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タイトル:公開特許公報(A)_金属酸化物微粒子分散体および化粧料
出願番号:2004322370
年次:2006
IPC分類:A61K 8/19,A61K 8/55,A61K 8/58,A61K 8/00,A61Q 17/04


特許情報キャッシュ

浅見 朗子 鷹尾 長幸 JP 2006131547 公開特許公報(A) 20060525 2004322370 20041105 金属酸化物微粒子分散体および化粧料 日立マクセル株式会社 000005810 祢▲ぎ▼元 邦夫 100079153 浅見 朗子 鷹尾 長幸 A61K 8/19 20060101AFI20060421BHJP A61K 8/55 20060101ALI20060421BHJP A61K 8/58 20060101ALI20060421BHJP A61K 8/00 20060101ALI20060421BHJP A61Q 17/04 20060101ALI20060421BHJP JPA61K7/00 BA61K7/00 EA61K7/42 10 OL 13 4C083 4C083AB211 4C083AB241 4C083AB242 4C083AC012 4C083AC022 4C083AC352 4C083AC442 4C083AD161 4C083AD172 4C083CC01 4C083CC19 4C083DD39 4C083FF01 本発明は、金属酸化物微粒子の分散体、特に化粧料用としての上記分散体と、これを配合した化粧料とに関するものである。 従来から、化粧料には紫外線の暴露から皮膚を保護する目的で種々の材料が配合されている。酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の金属酸化物は、紫外線の遮蔽効果が高くかつ有機材料のような皮膚刺激性や化粧料中での分解等の問題がないため、日焼け止め用の材料として広く用いられている。 これらの金属酸化物は、微粒子化することによって可視光の透過率を高め、透明感に優れた材料にすることができる。最近では、日焼け止めを使用する際には自然な仕上がりにすることが消費者から好まれる傾向にあるため、これらの金属酸化物微粒子は日焼け止め用化粧料の好適な材料として提供されている。 ところが、これらの金属酸化物微粒子は、凝集力が強いために分散が困難であり、一次粒子径を小さくしても二次粒子径が大きくなり、期待されるほど透明性を持たせることができないという問題があった。また、粒子径が小さくなるにしたがい表面エネルギーが大きくなるため、分散安定性や保存性が悪いという問題もあった。 これらの問題を解決するため、種々の分散剤を用いて金属酸化物微粒子の分散性を向上させる検討がなされている。例えば、トリメチルシロキシケイ酸やポリオキシアルキレン変性シリコーンを粉体分散剤として使用する試みがある。しかし、いずれの試みも、分散安定性や使用感を十分に満足できるものではなかった。 また、金属酸化物微粒子の分散安定性と使用感を両立させるために、アクリル−シリコーングラフトポリマーを分散剤として使用する提案もなされている(特許文献1参照)。しかし、上記のアクリル−シリコーングラフトポリマーは、アクリル部分が主にガラス転移温度の低い長鎖アルキル(メタ)アクリレート単位からなるため、皮膚に塗布した際にべたつきが大きく使用感に劣っていた。特開2000−290154号公報 本発明は、このような事情に照らし、金属酸化物微粒子の分散性が良好で、紫外線遮蔽効果と透明性に優れており、また分散安定性とさらに皮膚に塗布した際の使用感に優れた金属酸化物微粒子分散体と、これを配合した紫外線遮蔽効果、透明性、使用感を満足する化粧料を提供することを課題としている。 本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意検討した結果、金属酸化物微粒子の分散剤として、アクリル部分を主に短鎖アルキル(メタ)アクリレート単位で構成した特定のアクリル−シリコーングラフトポリマーを使用したときに、金属酸化物微粒子の分散性が良好であり、紫外線遮蔽効果と透明性に優れており、また分散安定性とさらに皮膚に塗布した際の使用感にも優れた金属酸化物微粒子分散体が得られ、これを配合することで、紫外線遮蔽効果、透明性、使用感等の諸特性をすべて満足する化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。 すなわち、本発明は、一次粒子径が0.005〜0.2μmの酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子と、分散剤としてアクリル部分70〜90重量%とシリコーングラフト部分30〜10重量%とからなり、かつアクリル部分の60重量%以上が炭素数1〜10の短鎖アルキル(メタ)アクリレート単位からなるアクリル−シリコーングラフトポリマーと、非水溶性の溶媒とを含有することを特徴とする金属酸化物微粒子分散体に係るものであり、特に化粧料用として有用な上記金属酸化物微粒子分散体を提供できるものである。 また、本発明は、アクリル−シリコーングラフトポリマーのシリコーングラフト部分の分子量が500〜10,000の範囲にある上記金属酸化物微粒子分散体、アクリル−シリコーングラフトポリマーのガラス転移温度が−40℃以上20℃以下である上記金属酸化物微粒子分散体、アクリル−シリコーングラフトポリマーの重量平均分子量が10,000〜50,000の範囲にある上記金属酸化物微粒子分散体、アクリル−シリコーングラフトポリマーの酸価が5〜200KOHmg/gである上記金属酸化物微粒子分散体、アクリル−シリコーングラフトポリマーの水酸基価が5〜200KOHmg/gである上記金属酸化物微粒子分散体を提供できるものである。 さらに、本発明は、金属酸化物微粒子とアクリル−シリコーングラフトポリマーとの重量比率が50:50〜90:10の範囲にある上記金属酸化物微粒子分散体、分散体中の金属酸化物微粒子の二次粒子径が0.03〜0.2μmの範囲にある上記金属酸化物微粒子分散体を提供できるものである。また、上記各構成の金属酸化物微粒子分散体を配合したことを特徴とする化粧料を提供できるものである。 このように、本発明の分散体は、金属酸化物微粒子の分散性が良好で、紫外線遮蔽効果が高く、透明性に優れており、また分散安定性とさらに皮膚に塗布した際の伸びや塗布後の使用感が優れている。また、この分散体を配合した化粧料は、皮膚に塗布した際の伸びが良く、べたつきや白っぽさがないために使用感が良い。 本発明に用いられる金属酸化物微粒子は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムの中から選ばれる少なくとも1種であり、一次粒子径が0.005〜0.2μmであることが必要であり、0.05〜0.1μmであるのが特に好ましい。 金属酸化物微粒子の一次粒子径が0.2μmより大きくなると、粒子の可視光に対する散乱が大きくなるため、可視光領域の透明性が低下する。また、微粒子になるほど金属酸化物微粒子の製造が困難になってくるため、一次粒子径が0.005μm未満の金属酸化物微粒子を使用することは現実的ではない。 なお、金属酸化物微粒子の一次粒子径とは、金属酸化物微粒子の最も長い対角線または軸の長さであり、例えば、針状の場合には長軸、板状の場合には対角線の長さを示すものである。粉体中に含まれる金属酸化物微粒子の一次粒子径の測定方法としては、例えば、加熱により有機成分を除去した残渣を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、それにより測定される微粒子の粒径の平均を取る方法がある。 本発明において、分散剤として用いられるアクリル−シリコーングラフトポリマーは、アクリル部分70〜90重量%、好ましくは75〜85重量%と、シリコーングラフト部分30〜10重量%、好ましくは25〜15重量%とからなり、かつアクリル部分の60重量%以上、特に好ましくは70〜90重量%が炭素数1〜10の短鎖アルキル(メタ)アクリレート単位から構成されてなるものである。 このような特定構成のアクリル−シリコーングラフトポリマーを使用することにより、金属酸化物微粒子の分散性が良好で、紫外線遮蔽効果と透明性を両立し、また分散安定性と皮膚に塗布した際の使用感に優れる等の格別の効果が奏される。特に、アクリル部分を上記短鎖アルキル(メタ)アクリレート単位で構成することにより、皮膚に塗布した際のべたつき感がなくなり、すぐれた使用感が得られる。 これに対し、例えば、アクリル部分とシリコーングラフト部分との重量比率が上記範囲を逸脱すると、金属酸化物微粒子の分散性や溶媒への親和性が損なわれて透明性や分散安定性が低下したり、皮膚に塗布した際の使用感が損なわれるなどの問題が起こりやすい。また、アクリル部分に炭素数1〜10の短鎖アルキル(メタ)アクリレート単位を全く含まなかったり、その割合が上記範囲よりも少なくなると、皮膚に塗布した際にべたつきを生じるようになり、使用感に劣るものとなる。 本発明におけるアクリル−シリコーングラフトポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が−40℃以上20℃以下であるのが望ましく、特に−30℃以上10℃以下であるのが望ましい。アクリル部分を炭素数1〜10の短鎖アルキル(メタ)アクリレート単位で構成すると、グラフトポリマーのTgは容易に上記範囲に設定できる。 グラフトポリマーのTgが−40℃未満となると、ポリマーが軟らかくなりすぎて皮膚に塗布した際のべたつきが大きくなり、使用感が悪くなる。また、Tgが20℃を超えると、ポリマーが剛直になるために金属酸化物微粒子を分散させる際の分散性が悪くなり、皮膚に塗布した際の伸びが悪くなる。つまり、グラフトポリマーのTgが前記範囲を逸脱すると、金属酸化物微粒子の分散性か使用感が損なわれる。 本発明において、このようなアクリル−シリコーングラフトポリマーは、例えば、アクリル部分を構成するモノマーとシリコーンマクロモノマーとを、ラジカル重合反応により共重合させることにより、合成することができる。 ラジカル重合反応に際しては、例えば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンパーヒドロキシド、アセチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の過酸化物、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等のアゾ化合物等の公知の重合開始剤が使用される。 アクリル部分を構成するモノマーには、炭素数1〜10の短鎖アルキル(メタ)アクリレートが主モノマーとして用いられ、この主モノマーと共に、通常は極性基含有モノマーが併用され、さらに必要により共重合可能な他のモノマーが用いられる。 このようなアクリル部分を構成するモノマーとシリコーンマクロモノマーとの重量比率および上記アクリル部分を構成するモノマー中の炭素数1〜10の短鎖アルキル(メタ)アクリレートの重量比率を調整して、アクリル部分とシリコーングラフト部分との重量比率が前記の範囲に入り、アクリル部分が主に上記短鎖アルキル(メタ)アクリレート単位で構成された本発明のアクリル−シリコーングラフトポリマーを合成する。 アクリル部分を構成するモノマーのうち、主モノマーとしての炭素数1〜10の短鎖アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリリート、エチル(メタ)アクリリート、イソプロピル(メタ)アクリリート、n−プロピル(メタ)アクリリート、n−ブチル(メタ)アクリリート、t−ブチル(メタ)アクリリート、オクチル(メタ)アクリリート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリリート、デシル(メタ)アクリリート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。 上記の主モノマーと併用される極性基含有モノマーは、アクリル−シリコーングラフトポリマーのアクリル部分に極性基を導入することにより、金属酸化物微粒子の分散性および分散安定性の向上に寄与させるものである。 極性基としては、例えば、1級、2級、3級、4級アミノ基等の塩基性基、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の酸性基、水酸基等が挙げられる。このうち、特に酸性基や水酸基が好ましく、酸性基としては、分散体の凝集を防ぐ観点や架橋反応の反応速度等の点より、酸強度が弱いカルボキシル基が好ましい。 塩基性基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル等の第1級アミノ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸エチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エチルアミノプロピル等の第2級アミノ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノプロピル等の第3級アミノ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩等の第4級アミノ基含有モノマー等が挙げられる。 酸性基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピル(メタ)アクリル酸、イソプロピル(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマール酸、(メタ)アクロイルオキシエチルフタレート、(メタ)アクロイルオキシサクシネート等のカルボキシル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸2−スルホン酸エチル、ブチル(メタ)アクリルアミドスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー、(メタ)メタクリル酸2−ホスホン酸エチル等のホスホン酸基含有モノマーが挙げられる。 また、水酸基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等が挙げられる。 また、共重合可能な他のモノマーとしては、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどの炭素数が10を超えるアルキル(メタ)アクリレートや、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等のスチレン系モノマー、イタコン酸ベンジル等のイタコン酸エステル類、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類、フマール酸ジメチル等のフマール酸エステル類、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、エチレンなどのα−オレフィン等が好ましく用いられる。 シリコーングラフト部分を構成するシリコーンマクロモノマーは、水ガラスを出発原料にメトキシ化に引き続いて末端に(メタ)アクリレートを導入したものである。例えば、(メタ)アクロイル基に直接またはアルキル基を介してジメチルシロキサンを結合させたマクロマーとして、信越化学社製の「X−22−174DX」、「X−22−8201」、東亞合成社製の「AK−5」、「AK−30」、「AK−32」等が挙げられる。 本発明では、このようなシリコーンマクロモノマーが非極性の有機溶媒に対する親和性に優れ、これを共重合させてポリマー中にシリコーンをグラフト部分として導入すると、金属酸化物微粒子表面が疎水化されて化粧料としての伸びやべたつきのなさ等の使用感が向上し、耐水性に優れた化粧料が得られることを見出したものである。 なお、マクロモノマーには、上記のシリコーン系のほか、カチオン系触媒によりヒドロキシアルキレンモノ(メタ)アクリレートにアルキレンオキサイドを付加反応させたポリエーテル系マクロモノマー、多塩基酸と多価アルコールとをポリエステル化し、ついでグリシジルメタクリレートとエステル化したエステル系マクロマー、スチレンのアニオン重合を行いそのリビング末端を適当な停止剤で処理したスチリル系マクロモノマー等が知られている。しかし、これらのマクロモノマーは非極性の有機溶媒に対する親和性に劣り、これを共重合させても、化粧料用として適した性能が得られにくい。 このように合成できる本発明のアクリル−シリコーングラフトポリマーにおいて、シリコーングラフト部分の分子量は、通常500〜10,000の範囲にあるのが好ましく、1,000〜8,000の範囲にあるのがより好ましい。 シリコーングラフト部分の分子量が500未満になると、シリコーンの溶媒への親和性が低くなって分散性が低下し、また10,000を超えると、ポリマー1分子中のグラフト部分の数が少なくなり、分散性がやはり低下する。 また、本発明の上記アクリル−シリコーングラフトポリマーは、ポリマー全体の重量平均分子量が、通常10,000〜50,000の範囲にあるのが好ましく、15,000〜40,000の範囲にあるのがより好ましい。 ポリマー全体の重量平均分子量が10,000未満では、ポリマーの分子量とシリコーングラフト部分の分子量が近くなり、グラフト部分が導入されていないポリマーが生じるおそれがある。また、50,000を超えると、金属酸化物微粒子分散体の粘度が高くなり、化粧料に配合できる金属酸化物微粒子の量が減少するだけでなく、皮膚に塗布した際の皮膜感が大きくなるという問題を生じすい。 さらに、本発明の上記アクリル−シリコーングラフトポリマーの酸価は、5〜200KOHmg/gの範囲にあるのが好ましく、10〜100の範囲にあるのがより好ましい。酸価が5KOHmg/g未満では、金属酸化物微粒子との親和性が弱くなり分散安定性が悪くなる。また、200KOHmg/gを超えると、ポリマーの極性が大きくなりすぎ、シリコーン溶媒中への親和性が悪くなり、分散安定性が低下する。 アクリル−シリコーングラフトポリマーの上記酸価は、主モノマーと併用する極性基含有モノマーとして酸性基含有モノマーを用い、アクリル部分に極性基として酸性基を適量導入することにより、容易に設定することができる。 また、本発明の上記アクリル−シリコーングラフトポリマーの水酸基価は、5〜200KOHmg/gの範囲にあるのが好ましく、10〜100の範囲にあるのがより好ましい。水酸基価が5KOHmg/g未満では、金属酸化物微粒子との親和性が弱く分散安定性が悪くなる。また、200KOHmg/gを超えると、ポリマーの極性が大きくなりすぎ、シリコーン溶媒中への親和性が悪くなり、分散安定性が低下する。 アクリル−シリコーングラフトポリマーの上記水酸基価は、主モノマーと併用する極性基含有モノマーとして水酸基含有モノマーを用い、アクリル部分に極性基として水酸基を適量導入することにより、容易に設定することができる。 本発明において、金属酸化物微粒子と分散剤としてのアクリル−シリコーングラフトポリマーとの比率は、重量比で50:50〜90:10の範囲であるのが好ましく、60:40〜80:20の範囲であるのがより好ましい。 アクリル−シリコーングラフトポリマーの割合が10重量%未満となると、金属酸化物微粒子を分散するのが難しくなる。また、上記ポリマーの割合が50重量%を超えると、紫外線遮蔽効果等の金属酸化物微粒子の効果が低下し、化粧料用原料として有効でなくなるだけでなく、皮膚に塗布した際のべたつきも大きくなる。 なお、本発明の金属酸化物微粒子分散体中の金属酸化物微粒子とポリマーとの比率は、例えば、熱分析における重量変化を調べることにより、無機成分と有機成分の重量比率を計算することにより、測定することができる。 本発明に用いられる非水溶性の溶媒としては、化粧料に配合できるものであればよく、特に限定されない。例えば、ヘキサン、ミネラルスピリット、エクソン化学社製のアイソパーシリーズ等の脂肪族炭化水素系、ジアルキルポリシロキサン、環状ポリジアルキルシロキサン等のシリコーン系、オリーブ油、ベニバナ油、ひまわり油、大豆油、あまに油等の植物油系、ジエチルエーテル等が挙げられる。 アクリル−シリコーングラフトポリマーへの親和性や安全性の高さから、シリコーン系の溶媒が特に好ましい。環状シリコーン油として、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が好ましく用いられる。また、鎖状シリコーン油として、例えば、ジメチルポリシロキサン(粘度0.65〜5cSt/25℃)等が好ましく用いられる。 本発明の金属酸化物微粒子分散体は、必須成分として、上記の金属酸化物微粒子と分散剤としてのアクリル−シリコーングラフトポリマーと非水溶性の溶媒とを含有してなり、任意成分として、上記以外の他の分散剤等の添加剤を配合することができる。この分散体の固形濃度は、化粧料用などの個々の用途目的により、適宜、選択することができるが、通常は、10〜60重量%の範囲とするのがよい。 本発明の上記構成の金属酸化物微粒子分散体を調製する際には、例えば、金属酸化物微粒子、アクリル−シリコーングラフトポリマー、非水溶性の溶媒を混合したのちに、分散させるのが好ましい。分散剤としてのアクリル−シリコーングラフトポリマーは、上記の非水系の溶媒に溶解して使用するのが好ましい。 上記分散に用いる分散機は、分散系に十分なエネルギーを与えうるものであればよく、例えば、ホモジナイザー、ニーダー、ロールミル、サンドミル、ボールミル、ダイノーミル、DSP−ミル等のビーズミル、超音波分散機等が挙げられる。 また、金属酸化物微粒子の分散にあたり、アクリル−シリコーングラフトポリマーを単独で使用してもよいし、組成や分子量等の異なるアクリル−シリコーングラフトポリマーを2種以上混合して使用してもよい。 また、分散の際には、金属酸化物微粒子と上記ポリマーと非水溶性の溶媒のみで分散させるのが好ましいが、金属酸化物微粒子の二次粒子径を小さくする目的で、上記ポリマーとは別に、界面活性剤等の他の分散剤を併用してもよい。 他の分散剤としては、金属酸化物微粒子を分散させうるものであればよく、例えば、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル、リン酸エステル、それらの塩等が挙げられる。また、上記以外の物質として、公知の各種の界面活性剤、防腐剤、防臭剤、香料、顔料分散剤等を適宜使用することもできる。 このように調製される本発明の金属酸化物微粒子分散体において、分散体中の金属酸化物微粒子の二次粒子径としては、0.03〜0.2μmの範囲であるのが好ましく、0.05〜0.15μmの範囲であるのがより好ましい。 金属酸化物微粒子の二次粒子径が0.03μm未満となると、分散体中の分散安定性を保持し続けるのが難しくなり、また0.2μmを超えると、分散体の透過率が低下して、皮膚に塗布した際に白くなる等の問題を生じやすい。 なお、金属酸化物微粒子分散体中の金属酸化物微粒子の二次粒子径は、一般的な公知の粒度分布測定装置、例えば、レーザー方式の粒度分布計や遠心沈降式粒度分布計等により測定できるものである。 本発明において、上記の金属酸化物微粒子分散体は、メーキャップ用化粧料やサンスクリーンに配合することにより、種々の化粧料を得ることができる。例えば、メーキャップ用化粧料としては、化粧用下地、リキッドファンデーション、口紅等がある。サンスクリーンとしては、オイルタイプや乳液タイプが好ましい。 本発明の化粧料には、上記の金属酸化物微粒子分散体のほかに、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的質的範囲内で、オリーブ油,ヤシ油,サフラワー油,ヒマシ油,綿実油等の油脂類、ラノリン,ホホバ油,カルナバロウ等のロウ類、流動パラフィン,スクワラン,ワセリン,揮発性イソパラフィン等の炭化水素油、脂肪酸類、アルコール類、オクタン酸セチル,ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油、ジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、シリコーン樹脂、紫外線吸収剤,酸化防止剤,防腐剤,消炎剤,ビタミン,ホルモン等の薬剤、香料等の通常化粧品に配合される各種の成分を配合できるものである。 また、当然のことながら、精製水および水溶性成分および適切な界面活性剤を配合して乳化技術を駆使することにより、紫外線遮蔽効果および良好な使用感を有したままで油中水型あるいは水中油型の乳化メーキャップ化粧料とすることもできる。 つぎに、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。以下において、部および%は、特に断りがない限り、重量部および重量%を意味するものとする。また、注意書きがない試薬は、全て和光純薬社製の試薬1級を使用した。 n−ブチルメタクリレート 31.1部 2−エチルヘキシルメタクリレート 27.0部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 15.0部 メタクリル酸 6.9部 シリコーンマクロモノマー 20.0部 (信越化学社製の「X−22−174DX」) パーブチルO(日本油脂社製のパーオキシエステル) 8.0部 上記の各成分を混合して、重合原料を調製した。つぎに、窒素導入管を備え付けた反応容器にメチルエチルケトン100部を計り込み、窒素シールしながら沸点まで昇温した。これに上記の重合原料を2時間にわたって滴下し、滴下終了後、還流しながら8時間反応させて、アクリル−シリコーングラフトポリマーの溶液を得た。 このポリマー溶液は、不揮発分が49.8%であった。この溶液からメチルエチルケトンを乾燥除去して得たアクリル−シリコーングラフトポリマーのガラス転移温度(Tg)は、−8℃であった。また、重量平均分子量は35,000、酸価は44KOHmg/g、水酸基価は65KOHmg/gであった。 エタノール180部と水20部を混合し、攪拌しながら、上記のポリマー溶液を加えて10分間攪拌したのち上澄みを取り除き、白濁の沈殿物を回収し、未反応のモノマーおよび重合開始剤を除去して精製した。得られた沈殿物に、ジメチルポリシロキサン(信越化学社製の「KF−96L−1cs」)100部を加え、回収物中に残存したエタノールと水を減圧蒸留により除去して、不揮発分が33%のポリマー溶液を得た。 100ccのプラスチック製ビンに、上記ポリマー溶液9.09部、金属酸化物微粒子として石原産業社製の「TTO−S−3」(微粒子二酸化チタン顔料、一次粒子径0.1μm)6.0部、ジメチルポリシロキサン(信越化学社製の「KF−96L−1cs」)14.91部、1mmφのジルコニアビーズ100部を計り取り、ペイントシェーカー(エイシン社製)で2時間分散して、金属酸化物微粒子分散体を調製した。 この分散体は、金属酸化物微粒子である二酸化チタンの含有率が20.0%であり、分散体中の二酸化チタンの二次粒子径は、0.120μm(コールター社製のレーザードップラー方式の粒度分布計「N4 PLUS」で測定)であった。また、この分散体を、KF−96L−1.0を加えて0.005%にまで希釈し、分光光度計(JASCO製V−570)にて200nmから800nmの領域の透過率を測定したところ、450nmにおける透過率は65%、350nmにおける透過率は15%であった。 つぎに、流動パラフィン3.0部、マイクロクリスタリンワックス4.0部、ソルビタンセスキオレート1.0部、デカメチルシクロペンタシロキサン27.0部、ミリスチン酸イソプロピル2.0部を、70〜80℃で、攪拌溶解した。これに、上記の金属酸化物微粒子分散体5.0部と香料を適量入れて混合し、脱気後、所定の容器に充填して、サンスクリーン組成物を得た。このサンスクリーンを皮膚に塗布したところ、塗布の際のべたつきがなくなめらかに伸び、塗布後の白っぽさは感じられなかった。 金属酸化物微粒子として、石原産業社製の「TTO−S−3」(微粒子二酸化チタン顔料、一次粒子径0.1μm)6.0部に代えて、石原産業社製の「FZO−50」(微粒子酸化亜鉛顔料、一次粒子径0.02μm)6.0部を使用した以外は、実施例1と同様にして、金属酸化物微粒子分散体を調製した。 この分散体は、金属酸化物微粒子である酸化亜鉛の含有率が20.0%であり、分散体中の酸化亜鉛の二次粒子径は、0.170μm(実施例1と同様に測定)であった。また、この分散体を、KF−96L−1.0を加えて0.02%にまで希釈し、実施例1と同様に分光光度計で透過率を測定したところ、450nmにおける透過率は71%、350nmにおける透過率は6%であった。 つぎに、この金属酸化物微粒子分散体を使用して、実施例1と同様にして、サンスクリーン組成物を調製した。これを皮膚に塗布したところ、塗布の際のべたつきがなくなめらかに伸び、塗布後は白っぽさは感じられなかった。 比較例1 n−ブチルメタクリレート 41.1部 2−エチルヘキシルメタクリレート 32.0部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 15.0部 メタクリル酸 6.9部 シリコーンマクロモノマー 5.0部 (信越化学社製の「X−22−174DX」) パーブチルO(日本油脂社製のパーオキシエステル) 8.0部 上記の各成分を混合して、重合原料を調製した。この重合原料を用い、実施例1と同様に反応させて、アクリル−シリコーングラフトポリマーの溶液を得た。 このポリマー溶液は、不揮発分が49.2%であった。この溶液から溶媒(メチルエチルケトン)を乾燥除去して得たアクリル−シリコーングラフトポリマーのガラス転移温度(Tg)は、10℃であった。また、重量平均分子量は38,000、酸価は45KOHmg/g、水酸基価は65KOHmg/gであった。 上記のポリマー溶液から、実施例1と同様にして、精製した沈殿物を得、これにジメチルポリシロキサン(信越化学社製の「KF−96L−1cs」)加え、残存したエタノールと水を減圧蒸留により除去して、不揮発分が33%のポリマー溶液を得た。 このポリマー溶液を使用して、実施例1と同様にして、金属酸化物微粒子分散体を調製した。この分散体は、金属酸化物微粒子である二酸化チタンの含有率が20.0%であり、分散体中の二酸化チタンの二次粒子径は、0.280μm(実施例1と同様に測定)であった。また、この分散体を、KF−96L−1.0を加えて0.02%にまで希釈し、実施例1と同様に分光光度計で透過率を測定したところ、450nmにおける透過率は48%、350nmにおける透過率は0%であった。 つぎに、この金属酸化物微粒子分散体を使用して、実施例1と同様にして、サンスクリーン組成物を調製した。これを皮膚に塗布したところ、塗布の際のべたつきがなくなめらかに伸びたが、塗布後に白っぽさが残った。 比較例2 n−ブチルアクリレート 15.1部 ステアリルメタクリレート 43.0部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 15.0部 メタクリル酸 6.9部 シリコーンマクロモノマー 20.0部 (信越化学社製の「X−22−174DX」) パーブチルO(日本油脂社製のパーオキシエステル) 8.0部 上記の各成分を混合して、重合原料を調製した。この重合原料を用い、実施例1と同様に反応させて、アクリル−シリコーングラフトポリマーの溶液を得た。 このポリマー溶液は、不揮発分が48.9%であった。この溶液から溶媒(メチルエチルケトン)を乾燥除去して得たアクリル−シリコーングラフトポリマーのガラス転移温度(Tg)は、−45℃であった。また、重量平均分子量は36,000、酸価は45KOHmg/g、水酸基価は65KOHmg/gであった。 上記のポリマー溶液から、実施例1と同様にして、精製した沈殿物を得、これにジメチルポリシロキサン(信越化学社製の「KF−96L−1cs」)加え、残存したエタノールと水を減圧蒸留により除去して、不揮発分が33%のポリマー溶液を得た。 このポリマー溶液を使用して、実施例1と同様にして、金属酸化物微粒子分散体を調製した。この分散体は、金属酸化物微粒子である二酸化チタンの含有率が20.0%であり、分散体中の二酸化チタンの二次粒子径は、0.130μm(実施例1と同様に測定)であった。また、この分散体を、KF−96L−1.0を加えて0.02%にまで希釈し、実施例1と同様に分光光度計で透過率を測定したところ、450nmにおける透過率は71%、350nmにおける透過率は6%であった。 つぎに、この金属酸化物微粒子分散体を使用して、実施例1と同様にして、サンスクリーン組成物を調製した。これを皮膚に塗布したところ、白っぽさはないものの。塗布の際のべたつきが大きく、使用感が悪かった。 一次粒子径が0.005〜0.2μmの酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子と、分散剤としてアクリル部分70〜90重量%とシリコーングラフト部分30〜10重量%とからなり、かつアクリル部分の60重量%以上が炭素数1〜10の短鎖アルキル(メタ)アクリレート単位からなるアクリル−シリコーングラフトポリマーと、非水溶性の溶媒とを含有することを特徴とする金属酸化物微粒子分散体。 アクリル−シリコーングラフトポリマーは、シリコーングラフト部分の分子量が500〜10,000の範囲にある請求項1に記載の金属酸化物微粒子分散体。 アクリル−シリコーングラフトポリマーは、ガラス転移温度が−40℃以上20℃以下である請求項1または2に記載の金属酸化物微粒子分散体。 アクリル−シリコーングラフトポリマーは、重量平均分子量が10,000〜50,000の範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散体。 アクリル−シリコーングラフトポリマーは、酸価が5〜200KOHmg/gである請求項1〜4のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散体。 アクリル−シリコーングラフトポリマーは、水酸基価が5〜200KOHmg/gである請求項1〜5のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散体。 金属酸化物微粒子とアクリル−シリコーングラフトポリマーとの重量比率が50:50〜90:10の範囲にある請求項1〜6のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散体。 分散体中の金属酸化物微粒子の二次粒子径が0.03〜0.2μmの範囲にある請求項1〜7のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散体。 化粧料用である請求項1〜8のいずれかに記載の金属酸化物微粒子分散体。 請求項9に記載の金属酸化物微粒子分散体を配合したことを特徴とする化粧料。 【課題】 金属酸化物微粒子の分散性が良好で、紫外線遮蔽効果と透明性に優れており、また分散安定性とさらに皮膚に塗布した際の使用感に優れた、化粧料用として特に有用な金属酸化物微粒子分散体を提供する。【解決手段】 一次粒子径が0.005〜0.2μmの酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子と、分散剤としてアクリル部分70〜90重量%とシリコーングラフト部分30〜10重量%とからなり、かつアクリル部分の60重量%以上が炭素数1〜10の短鎖アルキル(メタ)アクリレート単位からなるアクリル−シリコーングラフトポリマーと、非水溶性の溶媒とを含有することを特徴とする金属酸化物微粒子分散体。【選択図】 なし


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