タイトル: | 公開特許公報(A)_ヘプシジンを用いた鑑別診断 |
出願番号: | 2004308059 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,G01N33/68,G01N33/53 |
ポール リーマン ラルフ レーディッガー JP 2005134387 公開特許公報(A) 20050526 2004308059 20041022 ヘプシジンを用いた鑑別診断 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー 591003013 F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 ポール リーマン ラルフ レーディッガー DE 10349124.4 20031022 7G01N33/68G01N33/53 JPG01N33/68G01N33/53 D 9 OL 15 2G045 2G045DA36 2G045FB03 2G045JA01 本発明は、炎症性慢性疾患を検出するためのマーカー、特に炎症性慢性疾患及び/又は非炎症性慢性疾患を検出する鑑別診断のためのマーカーとしてのヘプシジンの使用に関する。本発明はまた、ヘプシジンを測定することを含む、炎症性慢性疾患、非炎症性慢性疾患及び/又は急性期反応の検出方法に関する。 慢性疾患は広範囲にわたっており、多種多様な器官の多数の炎症性疾患及び非炎症性疾患を含むものである。慢性疾患は罹患した患者の生活の質を顕著に制限することがある。従って、慢性疾患患者の治療及びケアを最適化するために、より迅速なかつ信頼性のある診断方法の提供が望まれている。 疾患を診断するために、γグロブリン、血糖値又は他の血液値などの特定の生理的パラメーターの測定が行われている。しかしながら、非炎症性慢性疾患、炎症性慢性疾患及び/又は急性期反応を区別する又はこれらを判定することは困難である。また、多くの慢性疾患では依然として特異的なマーカーが存在しない。例えば、従来、慢性炎症性疾患を診断するために一般的な炎症性マーカーが使用されている。しかしながら、この使用においては、これらのパラメーターの多くが慢性炎症患者ばかりでなく、感染又は傷害などの急性期反応においても上昇又は変化するという問題がある。 従って、慢性疾患と関連した診断の目的に適切な新規マーカーが必要とされている。特に、非炎症性慢性疾患、炎症性慢性疾患及び/又は急性期反応を区別可能なマーカーが必要とされている。Parkら,J. Biol. Chem.,Vol.276,No.11,7806-7810頁,2001年Nicolasら,Blood cells, Molecules and Diseases,29(3),327-335頁,2002年 本発明の目的は、非炎症性慢性疾患、炎症性慢性疾患及び/又は急性期反応を区別可能な新規マーカー提供することである。 驚くべきことに、本発明者は、ヘプシジンが、炎症性慢性疾患を検出するためのマーカー、特に炎症性慢性疾患及び/又は非炎症性慢性疾患を検出する鑑別診断におけるマーカーとして使用しうることを見出した。発明の実施するための最良の形態 ヘプシジンは、ヘプシジノーゲンから切断される、20アミノ酸(配列番号1)、22アミノ酸(配列番号2)又は25アミノ酸(配列番号3)からなるペプチドである(Park et al., J. Biol. Chem. Vol. 276, No. 11, p. 7806-7810, 2001)。ヘプシジンは肝臓で産生され、鉄代謝において重要な役割を果たす(Nicolas et al., Blood cells, Molecules and Diseases (2002) 29(3): 327-335)。 現在、ヘプシジンは、マクロファージから赤血球前駆細胞への鉄の放出を調節し、ヘプシジンレベルの上昇が鉄放出を抑制すると推定されている。マクロファージにおいては、高濃度の鉄は、誘導型一酸化窒素合成酵素を増大させる。これは、サイトカイン産生を誘導し、またこれが慢性炎症を引き起こしうる。 従って、ヘプシジンマーカーを用いることにより、例えば機能鉄欠乏、ヘモクロマトーシス、糖尿病、関節リウマチ、動脈硬化、腫瘍又は腎不全を特徴とする慢性疾患を有利に診断することが可能である。 ヘプシジンは、例えば、血清、血漿又は尿から測定することができる。血清から測定することが好ましい。測定したヘプシジンの変量の基準値は、例えば約0〜1000ng/ml、特に100〜500ng/mlの範囲内である。特に好ましい基準範囲は、約200〜260ng/mlである。基準範囲内の任意の値を測定の閾値として用いることができ、例えば0〜1000ng/mlの範囲内の値である。100〜500ng/mlの値を閾値として使用することが好ましい。 ヘプシジンの測定は、例えば、DRG社(Marburg, Germany)製のHepcidin Prohormone ELISA試験を用いて行うことができる。 特に良好でかつ信頼性のある診断は、ヘプシジンのほかに1以上のマーカーを使用した場合に可能である。炎症性慢性疾患及び/又は非炎症性慢性疾患の検出に好適なマーカーを測定することが好ましい。好ましいマーカーとしては、例えば、急性期タンパク質、急性期タンパク質合成の調節因子、ホモシステイン、hs−CRP、SAA、C反応性タンパク質(CRP)、血清アミロイドA(SAA)、α1−抗キモトリプシン、酸性α1糖タンパク質、α1抗トリプシン、ハプトグロビン、フィブリノーゲン、補体成分C3、補体成分C4、青斑プラスミン(coeruloplasmin)、インターロイキン6(IL−6)、白血病阻害因子(LIF)、オンコスタチンM、インターロイキン11(IL−11)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、インターロイキン1α(IL−1α)、インターロイキン1β(IL−1β)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、腫瘍壊死因子β(TNFβ)、インスリン、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、肝細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)、及び/又はインターフェロンがある。さらに、当該分野で使用される他のマーカーを使用することも可能である。 ヘプシジンに加えて1以上のマーカーを使用することにより、疾患の診断がより正確にかつ信頼性のあるものとなりうる。その結果、罹患患者の精神的・身体的ストレスは、特定の治療手段によりさらに迅速に軽減され又は排除されうる。複数のマーカーの使用は、患者が慢性疾患のほかに1以上の別の疾患を患う場合に特に有利である。 いくつかの診断の問題においては、非炎症性慢性疾患及び/又は炎症性慢性疾患の存在を区別することが特に望ましい。驚くべきことに、今回、この区別がヘプシジン及びホモシステインのマーカーを測定することにより可能であることが見出された。 従って、有利な実施形態において、本発明は、(i)ヘプシジン、及び(ii)ホモシステインを測定することを含む、慢性疾患の検出方法に関する。 本発明に係る方法は、炎症性慢性疾患及び/又は非炎症性慢性疾患を検出するために使用しうる。特に、ヘプシジン及びホモシステインの検出は、非炎症性慢性疾患及び/又は炎症性慢性疾患の存在を区別することができ、あるいは非炎症性慢性疾患及び/又は炎症性慢性疾患の明確な分類を行うことができる点で有利である。これに関して、ヘプシジン量の増大は炎症性慢性疾患の存在を示し、これに対してホモシステイン量の増大は非炎症性慢性疾患を示す。 本発明に係る方法により検出されうる炎症性慢性疾患は、例えばヘモクロマトーシス、糖尿病, 関節リウマチ及び他のリウマチ様疾患、動脈硬化、脈管炎、腫瘍、腎不全、並びに全身性エリテマトーデスがある。本発明に係る方法により検出されうる非炎症性慢性疾患としては、例えばビタミン欠乏、特にB6、B12及び葉酸欠乏、ニコチン酸欠乏症、索性脊髄症、仮性脳炎(pseudoencephalitis)、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、並びに血管疾患(例えば、冠状動脈性心臓病及び末梢性閉塞性動脈疾患)がある。 ヘプシジン及び閾値の測定は上述の通りである。 ホモシステインは、例えば、血清、血漿又は尿から測定することができる。血清から測定することが好ましい。測定したホモシステインの変量の基準値は、約3〜18μmol/l、好ましくは約5〜15μmol/lの範囲内、特に約15μmol/lである。基準範囲内の任意の値を測定の閾値として用いることができ、例えば12、13、14又は15μmol/lである。15μmol/lを閾値として使用することが好ましい。 本発明に係る方法の実施形態において、以下の群への分類を行うことが好ましい: a)慢性疾患なし、 b)炎症性慢性疾患あり、 c)非炎症性慢性疾患あり、並びに d)炎症性慢性疾患及び非炎症性慢性疾患あり 以下の表は、ヘプシジン及びホモシステインの測定に基づいた分類モデルを説明する。 また本発明に係る方法の実施形態において、ヘプシジン及びホモシステインのほかに追加の1以上のマーカーを使用することが可能である。好適なマーカーは上記に例示している。 日常的な臨床においては、類似した症候を示すことがある炎症性慢性疾患及び/又は一時的急性期反応の存在を診断又は区別することが望まれる場合に問題が起こることが多い。一般的な炎症性マーカーの使用は、通常、これらのマーカーが一時的急性期反応とそして慢性炎症性疾患において増大する又は変化する場合に不十分である。今回、ヘプシジンと、急性期タンパク質及び/又は急性期タンパク質合成の調節因子を測定することによって、炎症性慢性疾患と一時的急性期反応を区別可能であることが見出された。 従って、本発明の有利な実施形態は、(i)ヘプシジン、並びに(ii)急性期タンパク質及び/又は急性期タンパク質合成の調節因子を測定することを含む、炎症性慢性疾患及び/又は急性期反応の検出方法に関する。 本発明に係る方法において測定しうる急性期タンパク質の例としては、例えば、C反応性タンパク質(CRP)、血清アミロイドA(SAA)、α1−抗キモトリプシン、酸性α1糖タンパク質、α1抗トリプシン、ハプトグロビン、フィブリノーゲン、補体成分C3、補体成分C4、及び/又は青斑プラスミン(coeruloplasmin)がある。急性期タンパク質合成の調節因子の例としては、例えば、インターロイキン6、白血病阻害因子(LIF)、オンコスタチンM、インターロイキン11、毛様体神経栄養因子(CNTF)、インターロイキン1α(IL−1α)、インターロイキン1β(IL−1β)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、腫瘍壊死因子β(TNFβ)、インスリン、繊維芽細胞増殖因子、肝細胞増殖因子、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)、及び/又はインターフェロンがある。CRP、SAA、IL6、IL1及び/又はTNFαを測定することが好ましい。C反応性タンパク質は、特に、本発明に係る方法においては急性期タンパク質として測定することが好ましい。 ヘプシジンの基準値及び測定方法は上述の通りである。 測定したC反応性タンパク質の変量の好適な基準値は、例えば約7〜13mg/l、好ましくは約8〜12mg/l、特に好ましくは約9〜11mg/lの範囲内であり、特に約10mg/lである。基準範囲内の任意の値を測定の閾値として用いることができ、例えば9、10又は11mg/lである。10mg/lを閾値として使用することが好ましい。 本発明に係る方法の実施形態において、以下の群への分類を行うことが好ましい: a)急性期反応なし、炎症性慢性疾患なし、 b)急性期反応と共に炎症性慢性疾患あり、 c)急性期反応あり、炎症性慢性疾患なし、及び d)炎症性慢性疾患あり、急性期反応なし ヘプシジンと、急性期タンパク質及び/又は急性期タンパク質合成の調節因子の測定によって、炎症性慢性疾患及び/又は一時的急性期反応の存在を区別することが可能になる点で有利である。この場合、ヘプシジン量の増大は炎症性慢性疾患の存在を示し、急性期タンパク質及び/又は急性期タンパク質合成の調節因子の量の増大は一時的急性期反応の存在を示す。 以下の表は、ヘプシジン及びC反応性タンパク質(CRP)の測定に基づいた分類モデルを説明する。 図に示すようなヘプシジン量の上昇と正常CRP値との組合せに関して、このような組合せの発生は、基本的に可能であるが、ほとんど起こる可能性がない。 また、本発明に係る方法の実施形態においては、ヘプシジン並びに急性期タンパク質及び/又は急性期タンパク質合成の調節因子のほかに追加の1以上のマーカーを使用することが可能である。好適なマーカーは上記に例示している。 患者を診断する場合、炎症性慢性疾患と非炎症性慢性疾患とを区別し、また炎症性慢性疾患と急性期反応とを区別することが必要な場合が多くある。この区別は、パラメーターであるヘプシジン、ホモシステイン、並びに急性期タンパク質及び/又は急性期タンパク質合成の調節因子を測定することによって可能となることが有利である。 従って、本発明に係る方法の特に好ましい実施形態では、以下の(i)ヘプシジン、(ii)ホモシステイン、並びに(iii)急性期タンパク質及び/又は急性期タンパク質合成の調節因子を測定する。 本実施形態において測定されるパラメーターの基準値は、本発明に係る方法の他の実施形態において記載され、上述したものに対応する。 本実施形態においては、炎症性慢性疾患、一時的急性期反応及び/又は非炎症性慢性疾患を診断することが可能である点で有利である。またこの実施形態において、以下の群への分類を行うことが好ましい: a)非炎症性慢性疾患及び炎症性慢性疾患のいずれもなし、急性期反応なし、 b)非炎症性慢性疾患あり(炎症性慢性疾患なし、急性期反応なし)、 c)炎症性慢性疾患及び急性期反応あり(非炎症性慢性疾患なし)、 d)炎症性慢性疾患あり(急性期反応なし、非炎症性慢性疾患なし)、 e)非炎症性慢性疾患及び急性期反応あり(炎症性慢性疾患なし)、 f)急性期反応あり(非炎症性慢性疾患及び炎症性慢性疾患のいずれもなし)、 g)非炎症性慢性疾患及び炎症性慢性疾患あり、急性期反応あり、 h)非炎症性慢性疾患及び炎症性慢性疾患あり(急性期反応なし) a)群に分類される患者は、慢性疾患も急性期反応も示すことなく、さらなる処置は必要ではない。 マーカーi)、ii)及びiii)の測定値に基づいてb)群に分類される患者は、非炎症性慢性疾患に罹患している。炎症性慢性疾患又は急性期反応は存在しない。考えられ得る疾患としては、例えば、神経系(例えば索性脊髄症又は仮性脳炎)のビタミンB欠乏症、ニコチン酸欠乏症、神経変性疾患(例えばアルツハイマー病)、又は血管疾患(例えば冠状動脈性心臓病若しくは動脈疾患)がある。 c)群に分類される患者は、炎症性慢性疾患に罹患し、急性期反応を示す。この患者には非炎症性慢性疾患は存在しない。考えられ得る疾患としては、例えば、膵炎、肝炎、リウマチ様疾患、全身性エリテマトーデス及び脈管炎がある。 d)群に分類される患者は、炎症性慢性疾患に罹患している。急性期反応又は非炎症性慢性疾患は存在しない。考えられ得る疾患としては、例えば、慢性貧血及び腫瘍疾患がある。 e)群に分類される患者は、非炎症性慢性疾患及び急性期反応を示す。炎症性慢性疾患は示さない。 f)群に分類される患者は、非炎症性慢性疾患にも炎症性慢性疾患にも罹患していない。この患者は急性期反応を示すのみである。 g)群に分類される患者は、非炎症性慢性疾患、並びに炎症性慢性疾患及び急性期反応を示す。 h)群に分類される患者は、非炎症性慢性疾患、及び炎症性慢性疾患を有するが、急性期反応は示さない。 本発明に係る方法の全ての実施形態において、前述したパラメーターに加えて1以上のマーカーを測定してもよい。好ましくは、以下のマーカーを測定しうる:ホロトランスコバラミンII、メチルマロン酸、シスタチオニン、急性期タンパク質、急性期タンパク質合成の調節因子、トランスフェリン、可溶性トランスフェリン受容体(sTfR)、フェリチン、クレアチニン、ヘモグロビン、血糖、トリグリセリド、コレステロール、亜鉛、プロトポルフィリン、ミオグロビン、ヘモシデリン、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ及びシトクロム。さらに、当該分野において使用される他のマーカーもまた使用することができる。本発明のマーカーと他のマーカーとの組合せによって、1つの診断ステップにおいて同定しようとする疾患の種類が広範囲となる点で有利である。 また、本発明に係る方法により、鑑別診断を行うことができる。鑑別診断の目的は、類似の症候、又は場合によっては同一の症候を示す疾患群の中の1以上の特定の疾患を区別し同定することである。驚くべきことに、本発明に係る方法によって、非常に類似した症候を示すことが多い炎症性慢性疾患、非炎症性慢性疾患及び急性期反応の区別又は同定が可能となる。 さらにまた、本発明に係る方法を、他の診断方法又は鑑別診断方法と組み合わせて用いることも可能である。例えば、本発明に係る方法と鉄代謝障害及び/又はビタミン障害の判定試験とを組み合わせることが特に好ましい。この場合、ビタミンB6、ビタミンB12及び葉酸の均衡の障害を判定することが好ましい。これにより、疾患自体を判定するばかりではなく、多くの場合において1つの診断ステップで疾患の原因(例えばビタミン欠乏など)を判定することができる点で有利である。 本発明をさらに図1〜3と実施例により説明する。 図1は、鉄代謝、及び活性化単球/マクロファージにおけるNO/NOSサイクルの自己調節のモデル、並びに鉄要求細胞の供給のモデルを示す(Weiss, G. et al., 1997)。図1の略語は次の通りである:IFN−γ:インターフェロンγ、iNOS:誘導型一酸化窒素合成酵素、IRE:鉄反応配列、IRE/ヘプシジン:ヘプシジンのIRESへの高アフィニティ結合、LPS:リポ多糖、TNFα:腫瘍壊死因子α、↑及び↓は鉄要求細胞の供給における細胞の反応の増大又は軽減を示す。図1は、トランスフェリン合成が抑制され、トランスフェリン飽和がヘプシジンのアップレギュレーションにより低下することを示す。マクロファージにおいて、高濃度の鉄によって、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)が増大した。これがサイトカイン産生を誘導し、またこれが慢性疾患を引き起こしうる。 図2は、炎症性慢性疾患及び非炎症性慢性疾患における貧血の区別を表している。 図3は、種々のマーカー、例えば、CRP、sTfR、フェリチン、ヘプシジン及びホモシステインを用いた鑑別診断法を示す。症例A〜Hは、本発明に係る方法により区別可能な種々の状態を説明する。CRP、sTfR及びフェリチンは、均質イムノアッセイ(Tina−quant(登録商標)、Roche Diagnostics)により測定し、ホモシステインはAxis-Shields(Oslo, Norway)社製の均質イムノアッセイにより測定し、ヘプシジンはELISA試験(Hepcidin Prohormone ELISA、DRG社製、Marburg, Germany)により測定した。 図3の「コメント」の欄に記載する状態を示す患者A〜Hのマーカー(CRP、sTfR、フェリチン、ヘプシジン及びホモシステイン)を測定した。得られた値を図3に示す。 炎症性慢性疾患の患者283人のマーカー(ヘプシジン、CRP、sTfR及びフェリチン)を測定した。結果を表1に示す。 結果は、ヘプシジンが循環鉄の量のマーカーであることを示す。循環鉄の量が非常に高い場合(sTfR<4mg/l、フェリチン>100μg/l)には、ヘプシジンが放出される(>300μg/l)。循環鉄の量が非常に低い場合(sTfR>4mg/l、フェリチン<30μg/l))には、ヘプシジンの発現が停止する。 以下の閾値がみとめられた:ヘプシジン(推定正常範囲) <100〜300μg/LsTfR/logフェリチン(鉄欠乏の患者(w,m)): 0.9sTfR/logフェリチン(鉄過負荷の患者(w,m)):3.7及び3.4sTfR(鉄欠乏の患者(w,m)): 4.4及び5mg/Lフェリチン(鉄欠乏の患者(w,m)): 15及び30μg/Lフェリチン(鉄過負荷の患者(w,m)): 150及び400μg/LCRP(持続性の急性期反応を示す患者): >5mg/L 本発明に係る方法鑑別診断を行うことができる。本発明に係る方法によって、非常に類似した症候を示すことが多い炎症性慢性疾患、非炎症性慢性疾患及び急性期反応の区別又は同定が可能となる。鉄代謝、及び活性化単球/マクロファージにおけるNO/NOSサイクルの自己調節のモデル、並びに鉄要求細胞の供給のモデルを示す。炎症性慢性疾患及び非炎症性慢性疾患における貧血の区別を示す。図3は、種々のマーカー、例えば、CRP、sTfR、フェリチン、ヘプシジン及びホモシステインを用いた鑑別診断法を示す。 炎症性慢性疾患を検出するためのマーカーとしてのヘプシジンの使用。 炎症性慢性疾患及び/又は非炎症性慢性疾患を検出する鑑別診断におけるマーカーとしてのヘプシジンの使用。 1以上の追加のマーカーを使用する、請求項1又は2記載の使用。 i)ヘプシジン、及び ii)ホモシステインの測定を含む、慢性疾患の検出方法。 炎症性慢性疾患及び/又は非炎症性慢性疾患を検出する、請求項4記載の方法。 以下の群: a)慢性疾患なし、 b)炎症性慢性疾患あり、 c)非炎症性慢性疾患あり、並びに d)炎症性慢性疾患及び非炎症性慢性疾患あり、への分類を行う、請求項5記載の方法。 i)ヘプシジン、並びに ii)急性期タンパク質及び/又は急性期タンパク質合成の調節因子の測定を含む、炎症性慢性疾患及び/又は急性期反応の検出方法。 急性期タンパク質がC反応性タンパク質である、請求項7記載の方法。 以下の群: a)急性期反応なし、炎症性慢性疾患なし、 b)急性期反応と共に炎症性慢性疾患あり、 c)急性期反応あり、炎症性慢性疾患なし、及び d)炎症性慢性疾患あり、急性期反応なし、への分類を行う、請求項8記載の方法。 i)ヘプシジン、 ii)ホモシステイン、並びに iii)急性期タンパク質及び/又は急性期タンパク質合成の調節因子の測定を含む、請求項4〜9のいずれか1項に記載の方法。 以下の群: a)非炎症性慢性疾患及び炎症性慢性疾患のいずれもなし、急性期反応なし、 b)非炎症性慢性疾患あり(炎症性慢性疾患なし、急性期反応なし)、 c)炎症性慢性疾患及び急性期反応あり(非炎症性慢性疾患なし)、 d)炎症性慢性疾患あり(急性期反応なし、非炎症性慢性疾患なし)、 e)非炎症性慢性疾患及び急性期反応あり(炎症性慢性疾患なし)、 f)急性期反応あり(非炎症性慢性疾患及び炎症性慢性疾患のいずれもなし)、 g)非炎症性慢性疾患及び炎症性慢性疾患あり、急性期反応あり、 h)非炎症性慢性疾患及び炎症性慢性疾患あり(急性期反応なし)への分類を行う、請求項10記載の方法。 ホロトランスコバラミンII、メチルマロン酸、シスタチオニン、急性期タンパク質、急性期タンパク質合成の調節因子、トランスフェリン、可溶性トランスフェリン受容体(sTfR)、フェリチン、クレアチニン、ヘモグロビン、血糖、トリグリセリド、コレステロール、亜鉛、プロトポルフィリン、ミオグロビン、ヘモシデリン、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ及びシトクロムから選択される1以上のマーカーを測定する、請求項4〜11のいずれか1項に記載の方法。 鑑別診断を行う、請求項4〜12のいずれか1項に記載の方法。 鉄代謝の障害及び/又はビタミンの障害を判定するための試験と組み合わせた、請求項4〜13のいずれか1項に記載の方法の使用。 【課題】炎症性慢性疾患を検出するためのマーカー、特に炎症性慢性疾患及び/又は非炎症性慢性疾患を検出する鑑別診断のためのマーカーを用いて、慢性疾患患者の治療およびケアを最適化するためより迅速なかつ信頼性のある診断方法を提供する。【解決手段】鑑別診断マーカーとしてヘプシジンおよびホモシステインを検出することにより、非炎症性慢性疾患および/または炎症性慢性疾患の存在を区別でき分類ができる。ペプシジン量の増大は炎症性慢性疾患の存在を示し、これに対してホモシステイン量の増大は非炎症性慢性疾患を示す。【選択図】なし配列表20041117A16333全文3 炎症性慢性疾患を検出するためのマーカーとしてのヘプシジンの使用。 炎症性慢性疾患及び/又は非炎症性慢性疾患を検出する鑑別診断におけるマーカーとしてのヘプシジンの使用。 i)ヘプシジン、及び ii)ホモシステインの測定を含む、慢性疾患の検出方法。 以下の群: a)慢性疾患なし、 b)炎症性慢性疾患あり、 c)非炎症性慢性疾患あり、並びに d)炎症性慢性疾患及び非炎症性慢性疾患あり、への分類を行う、請求項3記載の方法。 i)ヘプシジン、並びに ii)急性期タンパク質及び/又は急性期タンパク質合成の調節因子の測定を含む、炎症性慢性疾患及び/又は急性期反応の検出方法。 以下の群: a)急性期反応なし、炎症性慢性疾患なし、 b)急性期反応と共に炎症性慢性疾患あり、 c)急性期反応あり、炎症性慢性疾患なし、及び d)炎症性慢性疾患あり、急性期反応なし、への分類を行う、請求項5記載の方法。 i)ヘプシジン、 ii)ホモシステイン、並びに iii)急性期タンパク質及び/又は急性期タンパク質合成の調節因子の測定を含む、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。 以下の群: a)非炎症性慢性疾患及び炎症性慢性疾患のいずれもなし、急性期反応なし、 b)非炎症性慢性疾患あり(炎症性慢性疾患なし、急性期反応なし)、 c)炎症性慢性疾患及び急性期反応あり(非炎症性慢性疾患なし)、 d)炎症性慢性疾患あり(急性期反応なし、非炎症性慢性疾患なし)、 e)非炎症性慢性疾患及び急性期反応あり(炎症性慢性疾患なし)、 f)急性期反応あり(非炎症性慢性疾患及び炎症性慢性疾患のいずれもなし)、 g)非炎症性慢性疾患及び炎症性慢性疾患あり、急性期反応あり、 h)非炎症性慢性疾患及び炎症性慢性疾患あり(急性期反応なし)への分類を行う、請求項7記載の方法。 ホロトランスコバラミンII、メチルマロン酸、シスタチオニン、急性期タンパク質、急性期タンパク質合成の調節因子、トランスフェリン、可溶性トランスフェリン受容体(sTfR)、フェリチン、クレアチニン、ヘモグロビン、血糖、トリグリセリド、コレステロール、亜鉛、プロトポルフィリン、ミオグロビン、ヘモシデリン、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ及びシトクロムから選択される1以上のマーカーを測定する、請求項3〜8のいずれか1項に記載の方法。