合成(Sphe−2S)スフェニシン−2: 計算分子量:4502.42MH+ 測定分子量(Sphe−2N):4501.67MH+ 測定分子量(Sphe−2S):4502.71MH+ システインの対合:Cys1−Cys5、Cys2−Cys4、Cys3−Cys6 この厳密な同一性の故に、合成スフェニシン−2は、この分子の生物学的特性の調査を行い、かつこのペプチドの三次元構造の調査を検討するために使用された。 4.3.スフェニシン−2の活性スペクトルの決定。 スフェニシン−2の最小抑制濃度(MIC)(0.2μM〜100μMの濃度)で発現した抗微生物活性を、微量滴定板中の液状媒体での増殖抑制テストを使用して、細菌、酵母及び真菌に対して決定した(詳細な手順に関しては、実施例2.4.並びにHetru及びBulet、1997を参照)。 ペプチドの殺細菌又は静菌性効果を、24時間の培養後に存在するコロニーをペトリ皿に広げ、かつ算出することによって決定した。 使用した微生物の株は、以前、文献(Lowenbergerら、1995、1999)中に記載された幾つかのものと同じであるが、それらに次の株を加えた(研究者の寄贈):セレウス菌ATCC11778(パリ、パストゥール研究所のコレクション)、アルカリ糞便菌、腐生ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌及びノカルジアアステロイデス(フランス、ストラスブール大学細菌学研究所、Monteil及びPiemont教授)、大腸菌SBS363(フランス、サクレー核研究センター、Boquet博士)、ビブリオメチニコフィイ及びビブリオアングイラルム(フランス、モンペリエ、IFREMER、Bachere博士)、カンジダアルビカンスIHEM8060(フランス、ストラスブール、EntoMed)及びカンジダトロピカリス(フランス、ストラスブール、市民病院、Koenig博士) 対照ペプチドMSI−94は、M.A.Zasloff博士(Magainin Scientific Institute、Plymouth Meeting、Philadelphia)の寄贈であり;かつペプチドタナチン(peptide thanatine)は、Bulet博士(ストラスブール、UPR9022、CNRS)の寄贈である。 以下の表1は、合成スフェニシン−2及び2つの対照ペプチドの活性スペクトルを示す。最小増殖抑制濃度(MIC)は、間隔[a]−[b](式中、[a]は、微生物が発育する、テストした最も高い濃度であり、かつ[b]は、そこから100%の微生物増殖抑制がある、テストした最も低い濃度である)に対応する(Casteels及びTempst、1994)。対照ペプチドは、細菌及び酵母に対してテストするためのMSI−94[両生類ツメガエルの皮膚から生じ、かつ広い抗微生物活性スペクトルを有する(Maloy及びKari、1995)マンガイニン(mangainines)科のペプチド;及び糸状菌に対してテストするためのタナチン(昆虫Podisus maculiventrisに由来する抗真菌ペプチド;Fehlbaumら、1996)である。NDは、ペプチド活性が、テストした濃度、すなわち100μMの最大濃度まで検出されなかったことを意味する。 4.4.様々なpHでのスフェニシン−2の機能性の調査。 良好に保護した胃内容物の適度な酸性度(pH4〜6、Thouzeauら、2003)が、インビボでスフェニシンの効率を変更し得るかを決定するために、スフェニシンの活性を4.2〜6.1のpHでテストした。 かかるpHで発育することが可能な微生物株を、予め選択した:緑膿菌及び大腸菌1106(グラム陰性の細胞)である。 抗微生物活性テストは、微量滴定板中の液状媒体で行った(詳細な手順に関しては、実施例2.4.並びにHetru及びBulet、1997を参照)。 各テストに関して、使用した液状媒体のpHは、塩酸で調整した。 以下の表2は、合成スフェニシン−2の抗微生物活性に対する媒体のpHの効果を示す。テストするpH範囲で発育することが可能なグラム陰性の2つの細菌株(緑膿菌及び大腸菌1106)を選択した。テストするpH範囲は、抱卵中のオウサマペンギンの良好に保存された胃内容物中で観察されるpHの変化をカバーしている(Thouzeauら、2003)。(参考文献)抱卵絶食の第1週の間のオスのオウサマペンギンにおける胃pH及び胃温度の変化を表す。一方のケースでは胃内容物が保存され(A)、他方のケースでは消化される(B)。抱卵絶食の第1週の間のオスのオウサマペンギンにおける胃運動性及び胃温度の変化を表す。一方のケースでは胃内容物が保存され(A)、他方のケースでは消化される(B)。卵を抱いて絶食中のオウサマペンギンの胃内容物中の抗微生物活性の変化を表す。抗微生物活性は、カチオンペプチドのクロマトグラフィーによる第1の精製から生じた分画を堆積させてテストした。グラム−(大腸菌)、グラム+(ルテウス菌)細菌及び糸状菌(アカパンカビ)を代表する3株の微生物を使用した。抗微生物活性は、テストした分画に対する微生物の増殖減少又は欠如に対応する。抗微生物活性に関して示したパーセンテージは、これらの活性を有する分画の比率に対応する。ペンギンの2つのグループが、絶食中に胃内容物を保存するか(左側の濃色のヒストグラム)、又は消化するか(右側の淡色のヒストグラム)に応じて構成された。文字:同じグループに関する絶食中の差;P<0.05。星:グループ間の同じ絶食段階に関する差;P<0.05。卵を抱いて絶食中のオウサマペンギンの胃内容物中の全体的(無地のヒストグラム)又は部分的(線影を付けたヒストグラム)抗微生物活性の変化を表す。抗微生物活性は、カチオンペプチドのクロマトグラフィーによる第1の精製から生じた分画を堆積させてテストした。グラム−(大腸菌)、グラム+(ルテウス菌)細菌及び糸状菌(アカパンカビ)を代表する3株の微生物を使用した。テストした分画に関して微生物の増殖がなければ、抗微生物活性を全体的として特徴付けた。遅い増殖があるのみならば、部分的抑制である。抗微生物活性が全体的又は部分的であろうと、抗微生物活性に関して示したパーセンテージは、これらの活性を有する分画の比率に対応する。ペンギンの2つのグループが、絶食中に胃内容物を保存するか(左側ヒストグラム)、又は消化するか(右側のヒストグラム)に応じて構成された。卵を抱いて絶食中のオウサマペンギンの胃内容物中の3つのタイプの微生物に対する抗微生物活性の変化を表す(凡例に関して図4参照)。卵を抱いて絶食中のオウサマペンギンの胃内容物中の絶食中のスフェニシンの量的変化を表す。ペンギンの2つのグループが、絶食中に胃内容物を保存するか(黒丸及び実線)、又は消化するか(白丸及び長い点線)に応じて構成された。個別(A)又は平均±ESM(B)の値を現す。(A)で、絶食の開始時と中間の間で胃内容物を保存し(黒い四角)、次に絶食の中間と終了時の間でそれを消化した(白い四角)個体に関する値も、表した(短い点線)。自然形状の(A)、又はシステイン残基の還元及びピリジルエチル化後の(B)スフェニシンの質量スペクトルを表す。脊椎動物における上皮免疫応答に係わるβ−デフェンシンを表す。L=舌;T=気管;MB=頬粘膜;GS=唾液腺;P=皮膚;MP=肺粘膜;GI=胃腸管;E=胃;I=腸;O=食道;TG=生殖路。参考文献:(1)Zhaoら、2001;(2)Harderら、1997;(3)Hiratsukaら、1998;(4)Mathewsら、1999;(5)Harderら、2001;(6)Garciaら、2001a;(7)Garciaら、2001b;(8)Balsら、2001;(9)Duitsら、2000;(10)Duitsら、AMSDbサイト;(11)Diamondら、1993;(12)Schonwetterら、1995;(13)Tarverら、1998;(14)Balsら、1998;(15)Huttnerら、1997;(16)Morrisonら、1999;(17)Balsら、1999;(18)Jiaら、2000;(19)Yamaguchiら、2001;(20)Conejo−Garciaら、AMSDbサイト;(21)Zhaoら、1999;(22)Huttnerら、1998;(23)Zhangら、1998。糸状病原菌であるアスペルギルスフミガーツスの増殖に対する合成スフェニシン−2の有害な効果を示す(電子顕微鏡(Philips XL30 LaB6)で観察)。(図9A)対照成育:胞子で終わるアスペルギルス頭部(tetes aspergillaires)が良く見える(×400)。(図9B)6μMのスフェニシン−2による培養は、アスペルギルス頭部の消失を引き起こす。従って、アスペルギルスフミガーツスに対するスフェニシン−2の観察された効果は、胞子に対する直接的な殺真菌タイプではなく、この真菌の再生/繁殖プロセスに係わる構造であるアスペルギルス頭部の形成がもはやないので、真菌の再生抑制による増殖停止と表現される。 次式(II):(式中、Xaaは、Ser−Phe−Gly−Leuであり、Xabは、Arg−Leu−Arg−Arg−Gly−Pheであり、Xacは、Ala−Xac2−Gly−Argであるが、ここでXac2は、His又はArgであり、Xadは、Arg−Phe−Pro−Ser−Ile−Pro−Ile−Gly−Argであり、Xaeは、Ser−Arg−Phe−Val−Glnであり、Xafは、Arg−Arg−Val−Trpであり、Ca1、Ca2、Ca3、Ca4、Ca5及びCa6は、硫黄含有アミノ酸であり、さらにCa1はCa5に連結され、Ca2はCa4に連結され、Ca3はCa6に連結され、該連結部分は、ジスルフィド架橋である)で表されるアミノ酸配列からなる抗微生物活性ペプチド。 Ca1、Ca2、Ca3、Ca4、Ca5及びCa6は、各々システインであることを特徴とする請求項1に記載の抗微生物活性ペプチド。 Xac2は、Hisであることを特徴とする請求項2に記載の抗微生物活性ペプチド。 Xac2は、Argであることを特徴とする請求項2に記載の抗微生物活性ペプチド。 スフェニシン−1に対応する請求項3に記載の抗微生物活性ペプチド。 スフェニシン−2に対応する請求項4に記載の抗微生物活性ペプチド。 活性作用物質として請求項1〜6のいずれか1項に記載の少なくとも1種の抗微生物活性ペプチドと、薬学上許容可能な1種又はそれ以上のビヒクルを含む薬剤組成物。 活性作用物質として請求項1〜6のいずれか1項に記載の少なくとも1種の抗微生物活性ペプチドと、薬学上許容可能な1種又はそれ以上のビヒクルを含む農学組成物。 活性作用物質として請求項1〜6のいずれか1項に記載の少なくとも1種の抗微生物活性と、薬学上許容可能な1種又はそれ以上のビヒクルを含む農業食品組成物。 食品の保存に有用であることを特徴とする請求項9に記載の農業食品組成物。 ヒト又は動物において、細菌又は真菌感染を予防又は治療するために有用であることを特徴とする請求項7に記載の薬剤組成物。 植物において、細菌又は真菌感染を予防又は治療するために有用であることを特徴とする請求項8に記載の農学組成物。 請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗微生物活性ペプチドをコードすることを特徴とするポリヌクレオチド。 請求項13に記載の少なくとも1種のポリヌクレオチドを含むベクター。 請求項14に記載のベクターを含む、動物若しくは植物細胞、又は原核生物の宿主。配列表


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る