タイトル: | 公開特許公報(A)_ミエリン鞘のループに局在する蛋白質を認識する抗体 |
出願番号: | 2004271207 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C07K 16/18,G01N 33/53,C12P 21/08 |
古市 貞一 吉川 文生 JP 2006083123 公開特許公報(A) 20060330 2004271207 20040917 ミエリン鞘のループに局在する蛋白質を認識する抗体 独立行政法人理化学研究所 503359821 特許業務法人特許事務所サイクス 110000109 古市 貞一 吉川 文生 C07K 16/18 20060101AFI20060303BHJP G01N 33/53 20060101ALI20060303BHJP C12P 21/08 20060101ALN20060303BHJP JPC07K16/18G01N33/53 DC12P21/08 10 OL 16 4B064 4H045 4B064AG27 4B064CA10 4B064CA20 4B064CC24 4B064DA13 4H045AA10 4H045BA17 4H045CA45 4H045DA75 4H045DA76 4H045EA50 4H045FA72本発明は、ミエリン鞘のループに局在する蛋白質を認識する抗体、及びその利用に関する。神経軸索のまわりを覆うミエリン鞘は、中枢神経系ではオリゴデンドログリア、末梢神経系ではシュワン細胞によって形成される。ミエリン鞘は、脂質に富んだ膜構造で神経情報伝達路である軸索の絶縁体として機能し、細い軸索を介した神経細胞から標的細胞への電気インパルス伝達が小さなエネルギーで高速に行われることを可能にしている。高等動物の高度な精神・運動機能はミエリンにより保証されており、ミエリンの損傷によっては脱髄疾患等が引き起こされる。家族性または突発性の脱髄疾患が数多く知られており、また脱髄疾患の神経症状は多岐に渡っているが、その病態については現在までに十分な情報がない。従って、脱髄疾患の病態解明が急務となっている。ミエリン鞘は、コンパクトミエリンと呼ばれる細胞膜同士が密着した構造と、細胞膜同士の間に細胞質を有したノンコンパクトミエリン構造とからなる。ノンコンパクトミエリン構造はループとも呼ばれ、ミエリン鞘の端部に局在する。ループはオリゴデンドログリアやシュワン細胞内での情報伝達の場であると同時に、脱髄疾患では最初に障害を受ける部位であり、ミエリン鞘の形成及び維持の研究や脱髄疾患の病態研究において重要視されてきた。これらの研究において、ループの構造は主に電子顕微鏡によって観察されてきたが、電子顕微鏡による方法は時間と熟練を要するものであり、応用範囲も限られていた。従って、ミエリンの生理化学的機能及び脱髄疾患の病態を解明するために、より簡便にループ構造を解析できる手段の開発が望まれていた。本発明の課題はミエリン鞘の生理化学的機能を解明することにより脱髄疾患等の神経疾患の研究に供する手段を提供することにある。より具体的には本発明の課題はミエリン鞘のループを特異的に検出する手段を提供することにある。本発明者らは脳に関する研究の過程で、マウスの脳で生後12日目以降に突如発現する脳特異的遺伝子を見出し、オパリン(Opalin: Oligodendrocytic paranodal loop protein)遺伝子と命名した。マウスゲノム遺伝子データベースの解析により、オパリン遺伝子は、ブタにおいて脳特異的遺伝子として既に報告されていたtmp83.5 (Eur. J. Biochem. 256, pp24-35, 1998)、及び、ヒトにおいて家族性側頭葉てんかんの原因遺伝子の近傍にあるとされたHTMP10(Gene 282, pp 87-94, 2002)のマウス相同遺伝子であると考えられた(それぞれアミノ酸レベルでオパリン遺伝子と76%と77%で同一であった)。実際、Gene 282, pp 87-94においては、これら3つの遺伝子由来の蛋白質が相互にホモローグ蛋白であるとされており、オパリン蛋白質のアミノ酸配列はmtmpとして開示されている。本発明者らは、オパリン蛋白質を認識する抗体として、オパリン蛋白質のC末端16アミノ酸を含むペプチドをウサギに免疫することによって得られた抗体を作成し、本抗体を用いて研究を重ねた。その結果、本抗体がオパリン蛋白質と高い特異性と親和性で結合することを見出し、また本抗体を用いてオパリン蛋白質が中枢ミエリン鞘のループに局在することを見出した。さらに本抗体を用いて中枢ミエリン鞘のループを極めて特異的に高感度に検出することができることを見出した。本発明は上記の知見に基づいて完成されたものである。即ち、本発明によれば、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を認識する抗体;配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸が欠失、置換、又は挿入されたアミノ酸配列を有する蛋白質であって中枢ミエリン鞘のループに局在する蛋白質のC末端の16アミノ酸の配列を認識する抗体;及び、配列表の配列番号3または4に記載のアミノ酸配列を認識する抗体が提供される。本発明の好ましい態様によれば、中枢ミエリン鞘のループに局在する蛋白質に結合して中枢ミエリン鞘のループを検出できる上記いずれかの抗体が提供される。また、本発明の抗体は、ポリクローナル抗体でもよいし、モノクローナル抗体でもよい。本発明の別の好ましい態様によれば、配列表の配列番号1、3若しくは4に記載のアミノ酸配列、又は配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸が欠失、置換、又は挿入されたアミノ酸配列を有する蛋白質であって中枢ミエリン鞘のループに局在する蛋白質のC末16アミノ酸の配列を含むポリペプチドを免疫原として産生させた抗体である上記いずれかの抗体;及び、配列表の配列番号1、3若しくは4に記載のアミノ酸配列、又は配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸が欠失、置換、又は挿入されたアミノ酸配列を有する蛋白質であって中枢ミエリン鞘のループに局在する蛋白質のC末16アミノ酸の配列を含むポリペプチドと担体蛋白との結合物を免疫原として産生させた抗体である上記いずれかの抗体が提供される。 本発明の別の側面によれば、上記いずれかの抗体を用いて、中枢ミエリン鞘のループを特異的に検出する方法;及び上記いずれかの抗体を含む中枢ミエリン鞘のループの検出マーカーが提供される。 本発明のさらに別の側面によれば、上記いずれかの抗体を用いて成熟中枢ミエリン鞘のループを特異的に検出する工程を含む脱髄疾患の診断方法が提供される。本発明の抗体は、高い親和性と特異性でオパリン蛋白質に結合する。オパリン蛋白質は中枢神経系ミエリン鞘のループのみに発現し他の部位には発現しないため、本発明の抗体は中枢神経系ミエリン鞘のループを極めて高感度に検出することが可能であり、脱髄疾患等の病態解明に有用である。上述のように、本発明の抗体はオパリン蛋白質と高い特異性と親和性で結合する。さらに本抗体を用いてオパリン蛋白質が中枢ミエリン鞘のループに局在する蛋白質であることが本発明者らの研究の過程で明らかになった。オパリン蛋白質が中枢ミエリン鞘のループに局在する蛋白質であるという結果はオパリン遺伝子のホモローグであるtmp83.5 が神経細胞に存在しているとした文献(Eur. J. Biochem. 256, pp24-35, 1998)での報告と異なるものであった。従って、本発明者らは、In situ hybridizationによってオパリン遺伝子の発現部位を解析した。その結果、後述の実施例に示すように、全てのプローブでオパリン遺伝子が脳の白質特異的に発現することが確認された。これは、オパリン蛋白質が中枢ミエリン鞘のループに局在する蛋白質であることを裏付ける結果である。本明細書において、「オパリン蛋白質」との用語で、「オパリン蛋白質及びそのホモローグ蛋白質」を意味することがある。オパリン蛋白質のホモローグ蛋白質としては、例えば上述のtmp83.5遺伝子又はHTMP10遺伝子にコードされる蛋白質等が挙げられる。配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列はオパリン蛋白質のC末端の16アミノ酸配列に該当する。配列表の配列番号3に記載のアミノ酸配列はHTMP10遺伝子にコードされる蛋白質のC末端の16アミノ酸配列に該当する。配列表の配列番号4に記載のアミノ酸配列はtmp83.5遺伝子にコードされる蛋白質のC末端の16アミノ酸配列に該当する。配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列は本発明者らが見出したオパリン遺伝子にコードされる蛋白質のC末端の16アミノ酸配列に該当する。本明細書において、アミノ酸配列を認識する抗体とは、該アミノ酸配列を含むポリペプチド又は該アミノ酸配列を含むポリペプチドを部分構造として有する物質を認識する抗体を意味する。該アミノ酸配列を含むポリペプチドとしては、該アミノ酸配列をC末端に有するポリペプチドが好ましい。免疫原又は免疫原の一部となるポリペプチドの調製方法としては、生体組織から単離した蛋白質から調製する方法、該ポリペプチドをコードするDNAを含有する形質転換体を培養して調製する方法、又は化学的に合成する方法などが挙げられ、特に限定されないが、ペプチド・シンセサイザー等を用いたペプチド合成方法で化学的に合成する方法が好ましい。ペプチド合成法としては、例えば固相合成法、液相合成法のいずれによってもよい。担体蛋白との結合物を調製する場合には、担体蛋白への結合の前に高速液体クロマトグラフィーで精製することが望ましい。本発明の抗体は、好ましくは、上記のポリペプチドと担体蛋白との結合物を免疫原として哺乳動物に投与して免疫することにより産生させる。担体蛋白としては当技術分野において、担体として用いられている蛋白を用いればよく、例としては、ウシ血清アルブミン(BSA)、キーホールリムペットヘモシアニン(KLH)等が挙げられる。本発明の抗体は、上記のポリペプチド又は上記のポリペプチドと担体蛋白との結合物をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの適当な緩衝液に溶解し、この溶液を哺乳動物に投与して免疫することにより容易に製造可能である。また、必要に応じて、上記抗原を通常用いられるアジュバントを含有する適当な緩衝液に溶解して得られる乳濁液を用いて免疫を行ってもよい。アジュバントとしては、油中水型乳剤、水中油中水型乳剤、水中油型乳剤、リポソーム、水酸化アルミニウムゲルなどのアジュバント、生体成分由来の蛋白質及びペプチド性物質などが挙げられる。好ましくは、フロイントの不完全アジュバント又はフロイントの完全アジュバントなど用いることができる。アジュバントの投与経路、投与量、投与時期は特に限定されないが、所望の免疫応答を増強できるように適宜選択することが望ましい。免疫する哺乳動物としては、マウス、ハムスター、モルモット、ニワトリ、ラット、ウサギ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシ等が挙げられる。好ましくはNZWウサギ(New Zealand White Rabbit)など抗体作成用に用いられているウサギなどを用いることができる。哺乳動物の免疫感作の方法としては、当業者に公知の通常の免疫感作の方法を用いて行えばよく、例えば抗原の溶液又は乳濁液を哺乳動物に皮下投与、皮内投与、腹膜腔内投与、静脈内投与、又は筋肉内投与、好ましくは静脈内、腹膜腔内もしくは皮下に注射することにより行うことができる。このような抗原投与は例えば7から30日、特に12から16日間隔で2回以上投与することができ、4〜6回行うのが好ましい。抗原の投与量としては1回につき、例えば抗原約0.05から2mg程度を目安とすることができ、この投与量を免疫する哺乳動物の複数箇所に分けて投与してもよい。最終の抗原の投与から10日〜2ケ月後に免疫感作した哺乳動物から通常の方法により血液を採取して、該血液を、例えば遠心分離、硫酸アンモニウムまたはポリエチレングリコールを用いた沈澱、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー等の通常の方法によって分離・精製することにより、ポリクローナル抗血清として、本発明のポリクローナル抗体を得ることができる。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の何れでもよい。本発明の抗体がモノクローナル抗体の場合、該モノクローナル抗体のグロブリンタイプは特に限定されず、例えばIgG、IgM、IgA、IgE、IgD等が挙げられる。また、本発明のモノクローナル抗体は、ヒト化抗体又はヒト抗体でもよい。本発明のモノクローナル抗体を産生する細胞株は特に制限されないが、例えば、抗体産生細胞とミエローマ細胞株との細胞融合によりハイブリドーマとして得ることができる。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、例えば以下のような細胞融合法によって得ることができる。抗体産生細胞としては、免疫された動物からの脾細胞、リンパ節細胞、Bリンパ球等が使用できる。免疫原は、上述のポリクローナル抗体の調製の場合と同様の免疫原を使用することができる。免疫される哺乳動物としてはマウス、ラット等が挙げられ、これらの哺乳動物への免疫原の投与は常法に従って行えばよい。例えば完全フロインドアジュバント、不完全フロインドアジュバントなどのアジュバントと抗原ペプチドとの懸濁液もしくは乳化液を調製し、これを動物の静脈、皮下、皮内、腹腔内等に数回投与することによって動物を免疫化することができる。免疫化した動物から抗体産生細胞として例えば脾細胞を取得し、これとミエローマ細胞とをそれ自体公知の方法(G.Kohler et al .,Nature,256 495(1975))により融合することによってハイブリドーマを作製することができる。細胞融合に使用するミエローマ細胞株としては、例えばマウスではP3X63Ag8、P3U1株、Sp2/0株などが挙げられる。細胞融合を行なうに際しては、ポリエチレングリコール、センダイウイルスなどの融合促進剤を用い、細胞融合後のハイブリドーマの選抜にはヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)培地を常法に従って使用することができる。細胞融合により得られたハイブリドーマは限界希釈法等によりクローニングすることができる。更に、酵素免疫測定法等によりスクリーニングを行なうことにより、オパリン蛋白質を特異的に認識するモノクローナル抗体を産生する細胞株を得ることができる。このようにして得られたハイブリドーマから目的とするモノクローナル抗体を製造するには、通常の細胞培養法や腹水形成法により該ハイブリドーマを培養し、培養上清あるいは腹水から該モノクローナル抗体を精製すればよい。培養上清もしくは腹水からのモノクローナル抗体の精製は、常法により行なうことができる。例えば、硫安分画、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて使用できる。上記の各種抗体の断片も本発明の範囲に含まれる。抗体の断片としては、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント等が挙げられる。上述のように、本発明の抗体はオパリン蛋白質と高い特異性と親和性で結合し、またオパリン蛋白質は中枢ミエリン鞘のループに局在しているので、本発明の抗体をマーカーとして使用することにより、中枢ミエリン鞘のループの検出や測定を簡便に行うことができる。本発明の抗体を用いた中枢ミエリン鞘のループの検出方法は当業者に知られているものから適宜選択することができ、一般的には、蛍光抗体法、酵素免疫法、ラジオイムノアッセイ、免疫組織染色法、免疫組織染色法等の方法を用いることができる。これらの方法の分析は当業者に周知の方法で行なうことができ、その実験条件も当業者ならば適宜選択することができる上記の免疫学的方法においては、本発明の抗体自体を標識して用いてもよいし、標識抗体を2次抗体として用いてもよい。標識としては、例えば、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)又はTRITC(テトラメチルローダミンBイソチオシアネート)等の蛍光色素、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、炭酸アンヒドラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、リゾチーム、マレートデヒドロゲナーゼ、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ等の酵素、コロイド金属および着色ラテックス等の呈色標識、ビオチン等のアフィニティー標識、又は125I等の同位体標識を用いることができる。2次抗体として用いる標識抗体としては、本発明の抗体の産生に用いた哺乳動物に合わせて、市販の標識抗体を適宜用いることができる。 本発明の抗体により、中枢ミエリン鞘のループを検出又は測定することができる。なお、本明細書において、中枢ミエリン鞘のループとは、中枢ミエリン鞘のノンコンパクトミエリン構造を示し、ミエリン鞘の端部(パラノード、インナー、アウター)に局在する構造を示す。オパリン蛋白質は特に成熟中枢ミエリン鞘のパラノードループ膜とインナーループ膜に局在していると考えられる。本発明の抗体により中枢ミエリン鞘のループの特異的検出が可能であり、本発明の抗体は中枢ミエリン鞘のループの検出マーカーとして有用である。また、本発明の抗体により、中枢ミエリン鞘のループの構造等の解明が可能となるため、脱髄疾患を診断することができる。即ち、本発明の抗体は脱髄疾患の診断薬としても有用である。以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。参考例1In situ hybridizationによるオパリン遺伝子の発現部位の解析P21マウス脳におけるオパリン遺伝子の発現部位をIn situ hybridization法により解析した。結果を図1に示す。図1から明らかなようにオパリン遺伝子の発現は脳白質のみに検出された。この結果はオパリン遺伝子の異なる3箇所に対するプローブを用いた実験において同一であった。例1:ポリペプチドの合成と精製 ペプチドシンセサイザー(ABI 433A;Applied Biosystems)を使って、オパリンのC末端16アミノ酸のN末端にシステインを付加した17アミノ酸から成るペプチド(CERRRGLWWLVPSLSLE)を固相法(Fmoc法)によって合成した。合成ペプチドは、0.1%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)に溶解し、オクタチシルシリル(ODS)-3カラム(250mm×4.6mm)を装着した逆層高速液体クロマトグラフィーシステム(日立D-7000型)によって精製した。吸着したペプチドを、0.1%(v/v) TFA、15%(v/v)アセトニトリルと0.1%(%) TFA、45%(v/v)アセトニトリルのグラジエントを分解溶媒に用い、1mL/分の流速で溶出した。ABS215のモニター下、ピーク画分を回収した。回収したペプチドはMALDI TOF-MSによって分子量測定を行い、目的ペプチド([M+H]+:2100.5)が正確に合成されたことを確認した後、凍結乾燥し-80℃に保存した。例2:ポリペプチドと蛋白との結合物の調製 キーホールリムペットヘモシアニン(KLH)(Sigma、Cat,#H7017)49mgを1.5 mLのリン酸ナトリウムバッファー(pH 7.5)に溶解した(KLH液)、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシニミドエステル( (MBS) (Pierce, Cat,#2311)9.3mgを0.38 mLのジメチルホルムアミドに溶解した(MBS液)、KLH液とMBS液を混合し、室温で30分間攪拌後、20,000×g,4℃にて2分間遠心した、遠心後の上清(約1.5 mL)をPD-10脱塩カラム(Amersham Rioscicnees, Cat,#17-0851-01)にかけ、50 mMリン酸トリウムバッファー(pH 6.0)で溶出した。OD280のモニター下、最初に現れたピーク2mL分を回収した(MBS活性化 KLH)、MBS活性化 KLHは0.5 mLずつ4本に小分けして-20℃に保存した。 フタ付きチューブ内にて、例1の方法で作成したペプチド5mgを4.5 mLのペプチド溶解バッファー[100 mM リン酸ナトリウム(pH 7.2)、0.1%(w/v)SDS、0.1%(v/v)DMSO]に溶解した後、0.5 mL MBS活性化 KLHを加えた。反応液に窒素ガスを吹きつけた後、直ちにフタを閉じ、4℃で12時間転倒混和した。反応液を1mLずつ5本に小分けして-20℃に保存した(KLH-ペプチド)。例3:免疫 2本の3mL容量ガラス注射筒に、それぞれ例2で作成したKLH-ペプチド 1mLとフロイントの完全アジュバント(FCA) (Sigma, Cat,#F-5881)1mLを吸入した後、両注射間をステンレス製接続管(長さ20mm、内径1mm)で接続した。注射器の内筒を交互に動かし液を徐々に混合することにより、乳濁液(2 mL)を作成した。注射筒に23ゲージ針を装着し、1mL乳濁液をウサギ(ニュージーランドホワイト、メス、体重2.5kg後)の頸部と背部の皮下10箇所に0.1 mLずつ注射した。この操作を2週間毎に計5回行った。例4:採血と血清分離 最終免疫の2週間後、ウサギの耳の中央に走る動脈から20ゲージ翼状針を使って、血液を約100 mL 採取した。採取した血液を37℃で1時間、さらに4℃で12時間静置した後、1,750×g、4℃で5分間遠心した、遠心後の上清(血清;約50 mL)を回収した、血清に10%(w/v)アジ化ナトリウムを1/300量添加した後4℃にて保存した。例5: 抗体精製用カラムの作製 例1で作成したペプチド5mgを1 mLカップリングバッファー[0.1 M炭酸ナトリウム(pH 8.3)、0.1%(w/v)SDS, 0.1%(v/v)DMSO]に溶解した後、20,000×g、4℃で5分間遠心を行い、上清を回収した(リガンド液)、以降のカラム操作は、室温にて流速1mL/分で行った。1mLカラム体積のHiTrap NHS-activated HPカラム(Amersham Bioscicoccs, Cat,#17-0716-01)を6mL 1mM塩酸で洗浄後、直ちにリガンド液をカラムに注入し、室温で30分静置することにより反応させた、反応後のカラムを6mL洗浄液A(0.5 Mエタノールアミン、0.5 M塩化ナトリウム、0.1%(w/v)SDS、0.1%(v/v)DMSO、pH 8.3)、6mL洗浄液B(0.1 M酢酸、0.5M塩化ナトリウム、0.1%(w/v)SDS、0.1%(v/v)DMSO、pH 8.3)で、順に洗浄した。その後6mL洗浄液Aを注入した後、室温30分静置することにより未反応基をブロッキングした。その後、各6mL洗浄液B, A, Bの順に洗浄した後、0.03%(w/v)アジ化ナトリウム入りTBS緩衝液6mL [20 mM Tris-HCl(pH 7.4)、150 mM 塩化ナトリウム]で平衡化し4℃にて保存した。例6: 抗体精製 血清3mLを20,000×g、4℃で10分間遠心した後、上清を0.45μmフィルター(Millipore Cat,#SLHV033RS)で濾過した(血清上澄み:約3mL)、カラム操作は室温、流速1mL/分で行った。抗体精製用カラムを4mL溶出バッファー[0.1 Mグリシン-塩酸(pH 2.5)]、4mL蒸留水、8mL TBS緩衝液[20 mM Tris-HCl(pH 7.4)、150 mM 塩化ナトリウム]で順に洗浄した。血清上澄みを1mLずつ3回に分けて30分毎にカラムに注入した。3回目の血清上澄みを注入した後30分静置した。カラムをTBS緩衝液4mL、洗浄緩衝液[20 mM Tris-HCl(pH 7.4)、1M NaCl、1%(w/v)Triton X-100]10 mL、TBS緩衝液10 mL、0.15 M 塩化ナトリウム4mLで順に洗浄した。溶出緩衝液0.5 mLをカラムに注入した後、直ちに溶出緩衝液1mLをカラムに注入し抗体を溶出した。溶出液は、あらかじめ1M Trisを50μL入れておいたサンプルチューブに直接回収した。溶出抗体は透析チューブ(Spectra/Por Membrane、MWCO:12-14,000、Spectrum Cat,#132676)に入れ3L PBS[10 mM Na2HPO4、1.76 mM KH2PO4、137 mM NaCl、2.68 mM KCl、(pH 7.4)]に対して4℃で12時間透析を行った。これを抗オパリン抗体(4℃保存)として実験に用いた。大海らの方法[大海 忍 他(1994)抗ペプチド抗体実験プロトコール、秀潤社]に従って、抗体の一部を蒸留水で10倍希釈した後ABS280を測定し、この値を式1に代入することによって抗体濃度を算出した。式1:抗体濃度(mg/mL)=ABS280×10/1.35例7:細胞内分画 サンプルとして、純ミエリン画分及び粗ミエリン画分、並びに細胞質画分(S3)、核画分(P1)、粗ミクロソーム画分(P2+3)画分を以下のように調製した。 純ミエリン画分と粗ミエリン画分は、マウス(ICR マウス;日本SLC)摘出脳から、Nortonの方法( Methods in Enzymology XXXI:435-444, 1974)に従って精製し、サスペンジョンバッファー[20 mM Tris-HCl (pH7.4),150 mM NaCl、1 mM DTT、プロテアーゼインヒビターカクテル(1 mM phenylmethylsulfonyl fluoride, 10μM pepstatin A, 10μM Icupcptin)]に懸濁した。 細胞質画分(S3)、核画分(P1)、粗ミクロソーム画分(P2+3)画分は、Yoshikawa F. らの方法 (J. Biol. Chem. 274:316-327, 1999)に記した方法に準じて調製した。摘出マウス小脳を9倍容量のホモジナイズバッファー[0.32M スクロース、5mM Tris-HCl (pH 7.4)、プロテアーゼインヒビターカクテル]中でホモジナイズした後、1,000×g4℃で、10分間遠心した。遠心後の沈殿をP1画分とした。上清を105,000×g1時間4℃で遠心した。遠心後の沈殿をP2+3画分、上清をS3画分とした。P1とP2+3画分はサスペンジョンバッファーに懸濁した。蛋白濃度は、BCA protein assay kit (Pierce)を用いて測定した。例8:ウエスタンブロット例7で得られた純ミエリン画分と粗ミエリン画分のそれぞれ2μgを Laemmliの方法(Nature 227;680-685, 1970)に従って、SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動)で展開した後、ニトロセルロース膜(Hybond-ECL;Amersham Biosciences. Cat,#RPN2020D)に電気泳動的に転写した。膜をブロッキング液15%(w/v)スキムミルク(雪印)、0.1%(v/v)Tween 20を含むPBS]に室温で1時間浸潤した後、ブロッキング液で1μg/mLに希釈した抗オパリン抗体と室温で1時間反応させた。PBS-T [0.1%(v/v)Tween 20を含むPBS]で洗浄後、PBS-Tで1μg/mLに希釈したHorseradish peroxides (HRP)標識抗ウサギ抗体(Amersham Biosciences, Cat, #NA9340)と室温で1時間反応させた。PBS-Tで洗浄した後、ECLウエスタンプロッティング検出試薬(Amersham Biosciences, Cat,#RPN2106)と室温で1分間反応させ、生じた化学発光をX線フィルム(Kodak MXJB Film;Kodak, Cat,#838 5841)で検出した。結果を図2に示す。図2から、オパリンが純ミエリン画分に濃縮して存在していることが分かる。例7の方法で得られた細胞質画分(S3)、核画分(P1)、粗ミクロソーム画分(P2+3)画分について、上記と同様にウエスタンブロットを行った。生後1日(P1)、7日(P7)、及び21日(P21)のマウスのそれぞれの画分についての結果を図3に示す。図3から明らかなように、オパリンの発現はP14以降のP2+3画分に見られた。この結果はオパリン遺伝子の発現と一致するものである。例9:免疫沈降 免疫沈降はYoshikawaらの方法(J.Biol, Chem, 274:316-327, 1999)に従った。3週齢マウス小脳P2+3画分3mgを1mLのプロテアーゼインヒビターカクテルを含む免疫沈降バッファー[1% (w/v) Triton X-100,20 mM Tris-HCl (pH 7.4),150 mM NaCl,1 mM DTT]に懸濁(start)した後、4℃で30分間攪拌することにより可溶化した。20,000×g、4℃で60分間遠心し、上清(Tx-sup)と沈殿(Tx-ppl)を分けた。Tx-supに5μg/mLのウサギTgG(Sigma, Cat,#)と40μLビーズ体積のProtein G Sepharose(Amersham Biosciences, Cat, #17-0618-01)添加した後、4℃で30分間攪拌した。20,000×g、4℃で3分間遠心した後、上清[PS (Precleared sup.)]を回収した。PSを400μLずつ2つのチューブに分割し、一方に5μg/mL抗オパリン抗体(α オパリン)、他方に5μg/mL ウサギIgG(Sigma) 0を添加した後、4℃で1時間攪拌した。それぞれのチューブに各20μLビーズ体積のProtein G Sepharoseを添加し、4℃で60分間攪拌した後、遠心し上清[FT (フロースルー)]を除いた。ビーズを免疫沈降バッファー洗浄した後、200μLの2×SDS-PAGEサンプルバッファー[4%(w/v)SDS, 10%(v/v)2-メルカプトエタノール、20%(w/v)グリセリン、125 mM Tris-HCl、pH 6.8]に懸濁し、55℃で20分間加温した。遠心後、上清[IP(4×)]を回収した。さらにIP(4×)を1×SDS-PAGEサンプルバッファーで4倍に希釈した[IP(1×)]、Start, Tx-sup, Tx-ppt, PS, FTサンプルに等量の2×SDS-PAGEサンプルバッファーを添加した後、55℃20分加温処理した。Start, Tx-sup, Tx-ppt, PS, IP(4×), IP(1×), FTを等量ずつウエスタンブロットした。結果を図4に示す。図4から明らかなように、オパリンは抗オパリン抗体によって、特異的に免疫沈降された。抗オパリン抗体と反応後のフロースルーにオパリン(FT、α オパリン)がなくなっており、また免疫沈降に用いたサンプル中のオパリン(PS)がほぼ完全に抗オパリン抗体による免疫沈降物(IP、α オパリン)中に回収されているため、抗オパリン抗体はオパリンをほぼ100%の効率で免疫沈降したことがわかる。例10:凍結切片の作製ICRマウス(2−3週齢)を固定液PFA固定液[4%(w/v)パラホルムアルデヒド(PFA)を含むPBS]で経心灌流固定した後、脳及び視神経を摘出した。摘出臓器はPFA固定液中に4℃1時間浸した後、20%(w/v)スクロースを含むPBSに4℃12時間浸透した。臓器をTissue-Tek O.C.T. Compound (Sakura Cat,#4583)で包埋後、ドライアイス上で凍結し凍結試料を作成した。凍結試料からクリオスタット(Lcica CM50)を用いて厚さ12μmの凍結切片を作成した。凍結切片は室温で12時間自然乾燥後、染色に供した。例11:免疫組織Diaminobenzidine(DAB)染色 例10の方法で作成した凍結切片をPBSで洗浄後、3% 過酸化水素、3%(v/v)メタノールを含むPBSに室温15分浸潤した。PBSで洗浄後、ブロッキング液[10 %(v/v)ヤギ血清(一次抗体がヤギ由来抗体の場合、ロバ血清を用いた)、0.3%(v/v)Triton X-100を含むPBS]に室温2時間浸透させた。ブロッキング液を用いて1μg/mLに希釈した抗オパリン抗体及び5.9μg/l に希釈したマウス抗ニューロフィラメント160モノクローナル抗体(Sigma, Cat.#N5264)と4℃で 12〜16時間反応させた。PBS-T(0.3%(v/v)Triton X-100を含むPBS)で洗浄後、ブロッキング液で1,000倍に希釈したビオチン化抗ウサギIgG抗体(Vector)を室温1時間反応させた。PBS-Tで洗浄後、ABC complex(Vectastation ABC klt;Vector)を室温30分反応させた。PBSで洗浄後、DAB発色液(0.05%(w/v)DAB、0.01%過酸化水素を含むPBS)で発色させた。エタノールで脱水素、キシレンで透徹した。封入剤(Permount:Fisher Scientitic)で封入した後、光学顕微鏡観察を行った。比較としてミエリンのマーカーであるミエリン塩基性タンパク(MBP)についても抗MBP抗体を用いて同様に実験を行った。結果を図5に示す。図5から、抗オパリン抗体陽性部位は抗MBP抗体陽性部位と完全に一致していることがわかる。従って、オパリンはミエリンに存在していると考えられる。例12:免疫組織蛍光染色例10の方法で作成した視神経切片をPBSで洗浄後、ブロッキングと一次抗体反応を例11に記載の方法と同様に行った。PBSで洗浄後、ブロッキング液を用いて1μg/mLに希釈した蛍光標識抗ウサギIgG抗体(Alexa Fluor 488 chicken anti-rabbit IgG(H+L):Molecular Probes, Cat,#A-21441)及び蛍光標識抗マウスIgG抗体(Alexa Fluor 594 goat anti-mouse IgG(H+L):Molecular Probes, Cat,#A-11005)と室温で1時間反応させた。PBSで洗浄後、退色防止剤(Fluorometant-G, Southern Biotechnology Associates, Inc, Cat,#0100-01)で封入した後、共焦点レーザー顕微鏡(Zelss LSM510)観察を行った。結果を図6(上)に示す。抗オパリン抗体と神経軸索のマーカーである抗ニューロフィラメント抗体を二重染色した。図6(下)の模式図と比較すると、軸索の周りにらせん状にオパリンが存在することがわかる。この結果はオパリンがミエリンインナーループに存在するという後述の免疫電子顕微鏡の結果と一致する。例13:免疫細胞染色 オリゴデンドログリアの分散培養は、Itoh K.の方法(Brain Res Brain Res Protoc. 10 23-30, 2002)を改変した方法で行った。Itoh K.の方法からの変更点は、2回目の継代後、細胞をポリLリジン(100μg/mL)でコートしたカバーガラスに100,000細胞/カバーガラスの割合で播いた点である。成熱オリゴデンドログリアへ分化誘導し、2週間培養した後、細胞を4%ホルマリンを含むPBSに室温にて10分固定した。PBSで洗浄した後、0.1%(w/v)Triton X-100を含むPBSに室温2分浸潤した。ブロッキング液[10% (v/v)ヤギ血清(一次抗体がヤギ由来抗体の場合、ロバ血清を用いた)、0.1%(v/v)Triton X-100を含むPBS]に室温1時間浸透させた。ブロッキング液を用いて1μg/mLに希釈した抗オパリン抗体及びマウス抗オリゴデンドロサイトマーカーO4モノクローナル抗体(Chemicon, Cat. #MAB345)と4℃で12〜16時間又は室温で1時間反応させた後、PBSで洗浄した。ブロッキング液を用いて1μg/mLに希釈した蛍光標識抗ウサギIgG抗体(Alexa Fluor 488 chicken anti-rabbit IgG(H+L):Molecular Probes, Cat,#A-21441及びAlexa Fluor 594 goat anti-rabbit IgG(H+L);Molecular Probes, Cat,#A-11012)及び蛍光標識抗マウスIgM抗体(Alexa Fluor 594 goat anti-mouse IgM(μchain):Molecular Probes, Cat,#A21044)と室温で1時間反応させた。PBSで洗浄して退色防止剤(Fluoromount-G, Southem Biotechnology Associates, Inc, Cat,#0100-01)で封入した後、共焦点レーザー顕微鏡(Zeiss LSM510)観察を行った。結果を図7に示す。図7より、オパリンの発現はオリゴデンドログリア特異的マーカー(O4)陽性細胞にのみ観測されていることがわかる。例14:免疫電子顕微鏡 PLP固定液(4%パラホルムアルデヒド、10 mMメタ過ヨウ素酸ナトリウム、7.5 mMリジン、100 mMリン酸ナトリウム、pH 7.4)で経心冠流固定したICRマウス(2週齢)の視神経を、20%Polyvimylpyrrolidon-1.8 M スクロースにて室温で2時間浸透後、急速凍結装置(Leica FCS)で急速凍結して(-185℃)、凍結試料を作成した。その後、凍結ウルトラミクロトーム(Leica FCS)で、凍結超薄切片(軸索矢状及び軸索冠状)を作成した。得られた凍結超薄切片は徳安の方法[Histochemical J. 21;1G3-171, 1989]に従い、親水処理・カーボン補強を施したニッケルメッシュに回収した。その後、凍結切片を室温に戻し、0.1%(w/v)アガロース-1%ゼラチンゲル層でショ糖拡散除去した。1μg/mL抗オパリン抗体と反応させた後、金コロイド法で免疫染色を行い、20%ポリビニルアルコール-0.2% Uranylacetateにより吸着染色を施し自然乾燥後、電子顕微鏡観察を行った。結果を図8に示す。図8より、オパリン(黒いドット)はミエリンのパラノードループ(矢状断面)とインナーループ(冠状断面)にのみ検出されていることがわかる。図1は、In situ hybridizationによりオパリン遺伝子の発現部位を解析した結果を示す。図2は、ミエリン画分を抗オパリン抗体でウエスタンブロットした結果を示す。図3は、マウス小脳分画サンプルを抗オパリン抗体でウエスタンブロットした結果を示す。図4は、抗オパリン抗体によるマウス小脳分画サンプルの免疫沈降実験の結果を示す。図5は、抗オパリン抗体を用いたマウス脳の免疫組織DAB染色結果を示す。図6は、抗オパリン抗体を用いたマウス視神経の免疫蛍光染色の結果を示す。図7は、抗オパリン抗体を用いた、分散培養したオリゴデンドログリアの免疫細胞染色の結果を示す。図8は、抗オパリン抗体を用いたマウス視神経軸索の免疫電子顕微鏡染色の結果を示す。配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列を認識する抗体。配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸が欠失、置換、又は挿入されたアミノ酸配列を有する蛋白質であって中枢ミエリン鞘のループに局在する蛋白質のC末端の16アミノ酸の配列を認識する抗体。配列表の配列番号3または4に記載のアミノ酸配列を認識する抗体。中枢ミエリン鞘のループに局在する蛋白質に結合して中枢ミエリン鞘のループを検出できる請求項1ないし3のいずれか一項に記載の抗体。ポリクローナル抗体である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の抗体。モノクローナル抗体である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の抗体。配列表の配列番号1、3若しくは4に記載のアミノ酸配列、又は配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸が欠失、置換、又は挿入されたアミノ酸配列を有する蛋白質であって中枢ミエリン鞘のループに局在する蛋白質のC末16アミノ酸の配列を含むポリペプチドを免疫原として産生させた抗体である請求項1ないし6のいずれか一項に記載の抗体。配列表の配列番号1、3若しくは4に記載のアミノ酸配列、又は配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸が欠失、置換、又は挿入されたアミノ酸配列を有する蛋白質であって中枢ミエリン鞘のループに局在する蛋白質のC末16アミノ酸の配列を含むポリペプチドと担体蛋白との結合物を免疫原として産生させた抗体である請求項1ないし6のいずれか一項に記載の抗体。請求項1ないし8のいずれか一項に記載の抗体を用いて中枢ミエリン鞘のループを特異的に検出する方法。請求項1ないし8のいずれか一項に記載の抗体を含む中枢ミエリン鞘のループの検出マーカー。 【課題】ミエリン鞘のループを特異的に検出する手段の提供。【解決手段】特定のアミノ酸配列を認識する抗体、又は特定のアミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸が欠失、置換、又は挿入されたアミノ酸配列を有する蛋白質であって中枢ミエリン鞘のループに局在する蛋白質のC末16アミノ酸の配列を認識する抗体。【選択図】なし配列表