生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_レボキセチンの医薬用塩
出願番号:2004513273
年次:2010
IPC分類:C07D 265/30,A61K 31/5375,A61P 1/14,A61P 3/02,A61P 3/04,A61P 3/10,A61P 5/06,A61P 5/24,A61P 13/10,A61P 15/00,A61P 17/02,A61P 21/00,A61P 25/00,A61P 25/02,A61P 25/14,A61P 25/18,A61P 25/20,A61P 25/22,A61P 25/24,A61P 25/28,A61P 25/32,A61P 25/34,A61P 25/36,A61P 29/00,A61P 39/02,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

マーシモ・ツァームピエリ アンナリーザ・アイロルディ アレサーンドロ・マルティーニ JP 4563172 特許公報(B2) 20100806 2004513273 20030604 レボキセチンの医薬用塩 ファイザー イタリア ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ 506305540 室伏 良信 100096666 ▲高▼橋 宏次 100131934 宮澤 純子 100137040 四本 能尚 100133927 マーシモ・ツァームピエリ アンナリーザ・アイロルディ アレサーンドロ・マルティーニ EP 02077366.9 20020617 20101013 C07D 265/30 20060101AFI20100922BHJP A61K 31/5375 20060101ALN20100922BHJP A61P 1/14 20060101ALN20100922BHJP A61P 3/02 20060101ALN20100922BHJP A61P 3/04 20060101ALN20100922BHJP A61P 3/10 20060101ALN20100922BHJP A61P 5/06 20060101ALN20100922BHJP A61P 5/24 20060101ALN20100922BHJP A61P 13/10 20060101ALN20100922BHJP A61P 15/00 20060101ALN20100922BHJP A61P 17/02 20060101ALN20100922BHJP A61P 21/00 20060101ALN20100922BHJP A61P 25/00 20060101ALN20100922BHJP A61P 25/02 20060101ALN20100922BHJP A61P 25/14 20060101ALN20100922BHJP A61P 25/18 20060101ALN20100922BHJP A61P 25/20 20060101ALN20100922BHJP A61P 25/22 20060101ALN20100922BHJP A61P 25/24 20060101ALN20100922BHJP A61P 25/28 20060101ALN20100922BHJP A61P 25/32 20060101ALN20100922BHJP A61P 25/34 20060101ALN20100922BHJP A61P 25/36 20060101ALN20100922BHJP A61P 29/00 20060101ALN20100922BHJP A61P 39/02 20060101ALN20100922BHJP A61P 43/00 20060101ALN20100922BHJP JPC07D265/30A61K31/5375A61P1/14A61P3/02A61P3/04A61P3/10A61P5/06A61P5/24A61P13/10A61P15/00A61P17/02A61P21/00A61P25/00A61P25/02A61P25/02 101A61P25/14A61P25/18A61P25/20A61P25/22A61P25/24A61P25/28A61P25/32A61P25/34A61P25/36A61P29/00A61P39/02A61P43/00 111 C07D 265/30 A61K 31/5375 A61P 1/00-43/00 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 国際公開第01/001973(WO,A1) 特開昭61−129174(JP,A) MELLONI P,TETRAHEDRON,NL,ELSEVIER SCIENCE PUBLISHERS,1985年,V41 N7,P1393-1399 9 EP2003005261 20030604 WO2003106441 20031224 2005533791 20051110 13 20060531 早乙女 智美 本発明は、レボキセチンの2S,3Sエナンチオマーの新規な結晶性の水溶性塩である、そのフマル酸塩またはコハク酸塩、それらの製造方法、治療におけるそれらの使用、およびそれらを含む医薬組成物に関する。 レボキセチン、すなわち2−[α−(2−エトキシ−フェノキシ)−ベンジル]−モルホリンは、GB 2014981Bにより最初に教示され、この公報はうつ病の処置のためのその使用を記載している。レボキセチンは選択的ノルエピネフリン再摂取阻害剤であり、それは安全な薬剤であり、また選択的ノルエピネフリン再摂取阻害が必要なヒトを含む哺乳類の障害のための優れた処置剤である。実際に、その生理的効果は、ノルエピネフリン工程に対する以外は、もしあるとしてもごくわずかであり、従って副作用および望ましくない活性がない。GB 2176407Bは、レボキセチンの単一の2R,3Rおよび2S,3Sエナンチオマーを提供している。以下、SS−レボキセチンと呼ばれるレボキセチンの2S,3Sエナンチオマーは、ラセミ体レボキセチンよりも有意に高い選択的ノルエピネフリン再摂取阻害活性が賦与されていることが見出された。 レボキセチンの新しい使用を記載した幾つかの特許文献、例えばUS 6,391,876;US 6,046,193;US 6,184,222;US 6,028,070およびWO 02/36125がある。しかしながら、SS−レボキセチンの単一のフマル酸塩およびコハク酸塩は、これまでに記載されたことがなかった。レボキセチンメシレート塩はラセミ体として市販されており、固体医薬形態で好ましく投与される。同様に、SS−レボキセチンメシレートは、選択的ノルエピネフリン再摂取阻害が必要な患者への投与に最も適切である固体医薬形態で哺乳類に投与するために開発中である。しかしながら、化合物SS−レボキセチンメシレートは、その吸湿性のために劣った物理化学的特性および不安定性が示されている。 水分吸収は医薬粉末にとって重大な懸念である。水分は、例えば、薬剤、賦形剤および製剤の物理的、化学的および製造特性に対して重要な影響を有することが示されている。それはまた、包装、貯蔵、取り扱いおよび貯蔵寿命に関して決定を行う際のキーファクターであり、好結果を与える開発には吸湿性に関するしっかりした理解が必要である。 例えば、無水物形態から水和形態への変換は、相対湿度が臨界レベルを超え、含水量が固体中で急上昇するときに観察されることがある。これは、薬剤自体の物理的製薬的特性だけでなく、その生物薬剤学的展望に対しても影響を与える。さらに、水和物形態は、対応する無水物形態に対して普通はより低い溶解性を示す傾向があり、活性化合物自体の溶解速度特性および胃腸管によるその吸収プロフィールに対しても潜在的に有害な効果を有することが周知である。同様に、結晶形態から非晶質形態への変換が相対湿度の存在下に観察されることがあり、物理的安定性(活性薬剤物質が例えば潮解手段で作用することがある)または化学的安定性の点で潜在的に不利であり、実際に、熱力学的に活性化される非晶質構造は、化学的変性および他の化学種との化学的相互作用をいっそう受けやすい。従って、製剤および活性成分の両方の性能および効力が著しく変化することがある。 特に、SS−レボキセチンに関する限り、無水メシレート塩は本来熱力学的に不安定であり、それ自体は経時的に水和物形態に変換する傾向を示すことが確認されている。さらに、無水物形態は高い相対湿度環境に曝露されると結晶構造を失う傾向を示し、従って化学的安定性の低い非晶質形態に変換する。 従って、より安全かつ有効な経口投与を可能にするために、より低い吸湿性、および良好で再現性のある生物薬剤学的特性が賦与された水溶性のSS−レボキセチン塩が治療において必要である。 上記の技術的問題は、本発明の発明者らにより、改善された物理化学的特性を有するSS−レボキセチンの二つの新規な塩を提供することによって解決された。実際に、新規な塩は、高い水溶性を有する、結晶性の、吸湿性の低い、急速に溶解する固体であり、さらにメシレート塩よりも実質的に安定である。従って、それらは、メシレート塩によって示される他の全ての利点、特に治療上の利点に加えて、取り扱い、貯蔵および製剤化などにおいて重要な利点を有する。 発明の説明 本発明の第一の目的は、そのフマル酸塩またはコハク酸塩である2−[α−(2−エトキシ−フェノキシ)−ベンジル]−モルホリンの2S,3Sエナンチオマーの新規な結晶性の水溶性塩を提供することである。 2−[α−(2−エトキシ−フェノキシ)−ベンジル]−モルホリンの2S,3Sエナンチオマーは、以下、SS−レボキセチンと呼ばれる。 SS−レボキセチンのフマル酸塩またはコハク酸塩は、公知の類似方法により、好適な溶剤に溶解した遊離塩基に、対イオンの水溶液の理論量を添加することによって得ることができる。このような溶剤は、好ましくは、メタノール、エタノール、ジオキサンおよびジメチルホルムアミドから選択される有機溶剤、特に無水溶剤であることが好ましい。必要に応じ、無水非極性溶剤、例えばジエチルエーテル、n−ヘキサンまたはシクロヘキサンの添加により、得られた塩を沈殿させることが好ましいましい場合がある。 遊離SS−レボキセチン塩基は、相当するメシレート塩から公知方法により得ることができる。SS−レボキセチンのメシレート塩は、GB 2167407Bに記載されたようにして得ることができる。 本発明の好ましい態様によれば、SS−レボキセチンのフマル酸塩またはコハク酸塩は、SS−レボキセチン遊離塩基を、好適な低級アルカノール、好ましくはエタノール中で、それぞれフマル酸またはコハク酸と反応させ、次いで制御した結晶化工程を行うことにより得ることができる。低級アルカノールは、例えばC1〜C4アルカノール、好ましくはエタノールである。 SS−レボキセチン遊離塩基それ自体は、SS−レボキセチンマンデル酸塩を好適な塩基剤、例えば水酸化ナトリウムと反応させることにより得ることができる。SS−レボキセチンマンデル酸塩それ自体は、レボキセチン遊離塩基を、好適な低級アルカノール中で、(S)−(+)−マンデル酸と反応させ、次いで制御した結晶化工程を行うことにより得ることができる。レボキセチン遊離塩基は、レボキセチンメシレートを好適な塩基剤、例えば水酸化ナトリウムと反応させることにより得ることができる。 本発明のもう一つの目的であるこのような好ましい態様は、下記のように例示することができる: こうして得られたSS−レボキセチンのフマル酸塩およびコハク酸塩は、結晶性構造を有する。 中間体化合物S,S−レボキセチンマンデル酸塩は新規化合物であり、本発明のもう一つの目的である。 また、本発明の目的は、SS−レボキセチンのフマル酸塩およびコハク酸塩の代謝産物、代謝前駆体(プロドラッグとしても知られている)および水和物形態である。 本発明のもう一つの目的は、活性成分として、SS−レボキセチンのフマル酸塩またはコハク酸塩、および製薬上許容される賦形剤および/または担体を含む医薬組成物を提供することである。 医薬組成物は、当技術で公知の方法により、ヒトを含む哺乳類に投与するために当技術で公知の任意の医薬形態に製剤化することができる。例えば、活性成分として本発明の化合物、および好適な担体および/または賦形剤を含む医薬組成物は、GB 2014981Bから公知のようにして製造することができる。 本発明のもう一つの目的は、医薬として、特に選択的ノルエピネフリン再摂取阻害剤として使用するための、SS−レボキセチンのフマル酸塩またはコハク酸塩を提供することである。 本発明のもう一つの目的は、選択的ノルエピネフリン再摂取阻害により処置しうる疾患状態を患っているヒトを含む哺乳類の治療に使用するための医薬組成物の製造における、SS−レボキセチンのフマル酸塩またはコハク酸塩の使用である。 本発明のもう一つの目的は、SS−レボキセチンのフマル酸塩またはコハク酸塩の治療有効量を、選択的ノルエピネフリン再摂取阻害が必要なヒトを含む哺乳類に投与することを含む、上記哺乳類の処置方法を提供することである。 従って、本発明の新規なSS−レボキセチン塩は、単独でまたは他の治療剤と関連して、選択的ノルエピネフリン再摂取阻害により処置しうる疾患状態を患っているヒトを含む哺乳類の治療のために有用である。 「処置しうる疾患状態」という用語は、本発明による処置が疾患状態の軽減を与えるか、または処置中の哺乳類の生活の条件および質が少なくとも改善されることを意味する。 このような疾患状態は、特に、嗜癖性異常症(アルコール、ニコチンおよび他の精神活性物質によるものを包含する)および禁断症候群、適応障害(抑うつ気分、不安、不安および抑うつ気分の複合型、行動障害、行動障害および気分障害の複合型を包含する)、加齢関連学習および精神障害(アルツハイマー病を包含する)、拒食症、無気力、一般的病状による注意欠陥(または他の認識)障害、注意欠陥多動障害(ADHD)、双極性異常、神経性過食、慢性疲労症候群、慢性または急性ストレス、慢性疼痛、神経障害性疼痛、ヘルペス後神経痛を包含する神経痛、行為障害、循環気質性障害、抑うつ症(難治性抑うつ症、青年期抑うつ症および軽症抑うつ症を包含する)、気分変調障害、線維筋肉痛および他の身体表現性障害(身体化障害、転換性障害、疼痛障害、心気症、身体異形障害、未分化型身体表現性障害および身体表現性NOSを包含する)、全般性不安障害(GAD)、失禁(すなわち、緊張性尿失禁、真性緊張性尿失禁および複合失禁)、吸入障害、中毒障害(アルコール嗜癖)、躁病、偏頭痛、肥満症(すなわち、肥満および過体重患者の減量)、脅迫障害および関連スペクトル障害、反抗挑戦性障害、パニック障害、末梢神経障害、糖尿病性神経障害、外傷後ストレス障害、月経前不快障害(すなわち、月経前症候群および後黄体期不快障害)、精神失調症(統合失調症、分裂情動性および統合失調症様障害を包含する)、季節性感情障害、睡眠障害(例えばナルコレプシーおよび夜尿症)、社会恐怖症(社会不安症を包含する)、特異的発育障害、選択的セロトニン再摂取阻害(SSRI)「応答停止(poop−out)」症候群(すなわち、十分な応答を初期期間に示した後に、SSRI治療に対して十分な応答を維持できない患者の場合)、およびTIC障害(例えば、トゥーレット病)からなる群から選択される神経系障害である。上記のように、本発明の新規なSS−レボキセチン塩は、他の治療剤、例えば抗抑うつ活性を早く発生させるためのピンドロール、失禁のためのデトロール、および統合失調症を処置するための神経弛緩剤、例えば定型または非定型抗精神病剤と関連させて使用することもできる。 SS−レボキセチンフマル酸塩またはSS−レボキセチンコハク酸塩の有効量は、処置すべき患者の疾患、障害の重症度および状態により変動することができる。従って、各患者の至適用量は、常に医師によって設定されなければならない。いずれにしても、有効投与量の範囲は、単一または複数に分割した一日投与量として約0.5mg/日〜約20mg/日、好ましくは約1〜約15mg/日(遊離塩基として計算)であってよい。 SS−レボキセチンフマル酸塩およびSS−レボキセチンコハク酸塩は容易に経口吸収されるので、それらは好ましくは経口投与される。いずれにしても、それらは任意の投与経路、例えば非経口、局所、直腸内および経鼻経路により投与することができる。 下記の実施例により本発明を説明する。〔実施例〕実施例1 レボキセチンSSエナンチオマーコハク酸塩の製造 SS−レボキセチンのコハク酸塩を、遊離塩基のエタノール溶液に計算量のコハク酸を添加することにより合成した。 2.5gのコハク酸を含む16mlのメタノール溶液を、75mlの無水エタノールに溶解した4.1gの遊離塩基(黄橙色油状物)に加えた。 次いで、この溶液を攪拌しながら40℃で約20分間加熱した。この溶液は無色になり、白色の微細な沈殿を観察した。次いで、このスラリーを−30℃に冷却して塩の生成を促進することにより、結晶化を強制的に引き起こした。 次いで、この固体を真空濾過により分離し、40℃で約8時間真空乾燥した。ここに記載した上記の条件において、SS−レボキセチンのコハク酸塩を得た。実施例2 レボキセチンSSエナンチオマーフマル酸塩の製造 SS−レボキセチンのフマル酸塩を、上記と同じ化学量論的結晶化技術により合成した。 10mlの無水エタノールに懸濁させた1.6gのフマル酸を、75mlの無水エタノールに溶解した4.1gの遊離塩基に加えた。 次いで、この溶液を攪拌しながら40℃で数分間加熱した。直ちに白淡紅色の球状凝集物の生成を観察した。次いで、このスラリーを−30℃に冷却して塩の生成を促進することにより、結晶化を強制的に引き起こした。次いで、この固体を真空濾過により分離し、40℃で約8時間真空乾燥した。下記の手法により、SS−レボキセチンのフマル酸塩を得た。実施例3 レボキセチンSSエナンチオマーコハク酸塩の製造 段階A: 遊離塩基レボキセチンメシレートを水酸化ナトリウム水溶液によりジクロロメタン相に移行させた。ジクロロメタンをレボキセチン遊離塩基から蒸発させ、エタノールを加えた。1.1当量の(S)−(+)−マンデル酸をエタノールに溶解した。遊離塩基と酸溶液とを混合して(S,S)−レボキセチンマンデル酸塩の沈殿を生成させ、次いで制御した結晶化工程を行った。固体を濾過により単離し、乾燥した。(S,S)−レボキセチンのキラル純度を還流によりアップグレードし、エタノール中で再結晶した。固体を再び濾過により単離し、乾燥した。 段階B: 遊離塩基(S,S)−レボキセチンマンデル酸塩を水酸化ナトリウム水溶液によりジクロロメタン相に移行させた。ジクロロメタンをレボキセチン遊離塩基から蒸発させ、エタノールを加えた。1.0当量のコハク酸をエタノールに溶解した。遊離塩基と酸溶液とを混合して(S,S)−レボキセチンコハク酸塩の沈殿を生成させ、次いで制御した結晶化工程を行った。固体を濾過により単離し、乾燥した。 分析結果 X線粉末回折法(XRD) SS−レボキセチンフマル酸塩およびSS−レボキセチンコハク酸塩を、下記のようにX線粉末回折法(XRD)により特性決定した: Siemens D−500装置を用い、粉末サンプルをCuKαグラファイト単色光(40kV 40mA)源により5°〜35°(2θ)で室温において照射して、粉末X線回折法を行った。0.05°段階の走査を行い、計数時間を段階あたり7秒とした。 コハク酸塩およびフマル酸塩の主なX線回折ピークを下記の表I(コハク酸塩)および表II(フマル酸塩)にまとめて示す。 関連するスペクトルを図1および2に報告する。 示差走査熱量測定法(DSC) Perkin−Elmer DSC−7装置を用いてDSC分析を行った。アルミニウムDSCパンに約2mgのサンプルを負荷した。分析の温度範囲は30℃〜210℃であった。サンプルを窒素気流中で(酸化的および熱分解的影響を回避するため)10℃/分の加熱速度で分析した。 コハク酸塩では、約148℃で溶融吸熱を観察した[熱融解(ΔHf)約120J/g]。フマル酸塩の溶融吸熱は約171℃であった[熱融解(ΔHf)約100J/g]。 安定性データ コハク酸塩およびフマル酸塩の固体状態を、加速安定性プラン後に制御した。サンプルをガラスHPLCバイアル中65℃で2週間保存し、次いでDSCにより制御した。 両方のサンプルについて固体状態の変化は観察されなかった。 溶解性 SS−レボキセチンのコハク酸塩およびフマル酸塩の水溶性の測定を、次の手法により行った:過剰の固体(飽和溶液を得るため)をバイアル中で1.5mlの水に添加した。バイアルを37℃で機械的に振盪して攪拌した。適当な時間(すなわち、1時間)で、サンプルを抜き取り、特異的HPLCアッセイにより溶解性をアッセイした。 結果を下記の表IIIにまとめて示す。 動的水分収着重量測定法(DMSG) SS−レボキセチンのコハク酸塩およびフマル酸塩の吸水量を、動的水分収着重量測定法(DMSG)の原理に従って、このような塩のサンプルをDVS1000(SMS)による吸湿性試験に付することによって調査した。この装置は、秤量されたサンプルが計画された相対湿度(RH)の変化に一定かつ制御された温度で曝露される「制御した大気圧微量天秤」である。Excelワークシートに報告された測定パラメーター(重量、時間およびRH)は、試験したRH範囲にわたる吸湿曲線の取得を可能にした。0%〜90%RHの複数の収着/脱着サイクルを25℃で行った。RHの漸進的変化は10%であり;それらをサンプル重量の平衡においてソフトウェアにより行った。この条件を、百分率重量変化0.005%/分の一定速度に定めた(平均で5分間の調査)。実験結果を、DVS等温報告および等温プロットに報告する。 SS−レボキセチンのコハク酸塩およびフマル酸塩の吸水量を下記の表IVにまとめて示す。 二つの塩の収着プロフィールを図3に示す。観察された吸水量はいずれの場合にも可逆的であり、従って、フマル酸塩およびコハク酸塩の両者の化学的、物理化学的および固体状態的特性は変化しない。 また、比較の目的で、SS−レボキセチンメシレートの固体状態的特性を、上記の技術により特性決定した。 示差走査熱量測定法(DSC) サンプル融解に関する吸熱特色を測定するDSC分析により測定した融点は、約106℃であった。 熱重量分析(TGA) 熱重量分析(TGA)により測定した揮発分は有意であった:実際に、加熱すると約2%の重量損失が検出され、関連する熱的特色を示した。これに対し、SS−レボキセチンのフマル酸塩およびコハク酸塩では、無視しうる重量損失が測定された。 動的水分収着重量測定法(DMSG) 上記と同様のDVS分析中に、この化合物は関連する吸湿傾向を示した。DVS収着段階後にサンプルにより吸収された水分量は、相対湿度の低下によっては部分的に除去されただけであり、試験サンプルのDSC分析により固体状態の変態が観察された。得られた結果を、表V(重量の百分率変化として表した吸水を報告する)および図4にまとめて示す。 SS−レボキセチンのコハク酸塩、フマル酸塩およびメシレート塩を特性決定する主な分析技術により得られた上記の比較試験結果を、以下にまとめて示す。 動的水分収着重量測定法 報告する前に、動的水分収着重量測定法(DMSG)の原理に従ってDVS1000(SMS)により行った吸湿性試験は、メシレート塩が多量の水を収着する傾向を有する(90%RHで9%まで)が、新規なコハク酸塩およびフマル酸塩の吸水量は0.5%未満であることを示す。さらに、メシレート塩は、再平衡化した後にも検出吸水量の約半分(約4%)を保持し、固体構造の変態(DSCで観察される結晶性の損失)を示す。 水分の存在下での異なる塩の挙動間の比較は、以下の表VIにまとめて示すことができる(関連するなまのデータは、上記の表3および4、ならびに図3および4に示されている)。 示差走査熱量測定法(DSC) DSC分析を、DMSG原理に従って行ったDVS試験の後に回収したサンプルについても、上記で報告したように行った。下記の図5に示すように、SS−レボキセチンのコハク酸塩およびフマル酸塩のDSCプロフィールは、DVS試験法(25℃で90%の最高相対湿度、および0.005%/分までの、または360分以内の平衡化)により高い湿度で平衡化した後に変化しなかった。 他方において、メシレート塩は、主要な熱的特色(約50℃で脱水し、かつ約105℃で溶融した)の消失により示される完全な脱組織構造(destructuration)によって影響された。 上記の比較データから、当業者は、本発明の新規な塩が治療における改善されかつ価値の高い新規なツールであることを理解するであろう。SS−レボキセチンコハク酸塩のX線粉末回折スペクトルである。SS−レボキセチンフマル酸塩のX線粉末回折スペクトルである。SS−レボキセチンのコハク酸塩およびフマル酸塩の収着プロフィールである。SS−レボキセチンメシレートの収着/脱着プロフィールである。SS−レボキセチンのコハク酸塩、フマル酸塩およびメシレート塩のDSCプロフィールである。 2−[α−(2−エトキシ−フェノキシ)−ベンジル]−モルホリンの2S,3Sエナンチオマーのフマル酸塩の結晶またはコハク酸塩の結晶。 メインピークが12.85、16.85、21.20および24.05度(2θ)を示す粉末X線回折パターンを有する請求項1に記載のコハク酸塩の結晶。 更なるピークが6.45、9.00、18.10および30.10、30.30度(2θ)を示す粉末X線回折パターンを有する請求項2に記載のコハク酸塩の結晶。 更なるピークが19.30、22.05、25.70および30.90度(2θ)を示す粉末X線回折パターンにより有する請求項3に記載のコハク酸塩の結晶。 示差走査熱量測定により、148℃に吸熱ピークを示す請求項1に記載のコハク酸塩の結晶。 メインピークが8.90、12.75、16.65および24.05度(2θ)を示す粉末X線回折パターンを有する請求項1に記載のフマル酸塩の結晶。 更なるピークが6.40、17.40、17.85、21.30、22.25,23.20、25.70および29.85度(2θ)を示す粉末X線回折パターンを有する請求項6に記載のフマル酸塩の結晶。 示差走査熱量測定により、171℃に吸熱ピークを示す請求項1に記載のフマル酸塩の結晶。 2−[α−(2−エトキシ−フェノキシ)−ベンジル]−モルホリンを(S)(+)マンデル酸と反応させて2S,3S 2−[α−(2−エトキシ−フェノキシ)−ベンジル]−モルホリンマンデル酸塩を得;2S,3S 2−[α−(2−エトキシ−フェノキシ)−ベンジル]−モルホリンマンデル酸塩を好適な塩基剤と反応させて相当する遊離塩基を得;そして2S,3S 2−[α−(2−エトキシ−フェノキシ)−ベンジル]−モルホリンをそれぞれフマル酸またはコハク酸と反応させ、次いで制御した結晶化工程を行うことを含む、2−[α−(2−エトキシ−フェノキシ)−ベンジル]−モルホリンの2S,3Sエナンチオマーのフマル酸塩またはコハク酸塩の製造方法。


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