タイトル: | 公開特許公報(A)_アルキリデンビスアルキルフェノールの製造方法 |
出願番号: | 2004315474 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C07C 37/20,C07C 39/16,C07C 67/08,C07C 69/54,C07B 61/00 |
渡邊 均 辰馬 正彦 JP 2006124331 公開特許公報(A) 20060518 2004315474 20041029 アルキリデンビスアルキルフェノールの製造方法 住友化学株式会社 000002093 久保山 隆 100093285 中山 亨 100113000 榎本 雅之 100119471 渡邊 均 辰馬 正彦 C07C 37/20 20060101AFI20060414BHJP C07C 39/16 20060101ALI20060414BHJP C07C 67/08 20060101ALI20060414BHJP C07C 69/54 20060101ALI20060414BHJP C07B 61/00 20060101ALN20060414BHJP JPC07C37/20C07C39/16C07C67/08C07C69/54 BC07B61/00 300 6 OL 11 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC25 4H006AC48 4H006BA52 4H006BA66 4H006BB11 4H006BB14 4H006BB31 4H006BC10 4H006BJ50 4H006BN30 4H006KA06 4H006KC14 4H006KD10 4H006KE20 4H039CA19 4H039CL25 本発明は、アルキルフェノールとケトン化合物が脱水縮合して得られるアルキリデンビスアルキルフェノールの製造方法に関する。 アルキリデンビスアルキルフェノールは、例えばブタジエンゴム(BR)、スチレン/ブタジエン共重合ゴム(SBR)、スチレン/ブタジエンブロック共重合ゴムまたは樹脂(SBS)など、ブタジエン系ポリマーの製造過程および加工時における熱劣化防止剤として、あるいはポリエチレンやポリプロピレンをはじめとするポリオレフィンなど、各種合成樹脂の安定剤として有用な化合物である。 また、アルキリデンビスアルキルフェノールに、さらにアクリル酸などを反応させたアルキリデンビスアルキルフェノールモノエステルについても安定剤として有用な化合物である(特許文献1)。 その製造方法としては、アルキルフェノール、アルデヒド、硫酸、陰イオン系界面活性剤及び芳香族炭化水素溶媒の存在下に70〜100℃で脱水縮合反応させて、アルキリデンビスアルキルフェノールを製造する方法が、例えば、特許文献1の実施例として具体的に記載されている。 また、アルキルフェノール、アルデヒド、p-トルエンスルホン酸及び芳香族炭化水素溶媒の存在下に40〜100℃で共沸脱水させながら脱水縮合反応させて、アルキリデンビスアルキルフェノール(III)を製造する方法が、特許文献2の実施例として具体的に記載されている。特開平4−264051号公報[実施例]特開2003−261487号公報[実施例] 特許文献1の場合、反応終了後に硫酸及び反応生成水を除去するために分液するが、本発明者らが検討したところ、陰イオン系界面活性剤を用いることから、当該分液時間が長いという問題があり、特許文献1に記載しているように、大量の芳香族炭化水素溶媒を反応終了後加えたのち、分液する必要があった。 そこで、本発明者らが分液時間を短縮するために、硫酸のみを用い、陰イオン系界面活性剤を用いない場合について検討したところ、同じ反応時間では未反応のアルキルフェノールが残存してしまう場合があることが明らかになった。 また、特許文献2の場合には、アルキリデンビスアルキルフェノールを製造する際に、共沸脱水の設備が必要であるという問題があった。 本発明の目的は、陰イオン系界面活性剤を用いることがなくとも未反応のアルキルフェノールの残存量が少なく、分液性に優れ、しかも共沸脱水を必要としないアルキリデンビスアルキルフェノールの製造方法を提供することである。 本発明は、式(I)(式中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立した置換基を示し、R1は炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基を示し、R2、R3、R4およびR5は、水素原子または炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基を示す。ただし、R3が炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基である場合には、R5は水素原子を示し、R3が水素原子である場合には、R5は炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基を示す。)で表されるアルキルフェノール、式(II)(式中、R6及びR7は、それぞれ独立に、炭素数1〜15の直鎖炭化水素基、置換されていてもよい炭素数1〜15の分岐状炭化水素基または水素原子を示す。但し、R6及びR7のいずれか一方が水素原子であれば、他方は、炭素数1〜15の直鎖炭化水素基または炭素数1〜15の分岐状炭化水素基を示す。R6及びR7は、連結していてもよい。)で表されるカルボニル化合物、及び酸触媒の存在下に脱水縮合反応させて、式(III)(式中、X1が水酸基である場合は、X2はR1、X3はR2、X4はR3、X5はR4を示し、X3が水酸基である場合は、X2はR1、X1はR2、X5はR4、X4はR5を示す。R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は前記と同じ意味を示す。)で示されるアルキリデンビスアルキルフェノールを製造する方法において、酸触媒として、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸及び2−ナフタレンスルホン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族スルホン酸と、50〜85重量%の硫酸水溶液とを併用することを特徴とするアルキリデンビスアルキルフェノール(III)の製造方法である。 本発明によれば、共沸脱水設備や陰イオン系界面活性剤を用いることなくとも、同等の反応時間でアルキリデンビスアルキルフェノール(III)を収率良く製造することができる。また、反応終了後、特に炭化水素溶媒を追加することがなくとも、速やかに分液して、硫酸水溶液を除去することができる。 以下、本発明について詳細に説明する。 式(I)において、炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基の具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ドデシル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1−ヘキセニル基、アリル基、2−フェニルエチル基、フェニル基、1−ナフチル基、ベンジル基、o−トリル基、p−エチルフェニル基、4−ビフェニル基などが挙げられる。 具体的なアルキルフェノール(I)としては、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、4−t−ブチル−2−メチルフェノール、2−t−ブチル−6−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−t−ペンチル−4−メチルフェノール、4−t−ペンチル−2−メチルフェノール、2−t−ペンチル−6−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ペンチルフェノール、2,6−ジ−t−ペンチルフェノール、2,6−ジイソブチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチルフェノール、4−t−ブチル−2−エチルフェノール、2−t−ブチル−6−イソプロピルフェノール、2−t−ブチル−4−ベンジルフェノール、2−t−ブチル−4−(m−トリル)フェノール、2−ベンジル−4,5−ジメチルフェノールなどが挙げられる。 式(II)で示されるカルボニル化合物において、R6及びR7は、それぞれ独立に、炭素数1〜15の直鎖炭化水素基、炭素数1〜15の分岐状炭化水素基または水素原子を示す。炭素数1〜15の直鎖炭化水素基としては、メチル基、エチル基、3−ブロモプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ドデシル基、n−ヘキシル基、1−ヘキセニル基、アリル基などが挙げられる。炭素数1〜15の分岐状炭化水素基としては、イソプロピル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、シクロヘキシル基、2−フェニルエチル基、フェニル基、1−ナフチル基、ベンジル基、o−トリル基、p−エチルフェニル基、4−ビフェニル基、p−クロロフェニル基、m−メトキシフェニル基などが挙げられる。 R6及びR7のいずれか一方が水素原子である場合、他方は、炭素数1〜15の直鎖炭化水素基または炭素数1〜15の分岐状炭化水素基を示す。具体的には、カルボニル化合物が炭素数2〜16のアルデヒドである場合を意味し、アセトアルデヒド、n−プロピルアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ピバルアルデヒド、n−ペンチルアルデヒド、n−ドデシルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3−フェニルプロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、m−メトキシベンズアルデヒドなどが例示される。 R6及びR7のいずれも水素原子でない場合のカルボニル化合物とは、具体的には、カルボニル化合物が炭素数3〜31、好ましくは3〜6のケトン化合物を意味する。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが例示される。 R6及びR7が連結されたカルボニル化合物とは、炭素数5〜31、好ましくは炭素数5〜12の環状ケトン化合物を意味し、具体的には、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノンなどが例示される。 カルボニル化合物(II)としては、中でも、アルデヒドが好ましく、とりわけ、R6が炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基で、R7が水素原子であるアルデヒドが好ましく、中でもとりわけ、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、n−プロピルアルデヒド、イソブチルアルデヒドが好ましい。 カルボニル化合物(II)の使用量はアルキルフェノール(I)に対し通常、0.4モル倍以上、0.8モル倍以下、好ましくは0.7モル倍以下である。 本発明の脱水縮合反応は、通常、炭化水素溶媒中で行なわれる。炭化水素溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの炭素数が5〜12の直鎖又は分岐又は環状の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼンなどのアルキル基、ハロゲン原子などで置換されてもよい芳香族炭化水素が挙げられる。かかる炭化水素溶媒はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。 その使用量はアルキルフェノール(I)に対して通常は0.1重量倍以上100重量倍以下、好ましくは1重量倍以上10重量倍以下程度である。生成物であるアルキリデンビスフェノール(III)の溶解度が高い溶媒では結晶が析出しにくく収率が低下し、溶解度が低いと反応混合物中の結晶を完全に溶解させるために容積効率が悪化するため、かかる溶媒の中でもn−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンが好ましい。さらには溶媒の回収などの生産性を考慮するとn−ヘプタンが特に好ましい。 本発明のアルキリデンビスアルキルフェノールの製造方法は、酸触媒として、40〜85重量%、好ましくは50〜80重量%の硫酸水溶液と、芳香族スルホン酸とを併用することを特徴とする製造方法である。 ここで、芳香族スルホン酸とは、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸及び2−ナフタレンスルホン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族スルホン酸である。とりわけ、p−トルエンスルホン酸は入手が容易であることから好ましい。 また、芳香族スルホン酸としては結晶水などの水を含有していてもよい。p−トルエンスルホン酸の場合、市販されている一水和物を通常、そのまま、使用する。 硫酸水溶液の濃度が40重量%以上であると、反応速度が向上する傾向にあることから好ましく、85重量%以下であると、収率が向上する傾向があることから好ましい。 硫酸の使用量としては、アルキルフェノール1モルに対し、0.01モル倍以上、好ましくは、0.05モル〜0.5モル程度である。硫酸が0.01モル比以上であると、反応速度が向上する傾向にあることから好ましい。 芳香族スルホン酸の使用量としては、アルキルフェノール1モルに対し、0.001モル倍以上、好ましくは、0.005モル〜0.5モル程度である。芳香族スルホン酸が0.001モル比以上であると、反応速度が向上する傾向にあることから好ましい。 脱水縮合反応の具体的な方法としては、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下、炭化水素類溶媒中でアルキルフェノール(I)、カルボニル化合物(II)、硫酸水溶液及び芳香族スルホン酸を任意の順番で混合し、60℃以上、好ましくは80〜110℃にて0.1時間以上、好ましくは0.5〜12時間程度攪拌する方法などが挙げられる。 混合の順番としては、炭化水素類溶媒中でアルキルフェノール(I)及びカルボニル化合物(II)を混合した溶液に、硫酸水溶液及び芳香族スルホン酸の混合液を上記温度範囲で混合させたのち、攪拌させる方法;炭化水素類溶媒中でアルキルフェノール(I)、硫酸水溶液及び芳香族スルホン酸の混合した溶液に、カルボニル化合物(II)を上記温度範囲で混合させたのち、攪拌させる方法などが挙げられる。 上記反応において、60℃以上にて攪拌すると、収率が向上する傾向があることから好ましい。また、反応時間が0.1時間以上であると、収率が向上する傾向があることから好ましい。 上記反応において、共沸脱水してもよいが、本発明によれば、共沸脱水することがなくとも、高い収率でアルキリデンビスアルキルフェノール(III)を得ることができる。 本発明の方法によれば、攪拌終了後に、速やかに水層と有機層に分液され、硫酸水溶液は水層として除去することができる。分液速度を向上させるために、水層に食塩、芒硝などの塩を加えたり、有機層に炭化水素溶媒を追加してもよい。 上記有機層に含まれるアルキリデンビスアルキルフェノール(III)の具体例としては、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−エチリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ペンチルフェノール)、4,4'−エチリデンビス(2,6−ジ−t−ペンチルフェノール)、2,2'−n−ブチリデンビス(6−t−ペンチル−4−メチルフェノール)、2,2'−n−ペンチリデンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2'−n−プロピリデンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2'−n−ブチリデンビス(4−t−ブチル−6−メチルフェノール)、4,4'−n−ブチリデン(2−t−ブチル−6−メチルフェノール)、2,2'−n−ブチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−n−ブチリデンビス(4,6−ジイソブチルフェノール)、4,4'−n−ブチリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−n−ブチリデンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、4,4'−n−ブチリデンビス(2−t−ブチル−6−イソプロピルフェノール)、2,2'−n−ブチリデンビス(6−t−ブチル−4−ベンジルフェノール)、2,2'−n−ブチリデンビス(6−t−ブチル−4−(m−トリル)フェノール)、2,2'−イソブチリデンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2'−イソブチリデンビス(4−t−ブチル−6−メチルフェノール)、4,4'−イソブチリデン(2−t−ブチル−6−メチルフェノール)、2,2'−イソブチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−n−プロピリデンビス(4,6−ジ−n−ブチルフェノール)、4,4'−ベンジリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−ベンジリデンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、4,4'−n−オクチリデンビス(2−t−ブチル−6−イソプロピルフェノール)、2,2'−フェニルエチリデンビス(6−t−ブチル−4−ベンジルフェノール)などが挙げられる。 アルキリデンビスアルキルフェノール(III)は、通常、上記有機層に結晶として析出している場合はそのまま結晶としてアルキリデンビスアルキルフェノール(III)を取り出す。また、アルキリデンビスアルキルフェノール(III)が溶解している場合、得られた有機層から冷却することによりアルキリデンビスアルキルフェノール(III)を析出させ、結晶として取り出す方法、有機層を貧溶媒と混合してアルキリデンビスアルキルフェノール(III)を析出させ、結晶として取り出す方法などが例示される。有機層を貧溶媒と混合するには、有機層に貧溶媒を加えてもよいし、貧溶媒に有機層を加えてもよい。 アルキリデンビスアルキルフェノール(III)の結晶は、例えば濾取などの方法により容易に取り出すことができる。また、得られた有機層から溶媒を留去した後、得られた残渣からアルキリデンビスアルキルフェノール(III)を溶媒抽出し、抽出後、溶媒留去することで、アルキリデンビスアルキルフェノール(III)の結晶を得ることができる。取り出されたアルキリデンビスフェノール(III)は、クロマトグラフィーや再結晶などの方法で精製してもよい。 さらに、特許文献1の如く、アルキリデンビスアルキルフェノールモノエステルの原料として本発明のアルキリデンビスアルキルフェノール(III)を用いる場合には、上記有機層をアルキリデンビスアルキルフェノールモノエステルの原料を含む溶液として用いてもよい。 すなわち、アルキリデンビスアルキルフェノール(III)を含む有機層を減圧留去や、脱水剤などを用いて脱水したのち、式(IV)(式中、R8は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基またはフェニル基を表し、Yは水酸基、ハロゲン、炭素数1〜3のアルコキシ基又は式(V)[式(V)中、R8は前記と同じ意味を表す]で表される基)に記載のカルボン酸類と反応させることにより、式(VI)(式中、X1が水酸基である場合は、X2はR1、X3はR2、X4はR3、X5はR4を示し、X3が水酸基である場合は、X2はR1、X1はR2、X5はR4、X4はR5を示す。R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は前記と同じ意味を示す。)で表されるアルキリデンビスアルキルフェノールモノエステル(VI)を製造すればよい。 ここで、カルボン酸類(IV)としては、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸、酪酸及びこれらの酸無水物、酸ハロゲン化物などが挙げられ、アクリル酸を用いて得られたアルキリデンビスアルキルフェノールモノエステル(VI)は安定剤として好適に用いられる。 カルボン酸類を反応させる場合には、特許文献1に記載のように、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン、o−またはp−トルエンスルホン酸クロリドなどのハロゲン化剤及びトリエチルアミン、ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、テトラメチル尿素、ピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンなどの脱ハロゲン化水素剤等を用いる。 もちろん、アルキリデンビスアルキルフェノールモノエステル(VI)の製造方法として、アルキリデンビスアルキルフェノール(III)を再結晶などの方法により単離したのち、脱水してアルキリデンビスアルキルフェノールモノエステル(VI)の原料として用いてもよい。 以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。なお、含有率は、有機層を液体クロマトグラフィーで分析し,アルキリデンビスアルキルフェノールと副生物と未反応アルキルフェノールの液体クロマトグラフィーの面積値総和で、アルキリデンビスアルキルフェノールの面積値を割り百分率に換算した値である。また、収率は、液体クロマトグラフィーを用いた1,1'−エチリデンビス(2,6−ジ−tert−ペンチルフェノール)の面積を絶対検量法によってモル数として求め、原料として使用した2,4−ジ−tert−ペンチルフェノールのモル数100に対する割合で算出した。尚、部は重量部を意味し、mol比とは、1部が1gであった場合のモル数を表す。(実施例1) 窒素雰囲気下の反応容器に、2,4−ジ−t−ペンチルフェノール 115部(0.49mol比)、p−トルエンスルホン酸一水和物1.5部(0.0079mol比)、及び50%硫酸水溶液7.25部(0.075mol比)を混合させた。次いで、30〜45℃に保温しながら、30%アセトアルデヒド−キシレン溶液39.9部(0.27mol比、アセトアルデヒド)を徐々に加えたのち、95℃まで昇温した。昇温後、約95℃に保温しながら5時間攪拌を続けた。 得られた反応生成物にキシレン151部を加え、80℃まで冷却した後、分液させた。分液速度は、66mm/分であった。 分液して得られた有機層中の分析から、1,1'−エチリデンビス(2,6−ジ−tert−ペンチルフェノール)の含有率は92.6%、収率は94.6%であった。(実施例2及び3、比較例1〜3) 以下、表1に記載のモル比、攪拌温度以外は実施例1と同様にして実施し、結果を実施例1とともに表1にまとめた。なお、分液速度は数字が大きいほど分液が優れる。*1:p−トルエンスルホン酸一水和物*2:昇温後の温度*3:さらに陰イオン界面活性剤(ペレックスNB-L(登録商標)、新日本石油化学(株) 製)を1.15部用いた。(実施例4) 実施例1と同様にして得られた有機層を中性になるまで水洗したのち、90〜110℃、約200mmHg(約27kPa)まで共沸脱水した。続いて、得られた溶液にアクリル酸22.0部(0.61mol比)及びトリエチルアミン63.3部(0.62mol比)を仕込み、窒素置換したのち、オキシ塩化リン31.1部(0.20mol比)を滴下し、さらに40℃で1時間保温した。得られた反応溶液を中性になるまで水洗し、キシレンの大部分を減圧留去した。次いで、メタノールを加えることにより結晶を得、濾過、乾燥して2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル]アクリレート(106.6部、0.194mol比、2,4−ジ−t−ペンチルフェノールを基準とする収率79.2%)を得た。式(I)(式中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立した置換基を示し、R1は炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基を示し、R2、R3、R4およびR5は、水素原子または炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基を示す。ただし、R3が炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基である場合には、R5は水素原子を示し、R3が水素原子である場合には、R5は炭素数1〜15の直鎖もしくは分岐状の炭化水素基を示す。)で表されるアルキルフェノール、式(II)(式中、R6及びR7は、それぞれ独立に、炭素数1〜15の直鎖炭化水素基、置換されていてもよい炭素数1〜15の分岐状炭化水素基または水素原子を示す。但し、R6及びR7のいずれか一方が水素原子であれば、他方は、炭素数1〜15の直鎖炭化水素基または炭素数1〜15の分岐状炭化水素基を示す。R6及びR7は、連結していてもよい。)で表されるカルボニル化合物、及び酸触媒の存在下に脱水縮合反応させて、式(III)(式中、X1が水酸基である場合は、X2はR1、X3はR2、X4はR3、X5はR4を示し、X3が水酸基である場合は、X2はR1、X1はR2、X5はR4、X4はR5を示す。R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は前記と同じ意味を示す。)で示されるアルキリデンビスアルキルフェノールを製造する方法において、酸触媒として、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸及び2−ナフタレンスルホン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族スルホン酸と、50〜85重量%の硫酸水溶液とを併用することを特徴とするアルキリデンビスアルキルフェノール(III)の製造方法。 脱水縮合の反応温度が40〜100℃であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。 脱水縮合反応時に、さらに炭化水素溶媒が存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。 カルボニル化合物(II)がアルデヒドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。 アルキルフェノール(I)が、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、4−t−ブチル−2−メチルフェノール、2−t−ブチル−6−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−t−ペンチル−4−メチルフェノール、4−t−ペンチル−2−メチルフェノール、2−t−ペンチル−6−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ペンチルフェノール、2,6−ジ−t−ペンチルフェノール、2,6−ジイソブチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチルフェノール、4−t−ブチル−2−エチルフェノール、2−t−ブチル−6−イソプロピルフェノール、2−t−ブチル−4−ベンジルフェノール、2−t−ブチル−4−(m−トリル)フェノール及び2−ベンジル−4,5−ジメチルフェノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルキルフェノール(I)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法によって得られたアルキリデンビスアルキルフェノール(III)を脱水したのち、式(IV)(式中、R8は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基またはフェニル基を表し、Yは水酸基、ハロゲン、炭素数1〜3のアルコキシ基又は式(V)[式(V)中、R8は前記と同じ意味を表す]で表される基)に記載のカルボン酸類と反応させることを特徴とする式(VI)(式中、X6のいずれか一方が式(V)で表される場合は、他方のX6は水酸基、X2はR1、X7はR2、X4はR3、X5はR4を表す。X7のいずれか一方が式(V)で表される場合は、他方のX7は水酸基、X2はR1、X6はR2、X5はR4、X4はR5を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7は前記と同じ意味を表す。)に記載のアルキリデンビスアルキルフェノールモノエステルの製造方法。 【課題】 陰イオン系界面活性剤を用いることがなくとも未反応のアルキルフェノールの残存量が少なく、分液性に優れ、しかも共沸脱水を必要としないアルキリデンビスアルキルフェノールの製造方法を提供する。【解決手段】 アルキルフェノール、カルボニル化合物、及び酸触媒の存在下に脱水縮合反応させて、アルキリデンビスアルキルフェノールを製造する方法において、酸触媒として、p−トルエンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸及び2−ナフタレンスルホン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族スルホン酸と、50〜85重量%の硫酸水溶液とを併用することを特徴とするアルキリデンビスアルキルフェノールの製造方法。【選択図】 なし