生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ビタミン類含有組成物
出願番号:2004282476
年次:2006
IPC分類:A61K 31/714,A61K 9/50,A61K 31/355,A61K 31/4415,A61K 31/455,A61K 31/51,A61K 47/10,A61K 47/26,A61K 47/42


特許情報キャッシュ

小林 暁生 三道 俊之 大野 泰雄 槙野 正 JP 2006096682 公開特許公報(A) 20060413 2004282476 20040928 ビタミン類含有組成物 理研ビタミン株式会社 390010674 武田薬品工業株式会社 000002934 岩谷 龍 100077012 小林 暁生 三道 俊之 大野 泰雄 槙野 正 A61K 31/714 20060101AFI20060320BHJP A61K 9/50 20060101ALI20060320BHJP A61K 31/355 20060101ALI20060320BHJP A61K 31/4415 20060101ALI20060320BHJP A61K 31/455 20060101ALI20060320BHJP A61K 31/51 20060101ALI20060320BHJP A61K 47/10 20060101ALI20060320BHJP A61K 47/26 20060101ALI20060320BHJP A61K 47/42 20060101ALI20060320BHJP JPA61K31/714A61K9/50A61K31/355A61K31/4415A61K31/455A61K31/51A61K47/10A61K47/26A61K47/42 3 OL 11 4C076 4C086 4C076AA37 4C076AA43 4C076AA61 4C076AA64 4C076BB01 4C076CC22 4C076CC23 4C076CC24 4C076DD25U 4C076DD28H 4C076DD29A 4C076DD29H 4C076DD29U 4C076DD38H 4C076DD38L 4C076DD41C 4C076DD67H 4C076DD67L 4C076EE30H 4C076EE31A 4C076EE31H 4C076EE33B 4C076EE33H 4C076EE42H 4C076FF36 4C076FF63 4C076FF66 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA09 4C086BC18 4C086BC19 4C086BC83 4C086DA39 4C086MA03 4C086MA04 4C086MA05 4C086MA35 4C086MA38 4C086MA52 4C086NA03 4C086ZC22 4C086ZC24 4C086ZC25 4C086ZC29 本発明はビタミンB12類とニコチン酸類を含有する組成物に関するものであり、詳しくはニコチン酸類、特にニコチン酸アミドと配合変化を起こすことなく、ビタミンB12類が安定化されたビタミン類含有組成物に関する。 ビタミンB12はビタミンB1主薬製剤、ビタミンB6主薬製剤、ビタミンB1・B6・B12主薬製剤またはビタミンE主薬製剤等に配合される重要なビタミンである。しかし、ビタミンB12はアスコルビン酸、チアミン塩、ビタミンB2、ビタミンB6、ニコチン酸類、フィトナジオン等と併用する場合、配合変化を起こすことがある(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。 これらの点を解決するために従来から種々の方法が提案されている。それらは、α化デンプン類とビタミンB12類をセルロース系高分子化合物又はアクリル系高分子化合物でコーティングしてなるビタミンB12類含有組成物(例えば、特許文献1参照)、特定式によって表される水溶性の食物級澱粉誘導体で被覆された微細粒子状のビタミンB12からなる安定な乾燥した自由流動性ビタミンB12組成物(例えば、特許文献2参照)、ビタミンB121重量部と融点40〜90℃の油脂と、レシチン、グリセリン脂肪酸モノエステル、ショ糖脂肪酸エステルの1種または2種以上からなる被覆剤約1〜200重量部を含有するビタミン製剤(例えば、特許文献3参照)、ビタミンB12類がα化デンプン類中に分散状態にある粒状ないし粉末状の組成物、および該組成物全量に対して0.1〜10重量%のワックス類を使用してコーティングした組成物(例えば、特許文献4参照)、ビタミンB12類がデンプンおよびデキストリンの混合物中に分散状態にあるビタミンB12類含有組成物(例えば、特許文献5参照)、多糖類中に分散させたビタミンB12類を含有する成型物を内層とし、ビタミンB12類および/またはビタミンB6類を配合した外層を有する製剤(例えば、特許文献6参照)、等が知られている。 しかしこれらの方法をもってしても、ビタミンB12類とその配合禁忌物質を含有する組成物中のビタミンB12類の安定性が十分保証されているとは決していえない。 一方、ビタミンB12類を含有し、ゼラチンを主たるゲル化剤とするマイクロカプセルについては、水溶性薬物を含有した微粒子であって、該水溶性薬物がビタミンB12類であるゼラチンビーズ(例えば、特許文献7参照)、水溶性ビタミンを、ゼラチン及びキトサンを主剤とし、高級脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル及び/又は水溶性糖類を含有する被覆材で被覆してなる水溶性ビタミン粒状製剤(例えば、特許文献8参照)等が知られている。また、マイクロカプセルの製造方法については、既に多くの方法が知られている(例えば、特許文献9、10、非特許文献2参照)。特開2000−016940号公報特開昭49−108224号公報特開昭55−049313号公報特開平01−203329号公報特開平03−173823号公報特開平09−124480号公報特開平05−139959号公報特開平01−165519号公報特開平06−254382号公報特開2000−185229号公報「第十四改正 日本薬局方解説書」、廣川書店、C−1427井上、五十嵐、「マイクロスフィア技術による微量成分の安定化とその利用」、食品と開発、平成7年4月、VOL.30、No.4、p.45−47 本発明は、ビタミンB12類とニコチン酸類を含有する組成物において、該組成物中のビタミンB12類の安定性が保たれたビタミン類含有組成物を提供するためになされたものである。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、組成物に配合するビタミンB12類として、酢酸ヒドロキソコバラミンを芯物質として含有するマイクロスフィア(ビーズ)を用いることにより上記課題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。 即ち、本発明は、次の1〜3からなっている。1.ビタミンB12類とニコチン酸類を含有する組成物であって、該組成物に配合されるビタミンB12類として、酢酸ヒドロキソコバラミンを芯物質として含有し、膜形成物質がゼラチンを主体としてなるマイクロスフィア(ビーズ)が用いられていることを特徴とするビタミン類含有組成物。2.膜形成物質として、更に糖類、糖アルコール類または多価アルコール類を含有するマイクロスフィア(ビーズ)が用いられていることを特徴とする前記1に記載のビタミン類含有組成物。3.組成物が、ビタミンB1主薬製剤、ビタミンB6主薬製剤、ビタミンB1・B6・B12主薬製剤またはビタミンE主薬製剤であることを特徴とする前記1または2に記載のビタミン類含有組成物。 ビタミンB12類とニコチン酸類を含有する組成物であって、なおかつビタミンB12類の安定性が長期間保たれた医薬製剤を提供することができる。 本発明におけるビタミンB12類としては、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、塩酸ヒドロキソコバラミン、メコバラミン、補酵素型ビタミンB12等のコバラミン類縁化合物およびその生理学的に許容し得る塩が挙げられ、とりわけ酢酸ヒドロキソコバラミンが好ましい。 本発明におけるニコチン酸類としては、例えばニコチン酸、ニコチン酸アミドなどが挙げられ、とりわけニコチン酸アミドが好ましい。 本発明においては、酢酸ヒドロキソコバラミンを芯物質として含有するマイクロスフィア(ビーズ)が調製される。該マイクロスフィア(ビーズ)は、酢酸ヒドロキソコバラミンを、膜形成物質としてゼラチンを主たるゲル化剤とし、これに好ましくは糖類、糖アルコール類または多価アルコール類を含有する水溶液に加えて加熱・溶解し、次に自体公知の方法で微粒子化される。 本発明に係るゼラチンとしては、通常牛、豚、鶏等の皮、骨、けんなどを原料とし、酸またはアルカリで処理して得られる粗コラーゲンを水で加熱抽出して製造されたものが用いられる。また、鮪、鮭、ティラピア等の魚類の皮、骨を原料とする魚類ゼラチンも用いることができる。ゼラチンのゼリー強度は0〜285gの範囲のものを用いることができ、好ましくはゼリー強度が85g以上、より好ましくはゼリー強度が85〜135gの範囲のものである。また、ゼリー強度が85g以下のものとゼリー強度が85g以上のものを、それらゼリー強度の相加平均値が85g以上、好ましくは85〜135gの範囲となるよう混合して用いてもよい。尚、ゼリー強度はJISK6503−2001に準拠して測定される。 本発明においては、ゼラチンの一部を、例えば寒天、ペクチン、アルギン酸塩、アラビアガム、キサンタンガム、グアーガム、澱粉類、マルトデキストリン等に置き換えてもよい。 本発明に係る糖類としては、例えばキシロース、ブドウ糖、果糖等の単糖、精製白糖(ショ糖、グラニュー糖ともいう。)、乳糖、麦芽糖等のオリゴ糖、デキストリン、水飴等のでん粉分解物、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース等のマルトオリゴ糖等が挙げられる。また糖アルコールとしては、例えばソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元水飴等が挙げられる。これら糖類、糖アルコール類はそれぞれ単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよく、好ましくは精製白糖のみの使用である。 本発明においては、糖類または糖アルコール類の一部または全部を多価アルコールに置き換えてもよい。ここで、多価アルコールとしては例えばグリセリン、プロピレングリコール等が挙げられる。 本発明においては、膜形成物質としてゲル化剤と糖類、糖アルコール類または多価アルコール類の外に、必要であれば酸化防止剤、乳化剤、着色料、香料等の食品添加物を加えてもよい。ここで酸化防止剤としては、例えばt−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、t−ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール等が挙げられる。また、乳化剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。 上記グリセリン脂肪酸エステルには、グリセリンと脂肪酸とのエステルの外、グリセリン酢酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノール酸エステルが含まれる。ポリグリセリン脂肪酸エステルには、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、テトラグリセリン脂肪酸エステル、ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、オクタグリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル等が含まれる。またレシチンには、分別レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン等が含まれる。 本発明に係るマイクロスフィア(ビーズ)1gに含有されるビタミンB12類の量に制限はないが、好ましくは0.1〜300mg程度、より好ましくは1〜150mg程度である。また膜形成物質として、ゼラチンの量は150〜850mg、好ましくは400〜800mg含有される。また、(A)ゼラチンと(B)糖類、糖アルコール類または多価アルコール類の配合割合は、A/Bが1/0.2〜1/5、好ましくは1/0.25〜1/1.5、更に好ましくは1/0.25〜1/0.5である。 本発明に係るマイクロスフィア(ビーズ)の製造方法は特に制限されないが、例えば以下に示す方法により製造することができる。1)膜形成物質を水に溶解し、これに酢酸ヒドロキソコバラミンを加えて加温・溶解する。得られた溶液を食用油脂中に注加し、攪拌して水溶液を細かく分散させ、次にゼラチンのゲル化温度以下に冷却して微細粒子を得る。ろ過等により食用油脂を除いて該微細粒子を集め、付着している食用油脂を有機溶剤、例えばイソプロパノール、で洗浄して除き、最後に乾燥することによって溶剤を除き、目的とする水分量のマイクロスフィア(ビーズ)が得られる。2)上記酢酸ヒドロキソコバラミンを含む溶液を、回転円盤式噴霧乾燥装置に供給し、例えば回転数10,000rpm、熱風入口温度170℃、排気温度70℃の条件下で噴霧乾燥する。乾燥物はサイクロンで捕集され、マイクロスフィア(ビーズ)が得られる。3)上記酢酸ヒドロキソコバラミンを含む溶液を、雰囲気温度がゼラチンのゲル化温度以下に冷却されている塔内に噴霧する。噴霧には加圧式噴霧ノズルや回転円盤式噴霧ノズルなどが用いられる。噴霧された溶液は冷却されて微細粒子となり、塔下部に置かれた捕集粉末上に落下し、捕集される。捕集粉末としては、例えば加工澱粉(製品名:ドライフロー;ナショナル スターチ プロダクツ社)などが用いられる。集められた該微細粒子は、必要であれば目的とする水分量まで乾燥され、付着している捕集粉末を篩別して除かれ、マイクロスフィア(ビーズ)が得られる。4)上記酢酸ヒドロキソコバラミンを含む溶液を、液体窒素の充填された塔内に噴霧する。噴霧された溶液は冷却されて微細粒子となって塔下部に落下し、凍結状態の粒子として捕集される。集められた該微細粒子は、例えば真空凍結乾燥などにより目的とする水分量まで乾燥され、マイクロスフィア(ビーズ)が得られる。 本発明に係るマイクロスフィア(ビーズ)の特性値は、乾燥減量が10.0質量%以下、好ましくは7.0質量%以下(1g,105℃,2時間)、粒度は1700μmの篩を全量通過し、75μmの篩を通過するものが全量の10%以下であることが好ましい。尚、乾燥減量は「日局方 一般試験法10.乾燥減量試験法」に準じて、また粒度は「日局方 一般試験法56.粉体粒度測定法」および「日局方 一般試験法70(7).計量器・用器」に準じて測定される。 本発明に従うビタミン類含有組成物には、上記するビタミンB12類を含有するマイクロスフィア(ビーズ)とニコチン酸アミドを含有する組成物、および該組成物と更にその他のビタミン類、例えば塩酸チアミン、硝酸チアミン、硝酸ビスチアミン、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、ベンフォチアミン等のビタミンB1類、リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、酪酸リボフラビン等のビタミンB2類、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール等のビタミンB6類、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム等のパントテン酸類、葉酸、ビオチン、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸カルシウム等のビタミンC類、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウム等のビタミンE類等の1種または2種以上を含有する組成物、更にこれら組成物を成型した製剤も含まれる。 本発明に従うビタミン類含有組成物としては、好ましくはビタミンB1類、ビタミンB6類またはビタミンE類等の有効成分(主薬)を含有する、ビタミンB1主薬製剤、ビタミンB6主薬製剤、ビタミンB1・B6・B12主薬製剤またはビタミンE主薬製剤が挙げられる。 本発明に従うビタミン類含有組成物の剤形としては、例えば顆粒剤、錠剤等の各種経口固形製剤、好ましくは錠剤、更に好ましくは被覆錠、より好ましくは糖衣錠が挙げられる。 本発明に従うビタミン類含有組成物は、自体公知の製剤学的手法の組み合わせにより製造することができる。例えば、糖衣錠は以下のようにして製造することができる。即ち、ビタミンB12類を含有するマイクロスフィア(ビーズ)、ニコチン酸アミドおよびその他の主薬成分を賦形剤(例えば、乳糖、コーンスターチ、デキストリン、加工澱粉、結晶セルロース等)および結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等)等を配合し、攪拌造粒機、転動造粒機または流動層造粒機を用いて造粒する。得られた造粒末を、パワーミルを用いて整粒後、崩壊剤(例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカロメロースナトリウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル等)等を配合し、例えば、タンブラー型混合機等の混合機を用いて混合する。得られた混合末を錠剤機により、好ましくは約0.1〜3.0トン/杵、より好ましくは約0.5〜2.0トン/杵の打錠圧で錠剤(素錠)を製錠する。得られた素錠に、例えば糖衣機を用いて、滅菌タルクおよびアラビアガム末等の散布剤を散布しながら、酸化チタン、滅菌タルク、グラニュー糖等を含有する練込液を注入し、糖衣層を形成する。更に、所望により一部ないし全配合量のビタミンB2類、グラニュー糖等からなるビタミンB2類シロップ液で黄色に着色する。更に、必要により、カルナウバロウまたは白ロウ等により艶出しを行う。 本発明に従うビタミン類含有組成物は、哺乳動物、とりわけヒトに安全に投与することができる。その投与態様は経口投与が好ましい。その投与量はヒト成人(体重50kg)1日当たり、ビタミンB12類が約1〜1500μg、ニコチン酸アミドが12〜60mg、更にビタミンB1類、ビタミンB2類、ビタミンB6類等の有効成分(主薬)を含有する製剤では、ビタミンB1類が1〜100mg、ビタミンB2類が2〜30mg、ビタミンB6類が10〜100mg、1日約1〜3回投与される。 以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。しかし、これらは単なる例であって本発明を限定するものではない。〔実施例1〕[1−1]ビタミンB12マイクロスフィア(ビーズ)の調製 ゼラチン(商品名:ゼラチンROB、ゼリー強度:100g;新田ゼラチン社)756g、グラニュー糖363g、ソルビタン脂肪酸エステル(商品名:ポエムL−300;理研ビタミン社)2.4gを精製水約1600gに加え、55〜65℃で約10分間混合・溶解した。溶液を減圧下で脱気し、更に酢酸ヒドロキソコバラミン138.6gを精製水約500gに溶解した溶液を加えて混合し、最後に100号篩(150μm)を通した。 得られた溶液を、塔下部が液体窒素で冷却された噴霧冷却装置(試験機)に送液し、回転円盤式噴霧ノズルを用いて霧状に噴霧した。噴霧された溶液は冷却されて微細粒子となって塔下部に落下し、凍結状態の粒子として捕集した。 集められた該微細粒子を、流動層乾燥装置を用いて15〜50℃で約6時間乾燥し、乾燥物を26号篩(600μm)で篩い、通過物を140号篩(106μm)で篩い、未通過物としてビタミンB12マイクロスフィア(ビーズ)約860gを得た。得られたマイクロスフィア(ビーズ)の性状は淡赤色〜赤色の粒状、わずかに特異なにおいがあり、乾燥減量は4.9%(1g,105℃,2時間)であった。[1−2]ビタミンB12マイクロスフィア(ビーズ)含有糖衣錠の調製1)活性成分としてコハク酸トコフェロールカルシウム4143.2g、塩酸ピリドキシン4000g、γ−オリザノール400g、軽質無水ケイ酸(商品名:サイリシア320;(有)ワイ・ケイ・エフ社)342g、結晶セルロース(商品名:CEOLUS KG−802;旭化成ケミカルズ社)1530.8gを流動層造粒機(型式:WSG15;パウレック社)に仕込み、6質量%ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC−L;日本曹達社)水溶液8400gを噴霧した。造粒・乾燥後、パワーミル(型式:P−3、スクリーン径:1.5mmφ;昭和化学機械工作所社)で整粒し、E群整粒末とした。2)活性成分として塩酸フルスルチアミン2183.2g、結晶セルロース(商品名:CEOLUS KG−802;旭化成ケミカルズ社)450.8gを流動層造粒機(型式:FD−3SN;パウレック社)に仕込み、6質量%ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC−L;日本曹達社)水溶液1100gを噴霧した。造粒・乾燥後、パワーミルで整粒し、T群整粒末とした。3)実施例1で得たビタミンB12マイクロスフィア(ビーズ)92.6g、E群整粒末1774.5g、T群整粒末877.5gに活性成分のニコチン酸アミド390g、軽質無水ケイ酸(商品名:サイリシア320;(有)ワイ・ケイ・エフ社)32.5g、結晶セルロース(商品名:CEOLUS KG−802;旭化成ケミカルズ社)167.4g、崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:LH−31;信越化学工業社)247g、ステアリン酸マグネシウム26gをタンブラー混合機(型式:TM‐15;昭和化学機械工作所社)で混合し、回転式錠剤機(型式:コレクト19HUK;菊水製作所社)を用い、1錠185mg、8.0mmφ、2段Rの杵で打錠圧10KN/杵で打錠し、素錠を得た。4)得られた素錠2960gをコーティング機(型式:ドリアコーターDRC−500;パウレック社)に仕込み、エリスリトール1060g、沈降炭酸カルシウム360g、タルク200g、酸化チタン40g、結晶セルロース(商品名:CEOLUS PH−F20;旭化成ケミカルズ社)100g、アラビアゴム末240g、精製水3000gからなるコーティング液を用いて、1錠当たり95mgのビルドアップコーティングを施した。次に、グラニュー糖474.6g、エリスリトール203.4g、ビタミンB21.93gおよび精製水350gからなるコーティング液でシロップコーティングを施し、1錠300mgの薄層糖衣錠とした。この糖衣錠の平衡相対湿度(ERH)は28.0%であった。〔比較例1〕[1−1]ビタミンB12含有糖衣錠の調製1)活性成分として塩酸フルスルチアミン2183.2g、結晶セルロース(商品名:CEOLUS KG−802;旭化成ケミカルズ社)719.46gを流動層造粒機(型式:FD−3SN;パウレック社)に仕込み、6.268質量%酢酸ヒドロキソコバラミン水溶液500gを噴霧し、続けて6質量%ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC‐L;日本曹達社)水溶液1100gを噴霧した。造粒・乾燥後、パワーミルで整粒し、T’群整粒末とした。2)〔実施例1〕の[1−2]の3)で、ビタミンB12マイクロスフィア(ビーズ)92.6gおよびT群整粒末877.5gをT’群整粒末975gに替え、また結晶セルロース(商品名:CEOLUS KG−802;旭化成ケミカルズ社)167.4gを162.5gに減らし、以下同様に処理して素錠を得た。3)得られた素錠を〔実施例1〕の[1−2]の4)に準じてコーティング処理し、1錠300mgの薄層糖衣錠を得た。この糖衣錠の平衡相対湿度(ERH)は29.8%であった。 実施例1、比較例1で得た糖衣前の素錠の成分組成を表1に示す。[保存安定性試験] 実施例1、比較例1で得た薄層糖衣錠を40℃および50℃で保存し、4週間後の酢酸ヒドロキソコバラミンの安定性をその残存率(%)で評価した。結果を表2に示した。1)試験溶液の調製 試料(糖衣錠)3錠をボールミルで粉砕し、0.50mmふるい分けを繰り返して全てが通過したらよく混合して調製試料とした。この調製試料を精製水30mlに溶解し、蛋白質分解酵素(商品名:ブロメラインF;天野エンザイム社)10mgを加え、50℃で2時間加熱し、更にトリフルオル酢酸50μlを加えて50℃で1時間加熱した後室温まで水冷し、メンブランフィルター(商品名:DISMIC−13cp;東洋濾紙社)を用いてろ過し、試験溶液とした。2)標準溶液の調製 酢酸ヒドロキソコバラミン(別途純度測定済み)約0.05gを精密に量り、精製水を加えて正確に1000mlとし、標準溶液とする。3)操作条件 装置 Waters2695 検出器 紫外可視吸光光度計(Waters2487) 検出波長 524nm カラム DAISOPAK SP−120−3−ODS−AP カラム温度 35℃ 移動相 (A)0.25%TFA・50mMリン酸アンモニウム (B)メタノール A:B=8:2 流量 0.2ml/min 注入量 10μl4)定量 前記標準溶液を段階希釈し、上記操作条件で測定した。得られたクロマトグラムから求めた標準被検成分のピーク面積を縦軸に、標準被検成分量を横軸にとり、検量線を作成する。次に試験溶液を検量線を作成したときと同一条件で操作し、得られたクロマトグラムから求めた標準被検成分のピーク面積を測定し、検量線を用いて定量した。5)評価 試験前と試験後の標準被検成分の含量から、次式により残存率(%)を求める。 ビタミンB12類とニコチン酸類を含有する組成物であって、該組成物に配合されるビタミンB12類として、酢酸ヒドロキソコバラミンを芯物質として含有し、膜形成物質がゼラチンを主体としてなるマイクロスフィア(ビーズ)が用いられていることを特徴とするビタミン類含有組成物。 膜形成物質として更に糖類、糖アルコール類または多価アルコール類を含有するマイクロスフィア(ビーズ)が用いられていることを特徴とする請求項1に記載のビタミン類含有組成物。 組成物が、ビタミンB1主薬製剤、ビタミンB6主薬製剤、ビタミンB1・B6・B12主薬製剤またはビタミンE主薬製剤であることを特徴とする請求項1または2に記載のビタミン類含有組成物。 【課 題】ビタミンB12類とニコチン酸類を含有する組成物において、該組成物中のビタミンB12類の安定性が保たれたビタミン類含有組成物を提供する。【解決手段】組成物に配合されるビタミンB12類として、酢酸ヒドロキソコバラミンを芯物質として含有し、膜形成物質がゼラチンを主体としてなるマイクロスフィア(ビーズ)を用いる。【選択図】 なし


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