タイトル: | 公開特許公報(A)_アルキレンオキシド付加物の製造方法 |
出願番号: | 2004256526 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C07C 41/03,C07C 43/11,C08G 65/28,C07B 61/00 |
中土 幸矢佳 角 直人 JP 2006069975 公開特許公報(A) 20060316 2004256526 20040903 アルキレンオキシド付加物の製造方法 三洋化成工業株式会社 000002288 中土 幸矢佳 角 直人 C07C 41/03 20060101AFI20060217BHJP C07C 43/11 20060101ALI20060217BHJP C08G 65/28 20060101ALI20060217BHJP C07B 61/00 20060101ALN20060217BHJP JPC07C41/03C07C43/11C08G65/28C07B61/00 300 4 OL 10 4H006 4H039 4J005 4H006AA02 4H006AC43 4H006BA02 4H006BA31 4H006BB71 4H006GN06 4H006GP01 4H039CA61 4H039CD40 4J005AA12 4J005BB04 本発明は活性水素含有化合物のアルキレンオキシド付加物の製造方法に関するものである。 脂肪族系アルコールに塩基性触媒又は酸性触媒の存在下でアルキレンオキサイドを付加重合させて得られる脂肪族系アルコールアルキレンオキサイド付加物は、各種界面活性剤、溶剤、化学品中間体等として知られている。 脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加物は、脂肪族アルコールにアルカリ触媒存在下、アルキレンオキシドを付加反応させることにより製造される。このとき反応系中に水のような1分子に水酸基を2個持つ物質が存在すると、水分子にアルキレンオキシドが付加して分子量が目的物の約2倍のジオール成分が副生する。このため、反応系中の水分を管理した脂肪族アルコールのアルキレンオキシド付加物の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1)。特許3050228号公報 しかしながら、反応系中の水分を管理してもジオール成分が副生し用途によっては問題が生じ実用上不十分であった。実用上問題のないレベルまで水から生成するジオール成分の副生を抑えた活性水素含有化合物のアルキレンオキサイド付加物及びその製造方法が望まれていた。 上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。 すなわち、本発明は活性水素含有化合物(a)にアルキレンオキサイドを付加反応させて、GPCにより得られるクロマトグラムにおける下記関係式(1)を満たす一般式(2)で示される(a)のアルキレンオキシド付加物(A)を製造する方法において、水素化ホウ素ナトリウム存在下で付加反応を行うことを特徴とする(a)のアルキレンオキシド付加物(A)の製造方法である。尚、本発明においては、活性水素含有化合物(a)とは水を除くものとする。 関係式 1.18≧T/(J×ΔM) (1)(上記関係式中、溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をLとするとき、JはLから最大ピークの頂点までの高さ、ΔMは半値幅、Tは全ピーク面積を示す。) 一般式 Z−[(AO)m/(EO)n−H]p (2)(式中、Zはp価の活性水素含有化合物から活性水素を除いた残基である;Aは炭素数3〜8のアルキレン基、Eはエチレン基であり、AOとEOはランダム結合でもブロック結合でもよい;mは0又は1〜400の整数、nは0又は1〜400の整数であり、m+nは1〜400の整数である;pは1〜8の整数である。) 本発明の(a)のアルキレンオキシド付加物の製造方法によれば、水から生成するジオール成分が少ない(a)のアルキレンオキシド付加物が得られる。 上記一般式(2)において、Zはp価の活性水素含有化合物(a)から活性水素を除いた残基であり、p価の活性水素含有化合物(a)としては、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物、リン酸化合物;分子内に2種以上の活性水素含有官能基を有する化合物;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。 水酸基含有化合物としては、1価のアルコール、2〜8価の多価アルコール、フェノール類、多価フェノール類等が挙げられる。 具体的にはメタノール、エタノール、ブタノール、オクタノール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール等の1価のアルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース、ショ糖等の4〜8価のアルコール;フェノール、クレゾール等のフェノール類;ピロガロール、カテコール、ヒドロキノン等の多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体、ポリビニルアルコール類等の多官能(2〜100)ポリオール等が挙げられる。 アミノ基含有化合物としては、アミン類、ポリアミン類およびアミノアルコール類があげられる。具体的には、アンモニア、炭素数1〜20のアルキルアミン類(ブチルアミン等)、アニリン等のモノアミン類;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン等の複素環式ポリアミン類;ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエ−テルジアミン、ポリフェニルメタンポリアミン等の芳香族ポリアミン;及びモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアミノアルコール類(この場合はアルコールとアミンの両方の活性水素がp価の価数に相当する。);ジカルボン酸と過剰のポリアミン類との縮合により得られるポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリアミン;ヒドラジン類(ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド類(コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジッド、イソフタル酸ジヒドラジッド、テレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン類(ブチルグアニジン、1−シアノグアニジン等);ジシアンジアミド等;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。 カルボキシル基含有化合物としては、例えば酢酸、プロピオン酸等の脂肪族モノカルボン酸;安息香酸等の芳香族モノカルボン酸;コハク酸、アジピン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸;アクリル酸の(共)重合物等のポリカルボン酸重合体(官能基数2〜100)等が挙げられる。 チオール基含有化合物のポリチオール化合物としては、2〜8価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエチレンジチオール、プロピレンジチオール、1,3−ブチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1、6−ヘキサンジチオール、3−メチルペンタンジチオール等が挙げられる。 リン酸化合物としては燐酸、亜燐酸、ホスホン酸等が挙げられる。 これらの活性水素含有化合物(a)のうち、アルコール、アミンが好ましく、より好ましくは1価アルコールである。 Aは炭素数3〜8のアルキレン基であり、具体的には、1,2−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基、1−フェニル−1,2−エチレン基であり、好ましくは1,2−プロピレン基である。Eはエチレン基である。AOとEOはランダム結合でもブロック結合でもよい。好ましくはランダム結合である。 mは0又は1〜400の整数であり、好ましくは1〜300であり、より好ましくは1〜200である。mが400を超えると粘度が高くなり、取扱いが困難になる。nは0又は1〜400の整数であり、好ましくは5〜300であり、より好ましくは10〜200である。nが400を超えると粘度が高くなり、取扱いが困難になる。 m+nは1〜400であり、好ましくは10〜420であり、より好ましくは20〜200である。m+nが400を超えると粘度が高くなり、取扱いが困難になる。 (A)の数平均分子量は好ましくは76〜24,000であり、より好ましくは252〜18,000である。数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)で測定できる。 n/(m+n)は好ましくは0.95以下であり、より好ましくは0.90以下である。n/(m+n)が0.95以下であると、アルキレンオキシド付加物(A)の低温での取り扱いが容易である。 上記活性水素含有化合物(a)のアルキレンオキシド付加物は、水素化ホウ素ナトリウム(以下SBHという)の存在下、(a)にアルキレンオキシドを付加反応させることによって製造される。 該(a)としては、ZHpとして表現することができ、Zは前記一般式(2)におけるZと同じものが挙げられる。好ましいものも同じである。 炭素数3〜8のアルキレンオキシドとしては、1,2−プロピレンオキシド(PO)、1,2−又は2,3−ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド等が挙げられる。これらのうち好ましくはPOである。POと炭素数2のアルキレンオキシド(エチレンオキシド;EO)の付加形式はブロックでもランダムでも良い。好ましくはランダム付加である。 炭素数3〜8のアルキレンオキシドやEOの付加モル数は前記一般式(1)におけるmとnに同じである。好ましいものも同じである。 アルキレンオキサイドの付加反応にはアルカリ触媒を使用するのが好ましい。アルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、金属ナトリウム、金属カリウム、これらの化合物ROHのアルコキシド、又はこれらの化合物ROHの溶液等を挙げることができる。アルキレンオキシド付加物の製造には通常上述のアルカリ触媒の他に、三フッ化硼素や四塩化錫等のルイス酸触媒が用いられているが、酸触媒を用いると1,4−ジオキサン等の環状モノマーや、環状ポリエーテルが副生し、目的の純度の化合物を得ることが困難となるため、好ましくない。 SBHの1価アルコールに対する添加量が、 0.33×G+9.46×K+X×V×0.42(=N)ppm以上であるのが好ましい。 上記において、 G:活性水素含有化合物のアルデヒド含量(ppm) K:活性水素含有化合物中の過酸化物価(meq/kg) X:常温常圧下での反応系中の酸素濃度(ppm) V:反応容器の活性水素含有化合物仕込み後の空間容量(リットル:L) より好ましくは上記Nの値の1〜5倍量であり、特に好ましくは2〜5倍量である。SBH添加量が上記値以上であると、水から生成するジオール成分又は副生成物が生成しにくくなる。 反応は活性水素含有化合物(a)、SBH、アルカリ触媒を投入し、反応系中を脱水したのち、アルキレンオキシドを連続的に好ましくは80〜200℃、より好ましくは100〜180℃で反応させることができる。 上記付加反応は、反応系中の水分が900ppm以下で行われるのが好ましい。より好ましくは反応系中の水分が400ppm、特に好ましくは200ppmで行われるのがよい。 また、通常活性水素含有化合物(a)の10倍以上の分子量の(a)のアルキレンオキシド付加物は、1度反応を行った(a)のアルキレンオキシド付加物を取り出し、再度アルキレンオキシド付加することによって製造することができる。通常の(a)のアルキレンオキシド付加反応では、反応容器の最低撹拌容量等が限定されるために、(a)の仕込み量は限定され、1度の反応で付加することのできるアルキレンオキシドの量は限定される。従って、原料として、(a)には前記の(a)の他に本発明の(a)のアルキレンオキシド付加物(A)もまた原料として用いてもよい。すなわち、上記(a)のアルキレンオキシド付加物は1段階反応でもよいし、2段階以上の多段階反応で行ってもよい。 本発明の(a)のアルキレンオキサイド付加物は、水から生成するジオール成分の含量が少ないため、末端の水酸基を反応性置換基に変性し反応性モノマーとして用いても架橋反応のような副反応等を抑制できる。 本発明の製造法で得られるアルキレンオキシド付加物(A)は、前記関係式(1)を満たすものである。好ましくは関係式(1‘)を満たすものであり、より好ましくは関係式(1‘’)を満たすものである。関係式(1)を満たさないと目的物以外の副生物が多く存在し上記(A)の純度が低下する。 1.15≧T/(J×ΔM) (1‘) 1.12≧T/(J×ΔM) (1‘’) 以下、実施例により、本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されない。以下において、部は重量部を示す。 ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下GPCと略記)による分子量の測定条件は次の通り。 《GPCの測定条件》 機種 :HLC−8120(東ソー株式会社製) カラム TSK gel SuperH4000 TSK gel SuperH3000 TSK gel SuperH2000 (いずれも東ソー株式会社製) カラム温度 :40℃ 検出器 :RI 溶媒 :テトラヒドロフラン 流速 :0.6ml/分 試料濃度 :0.25% 注入量 :10μl 標準 :ポリオキシエチレングリコール (東ソー株式会社製;TSK STANDARD POLYETHYLENE OXIDE) データ処理装置:SC−8020(東ソー株式会社製)実施例1 事前に150℃恒温槽で8時間乾燥した撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブに、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(商品名:ブチルジグリコール、日本乳化剤社製)162部、水素化ホウ素ナトリウム(SBH) 0.30部、45%水酸化カリウム水溶液4.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。このときの酸素濃度は70ppmであった。その後、減圧下(−0.08MPa)、100℃にて2時間脱水を行った。このときの水分は200ppmであり、使用したジエチレングリコールモノブチルエーテルの過酸化物価は35meq/kg、アルデヒド含量は840ppmであった。 次いでエチレンオキシド(以下EOと省略)1496部、プロピレンオキシド(以下POと省略)290部をゲージ圧が0.1〜0.3MPaとなるようにランダム付加するように導入し、1価アルコールのアルキレンオキシド付加物(A−1)を得た。(A−1)のGPCにより得られるクロマトグラムから求められる関係式(1)の右辺は1.113であった。実施例2 事前に150℃恒温槽で8時間乾燥した撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブに、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(商品名:HEDG、日本乳化剤社製)202部、SBH0.23部、45%水酸化カリウム水溶液4.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。このときの酸素濃度は60ppmであった。その後、減圧下(−0.08MPa)、100℃にて2時間脱水を行った。このときの水分は160ppmであり、使用したジエチレンブリコールモノヘキシルエーテルの過酸化物価は30meq/kg、アルデヒド含量は200ppmであった。 次いでPO1508部をゲージ圧が0.1〜0.3MPaとなるように導入し、1価アルコールのアルキレンオキシド付加物(A−2)を得た。(A−2)のGPCにより得られるクロマトグラムから求められる関係式(1)の右辺は1.114であった。実施例3 事前に150℃恒温槽で8時間乾燥した撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブに、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(商品名:メチルジグリコール、日本乳化剤社製)120部、SBH 0.09部、45%水酸化カリウム水溶液4.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。このときの酸素濃度は60ppmであった。その後、減圧下(−0.08MPa)、100℃にて2時間脱水を行った。このときの水分は160ppmであり、使用したジエチレンブリコールモノメチルエーテルの過酸化物価は20meq/kg、アルデヒド含量は60ppmであった。 次いでEO660部をゲージ圧が0.1〜0.3MPaとなるように導入し、1価アルコールのアルキレンオキシド付加物(A−3)を得た。(A−3)のGPCにより得られるクロマトグラムから求められる関係式(1)の右辺は1.098であった。実施例4 事前に150℃恒温槽で8時間乾燥した撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブに、(A−3)78部、SBH 0.09部、45%水酸化カリウム水溶液4.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。このときの酸素濃度は30ppmであった。その後、減圧下(−0.08MPa)、100℃にて2時間脱水を行った。このときの水分は20ppmであり、使用した(A−3)の過酸化物価は30meq/kg、アルデヒド含量は30ppmであった。 次いでEO880部、PO580部をゲージ圧が0.1〜0.3MPaとなるようにランダム付加するように導入し、1価アルコールのアルキレンオキシド付加物(A−4)を得た。(A−4)のGPCにより得られるクロマトグラムから求められる関係式(1)の右辺は1.116であった。実施例5 事前に150℃恒温槽で8時間乾燥した撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブに、グリセリン(商品名:精製グリセリン、花王社製)92部、SBH 0.15部、水酸化カリウム水溶液2.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。このときの酸素濃度は60ppmであった。その後、減圧下(−0.08MPa)、100℃にて2時間脱水を行った。このときの水分は30ppmであり、使用したグリセリンの過酸化物価は25meq/kg、アルデヒド含量は100ppmであった。次いでEO440部、PO580部をゲージ圧が0.1〜0.3MPaとなるようにランダム付加するように導入し、グリセリンのアルキレンオキシド付加物(A−5)を得た。(A−5)のGPCにより得られるクロマトグラムから求められる関係式(1)の右辺は1.119であった。比較例1 事前に130℃恒温槽で3時間乾燥した撹拌装置、精留管、温度計、冷却管、塩化カルシウム乾燥管を取り付けた窒素ガス吹き込み管、蒸留用温度計、容量2リットルの4つ口フラスコ、二股管及び容量1リットルのナス形フラスコ2個を用いて蒸留装置を組み立てた。組み立てた蒸留装置の4つ口フラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(商品名:メチルジグリコール、日本乳化剤社製)1000部を取った。次いで、金属ナトリウム10部を入れ、窒素ガス雰囲気下で金属ナトリウムが完全に溶解するまで撹拌した。緩やかに窒素ガスを流しながら徐々に昇温し、−0.08MPa以下の真空下で蒸留を行った。初留を取ったのち、本留500部を採取した。本留として得られた脱水蒸留ジエチレングリコールモノメチルエーテルの水分は、0.5ppmであった。得られた脱水蒸留ジエチレングリコールモノメチルエーテル480部に、窒素ガス雰囲気下で金属ナトリウム46部を加えて完全に溶解するまで撹拌し、析出する若干の濁り物質を、窒素ガス雰囲気下で加圧ろ過し、高純度ナトリウムのジエチレングリコールモノメチルエーテル溶液(A‘−6)を調製した。 撹拌及び温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、脱水トルエン(試薬:水分2.8ppm)3リットルを取り、90℃に昇温して30分間撹拌したのち、オートクレーブに付属するブローラインと仕込みラインを十分に洗浄し、窒素ガス加圧下に全量を排出した。各ラインを、トルエンミストがでなくなるまで窒素ガスで十分にパージし、−0.8MPa以下の真空下120℃で5時間反応系を乾燥した。容量2リットルのオートクレーブに、脱水トルエン(水分3.9ppm)1.6リットルを窒素ガス加圧下に圧入し、30分間撹拌したのち、全量を事前に150℃恒温槽で3時間乾燥した圧力容器に抜き取った。抜き取ったトルエンの水分は4.0ppmであり、反応系の計算水分値は0.1ppmであることを確認した。再び各ラインをトルエンミストがでなくなるまで窒素ガスで十分にパージしたのち、5mmHg以下の真空下120℃で5時間反応系を乾燥した。 事前に150℃恒温槽で8時間乾燥した撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブの混合系内を窒素で置換し、(A‘−6)123部をシリンジで投入した。このときの酸素濃度は80ppmであった。使用した(A‘−6)の過酸化物価は92meq/kg、アルデヒド含量は1600ppmであった。 次いでEO1760部をゲージ圧が0.1〜0.3MPaとなるように導入し、1価アルコールのアルキレンオキシド付加物(A−6)を得た。(A−6)のGPCにより得られるクロマトグラムから求められる関係式(1)の右辺は1.188であった。比較例2 事前に150℃恒温槽で8時間乾燥した撹拌及び温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(商品名:ブチルジグリコール、日本乳化剤社製)162部、45%水酸化カリウム水溶液4.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。このときの酸素濃度は60ppmであった。その後、減圧下(−0.08MPa)、100℃にて2時間脱水を行った。このときの水分は220ppmであり、使用したジエチレングリコールモノブチルエーテルの過酸化物価は60meq/kg、アルデヒド含量は1000ppmであった。 次いでEO1496部、PO290部をゲージ圧が0.1〜0.3MPaとなるようにランダム付加するように導入し、アルコールのアルキレンオキシド付加物(A−7)を得た。(A−7)のGPCにより得られるクロマトグラムから求められる関係式(1)の右辺は1.190であった。 表1に以上の値を纏めて記載した。この表から明らかなように比較例1、2のアルコールアルキレンオキシドは副生ジオール含量が多い。これに対して実施例1〜4の1価アルコールアルキレンオキシド付加物は高純度である。試験例 <グリシジルエーテル化> 撹拌装置、温度制御措置を設置した反応槽に、上記(A−1)1948部、エピクロルヒドリン 186部、トルエン500部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下、粒状水酸化ナトリウム 76部を19〜29℃で9.5時間かけて断続投入する。その後25〜29℃で5時間反応熟成し、(A−1)をグリシジルエーテル化した。槽内を16℃に冷却後、23℃の水 350部を20〜28℃の範囲で投入して0.5時間撹拌、17℃で0.5時間分液静置した。静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)に「キョウワード600」(協和化学工業社製;アルカリ吸着剤)20部を投入し、減圧下昇温して120℃、−98.0KPaGまでエピクロルヒドリンとトルエン混合物の留去を行い、残存物を「ラヂオライト#」(協和化学工業社製;ケイソウ土ろ過助剤)を用いてろ過循環を施し、グリシジルエーテル(B−1)1500部を得た。 (A−2)〜(A−7)も同様の操作を行い、グリシジルエーテル化して(B−2)〜(B−7)を合成した。 <重合試験> 温度計、窒素導入管、攪拌機、分水器、還流冷却器を取り付けたフラスコにテレフタル酸ジメチル100部(0.51モル)とエチレングリコール62部(1モル)、酢酸カルシウム1水塩0.06部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら加熱し、反応温度を220℃まで昇温してメタノール留去しながら4時間エステル交換反応を行った。その後、リン酸トリメチル0.1部、三酸化アンチモンを0.05部、(B−1)を50部加え、1mmHg以下の減圧下280℃で3時間重合を行い、得られた重合物の外観を観察した。 (B−2)〜(B−7)も同様の操作を行った。 表2に重合試験の結果を記載した。この表から明らかなように本願発明の(A−1)〜(A−5)を用いて合成したグリシジルエーテルである(B−1)〜(B−5)を用いて反応を行うとゲル化を起こしていない。これに対して比較例の(A−6)〜(A−7)を用いて合成したグリシジルーテルである(B−6)〜(B−7)を用いて反応を行うとジオール成分が多かったため、重合中にゲル化を起こしている。 本発明のアルコールアルキレンオキシド付加物は水分からのジオール成分が少なく、末端の活性水素基を反応性置換基に変性したものは架橋反応の少ない反応性モノマーとして有用である。ポリエステル、エポキシ樹脂等の反応原料に用いることができる。活性水素含有化合物(a)にアルキレンオキサイドを付加反応させて、GPCにより得られるクロマトグラムにおける下記関係式(1)を満たす一般式(2)で示される(a)のアルキレンオキシド付加物(A)を製造する方法において、水素化ホウ素ナトリウム存在下で付加反応を行うことを特徴とする(a)のアルキレンオキシド付加物(A)の製造方法。 関係式 1.18≧T/(J×ΔM) (1)(上記関係式中、溶出開始点から溶出終了点までを結んだ直線をLとするとき、JはLから最大ピークの頂点までの高さ、ΔMは半値幅、Tは全ピーク面積を示す。) 一般式 Z−[(AO)m/(EO)n−H]p (2)(式中、Zはp価の活性水素含有化合物から活性水素を除いた残基;Aは炭素数3〜8のアルキレン基、Eはエチレン基であり、AOとEOはランダム結合でもブロック結合でもよい;mは0又は1〜400の整数、nは0又は1〜400の整数であり、m+nは1〜400の整数である;pは1〜8の整数である。)さらに反応系中の水分が900ppm以下で行うことを特徴とする請求項1記載の製造方法。前記活性水素含有化合物が、1価アルコールである請求項1〜3に記載の製造方法。前記水素化ホウ素ナトリウムの量が、 0.33×G+9.46×K+X×V×0.42ppm以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。 上記において、 G:活性水素含有化合物のアルデヒド含量(ppm) K:活性水素含有化合物中の過酸化物価(meq/kg) X:常温常圧下での反応系中の酸素濃度(ppm) V:反応容器の活性水素含有化合物仕込み後の空間容量(リットル:L) 【課題】 実用上問題のないレベルまで水から生成するジオール成分の副生を抑えたアルキレンオキサイド付加物の製造方法を提供する。【解決手段】 活性水素含有化合物(a)にアルキレンオキサイドを付加反応させて、GPCにより得られるクロマトグラムにおける下記関係式(1)を満たす一般式(2)で示される(a)のアルキレンオキシド付加物(A)を製造する方法において、水素化ホウ素ナトリウム存在下で付加反応を行うことを特徴とする(a)のアルキレンオキシド付加物(A)の製造方法である。 関係式 1.18≧T/(J×ΔM) (1)(上記関係式中、Jは最大ピークの頂点までの高さ、ΔMは半値幅、Tは全ピーク面積を示す。) 一般式 Z−[(AO)m/(EO)n−H]p (2)(式中、Zはp価の活性水素含有化合物から活性水素を除いた残基;Aは炭素数3〜8のアルキレン基、Eはエチレン基である。)【選択図】 なし