| タイトル: | 特許公報(B2)_抗炎症剤、アレルギー性疾患予防又は改善剤及び機能性食品 |
| 出願番号: | 2004508821 |
| 年次: | 2010 |
| IPC分類: | A61K 31/7016,A61K 31/702,A61K 31/715,A61P 11/06,C07H 3/04,C07H 3/06,C08B 37/00 |
橋本 博之 園山 慶 藤田 孝輝 原 耕三 岡田 正通 森 茂治 JP 4556009 特許公報(B2) 20100730 2004508821 20030529 抗炎症剤、アレルギー性疾患予防又は改善剤及び機能性食品 塩水港精糖株式会社 390021636 西尾 章 100109597 橋本 博之 園山 慶 藤田 孝輝 原 耕三 岡田 正通 森 茂治 JP 2002159158 20020531 20101006 A61K 31/7016 20060101AFI20100916BHJP A61K 31/702 20060101ALI20100916BHJP A61K 31/715 20060101ALI20100916BHJP A61P 11/06 20060101ALI20100916BHJP C07H 3/04 20060101ALN20100916BHJP C07H 3/06 20060101ALN20100916BHJP C08B 37/00 20060101ALN20100916BHJP JPA61K31/7016A61K31/702A61K31/715A61P11/06C07H3/04C07H3/06C08B37/00 Z A61K 31/7016 A61K 31/702 A61K 31/715 A61P 11/06 C07H 3/04 C07H 3/06 C08B 37/00 CAplus(STN) REGISTRY(STN) MEDLINE(STN) BIOSIS(STN) EMBASE(STN) JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 国際公開第02/018614(WO,A1) 特表2000−516591(JP,A) 特開2001−288093(JP,A) 特開2000−060541(JP,A) 国際公開第01/045713(WO,A1) 特開2003−040779(JP,A) 食に関する助成研究調査報告書 No.13,財団法人すかいらーくフードサイエンス研究所,2000年,pp.85-92 1 IPOD FERM P-18003 JP2003006783 20030529 WO2003101464 20031211 11 20060324 新留 素子 本発明は、α−結合ガラクトオリゴ糖を有効成分とする抗炎症剤、アレルギー性疾患予防又は改善剤及びα−結合ガラクトオリゴ糖を有効成分とする抗炎症性作用又はアレルギー性疾患の予防若しくは改善作用を有する機能性食品に関する。 炎症は、あらゆる内外からの刺激に対して生体が示す一連の反応で、細菌、ウイルス、寄生虫等の感染による炎症、熱、冷却、機械的外傷、紫外線等による炎症、体内で産生された免疫複合体の細胞、組織への沈着によるアレルギー性炎症、体内に生じた異常代謝産物による炎症等があり、炎症により発熱、発赤、腫脹、疼痛、機能障害などを招く。このような炎症の治療には、ステロイド系抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症剤、消炎酵素剤、抗ヒスタミン剤等が用いられている。 また、今日、花粉症、食品アレルギー、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アナフィラキシー、アレルギー性気管支喘息などアレルギー性疾患の罹患者数が増加傾向にある。アレルギーは、免疫応答の結果、生体に障害をもたらす反応で、上記のアレルギー性疾患はB細胞が産生するIgE抗体が関与するI型アレルギーに分類される。I型アレルギーは、微生物や食物などの抗原の刺激により産生されたIgE抗体が肥満細胞(マスト細胞)に結合し、ここに再度同じ抗原が結合することによりヒスタミン、ロイコトリエン、セロトニン、プロスタグランジンなど様々なケミカルメディエーターが分泌され、血管透過性の亢進、気管支収縮、組織障害などをもたらすものである(即時相)。またアレルギー性気管支喘息などでは、気道粘膜の組織障害などが好酸球の著しい浸潤によってもたらされることが明らかになってきている(遅発相)。 一方、上記で説明した免疫機構によれば、摂取され生体内に取り込まれた食物成分の内、タンパク質等は免疫応答を引き起こすいわゆる抗原となり、摂取することにより過敏な免疫応答が惹起されてしまうことになる。 ところが、生体は、経口免疫寛容と呼ばれる食品抗原に対してアレルギーなどの過剰な免疫応答が引き起こされるのを防ぐ調節機構を備えている。この経口免疫寛容は、食品抗原に対する特異的T細胞を不応答状態(アナジー)にしたりアポトーシス(細胞死)を起こして消失させることにより誘導されるが、何らかの原因により、経口免疫寛容の機構が損なわれると摂取されたある種の食品に対してIgE抗体が産生され食品アレルギーが惹起されることがある。 上記のI型アレルギーを招くIgE抗体は、ヘルパーT細胞(Th0)が分化する2つの異なるサブセット(タイプ1ヘルパーT細胞(インターロイキン12(IL−12)等が分化・誘導、以下、Th1という)とタイプ2ヘルパーT細胞(インターロイキン4(IL−4)等が分化・誘導、以下、Th2という))の内、分化・誘導されたTh2の分泌するIL−4等がB細胞を活性化することにより産生される。Th1とTh2は、サイトカインを介して互いの増殖を抑制する関係にあり、免疫応答は本来、両者が調節し合ってバランスをとる機構の下に存在する。そのため、I型アレルギーは、何らかの原因でTh2型の方へバランスが偏ってしまった結果であると考えられ、この偏りの是正、換言すればTh1型を優位にすることによりアレルギー性疾患の予防、改善が可能と考えられる。アレルギー性疾患の罹患者数の増加は、遺伝因子のみならず環境因子(衛生状態の改善による体内への微生物の侵入機会の減少、化学物質への曝露機会の増加、ストレスの増加等)によりTh2型が優位になったことに起因するとの考えもあり、アレルギー性疾患の予防、改善は今日的な重大な課題である。 しかしながら、従来、炎症の治療剤やアレルギー性疾患の治療剤は医薬が大半であり、慢性炎症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性気管支喘息等のように長期に亘り治療が必要な場合、連用により何らかの副作用を伴うことがあり、連用しても安全性の高い治療が望まれていた。また、近年、様々な食物に対する食品アレルギーの罹患者数も増加傾向にあり、安全性の高い治療が望まれていた。更に、アレルギー性疾患の治療に用いられる医薬は、抗ヒスタミン剤のように対症療法的に用いられるものが大半であり、原因療法が望まれていた。 本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、食品として日常的に摂取され安全性の高い素材からなる抗炎症剤、アレルギー性疾患の発症のメカニズムに依拠したアレルギー性疾患予防又は改善剤及びこれらの作用を有する機能性食品を提供するものである。 本発明は、ガラクトースを基質としてアスペルギルス・ニガーAPC-9319株(FERM BP-7680)が生産するα−ガラクトシダーゼの脱水縮合反応を利用して合成される、α−(Gal)n(nは2〜10の整数)で示されるα−結合ガラクトオリゴ糖を有効成分とする卵白アルブミンにより惹起されるアレルギー性気管支喘息の予防又は改善剤である。 α−結合ガラクトオリゴ糖を有効成分とする抗炎症剤、アレルギー性疾患予防又は改善剤は、長期に亘り安全に使用でき、特に慢性炎症あるいはアレルギー性気管支喘息、食品アレルギーに有用である。 α−結合ガラクトオリゴ糖は、α−ガラクトシダーゼの脱水縮合反応を利用してガラクトースを基質として合成することにより、一般的にα−(Gal)n(nは2〜10の整数)で示されるα−ガラクトビオース、α−ガラクトトリオース、α−ガラクトテトラオース以上のオリゴ糖が混在したα−結合ガラクトオリゴ糖が得られる。α−結合ガラクトオリゴ糖は、安全性が確認されており日常的に使用し得るものである。 α−ガラクトシダーゼは、収率などの観点からアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)APC−9319株(FERM BP−7680)の生産するものが好ましい(WO02/18614参照)。 本菌株は、本出願人によりブタペスト条約に基づき独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(IPOD、〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に寄託されている(国内寄託から国際寄託に移管、原寄託日2000年8月29日、国内寄託の受託番号FERM P−18003)。 本菌株の菌学的性質を以下に記載する。 分生子頭:球状〜放射状、分生子(光学顕微鏡):球形〜亜球形、滑面〜やや粗面、分生子(電子顕微鏡):粗面(隆起物がある)、直径(3.5〜4.0μm程度)、浸出液:少し形成(透明〜褐色)、匂い:ほとんど無し、ステリグマタ:2段、集落の発育速度(麦芽エキス寒天培地、25℃培養):>85mm(7日培養)、>85mm(12日培養)、集落の発育速度(ツァペックイースト寒天培地、25℃培養):60〜67mm (7日培養)、65〜73mm(12日培養)、集落の色調(麦芽エキス寒天培地):黒色(表面)、無色(裏面)、集落の色調(ツァペックイースト寒天培地):黒色〜灰黒色(表面)、クリーム色〜灰黄色(裏面) 本発明の抗炎症剤あるいはアレルギー性疾患の予防又は改善剤の有効成分であるα−結合ガラクトオリゴ糖の有効量は、症状、年齢、体重、投与方法などにより適宜増減できるが、通常成人であれば4mg〜40g/日が好ましく、0.3g〜30g/日がより好ましい。また、機能性食品として、α−結合ガラクトオリゴ糖を他の食品素材に含有させる場合には、0.3g〜30g/日を摂取し得るようにすることが好ましいが、利用される食品の種類、形態、形状などに応じて適宜増減することができる。 また、α−結合ガラクトオリゴ糖は、液状あるいは粉末状のものを経口投与させるのが一般的であるが、これに限定されるものではない。すなわち、α−結合ガラクトオリゴ糖の剤型は適宜選択でき、薬理学的に許容される賦形剤、結合剤、崩壊剤など各種助剤を用いて、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、うがい薬、軟膏剤など様々な剤型に加工することができる。また、適当に希釈したα−結合ガラクトオリゴ糖水溶液を血中に注射することにより効果を得ることも可能である。さらに、α−結合ガラクトオリゴ糖の有する作用効果を失わない限り、他の医薬などを配合して、医療用製剤として供することもできる。 また、α−結合ガラクトオリゴ糖を既存の適切な食品に配合し、これらの機能促進を目的とした機能性食品として供することもできる。例えば、α−結合ガラクトオリゴ糖を粉ミルクや液状ミルクに全体の糖質百分率を考慮して配合して摂取させることもできる。 本発明をより詳細にするため、以下において実施例により説明する。実施例に供したα−結合ガラクトオリゴ糖(以下、α−GOS、又はGOSという)は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)APC−9319株(FERM BP−7680)が生産するα−ガラクトシダーゼをガラクトースに作用させ合成したもので、α−(Gal)n(nは2〜10の整数)で示されるものである。本発明は、発明の実質的範囲に包含される限り以下の実施例に制限されるものではない。 実施例1(アジュバント関節炎に対する発症予防効果) 1.実験材料および方法 (1)被験物質およびその調製方法 α−GOSを適当量秤量し、乳鉢で微粉末にした後、注射用蒸留水を加えて溶解し、600mg/mLの溶液を調製した。この溶液の一部を取り、注射用蒸留水で希釈し100mg/mLの溶液を作製した。被験物質の調製は、1週間毎に行った。なお、ラットに対する投与容量は0.6mL/100g体重とした。 (2)感作アジュバントの調製 加熱し死菌としたマイコバクテリウム ツベリキュロシス(Mycobacterium tuberculosis)H37Ra(和光純薬工業株式会社製)を適当量秤量し、メノウ乳鉢で微粉末にした後、流動パラフィン(和光純薬工業株式会社製)を少しずつ加えて懸濁し、6mg/mLの懸濁液を調製した。 (3)実験動物 日本エスエルシー株式会社より7週齢で購入した雄性Wistar系ラット(SPF)を11日間予備飼育して実験に供した。ラットは予備飼育期間を通して室温24±3℃、相対湿度55±15%のSPFバリア飼育室(照明時間8時〜18時、換気回数18回/時)で飼育した。ラットは2〜3匹/ケージとし、固形飼料(MF、オリエンタル酵母工業株式会社製)と滅菌蒸留水をそれぞれ自由に与えた。ラットの個体識別にはピクリン酸を被毛に用いた。 (4)関節炎の誘発 ラットをエーテル麻酔下に固定台に固定し、作製したアジュバントの0.1mLを右後肢のfootpadの皮内に注射し関節炎を誘発した。なお、誘発日をday0とした。 (5)投与方法および群構成 投与方法:ラット経口用ゾンデを用いて強制経口投与した(1日1回投与) 投与期間:day0〜21(但し、day6、13、20を除いた) 動物群:5匹/群 群構成:表1に示す通りである。 (6)観察および検査項目 一般状態:毎日1回症状を観察した。 関節炎スコア:感作部位の右後肢を除く右前肢、左前肢および左後肢の発赤、腫脹および強直の程度を肉眼的に観察し、以下に示す基準に従った0〜4点のスコアを付け、最高12点の合計で評価した。測定日はday0、4、9、14、18および22とした。 0:症状なし 1:4肢の指などの小関節が1本のみ発赤、腫脹 2:小関節の2本以上、あるいは手首や足首など比較的大きな関節が発赤、腫脹 3:1本の手や足全体が発赤、腫脹 4:さらに1本の手や足の全体的な腫脹が最大限に達していると判断した時(関節の強直を含む) 足容積:右後肢および左後肢の容積を足容積測定装置(TK-105、室町機械)を使用して測定した。測定日は、関節炎スコア評価日と同一にした。 (7)統計処理 得られた関節炎スコアおよび足容積は群毎の平均値±標準誤差で示した。陰性対照群に対する各群の統計的有意を検定するため、解析ソフト(Stat View, Abacus Inc., USA)を用いて分散分析(ANOVA)を行い、等分散であることを確認した後、Fisher's PLSD法である多重比較検定を行い、群間の比較を行った。統計的有意差はp<0.05の場合を有意であるとした。 2.実験結果 (1)関節炎スコア 実験結果を図1に示した。 α-GOS(0.6g/kg)投与群は関節炎スコアに影響を示さなかった。 しかし、α-GOS(3g/kg)投与群は14日後以降のスコア上昇を顕著に抑制した。特に、14日後では対照群のスコアが3.8±0.8を示したのに対し、α-GOS(3g/kg)投与群のスコアは1.2±0.8であった(p<0.05)。また18日後では対照群のスコアが7.2±0.4を示したのに対し、α-GOS(3g/kg)投与群のスコアは3.0±1.3であった(p<0.05)。 (2)足容積(右感作後肢) 実験結果を図2に示した。 関節炎スコアの場合と同様に、α-GOS(0.6g/kg)投与群は、右足容積に影響を示さなかった。 しかし、α-GOS(3g/kg)投与群は14日後以降の右足容積増加を顕著に抑制した。特に、22日後では対照群の容積が3.13±0.10mLを示したのに対し、α-GOS(3g/kg)投与群のスコアは2.44±0.24mLであった(p<0.05)。 (3)足容積(左後肢) 実験結果を図3に示した。 関節炎スコアの場合と同様に、α-GOS(0.6g/kg)投与群は、左足容積に影響を示さなかった。 α-GOS(3g/kg)投与群は有意差を示さなかったものの、14日後以降の容積増加を抑制する傾向を示した。 3.考察 α-GOS(3g/kg)は強制経口投与により、ラットのアジュバント関節炎に対して顕著な抑制効果を示すことが示唆され、特に慢性炎症に対する抗炎症効果が期待される。 実施例2(アレルギー性気管支喘息の予防効果) 1.実験材料および方法 投与した抗原に対する抗体の応答がヒトに近いことが報告されているBrown Norwayラット(BNラット)を用いて、卵白アルブミン(ovalbumin、OVA)をモデル抗原としたアレルギー性気管支喘息モデルを作成し、食餌に添加したα-GOSが及ぼす影響を解析した。 実験開始まで基本飼料としてAIN-93G(α-コーンスターチ、529.5g/kg;カゼイン、200g/kg;スクロース、100g/kg;大豆油、70g/kg;セルロース、50g/kg; ミネラル混合、35g/kg;ビタミン混合、10g/kg;L-シスチン、3g/kg;重酒石酸コリン、2.5g/kg)を自由摂取させた。1週間の予備飼育後、OVA(1mg/mL)とalumの混合液を1mLずつ頸背部に皮下投与した。 同時にアジュバントとして不活性化百日咳菌(6×109CFU/rat)を腹腔内投与した。免疫から1週間後に、基本飼料群、基本飼料の5%(w/w)をα-GOSと置換した飼料を与えるα-GOS添加飼料群に分け、2週間各試験飼料を自由摂取させた。この間に、α-GOS添加飼料群の半数の個体にはOVA(1mg/rat)の経口投与を4回行った。免疫から3週間後に、超音波ネブライザーを用いてOVA(1%(w/v))のエアロゾルを10分間吸入させた。惹起翌日にネンブタール麻酔下で開腹し、腹大動脈より採血して失血死させた後、気管支肺胞洗浄液(BALF)を得た。BALFよりサイトスピン標本を作成し、メイ・グリュンワルド・ギムザ染色を施して細胞プロファイルを解析した。また、血中のOVA特異的抗体レベルをELISAにより測定した。 2.実験結果 アレルギー性気管支喘息の病態は、抗原特異的なIgEによる肥満細胞の脱顆粒が関与する即時相と、その後の好酸球性炎症が主体をなす遅発相よりなることが明らかになってきているので、本実施例においても、血中のOVA特異的抗体レベル及び抗原惹起後の気道における好酸球浸潤の程度を指標とした。 血中の抗原特異的IgEレベルに関しては、α−GOS添加群において対照群である基本飼料群より低い傾向にあった(図4)。一方、BALF中の好酸球数ならびに好中球数に関しては、α−GOS添加群において基本飼料群より低い傾向にあり、更にOVAを経口投与した場合には約半数であった(図5)。 以上の結果から、アレルギー性喘息モデルにおいて、α-GOSはアレルギー性喘息の予防効果を有することが明らかとなった。 また、免疫後にOVAを経口投与すると、経口投与しない場合に比べ更に低値を示した。 このことは、食餌α−GOSがOVAによる経口免疫寛容の誘導を促進することによって症状を抑制する作用を発揮したと考えられる。以上の結果から、α−GOSは経口免疫寛容の誘導を促進し、食品アレルギーの予防、低減にも有効であることが明らかとなった。 実施例3(リンパ球増殖効果) 1.実験材料および方法 (1)動物 5週齢のC57BL/6J Jclメスマウスは日本クレア株式会社より購入した。試験に用いるまで市販飼料(CE-2、日本クレア株式会社製)と水道水を自由摂取させ、温度24±1℃、湿度50±10%、明暗12時間サイクル(明期8:00-20:00、暗期20:00-8:00)の環境下で飼育した。試験に用いた時点では6週齢(体重18.6g、20.3g)であった。 (2)マイトジェン T細胞マイトジェンとしてコンカナバリンA(ConA;Concanavalin AtypeIV、シグマ社製)を使用した。 (3)細胞培養 C57BL/6マウスにネンブタールで麻酔(40mg/kg)し、無菌的に脾臓を取りだした。Hank's balanced salt solutionの入った1枚目のシャーレで脾臓を洗浄して脂肪などを除去し、同溶液の入った2枚目のシャーレ内で茶漉しとガラス棒で脾臓をすりつぶし、浮遊細胞を調製した。1500rpm、3分間遠心分離後、上澄みを除去して細胞をRPMI-1640培地(日本製薬株式会社製)に Hepes、L−グルタミン(L-glutamine)、ペニシリンG(penicillin G)、ストレプトマイシン(streptomycin)、2−メルカプトエタノール(2-mercaptoethanol)及び10%Nuserum(Becton Dickinson Lab.)を加えた培地に浮遊させ1500rpm、3分間遠心分離後再び上澄みを除去した。細胞を少量の同培地に浮遊させ、2.5×106cell/mLとなるように希釈した。糖類の添加濃度は0〜1000μg/mL、ConAは2μg/mLとし、調製後96wellプレートに200μLずつまき、CO2インキュベーター(37℃、CO2;5.0%)で培養を開始した。 (4)細胞増殖測定 培養0、24、48、72時間後にMTT法にて細胞増殖を測定した。0.5%MTT(3-(4,5-dimethyl-2-thiazolyl)-2,5-diphenyl-2H-tetrazolium bromide)溶液(RPMI-1640培地に溶解)を各wellに10μL添加してCO2インキュベーター(37℃、CO2;5.0%)で3時間反応させた。SDS溶液(20%SDS in 0.03NHCl)を各wellに80μL添加して反応を停止した。約10時間放置して色素を可溶化させた後に、マイクロプレートリーダーで540nmの吸光度を測定した。細胞増殖は、培養液中の吸光度からブランクの吸光度を差し引いた吸光度差(ΔOD)で評価した。 (5)サイトカインの測定 リンパ球増殖能評価試験のα-GOS125および500μg/mL添加条件のサンプルを用いてサイトカインの産生を測定した。培養開始72時間後にプレートを凍結することにより培養を停止した。各培養液中のサイトカイン(IL-4、IL-12)は、ELISAキット(アマシャム・ファルマシア社製)にて測定した。 2.実験結果 (1)α-GOSのリンパ球増殖能評価試験 調製した浮遊細胞液は2.3×106cell/mL、生存率96%であった。各糖濃度でのリンパ球増殖に伴う吸光度差(ΔOD)の変化を図6と図7に示した。 培養開始後48時間以降でα-GOS添加群においてConAによる細胞増殖が見られた。 (2)α-GOSのサイトカイン産生測定 α-GOS及びConAをプレートに添加した場合のIL-4およびIL-12の産生を測定した結果を図8と図9に示した。 ConA刺激時(72時間後)のIL-12産生は、α-GOS125および500μg/mLともに無添加区の2倍以上の値となった。一方でIL-4産生は、α-GOS125μg/mL添加では無添加区とほぼ同量であったが、500μg/mL添加では無添加区よりも低値となった。 以上の結果から、マイトジェン(ConA)添加により、α-GOSはT細胞を増殖させる活性をもつことが明らかとなった。この時、α−GOSはIL-12産生を促進し、IL-4産生を抑制した。すなわち、α-GOSはTh1型の免疫応答を促進し、Th2型の免疫応答を抑制する効果を有することが明らかとなった。 実施例4(オリゴ糖がアレルギー性気道好酸球性炎症に及ぼす影響) 1.実験方法 卵白アルブミン(ovalbumin、OVA)をモデル抗原としたBALB/cマウスの経口感作モデルを作成し、食餌に添加した各種のオリゴ糖が血清抗体価に及ぼす影響を比較した。12週齢の雄性BALB/cマウスに実験開始まで基本飼料としてAIN-93G(α-コーンスターチ、529.5g/kg;カゼイン、200g/kg;スクロース、100g/kg;大豆油、70g/kg;セルロース、50g/kg; ミネラル混合、35g/kg;ビタミン混合、10g/kg;L-シスチン、3g/kg;重酒石酸コリン、2.5g/kg)を自由摂取させた。1週間の予備飼育後、オリゴ糖無添加飼料(基本飼料)群、基本飼料の5%(W/W)をラフィノース(RAF)、α−GOS(以下、単にGOS)、フラクトオリゴ糖(FOS)、キシロオリゴ糖(XOS)の各々と置換した飼料を与える群の5群に分け、各試験飼料を8週間自由摂取させた。この間に、OVA水溶液(1mg/0.2mL)を毎日強制経口投与した。OVAの投与開始後、1週間毎に眼窩静脈叢より採取し、遠心分離により血清を得た。1群(9頭/群)の血清をプールし、ELISAによる抗原特異的抗体価の定量に供した。 2.結果及び考察 OVAの経口免疫の開始から8週目までの血中の抗原特異的IgG及びIgE濃度の推移を各々図10及び図11に示した。OVAの投与前(0週)においてはIgG及びIgEともに検出されなかった。 IgGは、OVA投与開始後1週間目より検出され、オリゴ糖無添加飼料群においては3週目でプラトーに達し、その後8週目まではほぼ同じレベルを維持した。GOS飼料群が実験期間を通じてオリゴ糖無添加飼料群と同様に推移したのに対し、FOS飼料群は3〜4週目において、更にRAF及びXOS飼料群は2〜5週目において、いずれもオリゴ糖無添加飼料群より低く推移した。しかしながら、6週目にはすべての群がほぼ同様のレベルに収束した。 一方、IgEはIgGに比して全般的に上昇が遅かった。オリゴ糖無添加飼料群においては、2週目より上昇しはじめ、5週目の一時的な最高値から8週目まで高い値を示した。これに対し、FOS飼料群は5週目に上昇がみれら、その後8週目まで上昇し続けた。RAF及びXOS飼料群では、7週目までオリゴ糖無添加飼料群ならびにFOS飼料群よりも低く推移したが、8週目でFOS群と同様の高値を示した。GOS飼料群では、7週目まではRAF及びXOS飼料群と同様に低く推移し、更に8週目においても他群のレベルまで上昇することはなかった。 以上の結果より、RAF及びXOSは、IgG及びIgEに対して上昇を遅延させる効果を有し、FOSの効果はこれらより弱いと考えられた。一方、GOSは、IgGの上昇遅延効果はみられなかったが、IgEの上昇はRAFやXOSと異なり強く抑制した。現在のところ、オリゴ糖が血清抗体価の上昇を抑制する機構は明らかでない。しかしながら、経口抗原による感作は、腸管から体内への抗原の透過を必要とするので、オリゴ糖、特にGOSが腸管内において抗原の腸管透過を抑制することにより感作を遅延させている可能性が考えられる。ラットの関節炎スコアの経日変化を示すグラフである。ラットの足(右後肢)容積の経日変化を示すグラフである。ラットの足(左後肢)容積の経日変化を示すグラフである。ラットの各種免疫抗体の相対値を示すグラフである。ラットの気管支肺胞洗浄液中の免疫担当細胞数を示すグラフである。マウスのリンパ球増殖に伴う吸光度の経時変化を示すグラフである。なお、グラフ中、α−GOSはConA刺激+α−GOS投与を、ConAはConA刺激+α−GOS投与無しを示す。以下、図7〜図9においても同様である。マウスのリンパ球増殖に伴う吸光度の経時変化を示すグラフである。マウスのIL−12の産生量を示すグラフである。マウスのIL−4の産生量を示すグラフである。各種オリゴ糖が及ぼすIgG抗体価の週変化を示すグラフである。各種オリゴ糖が及ぼすIgE抗体価の週変化を示すグラフである。 ガラクトースを基質としてアスペルギルス・ニガーAPC-9319株(FERM BP-7680)が生産するα−ガラクトシダーゼの脱水縮合反応を利用して合成される、α−(Gal)n(nは2〜10の整数)で示されるα−結合ガラクトオリゴ糖を有効成分とする卵白アルブミンにより惹起されるアレルギー性気管支喘息の予防又は改善剤。