生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_除害装置及びその管理方法
出願番号:2004349600
年次:2010
IPC分類:B01D 53/46,B01D 53/68,G01N 21/35


特許情報キャッシュ

富田 修康 杉森 由章 JP 4553705 特許公報(B2) 20100723 2004349600 20041202 除害装置及びその管理方法 大陽日酸株式会社 000231235 木戸 一彦 100086210 木戸 良彦 100128358 富田 修康 杉森 由章 20100929 B01D 53/46 20060101AFI20100909BHJP B01D 53/68 20060101ALI20100909BHJP G01N 21/35 20060101ALN20100909BHJP JPB01D53/34 120AB01D53/34 134CG01N21/35 Z B01D 53/02−53/96 G01N 21/35 特開2001−334125(JP,A) 特開2001−321638(JP,A) 特開2000−117053(JP,A) 特開2004−351364(JP,A) 2 2006158990 20060622 7 20071026 菊谷 純 本発明は、除害装置及びその管理方法に関し、詳しくは、半導体製造装置等から排出されるガス中の有害成分をガス中から除去するための除害装置及び該除害装置における除害剤の交換時期を判定する管理方法に関する。 揮発性無機水素化物,揮発性無機ハロゲン化物、有機金属化合物等の有害ガス成分を使用する半導体製造装置等からは、これらの有害成分を含む排ガスが排出される。これらの有害成分は、毒性や可燃性を有する危険なものであり、排ガスを大気中に放出する前に無害化する必要がある。このため、前記有害成分と反応して排ガス中から有害成分を除去するための除害剤(除去剤)が各種開発されてきており、近年は、除害剤を充填した除害筒内に排ガスを流通させて無害化する乾式除害装置が多用されている。 また、除去処理の進行に伴って除害剤が破過すると有害成分の除去処理を継続できなくなる。このため、除害筒のガス出口部(処理ガス導出部)に分析計を設けて有害成分の濃度を測定し、有害成分濃度が規定濃度以上になったときを除害剤の破過と判定する方法や、有害成分との接触によって変色する検知剤を使用し、この検知剤が変色したときを除害剤の破過と判定する方法が採用されている(例えば、特許文献1参照。)。特開平6−319945号公報 しかし、分析計で有害成分濃度を測定する方法では、除害筒から流出した有害成分を分析するため、分析計の下流に有害成分が流出することになるから、分析計の後段にも予備の除害手段を設けておく必要がある。また、検知剤によるものでは、除害筒内のガス流れが偏り、有害成分と検知剤との接触が十分に行われないと、除害剤が破過しても検知剤が変色しないおそれがある。このため、除害筒の大きさや形状等に制約が生じていた。さらに、検知剤の変色を目視で確認するため、除害筒の設置位置にも制約があった。 そこで本発明は、除害筒内に充填した除害剤の破過を確実に判定することができる除害装置及びその管理方法を提供することを目的としている。上記目的を達成するため、本発明の除害装置は、有害成分を含むガスを除害剤を充填した除害筒内に導入して前記有害成分の除去処理を行う除害装置において、前記除害剤として、前記有害成分との反応形態が異なる主除害剤と副除害剤とを使用し、該副除害剤を前記主除害剤よりもガス流れ方向下流側に配置するとともに、前記有害成分の除去処理を行った後のガスを導出する処理ガス導出部に、前記副除害剤と前記有害成分との反応によって生成し、前記主除害剤と前記有害成分との反応では生成しないか、生成量が少ないガス成分を測定するガス成分測定手段を設けたことを特徴としている。また、本発明の除害装置の管理方法は、副除害剤と有害成分との反応によって生成する前記ガス成分の濃度が上昇したときを除害剤の交換時期と判定することを特徴としている。 本発明によれば、除害筒の処理ガス導出部から導出されるガス成分濃度の変化、例えば、有害成分と主除害剤との反応によってのみ生成するガス成分の減少、あるいは、有害成分と副除害剤との反応によってのみ生成するガス成分の増加を判定基準とすることにより、主除害剤の破過を確実に知ることができる。また、主除害剤が破過しても副除害剤によって有害成分の除去処理を継続できるので、有害成分が外部に流出することはない。 図1は本発明の一形態例を示す除害装置の概略系統図である。この除害装置は、有害成分を含むガスを導入するガス導入部11と、除去処理を行ったガスを導出する処理ガス導出部12とを有する除害筒13内に、ガス流れ方向上流側に主除害剤14を、下流側に副除害剤15を積層した状態で充填するとともに、処理ガス導出部12にガス成分測定手段としての分析計16を設けたものである。 主除害剤14及び副除害剤15は、前記有害成分と反応して有害成分をガス中から除去することができる除害剤であって、両除害剤14,15には、その主成分と有害成分との反応形態が異なるものが用いられている。例えば、有害成分がホスフィン(PH3)の場合、除害剤として酸化銅(CuO)を用いた場合には、3CuO + 2PH3 → Cu3P + P + 3H2Oという除害反応により、分析計16で測定可能なガス成分として水(H2O)が生成する。 また、除害剤として塩基性炭酸銅(Cu(OH)2・CuCO3)を用いた場合には、3Cu(OH)2・CuCO3 + 4PH3 → 2Cu3P + 3CO2 + 9H2O +2Pという除害反応により、分析計16で測定可能なガス成分として水及び二酸化炭素(CO2)が生成する。同様に、除害剤が水酸化銅のときには水が、除害剤が硝酸銅のときには窒素酸化物(NOx)が、分析計16で測定可能なガス成分としてそれぞれ生成する。 したがって、除去対象となる有害成分がホスフィンの場合、酸化銅と塩基性炭酸銅とを主除害剤14及び副除害剤15として用いることにより、処理ガス中の二酸化炭素量の増減や有無を監視することによって主除害剤14の破過を判定することが可能であり、他の水酸化銅や硝酸銅と塩基性炭酸銅との組み合わせでも、二酸化炭素の生成量によって主除害剤14の破過を判定することができる。 酸化銅、水酸化銅又は硝酸銅と、塩基性炭酸銅とを組み合わせて使用する場合、どちらを主除害剤14とするかは、コストや除害性能等を考慮して任意に設定することができる。例えば、酸化銅、水酸化銅又は硝酸銅を主除害剤14とし、塩基性炭酸銅を副除害剤15として用いた場合は、主除害剤14で有害成分との十分な反応が行われているときの処理ガス中の二酸化炭素濃度は相対的に低濃度であり、主除害剤14が破過して副除害剤15である塩基性炭酸銅と有害成分との反応が始まると、処理ガス中の二酸化炭素濃度が上昇することになる。 一方、塩基性炭酸銅を主除害剤14とし、酸化銅、水酸化銅又は硝酸銅を副除害剤15として用いた場合は、主除害剤14で十分な反応が行われているときの処理ガス中の二酸化炭素濃度は相対的に高濃度であり、主除害剤14が破過して副除害剤15での反応が始まると処理ガス中の二酸化炭素濃度が下降することになる。 また、硝酸銅と他の除害剤とを組み合わせた場合には、処理ガス中の窒素酸化物の濃度を測定すればよい。さらに、処理対象ガス中の有害成分濃度が略一定の場合には、除害反応によって同じガス成分、例えば水が生成する除害剤であっても、主除害剤14との反応で生成する水分量と、副除害剤15との反応で生成する水分量とが、分析計16にて判別可能ならば、処理対象ガス中の同じガス成分の濃度変化を監視することによっても主除害剤14の破過を検出することができる。 例えば、前記反応式からわかるように、同一量のホスフィンを処理したとき、塩基性炭酸銅で生成する水分量は、酸化銅で生成する水分量の1.5倍となるから、この水分量の差を検出することによって主除害剤14として使用した酸化銅又は塩基性炭酸銅の破過を検出することができる。 他の有害成分を除去する場合でも、基本的に同じ傾向であり、例えば揮発性無機ハロゲン化物、一例としてHF(フッ化水素)では処理後には水が、有機金属化合物、一例としてTBA(トリブチルアルシン)では処理後にイソブタンが生成することになるので、前記ホスフィンの場合と同様に、各除害剤を組み合わせるとともに、主除害剤14が破過したときに濃度変化を生じるガス成分を分析計16で測定することにより、主除害剤14の破過を検出することができ、除害剤の交換時期と判定することができる。 除害筒13内に充填する副除害剤15の量は、分析計16で主除害剤14の破過に伴うガス成分濃度の変化を検知したときに、有害成分の除去能力を十分に有している量に設定すればよく、処理対象ガス中の有害成分濃度、処理量、流速等の条件に応じて設定すればよい。また、分析計16には、処理ガス中の分析対象となるガス成分を測定可能なものならば任意の分析計を用いることができるが、連続測定が可能な分析計を用いることが好ましい。 また、各除害剤は、分析計16で特定のガス成分の変化を測定できれば、複数種の除害剤を組み合わせて使用することも可能であり、例えば、主除害剤14として酸化銅と水酸化銅とを使用し、副除害剤15として塩基性炭酸銅を使用するといったことも可能である。 このように、有害成分の除去に伴って生成する無害なガス成分の濃度を測定し、該ガス成分の濃度変化に基づいて主除害剤14の破過を検知し、除害筒13内の除害剤の交換時期を判定することにより、除害筒13から有害成分が流出する前に除害剤の交換時期を確実に判定できる。また、検知剤の変色を目視によって判定するものに比べてより確実に除害剤の交換時期を判定できる。また、分析計16に警報発生手段を併設しておくことにより、除害剤の交換時期を容易かつ確実に知ることができる。 なお、主除害剤14と副除害剤15とは、上述のように一つの除害筒13内に積層状態で配置することが好ましいが、主除害剤14を充填した主除害筒と副除害剤15を充填した副除害筒とを直列に配置し、副除害筒の処理ガス導出部に前記分析計16を設けることもできる。 図2に系統図で示す実験装置を使用した。この実験装置は、ベースガスとしての窒素ガスを供給する窒素ガス容器21と、有害成分ガスを供給する有害ガス容器22とを、圧力制御器23,23及び流量制御器24,24を介して接続し、あらかじめ設定した濃度で有害成分を含む窒素ガスをあらかじめ設定した流量でバッファタンク25に供給できるようにしている。 除害筒26には、内径が160mmで、有効充填高さが300mmのステンレス鋼製の円筒体を使用した。除害筒26の処理ガス導出部27には、反応で生成したガス成分を測定するための分析計28と、除去されずに除害筒26から流出した有害成分を測定するための有害成分用分析計29とを設置するとともに、両分析計28,29の測定値を記録する記録計30を設け、記録計30によって各ガス成分濃度の変化を確認できるようにした。 実施例1 有害ガス容器22をホスフィン容器、分析計28をフーリエ変換赤外吸収光度分析計(MIDAC社製:IGA200)、有害成分用分析計29をホスフィン用ガス分析計(バイオニクス社製:TG4000)とし、窒素中のホスフィン濃度を1%に調節した処理対象ガスを毎分12リットルで除害筒26に導入するようにした。除害筒26内には、上流側に主除害剤となる酸化銅を主成分とした除害剤を200mmの高さで、下流側に副除害剤となる塩基性炭酸銅を主成分とした除害剤を100mmの高さでそれぞれ充填して積層状態とした。 処理対象ガスを除害筒26に流通させるとともに、分析計28にて二酸化炭素の濃度を、有害成分用分析計29にてホスフィンの濃度をそれぞれ測定した。その結果、実験開始後しばらくは500ppmであった二酸化炭素濃度が、実験開始から47時間後に1000ppm、53時間後に5000ppm、56時間後に7000ppmとなり、その後は約7000ppmの濃度が続いた。有害成分用分析計29では、実験開始から59時間まではホスフィンを検出しなかったが、59時間後に検出されて濃度が徐々に上昇し、60.5時間後に許容濃度の0.3ppmに達した。 この実験結果から、主除害剤である酸化銅は47時間程度で破過が近付き、56時間後に破過したことがわかる。また、副除害剤である塩基性炭酸銅は、59時間後に破過が近付き、60.5時間後に破過したことがわかる。したがって、処理ガス導出部27における二酸化炭素濃度が7000ppmに達した時点の56時間後を主除害剤の交換時期と判定することにより、約3時間分の余裕を持って除害剤を交換することができ、有害成分が外部に流出することを確実に防止できることがわかる。 なお、実際の装置管理では、主除害剤が完全に破過する前、例えば、二酸化炭素濃度が5000ppm程度になったときを除害剤の交換時期と判定するように設定しておくことにより、外部への有害成分の流出をより確実に防止することができる。 実施例2 除害筒26の上流側に主除害剤となる塩基性炭酸銅を主成分とした除害剤を200mmの高さで、下流側に副除害剤となる酸化銅を主成分とした除害剤を100mmの高さでそれぞれ充填して積層状態とした。これ以外の条件は実施例1と同じとして実験を行った。 その結果、分析計28で測定した二酸化炭素濃度は、実験開始から1時間未満で7000ppmとなり、その後しばらくは略7000ppmの一定濃度であった。実験開始43時間後から二酸化炭素濃度が次第に減少し、50時間後には500ppm以下となり、その後は500ppm以下で略一定の濃度となった。有害成分用分析計29では、実験開始から61時間後にホスフィンが検出され、63時間後に許容濃度の0.3ppmに達した。したがって、約50時間で主除害剤が破過したと判定することができる。 実施例3 除害筒26の上流側に主除害剤となる水酸化銅を主成分とした除害剤を200mmの高さで、下流側に副除害剤となる酸化銅を主成分とした除害剤を100mmの高さでそれぞれ充填して積層状態とした。これ以外の条件は実施例1と同じとして実験を行った。 その結果、分析計28で測定した水分濃度(25℃における相対湿度)は、実験開始から徐々に上昇して10時間後に90%に達し、その後、60時間までは略一定濃度であった。60時間を過ぎてから水分濃度が次第に低下し、65時間後には60%以下となった。有害成分用分析計29で測定したホスフィン濃度は、実験開始から70時間後に許容濃度の0.3ppmに達した。したがって、約65時間で主除害剤が破過したと判定することができる。本発明の一形態例を示す除害装置の概略系統図である。実施例で使用した実験装置の系統図である。符号の説明 11…ガス導入部、12…処理ガス導出部、13…除害筒、14…主除害剤、15…副除害剤、16…分析計有害成分を含むガスを除害剤を充填した除害筒内に導入して前記有害成分の除去処理を行う除害装置において、前記除害剤として、前記有害成分との反応形態が異なる主除害剤と副除害剤とを使用し、該副除害剤を前記主除害剤よりもガス流れ方向下流側に配置するとともに、前記有害成分の除去処理を行った後のガスを導出する処理ガス導出部に、前記副除害剤と前記有害成分との反応によって生成し、前記主除害剤と前記有害成分との反応では生成しないか、生成量が少ないガス成分を測定するガス成分測定手段を設けたことを特徴とする除害装置。請求項1記載の除害装置の管理方法であって、測定対象となる前記ガス成分の濃度が上昇したときを除害剤の交換時期と判定することを特徴とする除害装置の管理方法。


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