タイトル: | 公開特許公報(A)_パンタグラフすり板検査装置 |
出願番号: | 2004305030 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | G01N 21/84,G01B 11/06 |
渡部 慎一 岡田 誠二 JP 2006118900 公開特許公報(A) 20060511 2004305030 20041020 パンタグラフすり板検査装置 株式会社 日立インダストリイズ 000233077 作田 康夫 100075096 井上 学 100100310 渡部 慎一 岡田 誠二 G01N 21/84 20060101AFI20060407BHJP G01B 11/06 20060101ALI20060407BHJP JPG01N21/84 ZG01B11/06 H 3 2 OL 9 2F065 2G051 2F065AA30 2F065AA49 2F065AA63 2F065BB15 2F065CC00 2F065DD13 2F065FF04 2F065GG08 2F065JJ03 2F065JJ05 2F065JJ19 2F065JJ26 2F065QQ25 2F065QQ31 2F065SS04 2G051AA90 2G051AC01 2G051BC02 2G051CA04 2G051CA07 2G051EA11 2G051EA14 2G051EA21 2G051EB02 2G051EC03 2G051FA01 本発明は電気車用パンタグラフのすり板の摩耗量を検出するためのすり板検査装置に関する。 従来、パンタグラフのすり板の厚さを撮像した画像から求めるものとして特許文献1に記載のものがある。これには、すり板を取り付けたパンタグラフの舟体を前方或いは後方に配置したカメラにより撮影し、得られた画像から舟体の形状を特徴づける部分を切り取り所定の比率で縮小して保存し、複数枚の画像データ(テンプレート)を配置を変えながら相関関係を計算し、舟体の位置を決定する方法など、検査範囲の対象を種々に変えて画像処理してすり板の厚みを測定するものが記載されている。特開2000−180128号公報 上記特許文献1では、画像処理により得られた厚みが正確に求められているものとして処理している。しかしながら、画像処理によって得られたすり板の厚みが常に正しいとは限らず、検出エラーを発生する場合がある。 特に画像処理で、基準線を正確に把握できない場合や、すり板部分に汚れが発生してそれを摩耗と判断することによって、実際の摩耗量と大幅に異なる値を検出値として求める場合がある。 そこで、本発明の目的は、エラーの発生を検出すると共に、エラーの発生した画像を再度画像処理するための機能を付加することで、検出エラーの発生を抑制したすり板検出装置を提供することにある。 上記目的を達成するため、本発明では、電気車用のパンタグラフのすり板部を撮像する複数台のカメラと、すり板部を照射するフラッシュライトと、カメラで撮像した画像を合成し画像処理する画像処理部と、画像処理された画像からすり板の摩耗量を求める摩耗量検出部とを備え、摩耗量検出部が検出した摩耗量の値が正常な値か否かを判別する異常判別部を設け、異常判別部が異常と判別した場合に、撮像画像上に基準点を指定する入力手段を備え、画像処理部が入力手段で指定した基準点に基づいて画像処理を再実行することを特徴とする。 パンタグラフすり板の誤検出、及び画像処理異常を判別して、誤検出や異常を検出した場合に、手動で処理の1部の操作を行えるようにしたために、検出精度を向上させることができる。 図1にパンタグラフすり板計測装置の各機器の配置を示す。 図1において、パンタグラフのすり板部分を撮像するために、線路15を跨いで4本の柱16上に梁17と線路に平行に梁18からなる構造部が設けてある。線路と直角方向に配置された梁17上には、車両の進入方向に向けてすり板部分を照射するためのストロボフラッシュ9aとCMOSカメラ8aがそれぞれ複数台配置されている。なお、本実施例ではそれぞれ2台ずつを配置しているが、設置台数を増やしても良いことは云うまでもない。また、車両の退出方向にも同様にCMOSカメラ8bとストロボフラッシュ9bが配置されている。 さらに、構造物から離れて車両の進入側に車両進入検知センサ6aが、退出側に車両退出検知センサ6bが設けてある。また、通過する車両のパンタグラフのすり板4部を撮像する位置の近傍にパンタグラフ検知センサ5、7を設置してある。例えば、パンタグラフ検知センサ5がパンタグラフの通過を検知すると、その検知信号に基づいて、ストロボフラッシュ9aを照射すると同時に撮像用のCMOSカメラ8aを動作させてすり板部分を撮像する。 さらに、地上側には測定車両の送信機11からの列車番号等の情報を受信するIDアンテナ10が設けてある。 この装置では、車両進入検知センサ6aが車両の進入を検知すると、後述する撮影制御装置2等が起動される。そして、パンタグラフ検知センサ5がパンタグラフの通過を検知すると、ストロボフラッシュ9aが点灯され、同時にCMOSカメラ8aがパンタグラフを撮影する。次に退出側に設けてあるパンタグラフ検知センサ7が、パンタグラフの通過を検知すると、退出側に設置してあるストロボフラッシュ9bとCMOSカメラ8bが動作して、パンタグラフを撮影する。撮影された画像データは、車両情報データ等と一緒に画像処理装置に送信される。そして、その編成の車両のパンタグラフの撮影が終了し、車両進入検知センサ6aが車両の検出を止め且つ車両退出検知センサ6bが車両の検出を停止すると、撮影制御装置等が停止される。 図2にパンタグラフすり板検査処理システムのブロック線図を示す。 図において、撮影部1は、パンタグラフ撮影のための各機器の制御を実行する撮影制御装置2に各機器が接続されている。例えば車両進入検知センサ6a、車両退出検知センサ6b、パンタグラフ検知センサ5、7、CMOSカメラ8a、8b、ストロボフラッシュ9a、9b、IDアンテナ10がそれそれ撮影制御装置2に接続されている。この撮影制御装置2にはこの他に、撮影した画像を画像処理する画像処理装置3が接続されている。なお、画像処理装置3は撮影制御装置2内に組み込まれている場合もある。 画像処理装置2で処理されたデータは、撮影制御装置2がIDアンテナ10等から得た車両情報等と一緒にサーバ装置12に入力され、そこに記憶される。サーバ装置12には操作端末13が接続されており、ここから撮影制御装置2や画像処理装置3の制御条件や処理条件等の変更指令を入力したり、操作端末に含まれる表示装置に撮影画像や処理の途中経過の画像等を表示する。 図3に、画像処理装置における、パンタグラフすり板の摩耗量の検出の処理手順を示す。 図3のフローチャートでは、撮影制御装置2から撮像したパンタグラフの画像データを受信すると画像処理を開始する(ステップ20)。画像処理部21では、まず撮影制御装置2から送られてきた複数枚の撮像画像の中から画像処理に適した画像を選定する(ステップ22)。この選定には、ここでは、撮影画像全体の平均輝度値を用いて選定する。これは、例えば、撮影部1が屋外に設置されていて、24時間常に撮影する場合がある。その場合、時刻によって太陽光の位置が変化する。そのため、CMOSカメラ8a,8bの露出を変化させなければ画像処理に適した画像を撮影できない場合が発生する。そこで、予め露出を段階的に変化させたCMOSカメラ8a,8bを複数台設置しておき、それらのCMOSカメラでパンタグラフのすり板4を同時に撮影する。次に、それぞれのCMOSカメラの撮影した画像の平均輝度値を算出し、最も画像処理に適した画像を選定する。例えば、平均輝度値が50(暗)〜200(明)の間に段階的に複数台のCMOSカメラで撮影された場合、その中から、予め設定した最適値に最も近い画像を選択する。最適値は、フラッシュライトの設置台数や設置向き、及びパンタグラフのすり板周辺の屋根上機器設置状態により設定する。平均輝度値が49以下(暗い)の場合は、フラッシュライト光を適切に撮影できていないことになるため、選択対象外とするべきである。平均輝度値が201以上(明るい)の場合は、主に太陽光による影響を受けすぎている画像と判断できるため、選択対象外とするべきである。 また、画像全体で平均輝度値を算出した場合に特異なノイズ成分(例えばパンタグラグに付着した汚れやすり板の部分的な欠損(荒損))が画像に含まれる場合は、平均輝度値を算出するエリアを画像の一部に限定することで、意図する平均輝度値を求める方法をとっても良い。さらに判定方法を、撮影時刻によって選定する方法も考えられる。また、カメラ側に自動露出機能を備えたものを用いるようにしても良い。 2つ目の手順として、モザイク処理(ステップ23)によって2枚の撮影画像を1枚に結合した結合画像40を作成する。このとき2枚の撮影画像に写っているパンタすり板が直線になるように画像を回転させて結合する(図5参照)。 3つ目の手順として、結合画像40の中から、パンタグラフ本体が撮影されている場所を大まかに位置決めする粗位置決め(ステップ24)を行う。粗位置決め23は輝度値の2値化処理で得られた領域の中から、面積が一定以上有り、且つ、形状がすり板本体に近い形をした領域を検出している。また撮影画像におけるパンタグラフ本体(舟体)の撮影位置は車両の速度や横揺れにより生じる変化を予測することが可能なので、撮影画像の中からパンタグラフ本体が撮影されていると予測される一定範囲内の平均輝度値(例えば平均輝度値が90〜100の場合に)基に2値化処理閾値の下限を動的(下限値を110〜120に)に変化させている。さらに2値化の閾値は大きい値(高い輝度値)から徐々に下限値まで小さくしていくことで、検出される領域が徐々に大きくなることを利用して誤検出を防止している。 4つ目の手順として、粗位置決め(ステップ24)によって判った、パンタグラフ本体の両端の補助すり板42aと42bが架線との接触により摩耗せずに常に基準の直線上に存在することを利用して、補助すり板42aの範囲でエッジ検出した垂直方向の位置の平均値と補助すり板42bの同平均値が水平になるように結合画像40を回転させ、水平化処理(ステップ25)を行う。エッジの検出は、すり板上面と側面の輝度差が一定値よりも大きい位置を検出する方式を用いている。この方式は、水平化処理(ステップ25)における補助すり板42aと42bのエッジ検出とエッジ検出処理(ステップ26)で相違はないが、閾値については、エッジ検出処理(ステップ26)の検出閾値よりも大きい値を得る(輝度値10〜20程度)ことで、誤検出を防止している。誤検出を防止する反面、検出できないことがあるが、一定の範囲内で検出できた値の平均値を求めているので、問題はない。 5つ目の手順として、エッジ検出処理(ステップ26)でパンタグラフすり板41及び補助すり板42aと42b、のエッジを検出する。 6つ目の手順として、検出したエッジからすり板の摩耗量の算出(ステップ27)を行い、最小すり板厚さ他の測定値を求める。すり板厚さの算出は、補助すり板42a,42bのエッジを基準線として、すり板4の検出したエッジと基準線からの距離の最大値すなわち、垂直方向の差の最大値をすり板の最大摩耗量とし、新製時のすり板厚さからすり板の最大摩耗量を減算した値を最小のすり板厚さとする。 以上述べた画像処理部21の手順の中で、画像の選定(ステップ22)、粗位置決め(ステップ24)、水平化処理(ステップ25)、エッジ検出処理(ステップ26)では次の手順へ進むための結果を得られないことがあり、その場合は直に、画像処理を終了(ステップ28)し、異常判定処理部29で、画像処理異常と判定する。 画像処理異常となる例を下記に示す。 画像の選定(ステップ22)の場合では、画像処理に適した平均輝度値の画像がない場合に画像処理異常となる。 粗位置決め(ステップ24)の場合では、2値化閾値下限を求める範囲内にハレーション等のノイズ成分が多く含まれている等の理由により、2値化閾値下限が正しく求められず、2値化によって得られる領域からパンタグラフすり板本体を検出できない場合に画像処理異常となる。 水平化処理(ステップ25)の場合では、エッジを一定範囲連続して検出できない場合に画像処理異常となる。エッジ検出処理(ステップ26)はエッジを検出するための輝度差の閾値を低めに設定するので、実際にはほとんど発生しない。 一方、後者の画像処理誤検出の場合は、誤検出した画像処理結果からすり板厚さを計測してしまうために、画像処理結果から画像処理の失敗を判定することができない。そこで、本装置の撮影部1が車両基地の入出庫線のように、同位置の車両を繰り返し自動計測することが可能な場所に設置されていることを前提として、同一パンタグラフの計測間隔におけるパンタグラフすり板の経年変化量と、今回計測したすり板厚さ最小値と前回自動計測したすり板厚さの最小値を比較して、その差が一定値以上ある場合に(図3では2mm以上の差がある場合を誤検出と判断)、誤検出と判定する。 異常判定処理部29では、まず、画像処理異常の有無を調べる(ステップ30)。画像処理異常があれば画像処理異常(ステップ31)として、警告Bを操作端末13に設けてある警報ウインドに報知する。なお画像処理異常が発生した場合はどの時点(ステップ)で発生したかも合わせて報知する。もし、画像処理異常がないと判断した場合は誤検出(摩耗量の異常)の判定を実行する(ステップ35)。そこで、誤検出と判定した場合は、画像処理誤検出(ステップ33)として操作端末13の警報ウインドで警告Aを報知する。誤検出がない場合は、画像処理成功として、処理結果を報知する。もし、異常判定処理部29で、画像処理異常(ステップ30)又は画像処理誤検知(ステップ35)と判定した場合は、先に説明したように、直後に操作端末5とサーバ装置4に設けてある表示部に警報ウインドウをポップアップ表示する。図6に警告表示の一例を示す。図6の(a)には警告Aの表示例を、(b)には警告Bの表示例を示している。警報ウインドウは確認ボタンを押下げるまで表示し続ける。警報ウインドウ上には、図6に示すように、当該車両の編成番号やパンタグラフ番号、計測日時の他に警報出力の理由として、画像処理異常か画像誤検知なのかを明示する。また、警報ウインドウの表示と同時に警報アラームを鳴動させて注意を促す。警報アラーム音は、画像処理異常と画像誤検知で異なるものとする。その後サーバ装置4には警報情報を蓄積し、この警報情報はいつでも参照可能にする。またこの警報ウインドウ表示が出されると、手動操作が可能となる。 図4に、手動処理の処理手順を示す。 手動計測では自動計測の画像処理(ステップ21)のモザイク処理(ステップ23)までを予め実行し、1枚の結合画像40を作成する。その後、結合画像40を手動計測手順の初期画像として表示し、作業者は下記の手順操作で画面を見ながらマウス等を用いて基準点を入力することで、すり板厚さを計測することができる。 水平化処理(ステップ24)は、パンタグラフの補助すり板上面と側面の境界(エッジ)位置を左右2点(42a、42b)をマウス操作により入力する(ステップ25’)。このとき、マウス矢印周辺は拡大表示ウインドウで拡大表示することで、高精度に入力することができる。この入力された2点を直線(基準線となる)で結び、この直線が水平になるように結合画像を回転処理する(図5参照)。 すり板の厚さ計測処理は、水平化処理操作(ステップ24)の後の画像43上の最小すり板厚さのすり板上面と側面の境界位置43を1点マウスにより入力する。この選択したポイント43とポイント42a、42bを結んだ直線の垂直距離をすり板厚さの最小値とする(ステップ26)。 上記では最小すり板厚さの位置も手動で入力したが、基準線以降の処理を画像処理により自動で求めることも可能である。パンタすり板検出装置の各機器の配置を示す図である。パンタすり板検出処理システムのブロック線図である。パンタすり板の厚さ検出のフローチャートである。手動処理を行う場合のフローチャートである。水平化処理の状況を説明するための図である。警告の表示例を示す図である。符号の説明 1…撮像部、2…撮影制御装置、3…画像処理装置、4…すり板、5…パンタグラフ検知センサ、6a…車両進入検知センサ、6b…車両退出検知センサ、7…パンタグラフ検知センサ、8a,8b…CMOSカメラ、9a,9b…ストロボフラッシュ、10…IDアンテナ、11…車両側送信機、12…サーバ装置、操作端末。 電気車用のパンタグラフのすり板部を撮像する複数台のカメラと、すり板部を照射するフラッシュライトと、前記カメラで撮像した画像を合成し画像処理し、画像処理された画像からすり板の摩耗量を求める画像処理部を備えたパンタグラフすり板検査装置において、 前記画像処理部が検出した処理結果が正常か否かを判別する異常判定処理部を設け、前記異常判定処理部が異常と判別した場合に、撮影画像上に基準点を指定する入力手段を備え、前記画像処理部が前記入力手段で指定した基準点に基づいて画像処理を再実行することを特徴とするパンタグラフすり板検査装置。 請求項1に記載のパンタグラフすり板検査装置において、 前記異常判定処理部では画像処理途中の画像処理異常と、画像処理により求めた摩耗量の異常を区別して報知する構成としたことを特徴とするパンタグラフすり板検査装置。 請求項2に記載のパンタグラフすり板検査装置において、 前記摩耗量の異常は、同一パンタグラフの計測間隔におけるパンタグラフすり板の経年変化量と、今回計測したすり板厚さ最小値と前回自動計測したすり板厚さの最小値を比較して、その差が一定値以上ある場合に摩耗量異常と判定することを特徴とするパンタグラフすり板検査装置。 【課題】 従来のパンタグラフのすり板の摩耗検出を画像処理を用いて行った場合、画像処理異常や誤検出がなされても、最終処理結果しか報知されなかった。 【解決手段】 本発明では、画像処理異常や誤検出を判定する異常判定処理部を設けて、画像処理異常や、誤検出と判定された場合には、再度処理を行ないその画像処理の途中に誤検出や処理異常の発生しやすい基準線の設定を、入力手段より管理者が基準点を入力することで基準線設定処理を行わせることで処理異常や誤検出を回避したデータを求めることができるようにしたものである。 【選択図】 図2