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タイトル:特許公報(B2)_メイラード反応生成物による金属錯体の製造方法
出願番号:2004327198
年次:2010
IPC分類:C07H 1/00,C07F 1/08,C07F 3/02,C07F 3/06,C07F 11/00,C07F 13/00,C07F 15/02,A23L 1/304,A61K 33/06,A61K 33/26,A61K 33/30,A61K 33/32,A61K 33/34,A61P 3/02


特許情報キャッシュ

セルゲイズ,トゥルソフス JP 4511318 特許公報(B2) 20100514 2004327198 20041111 メイラード反応生成物による金属錯体の製造方法 ジェイエイチ バイオテック,インコーポレーティッド. 503414016 小野 由己男 100094145 堀川 かおり 100117422 セルゲイズ,トゥルソフス US 10/605987 20031112 20100728 C07H 1/00 20060101AFI20100708BHJP C07F 1/08 20060101ALI20100708BHJP C07F 3/02 20060101ALI20100708BHJP C07F 3/06 20060101ALI20100708BHJP C07F 11/00 20060101ALI20100708BHJP C07F 13/00 20060101ALI20100708BHJP C07F 15/02 20060101ALI20100708BHJP A23L 1/304 20060101ALN20100708BHJP A61K 33/06 20060101ALN20100708BHJP A61K 33/26 20060101ALN20100708BHJP A61K 33/30 20060101ALN20100708BHJP A61K 33/32 20060101ALN20100708BHJP A61K 33/34 20060101ALN20100708BHJP A61P 3/02 20060101ALN20100708BHJP JPC07H1/00C07F1/08C07F3/02C07F3/06C07F11/00 AC07F13/00 AC07F15/02A23L1/304A61K33/06A61K33/26A61K33/30A61K33/32A61K33/34A61P3/02 C07H 1/00 C07F 1/08 C07F 3/02 C07F 3/06 C07F 11/00 C07F 13/00 C07F 15/02 A23L 1/304 A61K 33/06 A61K 33/26 A61K 33/30 A61K 33/32 A61K 33/34 A61P 3/02 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 米国特許第03014026(US,A) 米国特許第06197815(US,B1) RENDLEMAN,J.A. et al,The influence of copper(2+) in the Maillard reaction,Carbohydrate Research,1990年,Vol.201, No.2,p.311-26 FALLICO,B. et al,Effect of Hexanal and Iron on Color Development in a Glucose/Phenylalanine Model System,Journal of Agricultural and Food Chemistry,1999年,Vol.47, No.6,p.2255-2261 O'BRIEN,J. et al,Metal ion complexation by products of the Maillard reaction,Food Chemistry,1996年,Vol.Volume Date 1997, 58, No.1-2,p.17-27 9 2005145965 20050609 12 20060609 瀬下 浩一 本発明は、メイラード反応生成物による金属錯体の製造方法に関する。 ヒト及び動物は、有機配位子によってキレート化された金属を、重要な微量ミネラル源として用いている。ある種の金属イオンは、特に、大量に健康な植物を生産し、植物の成長を刺激する点において有益であり、果実及び野菜の生産を増加させることが知られている。植物、動物及びヒトによる同化は、有機酸を用いた金属キレートの形態が金属塩よりも、より良好であることが一般に認められている。植物、動物及びヒトの組織サンプルは、金属有機酸キレートにさらされた際に金属含量が増加することを示している。 従来から、金属キレートは、金属イオン(通常、可溶性金属塩の形態で)と、(金属イオンの原子価及び配位数に依存して)金属1モルと有機酸1〜3モルのモル比を有する有機酸またはその塩との反応で、配位共有結合を形成することによって製造されている。 アミノ及び他の有機酸キレートは、有機酸と、酸化物、水酸化物又は塩の形態の金属イオンと反応させることによって製造することができる。従来技術では、例えば、アミノ酸キレートは、一般に、金属塩と、1以上のアミノ酸、ジペプチド、ポリペプチド又はタンパク加水分解物配位子とを、アミノ酸キレートを形成するための適当な条件下で反応させることにより形成される。 金属ピコリン酸塩は、金属塩とピコ燐酸塩とを水溶液中で反応させることにより合成することができる。クエン酸カルシウム又はマグネシウムは、クエン酸とカルシウム又はマグネシウム酸化物と、水酸化物又は炭酸塩の水懸濁液のいずれかとの反応によって合成することができる。ヒドロキシクエン酸、マレイン酸、アスコルビン酸、グルコン酸等の他のカルボン酸は、金属塩、複合体及びキレートの製造に用いることができる。 通常、金属塩硫酸鉄と有機酸との反応によって製造される、金属キレートFeEDTA、エチエンジアミノテトラ酢酸 (EDTA)又はそれらのジ−又はテトラナトリウム塩が例示される。 従来例としては、種々の米国特許が挙げられる(特許文献1〜6)。 遊離金属イオンと、アミノ酸又はEDTAのようなキレート化剤との反応によって形成された金属キレートは、製造するのに比較的安価であるが、この方法によって形成された金属キレートの重大な欠点の1つは、その金属キレートが、pH≦11で一般に加水分解することである。従って、これらの金属キレートは、強アルカリの環境において安定でない。 また、従来から、メイラード反応(MR)と称されるものが認定されている。MRは、熱プロセスの間、還元糖と有効アミノ基との間で、食品中で非酵素的に起こる("Reaction Conditions Influence the Elementary Composition and Metal Chelating Affinity of Nondialyzable Model Maillard Reaction Products", Wijewickreme, Kitts, Durance; J. Agric. Food Chem., 1997, 45, 4577-4583参照)。 MRは、食品の料理中に起こる重要な反応である。その反応は、過酷な又は緩和な加熱条件下及び多くの錯体の化学的中間体を通して起こり得、最後にメラノイジンとして知られる褐色化合物を生成する。メラノイジンは、非水可溶性であることが知られている。 MR生成物(MRP)の形成は、反応条件と、反応糖及びアミノ酸源との双方によって非常に影響されやすい。MRは、食品及び医薬品において、種々の化学的、技術的、物理的及び毒物学の観点から徹底的に研究されている。それらの研究では、MRPは抗酸化防止活性及び抗変異原性を阻害することが報告されている("Mutagenicity of Heated Sugar-Casein Systems: Effect of the Maillard Reaction", Brands, C.M.J., Alink, G.M., Van Boekel, A.J.S., Jongen, W.M.F.; J. Agric. Food Chem. 2000, 48, 2271-2275参照)。 MRは、食品の料理中に起こる一連の自然な化学的変質であることに留意することが重要である。この反応は、それらの不安定さのために、食品の全体的な香味及び味に影響を及ぼす化合物の形成を招く。 MRの化学的性質は、今日の食品科学において重要と考えられている香味、芳香及び色を含む種々の生成物の形成を招く複雑な一連反応として知られている。MRは、非常に複雑な性質ではあるが、 還元炭水化物とアミノ化合物との間の相互作用の第1ステップは、炭水化物分子のカルボニル基とアミノ化合物のアミノ基との反応である。この反応は、アミノ基とカルボキシル基の双方をその分子に含む一次的な、安定な分子生成物の形成を招く("Food browning and Its Prevention: An Overview", M. Friedman, J. Agric. Food Chem. 1996, 44, No.3, 631-653参照)。 MRの過程で形成された生成物の主なグループは、N−置換アルドースアミン、シッフ塩基、アルドシルアミン、ケトースアミン、ジケトースアミン、デオキシシュロース(deoxysulose、3−デオキシ−D−エリスロ−2−ヘキソシュロース又はD−アラビノ−2−ヘキソシュロース)、メラノイジン等である。これらの化合物の化学的性質はよく知られておらず、それらの形成メカニズムは不明なままである。また、一般に、得られた反応混合物は、未知の構造を有する種々の有機化合物の複雑な組成物である。しかし、原料は、主として、a)還元糖(つまり、カルボニル基を有するポリヒドロキシ化合物である)及びb)アミノ基を含む化合物であるため、最終生成物は、多数の酸素及び窒素原子を含む。 当業者において公知のように、最も強力なキレート化剤は、通常、分子中に酸素及び窒素原子のいくつかの官能基を有する有機配位子である。 何千年にもわたって、ヒトにとってのミネラル源は、調理した食品のみであった。Zn、Ca、Mg、Mn、Cu、Fe及びその他のような生命維持に必要で重要なミネラルは、金属グリシン酸塩、ニコチン酸塩、リシン酸塩等の形態においてのみならず、食品の調理で利用される調理過程からも、我々の祖先の体に供給されていた。米国特許第4,315,927号(Evans)米国特許第4,814,177号(Waldorf)米国特許第4,830,716号(Ashmead)米国特許第4,599,152号(Ashmead)米国特許第5,504,055号(Hsu)米国特許第5,516,925号(Pedersen) 上述したように、MRは、糖に存在するカルボニル基とアミノ酸に存在するアミノ基との反応である。MRは、典型的には、糖を含有する野菜と、肉及び魚のタンパク中に認められるアミノ基とを料理する際に起こる。 料理中、高温で加熱することによって、MRPの1タイプと考えられているメラノイジンとして知られる褐色の化合物が生成される。メラノイジンは、食品の熱プロセスにおいて一般的に起こるものであり、生成するのに高温を必要とするために、不溶性である。 一方、カルボニル基とアミノ基との間の反応のうち、可溶性MRPを生成するものが要求されている。 発明者は、他のMRPの種類のもの、つまり、強アルカリの環境において、メラノイジンよりも安定した金属キレートを形成し得る方法を見出した。つまり、キレート化金属を製造する方法を見出し、これによって、アミノ酸と金属化合物との直接的な反応によって形成されたこれらキレートよりも、強アルカリの環境においてより安定なキレート化生成物を提供することができる。 本発明によるキレートは、酸化又は非酸化糖及びそれらのアミノ化合物との相互作用生成物を用いることによって形成することができる。 本発明においては、糖を用いる可溶性金属キレートの製造方法を2種提供する。なお、この製造方法で得られた可溶性金属キレートは、強アルカリの環境において安定である。 ここに記載された方法は、種々の形態の金属を用いることができる。ここでは、用語「金属成分」は、金属塩、金属水酸化物又は金属酸化物等である。 アミノ酸と金属化合物との直接的な反応によって形成されたキレート化金属よりも、強アルカリの環境においてより安定なキレート化生成物を、酸化又は非酸化糖及びそれらのアミノ化合物との相互作用生成物を用いることによって形成することができる。例えば、本発明によれば、強アルカリの環境に存在する植物に対して、溶液状の鉄のような金属を提供することができる。 また、糖を使用することによって、天然で、安価に、キレート化金属錯体の製造用のキレート化剤を製造することができる。非増強メイラード反応 第1の方法は、MRPを形成するために制御された温度条件下、大気圧において、非酸化糖とアミノ基とを十分量で混合する。次いで、金属成分の十分量を加え、その混合物を、十分な時間、水の沸点又はそれ以下の温度で加熱し、キレート化金属の生成物を得る。 この方法では、加熱を利用するが、この加熱は、調理の過程において食品の熱プロセスに主に用いられる高温加熱(つまり、350°Fより高い)よりもかなり低い。本発明の方法で使用される温度は、不溶性のメラノイジンが形成されないか、されたとしても最小限の量となる程度である。増強メイラード反応 酸化糖を用いることによって、酸化を利用しない場合よりも、高いpHにおいて、生成した金属キレートの安定性を増大させることができることを見出した。 有機化合物の酸化において、糖分子における炭素原子の通常の一連の酸化的変化は、 CH2OH → CHO → COOHである。 本発明の方法は、上述したMRで説明された原理を利用する。しかし、酸化工程では、存在するアミノ酸と反応し得る糖分子におけるカルボニル基の収率を高めることを含み、他の形態のMRPを導く。この他のMRPは、金属成分との反応の際、より安定な金属キレートを形成することができる性質を有する。 従来からよく知られているように、酸化は温度臨界である。つまり、温度が低くなると、反応は全く起こらないか、非常に遅くなるであろう。温度が高すぎると、反応は糖分子を破壊するであろう。したがって、好ましくは、酸化の温度範囲は、40〜80℃である。 十分量の過酸化水素は、酸化のための好ましい成分であるが、これを混合物へゆっくり添加して、反応を制御することが好ましい。しかし、さらなるカルボニル基を形成するため、糖の酸化が可能ないかなる成分を用いてもよい。過酸化水素に代えて使用することができる他の酸化性化合物は、次亜塩素酸塩、過ヨウ素酸塩、空気及び酸素を含む。空気又は酸素のいずれかを使用する場合には、それらは、ガス状で供給され、溶液混合物に通じるバブリングを用いることが好ましい。 MRPは、一般に褐色である。このMRPが金属成分と反応することによって、水溶性で、高いpHにおいても沈殿を生じない金属キレートが生成される。 本発明における試験結果では、非増強メイラード反応で形成された生成物のキレートの安定性は、少なくともpH12までであり、増強メイラード反応で形成された生成物のキレートの安定性は、少なくともpH13までである。 従来は、キレート化剤として糖は使用されていなかった。しかし、糖は、通常使用されるヒドロキシカルボン酸キレート化剤よりも、安価な原料であるため、金属キレート化のプロセスにおいて、糖の利用能が非常に望まれる。 従って、本発明によれば、糖を使用することによって、天然で、安価で、キレート化金属錯体の製造用のキレート化剤を製造するための有効な代案を提供する。 本発明によれば、強アルカリの環境に存在する植物に対して、溶液状の鉄のような金属を提供するために、有効かつ安価な生成物を実現可能にする。 本発明を利用することによって、Ca、Mg、Mn、Cu、Zn、Co、Cr、K、Fe及び他の重要な金属の塩、水酸化物又は酸化物を用いた安定なキレートを製造することができる。 糖源は、種々の単糖類及び二糖類、デキトロース、高フルクトース・コーンシロップ、澱粉、マルトデキストリン等を含む。アミノ成分は、グリシン、リシン、グルタミン酸及び他のアミノ酸、ジペプチド、ポリペプチド、プロテイン加水分解物、ミルク固形物、クレーム、卵固形物、ゼラチン、ホエープロテイン等を含む。 以下に本発明を説明するために種々の実施例を示す。 全ての試験において、特に断りのない限り、形成されたキレートの全重量が、実質的に、糖、アミノ基及び金属の合計である。メイラード化鉄I グリシン6.75g、グルコース5.28g及び水80mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を攪拌し、2時間沸騰させた。その後、FeSO4・H2Oを5.1g添加し、混合物を攪拌し、さらに1時間沸騰させてキレート化鉄を得た。 次いで、反応混合物の水分を、真空下、ロータリー・エバポレーターで蒸発させ、乾燥及び粉砕した。 得られた反応生成物(キレート)は、細かい褐色粉末の形態であった。生成物は水溶性であり、少なくともpH12まで、安定なキレート化鉄の性質を有していた。メイラード化鉄II グリシン6.75g、スクロース10.26g及び水80mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を攪拌し、2時間沸騰させた。その後、FeSO4・H2Oを5.1g混合物に添加し、攪拌し、さらに1時間沸騰させてキレート化鉄を得た。 次いで、反応混合物の水分を、真空下、ロータリー・エバポレーターで蒸発させ、乾燥及び粉砕した。 得られた反応生成物(キレート)は、細かい褐色粉末の形態であった。生成物は水溶性であり、少なくともpH12まで、安定なキレート化鉄の性質を有していた。メイラード化鉄III グリシン6.75g、スクロース10.26g及び水80mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を攪拌し、2時間沸騰させた。その後、Fe2O3を2.57g混合物に添加し、攪拌し、さらに1時間沸騰させてキレート化鉄を得た。 次いで、反応混合物の水分を、真空下、ロータリー・エバポレーターで蒸発させ、乾燥及び粉砕した。得られた反応生成物(キレート)は、細かい褐色粉末の形態であった。生成物は水溶性であり、少なくともpH12まで、安定なキレート化鉄の性質を有していた。メイラード化鉄IV グリシン2.25g、スクロース20.52g及び水80mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を攪拌し、2時間沸騰させた。その後、FeSO4・H2Oを5.1g混合物に添加し、攪拌し、さらに1時間沸騰させてキレート化鉄を得た。 次いで、反応混合物の水分を、真空下、ロータリー・エバポレーターで蒸発させ、乾燥及び粉砕した。 得られた反応生成物(キレート)は、細かい褐色粉末の形態であった。生成物は水溶性であり、少なくともpH12まで、安定なキレート化鉄の性質を有していた。メイラード化銅I グリシン6.75g、スクロース10.26g及び水80mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を攪拌し、2時間沸騰させた。その後、CuSO4・5H2Oを7.1g混合物に添加し、攪拌し、さらに1時間沸騰させてキレート化銅を得た。 次いで、反応混合物の水分を、真空下、ロータリー・エバポレーターで蒸発させ、乾燥及び粉砕した。 得られた反応生成物(キレート)は、細かい黒色粉末の形態であった。生成物は水溶性であり、"A Colorimetric Field Test for Metal Complexation in Copper and Zinc Organic Mineral" by Robert A. Holwerda, Ph.D., Department of Chemistry and Biochemistry, Texas Tech University, Lubbock, TX 79409-1061に記載されたHolwerda試験によって証明された強キレート化銅錯体の性質を有していた。メイラード化銅II グリシン2.25g、スクロース20.52g及び水80mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を攪拌し、2時間沸騰させた。その後、CuSO4・5H2Oを7.1g混合物に添加し、攪拌し、さらに1時間沸騰させてキレート化銅を得た。 次いで、反応混合物の水分を、真空下、ロータリー・エバポレーターで蒸発させ、乾燥及び粉砕した。得られた反応生成物(キレート)は、細かい黒色粉末の形態であった。生成物は水溶性であり、上述したHolwerda試験によって証明された強キレート化銅錯体の性質を有していた。メイラード化亜鉛I グリシン6.75g、グルコース5.4g及び水80mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を攪拌し、2時間沸騰させた。その後、ZnOを2.43g混合物に添加し、攪拌し、さらに1時間沸騰させてキレート化亜鉛を得た。 次いで、反応混合物の水分を、真空下、ロータリー・エバポレーターで蒸発させ、乾燥及び粉砕した。 得られた反応生成物(キレート)は、細かい黄褐色粉末の形態であった。生成物は水溶性であり、上述したHolwerda試験によって証明された強キレート化亜鉛錯体の性質を有していた。MRPの合成 以下の2つの試験を行い、高温及び高圧条件で得られた反応物と比較して、大気圧で、水の沸点又はそれよりも低い温度での反応によって、大量の可溶性金属キレートを形成することができることを確認した。これらの2つの試験では、スクロース61.54g、グリシン27g及び水23gと、同量で反応を行った。 第1の試験は、密閉容器において、約120〜125℃、2.5atmで、3時間、定量に付した。反応生成物は、約25mlの黒褐色の液体を含んでおり、反応生成物の残りは、黒褐色のゴム状の塊のようなものである。その表面積を増大させるために、そのゴム状の塊を小片に切断し、次いで、40分間、700mlの水で沸騰させ、褐色のゴム状の塊から水可溶性成分の全てを抽出した。沸騰の後、混合物を冷却し、次いで、濾過した。不溶性の沈殿物の重量は、38.1gであった。 次いで、濾液を、上述した25mlの黒褐色の液体と併せ、ロータリー真空エバポレーターを用いて、水分を蒸発させ、乾燥し、粉砕して褐色粉末を得た。 得られた粉末の総量は約48gであった。この量は、56%の回収率を示した。言い換えると、高温及び高圧条件で得られた水可溶性物質の量は、全固体量の56%の回収率であった。 第2の試験は、同量の反応物を用いて行ったが、大気圧、95〜98℃の温度範囲にて、3時間、定量に付した。反応性生物は、黒褐色の粘稠液の形態で得られた。第1の試験のように、ゴム状の塊は得られなかったため、第1の試験における700mlの水の代わりに、200mlの水を加えた。200mlは粘稠液を希釈するのに十分な量であり、3時間後に、容器に直接加え、混合した。その後、液体混合物を、ろ過したが、沈殿物は得られなかった。 次いで、液体の水分を、ロータリー真空エバポレーターで蒸発させ、乾燥し、粉砕して褐色粉末を得た。得られた水可溶性粉末の総量は約88gであった(これをMRPIと呼ぶ)。このことは、第1の試験に用いられた方法よりも、回収率83%と、改善された結果を示した。メイラード化亜鉛II MRPIを17g、ZnSO4を4.83g及び水を80ml、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を攪拌し、2時間沸騰させてキレート化亜鉛を得た。その後、反応混合物の水分を、ロータリーエバポレーターで真空下、蒸発させ、次いで乾燥させ、粉砕した。 得られた反応生成物は細かい黄褐色粉末の形態であった。反応生成物は、水溶性で、上述したHolwerda試験で証明された強キレート化亜鉛錯体の性質を有していた。メイラード化マグネシウムI グリシン6.75g、スクロース10.26g及び水80mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を攪拌し、2時間沸騰させた。その後、MgO1.2gを混合物に加え、攪拌し、さらに1時間沸騰させてキレート化マグネシウムを得た。次いで、反応混合物の水分を、ロータリーエバポレーターで真空下、蒸発させ、乾燥させ、粉砕した。 得られた反応生成物は細かい黒色粉末の形態であった。反応生成物は、水溶性で、pH12まで安定なキレート化マグネシウムの性質を有していた。メイラード化クロムI グリシン6.75g、スクロース10.26g及び水80mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を攪拌し、2時間沸騰させた。その後、7.99gのCrCl3・6H2Oを混合物に加え、攪拌し、さらに1時間沸騰させてキレート化クロムを得た。次いで、反応混合物の水分を、ロータリーエバポレーターで真空下、蒸発させ、乾燥させ、粉砕した。 得られた反応生成物は細かい褐色粉末の形態であった。反応生成物は、水溶性で、pH12まで安定なキレート化クロムの性質を有していた。メイラード化マンガンI グリシン6.75g、スクロース10.26g及び水80mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を攪拌し、2時間沸騰させた。その後、4.53gのMnSO4を混合物に加え、攪拌し、さらに1時間沸騰させてキレート化マンガンを得た。次いで、反応混合物の水分を、ロータリーエバポレーターで真空下、蒸発させ、乾燥させ、粉砕した。 得られた反応生成物は細かい黒色粉末の形態であった。反応生成物は、水溶性で、pH12まで安定なキレート化マンガンの性質を有していた。 以下は、酸化性糖による増進メイラード反応の例である。メイラード化鉄V 5.1gのFeSO4・H2O、スクロース10.26g、水80mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を連続的に攪拌し、80℃まで、10〜15分間水浴中で加熱した。その後、5mlの30%過酸化水素を反応溶液に加えた。 続いて、2.25gのグリシンを加え、反応混合物を沸騰水浴中で1時間加熱し、キレート化鉄を得た。 その後、反応混合物の水分を、ロータリーエバポレーターで真空下、蒸発させ、次いで乾燥させ、粉砕した。 得られた反応生成物(キレート)は細かい褐色粉末の形態であった。反応生成物は、水溶性で、pH13まで安定なキレート化鉄の性質を有していた。メイラード化鉄VI 14gのFe(OH)3、スクロース25g及び水46mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を連続的に攪拌し、80℃まで水浴中で加熱し、10mlの30%過酸化水素をゆっくり40分間かけて反応溶液に加えた。 続いて、4.7gのグリシンを加え、反応混合物を連続的に攪拌し、沸騰水浴中でさらに1時間加熱し、キレート化鉄を得た。 得られた反応生成物(キレート)は黒緑の粘稠溶液の形態であり、pH13まで安定なキレート化鉄の性質を有していた。メイラード化鉄VII 15.39gのラクトース、0.2gの触媒量のFe(OH)3及び水40mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を連続的に攪拌し、80℃まで水浴中で加熱し、5mlの30%過酸化水素をゆっくり20分間かけてシステムに加えた。 続いて、2.25gのグリシンを反応性生物に加え、攪拌し、さらに1時間加熱してキレート化鉄を得た。 その後、3.01gのFe(OH)3を溶液に加え、連続的に攪拌し、さらに1.5時間加熱し、キレート化鉄を得た。 得られた反応生成物の水分をロータリーエバポレーターで真空下、蒸発させ、次いで乾燥し、粉砕した。 得られた反応生成物(キレート)は細かい褐色粉末の形態であった。反応生成物は、水溶性で、pH13まで安定なキレート化鉄の性質を有していた。メイラード化鉄VIII 3.21gのFe(OH)3、25gの糖蜜及び加水分解ホエープロテイン30gを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を連続的に攪拌し、80℃まで水浴中で加熱した。7mlの30%過酸化水素をゆっくり30分間かけて加え、そのシステムを連続的に攪拌し、80℃でさらに2時間加熱して、キレート化鉄を得た。 得られた反応生成物の水分をロータリーエバポレーターで真空下、蒸発させ、次いで乾燥させ、粉砕した。 得られた反応生成物(キレート)は細かい褐色粉末の形態であった。反応生成物は、水溶性で、pH13まで安定なキレート化鉄の性質を有していた。メイラード化銅III 10.26gのスクロース、0.2gの触媒量のCuSO4・5H2O及び水40mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を連続的に攪拌し、80℃まで水浴中で加熱し、6mlの30%過酸化水素をゆっくり15分間かけてシステムに加えた。続いて、連続的に攪拌し、80℃まで、さらに2時間加熱してキレート化銅を得た。 その後、7.3gのCuSO4・5H2Oを反応性生物に加え、連続的に攪拌し、さらに1時間加熱し、キレート化銅を得た。 得られた反応生成物の水分をロータリーエバポレーターで真空下、蒸発させ、次いで乾燥させ、粉砕した。 得られた反応生成物(キレート)は細かい黒色粉末の形態であった。反応生成物は、水溶性で、"A Colorimetric Field Test for Metal Complexation in Copper and Zinc Organic Minerals." Robert A. Holwerda, Ph.D., Department of Chemistry and Biochemistry, Texas Tech University, Lubbock, TXに記載されたHolwerda試験によって確認された強キレート化銅錯体の性質を有していた。メイラード化銅IV グリシン2.25g、スクロース20.52g及び水80mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を連続的に攪拌し、80℃まで2時間加熱した。その後、7.1gのCuSO4・5H2Oを反応生成物に加え、6mlの30%過酸化水素をゆっくり15分間かけて加え、続いて攪拌し、80℃まで、さらに1時間加熱してキレート化銅を得た。 次に、得られた反応生成物の水分をロータリーエバポレーターで真空下、蒸発させ、次いで乾燥させ、粉砕した。 得られた反応生成物(キレート)は細かい黒色粉末の形態であった。反応生成物は、水溶性で、上述したHolwerda試験によって確認された強キレート化銅錯体の性質を有していた。メイラード化亜鉛III ZnO6.25g、スクロース39.6g、触媒として用いた0.3gのCuSO4・5H2O及び24mlの水を、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を連続的に攪拌し、80℃まで水浴中で加熱し、80℃で、30mlの30%過酸化水素をゆっくり60分間かけて添加した。反応生成物を連続的に攪拌し、80℃まで、さらに1時間加熱し、次いで冷却し、ろ過した。 その後、2.89gのグリシンをろ液に加え、攪拌し、80℃までさらに1時間加熱した。 次に、得られた反応生成物の水分をロータリーエバポレーターで真空下、蒸発させ、次いで乾燥させ、粉砕した。 得られた反応生成物(キレート)は細かい黄褐色粉末の形態であった。反応生成物は、水溶性で、高pHの溶液において安定で、上述したHolwerda試験によって確認された強キレート化亜鉛錯体の性質を有していた。酸化糖を用いた可溶性MRPの合成 この試験では、61.54gのスクロースを水50、lと46mlの30%過酸化水素溶液に、CuSO4・5H2Oの触媒量(0.3g)の存在下で、ビーカー中で混合した。混合物を85℃で30分間混合した。 その後、27gグリシンを酸化スクロース溶液に加え、攪拌し、水浴中で2時間、95〜98℃の間で加熱した。 反応生成物は褐色の粘稠液の形態で得られた。 これに、100mlの水を希釈のために加えた。その後、液体混合物をろ過し、2.6gの沈殿物を回収した。ろ液の水分をロータリーエバポレーターで真空下、蒸発させ、乾燥し、粉砕して、黄色粉末を得た。得られた水可溶性粉末の総量は約84gであった(これをMRPIIと称する)。メイラード亜鉛IV MRPIIを17g、ZnSO4を4.83g及び水80mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を連続的に攪拌し、80℃まで水浴中で1時間加熱し、キレート化亜鉛を得た。 その後、反応混合物の水分をロータリーエバポレーターで真空下、蒸発させ、次いで乾燥させ、粉砕した。 得られた反応生成物(キレート)は細かい褐色粉末の形態であった。反応生成物は、水溶性で、上述したHolwerda試験によって確認された強キレート化亜鉛錯体の性質を有していた。メイラード化マグネシウムII スクロース10.26g、MgOを1.2g及び水80mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を連続的に攪拌し、80℃まで水浴中で1時間加熱し、上述したように、7mlの30%過酸化水素で酸化した。 次いで、2.25gのグリシンを反応生成物に加え、攪拌し、さらに1時間沸騰させてキレート化マグネシウムを得た。 その後、反応混合物の水分をロータリーエバポレーターで真空下、蒸発させ、次いで乾燥させ、粉砕した。 得られた反応生成物(キレート)は細かい黒色粉末の形態であった。反応生成物は、水溶性で、pH13まで安定なキレート化マグネシウムの性質を有していた。メイラード化クロムII グリシン6.75g、スクロース10.26g及び水80mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を連続的に攪拌し、80℃まで加熱し、6mlの30%過酸化水素をゆっくり15分間かけて加えた。 その後、7.99gのCrCl3・6H2Oを反応混合物に加え、攪拌し、さらに1時間80度まで加熱し、キレート化クロムを得た。 続いて、反応混合物を、真空下、ロータリーエバポレーターで蒸発させ、次いで乾燥させ、粉砕した。得られた反応生成物(キレート)は細かい褐色粉末の形態であった。反応生成物は、水溶性で、pH13まで安定なキレート化クロムの性質を有していた。メイラード化マンガンIII グリシン3.37g、グルコース8.1g及び水35mlを、還流凝縮器を備えたビーカーに入れた。混合物を連続的に攪拌し、80℃まで水浴中で加熱し、5mlの30%過酸化水素をゆっくり15分間かけて加えた。その後、6.04gのMnSO4を反応生成物に加え、攪拌し、さらに1時間加熱してキレート化マンガンを得た。 その後、反応混合物の水分をロータリーエバポレーターで真空下、蒸発させ、次いで乾燥させ、粉砕した。 得られた反応生成物(キレート)は細かい黒色粉末の形態であった。反応生成物は、水溶性で、pH13まで安定なキレート化マンガンの性質を有していた。 少なくとも1種のアミノ成分の十分量を供給し、 少なくとも1種の糖成分の十分量を供給し、 少なくとも1種の金属成分の十分量を供給し、 前記アミノ成分、糖成分及び金属成分の十分量を水と十分な時間、80℃〜水の沸点の温度範囲で混合して、メイラード反応生成物である可溶性金属キレートを含有する溶液を形成する工程を含む少なくともpH12まで安定な水溶性金属キレートの製造方法。 さらに、可溶性金属キレートを含有する溶液を蒸発させ、その後、乾燥して乾燥金属キレートを形成し、粉砕して乾燥金属キレートの粉末を形成する工程を含む請求項1に記載の方法。 アミノ成分がグリシン、リジン、グルタミン及びその他のアミノ酸、ジペプチド、ポリペプチド、プロテイン加水分解物、ミルク固形物、クリーム、卵固形物、ゼラチン及びホエープロテインからなる群から選択され、 糖成分が、グルコース、スクロース、単糖類、二糖類、デキストロース、高フルクトース・コーンシロップ、澱粉、マルトデキストリンからなる群から選択され、 金属成分が、カルシウム、マンガン、マグネシウム、銅、亜鉛、コバルト、クロム、カリウム及び鉄の塩、水酸化物ならびに酸化物からなる群から選択される請求項1又は2に記載の方法。 少なくとも1種のアミノ成分の十分量を供給し、 少なくとも1種の糖成分の十分量を供給し、 少なくとも1種の金属成分の十分量を供給し、 少なくとも1種の酸化性化合物の十分量を供給し、及び 前記アミノ成分、糖成分、酸化性化合物及び金属成分の十分量を水と、十分な時間及び温度で、前記存在する糖が実質的に酸化されるように混合して、メイラード反応生成物である可溶性金属キレートを含有する溶液を形成する工程を含む少なくともpH12まで安定な水溶性金属キレートの製造方法。 さらに、可溶性金属キレートを含有する溶液を蒸発させ、その後、乾燥して乾燥金属キレートを形成し、粉砕して乾燥金属キレートの粉末を形成する工程を含む請求項4に記載の方法。 アミノ成分がグリシン、リシン、グルタミン酸およびその他のアミノ酸、ジペプチド、ポリペプチド、蛋白加水分解物、ミルク固形物、クリーム、卵固形物、ゼラチン及びホエー蛋白からなる群から選択され、 糖成分がグルコース、スクロース、単糖類、二糖類、デキストロース、高フルクトース・コーンシロップ、でんぷん及びマルトデキストリンからなる群から選択され、 金属成分が、カルシウム、マンガン、マグネシウム、銅、亜鉛、コバルト、クロム、カリウム及び鉄の塩、水酸化物ならびに酸化物からなる群から選択され、 酸化性化合物が過酸化水素、次亜塩素酸、過ヨウ化物、空気及び酸素からなる群から選択される請求項4又は5に記載の方法。 グリシン、リシン、グルタミン酸およびその他のアミノ酸、ジペプチド、ポリペプチド、蛋白加水分解物、ミルク固形物、クリーム、卵固形物、ゼラチン及びホエー蛋白からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ成分を供給し、 グルコース、スクロース、単糖類、二糖類、デキストロース、高フルクトース・コーンシロップ、でんぷん及びマルトデキストリンからなる群から選択される少なくとも1種の糖成分を供給し、 カルシウム、マンガン、マグネシウム、銅、亜鉛、コバルト、クロム、カリウム及び鉄の塩、水酸化物ならびに酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の金属成分を供給し、 前記アミノ成分と糖成分とを水に混合して溶液を形成し、大気圧下、十分な時間及び温度で混合して、可溶性メイラード反応生成物溶液を形成し、その後、金属成分を前記可溶性メイラード反応生成物溶液に加え、大気圧下、十分な時間及び温度で混合して、メイラード反応生成物である可溶性金属キレート溶液を形成し、 該可溶性金属キレート溶液を蒸発させて金属キレートを生成し、乾燥して乾燥金属キレートを形成し、粉砕して金属キレート粉末を形成する工程を含む少なくともpH12まで安定な水溶性金属キレートの製造方法。 酸化性化合物の十分量を、アミノ成分及び糖成分を含有する溶液に加えて、可溶性メイラード反応生成物溶液を形成する請求項7に記載の方法。 酸化性化合物が過酸化水素、次亜塩素酸、過ヨウ化物、空気及び酸素からなる群から選択される請求項8に記載の方法。


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