タイトル: | 特許公報(B2)_アミノアルコールからのフルオロアミド又はフルオロアミンの製造方法 |
出願番号: | 2004358344 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07C 231/00,C07C 233/66,C07D 213/56 |
原 正治 福原 彊 日高 敏雄 JP 4776220 特許公報(B2) 20110708 2004358344 20041210 アミノアルコールからのフルオロアミド又はフルオロアミンの製造方法 国立大学法人北海道大学 504173471 三菱瓦斯化学株式会社 000004466 永井 隆 100117891 原 正治 福原 彊 日高 敏雄 20110921 C07C 231/00 20060101AFI20110901BHJP C07C 233/66 20060101ALI20110901BHJP C07D 213/56 20060101ALI20110901BHJP JPC07C231/00C07C233/66C07D213/56 C07C CA/REGISTRY(STN) 特開2004−182665(JP,A) 特開2004−182671(JP,A) 5 2006160709 20060622 16 20071210 藤原 浩子 本発明は、α,α−ジフルオロアミンを用いるアミノアルコールからフルオロアミド又はフルオロアミンを製造する方法に関する。本発明の方法によって製造されるフルオロアミド又はフルオロアミン等のフッ素化合物は、医薬品やその他の機能化学品若しくは種々のフッ素化合物を製造するためのフッ素化剤又は含フッ素ビルディングブロック等として有用に用いる事が出来る。基質にフッ素原子を導入してフッ素化合物を製造する方法として、フッ素ガス(F2)を用いる直接的フッ素化法がある。酸素、硫黄、ハロゲン等の官能基を持つ基質の場合は、フッ化水素、四フッ化硫黄等の無機フッ素化合物やその他のフッ素化剤、例えばフッ化水素−ピリジン(Olah試薬)、フルオロアルキルアミン型のYarovenko試薬又は改良型の石川試薬、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)等を用いて官能基をフッ素に変換することができる。また、フッ素のアルカリ金属塩を用いるハロゲン−フッ素交換法も適用可能である。(例えば、非特許文献1,2参照)上記のフッ素化技術において、フッ素ガス、フッ化水素、四フッ化硫黄は毒性、腐食性や爆発の危険性が大であり、取扱に特殊な装置や技術を必要とする等の問題を有する。この問題を避け、安全かつ簡便にフッ素を導入するため、フッ素化剤が種々開発されている。本発明者等は、先に、熱安定性が高く工業的な取扱が容易な、従来のフッ素化剤の欠点を解決した求核的フッ素化剤である、一般式(1)で表されるα,α−ジフルオロアミンを提案した。このジフルオロアミンは、分子内に水酸基を有するアルコールや糖類等を安全かつ良好な収率で選択的にフッ素化できるという特徴を有する(例えば、特許文献1,2,3参照)。一方、水酸基に加えてアミノ基を併せ持つアミノアルコールからフルオロアミドやフルオロアミンを製造する方法に関する先行文献・技術については、フッ素化剤として、Olah試薬として知られるピリジン−HF錯体を用いる方法(例えば、非特許文献3参照)、SF4やHFを用いる方法(例えば、非特許文献4参照)が報告されているに過ぎない。非特許文献4の方法では、α,β−アミノアルコールをα,β−フルオロアミン に変換する事、或いはα−ヒドロキシアジリジンをデヒドロオキシフッ素化する事が出来る。しかし、収率、選択性は比較的良好であるが、反応完結に数日を要する等の問題がある。非特許文献5の、SF4を用いるアミノアルコール類のフッ素化方法では、目的とするフッ素化アミンの収率は、高々30から80%に止まっている。この様に、反応の選択性が不充分である他、−数10℃の低温で反応を行う必要がある等、経済性や腐食性、安全性の点か ら工業的な実施は困難を極めると考えられる。 以上の様に、アミノアルコールからフルオロアミドやフルオロアミンを製造する方法に関する先行文献・技術は僅かであり、アミノアルコールから簡便かつ安全に、フルオロアミンを工業的に製造する事は困難である。またアミノアルコールから、α,α−ジフルオロアミンを用いてフルオロアミド又はフルオロアミンを製造する方法に関する文献等は見当たらない。 さらには立体特異的な反応例、即ち、キラル(光学活性)なアミノアルコールから、キラルなフルオロアミド又はキラルなフルオロアミンが製造出来る事を記載した先行文献・技術も認められない。特開2004−123605号公報特開2004−182665号公報特開2004−189655号公報木村芳一、有機合成協会誌, 47, (1989) p258G. A. Olah et al., Journal of Organic Chemistry, 44, 3872, 1979G. Alvernhe et al., J. Chem. Res., 246, 1983J. Kollonitsch et al., Journal of Organic Chemistry, 44, 771, 1979 本発明の目的は、一般式(1)で表されるα,α−ジフルオロアミンを用いて、一般式(2)で表されるラセミ又はキラルなβ若しくはγ−アミノアルコールから、一般式(3)で表されるラセミ又はキラルなβ若しくはγ−フルオロアミド、或いは一般式(4)で表されるラセミ又はキラルなβ若しくはγ−フルオロアミンを安全かつ簡便に製造する工業的な手段を提供することにある。(猶、一般式(1)で表されるα,α−ジフルオロアミンのR0,R1及びR2は水素原子又は置換基を有する事のあるアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基若しくはアリールアミノ基であり、それぞれが同一でも異なっていても良い。また、R0,R1及びR2の二つ以上が結合して環を形成していても良い。一般式(2)、一般式(3)及び一般式(4)で表されるフッ素化合物並びにその基質中のR3,R4,R5,R6及びR7は水素原子又は置換基を有する事のあるアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基若しくはアリールアミノ基であり、それぞれが同一でも異なっていても良い。また、R3,R4,R5,R6及びR7の二つ以上が結合して環を形成していても良い。) 本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、例えば、β又はγ位に2級アミノ基が存在するアルコールを基質とする場合、フッ素化に用いる一般式(1)で表されるα,α−ジフルオロアミンによって水酸基がフッ素基に、また2級アミノ基がアミド基に選択的に変換される事、又、通常の加熱手段或いはマイクロ波照射の何れの条件下でも良好な収率で反応が進行する事、さらには、このフルオロアミド基を適当な還元剤で還元すればフルオロアミンが容易に得られる事を見出した。また、当該フッ素化反応を水存在下に行うと、水酸基が保護されたアミノエステルが得られる事を見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は、以下の1から6からなる事を特徴とする、一般式(1)で表されるα,α−ジフルオロアミンを用いる、アミノアルコールからフルオロアミド又はフルオロアミンを製造する方法に関する。1.一般式(1)で表されるα,α−ジフルオロアミンを用いて、一般式(2)で表されるアミノアルコールから一般式(3)で表されるフルオロアミドを得る事を特徴とする、アミノアルコールからフルオロアミドを製造する方法。(猶、一般式(1)で表されるα,α−ジフルオロアミンのR0,R1及びR2は水素原子又は置換基を有する事のあるアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基若しくはアリールアミノ基であり、それぞれが同一でも異なっていても良い。また、R0,R1及びR2の二つ以上が結合して環を形成していても良い。一般式(2)、一般式(3)で表されるフッ素化合物並びにその基質中のR3,R4,R5,R6及びR7は水素原子又は置換基を有する事のあるアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基若しくはアリールアミノ基であり、それぞれが同一でも異なっていても良い。また、R3,R4,R5,R6及びR7の二つ以上が結合して環を形成していても良い。)2.一般式(1)で表されるα,α−ジフルオロアミンのR0が、フェニル基、3−メチルフェニル基、又は2−メトキシフェニル基であり、R1及びR2が、炭素数1から16迄のアルキル基である、1に記載のアミノアルコールからフルオロアミドを製造する方法。3.一般式(2)で表されるアミノアルコールから、一般式(3)で示されるフルオロアミドを製造する際、マイクロ波照射下に反応を行う、1又は2に記載のアミノアルコールからフルオロアミドを製造する方法。4.一般式(2)で表されるアミノアルコールが群1に属するものである、1から3の何れかに記載のアミノアルコールからフルオロアミドを製造する方法。[群1] N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−(β−アミノエチル)ジエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(アニリノ)エタノール、2−(ベンジルアミノ)エタノール、3−(ベンジルアミノ)プロパン−1−オール、1−(ベンジルアミノ)オクタン−2−オール、2−(ベンジルアミノ)−2−フェニルエタノール、2−(ベンジルアミノ)−1−フェニルプロパン−1−オール、(2−(イソブチルアミノ)フェニル)メタノール、2−(ベンジルアミノ)シクロヘキサノール、3−(ベンジルアミノ)−4−イソプロポキシブタン−2−オール、ピロリジン−3−オール、t−アミノアルコール、N,N−ジアルキルノルエフェドリン、ジフェニル(1−メチルピロリジン−2−イル)メタノール、-フェニル−2−ピロリジニル−1−プロパノール、D−バリノール、L−バリノール、L−アラニノール、L−メチオニノール、L−ロイシノール、L−イソロイシノール、D−フェニルアラニノール、L−フェニルアラニノール、D−プロリノール、L−プロリノール、L−トリプトファノール、(R)−2−フェニルグリシノール、(S)−2−フェニルグリシノール、L−t−ロイシノール、(R)−3−ピロリジノール、(R)−1−アミノ−2−プロパノール、(S)−1−アミノ−2−プロパノール、(R)−2−アミノ−1−ブタノール、(S)−2−アミノ−1−ブタノール、(1R,2R)−2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオール、(1S,2S)−2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオール、(1R,2S)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、(1S,2R)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール5.一般式(2)で表されるアミノアルコールが光学活性アミノアルコールである、1から4の何れかに記載のアミノアルコールからフルオロアミドを製造する方法。6.1から5の何れかに記載の方法によって製造された一般式(3)で表されるフルオロアミドを還元して、一般式(4)で表されるフルオロアミンを得る、アミノアルコールからフルオロアミンを製造する方法。(猶、一般式(4)で表されるフッ素化合物並びにその基質中のR3,R4,R5,R6及びR7は水素原子又は置換基を有する事のあるアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基若しくはアリールアミノ基であり、それぞれが同一でも異なっていても良い。また、R3,R4,R5,R6及びR7の二つ以上が結合して環を形成していても良い。) 本発明によれば、HF−ピリジン、SF4、DAST等を用いる従来のアミノアルコールのフッ素化に於ける腐食や爆発の恐れ等の危険が無く、工業的規模でも安全に実施可能であり、所望のフルオロアミド又はフルオロアミンを合成する新たな経路を提供する事が出来る。また本発明の方法は、キラルな水酸基及び/又はキラルなアミノ基を持つアミノアルコールに対して、立体選択的にデヒドロキシ-フッ素化出来る事及びアミノアルコールへのフッ素導入と水酸基の保護が同時に出来る等の従来に無い特徴を持つので、特に、薬効の面から立体特異性が強く求められるキラル医薬品向けのフッ素基導入方法或いは含フッ素ビルディングブロックの製造向け等として高い有用性を持つ。 以下、本発明について詳しく説明する。基質であるアミノアルコールとの反応に用いるα,α−ジフルオロアミンとは、一般式(1)で表される化合物である。 該α,α−ジフルオロアミンのR0,R1及びR2は、水素原子又は置換基を有する事のあるアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基若しくはアリールアミノ基であり、それぞれが同一でも異なっていても良い。また、R0,R1,及びR2の二つ以上が結合して環を形成していても良い。 アルキル基としては炭素数1〜30までの直鎖又は分岐したものが該当し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、ネオペンチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1,3−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−へキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1−エチル−3−メチルプロピル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、シクロヘキシル、デカリル、ノルボルニル、ビシクロヘキシル、アダマンチル、メンチル及びこれらの異性体があり、その他にもヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシフェニル、シクロヘキシルオキシ等が好ましい例として挙げられる。また1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、1,6−ヘキシレン、1,2−シクロペンチレン、1,2−シクロヘキシレン等を挙げる事が出来る。またアルキル基の一部又は全部が不飽和結合を有するものであっても良い。 アリール基としては、フェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、ジメチルフェニル、ナフチル、フルオレニル、アンスリル、フェナントレニル及びその位置異性体、クミル、メシチル、トリメチルフェニル、ヒドロキシフェニル、メトキシフェニル及びその位置異性体、ナフチル、メチルナフチル、ジメチルナフチル、ヒドロキシナフチル、ビフェニル、テトラリル、t−フェニル等があり、ヘテロ原子を含有するアリール基として、フラニル、オキサゾリル、ピリジニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ベンゾチエニル、クロメニル、インドイル等が挙げられる。 これらのアルキル基及びアリール基には、他の官能基、例えば、水酸基、ハロゲン、ニトロ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、アセチル基、アシル基、アルコキシ基やスルホン基、又は他の原子若しくは原子団等が含まれる事があっても良い。他の原子や原子団を含むアリール基としては、アルコキシ基があり、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、1−メチルブトキシ、2−メチルブトキシ、3−メチルブトキシ、ネオペントキシ、1−エチルプロポキシ、シクロペントキシ、n−ヘキソキシ、シクロヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、n−デコキシ、n−ドデコキシ、メントキシ及びこれらの異性体やアダマンチルオキシが挙げられる。また2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、或いはこれらのアルキル置換体、ハロゲン置換体等が例示される。 R0,R1及びR2の何れか2つ以上が結合した例としては、ピロリジン−1−イル、3−メチルイミダゾリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、N−ピペリジニル、4−メチルピペラジン−1−イル等を挙げる事が出来る。また一般式(1)の窒素を含む全体の構造としては、2,2−ジフルオロピロリジン、2,2−ジフルオロピペリジン、2,2−ジフルオロイミダゾリジン、[2,2,2]−2,2,5,5−テトラフルオロ−1,4−ジアザビシクロオクタン、[2,2,2]−2,2,6,6−テトラフルオロ−1,4−ジアザビシクロオクタン等も該当する。 その他、前記したアルキル基、アリール基等の一部がフッ素によって置換されたフルオロアルキル、フルオロアリール、或いはトリフルオロメチル基で置換されたトリフルオロメチルアルキル、トリフルオロメチルアリール等がある。 具体的な化合物として、公開特許公報第2003−064034号、又は2004−182665号に記載した様に、以下のフルオロアミンを挙げる事が出来る。 即ち、ジフルオロ−N,N−ジメチルメタンアミン、ジフルオロ−N,N−ジエチルメタンアミン、ジフルオロ−N,N−ジ(n−プロピル)メタンアミン、ジフルオロ−N,N−ジ(i−プロピル)メタンアミン、ジフルオロ−N,N−ジ(n−ブチル)メタンアミン、ジフルオロ−N,N−ジペンチルメタンアミン、1,1−ジフルオロ−N,N−ジメチルエタナミン、1,1−ジフルオロ−N,N−ジエチルエタンアミン、1,1−ジフルオロ−N,N−ジ(n−プロピル)エタンアミン、1,1−ジフルオロ−N,N−ジ(イソプロピル)エタンアミン、1,1−ジフルオロ−N,N−ジ(n−ブチル)エタンアミン、1,1−ジフルオロ−N,N−ジ(i−ブチル)エタンアミン、2,2−ジフルオロ−N,N−ジメチルプロパン−1−アミン、1,1,2,2,2−ペンタフルオロ−N,N−ジメチルエタンアミン、1,1,2,2,2−ペンタフルオロ−N,N−ジエチルエタンアミン、1−シアノ−1,1−ジフルオロ−N,N−ジメチルメタンアミン、シクロプロピルジフルオロ−N,N−ジメチルメタンアミン、シクロプロピルジフルオロ−N,N−ジエチルメタンアミン、ジフルオロ−N,N−ジメチル(フェニル)メタンアミン、ジフルオロ−N,N−ジエチル(フェニル)メタンアミン、1,1−ジフルオロ−N,N−ジメチルブタン−1−アミン−3−オン、1,1−ジフルオロ−N,N−ジエチルブタン−1−アミン−3−オン、2,2−ジクロロ−1,1−ジフルオロ−N,N−ジメチルブタン−1−アミン−3−オン、1,1−ジフルオロ−N,N−ジメチル−2−フェノキシエタンアミン、N,N−ジエチル−1,1−ジフルオロプロパン−1−アミン、N,N−ジエチル−1,1−ジフルオロブタン−1−アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシメチル)−1,1−ジフルオロドデカン−1−アミン、N,N−ビス(アミノエチル)−1,1−ジフルオロ−2−メチル−2−プロペン−1−アミン、N,N−ジエチル−1,1−ジフルオロ−2−(ナフチル−1−イルオキシ)プロパン−1−アミン、(N−(デカヒドロナフタレン−1−イル)ジフルオロメチル)−N−エチルエタンアミン、ジフルオロ−N−メチルメタンアミン、1,1−ジフルオロ−N−メチルエタンアミン、N−(ジフルオロメチル)−N−メチルベンゼンアミン、1,1−ジフルオロ−N,N−ジメチルブタン−1−アミン、1,1−ジフルオロ−N,N,2−トリメチルプロパン−1−アミン、N,N−ジエチル−1,1−ジフルオロ−2−メチルプロパン−1−アミン、N,N−ジメチル−1,1−ジフルオロペンタン−1−アミン、ジフルオロ−N,N−ジメチル(フェニル)メタンアミン、N−(ジフルオロ(フェニル)メチル)−N−エチルエタンアミン、N−(ジフルオロ(m−トリル)メチル)−N−エチルエタンアミン、N−(ジフルオロ(o−トリル)メチル)−N−エチルエタンアミン、N−(ジフルオロ(p−トリル)メチル)−N−エチルエタンアミン、2,4−(ジメチルフェニル)ジフルオロ−N,N−ジメチルメタンアミン、2,4−(ジメチルフェニル)ジフルオロ−N,N−ジエチルメタンアミン、2,6−(ジメチルフェニル)ジフルオロ−N,N−ジメチルメタンアミン、2,6−(ジメチルフェニル)ジフルオロ−N,N−ジエチルメタンアミン、N−(アミノエチル)−N−(1,1−ジフルオロ−2−メチルアリル)メタンジアミン、(E)−1,1−ジフルオロ−N,N−ジメチル−3−pロプ−2−エン−1−アミン、ジフルオロ(テトラヒドロフラン−2−イル)−N,N−ジメチルメタンアミン、ジフルオロ(テトラヒドロフラン−3−イル)−N,N−ジメチルメタンアミン、N−(ジフルオロ(2−メトキシフェニル)メチル)−N−エチルエタンアミン、(4−クロロフェニル)ジフルオロ−N,N−ジメチルメタンアミン、(4−ブロモフェニル)ジフルオロ−N,N−ジメチルメタンアミン、(4−フルオロフェニル)ジフルオロ−N,N−ジメチルメタンアミン、N−(ジフルオロ(メシチル)メチル)−N−エチルエタンアミン、ジフルオロ−N,N−ジエチル(ナフタレン−2−イル)メタンアミン、ジフルオロ(4−ビフェニル)−N,N−ジエチルメタンアミン、アントラセン−2−イルジフルオロ−N,N−ジエチルメタンアミン、シクロヘキシルジフルオロ−N,N−ジエチルメタンアミン、N,N−ジメチル−1,1−ジフルオロデカン−1−アミン、N,N−ジエチル−1,1−ジフルオロデカン−1−アミン、ジフルオロ−N,N−ジメチル(ピリジン−2−イル)メタンアミン、ジフルオロ−N,N−ジエチル(ピリジン−2−イル)メタンアミン、1−(ジフルオロ(フェニル)メチル)ピペリジン、4−(ジフルオロ(フェニル)メチル)モルホリン等である。 これらの中、R0が3−メチルフェニル基、又は2−メトキシフェニル基であり、R1、及びR2がエチル基である、N,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(3−メチル)ベンジルアミン及びN,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(2−メトキシ)ベンジルアミンは熱安定性が高く、150℃以上の高温でも安定であり、通常の加熱の他、マイクロ波照射下に反応を行う事が出来るので特に好ましい。 フッ素化に用いる基質は、一般式(6)表されるアミノアルコールであり、R3,R4,R5,R6及びR7は、水素原子又は置換基を有する事のあるアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基若しくはアリールアミノ基であって、それぞれが同一でも異なっていても良い。また、R3,R4,R5,R6及びR7の二つ以上が結合して環を形成していても良い。 R3,R4,R5,R6及びR7に於けるアルキル基としては、炭素数1〜30までの直鎖または分岐したものが該当し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、ネオペンチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1,3−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−へキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1−エチル−3−メチルプロピル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、シクロヘキシル、デカリル、ノルボルニル、ビシクロヘキシル、アダマンチル、メンチル及びこれらの異性体があり、その他にもヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシフェニル、シクロヘキシルオキシ等が好ましい例として挙げられる。また1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、1,6−ヘキシレン、1,2−シクロペンチレン、1,2−シクロヘキシレン等を挙げる事が出来る。またアルキル基の一部又は全部が不飽和結合を有するものであっても良い。 アリール基としては、フェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、ジメチルフェニル、ナフチル、フルオレニル、アンスリル、フェナントレニル及びその位置異性体、クミル、メシチル、トリメチルフェニル、ヒドロキシフェニル、メトキシフェニル及びその位置異性体、ナフチル、メチルナフチル、ジメチルナフチル、ヒドロキシナフチル、ビフェニル、テトラリル、t−フェニル等があり、ヘテロ原子を含有するアリール基として、フラニル、オキサゾリル、ピリジニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ベンゾチエニル、クロメニル、インドイル等が挙げられる。 これらのアルキル基及びアリール基には、他の官能基、例えば、水酸基、ハロゲン、ニトロ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、アセチル基、アシル基、アルコキシ基やスルホン基、又は若しくは他の原子或いは原子団等が含まれる事があっても良い。他の原子や原子団を含むアリール基としては、アルコキシ基があり、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、1−メチルブトキシ、2−メチルブトキシ、3−メチルブトキシ、ネオペントキシ、1−エチルプロポキシ、シクロペントキシ、n−ヘキソキシ、シクロヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、n−デコキシ、n−ドデコキシ、メントキシ及びこれらの異性体やアダマンチルオキシが挙げられる。また2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、或いはこれらのアルキル置換体、ハロゲン置換体等が例示される。 R3,R4,R5,R6及びR7の何れか2つ以上が結合した例としては、ピロリジン−1−イル、3−メチルイミダゾリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、N−ピペリジニル、4−メチルピペラジン−1−イル等があり、R5,R6及びR7の二つ以上が結合した全体の環構造として見れば、ピロリジン、イミダゾリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジンがそれぞれ該当し、2,2−ジフルオロピロリジン、2,2−ジフルオロピペリジン、2,2−ジフルオロイミダゾリジン、[2,2,2]−2,2,5,5−テトラフルオロ−1,4−ジアザビシクロオクタン、[2,2,2]−2,2,6,6−テトラフルオロ−1,4−ジアザビシクロオクタン等も挙げられる。 その他、前記したアルキル基、アリール基等の一部がフッ素によって置換されたフルオロアルキル、フルオロアリール、又はトリフルオロメチル基で置換されたトリフルオロメチルアルキル、トリフルオロメチルアリール等がある。 本発明に於けるアミノアルコールのアミノ基は、一般的に言えば、一級、二級、三級の何れでも良い。但し、炭素数の少ない場合は、一級より二級のアミノ基を有するアミノアルコールが好ましい事がある。例えば、モノエタノールアミンの場合、閉環した化合物が得られる。即ち、モノエタノールアミオンとN,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(3−メチル)ベンジルアミン(以下、DFMBAと略記する事がある)との反応では、2−m−トリル−4,5−ジヒドロオキサゾールが生成する。 アミノ基をα位又はβ位に有する糖質もアミノアルコールの一種であり、例えば、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、アロース、リキソース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、不飽和結合を有するヘキサエノース等の不飽和糖、アピオースの様な分岐糖若しくは多糖類等のアミノ糖が該当する。好ましいアミノアルコールとして、以下の群1に属するものが挙げられる。(群1)N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−(β−アミノエチル)ジエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(アニリノ)エタノール、2−(ベンジルアミノ)エタノール、3−(ベンジルアミノ)プロパン−1−オール、1−(ベンジルアミノ)オクタン−2−オール、2−(ベンジルアミノ)−2−フェニルエタノール、2−(ベンジルアミノ)−1−フェニルプロパン−1−オール、(2−(イソブチルアミノ)フェニル)メタノール、2−(ベンジルアミノ)シクロヘキサノール、3−(ベンジルアミノ)−4−イソプロポキシブタン−2−オール、ピロリジン−3−オール、t−アミノアルコール、N,N−ジアルキルノルエフェドリン、ジフェニル(1−メチルピロリジン−2−イル)メタノール、-フェニル−2−ピロリジニル−1−プロパノール、D−バリノール、L−バリノール、L−アラニノール、L−メチオニノール、L−ロイシノール、L−イソロイシノール、D−フェニルアラニノール、L−フェニルアラニノール、D−プロリノール、L−プロリノール、L−トリプトファノール、(R)−2−フェニルグリシノール、(S)−2−フェニルグリシノール、L−t−ロイシノール、(R)−3−ピロリジノール、(R)−1−アミノ−2−プロパノール、(S)−1−アミノ−2−プロパノール、(R)−2−アミノ−1−ブタノール、(S)−2−アミノ−1−ブタノール、(1R,2R)−2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオール、(1S,2S)−2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオール、(1R,2S)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、(1S,2R)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール。 この中、より好ましいのは2−(メチルアミノ)エタノール、2−(アニリノ)エタノール、2−(ベンジルアミノ)エタノール、3−(ベンジルアミノ)プロパン−1−オール、1−(ベンジルアミノ)オクタン−2−オール、2−(ベンジルアミノ)−2−フェニルエタノール、2−(ベンジルアミノ)−1−フェニルプロパン−1−オール、(2−(イソブチルアミノ)フェニル)メタノール、2−(ベンジルアミノ)シクロヘキサノール、3−(ベンジルアミノ)−4−イソプロポキシブタン−2−オール、ピロリジン−3−オール等である。 α,α−ジフルオロアミンとアミノアルコールの反応は、回分式、半回分式若しくは連続方式での実施が可能であり、通常の加熱、超音波、又はマイクロ波照射下に反応を行う事が出来る。反応温度は、熱暴走温度(ARC試験による)以下であれば安全に実施できる。通常、200℃以下の温度で反応を実施する事が好ましく、室温から150℃の温度範囲が特に好ましい。反応は、該温度範囲の熱暴走温度以下で実施する事が望ましい。また超音波や0.3から300GHzの範囲のマイクロ波、マイクロ波近傍の電磁波を照射して反応を行う事が出来る。該電磁波は、連続的、或いは断続的に温度を制御しながら行う等して照射する事が出来る。α,α−ジフルオロアミンの使用量は、対象となる基質の官能基1モルに対して1モル以上を用いる事が好ましいが、過剰、或いは化学量論的に不足のまま反応させても良い。反応時間は、熱反応では10から360分の範囲が好ましい。超音波或いはマイクロ波照射下に反応を行う場合には、0.1分から180分の範囲が好ましいが、さらに長時間照射する事も出来る。該フッ素化反応を進行させる上で溶媒を用いる必要は無いが、攪拌を充分行う為や温度上昇を防ぐ為に溶媒を用いても良い。 好ましい溶媒は、基質であるアミノアルコール、フッ素化剤のα,α−ジフルオロアミンや生成物に対して不活性な脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素、ニトリル、エーテル類等であり、適宜これらから選択して組み合わせて用いる事が出来る。フッ素化反応の際に水が存在するとフッ素の代わりにα,α−ジフルオロアミンに由来する残基が導入されてエステルが生成する事がある。通常、10,000ppm以上の水共存下に反応を行うと基質の水酸基がアシル化される。即ち、水共存下、基質がアミノアルコールであればアミノエステル類が得られ、基質がジオールの場合は、ヒドロキシエステル類が得られる。従って、エステルの生成を抑えて水酸基がフッ素に変換されたフッ素化物を得る為には脱水条件下に反応を行う必要がある。該脱水条件の目安は、3,000ppm以下が好ましいが、特に1,000ppm以下が好ましい。 フッ素化反応終了後、生成物は、例えば炭酸水素ナトリウム等の希アルカリ水溶液で中和処理を施した後、適当な溶媒を用いて抽出する等して回収する事が出来る。分離・回収した生成物は必要に応じてカラムクロマトグラフィー、再結晶や蒸留の様な通常の手段を用いて精製すれば高純度のフルオロアミドとする事が出来る。 次に、フルオロアミンを得る為にはアミドの還元を行う。還元方法として、接触還元、試薬還元があり、何れの方法を用いても良い。小規模であれば、リチウムアルミニウムヒドリド、ナトリウムボロヒドリド、ナトリウムヒドリド、ナトリウムアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムナトリウムヒドリド、トリス(t−ブトキシ)リチウムアルミニウムヒドリド、ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等の金属水素化物による試薬的還元を行うのが好ましい。工業規模の試薬還元には、例えばビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムヒドリドの70%トルエン溶液(商品名:ビトライド)を用いる事が出来る。また大規模に還元を行う場合には、通常、高温或いは高圧条件になるといった不利な点はあるが、白金、パラジウム、ロジウム、ニッケル等の触媒を用いる水素接触還元が適用可能である。 以下、実施例及び比較例によって本発明の方法をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。実施例1N−(2−フルオロエチル)−N−フェニル−(3−メチル)ベンズアミドの合成 基質として2−アニリノエタノール(1.0 mmol:0.137g)とフッ素化剤として、N,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−(3−メチル)ベンジルアミン(DFMBA)を2.4ミリモル(0.511g)加えた後、攪拌せずにマイクロ波を、温度70℃で10分間照射した。反応終了後、室温まで冷却し、反応生成物を、炭酸水素ナトリウムを含む15mlの水溶液に加えて中和した。次に、エーテルで3回抽出し、抽出液を適量の炭酸カリウムで乾燥、溶媒除去後、カラムクロマトグラフィーで精製した。生成物として、N−(2−フルオロエチル)−N−フェニル−(3−メチル)ベンズアミドを収率90%で得た。実施例2N−(2−フルオロエチル)−N−フェニル−(3−メチル)ベンズアミドの合成 実施例1に於いて、マイクロ波を照射する代わりに通常の加熱条件下、70℃で10分間反応させた。室温まで冷却し、反応生成物を、炭酸水素ナトリウムを含む15mlの水溶液に加えて中和した後、エーテルで3回抽出を行った。抽出液を適量の炭酸カリウムで乾燥し、溶媒を除去した後、19F−NMRを用いてN−(2−フルオロエチル)−N−フェニル−(3−メチル)ベンズアミドの定量分析を行った処、収率は98%であった。比較例1 アニリノエタノール(1.0mmol)を基質として、DAST(2.4mmol)を−78℃で加えた後、室温で30分攪拌した。反応終了後、反応液にエーテル(10ml)を加えると不溶物が沈殿したが、実施例1及び2に於ける該アミドの生成は全く見られなかった。 更にエーテル可溶分には、有機物に由来するガスクロピークは認められなかった。比較の為に敢えて例を記載したが、他の基質の場合でも同様に、先行技術のDASTやOlah試薬を用いる限り、本発明の様にアミドは得られない事は明らかである。実施例3 N−(2−フルオロエチル)−N−フェニル−(3−メチル)ベンズアミドの合成 α,α−ジフルオロアミンとしてDFMBAを1.2ミリモル(0.255g)用いた以外は、実施例1と同様にして操作を行った。その結果、N−(2フルオロエチル)−N−フェニル−(3−メチル)ベンズアミドが収率45%で得られた。実施例4N−(2−フルオロエチル)−N−フェニル−(3−メチル)ベンズアミドの合成 フッ素化剤としてDFMBAを3.6ミリモル(0.766g)にした以外は、実施例1と同様に操作を行った。N−(2−フルオロエチル)−N−フェニル−(3−メチル)ベンズアミドが収率94%で得られた。実施例5N−(2−フルオロエチル)−N−メチル−(3−メチル)ベンズアミドベンズアミドの合成 基質としてN−メチルエタノールアミン1ミリモル(0.137g)とフッ素化剤として、DFMBA2.4ミリモル(0.511g)をマイクロ波照射下に、70℃で10分間反応を行った。操作は実施例1と同様に行った。生成物としてN−(2−フルオロエチル)−N−メチル-(3−メチル)ベンズアミドを収率59%が得られた。実施例6N−(2−フルオロエチル)−N−ベンジル-(3−メチル)ベンズアミドの合成基質としてN−ベンジルエタノールアミン1ミリモル(0.137g)とフッ素化剤としてDFMBA2.4ミリモル(0.511g)を、マイクロ波照射下に70℃で10分間反応を行った。操作は実施例1と同様に行った。生成物としてN−(2−フルオロエチル)−N−ベンジル-(3−メチル)ベンズアミドを収率66%で得た。実施例7N−ベンジル−N−(2−フルオロオクチル)ベンズアミドの合成 基質として1−ベンジルアミノ−オクタン−2−オール1ミリモル(0.137g)とフッ素化剤としてN,N−ジエチル−α,α−ジフルオロベンジルアミン(以下DFBAと略記する)2.4ミリモル(0.478g)を加え、攪拌せずにマイクロ波を100℃で10分間照射した。反応終了後の処理は実施例1と同様である。生成物としてN−ベンジル−N−(2−フルオロオクチル)ベンズアミドを収率76%で得た。実施例8ジベンジル−(2−フルオロオクチル)アミンの合成 実施例7で得られたN−ベンジル−N−(2−フルオロオクチル)ベンズアミド0.76ミリモル(0.137g)を無水THF(20ml)に溶解し、リチウムアルミニウムハイドライド(LAH)を0.8ミリモル(0.478g)を攪拌しながら0℃で加えた後、室温で1時間反応させた。反応液を3N−水酸化カリウム水溶液(10ml)に注いで中和し、エーテルで3回抽出した。抽出液を適量の炭酸カリウムで乾燥、溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィーで精製した。生成物としてジベンジル−(2−フルオロオクチル)アミンを収率65%で得た。参考例 α,α−ジフルオロアミンの合成1)N,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−3−ピリジルメタンアミンの合成 N,N−ジエチルニコチン酸アミド12.9g(72mmol)を200ml三つ口フラスコに50mlのジクロロメタンと共に仕込んだ。窒素微加圧下に、フラスコを氷水で冷却し、約5℃付近で塩化オキサリルのジクロロメタン溶液(塩化オキザリル9.85g、78mmolを20mlのジクロロメタンに溶解)を滴下した。滴下終了後、反応液を約40℃に昇温し、2間反応を行った。塩素化反応終了後、反応液を氷水で冷却し、約3℃付近でTEA・3HF錯体8.7g(53mmol)を滴下した。トリエチルアミン約10gを添加して、さらに25℃で1時間反応を行った。反応終了後、系内に析出した塩を濾別して取り除いた。濾液を濃縮した後、ヘキサンで抽出し、蒸留によって、N,N−ジエチル−α,α−ジフルオロ−3−ピリジルメタンアミン9gを得た(単離収率60%)。生成物の構造はNMR及びIRで確認した。1H−NMR:δ値(ppm)、TMS基準、CDCl3中で測定1.06(t、−CH3)、2.87(q、−CH2−)、7.3,7.9,8.6,8.8(芳香環水素)2)4−ジフルオロメチルモルホリン N,N−ジエチルニコチン酸アミドの代わりにN−ホルミルモルホリン72ミリモルを用いた以外は参考例1と同様に行い、4−ジフルオロメチルモルホリンを合成した(単離収率70%)。生成物の構造はNMR、IRで確認した。1H−NMR:δ値(ppm)、TMS基準、CDCl3中で測定 2.85(t、4H、−CH2−N−×2)、 3.71(t、4H、−O−CH2−×2)、5.93(s、1H、−CF2−H)13C−NMR:δ値(ppm)、TMS基準、−50℃、CDCl3中で測定 43.46(s、−CH2−N−×2)、66.0(s、−O−CH2−×2)、 116.78(t、244Hz、−CF2)19F−NMR:δ値(ppm)、CF3COOH基準、−50℃、CDCl3中で測定 −102.89、−103.01(d、=CF2)3)1−ジフルオロメチルピペリジン N,N−ジエチルニコチン酸アミドの代わりにN−ホルミルピペリジン72ミリモルを用いた以外は参考例1と同様に行い、1−ジフルオロメチルピペリジンを合成した(単離収率68%)。生成物の構造はNMR、IRで確認した。1H−NMR:δ値(ppm)、TMS基準、CDCl3中で測定2.81(m、4H、−CH2−N−×2)、1.55(m、6H、−CH2−CH2−CH2−N−、−CH2−CH2−CH2−N−×2)、5.90(s、1H、−CF2−H)13C−NMR:δ値(ppm)、TMS基準、−50℃、CDCl3中で測定24.12(s、−CH2−CH2−N−×2)、24.76(s、−CH2−CH2−CH2−N−)、44.38(s、−CH2−N−×2)、117.66(t、246Hz、−CF2)19F−NMR:δ値(ppm)、CF3COOH基準、−50℃、CDCl3中で測定−101.03、−101.18(d、=CF2) 参考例1から3の生成物の構造同定には以下の機器を用いた。1H−NMR測定 日本電子製JMN−EX270(270MNz):重クロロホルム溶媒で測定13C−NMR、19F−NMR 日本電子製NMR−LA500SS(500MHz):重クロロホルム溶媒で測定実施例9−14 フッ素化反応に用いるα,α−ジフルオロアミンの種類を変えて、実施例1と同様にして反応を行った。結果を以下に示した。猶、反応時間は10分、反応温度は70℃、無溶媒で行った。 実施例 基質 α,α−ジフルオロアミン 生成物の種類 単離収率% 9 1 DFBA アミド1 71 10 2 DFMBA アミド2 86 11 3 DFMBA アミド3 42 12 4 DFBA アミド4 76 13 2−アニリノエタノール DFEP アミド5 72 14 2−アニリノエタノール DFBA アミド6 85 上記9から14の実施例に於ける基質のアミノアルコールは以下の通りである。 1:(ベンジルアミノ)プロパン−1−オール 2:2−(ベンジルアミノ)−2−フェニルエタノール 3:2−(ベンジルアミノ)−1−フェニルプロパン−1−オール 4:1−(ベンジルアミノ)−3−ベンジロキシ−プロパン−2−オール 上記9から14の実施例に於いて略記したα,α−ジフルオロアミンの化合物名は以下の通りである。 DFEP: ジフルオロ−N,N−ジエチル(ピリジン−2−イル)メタンアミン 上記9から14の実施例に於ける生成物であるアミド1から6の化合物名は以下の通りである。 1:N−ベンジル−N−(3−フルオロプロピル)ベンズアミド 2:N−ベンジル−N−(2−フルオロ−1−フェニルエチル)−3−メチルベンズアミド 3:N−ベンジル−N−(1−フルオロ−フェニルプロパン−2−イル)−3−メチルベンズアミド 4:N−ベンジル−N−(3−ベンジロキシ−2−フルオロプロピル)−ベンズアミド 5:N−(2−フルオロエチル)−N−フェニルピコリンアミド 6:N−(2−フルオロエチル)−N−フェニルベンズアミド α,α−ジフルオロアミノ化合物類をフッ素化剤として使用する本発明の方法を用いることによって、分子内にアミノ基と水酸基を併せ持つラセミ又はキラルなアミノアルコールから、ラセミ又はキラルなフルオロアミド若しくはフルオロアミンを簡便かつ高収率で得ることができる。本発明の方法は、特に、位置特異性、立体特異性が要求されることが多い医薬品合成用のフッ素化方法として高い有用性を示す。一般式(1)で表されるα,α−ジフルオロアミンを用いて、一般式(2)で表されるアミノアルコールから一般式(3)で表されるフルオロアミドを得る事を特徴とする、アミノアルコールからフルオロアミドを製造する方法。(猶、一般式(1)で表されるα,α−ジフルオロアミンのR0は置換基を有することのあるフェニル基又はピリジニル基であり、R1及びR2はエチル基である。一般式(2)、一般式(3)で表されるフッ素化合物並びにその基質中のR3,R4,R5,R6及びR7は水素原子又は置換基を有する事のあるフェニル基又は炭素数1−6のアルキル基であり、それぞれが同一でも異なっていても良い。)一般式(1)で表されるα,α−ジフルオロアミンのR0が、フェニル基、3−メチルフェニル基、又は2−メトキシフェニル基であり、R1及びR2が、炭素数1から16迄のアルキル基である、請求項1に記載のアミノアルコールからフルオロアミドを製造する方法。一般式(2)で表されるアミノアルコールから、一般式(3)で示されるフルオロアミドを製造する際、マイクロ波照射下に反応を行う、請求項1又は2に記載のアミノアルコールからフルオロアミドを製造する方法。一般式(2)で表されるアミノアルコールが群1に属するものである、請求項1から3の何れかに記載のアミノアルコールからフルオロアミドを製造する方法。[群1]N−メチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、2−(アニリノ)エタノール、2−(ベンジルアミノ)エタノール、3−(ベンジルアミノ)プロパン−1−オール、1−(ベンジルアミノ)オクタン−2−オール、2−(ベンジルアミノ)−2−フェニルエタノール、2−(ベンジルアミノ)−1−フェニルプロパン−1−オール、3−(ベンジルアミノ)−4−イソプロポキシブタン−2−オール、D−バリノール、L−バリノール、L−アラニノール、L−メチオニノール、L−ロイシノール、L−イソロイシノール、D−フェニルアラニノール、L−フェニルアラニノール、(R)−2−フェニルグリシノール、(S)−2−フェニルグリシノール、L−t−ロイシノール、(R)−1−アミノ−2−プロパノール、(S)−1−アミノ−2−プロパノール、(R)−2−アミノ−1−ブタノール、(S)−2−アミノ−1−ブタノール、(1R,2R)−2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオール、(1S,2S)−2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオール、(1R,2S)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、(1S,2R)−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール請求項1から4の何れかに記載の方法により一般式(3)で表されるフルオロアミドを製造した後、還元工程を経て、一般式(4)で表されるフルオロアミンを得る、アミノアルコールからフルオロアミンを製造する方法。(猶、一般式(4)で表されるフッ素化合物並びにその基質中のR3,R4,R5,R6及びR7は水素原子又は置換基を有する事のあるフェニル基又は炭素数1−6のアルキル基であり、それぞれが同一でも異なっていても良い。また、R3,R4,R5,R6及びR7の二つ以上が結合して環を形成していても良い。)