生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_外用液剤
出願番号:2004337167
年次:2006
IPC分類:A61K 8/00,A61Q 19/00,A61K 8/55,A61K 8/58,A61K 8/67,A61K 8/96


特許情報キャッシュ

竹前 和久 JP 2006143668 公開特許公報(A) 20060608 2004337167 20041122 外用液剤 興和株式会社 000163006 川口 嘉之 100100549 松倉 秀実 100090516 遠山 勉 100089244 竹前 和久 A61K 8/00 20060101AFI20060512BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20060512BHJP A61K 8/55 20060101ALI20060512BHJP A61K 8/58 20060101ALI20060512BHJP A61K 8/67 20060101ALI20060512BHJP A61K 8/96 20060101ALI20060512BHJP JPA61K7/48A61K7/00 EA61K7/00 HA61K7/00 K 2 OL 7 4C083 4C083AB051 4C083AC122 4C083AC482 4C083AC532 4C083AD282 4C083AD302 4C083AD351 4C083AD451 4C083AD571 4C083AD572 4C083AD661 4C083AD662 4C083DD23 4C083EE01 4C083EE06 本発明は、使用感に優れ、成分の分離や沈降が生じない経時的に安定な外用液剤に関する。 トコフェロールは、抗酸化作用及び血行促進作用を有することから、皮膚の老化防止に有効であることが知られている。一方、シルク末は皮膚の保護作用及び保湿作用を有するとともに、滑らかな使用感を有することが知られている。そのため、これら両成分を配合することにより、両作用効果を併せ持つ製剤が期待され、その具体化が望まれている。 しかし、トコフェロールは油分でありシルク末は固形分であるため、外用液剤とする場合、経時的に成分が分離、沈降するという問題があった。 上記の問題の解決にあたり、トコフェロールの分散を目的として、トコフェロールとオリーブ油等の油脂との混和物を界面活性剤により乳化させ、生じる乳化粒子を液剤中に分散させる方法が知られている。しかし水分の補給を目的とする外用液剤において油脂を配合すると、適用時に皮膚表面が油脂で覆われ、水分の皮膚中への移行を妨げることから、油脂の配合は好ましくない。 また、シルク末の分散方法としては増粘剤を用いる方法が一般的である。しかしながら、増粘剤によりシルク末を分散させても、油分であるトコフェロールは水と分離してしまうという問題があった。 また、乾燥肌、シワ、肌荒れの改善を目的として加水分解シルク蛋白質及び海藻抽出物を含有する皮膚外用剤(特許文献1)が開示され、具体的には加水分解シルク蛋白質水溶液、カルボキシビニルポリマー及び水を含有した化粧水やトコフェロール、加水分解シルク蛋白質水溶液、水素添加大豆リン脂質、カルボキシビニルポリマー及び水を含有した水中油乳化型クリームが挙げられている。しかし、加水分解シルク蛋白質は、シルク末とは異なるものである。特開2003−176218号公報 本発明は、トコフェロールおよびシルク末を含有し、使用感に優れ、かつ分離や沈降が生じない経時的に安定な分散状態を有する外用液剤を得ることを課題とする。 上述の課題を解決すべく種々検討した結果、トコフェロール、シルク末及び82〜99重量%の水を含有する外用液剤にリン脂質及びキサンタンガムを含有させることにより、使用感に優れ、製剤として安定な分散状態を有する外用液剤が得られることを見出した。 すなわち、本発明は、トコフェロール、シルク末、リン脂質、キサンタンガム及び水を含有し、水の含有量が82〜99重量%である外用液剤を提供するものである。別の観点からは、水を含有する外用液剤にトコフェロール及びシルク末を安定に分散させる方法であって、前記外用液剤にリン脂質及びキサンタンガムを配合し、かつ水の含有量を82〜99%とすることを特徴とする方法を提供するものである。 本発明により、これまで困難であったトコフェロールおよびシルク末を液剤中に安定に分散させることが可能となった。 本発明の外用液剤は、トコフェロール、シルク末、リン脂質、キサンタンガム及び水を含む水性液剤である。 本発明においてトコフェロールとは、トコフェロール、トコフェロール誘導体及びそれらの塩を含むものである。例えば、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、d−α−酢酸トコフェロール、dl−α−酢酸トコフェロール、dl−α−ニコチン酸トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、コハク酸d−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等が挙げられる。トコフェロールの配合量は、外用液剤全量に対して0.01〜2重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜1重量%であり、特に好ましくは0.05〜0.5重量%である。2重量%を超えるとベタツキを生じ使用感が悪くなり、0.01重量%未満であると、抗酸化作用及び血行促進作用等の有効成分としての効力を得るために多量の塗布が必要となることがあるため、上記の範囲が好ましい。 本発明においてシルク末とは、家蚕の繭から得られる絹繊維を構成する非水溶性の蛋白質の粉末であり、フィブロインを主成分とする。シルク末としては、例えば(市販品として)、シルクゲンGパウダー(一丸ファルコス)、シルクIDパウダーK−50(出光石油化学)が挙げられる。また、本発明でいうシルク末は表面を修飾して様々な付加効果を持たせたものであってもよい。例えば(市販品として)、シルクIDパウダーA−705(出光石油化学)、シルクIDパウダーS−702(出光石油化学)、シルクIDパウダーL−710(出光石油化学)が挙げられる。シルク末配合量は、液剤全量に対して0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%であり、特に好ましくは0.3〜5重量%である。10重量%を超えると粉末由来の乾いた感触が強くなり潤い感が低下し、0.01重量%未満であると効力を得るために多量の塗布が必要となるためことがあるため、上記範囲が好ましい。 本発明においてリン脂質とは、リン酸残基を含む複合脂質であって、天然リン脂質、合成リン脂質、天然由来のリン脂質を水素添加処理した水素添加リン脂質等が挙げられる。 天然リン脂質としては、例えばホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチン、大腸菌等の微生物から抽出されるリン脂質等が挙げられる。市販品としてはCOATSOME NC−50(NOF)、presome(日本精化)等がある。 合成リン脂質としては、例えばジオレオイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、パルミトイル・オレオイルホスファチジルコリン等が挙げられる。市販品としてはCOATSOME MC−2020、COATSOME MC−4040、COATSOME MC−6060、COATSOME MC−8080、COATSOME MC−8181、COATSOME MC−6081(NOF)等がある。 水素添加リン脂質としては、例えば水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、水素添加ホスファチジルコリン、水素添加ホスファチジルセリン等が挙げられる。市販品としてはレシノール S−10、レシノール S−10E、レシノール S−10M、レシノール S−10EX、レシノール S−PIE(日光ケミカルズ)、COATSOME NC−21(NOF)、Phospholipon100H、Phospholipon90H、Phospholipon80H、Phospholipon90G(Phospholipid)等がある。 これらのリン脂質の中では、水素添加リン脂質が好ましい。具体的には、水素添加ホスファチジルコリン含有量が70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の水素添加リン脂質が好ましい。水素添加ホスファチジルコリンは、水性外用液剤の粘度を高め、安定な分散状態が得られる点で好ましい。 本発明において、リン脂質は1種又は2種以上を組み合せて使用することができる。リン脂質の配合量は、外用液剤全量に対して0.01〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2重量%であり、特に好ましくは0.3〜1重量%である。5重量%を超えるか、あるいは0.01重量%未満では、トコフェロールの安定な分散効果が得られないことがある。 本発明においてキサンタンガムとは、澱粉等の炭水化物をキサントモナス属菌等の微生物を用いた発酵により得られる多糖類である。キサンタンガムとしては、精製、乾燥及び粉末化した市販品、例えばケルトロール、ケルトロールT、ケルトロールF、ケルザン、ケルザンS(Kelco Biopolymer)、ネオソフトXC、ネオソフトXS(太陽化学)、サンエース(三栄源エフエフアイ)等が挙げられる。キサンタンガムの配合量は、外用液剤全量に対して0.005〜1重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5重量%であり、特に好ましくは0.1〜0.4重量%である。1重量%を超えるとヨレ、ベタツキが強く使用感が悪くなり、0.005重量%未満であると目的とする分散効果が得られないことがある。 本発明に用いられる水の配合量は他の配合剤の量に合わせて調整されるが、外用液剤全量に対して82〜99重量%が好ましく、より好ましくは85〜98重量%であり、特に好ましくは90〜96重量%である。99重量%を超えるとトコフェロールまたはシルク末の効果を得ることが困難となり、82重量%未満であると皮膚に十分な潤いを与えることができないことがある。 なお、ここでいう外用液剤とは、皮膚に適用される液剤をいい、例えば、皮膚において不足した水分を補給し、潤った皮膚状態を保つ目的で使用されるものが挙げられる。本発明の外用液剤がこのような用途に用いられる場合には、本発明の必須成分以外の油分は配合しないことが好ましい。しかし、本発明の効果を損わない限り、少量の油分を含んでいてもよい。 本発明の外用液剤は、トコフェロール以外の有効成分、中和剤、保存剤、安定化剤及び湿潤剤等を含有することが可能であるが、含有されていなくてもよい。また含有可能なものは、これらに限定されるものではない。 トコフェロール以外の他の有効成分としては、グリチルリチン酸のカリウム塩或いはアンモニウム塩等の抗炎症剤、掻痒の治療に用いられる塩酸ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン剤、ピオニン等の抗にきび剤、アスコルビン酸またはアスコルビン酸誘導体等の美白剤、ヒアルロン酸、アルゲコロイド、トレハロース等の保湿剤等が挙げられる。 中和剤としては、クエン酸、リン酸、酒石酸、乳酸などの有機酸、塩酸などの無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等などの水酸化アルカリ、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどのアミン類等が挙げられる。 保存剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類、塩化ベンザルコニウム等があげられる。 安定化剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸等が挙げられる。 湿潤剤としては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。 本発明の外用液剤のpHは、製剤の分離安定性及び皮膚刺激性等の点から、通常pH4〜8が好ましく、より好ましくはpH5.5〜6.5である。 本発明の外用液剤の粘度は、0.05Pa・s〜1Pa・sが好ましく、より好ましくは0.1Pa・s〜0.5Pa・sである。0.05Pa・s未満ではシルク末及びリン脂質微粒子が沈降することがある。また、1Pa・sをこえると流動性が低下し、延びが悪くなることがある。粘度は例えばコーンプレート型回転粘度計AR1000−N(TAインストルメント)により測定できる。 本発明の外用液剤は、通常の方法で製造できるが、例えば、リン脂質及びトコフェロールを多価アルコール中で80℃以上に加温し、完全に溶解させた後、水と均一になるまで混合し、更にシルク末およびキサンタンガムを添加し、均一になるまで混合することで調製できる。 以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。〔実施例1〕 酢酸トコフェロール0.2gおよび水素添加大豆リン脂質0.5g(Phospholipon90H:Phospholipid)を5gの1,3−ブチレングリコールに加え、80℃でよく攪拌、混合した。この溶液に精製水30gを加えてよく攪拌、混合した(調製液A)。 キサンタンガム(ケルトロール:Kelco Biopolymer)0.28g、エデト酸ナトリウム0.01g、パラオキシ安息香酸メチル0.1gを精製水60gに加え、よく攪拌、混合した。この溶液をよく攪拌、混合した後、調製液Aおよびシルク末(シルクゲンGパウダー:一丸ファルコス)0.5gを加え、よく攪拌、混合後、減圧下で脱泡を行い、水を加えて総量100gとして水性外用液剤を得た。〔比較例1〜5〕 実施例1と同様の方法にて、表1に示す成分を用いて、比較例1〜5の外用液剤を得た。実施例1及び各比較例で用いた各々の増粘剤は、同じ粘度(約0.3Pa・s)になるように配合量を調整した。尚、比較例3のアルギン酸ナトリウムは、キミカアルギンI−S(キミカ)、比較例4のヒドロキシエチルセルロースは、HEC CF−Y(住友精化)、比較例5のヒドロキシプロピルメチルセルロース2208は、メトローズ90SH−15000(信越化学工業)を用いて製造した。〔試験例〕 調製した製剤の外観安定性を検討するために実施例1及び比較例1〜5の各製剤をガラスビンに充填し、40℃で1週間後、2週間後及び2ヵ月後、60℃で1週間後の保存後の外観変化(分離または沈降)の有無を確認した。外観変化が認められないものを○、外観変化が認められたものを×で示した。 また、粘度はコーンプレート型回転粘度計AR1000−N(TAインストルメント)を用いて次の条件により測定した。アダプター:6cm、2°プレート、20℃、ずり応力2Pa。 トコフェロール、シルク末及び水を含有する外用液剤にリン脂質を配合しない場合(比較例1)、調製直後の製剤において分離(トコフェロール)が認められた。また、キサンタンガムを配合しない製剤(比較例2)は、調製直後にシルク末の沈降が認められた。 また、アルギン酸ナトリウム(比較例3)、ヒドロキシエチルセルロース(比較例4)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(比較例5)等のキサンタンガム以外の高分子を使用して粘度を約0.3Pa・sに調整したが、いずれの結果も40℃1週間または、60℃で1週間保存後に外観変化が認められ、安定性が悪かった。 しかし、トコフェロール、シルク末及び水を含有する外用液剤にリン脂質及びキサンタンガムを配合した製剤(実施例1)は、60℃1週間保存後または40℃2ヵ月保存後でも外観変化が認められず、良好な安定性を示すものであった。 なお、実施例1の使用感を評価したところ、さらさら感およびしっとり感が付与され、さらに良好な使用感も得られた。トコフェロール、シルク末、リン脂質、キサンタンガム及び水を含有し、水の含有量が82〜99重量%である外用液剤。水を含有する外用液剤にトコフェロール及びシルク末を安定に分散させる方法であって、前記外用液剤にリン脂質及びキサンタンガムを配合し、かつ水の含有量を82〜99%とすることを特徴とする方法。 【課題】 トコフェロールおよびシルク末を含有し、使用感に優れ、かつ分離や沈降が生じない経時的に安定な分散状態を有する外用液剤を得る。 【解決手段】 外用液剤に、トコフェロール、シルク末、水素添加リン脂質等のリン脂質、キサンタンガム及び水を配合し、かつ、水の含有量を82〜99重量%とすることによって、トコフェロールの分離、及びシルク末の沈降を防ぎ、安定した分散状態を有する外用液剤を得る。 【選択図】 なし


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特許公報(B2)_外用液剤

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_外用液剤
出願番号:2004337167
年次:2010
IPC分類:A61K 8/67,A61K 8/64,A61K 8/55,A61K 8/73,A61K 8/06,A61Q 19/00


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竹前 和久 JP 4575755 特許公報(B2) 20100827 2004337167 20041122 外用液剤 興和株式会社 000163006 川口 嘉之 100100549 松倉 秀実 100090516 遠山 勉 100089244 竹前 和久 20101104 A61K 8/67 20060101AFI20101014BHJP A61K 8/64 20060101ALI20101014BHJP A61K 8/55 20060101ALI20101014BHJP A61K 8/73 20060101ALI20101014BHJP A61K 8/06 20060101ALI20101014BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20101014BHJP JPA61K8/67A61K8/64A61K8/55A61K8/73A61K8/06A61Q19/00 A61K 8/00−8/99 A61Q 1/00−99/00 B01F 17/00−17/56 特開平03−005426(JP,A) 特開平05−148129(JP,A) 特表平06−507424(JP,A) 特開2003−119120(JP,A) 国際公開第2004/000242(WO,A1) 特開平01−197419(JP,A) 特開平06−023256(JP,A) 化粧品ハンドブック,日光ケミカルズ,1996年11月 1日,pp.96-107 化粧品ハンドブック,日光ケミカルズ,1996年11月 1日,pp.273-277 2 2006143668 20060608 7 20070803 川島 明子 本発明は、使用感に優れ、成分の分離や沈降が生じない経時的に安定な外用液剤に関する。 トコフェロールは、抗酸化作用及び血行促進作用を有することから、皮膚の老化防止に有効であることが知られている。一方、シルク末は皮膚の保護作用及び保湿作用を有するとともに、滑らかな使用感を有することが知られている。そのため、これら両成分を配合することにより、両作用効果を併せ持つ製剤が期待され、その具体化が望まれている。 しかし、トコフェロールは油分でありシルク末は固形分であるため、外用液剤とする場合、経時的に成分が分離、沈降するという問題があった。 上記の問題の解決にあたり、トコフェロールの分散を目的として、トコフェロールとオリーブ油等の油脂との混和物を界面活性剤により乳化させ、生じる乳化粒子を液剤中に分散させる方法が知られている。しかし水分の補給を目的とする外用液剤において油脂を配合すると、適用時に皮膚表面が油脂で覆われ、水分の皮膚中への移行を妨げることから、油脂の配合は好ましくない。 また、シルク末の分散方法としては増粘剤を用いる方法が一般的である。しかしながら、増粘剤によりシルク末を分散させても、油分であるトコフェロールは水と分離してしまうという問題があった。 また、乾燥肌、シワ、肌荒れの改善を目的として加水分解シルク蛋白質及び海藻抽出物を含有する皮膚外用剤(特許文献1)が開示され、具体的には加水分解シルク蛋白質水溶液、カルボキシビニルポリマー及び水を含有した化粧水やトコフェロール、加水分解シルク蛋白質水溶液、水素添加大豆リン脂質、カルボキシビニルポリマー及び水を含有した水中油乳化型クリームが挙げられている。しかし、加水分解シルク蛋白質は、シルク末とは異なるものである。特開2003−176218号公報 本発明は、トコフェロールおよびシルク末を含有し、使用感に優れ、かつ分離や沈降が生じない経時的に安定な分散状態を有する外用液剤を得ることを課題とする。 上述の課題を解決すべく種々検討した結果、トコフェロール、シルク末及び82〜99重量%の水を含有する外用液剤にリン脂質及びキサンタンガムを含有させることにより、使用感に優れ、製剤として安定な分散状態を有する外用液剤が得られることを見出した。 すなわち、本発明は、トコフェロール、シルク末、リン脂質、キサンタンガム及び水を含有し、水の含有量が82〜99重量%である外用液剤を提供するものである。別の観点からは、水を含有する外用液剤にトコフェロール及びシルク末を安定に分散させる方法であって、前記外用液剤にリン脂質及びキサンタンガムを配合し、かつ水の含有量を82〜99%とすることを特徴とする方法を提供するものである。 本発明により、これまで困難であったトコフェロールおよびシルク末を液剤中に安定に分散させることが可能となった。 本発明の外用液剤は、トコフェロール、シルク末、リン脂質、キサンタンガム及び水を含む水性液剤である。 本発明においてトコフェロールとは、トコフェロール、トコフェロール誘導体及びそれらの塩を含むものである。例えば、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール、d−α−酢酸トコフェロール、dl−α−酢酸トコフェロール、dl−α−ニコチン酸トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、コハク酸d−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等が挙げられる。トコフェロールの配合量は、外用液剤全量に対して0.01〜2重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜1重量%であり、特に好ましくは0.05〜0.5重量%である。2重量%を超えるとベタツキを生じ使用感が悪くなり、0.01重量%未満であると、抗酸化作用及び血行促進作用等の有効成分としての効力を得るために多量の塗布が必要となることがあるため、上記の範囲が好ましい。 本発明においてシルク末とは、家蚕の繭から得られる絹繊維を構成する非水溶性の蛋白質の粉末であり、フィブロインを主成分とする。シルク末としては、例えば(市販品として)、シルクゲンGパウダー(一丸ファルコス)、シルクIDパウダーK−50(出光石油化学)が挙げられる。また、本発明でいうシルク末は表面を修飾して様々な付加効果を持たせたものであってもよい。例えば(市販品として)、シルクIDパウダーA−705(出光石油化学)、シルクIDパウダーS−702(出光石油化学)、シルクIDパウダーL−710(出光石油化学)が挙げられる。シルク末配合量は、液剤全量に対して0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%であり、特に好ましくは0.3〜5重量%である。10重量%を超えると粉末由来の乾いた感触が強くなり潤い感が低下し、0.01重量%未満であると効力を得るために多量の塗布が必要となるためことがあるため、上記範囲が好ましい。 本発明においてリン脂質とは、リン酸残基を含む複合脂質であって、天然リン脂質、合成リン脂質、天然由来のリン脂質を水素添加処理した水素添加リン脂質等が挙げられる。 天然リン脂質としては、例えばホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチン、大腸菌等の微生物から抽出されるリン脂質等が挙げられる。市販品としてはCOATSOME NC−50(NOF)、presome(日本精化)等がある。 合成リン脂質としては、例えばジオレオイルホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、パルミトイル・オレオイルホスファチジルコリン等が挙げられる。市販品としてはCOATSOME MC−2020、COATSOME MC−4040、COATSOME MC−6060、COATSOME MC−8080、COATSOME MC−8181、COATSOME MC−6081(NOF)等がある。 水素添加リン脂質としては、例えば水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、水素添加ホスファチジルコリン、水素添加ホスファチジルセリン等が挙げられる。市販品としてはレシノール S−10、レシノール S−10E、レシノール S−10M、レシノール S−10EX、レシノール S−PIE(日光ケミカルズ)、COATSOME NC−21(NOF)、Phospholipon100H、Phospholipon90H、Phospholipon80H、Phospholipon90G(Phospholipid)等がある。 これらのリン脂質の中では、水素添加リン脂質が好ましい。具体的には、水素添加ホスファチジルコリン含有量が70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の水素添加リン脂質が好ましい。水素添加ホスファチジルコリンは、水性外用液剤の粘度を高め、安定な分散状態が得られる点で好ましい。 本発明において、リン脂質は1種又は2種以上を組み合せて使用することができる。リン脂質の配合量は、外用液剤全量に対して0.01〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2重量%であり、特に好ましくは0.3〜1重量%である。5重量%を超えるか、あるいは0.01重量%未満では、トコフェロールの安定な分散効果が得られないことがある。 本発明においてキサンタンガムとは、澱粉等の炭水化物をキサントモナス属菌等の微生物を用いた発酵により得られる多糖類である。キサンタンガムとしては、精製、乾燥及び粉末化した市販品、例えばケルトロール、ケルトロールT、ケルトロールF、ケルザン、ケルザンS(Kelco Biopolymer)、ネオソフトXC、ネオソフトXS(太陽化学)、サンエース(三栄源エフエフアイ)等が挙げられる。キサンタンガムの配合量は、外用液剤全量に対して0.005〜1重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5重量%であり、特に好ましくは0.1〜0.4重量%である。1重量%を超えるとヨレ、ベタツキが強く使用感が悪くなり、0.005重量%未満であると目的とする分散効果が得られないことがある。 本発明に用いられる水の配合量は他の配合剤の量に合わせて調整されるが、外用液剤全量に対して82〜99重量%が好ましく、より好ましくは85〜98重量%であり、特に好ましくは90〜96重量%である。99重量%を超えるとトコフェロールまたはシルク末の効果を得ることが困難となり、82重量%未満であると皮膚に十分な潤いを与えることができないことがある。 なお、ここでいう外用液剤とは、皮膚に適用される液剤をいい、例えば、皮膚において不足した水分を補給し、潤った皮膚状態を保つ目的で使用されるものが挙げられる。本発明の外用液剤がこのような用途に用いられる場合には、本発明の必須成分以外の油分は配合しないことが好ましい。しかし、本発明の効果を損わない限り、少量の油分を含んでいてもよい。 本発明の外用液剤は、トコフェロール以外の有効成分、中和剤、保存剤、安定化剤及び湿潤剤等を含有することが可能であるが、含有されていなくてもよい。また含有可能なものは、これらに限定されるものではない。 トコフェロール以外の他の有効成分としては、グリチルリチン酸のカリウム塩或いはアンモニウム塩等の抗炎症剤、掻痒の治療に用いられる塩酸ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン剤、ピオニン等の抗にきび剤、アスコルビン酸またはアスコルビン酸誘導体等の美白剤、ヒアルロン酸、アルゲコロイド、トレハロース等の保湿剤等が挙げられる。 中和剤としては、クエン酸、リン酸、酒石酸、乳酸などの有機酸、塩酸などの無機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等などの水酸化アルカリ、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどのアミン類等が挙げられる。 保存剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類、塩化ベンザルコニウム等があげられる。 安定化剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸等が挙げられる。 湿潤剤としては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。 本発明の外用液剤のpHは、製剤の分離安定性及び皮膚刺激性等の点から、通常pH4〜8が好ましく、より好ましくはpH5.5〜6.5である。 本発明の外用液剤の粘度は、0.05Pa・s〜1Pa・sが好ましく、より好ましくは0.1Pa・s〜0.5Pa・sである。0.05Pa・s未満ではシルク末及びリン脂質微粒子が沈降することがある。また、1Pa・sをこえると流動性が低下し、延びが悪くなることがある。粘度は例えばコーンプレート型回転粘度計AR1000−N(TAインストルメント)により測定できる。 本発明の外用液剤は、通常の方法で製造できるが、例えば、リン脂質及びトコフェロールを多価アルコール中で80℃以上に加温し、完全に溶解させた後、水と均一になるまで混合し、更にシルク末およびキサンタンガムを添加し、均一になるまで混合することで調製できる。 以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。〔実施例1〕 酢酸トコフェロール0.2gおよび水素添加大豆リン脂質0.5g(Phospholipon90H:Phospholipid)を5gの1,3−ブチレングリコールに加え、80℃でよく攪拌、混合した。この溶液に精製水30gを加えてよく攪拌、混合した(調製液A)。 キサンタンガム(ケルトロール:Kelco Biopolymer)0.28g、エデト酸ナトリウム0.01g、パラオキシ安息香酸メチル0.1gを精製水60gに加え、よく攪拌、混合した。この溶液をよく攪拌、混合した後、調製液Aおよびシルク末(シルクゲンGパウダー:一丸ファルコス)0.5gを加え、よく攪拌、混合後、減圧下で脱泡を行い、水を加えて総量100gとして水性外用液剤を得た。〔比較例1〜5〕 実施例1と同様の方法にて、表1に示す成分を用いて、比較例1〜5の外用液剤を得た。実施例1及び各比較例で用いた各々の増粘剤は、同じ粘度(約0.3Pa・s)になるように配合量を調整した。尚、比較例3のアルギン酸ナトリウムは、キミカアルギンI−S(キミカ)、比較例4のヒドロキシエチルセルロースは、HEC CF−Y(住友精化)、比較例5のヒドロキシプロピルメチルセルロース2208は、メトローズ90SH−15000(信越化学工業)を用いて製造した。〔試験例〕 調製した製剤の外観安定性を検討するために実施例1及び比較例1〜5の各製剤をガラスビンに充填し、40℃で1週間後、2週間後及び2ヵ月後、60℃で1週間後の保存後の外観変化(分離または沈降)の有無を確認した。外観変化が認められないものを○、外観変化が認められたものを×で示した。 また、粘度はコーンプレート型回転粘度計AR1000−N(TAインストルメント)を用いて次の条件により測定した。アダプター:6cm、2°プレート、20℃、ずり応力2Pa。 トコフェロール、シルク末及び水を含有する外用液剤にリン脂質を配合しない場合(比較例1)、調製直後の製剤において分離(トコフェロール)が認められた。また、キサンタンガムを配合しない製剤(比較例2)は、調製直後にシルク末の沈降が認められた。 また、アルギン酸ナトリウム(比較例3)、ヒドロキシエチルセルロース(比較例4)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(比較例5)等のキサンタンガム以外の高分子を使用して粘度を約0.3Pa・sに調整したが、いずれの結果も40℃1週間または、60℃で1週間保存後に外観変化が認められ、安定性が悪かった。 しかし、トコフェロール、シルク末及び水を含有する外用液剤にリン脂質及びキサンタンガムを配合した製剤(実施例1)は、60℃1週間保存後または40℃2ヵ月保存後でも外観変化が認められず、良好な安定性を示すものであった。 なお、実施例1の使用感を評価したところ、さらさら感およびしっとり感が付与され、さらに良好な使用感も得られた。トコフェロール、シルク末、リン脂質、キサンタンガム及び水を含有し、水の含有量が82〜99重量%である外用液剤。 水を含有する外用液剤にトコフェロール及びシルク末を安定に分散させる方法であって、トコフェロール及びリン脂質を水と混合し混合液を得る工程、および前記工程で得られた混合液と、シルク末と、キサンタンガムとを混合する工程を含み、かつ水の含有量を前記外用液剤中82〜99%とすることを特徴とする方法。


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