タイトル: | 公開特許公報(A)_体脂肪減少促進剤 |
出願番号: | 2004332941 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 35/56,A23L 1/304,A23L 1/307,A61P 3/04,A61P 3/06 |
庄野 正行 原田 永勝 JP 2006143614 公開特許公報(A) 20060608 2004332941 20041117 体脂肪減少促進剤 国立大学法人徳島大学 304020292 庄野 正行 原田 永勝 A61K 35/56 20060101AFI20060512BHJP A23L 1/304 20060101ALI20060512BHJP A23L 1/307 20060101ALI20060512BHJP A61P 3/04 20060101ALI20060512BHJP A61P 3/06 20060101ALI20060512BHJP JPA61K35/56A23L1/304A23L1/307A61P3/04A61P3/06 4 3 OL 9 4B018 4C087 4B018MD04 4B018MD75 4B018ME01 4C087AA01 4C087AA02 4C087BB16 4C087CA01 4C087MA52 4C087NA14 4C087ZA70 4C087ZC33 本発明は、真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を有効成分として含有する、体脂肪減少促進剤及び体脂肪減少効果を有する食品に関する。更に詳しくは、体脂肪減少促進作用を発揮し、ダイエット剤及び抗肥満剤として有用な医薬品並びにダイエット食品及び抗肥満食品に関する。 近年、ライフスタイルの変化により、先進国では肥満人口が年々増加し、深刻な社会問題となっている。肥満は、生活習慣病であると同時に高脂血症、高血圧、糖尿病等の生活習慣病を引き起こす危険因子であり、肥満人口の増加に伴い、肥満に起因する生活習慣病の患者も急増している。 肥満とは、体脂肪が体内に過剰蓄積した状態をいい、脂肪の付き方により、皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満に分類される。とくに皮下組織に脂肪がつく皮下脂肪型肥満に比べ、内臓周辺に脂肪がつく内臓脂肪型肥満の方が、高脂血症、高血圧、糖尿病等の生活習慣病を併発する人も多く、これらが重なると、心筋梗塞や脳梗塞等の動脈硬化性疾患を引き起こす危険性も高くなる。 体脂肪を減少させる方法としては、食事療法と運動療法の併用が一般的であるが、過度の食事制限は健康を害する恐れがあり、リバウンドを起こしやすいといった問題もある。また、運動によるエネルギー消費は大きいものでなく、脂肪が燃焼し始めるには最低でも20分間の運動が必要であり、これを継続的に実施しなければならず、運動により体脂肪を減少させるのは容易ではない。また、薬物療法も行われているが、抗肥満薬は医薬品であるため、誰にでも使用できるというわけではなく、また副作用のあるものや、その効果が疑わしいものもあり、未だ満足のいく抗肥満薬は開発されていない。 一方、真珠や真珠層の粉末は、美容や健康に良いことが知られており、古くから食用やまた化粧品に応用されている。特に、真珠層はその組成の約93%が炭酸カルシウムであることから、カルシウム不足に対するカルシウム補給剤として、広く市場に出回っている。また、真珠粉末が、急激な血糖の上昇を防止する作用を有し、抗糖尿病剤として有用であることが報告されている(特許文献1参照)。 更に、真珠層に含まれる硬質蛋白質であるコンキオリン又はその加水分解物については、化粧品や皮膚外用剤として、保湿性、皮膚疲労の早期回復、色素漂白、皮膚の老化防止、小皺防止、つや出し、抗炎症作用等の作用効果が報告されている(例えば、特許文献2〜5参照)。また、食品として、老化防止、抗酸化、ヒスタミン抑制作用、肝機能を正常に保つ肝機能改善作用等の作用効果が報告されている(例えば、特許文献6〜8参照)。しかしながら、真珠層又はコンキオリンに体脂肪を減少する作用があることは知られていない。特開2003−292447号公報特公平1−46486号公報特開昭62−153210号公報特開平6−211640号公報特開平6−228003号公報特開平6−211625号公報特開平8−173091号公報特開2003−24008号公報 上述したように、肥満症患者、肥満症に陥る可能性のある肥満予備軍は増え続けており、また健康な人でも、ダイエットやスポーツ能力の向上が目的で、体脂肪の減少を望む人は多い。しかしながら、体脂肪を減少させる手段として、食事療法や運動療法の継続的な実施は容易ではなく、また有効な体脂肪減少効果を有する医薬品もないのが現状である。 従って、本発明の目的は、無理な食事制限をすることなく体脂肪を減少させることができる、抗肥満剤及びダイエット剤として有用な体脂肪減少促進剤、並びにこれらの機能を発揮する食品及び医薬品を提供することにある。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を日常的に有効量摂取することにより、体脂肪が著しく減少することを見いだし、本発明を完成した。 すなわち、本発明は以下の(1)〜(4)に記載のものを提供する。 (1)真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を有効成分として薬効を奏する量、含有する体脂肪減少促進剤。 (2)真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を有効成分として薬効を奏する量、含有するダイエット剤又は抗肥満剤。 (3)真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を有効成分として体脂肪減少を生じる量、含有する食品。 (4)真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を有効成分として抗肥満効果を生じる量、含有するダイエット食品又は抗肥満食品。 本発明の体脂肪減少促進剤を摂取することで、体脂肪を容易に且つ効率良く減少させることができる。 よって、本発明の体脂肪減少促進剤は、従来のように食事療法や運動療法を実施しなくても、効果的に体脂肪、特に内臓脂肪を減少させることができるため、肥満症の治療剤や予防剤、健康な人における痩身目的のダイエット剤として非常に有用である。また、スポーツ能力の向上を目的として使用することも可能である。また、脂肪肝の治療剤や予防剤としても使用できる。更に、本発明の体脂肪減少促進剤は、肥満を改善または予防することにより、肥満に起因する生活習慣病、具体的には、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化性疾患(心筋梗塞・脳梗塞・狭心症)、高尿酸血症、高尿酸血症、痛風、脂肪肝等を改善又は予防できるという非常に優れた効果を発揮する。 また、本発明の体脂肪減少促進剤は、内臓脂肪だけでなく血中中性脂肪も著しく減少させることができるため、高中性脂肪血症や動脈硬化の治療剤又は予防剤としても有用である。 なお、本発明の体脂肪減少促進剤に含有される真珠層を有する貝殻の粉末及び真珠層粉末は、天然のものであり、カルシウム剤等の健康補助食品として摂取され続けてきたものである。従って、安全性が高く副作用の危険性がないため、長期間摂取することが可能である。更に、医薬品としてだけでなく、特定保健用食品や健康食品等の食品として日常的に容易且つ継続的に摂取することが可能である。 また、真珠の養殖に使用されたアコヤ貝等の貝殻や、その他食用に養殖されたアワビ等の貝殻は、産業廃棄物として大量に廃棄されており、環境問題の点から、これら貝殻の有効活用が求められていた。本発明の体脂肪減少促進剤は、有効成分に産業廃棄物として廃棄されていたれたアコヤ貝等の貝殻を使用するため、産業廃棄物の活用による地球環境の改善に貢献できるという優れた効果を有する。 本発明は、体脂肪を減少させる医薬品及び食品の有効成分として真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を用いるものである。真珠層の成分は貝殻とほぼ同じで、主成分は炭酸カルシウムであり、他に真珠層だけに含有されるコンキオリンアミノ酸と、ナトリウム・マグネシウム・カリウム・鉄・亜鉛等の微量元素を含んでいる。 本発明に用いられる真珠層を有する貝殻の粉末としては、例えば、アコヤ貝、白蝶貝、黒蝶貝、マべ貝、イケチョウ貝、ドブ貝、アワビ貝等の内面に真珠層を有する貝殻を粉末化したものを用いることができる。これら貝殻の粉末は、貝殻に付着した不純物を除去し、乾燥させた後、ボールミル、ジェットミル、ミキサー等を使用して粉砕化することにより得られる。 本発明に用いられる真珠層粉末としては、真珠や上述した真珠層を有する貝殻から取り出された真珠層を粉末化したものが使用される。真珠においては、装飾品として商品価値のないような、いわゆるクズ真珠を核と真珠層に分け、真珠層のみを取り出して粉末化したものが使用できる。また、養殖真珠の場合、核としてドブ貝等の貝殻を削って作った丸い珠を使用する場合が多く、このように核が貝殻である場合は、成分がほぼ同じであるため核を除かずに真珠をそのまま粉末化して使用することもできる。真珠層を有する貝殻から真珠層を取り出し、粉末化する方法としては、特に限定されず、例えば特公平6−43320号、特開2002−338430号等に記載の方法を利用することにより真珠層粉末を得ることができる。 真珠層を有する貝殻の粉末及び真珠層粉末の粒子径は、特に限定されるものではないが、胃腸での消化吸収を考慮すると平均粒子径が3μm以下であることが好ましい。 本末明の有効成分である真珠層を有する貝殻の粉末及び真珠層粉末として、市販されている真珠粉末、真珠層粉末、真珠貝粉末、これらの混合粉末等を使用することもできる。例えば、カルシウム不足に対するカルシウム補給製品として市販されているベタカルク(御木本製薬株式会社)を用いることができる。ベタカルクは真珠層及び真珠貝を、高圧ジェット気流式超微粉砕機で平均粒子径が0.2μmまで微粉末化した後、焼成して得られた製品である。 本発明の体脂肪減少促進剤は、真珠層を有する貝殻粉末及び/又は真珠層粉末を有効成分として含有するものであり、体脂肪、特に内臓脂肪及び血中中性脂肪を効果的に減少できるという優れた効果を奏する。従って、本発明の体脂肪減少促進剤は、肥満症の治療剤や予防剤、健康な人における痩身目的のダイエット剤として投与できる他、高中性脂肪血症や動脈硬化の治療剤又は予防剤として投与することも可能である。その投与形態としては、安全に効果的に投与することができれば特に限定されるものではないが、簡便であるという点から経口投与が好ましい。 本発明の体脂肪減少促進剤は、有効成分である真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末をそのまま、又は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、乳剤、懸濁剤、丸剤、トローチ剤、チュアブル剤等の形態に製剤化することもできる。このような形態に製剤化するには、常法にしたがい、充填剤、結合材、増量剤、崩壊剤、分散剤、賦形剤等の公知の医薬品担体を用いて製剤化することができる。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を用いることもできる。 次に、本発明の体脂肪減少効果を生じる食品について述べる。本発明の体脂肪減少食品とは、真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を有効成分として含有する食品であり、体脂肪、特に内臓脂肪及び血中中性脂肪を効果的に減少できるという優れた効果を奏する。従って、体脂肪減少による、抗肥満、ダイエット、抗高中性脂肪血症、抗動脈硬化等の効果を目的とした食品、特定保健用食品、機能性食品、栄養補助食品、健康食品等として、日常的に摂取することでその効果を発揮することができる。 本発明の体脂肪減少効果を生じる食品は、一般の食品に真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を添加することにより容易に製造することができる。真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を含有させる食品としては、体脂肪減少効果を有する限り特に限定されないが、例えば、米飯類、麺類、パン、豆腐等の豆製品、ハム・ソーセージ等の加工肉製品、カマボコ・チクワ等の水産練り製品、クッキー・チョコレート・キャンディー等の菓子類、ジュース・お茶・コーヒー等の飲料、乳製品、調味料等が利用できる。 また、真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末の一般の食品中への含有量は、特に限定されないが、各種食品の特性、嗜好性、摂取量等を考慮し、菓子類、健康食品には約5重量%〜約15重量%程度、その他、乳製品、加工肉製品等には約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%であり、各種食品や目的に合わせて適宜配合すればよい。 更に、本発明の体脂肪減少効果を生じる食品は、真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末をそのまま、又は、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料等と混合し、サプリメントとして摂取することもできる。その形態としては、粉末剤、顆粒剤、ペレット剤、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤等が上げられる。 本発明の有効成分である真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を、医薬品又は食品として経口投与又は摂取する場合の量は、投与される者の年齢、体重、疾患、症状、投与方法等によって異なるが、通常、成人(60kg)当たり、約1g/1日〜約15g/1日、好ましくは3g/1日〜6g/1日であり、これを1日1回又は数回に分けて摂取する。 また、本発明の体脂肪減少促進剤及び体脂肪減少効果を生じる食品は、ヒト以外にも、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ウシ、サル等の哺乳動物に対して利用することができる。 以下、実施例を上げて本発明の体脂肪減少促進剤について、更に具体的に説明する。但し、本発明は、実施例だけに限定されるわけではない。ベタカルク投与による体脂肪減少効果の確認試験(使用動物) 確認試験にはWistar系オスラットを用いた。8週齢のラット9匹を日本SLCから購入し、9週齢の時点で全てのラットについて体重、体長(鼻先から尾付根まで)を測定、記録した。その後各値が均等になるよう、ラットを2群(コントロール群5匹及びベタカルク投与群4匹)に分けた。(試験食投与) 基本飼料として、市販のラット粉末飼料(オリエンタル酵母工業株式会社 標準飼料 MF 360kcal/100g)(組成は下記に示すとおり)を使用し、コントロール群には基本飼料をそのまま、ベタカルク投与群には基本試料にベタカルク(御木本製薬株式会社)(主要成分は下記に示すとおり)を5%(重量)添加したものを与えた。下記に示したようにベタカルクの主要成分はカルシウムとコンキオリンアミノ酸であり、基本試料中のカルシウム含量が1.15%であるのに対し、ベタカルク飼料中のカルシウム含量は2.2.9%であり、またベタカルク飼料中にはコンキオリン蛋白質が0.11%、更にその他微量成分が含有されている。試験食投与期間は39日間とし、投与期間中は実験食、水ともに自由摂取とした。標準飼料 MFの組成: 水分 7.7重量% 粗蛋白質 23.6重量% 粗脂質 5.3重量% 粗灰分 6.1重量% 粗繊維 2.9重量% 可溶性無窒素物 54.4重量%ベタカルクの主要成分: コンキオリン蛋白質 2.2% カルシウム 38g/100g ナトリウム 397mg/100g マグネシウム 163mg/100g カリウム 4.02mg/100g 鉄 3.7mg/100g 亜鉛 6.9ppm 鉛 1.0ppm 銅 0.8ppm マンガン 14.2ppm(解剖・体脂肪の測定) 試験食投与39日目の体重、体長および摂食量の測定後、ラット尾から微量の血液を採取し、血糖値を測定した(株式会社三和化学研究所、グルテストセンサー)。その後ラットをジエチルエーテルにて麻酔、開腹した。腹部大動脈からの採血(脱血)後、心臓、ヒラメ筋(後肢骨格筋)及びヒフク筋(後肢骨格筋)を取り出し、それぞれ重量を測定した。また、副睾丸周囲脂肪、後腹膜脂肪及び腸間膜脂肪を取り出し、それぞれ重量を測定後、その総和を内臓脂肪合計重量とした。採取した血液はへパリンナトリウムと混合後、遠心分離し、その上清(血漿)を血中脂質検査に用いた。血漿中の中性脂肪量はトリグリセライドE−テストワコー(和光純薬工業株式会社)を用いて測定した。血漿中の総コレステロール量はコレステロールE−テストワコー(和光純薬工業株式会社)を用いて測定した。結果を以下に示す。(結果)1.体重、摂食量及び摂取熱量 試験食投与期間中、ラットの体重及び試験食の摂食量を1日又は2日ごとに測定、記録した。その結果を図1に示す。図1において、Aはマウスの体重、Bは試験食摂取量、Cは試験期間中の合計摂取熱量をそれぞれ示している。なお、測定結果は平均値±標準偏差で表し、2群間の数値比較はStudent’s t−testにより有意差検定を行い、p値<0.05を有意と判定した。図中、*を付した数値は、p<0.05の有意差が認められた。 試験食投与開始時点(投与日数:0日)の体重は、コントロール群とベタカルク投与群の2群間で差は認められなかった(図1−A)。しかし、試験食投与開始後、ベタカルク投与群の体重はコントロール群に比べ低値を示すようになり、投与39日目には大幅な低下が認められた。一方、実験食投与期間中の摂食量はコントロール群とベタカルク投与群の2群間で差は認められず(図1−B)、摂取熱量(39日間合計)も2群間でほぼ同じ値であった(図1−C)。2.体長及び筋組織重量 図2−Aは、試験食投与開始時点(投与日数:0日)と試験食投与終了時点(投与日数:39日)におけるラットの体長(鼻−尾付根)を示したグラフである。また、図2−Bは、試験食投与終了時点(投与日数:39日)での、筋組織重量(心臓・ヒラメ筋・ヒフク筋)を示したグラフ図である。なお、測定結果は平均値±標準偏差で表し、図2−Bにおいては、コントロール群の値(平均値)をそれぞれ100%とし、それに対する相対値(%)で示した。また括弧内に絶対値の平均値を示した。2群間の数値比較はStudent’s t−testにより有意差検定を行い、p値<0.05を有意と判定した。 実験食投与開始時点及び試験食投与終了時点で、ラットの体長はコントロール群とベタカルク投与群の2群間に差は認められなかった(図2−A)。また、試験食投与終了時点での心臓、ヒラメ筋、ヒフク筋それぞれの重量にも2群間で差は認められなかった(図2−B)。3.内臓脂肪重量 図3は、試験食投与終了時点(投与日数:39日)での、内臓脂肪重量を示したグラフ図であり、図中、Aが副睾丸周囲の脂肪重量、Bが後腹膜の脂肪重量、Cが腸間膜の脂肪重量、Dが内臓脂肪合計(A、B及びCの合計)を示す。なお、測定結果は平均値±標準偏差で表し、2群間の数値比較はStudent’s t−testにより有意差検定を行い、p値<0.05を有意と判定した。 試験食投与終了時点で、ベタカルク投与群の副睾丸周囲脂肪、後腹膜脂肪重量はコントロール群に比べ有意に減少していた。また、腸間膜脂肪量も有意差は認められなかったものの減少傾向を示し(p値=0.07)、内臓脂肪合計重量はベタカルク投与群で有意に低値を示した(図3)。4.血液生化学データ 図4は、試験食投与終了時点(投与日数:39日)での、血液生化学データ(血糖・中性脂肪・総コレステロール)を示したグラフ図である。血液生化学データの検査方法は、上述した通りである。なお、測定結果は平均値±標準偏差で表し、2群間の数値比較はStudent’s t−testにより有意差検定を行い、p値<0.05を有意と判定した。 試験食投与終了時点で、ベタカルク投与群の血漿中性脂肪値はコントロール群に比べ59%の減少が認められた(p値<0.001)。一方、血糖値及び血漿総コレステロール値は、コントロール群とベタカルク投与群の2群間に差は認められなかった(図4)。 上述した結果に基づき、真珠層及び真珠貝の超微細粉末であるベタカルクの投与は、内臓脂肪量及び血中中性脂肪値を大きく減少させるが、ラットの体長や筋組織量は変化させないという知見を得た。このことから、ベタカルクには、体脂肪、特に内臓脂肪と血中中性脂肪を特異的に減少させる作用があると判定された。 本発明の体脂肪減少促進剤は、体脂肪、特に内臓脂肪及び血中中性脂肪を減少させることができるため、肥満症の治療剤や予防剤、健康な人における痩身を目的としたダイエット剤、高中性脂肪血症・動脈硬化・脂肪肝の治療剤又は予防剤、更には、肥満に起因する生活習慣病、具体的には、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化性疾患(心筋梗塞・脳梗塞・狭心症)、高尿酸血症、高尿酸血症、痛風、脂肪肝等の治療剤又は予防剤として利用できる。また、スポーツ能力の向上を目的として使用することもできる。 更に、本発明の有効成分として含有される真珠層を有する貝殻の粉末及び真珠層粉末は、安全性に優れ、長期間摂取することが可能であるため、医薬品としてだけでなく、特定保健用食品、機能性食品、栄養補助食品、健康食品等の食品として日常的に容易に摂取することが可能である。図1は、コントロール群とベタカルク投与群の2群間における、ラットの体重(A)、摂食量(B)及び合計摂取熱量(C)を比較したグラフ図である。図2は、コントロール群とベタカルク投与群の2群間における、ラット体長(A)及び筋組織重量(B)を比較したグラフ図である。図3は、コントロール群とベタカルク投与群の2群間における、試験食投与終了時点での内臓脂肪重量を比較したグラフ図であり、図中、Aが副睾丸周囲の脂肪重量、Bが後腹膜の脂肪重量、Cが腸間膜の脂肪重量、Dが内臓脂肪合計(A、B及びCの合計)を示す。図4は、コントロール群とベタカルク投与群の2群間における、試験食投与終了時点での血液生化学データを比較したグラフ図である。真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を有効成分として薬効を奏する量、含有する体脂肪減少促進剤。真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を有効成分として薬効を奏する量、含有するダイエット剤又は抗肥満剤。真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を有効成分として体脂肪減少を生じる量、含有する食品。真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を有効成分として抗肥満効果を生じる量、含有するダイエット食品又は抗肥満食品。 【課題】過度な食事制限をすることなく、体脂肪を減少させることができ、肥満の改善や予防、ダイエットに有効な体脂肪減少促進作用剤、並びに体脂肪減少効果を生じる食品及び医薬品を提供する。【解決手段】真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を有効成分として薬効を奏する量、含有する体脂肪減少促進剤。また、真珠層を有する貝殻の粉末及び/又は真珠層粉末を有効成分として体脂肪減少効果を生じる量、含有する食品。【選択図】図3