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タイトル:公開特許公報(A)_非対称ジメチルアルギニン測定法及び非対称ジメチルアルギニン測定キット
出願番号:2004270759
年次:2006
IPC分類:C12Q 1/32,C12Q 1/25,C12Q 1/26,C12Q 1/34,C12Q 1/66,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

黒澤 恵子 梶山 直樹 JP 2006081481 公開特許公報(A) 20060330 2004270759 20040917 非対称ジメチルアルギニン測定法及び非対称ジメチルアルギニン測定キット キッコーマン株式会社 000004477 鈴木 英之 100125542 黒澤 恵子 梶山 直樹 C12Q 1/32 20060101AFI20060303BHJP C12Q 1/25 20060101ALI20060303BHJP C12Q 1/26 20060101ALI20060303BHJP C12Q 1/34 20060101ALI20060303BHJP C12Q 1/66 20060101ALI20060303BHJP C12N 15/09 20060101ALN20060303BHJP JPC12Q1/32C12Q1/25C12Q1/26C12Q1/34C12Q1/66C12N15/00 A 10 OL 14 4B024 4B063 4B024AA11 4B024BA07 4B024CA01 4B024CA09 4B024DA06 4B024EA04 4B063QA01 4B063QQ80 4B063QR02 4B063QR03 4B063QR04 4B063QR10 4B063QR20 4B063QX01 4B063QX02 本発明は、非対称ジメチルアルギニン測定法及び非対称ジメチルアルギニン測定キットに関する。 非対称ジメチルアルギニン(以下、ADMAと略称する。)は、ヒト生体内において、NO合成酵素の内因性阻害剤として知られており、生体内でのNOの生成量をコントロールするもののひとつである可能性が示唆されている(非特許文献1参照)。NOの役割としては、現在、血管収縮弛緩コントロール、マクロファージより産生されたNOによる生体防御、神経伝達物質としての利用等が知られている。 近年、NOと関連する疾患についての研究が進み、動脈硬化、高血圧、妊娠中毒症等においてADMAとの関連性が知られるようになった(非特許文献2及び非特許文献3参照)。すなわち、ADMA量を測定することにより、上記動脈硬化等の疾患の診断が可能であることが示唆されている。 現在ADMAは、HPLCを用いる方法(非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8及び非特許文献9参照)あるいはELISA(特許文献1参照)により測定されている。更にジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ(以下、DDAHと略称する。)を用いた酵素的測定法も開示されている(特許文献2参照)。 この酵素的測定法は、生体中のADMAをDDAHによりシトルリンに変換し、シトルリン量を測定する方法である。しかしながら、この方法は、食物由来シトルリン及び尿素骨格を有する化合物(尿素等)は同様に発色すること、除タンパク質のため検体のクリーンアップが必要なこと、検体の濃縮過程が必要であること等から、測定に2時間以上かかった。また、使用する試薬の臭気が強いこと、50%硫酸で85℃、40分間の加熱処理及び危険な操作があること等から、キット化し、検査室等で使用するには不充分であり、実用的ではなかった。国際公開第98/49199号パンフレット米国特許第6358699号明細書PNAS 99、13527-13532、2002Lancet 339、572-575、1992Circulation 98、1842-1847、1998J.Chromatogr.B 692、257-262、1997Biochem.Biophys.Res.Commun. 219、598-603、1996J.Chromatogr.B 742、199-203、2000J.Chromatogr.B 659、185-207、1994Anal.Biochem.303、131-137、2002Anal.Biochem. 318、13-17,2003 本発明が解決しようとする課題は、ジメチルアミノヒドロラーゼ及び他の酵素を組み合わせることにより、簡便で実用的な非対称ジメチルアルギニン測定法及び非対称ジメチルアルギニン測定キットを提供することにある。 そこで本発明者等は、前記課題解決のために鋭意研究を重ねた結果、ジメチルアミノヒドロラーゼ及び他の酵素を組み合わせて用いることにより、極めて短時間のうちに非対称ジメチルアルギニン濃度に依存した測定値が得られることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、以下の発明を提供するものである。(1)ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及びジメチルアミンに作用する酵素又はシトルリンに作用する酵素を用いることを特徴とする非対称ジメチルアルギニン測定法。(2)以下の酵素の2種以上を用いることを特徴とする非対称ジメチルアルギニン測定法。酵素;ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ、ジメチルアミンデヒドロゲナーゼ、ジメチルアミンモノオキシゲナーゼ、ジメチルアミンオキシダーゼ、アルギノコハク酸合成酵素及びルシフェラーゼ(3)ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及び以下の酵素の1種以上を用いることを特徴とする非対称ジメチルアルギニン測定法。酵素;ジメチルアミンデヒドロゲナーゼ、ジメチルアミンモノオキシゲナーゼ、ジメチルアミンオキシダーゼ、アルギノコハク酸合成酵素及びルシフェラーゼ(4)ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及びジメチルアミンデヒドロゲナーゼを用いることを特徴とする非対称ジメチルアルギニン測定法。(5)ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及びジメチルアミンモノオキシゲナーゼを用いることを特徴とする非対称ジメチルアルギニン測定法。(6)ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及びジメチルアミンに作用する酵素又はシトルリンに作用する酵素からなる非対称ジメチルアルギニン測定キット。(7)以下の酵素の2種以上からなる非対称ジメチルアルギニン測定キット。酵素;ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ、ジメチルアミンデヒドロゲナーゼ、ジメチルアミンモノオキシゲナーゼ、ジメチルアミンオキシダーゼ、アルギノコハク酸合成酵素及びルシフェラーゼ(8)ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及び以下の酵素の1種以上からなる非対称ジメチルアルギニン測定キット。酵素;ジメチルアミンデヒドロゲナーゼ、ジメチルアミンモノオキシゲナーゼ、ジメチルアミンオキシダーゼ、アルギノコハク酸合成酵素及びルシフェラーゼ(9)ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及びジメチルアミンデヒドロゲナーゼからなる非対称ジメチルアルギニン測定キット。(10)ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及びジメチルアミンモノオキシゲナーゼからなる非対称ジメチルアルギニン測定キット。 本発明によれば、非対称ジメチルアルギニン測定法及び非対称ジメチルアルギニン測定キットが提供された。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明は、非対称ジメチルアルギニンに2種以上の酵素を作用させ、測定値を得る測定法であり、以下に示す酵素に限定するものではない。 本発明測定法に用いられる酵素としては、例えば、DDAH、ジメチルアミンデヒドロゲナーゼ、ジメチルアミンモノオキシゲナーゼ、ジメチルアミンオキシダーゼ、アルギノコハク酸合成酵素、ルシフェラーゼ等が挙げられる。 DDAHは、以下に示す反応を触媒し、非対称ジメチルアルギニンへの特異性が高いものが好ましい。ジメチルアルギニン + H2O → ジメチルアミン+シトルリン DDAHの作用により、ジメチルアルギニンから生成されるジメチルアミンに作用する酵素としては、例えば、以下の反応を触媒するジメチルアミンデヒドロゲナーゼが挙げられる。ジメチルアミン + H2O + mPMS → メチルアミン + ホルムアルデヒド + 還元型mPMS 還元型mPMSは、NTBあるいはWST-8等のホルマザン試薬と反応させることにより発色させることができ、吸光度計を用いて測定することが可能である。 また、ジメチルアミンに作用する酵素としては、例えば、以下の反応を触媒するジメチルアミンモノオキシゲナーゼが挙げられる。ジメチルアミン + O2 + NADPH → メチルアミン + ホルムアルデヒド + NADP+ NADPHは、340nmの吸収を有しているので、減少量が吸光度計を用いて測定することが可能である。 すなわち、DDAH、ジメチルアミンデヒドロゲナーゼもしくはジメチルアミンモノオキシゲナーゼ等の2種の酵素を組み合わせてADMAを測定することができる。 DDAHの反応産物であるシトルリンに作用する酵素としては、例えば、以下の反応を触媒するアルギノコハク酸合成酵素が挙げられる。シトルリン + アスパラギン酸 + ATP → アルギノコハク酸 + AMP + ピロりん酸 ATP量は、ルシフェラーゼ等により定量可能である。ルシフェラーゼは、以下の反応を触媒し、ATP量を発光量として測定することができる。ルシフェリン + ATP + O2 → オキシルシフェリン + AMP + ピロりん酸 + CO2 + 光 すなわち、DDAH、アルギノコハク酸合成酵素、ルシフェラーゼの3種の酵素を組み合わせることにより、ADMAを測定することができる。 また、AMP をピルビン酸オルソりん酸ジキナーゼを用いた以下の反応によりピルビン酸に変換し、生じたピルビン酸をピルビン酸オキシダーゼ等により定量することもできる。ホスホエノールピルビン酸 + AMP + ピロりん酸 → ピルビン酸 + ATP + りん酸 使用する酵素としては、市販されている酵素を用いてもよい。また、以下に具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。 ジメチルアミンデヒドロゲナーゼとしては、例えば、Hyphomicrobium由来酵素(Journal of General Microbiology 115, 49-58, 1979)が知られている。 ジメチルアミンモノオキシゲナーゼとしては、例えば、Paracoccus aminovorans由来酵素(Arch. Microbiol. 176, 271-277, 2001)が知られている。 メチルアミンデヒドロゲナーゼとしては、例えば、Methylophilus methylotrophus由来酵素(J. Bacteriol. 176, 4073-4080, 1994)、Paracoccus denitrificans(Protein Engineering 14, 675-681, 2001)あるいはMethylobacterium extorquens(J. Biol. Chem. 273, 25703-25712, 1998)等が知られている。 メチルアミンオキシダーゼとしては、例えば、バチルス由来酵素(特開昭58-71886号公報あるいは特開昭58-71896号公報記載のもの等)が知られている。 ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼとしては、例えば、シュードモナス由来酵素(J.Bacteriol 176、2483-2491、1994)が知られている。 DDAHについては、例えば、ヒト由来(Eur. J. Biochem. 258, 863-868, 1998)、ラット由来(J. Biol. Chem. 264, 10205-10209, 1989)あるいはPseudomonas aeruginosa由来(Molecular Microbiology 33, 1278-1279, 1999)等が知られており、例えば、Sinorhizobium meliloti ATCC51124由来のDDAH(特願2004-079347号明細書記載のもの等)が挙げられる。 更に、微生物、動物、植物等起源の酵素を探索して、自然界より取得することもできる。 例えば、ジメチルアミンデヒドロゲナーゼを生産する能力を有する微生物を探索する場合、ジメチルアミン等の酵素生産誘導物質を添加した培地で微生物を培養し、得られた微生物菌体を破砕し、ジメチルアミンを基質として用い、デヒドロゲナーゼ活性を検出することにより本発明DDAH生産能を有する微生物を取得できる。ここで用いる微生物は、土壌から新たに分離してもよく、更には、微生物保存機関等より入手した微生物を用いることもできる。更に、現在までに知られているジメチルアミンデヒドロゲナーゼ遺伝子配列により相同性検索を行ない、機能未知の遺伝子配列情報を入手し、クローニングしてもよい。 更に、本発明DDAHとして、遺伝子工学的技術あるいは変異処理等の方法により、天然型酵素を改変して得られる酵素も挙げられる。 改変する方法としては、例えば、必要な酵素を生産する生物に、紫外線、X線、放射線等を照射するかあるいはエチルメタンサルフォネート、N−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、亜硝酸等の変異誘発剤を接触させることにより、改変された変異型酵素を生産する微生物を得、得られた微生物から変異型酵素を得る方法等が挙げられる。一般的には、遺伝子工学的な手法を用い、性質を異にする必要な酵素をコードする遺伝子を改変することにより、更に、優れた性質の変異型酵素を得ることもできる。 本発明測定法に用いる他の酵素についても同様の方法で取得することができる。 本発明測定法は、2種以上の酵素を組み合わせて用いる非対称ジメチルアルギニン測定法であり、特にDDAH及び他の酵素を組み合わせて用いる非対称ジメチルアルギニン測定法を挙げることができる。 他の酵素の例として、例えば、ジメチルアミンに作用する酵素、シトルリンに作用する酵素のいずれかを組み合わせて用いることができる。更に詳しくは、ジメチルアミンデヒドロゲナーゼ、ジメチルアミンモノオキシゲナーゼ、ジメチルアミンオキシダーゼ、アルギノコハク酸合成酵素、ルシフェラーゼ等の1種以上の酵素を選択し、DDAHと組み合わせて用いることができる。更に、2種以上の酵素を組み合わせて用いる非対称ジメチルアルギニン測定用キットであれば、本発明に含まれる。 組み合わせの例を以下に示すが、これに限定されるものではない。また、還元型mPMSとは、酵素反応の電子受容体の例として示したものであり、電子受容体として使用できるものであれば代用することができる。感度が不足した場合は、メチルアミンデヒドロゲナーゼ、メチルアミンオキシダーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼを適時組み合わせることにより更に高感度に測定することができる。DDAH、ジメチルアミンデヒドロゲナーゼにより生じる還元型mPMSをホルマザン試薬により発色させる方法。(2)DDAH、ジメチルアミンデヒドロゲナーゼ、メチルアミンデヒドロゲナーゼを組み合わせて生じる還元型mPMSをホルマザン試薬で発色させる方法。(3)DDAH、ジメチルアミンデヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼを組み合わせて生じる還元型mPMSをホルマザン試薬で発色させる方法。(4)DDAH、ジメチルアミンデヒドロゲナーゼ、メチルアミンデヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼを組み合わせて生じる還元型mPMSをホルマザン試薬で発色させる方法。(5)DDAH、ジメチルアミンモノオキシゲナーゼを組み合わせて消費されるNADPH量を340nmの吸収で測定する方法。(6)(5)について、反応前と反応後の2回ホルマザン試薬によりNADPH量を定量し、減少量を算出する方法。(7)DDAH、ジメチルアミンデヒドロゲナーゼもしくはジメチルアミンモノオキシゲナーゼにより生じるメチルアミンをメチルアミンオキシダーゼにより反応させ、生じる過酸化水素をパーオキシダーゼにより測定する方法。(8)DDAH、アルギノコハク酸合成酵素を組み合わせることにより消費されるATP量をルシフェラーゼにより測定する方法。(9)(1)から(4)について、反応の結果生じる還元型mPMSと酸素から発生する過酸化水素をルシゲニンのような化学発光基質と反応させ、発光により測定する方法。(10)DDAH、アルギノコハク酸合成酵素、ピルビン酸オルソりん酸ジキナーゼ、ピルビン酸オキシダーゼを組合わせることにより生じる過酸化水素を発色あるいは発光により測定する方法。 DDAHの作用によりADMAは、シトルリン及びジメチルアミンに変換される。DDAHとしては、前述のとおり、ヒト由来、ラット由来、微生物由来等のDDAHが使用でき、特にSinorhizobium meliloti ATCC51124由来DDAH (特願2004-079347号明細書記載のもの等)は、至適pH範囲がpH7.0〜10.0と広く、本測定法の使用に適している。先ず、ADMA を含むサンプルに、DDAH を添加し反応させる。具体的には、1測定あたりDDAH を0.01〜5Uの範囲で使用でき、0.1U前後で使用することが望ましい。反応pHは、pH7.0〜10であればよく、他の酵素を共存させる場合は、共存させる酵素の至適に合わせて選択することができる。他の酵素がジメチルアミンモノオキシゲナーゼあるいはジメチルアミンデヒドロゲナーゼであれば、pH8.0前後で反応するのが適当である。使用するバッファーは、目的のpHを調整できるバッファーであれば使用でき、リン酸バッファーであれば充分反応可能である。反応温度は、30〜40℃であれば反応できる。 DDAHの作用により生じたシトルリン及びジメチルアミンに作用する酵素を添加する場合、DDAH と共存させる場合あるいは、2段階反応をさせる場合が考えられる。共存させる場合には、DDAH 反応液に更に、0.01〜5Uの酵素を添加することができる。その際、添加する酵素の反応に必要な試薬を必要量添加する必要がある。ジメチルアミンモノオキシゲナーゼを使用する場合、NADPHを測定機器の検出感度に合わせて0.01〜0.5mM程度添加する。添加後、340nmの吸光度を測定すれば、ADMA 量にしたがって吸光度の減少が見られる。二段階反応をさせる場合には、DDAH による反応終了後に、他の酵素と反応に必要な試薬を上記共存させる場合に準じて添加し、30〜40℃で反応させればよい。 以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。ジメチルアミンデヒドロゲナーゼの取得 NCIMBよりHyphomicrobium denitrificans NCIMB 11706を購入し、NCIMB指定の方法で復元した後、復元物を、0.2Lの培地[1Lあたり(NH4)2 SO4 1g、MgSO4 0.2g、NaH2PO4 0.5g、K2HPO4 1.55g、pH7.2、オートクレーブ後フィルターろ過、10%塩酸ジメチルアミンを0.1%となるように添加]に接種し、30℃、120r.p.m.で1日間、回転振とう培養した。これをシードとして0.2Lの上記培地に2ml接種し、30℃で一日振とう培養した。この培養液より、12,000r.p.m.で10分間遠心分離することで菌体を回収した。 得られた菌体を、50mMりん酸バッファー(pH7.5)2mlで懸濁し、氷上で冷却下、超音波破砕器(Ultrasonicgenerator、Nissei社製)を用いて60秒間、4回処理した。破砕液を12,000r.p.m.で、10分間遠心し、上清を予め50mMりん酸バッファー(pH7.5)で平衡化したDEAEセファロースFF(アマシャムバイオテク社製)カラム(1.0cm×4cm)にかけた。8mlの50mMりん酸バッファー(pH7.5)で洗浄後、4mlの0.2M NaClを含む50mMりん酸バッファー(pH7.5)で溶出した。更に、4mlの0.4M NaClを含むりん酸バッファーで洗浄した。活性画分を、約0.2M NaClで溶出した。ジメチルアミンデヒドロゲナーゼ活性測定法A.試薬の調製(1)試薬1:5 mM PMS 15.3mgのフェナジンメトスルファートを水に溶解し、10mlに定溶する。(2)試薬2:1 mM DCIP 2.9mgのジクロロインドフェノールナトリウムを水に溶解し、10mlに定溶する。(3)試薬3:基質溶液(30mM ジメチルアミン) 24.5mgのジメチルアミン塩酸塩を水に溶解し、10mlに定溶する。(4)試薬4:1M りん酸バッファー(pH7.7)B.測定法 1mlの水を試験管にとり、200μlの試薬1、200μlの試薬2、200μlの試薬4、200μlのサンプルを混和し、30℃のインキュベーターで5分間保温する。200μlの試薬3を添加し、600nmの吸光度のタイムコースを30℃、5分間で測定する。なお、対照液は、200μlの試薬3の代わりに200μlのイオン交換水を加える以外は前記と同様にしたものである。ジクロロインドフェノールナトリウムのモル吸光係数(21.69×103 M-1cm-1)より酵素活性単位を計算することができる。ジメチルアミンモノオキシゲナーゼの取得 NBRCよりParacoccus aminovorans NBRC16711を購入し、NBRC指定の方法で復元した後、復元物を、0.002Lの培地(1LあたりK2HPO4 1g、KH2PO4 2.5g、MgSO4・7H2O 1.4g、NH4Cl 0.2g、KCl 0.25g、イーストエキス 0.2g、pH7.2、 オートクレーブ後フィルターろ過、10%塩酸ジメチルアミンを0.1%となるように添加)に接種し、30℃、120r.p.m.で1日間回転振とう培養した。これをシードとして0.2Lの上記培地に2ml接種し、30℃で一日振とう培養した。この培養液より、12,000r.p.m.で10分間遠心分離することにより菌体を回収した。 得られた菌体を、50mMりん酸バッファー(pH7.5)2mlで懸濁し、氷上で冷却下、超音波破砕器(Ultrasonicgenerator、Nissei社製)を用いて60秒間、4回処理した。破砕液を12,000r.p.m.で、10分間遠心し、上清を予め50mMりん酸バッファー(pH7.5)で平衡化したDEAEセファロースFF(アマシャムバイオテク社製)カラム(1.0cm×4cm)にかけた。8mlの0.2M NaClを含む50mMりん酸バッファー(pH7.5)で洗浄後、4mlの0.3M NaClを含む50mMりん酸バッファー(pH7.5)で溶出した。更に、4mlの0.4M NaClを含むりん酸バッファーで洗浄した。活性画分を、約0.3M NaClで溶出した。ジメチルアミンモノオキシゲナーゼ活性測定法A.試薬の調製(1)試薬1:0.5mM NADPH 4.5mgのニコチンアミドアデニンヌクレオチドりん酸還元型を水に溶解し、10mlに定溶する。(2)試薬2:基質溶液(30mM ジメチルアミン) 24.5mgのジメチルアミン塩酸塩を水に溶解し、10mlに定溶する。(3)試薬3:200mM りん酸バッファー(pH7.5)B.測定法 1mlの試薬3を試験管にとり、200μlの試薬1、400μlの水、200μlのサンプルを混和し、30℃のインキュベーターで5分間保温する。200μlの試薬2を添加し、340nmの吸光度のタイムコースを30℃、5分間で測定する。なお、対照液は、200μlの試薬2の代わりに100μlのイオン交換水を加える以外は前記と同様にしたものである。NADPHのモル吸光係数を元にして活性単位を算出することができる。DDAHの取得 特願2004-079347号明細書記載の方法でSinorhizobium由来DDAHを得た。DDAH活性測定法 A.試薬の調製(1)試薬1:発色液A 500mgのアンチピリン、278mgの硫酸鉄を50%硫酸に溶解し、100mlに定容する。(2)試薬2:発色液B 800mgのジアセチルモノオキシムを5%酢酸に溶解し、100mlに定容する。(3)試薬3:基質溶液(10mM ADMA) 非対称ジメチルアルギニン25mgをイオン交換水に溶解して9.1mlに定容する。対称ジメチルアルギニン又はL−アルギニンを基質として用いるときは夫々、25mg、16mgをイオン交換水に溶解して、9.1mlに定容した溶液を用いる。(4)試薬4:200mMリン酸カリウムバッファー(pH8.0)(5)試薬5:混合発色液 使用直前に試薬1及び試薬2を等量混合する。 B.測定法 0.25mlの試薬4及び0.2mlの酵素液を混和し、37℃で5分間予備加温する。その後0.05mlの試薬3を加えて充分混合した後、37℃で20分間インキュベートする。 0.25mlの試薬5を添加し、充分攪拌した後、85℃で40分間反応させる。放冷後、分光光度計で466nmにおける吸光度を測定する。なお、対照液は、100μlの試薬3の代わりに100μlのイオン交換水を加える以外は前記と同様にしたものである。これを予め作製しておいたシトルリンを試薬3の代わりに、又、酵素液の代わりにイオン交換水を用い、その生成色素量との関係を調べたグラフを用意する。このグラフを用いて、37℃、1分間当たりに生成されるシトルリンのマイクロモルを計算し、この数値を酵素液中の活性単位とする。(1)アルギノコハク酸合成酵素の取得 Gene−Bankより大腸菌K-12由来アルギノコハク酸合成酵素遺伝子情報を入手し、構造遺伝子を増幅できるDNAプライマーをシグマジェネシス社の受託合成により作製した。大腸菌K−12 JM109(タカラバイオ社製)を、0.2LのTY培地に接種し、37℃、120r.p.m.で1日間回転振とう培養した。この培養液より、12,000r.p.m.で10分間遠心分離することで菌体を回収した。得られた菌体は、5mlのTEバッファーで懸濁し、等量のTE飽和フェノールを添加した後、緩やかに振とうすることにより溶菌させた。12000r.p.m.で2分間遠心後、上清を取りだし、更に、TE飽和フェノールで除タンパク質処理を行なった。最後に、エタノール沈殿法によりDNAを回収し、1.20mgのDNAを得た。(2)PCR 反応液を以下の組成で調製し、変性を94℃、30秒間、アニールを62℃、30秒間、伸長反応を72℃、2分間で30サイクルの反応条件でPCRを行なった。 (反応液組成) 10μMプライマー(配列番号1) 0.6μl 10μMプライマー(配列番号2) 0.6μl 10×PCRバッファー 2μl dNTP 2μl 1mM塩化マグネシウム 0.8μl Taqポリメラーゼ 0.4U H2O 最終容量20μlになるよう加える。 PCR終了後、NdeIに消化した後、反応液をアガロースゲル電気泳動に供したところ、約1.3kbの位置に目的の断片と思われるバンドが確認されたので、そのバンドをRecoChip(宝酒造社製)で精製抽出した。(3)精製DNA断片の解析 精製したDNA断片をCEQ2000XL(ベックマンコールター社製)を用いて塩基配列の決定及び解析を行なったところ、決定した塩基配列は、データベースのDNA配列と同じであった。一方プラスミドpET16b(ノバジェン社製)を制限酵素NdeIで消化後、上記精製抽出したDNA断片とライゲーション反応を行ない、大腸菌K−12 JM109を形質転換した。得られたプラスミドpET16−ASSは、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにFERM BP−10110として寄託されている。pET16−ASSで大腸菌BL21(ノバジェン社製)を形質転換し、ジメチルアミンデヒドロゲナーゼ生産株[大腸菌BL21(pET16−ASS)]とした。(4)活性の確認 大腸菌BL21(pET16−ASS)菌体を、50μg/mlのアンピシリンを含むTY培地(1% バクトトリプトン、0.5% バクトイースト・エクストラクト、0.5% NaCl、pH7.0)10mlにて37℃でクレット100まで振とう培養した後、IPTGを終濃度1mMとなるよう添加し、更に、3時間培養した。この培養液を氷上で冷却下、超音波破砕器(Ultrasonicgenerator、Nissei社製)を用いて20秒間、4回処理した。これをエッペンドルフチューブに入れ、微量遠心機を用い、12,000r.p.m.で10分間遠心分離し、上清画分及び沈殿画分に分離し、上清を別のエッペンドルフチューブに移しかえ、後述する酵素活性測定法によりアルギノコハク酸合成酵素活性を測定したところ、BL21(pET16−ASS)は、0.015U/mlとアルギノコハク酸合成酵素活性を有していた。(5)大腸菌K-12由来アルギノコハク酸合成酵素の製造 BL21(pET16−ASS)を50μg/mlのアンピシリンを含むTY培地(1% バクトトリプトン、0.5% バクトイースト・エクストラクト、0.5% NaCl、pH7.0)10mlに接種し、37℃で1日間振とう培養した。これを種培養として、0.5L三角フラスコに入れた上記培地0.1Lに1mlずつ接種し、37℃でクレット100まで振とう培養した後、IPTGを終濃度1mMとなるように添加し、更に、4時間培養した。この培養液より、遠心分離(12000r.p.m.、10分間)により菌体を回収した。得られた菌体を−80℃で凍結保存した。 凍結菌体(250ml分)をバッファーTECA(10mMトリス pH7.5、1mM EDTA、1mMシトルリン、1mMアスパラギン酸、0.1mM PMSF)15mlに懸濁し、氷上で冷却下、超音波破砕器(Ultrasonicgenerator、Nissei社製)を用いて20秒間、4回処理した。破砕液を12,000r.p.m.で、10分間遠心し、上清を予めバッファーTECAで平衡化したQセファロースFF(アマシャムバイオテク社製)カラム(2.5cm×15cm)にかけた。150mlのバッファーTECAで洗浄後、バッファーTECAから0.1M 塩化ナトリウムを含むTECAのリニアグラジェントで溶出させた。活性画分を、約0.07M塩化ナトリウムで溶出した。活性フラクションをまとめてアルギノコハク酸合成酵素溶液とした。アルギノコハク酸合成酵素活性測定法 A.試薬の調製(1)試薬1:40mMアスパラギン酸 53.2mgのL-アスパラギン酸を水に溶解し、10mlに定溶する。試薬2:10mM ATP 55.1mgのアデノシン三リン酸二ナトリウムを水に溶解し、1NのNaOHでpH8に調製し、10mlに定溶する。試薬3:60mM塩化マグネシウム 123.0mgの塩化マグネシウム6水和物を溶解し10mlに定溶する。試薬4:200mM塩化カリウム 149.1mgの塩化カリウムを溶解し10mlに定溶する。試薬5:200U/mlピロホスファターゼ 100Uのピロホスファターゼを1mlの2M硫安で溶解する。試薬6:1M トリスバッファー(pH7.6)試薬7:基質溶液(10mMシトルリン) 17.5mgのシトルリンを溶解し10mlに定溶する。試薬8:発色液A 500mgのアンチピリン、278mgの硫酸鉄を50%硫酸に溶解し、100mlに定容する。試薬9:発色液B 800mgのジアセチルモノオキシムを5%酢酸に溶解し、100mlに定容する。試薬10:混合発色液 使用直前に試薬8及び試薬9を等量混合する。B.測定法 以下のように反応測定混合液をマイクロチューブに調製し、37℃で5分間インキュベートする。試薬1 1.5μl試薬2 4.5μl試薬3 15μl試薬4 15μl試薬5 1.0μl試薬6 1.5μl試薬7 15μl水 56.5μl 40μlのサンプルを添加し、37℃で60分間反応させる。反応後、20μlの反応液を480μlの水と混和し、希釈する。反応希釈液に0.25mlの試薬10を添加し、充分攪拌した後、85℃で40分間反応させる。放冷後、分光光度計で466nmにおける吸光度を測定する。なお、これを予め希釈しておいたシトルリンを反応希釈液の代わりに用い、その生成色素量との関係を調べたグラフを用意する。このグラフを用いて、37℃、1分間当たりに消費されるシトルリンのマイクロモルを計算し、この数値を酵素液中の活性単位とする。DDAH+ジメチルアミンモノオキシゲナーゼ 上記のようにして得られたDDAH及びジメチルアミンモノオキシゲナーゼを組み合わせてADMAを測定した。試薬1:10U/mlDDAH試薬2:ADMA希釈液(0〜0.03mM)試薬3:1mM NADPH試薬4:10U/ml ジメチルアミンモノオキシゲナーゼ試薬5:1Mりん酸バッファー(pH8.0) 50μlの試薬5、50μlの試薬1、1.4mlの試薬2をマイクロチューブ内で混和し、37℃で5分間保温した。これに、200μlの試薬5、100μlの試薬3、100μlの試薬4を順次添加し、分光光度計により340nmでタイムコースをとった。一定時間で減少した吸光度及び添加したADMA濃度の関係は次のようになった(図1)。DDAH+アルギノコハク酸合成酵素+ルシフェラーゼの測定法 上記のようにして得られたDDAH及びアルギノコハク酸合成酵素を組み合わせてADMAを測定した。A.試薬の調製(1)試薬1:40mMアスパラギン酸 53.2mgのL-アスパラギン酸を水に溶解し、10mlに定溶する。(2)試薬2:0.1nM ATP55.1mgのアデノシン三リン酸二ナトリウムを水に溶解し、1NのNaOHでpH8に調製し、10mlに定溶する。これを1/1000000希釈する。(3)試薬3:60mM塩化マグネシウム 123.0mgの塩化マグネシウム6水和物を溶かし10mlに定溶する。(4)試薬4:200mM塩化カリウム 149.1mgの塩化カリウムを溶かし10mlに定溶する。(5)試薬5:200U/mlピロホスファターゼ 100Uのピロホスファターゼを1mlの2M硫安で溶解する。(6)試薬6:1M トリスバッファー(pH7.6)試薬7:1U/mlアルギノコハク酸合成酵素試薬8:10U/ml DDAH試薬9:ADMA希釈液(0〜0.03mM)試薬10:アルギノコハク酸反応液 以下の組成で混合した。試薬1 1.5μl試薬2 4.5μl試薬3 15μl試薬4 15μl試薬5 1.0μl試薬6 1.5μl試薬7 5μl水 66.6μl試薬11:0.5 mMルシフェリン試薬12:0.5 mg/ml ルシフェラーゼB.10μlの試薬6、10μlの試薬8、100μlの試薬9をマイクロチューブ内で混和し、37℃で5分間保温した。これに、60μlの試薬10を添加し、37℃で10分間保温した後、10μlの試薬11及び10μlの試薬12を添加し、直ちにルミノメーター(アロカ社製、BLR−201)で発光量を測定した。発光量は、ADMA濃度が増えるにしたがって減少した(図2)。一定時間で減少した吸光度及び添加したADMA濃度の関係を示す図。発光量及びADMA濃度の関係を示す図。ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及びジメチルアミンに作用する酵素又はシトルリンに作用する酵素を用いることを特徴とする非対称ジメチルアルギニン測定法。以下の酵素の2種以上を用いることを特徴とする非対称ジメチルアルギニン測定法。酵素;ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ、ジメチルアミンデヒドロゲナーゼ、ジメチルアミンモノオキシゲナーゼ、ジメチルアミンオキシダーゼ、アルギノコハク酸合成酵素及びルシフェラーゼジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及び以下の酵素の1種以上を用いることを特徴とする非対称ジメチルアルギニン測定法。酵素;ジメチルアミンデヒドロゲナーゼ、ジメチルアミンモノオキシゲナーゼ、ジメチルアミンオキシダーゼ、アルギノコハク酸合成酵素及びルシフェラーゼジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及びジメチルアミンデヒドロゲナーゼを用いることを特徴とする非対称ジメチルアルギニン測定法。ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及びジメチルアミンモノオキシゲナーゼを用いることを特徴とする非対称ジメチルアルギニン測定法。ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及びジメチルアミンに作用する酵素又はシトルリンに作用する酵素からなる非対称ジメチルアルギニン測定キット。以下の酵素の2種以上からなる非対称ジメチルアルギニン測定キット。酵素;ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ、ジメチルアミンデヒドロゲナーゼ、ジメチルアミンモノオキシゲナーゼ、ジメチルアミンオキシダーゼ、アルギノコハク酸合成酵素及びルシフェラーゼジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及び以下の酵素の1種以上からなる非対称ジメチルアルギニン測定キット。酵素;ジメチルアミンデヒドロゲナーゼ、ジメチルアミンモノオキシゲナーゼ、ジメチルアミンオキシダーゼ、アルギノコハク酸合成酵素及びルシフェラーゼジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及びジメチルアミンデヒドロゲナーゼからなる非対称ジメチルアルギニン測定キット。ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及びジメチルアミンモノオキシゲナーゼからなる非対称ジメチルアルギニン測定キット。 【課題】簡便で実用的な非対称ジメチルアルギニン測定法の提供。【解決手段】(1)ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及びジメチルアミンに作用する酵素又はシトルリンに作用する酵素を用いることを特徴とする非対称ジメチルアルギニン測定法。(2)ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ及びジメチルアミンに作用する酵素又はシトルリンに作用する酵素からなる非対称ジメチルアルギニン測定キット。【効果】非対称ジメチルアルギニン測定法及び非対称ジメチルアルギニン測定キットが提供された。【選択図】なし配列表


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