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タイトル:公開特許公報(A)_油性軟膏剤
出願番号:2004303838
年次:2006
IPC分類:A61K 47/34,A61K 9/06,A61K 47/06,A61P 17/02


特許情報キャッシュ

太田 陽一 小林 優子 杵村 裕美子 中谷 善昌 JP 2006117539 公開特許公報(A) 20060511 2004303838 20041019 油性軟膏剤 株式会社資生堂 000001959 岩橋 祐司 100092901 太田 陽一 小林 優子 杵村 裕美子 中谷 善昌 A61K 47/34 20060101AFI20060407BHJP A61K 9/06 20060101ALI20060407BHJP A61K 47/06 20060101ALI20060407BHJP A61P 17/02 20060101ALI20060407BHJP JPA61K47/34A61K9/06A61K47/06A61P17/02 6 OL 18 4C076 4C076AA08 4C076BB22 4C076BB31 4C076CC09 4C076DD34A 4C076DD37T 4C076DD38X 4C076DD46A 4C076EE23A 4C076FF36 4C076FF52 本発明は、油性軟膏剤、特に炭化水素系油分からなる軟膏基剤を含有する油性軟膏剤における塗布時ののび、べたつきなどの使用性、薬物の分散性、さらには油分の油浮きや離漿などの経時安定性の改善に関する。 従来、軟膏剤には様々な基剤が用いられており、炭化水素系油分からなる油性軟膏基剤として、例えば、ワセリン、プラスチベース、ポロイド等が挙げられる。炭化水素系油分からなる油性軟膏基剤は、他の油性軟膏基剤、マクロゴール軟膏等の水性軟膏基剤、乳剤性軟膏基剤、あるいはそれらの混合基剤からなる軟膏基剤と比較して、皮膚刺激性がなく安全性が高いという特徴を有しているため、乾燥皮膚あるいは湿潤皮膚のいずれにも適用することができ、また、味や匂いが無いという特徴を有していることから、口唇や口中等の粘膜部位に対しても好適に用いられている。 炭化水素系油分からなる油性軟膏基剤として、従来、特によく用いられているのは、ワセリンやプラスチベースである。非特許文献1によれば、ワセリンの主成分はC24〜C34の炭化水素であり非晶質である。ワセリンは流動パラフィンとパラフィンとの単なる混合物ではなく、固形のパラフィンが外相を、液体の流動パラフィンが内相を構成するコロイド状態で存在すると考えられている。ワセリン軟膏の特徴は、無味、無臭で、化学的に不活性であり、粘着力があるため広く様々な製剤に用いられている。 ワセリンを用いた油性軟膏剤としては、例えば、抗ウィルス剤であるアシクロビルを配合した軟膏(特許文献1参照)、抗炎症性解熱鎮痛剤であるアスピリンを配合した軟膏製剤(特許文献2参照)、解熱鎮痛消炎剤であるジクロフェナクナトリウムを配合した直腸投与用軟膏製剤(特許文献3参照)、収斂性を有する化合物を配合した口腔用組成物(特許文献4参照)、ユーカリ油とL−システインとを有するアレルギー性皮膚炎用の保湿剤(特許文献5参照)等が従来から用いられてきた。 一方、前記非特許文献1によれば、プラスチベースには種々の等級があり、最も一般的なものは、重質流動パラフィンに平均分子量21,000のポリエチレンを5%の割合にゲル化させたものである。この基剤は温度変化には比較的安定で、5〜40℃の温度範囲で稠度はほとんど変わらず、また、化学的にも極めて安定である。プラスチベース軟膏も従来から様々な製剤に適用されており、例えば、前述のアスピリンを配合した軟膏製剤(特許文献2参照)や、保存安定性、熱安定性に優れた義歯安定剤(特許文献6参照)等が挙げられる。高野雅彦著,「今日の皮膚外用剤」,南山堂,1981年5月15日発行特表2004−503485号公報特開平11−12176号公報特開平10−298059号公報特開平10−87458号公報特開2000−290163号公報特開平2003−93410号公報 しかしながら、ワセリン、プラスチベース等の炭化水素系油分からなる油性軟膏基剤においては、従来、べたつきが生じたり、塗布時にのびが悪いといった使用性上の問題点が知られていた。さらに、系の硬度や粘度が高いため、配合する薬物を均一に分散するためには強力な撹拌力をもつ装置で分散する必要があるといった製造上の制約があったり、また、硬度の調整や薬物の溶解等の目的で他の油分等を配合した場合に、油浮きや離漿が生じてしまうといった経時安定性が悪化してしまうという問題も認められていた。このような油性軟膏基剤の使用性に関し、のびの悪さを改善するために、固形油分に対して流動油分の比を高めて製剤の硬度を下げるという試みも従来からなされているが、この場合、のびが改善される一方で、油分のしみ出しなど系の安定性を損ねてしまうという問題があった。 また、炭化水素系油分からなる油性軟膏基剤中に薬物を配合する場合には、その薬物が水溶性であれ、水難溶性であれ、ほとんどの場合で系に溶解することができないため、結晶状態で分散して配合することが行われてきた。しかしながら、これらの油性軟膏基剤は硬度や粘稠性が高いため、機械的に薬物を分散するのは容易なことではなかった。また、薬物を機械的に分散しやすくするため、系の硬度や粘稠性を著しく低下させた場合には、経時安定性が損なわれてしまい、薬物の凝集や析出等、均一性に問題が認められた。一方で、分散工程の煩わしさを回避する目的から、系に温度をかけて高温状態で系を溶解して薬物の分散処理を容易にする試みも見られたが、系の温度を下げた時に薬物の凝集やブツが生じたり、あるいは結晶の析出や生長が起こったりしてしまい、薬物が不均一になりやすいという問題があった。 さらに、炭化水素油分からなる油性軟膏基剤の中には、プラスチベースのように系の硬度や粘度に温度依存性がみられない基剤もあり、こうした基剤では100℃以上の高温にしなければ系が溶融しない。このため、系に薬物を分散するためには100℃以上の高温にする必要があるが、薬物の安定性を考えた場合には適切な配合方法とは認められない。その他、薬物の分散性を高める方法として、極性の高い油分や溶剤に薬物を溶解または分散して系に加えるという方法が考えられる。しかしながら、この場合には、極性油分等の配合により、かえって系の安定性が損なわれてしまい、経時による油のしみ出しや離漿が見られるようになったり、あるいは極性油分等の配合により刺激性が増大してしまい、粘膜などへの適用が制限されてしまっていた。また、口唇や口中へ適用する場合には、極性油分の配合により苦味や匂いが生じるという問題が見られた。 また、炭化水素系油分からなる油性軟膏基剤は、口唇に対して保護膜をつくるために保湿、保護作用が期待されているが、口唇に対する荒れに対しての改善効果は未だ十分ではない。炭化水素系油分からなる油性軟膏基剤のみでは薬物の浸透性が悪く、配合した薬物の効果が十分に発揮されないばかりか、口唇の荒れの改善に関して効果が無いか、場合によっては悪化させてしまうことが認められた。また、炭化水素系油分からなる油性軟膏基剤以外の油性軟膏基剤や、乳剤性軟膏基剤、あるいはマクロゴール軟膏等の水性軟膏基剤は、口唇等の粘膜への適用により刺激性が強く認められるため、ほとんど使用されていないのが現状である。 本発明者らは上記の種々の問題点を解決するため鋭意検討した結果、炭化水素系油分からなる軟膏基剤を含有する油性軟膏剤において、薬物とともに、特定構造のアルキレンオキシド誘導体を配合することにより、炭化水素系油分からなる軟膏基剤のもつべたつきや、のびの悪さといった使用性の問題が解決され、しかも薬物の分散に関する問題や、他の油分の配合において見られたような油浮きや離漿といった安定性の問題についても解決できることが見出された。さらに、前記特定構造のアルキレンオキシド誘導体を配合した油性軟膏剤においては、以上のような従来技術の問題点が解決されるのみならず、本発明者らの予想に反して、皮膚や粘膜への保湿、保護効果が従来のものと比較して高いことが認められ、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明にかかる油性軟膏剤は、炭化水素系油分からなる軟膏基剤と、薬物と、下記一般式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体とを含有することを特徴とする。 R1O−[(EO)m(AO)n]−R2 (1)(式中、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、mおよびnはそれぞれ前記オキシエチレン基、オキシアルキレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦n≦70である。オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は、20〜80質量%である。オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基はブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。R1、R2は、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基または水素原子であり、R1およびR2の炭化水素基数に対する水素原子数の割合が0.15以下である。) また、前記油性軟膏剤において、オキシエチレン基とオキシアルキレン基がランダム状に付加していることが好適である。また、前記油性軟膏剤において、前記(a)軟膏基剤を20〜98質量%、前記(b)薬物を0.001〜30質量%、前記(c)アルキレンオキシド誘導体を0.1〜60質量%含有することが好適である。また、前記油性軟膏剤において、さらに(d)水分と、(e)湿潤剤とを合計で25質量%以下含有することが好適である。また、前記油性軟膏剤において、さらに(d)水分と、(e)湿潤剤と、(f)親油性非イオン界面活性剤とを合計で25質量%以下含有することが好適である。また、前記油性軟膏剤において、口唇のひび割れ、口唇のただれ、口唇炎、及び口角炎に対して用いることが好適である。 本発明にかかる油性軟膏剤は、炭化水素系油分からなる軟膏基剤を含有する油性軟膏剤において、薬物とともに、特定構造のアルキレンオキシド誘導体を配合することにより、従来の軟膏製剤と比較して、べたつきやのびの悪さといった使用性の問題が改善され、しかも薬物の分散に関する問題や、他の油分の配合において見られたような油浮きや離漿といった安定性の問題も改善される。また、本発明にかかる油性軟膏剤は、特定構造のアルキレンオキシド誘導体を配合することにより、皮膚や粘膜への保湿、保護効果が従来のものと比較して高い。 以下、本発明の好適な実施形態について説明する。 本発明にかかる油性軟膏剤は、(a)炭化水素系油分からなる軟膏基剤と、(b)薬物と、(c)前記一般式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体とを含有することを特徴とするものである。 なお、本発明において油性軟膏剤とは、油性の軟膏基剤、具体的には以下に説明する(a)炭化水素系油分からなる軟膏基剤を用いて、適当な稠度の半固形状に調製された軟膏剤を意味する。 本発明にかかる油性軟膏剤に用いられる(a)軟膏基剤は、炭化水素系油分からなるものであり、例えば、ワセリン、プラスチベース(例えば、重質流動パラフィンに平均分子量21,000のポリエチレンを5%の割合にゲル化させた固形パラフィン)、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、マイクロクリスタリンワックス、アイソパー、合成イソパラフィン、イソヘキサデカン、スクワラン、スクワレン、ゼレン50W、ポロイド、ポリエチレン等が挙げられる。また、本発明においては、これらの軟膏基剤の中から2種以上を選択して組み合わせて用いても良い。 本発明にかかる油性軟膏剤において、(a)炭化水素系軟膏基剤の配合量は20〜98質量%が好適であり、好ましくは30〜95質量%、特に好ましくは40〜90質量%である。炭化水素系軟膏基剤の配合量が20質量%よりも少ないと、系の性状における安定化効果が得らないため、好ましくない。 本発明にかかる油性軟膏剤に用いられる(b)薬物は、水溶性、疎水性いずれのものでも良く、例えば、鎮痛消炎剤、殺菌消毒剤、抗真菌剤、抗生物質、ビタミン剤、血行促進剤、局所麻酔剤、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤、抗ウィルス剤、角質軟化剤、サルファ剤、代謝性剤等が挙げられる。 殺菌消毒剤としては、アクリノール、安息香酸、安息香酸ベルベリン、イソプロパノール、イソプロピルメチルフェノール、エタノール、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩酸クロルヘキシジン、オバノール、過酸化水素、グルコン酸クロルヘキシジン、クレオソート、クレゾール石鹸液、クロロブタノール、酢酸デカリニウム、次亜塩素酸ナトリウム、消毒用エタノール、セトリミド、チモール、トリクロカルバン、濃塩化ベンザルコニウム50、ヒノキチオール、フェノール、ベンジルアルコール、ペンタクロルフェノール、ポビドンヨード、マーキュロクロム、無水エタノール、ヨウ化カリウム、ヨウ素、ヨードチンキ、ヨードホルム、レゾルシン等が挙げられる。 抗真菌剤としては、2,4,6−トリブロムフェニルカプロン酸エステル、5−フルオロシトシン、アムホテリシンB、イソコナゾール、ウンデシレン酸、ウンデシレン酸亜鉛、エキサラミド、エコナゾール、塩酸アモロルフィン、塩酸クロコナゾール、塩酸ジアンタゾール、塩酸テルビナフィン、塩酸ネチコナゾール、塩酸ブテナフィン、オキシコナゾール、グリセオフルビン、クロトリマゾール、ケトコナゾール、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、シクロピロクスオラミン、シッカニン、硝酸イコナゾール、硝酸エコナゾール、硝酸オキシコナゾール、硝酸スルコナゾール、硝酸ミコナゾール、スルコナゾール、チアントール、チオコナゾール、チメロサール、デルマシド、トリクロロフェノールカプロエート、トリコマイシン、トリブロムフェノールカプロエート、トリメチルセチルアンモニウムペンタクロロフェネート、トルシクラート、トルナフテート、ナイスタチン、ナフチフィン、パラアセチルアミノフェニルロダン、バリチオン、ハロプロジン、ビホナゾール、ピマリジン、ピロールニトリン、フェニル−11−ヨード−10−ウンデシノエート、ペンタクロルフェノール、ミコナゾール、木槿皮、ラウリルトリフェニルホスホニウムブロミド、ラノコナゾール、リラナフタート等が挙げられる。 抗生物質としては、例えばβ−ラクタム系抗生物質(ペニシリン類、セファロスポリン類)、アンフォテリシン、エリスロマイシン、塩酸オキシテトラサイクリン、塩酸グラミシジン、塩酸テトラサイクリン、塩酸デメチルクロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、カナマイシン、クラミシジン、グリセオフルビン、クリンダマイシン、クロラムフェニコール、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム、ストレプトマイシン、セファトリジンン、セファレキシン、セファロスポリン、セファロチン、セフメタゾール、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、トリコマイシン、ナイスタチン、ナジフロキサシン、ニトロフラントイン、バシトラシン、フシジン酸ナトリウム、ミノサイクリン、メタサイクリン、メトロニダゾール、ラクトビオエリスロマイシン、硫酸カナマイシン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸コリスチン、硫酸ストレプトマイシン、硫酸フラジオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ポリミキシンB、等が挙げられる。 ビタミン剤としては、例えばビタミンA及びその類縁物質として、肝油、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、ビタミンA、ビタミンA油等、ビタミンB1及びその類縁物質として、塩酸ジセチアミン、塩酸チアミン、オクトチアミン、ジベンゾイルチアミン、硝酸チアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、ビタミンB1、ビタミンB1塩酸塩、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、ベンフォチアミン等、ビタミンB2及びその類縁としてフラビンアデニンジヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、酪酸リボフラビン、リボフラビン、リン酸リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム等、ビタミンB6及びその類縁物質として塩酸ピリドキシン、ジパルミチン酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール等、ビタミンB12及びその類縁物質として塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メコバラミン等、ビタミンC及びその類縁物質としてアスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム等、ビタミンD及びその類縁物質としてビタミンD、ビタミンD1、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、マキサカルシトール、タカルシトール等、ビタミンE及びその類縁物質としてコハク酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロール、ビタミンEコハク酸エステルカルシウム等、その他ビタミン類として、ビタミンF、ビタミンH、ビタミンK1、ビタミンU(メチルメチオニンスルホニウムクロリド)等が挙げられる。 血行促進剤としては、例えばα−ボルネオール、アセチルコリン、イクタモール、イノシトールヘキサニコチネート、エチニルエストラジオール、塩酸エフェドリン、カフェイン、カプサイシン、カロペプタイド、カンタリスチンキ、酢酸トコフェロール、ジエチルスチルベストロール、シクランデレート、ジンゲロン、シンナリジン、タンニン酸、トラゾリン、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ノニル酸ワレニルアミド、ビタミンE、ベラパミル、ポリエチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。 ステロイド類としては、例えばヒドロコルチゾン、プレゾニゾロン、パラメタゾン、ベクロメタゾンプロピオナート、フルメタゾン、ベタメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニドアセテート、プロピオン酸クロベクゾール、アムシノニド、塩酸フルルヘキシジン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、吉草酸ジフルコルドロン、吉草酸デキサメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、酢酸コルチゾン、酢酸ジフロラゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、ジフルプレドナート、ジプロピオン酸ベタメタゾン、ダイクロリゾン、デスオキシメタゾン、パラメタゾン、ハルシノニド、ビバル酸フルメタゾン、ファルネシル酸プレドニゾロン、ブデソニド、フランカルボン酸モメタゾン、フルオシノニド、フルオロメトロン、フルドロキシコルチド、フルドロコルチド、フルドロコルチゾンアセテート、プロピオン酸アルクロメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾン、プロピオン酸デプロドン、プロピオン酸ベタメタゾン、メチルプレドニゾロン等が挙げれる。 局所麻酔剤としては、例えばアミノ安息香酸エチル、塩酸エピロカイン、塩酸オキシブタニカイン、塩酸カタカイン、塩酸コカイン、塩酸ジブカイン、塩酸ジメチソキン、塩酸テーカイン、塩酸テトラカイン、塩酸ブタニカイン、塩酸プビルカイン、塩酸ブラモオシン、塩酸プラモキシン、塩酸プロカイン、塩酸プロビトカイン、塩酸ヘキソチオカイン、塩酸メピバカイン、塩酸メブリルカイン、塩酸メブリルブタニカイン、塩酸リドカイン、オキシポリエトキシドデカン、クロロブタノール、酢酸ピペロカイン、ジブカイン、テーカイン、プロカイン、ペルカミンバーゼ、ベンジルアルコール、ベンゾカイン、リドカイン等が挙げられる。 抗ヒスタミン剤としては、例えば塩酸イソチペンジル、塩酸イプロヘプチン、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸トルジルアミン、塩酸トリプロリジン、塩酸プロメタジン、塩酸メトジラジン、カルビノキサシン、クロルフェニラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、ジフェニルイミダゾール、ジフェニルジスルホン酸カルビノキサミン、ジフェニルピラリン、ジフェンヒドラミン、酒石酸アリメマジン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、トリペレナミン、トンジアルミン、フェンベンズアミン、プロメタジン、ペリアクチン、マレイン酸カルビノキサミン、マレイン酸クロルフェニラミン、マレイン酸フェニラミン、メキタジン、ラウリル硫酸ジフェンヒドラミン等が挙げられる。 坑ウィルス剤としては、例えばアシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、ファムシクロビル、ビダラビン、シダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジン、エドクスジン、ブロバビル、フィアシタビン等が挙げられる。 サルファ剤としては、例えばスルファジアジン、スルファニルアミド、スルファピリジン、スルファミン、スルファメタゾール、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルファメトキシピリジン、スルファメトキシピリダミン、スルファメトキシン、スルファモノメトキシン、スルフィソキサゾール、スルフィソキサゾールナトリウム、スルフィソミジン、スルフィソミジンナトリウム、ホモスルファミン等が挙げられる。 鎮痛消炎剤としては、例えばサリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、l−メントール、カンフル、ノニル酸ワニリアルアミド、トコフェロール、ハッカ油、チモール、トウガラシエキス、トウガラシ末、酢酸トコフェロール、dl−カンフル、アセトアミノフェン、メフェナム酸、フルフェナム酸、インドメタシン、ジクロフェナック、ジクロフェナックナトリウム、アルクロフェナック、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、4,5−ジフェニルイミダゾール、dl−塩酸メチルエフェドリン、dl−メチルエフェドリン、亜鉛華リニメント、亜鉛華、亜鉛華デンプン、アスピリン、アズレン、アズレンスルホン酸ナトリウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アルクロキサ、アルジオキサ、イクタモール、イソチベンジル、イプシロン−アミノカプロン酸、イブフェナック、イブプロフェンピコノール、インドプロフェン、フルフェナム酸ブチル、塩化亜鉛、カラミン、乾燥水酸化アルミニウムカリウム、グアイアズレン、クリダナク、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、クロフェゾン、ケトプロフェン、サリチル・ミョウバン散、サリチル酸コリン、サリチル酸ナトリウム、サリンダック、酸化亜鉛、ジメチルイソプロピルアズレン、スプロフェン、タンニン酸、チアプロフェン酸、チンク油、トルメチン、ナプロキセン、ピロキシカム、フェノプロフェン、フェルビナク、フェンチアザック、フェンブフェン、ブチジン酸、ブフェキサマク、フマル酸クレマスチン、プラノプロフェン、ベンダザック、ベンジタミン、ベンタザック、ベンタゾシン、ベンツアルデヒドシアンヒドリン、メペリゾール、硫酸亜鉛、硫酸ベルベリン等が挙げられる。 角質軟化剤としては、例えば安息香酸、イオウ、イクタモール、グリセリン、グリセリンカリ液、ケロハイドリック、コロジオン、サリチル酸、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸グリコール、乳酸、尿素、ヘパリン類似物質、ヨクイニン等が挙げられる。 代謝性剤としては、例えばアスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マクネシウム・カリウム、アミノエチルスルホン酸、塩化ホスホリルコリンカルシウム、塩酸ベタイン、オロチン酸、オロチン酸コリン、グルクノラクトン、グルクロン酸、グルクロン酸アミド、グルクロン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸、コンチーム、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、システイン、システイン塩酸塩、システイン誘導体、重酒石酸コリン、大豆リン脂質、チオクト酸、チオクト酸アミド、ニコチン酸アミド、パンテチン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、ビオチン、葉酸、ローヤルゼリー等が挙げられる。 本発明にかかる油性軟膏剤において、(b)薬物の配合量は0.001〜30質量%が好適であり、好ましくは0.005〜20質量%、特に好ましくは0.01〜10質量%である。薬物の配合量が0.001質量%よりも少ないと、十分な治療効果が得られないため好ましくなく、反対に30質量%よりも多いと皮膚への安全性が損なわれる懸念が出てくるために好ましくない。 本発明にかかる油性軟膏剤に用いられる(c)アルキレンオキシド誘導体は、前記一般式(1)で示される化合物である。前記一般式(1)において、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、例として、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等があげられる。好ましくは、オキシプロピレン基、オキシブチレン基があげられる。mはオキシエチレン基の平均付加モル数であり、1≦m≦70、好ましくは2≦m≦50である。nは炭素数3〜4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1≦n≦70、好ましくは2≦n≦50である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基またはオキシエチレン基が0であると本発明の効果が十分に発揮されず、70を超えるとべたつくため、使用性上問題がある。 また、オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は、20〜80質量%であることが好ましい。エチレンオキシド及び炭素数3〜4のアルキレンオキシドの付加する順序は特に指定はない。またオキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基はブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。好ましくは、ランダム状に付加されているものがあげられる。 R1及びR2は炭素数1〜4の炭化水素基もしくは水素原子で、炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などがあげられる。好ましくはメチル基、エチル基である。炭素数5以上の炭化水素基では本発明の効果が低下する傾向がある。R1、R2は、同一であっても異なっていても良い。 R1及びR2はそれぞれ1種のみを用いても、炭素数1〜4の炭化水素基と水素原子とが混在しても、炭素数1〜4の炭化水素基が混在しても良い。但し、R1及びR2の炭化水素基のうち、炭化水素基と水素原子の存在割合は、炭化水素基の数(X)に対する水素原子の数(Y)の割合Y/Xが0.15以下、好ましくは0.06以下である。Y/Xの割合が0.15を超えると、本発明の効果が低下する傾向がある。 本発明に用いられる(c)アルキレンオキシド誘導体は、公知の方法により製造することができる。例えば、水酸基を有している化合物にエチレンオキシドを及び炭素数3〜4の付加重合した後、ハロゲン化アルキルをアルカリ触媒の存在下でエーテル反応させることによって得られる。 本発明にかかる油性軟膏剤において、(c)アルキレンオキシド誘導体の配合量は0.1〜60質量%が好適であり、好ましくは0.5〜40質量%、特に好ましくは1.0〜30質量%である。アルキレンオキシド誘導体の配合量が0.1質量%よりも少ないと、本発明の効果が十分に得られないため好ましくなく、反対に60質量%よりも多いと本発明の効果が低下する傾向にあるために好ましくない。 本発明にかかる油性軟膏剤には、本発明の目的・効果を損なわない範囲内で、(d)水分、(e)湿潤剤、あるいは(f)親油性非イオン界面活性剤を配合することが出来る。 本発明にかかる油性軟膏剤において、これらの(d)水分、(e)湿潤剤、あるいは(f)親油性非イオン界面活性剤は、合計量で25質量%以下の配合が好適である。(d)水分、(e)湿潤剤、あるいは(f)親油性非イオン界面活性剤の合計量が25質量%を超えると、炭化水素系油分からなる軟膏基剤のもつ、無味、無臭、化学的に安定、刺激性が無いため湿潤した皮膚や粘膜にも使用できるという特性が失われてしまう。 本発明にかかる油性軟膏剤において、(d)水の配合量は20質量%以下が好適である。(d)水の配合量が20質量%よりも多いと系の安定性が損なわれてくるために好ましくない。 本発明にかかる油性軟膏剤に用いられる(e)湿潤剤としては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、トレハロース、エリスリトール、コンドロイチン硫酸およびその塩類、ヒアルロン酸およびその塩類、ポリエチレングリコール、dl−ピロリドンカルボン酸塩、フィッシュコラーゲン、フィトステリル−12−ヒドロキシステアレート等が挙げられる。 本発明にかかる油性軟膏剤において、(e)湿潤剤の配合量は10質量%以下が好適である。(e)湿潤剤が10質量%よりも多いと苦味が感じられたり、刺激が見られるようになるため好ましくない。 本発明にかかる油性軟膏剤に用いられる(f)親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸、トリオレイン酸ヘプタグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、デカステアリン酸デカグリセリル等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、グリセリンアルキルエーテル硬化ヒマシ油誘導体等が挙げられる。 本発明にかかる油性軟膏剤において、(f)親油性非イオン界面活性剤の配合量は5質量%以下が好適である。(f)親油性非イオン界面活性剤の配合量が5質量%よりも多いと系の安全性が損なわれる懸念があるために好ましくない。 本発明にかかる油性軟膏剤においては、必要に応じて上記成分以外の界面活性剤、清涼剤、抗酸化剤、キレート剤、吸収促進剤、粉末類、防腐剤、香料、色剤等を、本発明の目的・効果を損なわない範囲で配合することが出来る。 また、本発明にかかる油性軟膏剤の製法については特に限定されるものではないが、例えば、(b)薬物を(c)アルキレンオキシド誘導体に溶解又は均一に分散したパーツを、ディスパーミクサーのような攪拌混合機を用いて、(a)炭化水素系油分からなる軟膏基剤中へ均一に分散または連合して調製することができる。 また、本発明にかかる油性軟膏剤は、皮膚や粘膜に好適に用いられ、特に手、指、かかと、ひざの角化治療や湿疹、とびひ、アレルギー、単純疱疹、帯状疱疹、水虫、痔疾患、アトピー性皮膚炎、乾燥性疾患、口内炎、口唇炎、口角炎、口唇のひびわれ、ただれ等の口唇の予防や治療の目的で好適に使用することができる。 次に本発明の油性軟膏剤についての実施例、比較例を示すことにより、本発明についてさらに詳しく説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。なお、以下の例において「%」は特に断りのない限り「質量%」を意味する。 まず最初に、本発明にかかるアルキレンオキシド誘導体の合成例について示す。 なお、以下の実施例において、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、[(EO)/(PO)]はランダム状結合を表す。合成例1 ブロックポリマーの合成例 ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(10モル)ジメチルエーテル CH3O(EO)5(PO)10(EO)5CH3 プロピレングリコール76gと触媒として水酸化カリウム3.1gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりプロピレンオキシド522gを滴下させ、2時間撹拌した。ひきつづき滴下装置によりエチレンオキシド440gを滴下させ、2時間撹拌した。次に、水酸化カリウム224gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル188gを温度80〜130℃で圧入し5時間反応させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を除去するため減圧−0.095MPa(50mmHg)、100℃で1時間処理した。更に処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、前記アルキレンオキシド誘導体(ブロックポリマー)を得た。 塩化メチルを反応させる前にサンプリングし、精製したものの水酸基価が110、得られた化合物の水酸基価が0.3、末端メチル基数に対する水素原子数の割合は0.003であり、ほぼ完全に水素原子がメチル基に置換されている。合成例2 ランダムポリマーの合成例 ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(10モル)ジメチルエーテル CH3O[(EO)10/(PO)10]CH3 プロピレングリコール76gと触媒として水酸化カリウム3.1gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりエチレンオキシド440gとプロピレンオキシド522gの混合物を滴下させ、2時間撹拌した。次に、水酸化カリウム224gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル188gを温度80〜130℃で圧入し5時間反応させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を除去するため減圧−0.095MPa(50mmHg)、100℃で1時間処理した。更に処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、前記アルキレンオキシド誘導体(ランダムポリマー)を得た。 塩化メチルを反応させる前にサンプリングし、精製したものの水酸基価が107、得られた化合物の水酸基価が0.4、末端メチル基数に対する水素原子数の割合は0.004であり、ほぼ完全に水素原子がメチル基に置換されている。本発明と従来技術との比較 本発明者らは、以上の各製造例に準じて各種アルキレンオキシド誘導体を調製し、下記表1、2に示す配合組成よりなる口唇炎用の油性軟膏剤を調製し、下記評価(1)〜(6)について評価試験を行なった。(1)〜(4)の評価結果は、表1,2に併せて示し、(5),(6)の評価結果は、図1,2に示す。なお、評価基準は以下のとおりである。「評価(1):製剤のべたつきについて」 製剤の使用中および使用後のべたつきについて被験者8名による実使用テストを実施し、以下の評価方法により評価した。◎‥‥被験者8名がべたつきはないと認めた。○‥‥被験者6名以上8名未満がべたつきはないと認めた。△‥‥被験者4名以上6名未満がべたつきはないと認めた。×‥‥被験者3名未満がべたつきはないと認めた。「評価(2):製剤ののびについて」 製剤の使用中および使用後ののびの良さについて被験者8名による実使用テストを実施し、以下の評価方法により評価した。◎‥‥被験者8名がのびが良いと認めた。○‥‥被験者6名以上8名未満がのびが良いと認めた。△‥‥被験者4名以上6名未満がのびが良いと認めた。×‥‥被験者3名未満がのびが良いと認めた。「評価(3):製剤の均一性について」 各製剤を各温度条件に保存し、外観観察により、製剤の均一性について評価を行った。試験製剤1〜5の各製剤をガラス製の瓶に充填し、50℃、40℃、25℃、0℃で1ヵ月間保存した。外観観察により以下の基準で判定した。◎‥‥全く異常が認められない。○‥‥わずかに凝集やブツが見られるが、均一性に問題はない。△‥‥凝集やブツにより、製剤が、一部不均一になっている。×‥‥凝集やブツにより、製剤全体が不均一になっている。「評価(4):製剤の離漿について」 各製剤を各温度条件に保存し、外観観察により、製剤の離漿について評価を行った。試験製剤1〜5の各製剤をガラス製の瓶に充填し、50℃、40℃、25℃、0℃で1ヵ月間保存した。外観観察により以下の基準で判定した。◎‥‥全く異常が認められない。○‥‥わずかに離漿が見られるが、安定性に問題はない。△‥‥離漿により、製剤に一部油浮きがみられる。×‥‥離漿により、製剤全体に油浮きがみられる。「評価(5):製剤の保湿性について」 被験者6名の口唇下部全体に試験製剤0.05gを塗布し、試験開始時(試料塗布前)および塗布後2時間のコンダクタンス値をSKICON−200(IBS社製)を用いて測定した。塗布後2時間での測定では、試料をティッシュオフしてからコンダクタンスの測定を行った。開始時のコンダクタンス値と比べて2時間後のコンダクタンス値が大きくなればなる程、製剤の保湿性が大きいと評価した。尚、図中の数値は1名の被験者から1製剤につき5箇所の平均値を求め、さらに6名の平均値から全体の平均値を求めたものである。「評価(6):製剤の保護性について」 被験者6名の口唇下部全体に試験製剤0.05gを塗布し、試験開始時(試料塗布前)および塗布後2時間のTWL値をティーバメータ(COURAGE+KHAZAKA社製)を用いて測定した。塗布後2時間での測定では、試料をティッシュオフしてからTWLの測定を行った。開始時のTWL値と比べて2時間後のTWL値が小さくなればなる程、製剤の保護性が大きいと評価した。尚、図中の数値は6名の被験者から1製剤につきそれぞれの平均値を求めたものである。(試験製剤3の製法) ワセリン、流動パラフィンの一部、マイクロクリスタリンワックスを過熱溶解したところに、グリセリン脂肪酸エステル、酢酸トコフェロールを溶解し、さらに、これにアルキレンオキシド誘導体及び流動パラフィンの残部にアラントイン、グリチルレチン酸を分散したもの、さらには精製水に塩酸ピリドキシン、パンテノールを溶解したものを順次添加し、ホモミクサーで十分攪拌後、冷却、成型して、口唇炎用油性軟膏剤(試験製剤3)を得た。(他の試験製剤の製法) 上記試験製剤3の製法に準じて調製した。 なお、上記表1,及び2に示される試験製剤1〜9は、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、流動パラフィンといった炭化水素系油分からなる軟膏基剤が配合された口唇炎用の油性軟膏剤である。 上記表1に示されるように、アルキレンオキシド誘導体をまったく配合していない試験製剤1及び2においては、(1)製剤のべたつき、(2)のび、(3)均一性、(4)離漿といった全ての評価において劣っていた。 これに対して、試験製剤2と同一の油性軟膏剤中に特定構造のアルキレンオキシド誘導体を10〜30%配合した試験製剤3〜5においては、(1)製剤のべたつき、(2)のびといった使用性の評価に優れており、さらには(3)製剤の均一性や、(4)製剤の離漿といった安定性の評価も著しく改善されていることが明らかとなった。 一方で、上記表2に示されるように、試験製剤2の油性軟膏剤に対して極性油分であるクロタミトン、セバシン酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、クエン酸トリエチルを配合した試験製剤6〜9においては、(1)製剤のべたつき、(2)のびといった使用性の点では若干の改善が見られるものの、(3)製剤の均一性や、(4)製剤の離漿といった安定性の評価については依然劣ったままであった。 これらの結果から、炭化水素系油分からなる軟膏基剤を含有する油性軟膏剤において、薬物とともに、特定構造のアルキレンオキシド誘導体を配合することにより、油性軟膏基剤のもつべたつきや、のびの悪さといった使用性の問題が解決され、さらには薬物の分散性や、他の油分の配合による油浮きや離漿といった安定性の問題についても解決できることが明らかとなった。 また、図1に示されるように、アルキレンオキシド誘導体を配合した試験製剤3,4においては、これを全く配合していない試験製剤2と比較して、塗布2時間後のコンダクタンスが高くなっており、製剤の保湿性に優れていることが明らかとなった。 さらに、図2に示されるように、アルキレンオキシド誘導体を配合した試験製剤3,4においては、これを全く配合していない試験製剤2と比較して、塗布2時間後のTWL値が小さくなっており、製剤の保護性にも優れていることも明らかとなった。 すなわち、これらの結果から、前記特定構造のアルキレンオキシド誘導体を配合した油性軟膏剤においては、前述したような製剤の使用性、分散性、安定性にかかる問題点が解決されるのみならず、皮膚や粘膜への保湿、保護効果が従来のものと比較して高いことが明らかとなった。 つづいて、本発明の油性軟膏剤より具体的に説明するため、その他の実施例をさらに示すが、もちろんこれらはなんら本発明を限定するものではない。なお、下記実施例の油性軟膏剤の製法は前記試験製剤3に準じるものである。実施例1 口唇炎用油性軟膏剤 配合量(%) アラントイン 0.5 グリチルレチン酸 0.3 塩酸ピリドキシン 0.1 酢酸トコフェロール 0.2 パンテノール 0.5 L−メントール 0.1 アルキレンオキシド誘導体 20.0 CH3O[(EO)36/(PO)41]CH3 マイクロクリスタリンワックス 13.0 ワセリン 32.3 流動パラフィン 26.0 グリセリン脂肪酸エステル 1.0 グリセリン 1.0 精製水 5.0 計 100.0 上記実施例1の油性軟膏剤は、べたつきや、のびの悪さといった使用性、薬物の分散性や、他の油分の離漿といった安定性の点で優れており、さらに皮膚や粘膜への保湿、保護効果が高いものであった。実施例2 口内炎用油性軟膏剤 配合量(%) 酢酸ヒドロコルチゾン 0.5 塩酸クロルヘキシジン 0.2 塩酸リドカイン 0.5 アルキレンオキシド誘導体 10.0 CH3O[(EO)36/(PO)41]CH3 カルボキシメチルセルロースナトリウム 20.0 クエン酸 0.5 軽質無水ケイ酸 3.0 プラスチベース 65.3 計 100.0 上記実施例2の油性軟膏剤は、べたつきや、のびの悪さといった使用性、薬物の分散性や、他の油分の離漿といった安定性の点で優れており、さらに皮膚や粘膜への保湿、保護効果が高いものであった。実施例3 湿疹皮膚炎治療用油性軟膏剤 配合量(%) 吉草酸酢酸プレドニゾロン 0.15 クロタミトン 5.0 酢酸トコフェロール 0.5 イソプロピルメチルフェノール 0.1 アルキレンオキシド誘導体 15.0 CH3O[(EO)55/(PO)28]CH3 マイクロクリスタリンワックス 6.0 流動パラフィン 18.0 精製ワセリン 残 量 計 100.0 上記実施例3の油性軟膏剤は、べたつきや、のびの悪さといった使用性、薬物の分散性や、他の油分の離漿といった安定性の点で優れており、さらに皮膚や粘膜への保湿、保護効果が高いものであった。実施例4 ウィルス治療用油性軟膏剤 配合量(%) アシクロビル 5.0 アルキレンオキシド誘導体 15.0 CH3O[(EO)14/(PO)07]CH3 流動パラフィン 12.0 精製ワセリン 残 量 計 100.0 上記実施例4の油性軟膏剤は、べたつきや、のびの悪さといった使用性、薬物の分散性や、他の油分の離漿といった安定性の点で優れており、さらに皮膚や粘膜への保湿、保護効果が高いものであった。実施例5 熱傷治療用油性軟膏剤 配合量(%) ポビドンヨード 1.0 アルキレンオキシド誘導体 10.0 CH3O[(EO)09/(PO)02]CH3 精製ヒマシ油 7.0 精製ゴマ油 3.0 精製サフラワー油 5.0 固形パラフィン 12.0 流動パラフィン 23.0 グリセリン脂肪酸エステル 2.5 白色ワセリン 残 量 計 100.0 上記実施例5の油性軟膏剤は、べたつきや、のびの悪さといった使用性、薬物の分散性や、他の油分の離漿といった安定性の点で優れており、さらに皮膚や粘膜への保湿、保護効果が高いものであった。本発明にかかる試験製剤2〜4における開始時(塗布前)および塗布後2時間のコンダクタンス値測定結果である。本発明にかかる試験製剤2〜4における開始時(塗布前)および塗布後2時間のTWL値測定結果である。(a)炭化水素系油分からなる軟膏基剤と、(b)薬物と、(c)下記一般式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体とを含有することを特徴とする油性軟膏剤。 R1O−[(EO)m(AO)n]−R2 (1)(式中、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、mおよびnはそれぞれ前記オキシエチレン基、オキシアルキレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦n≦70である。オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は、20〜80質量%である。オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基はブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。R1、R2は、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基または水素原子であり、R1およびR2の炭化水素基数に対する水素原子数の割合が0.15以下である。) 請求項1記載の油性軟膏剤において、前記(c)アルキレンオキシド誘導体におけるオキシエチレン基とオキシアルキレン基がランダム状に付加していることを特徴とする油性軟膏剤。 請求項1又は請求項2記載の油性軟膏剤において、前記(a)軟膏基剤を20〜98質量%、前記(b)薬物を0.001〜30質量%、前記(c)アルキレンオキシド誘導体を0.1〜60質量%含有することを特徴とする油性軟膏剤。 請求項1から3のいずれかに記載の油性軟膏剤において、さらに(d)水分と、(e)湿潤剤とを合計で25質量%以下含有することを特徴とする油性軟膏剤。 請求項1から3のいずれかに記載の油性軟膏剤において、さらに(d)水分と、(e)湿潤剤と、(f)親油性非イオン界面活性剤とを合計で25質量%以下含有することを特徴とする油性軟膏剤。 請求項1から5のいずれかに記載の油性軟膏剤において、口唇のひび割れ、口唇のただれ、口唇炎、及び口角炎に対して用いることを特徴とする口唇用油性軟膏剤。 【課題】 炭化水素系油分からなる軟膏基剤を含有する油性軟膏剤において、べたつきや、のびの悪さといった使用性、薬物の分散性、及び油浮きや離漿といった安定性の問題について解決する。【解決手段】 (a)炭化水素系油分からなる軟膏基剤と、(b)薬物と、(c)下記一般式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体とを含有することを特徴とする油性軟膏剤。 R1O−[(EO)m(AO)n]−R2 (1)(式中、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、mおよびnはそれぞれEO基、AO基の平均付加モル数で、1≦m,n≦70である。EO基とAO基の合計に対するEO基の割合は、20〜80質量%である。R1、R2は、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基または水素原子であり、R1およびR2の炭化水素基数に対する水素原子数の割合が0.15以下である。) 【選択図】 なし


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