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タイトル:公開特許公報(A)_歯科用樹脂組成物
出願番号:2004239539
年次:2006
IPC分類:A61K 6/00,C08F 2/44,C08F 265/06


特許情報キャッシュ

明田 喜仁 JP 2006056818 公開特許公報(A) 20060302 2004239539 20040819 歯科用樹脂組成物 株式会社ニッシン 391011490 武石 靖彦 100068032 村田 紀子 100080333 徳岡 修二 100115222 重本 博充 100124796 大角 菜穂子 100125586 明田 喜仁 A61K 6/00 20060101AFI20060206BHJP C08F 2/44 20060101ALI20060206BHJP C08F 265/06 20060101ALI20060206BHJP JPA61K6/00 DC08F2/44 CC08F265/06 8 OL 17 4C089 4J011 4J026 4C089AA03 4C089BE03 4C089CA04 4J011PA69 4J011QA03 4J026AA45 4J026AC09 4J026BA27 4J026BB01 4J026DB05 4J026GA07 本発明は、歯科用樹脂組成物、特に義歯床を製造するのに適した樹脂組成物に関するものである。 現在の義歯床は、一般的には、液体成分であるメチルメタクリレート(MMA)と、粉体成分であるポリメチルメタクリレート(PMMA)とを混合して作製されている。ここで使用されているPMMAは、口腔内で化学的に安定であり、また人体に対する毒性が低く、さらに着色が容易で且つ透明性に優れるため鮮明な色調が得られるという利点を有している。又、PMMA製の義歯の製作は、PMMA粉末と、MMAを主成分とする液状モノマーとを所定の割合で混合し、常温下密閉状態で所定の時間静置して、粘着、接着性は示さないが適当な固さの可塑性を示す状態(餅状状態)とした後、この餅状物を患者の口腔内印象からおこした右膏型に填入し、加圧、加熱を行って成形する方法で行われる。 上記方法において粉末と液体とを混合すると、まず最初の段階で混合物は水に濡れた砂のような状態になり、次にモノマーがポリマー粉末の表面を溶解して、手を触れると糸を引く状態となる。さらにモノマーがポリマー粉末の内部に吸収、拡散してポリマーの可塑化が進むと、手や容器にこびりつかず操作し易い、柔らかい餅のような状態(餅状状態)となる。その後、弾性を示すゴム状状態を経て固い状態となる。この方法で義歯床を製作するにあたって最も重要なことは、上記混合物が餅状である間に石膏型に填入するということである。餅状に至っていない水に濡れた砂のような状態や糸を引く状態では、型に填入するとき十分に加圧できず、気泡が生じ易くなり義歯床の強度低下、折損の一因となる。逆に餅状を過ぎて弾性を示す状態では、型の細部まで填入されず成形不良となる。 しかし、従来使用されている樹脂組成物では餅状々態の期間が短いため、多数の義歯床を製作する場合小分けして何度も混和を行わねばならず、また填入した残りの樹脂は保存できず廃棄せざるを得ない等、技工操作やコストの面で支障があり餅状状態の期間が長い樹脂組成物が切望されてきた。 このような粉液2剤からなり、混合したときの餅状の期間が長い組成物は、例えば下記の特許文献1に記載されている。特開昭57−203006号公報 この特許文献1に記載されている組成物は、平均分子量30〜80万の高分子量のPMMAおよび平均分子量5〜20万の低分子量のPMMAを含有する粉末と、重合性液状モノマーでなる液体よりなる。上記粉末中の分子量の異なる2種のPMMAは、液状モノマーに対する溶解性が異なるため混合物の餅状期間が長くなる。しかし、この組成物は低分子量のポリマーを多く含むため、得られる義歯床の強度が劣るという問題を有しており、強度を改良したものには、例えば下記の特許文献2に記載されているものがある。特開平5−163113号公報 この特許文献2に記載されている義歯床用樹脂組成物は、MMAと2官能以上の架橋モノマーを懸濁重合させて得た架橋MMA重合体粒子にMMAを吸収、重合させて生成したMMA樹脂粒子および重合開始剤とからなる粉末と、MMAおよび架橋剤とからなる液体との組み合わせより成るものであるが、この樹脂組成物に限らず、従来から製造されてきているPMMA製の義歯床の場合には、吸水量が大きい(一般的には22〜24μg/mm3程度)ために、口腔内で長期間使用されると、唾液などを吸水することが原因の一つとなって、汚れが発生するという問題点があった。 そのため、機械的強度を低下させることなく、PMMA樹脂よりも吸水率が低い義歯床材料の開発が望まれているのが現状である。 本発明は、上述の従来のポリメタクリル酸メチル樹脂製義歯床の欠点を解消し、機械的強度を低下させることなく、吸水率が低く(20μg/mm3以下)、口腔内で長期間使用しても汚れが発生しにくい義歯床を製造するのに適した樹脂組成物を提供することを課題とする。 まず、本発明者等は、上記の課題を解決するために、エチルメタクリレート(EMA)とポリエチルメタクリレート(PEMA)を用いて義歯床を作製した。その結果、このようにして得られたEMA−PEMA製義歯床の吸水率は、MMA−PMMA製義歯床の吸水率に比べて約60%減少することがわかったが、EMAとPEMAのみでは機械的強度が低く(曲げ弾性率1700〜1800MPa程度)、義歯床材料として採用することは困難であった。 そこで、本発明者等は、これらの樹脂組成を種々検討した結果、液体成分にEMA、必要に応じてMMAを添加し、粉体成分にPEMAとPMMAを添加、もしくは所定量のPEMA成分を持つコポリマーと必要に応じてPMMAを所定量配合させることにより、義歯床材料として使用可能な機械的強度(曲げ弾性率2000MPa以上)を兼ね備え、操作性が良く、従来のPMMA品より吸水率を低減した組成物ができることを見い出して、本発明を完成した。 上記の課題を解決可能な本発明の歯科用樹脂組成物は、義歯床等の歯科用成形体を製造するのに使用される二成分型の樹脂組成物であって、当該樹脂組成物における第1成分が、ポリエチルメタクリレートとポリメチルメタクリレートを主成分とするポリマー成分で、当該ポリマー成分中に占めるポリエチルメタクリレートの割合が10重量%以上であること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とする。 又、本発明の歯科用樹脂組成物は、当該樹脂組成物における第1成分が、ポリエチルメタクリレートとポリメチルメタクリレートを主成分とするポリマー成分で、当該ポリマー成分中に分子量1万〜50万未満のポリエチルメタクリレートが20〜80重量%含まれていること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とするものでもある。 又、本発明の歯科用樹脂組成物は、当該樹脂組成物における第1成分が、ポリエチルメタクリレートとポリメチルメタクリレートを主成分とするポリマー成分で、当該ポリマー成分中に分子量50万〜200万のポリエチルメタクリレートが10〜50重量%含まれていること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とするものでもある。 更に、本発明の歯科用樹脂組成物は、当該樹脂組成物における第1成分が、エチルメタクリレートとメチルメタクリレートを主成分とするコポリマーで、当該コポリマー中に占めるエチルメタクリレートの割合が10重量%以上であること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とするものである。 又、本発明の歯科用樹脂組成物は、当該樹脂組成物における第1成分が、エチルメタクリレートとメチルメタクリレートを主成分とする分子量が2万〜50万未満のコポリマーで、当該コポリマー中に占めるエチルメタクリレートの割合が20〜80重量%であること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とするものである。 又、本発明の歯科用樹脂組成物は、当該樹脂組成物における第1成分が、エチルメタクリレートとメチルメタクリレートを主成分とする分子量が50万〜200万のコポリマーで、当該コポリマー中に占めるエチルメタクリレートの割合が10〜50重量%であること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とするものである。 又、本発明の歯科用樹脂組成物は、当該樹脂組成物における第1成分が、下記のポリマーa)〜c): a)ポリメチルメタクリレート、 b)分子量が1万〜50万未満のポリエチルメタクリレート、 c)メチルメタクリレートとエチルメタクリレートから成る分子量が1万〜50万未満のコポリマーのうちの少なくとも2つを含む混合物であり、全ポリマー中に占めるエチルメタクリレートの割合が20〜80重量%であること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とするものである。 又、本発明の歯科用樹脂組成物は、当該樹脂組成物における第1成分が、下記のポリマーa)〜c): a)ポリメチルメタクリレート、 b)分子量が50万〜200万のポリエチルメタクリレート、 c)メチルメタクリレートとエチルメタクリレートから成る分子量が50万〜200万のコポリマーのうちの少なくとも2つを含む混合物であり、全ポリマー中に占めるエチルメタクリレートの割合が10〜50重量%であること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とするものである。 本発明の歯科用樹脂組成物を用いて製造された歯科用成形体(例えば義歯床)は、成形加工に適した操作性を有し、必要とされる機械的強度(曲げ弾性率2000MPa以上)も兼ね備えており、20μg/mm3以下の低い吸水率を有しているので、口腔内で長期間使用しても汚れが発生しにくいという利点を有している。又、本発明の組成物を使用することによって、吸水率を低減させた補修用、歯冠用、矯正用即時重合レジンや、人工歯を製造することも可能である。 まず最初に、粉末状の第1成分(ポリマー成分)が、PEMAとPMMAとの混合物である本発明の歯科用樹脂組成物について説明する。 この歯科用樹脂組成物においては、第1成分中に占めるPEMAの割合が10重量%以上であり、液体状の第2成分は、EMAを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー混合物である。この際、第1成分におけるPEMAの配合割合が10重量%未満になると、たとえ第2成分中のEMAの割合を100重量%にしても、加工に適した餅状状態になるまでの時間が長くなり過ぎて、操作性が悪いものしか得られない。又、第2成分中のEMAの割合が40重量%未満である場合には、吸水量が21μg/mm3以上となり(PMMA−MMA製の義歯床は22〜24μg/mm3程度)、PMMA−MMA製の義歯床との差異がほとんど無くなる。 ところで、本発明の歯科用樹脂組成物における前記第1成分と第2成分との配合割合は10:3〜10:8が好ましく、10:4が特に好ましい。 本発明では、第1成分中に含まれるPMMAの分子量は特に限定されるものではなく、分子量が数万〜数百万のものがいずれも使用できるが、PEMAについては、その分子量によって、使用時の操作性と機械的強度が大きく影響を受ける。即ち、PEMAの分子量が1万〜50万未満である場合には、第1成分中のPEMAの配合割合が20〜80重量%であることが必要であり、20重量%未満では、機械的強度においては問題はない(曲げ弾性率において2000MPa以上の成形品が得られる)が、餅状状態になるまでの時間が長くなり過ぎるという操作性の問題が生じる。逆に、第1成分中のPEMAの配合割合が80重量%を超えると、機械的強度が不足したり(曲げ弾性率2000MPa以下)、第1成分と第2成分の混合直後に餅状になるが可使時間(使用できる時間)が非常に短くなって実際の使用に適さないものとなる。 又、前記第1成分中に含まれるPEMAの分子量が50万〜200万である場合には、PEMAの配合割合は10〜50重量%であることが必要であり、10重量%未満では、モノマーによりポリマーが膨潤しにくく、餅状になるまで長時間を要するため好ましくない。逆に、第1成分中のPEMAの配合割合が50重量%を超えると、機械的強度が不足したり、第1成分と第2成分の混合直後に餅状になるが可使時間が非常に短くなって実際の使用に適さないものとなる。 尚、本発明の歯科用樹脂組成物には、PMMA、PEMA以外の第3成分が含有されても良く、このような第3成分としては、下記のホモポリマー又はコポリマー、これらのアルキルメタクリレートとスチレンの共重合体が挙げられる。 ブチルメタアクリレート、イソブチルメタアクリレート、t−ブチルメタアクリレート、エチルヘキシルメタアクリレート、ラウリルメタアクリレート、ステアリルメタアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、イソボニルメタアクリレート、グリシジルメタアクリレート、ベンジルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、メトキシエチルメタアクリレート、エトキシエチルメタアクリレート。 この際、上記の第3成分の添加量は20重量%以下であれば可能であるが、20重量%を超えた場合は、操作性に支障をきたしたり、十分な機械的強度を得ることができない。 次に、粉末状の第1成分がEMAとMMAとから成るコポリマーである本発明の歯科用樹脂組成物について説明する。 この歯科用樹脂組成物においては、第1成分であるコポリマー中に占めるEMA単位の割合は10重量%以上であり、液体状の第2成分は、EMAを必須成分として40〜100重量%含むメタクリル酸エステルモノマー混合物である。この際、第1成分におけるEMA単位の割合が10重量%未満になると、たとえ第2成分中のEMAの割合を100重量%にしても、加工に適した餅状状態になるまでの時間が長くなり過ぎて、操作性が悪いものしか得られない。 この際、EMAとMMAとから成るコポリマーの分子量が2万〜50万未満である場合には、当該コポリマー中に占めるEMA単位の割合は20〜80重量%であることが必要であり、前述のPEMAとPMMAとの混合物の場合と同様に、コポリマー中のEMA単位の割合が20重量%未満では、機械的強度においては問題はないが、餅状状態になるまでの時間が長くなり過ぎるという操作性の問題が生じる。逆に、コポリマー中のEMA単位の割合が80重量%を超えると、機械的強度が不足したり、第1成分と第2成分の混合後の可使時間が非常に短くなって実際の使用に適さないものとなる。尚、このようなコポリマーである第1成分と使用される第2成分は、前述のものと同様、EMAを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー混合物である。 又、第1成分を構成するEMA‐MMAコポリマーの分子量が50万〜200万である場合には、このコポリマー中に占めるEMA単位の割合は10〜50重量%であることが必要であり、10重量未満では、機械的強度においては問題はないが、餅状状態になるまでの時間が長くなり過ぎるという操作性の問題が生じ、逆に、コポリマー中のEMA単位の割合が50重量%を超えると、機械的強度が不足したり、第1成分と第2成分の混合直後に餅状になるが可使時間が非常に短くなって実際の使用に適さないものとなる。 更に本発明は、粉末状の第1成分が2種以上のポリマーの混合物である歯科用樹脂組成物でもあり、この場合における第1成分は、下記のポリマーa)〜c): a)ポリメチルメタクリレート、 b)分子量が1万〜50万未満のポリエチルメタクリレート、 c)メチルメタクリレートとエチルメタクリレートから成る分子量が1万〜50万未満のコポリマーのうちの少なくとも2つを含み、全ポリマー中に占めるエチルメタクリレートの割合は20〜80重量%である。このようなEMA割合に限定されるのは、全ポリマー中に占めるEMAの割合が20重量%未満では、餅状状態になるまでの時間が長くなり過ぎるという操作性の問題が生じ、全コポリマー中のEMAの割合が80重量%を超えると、機械的強度が不足したり、第1成分と第2成分の混合後の可使時間が非常に短くなって実際の使用に適さないものとなるからである。尚、このようなポリマー混合物である第1成分と使用される第2成分は、前述のものと同様、EMAを必須成分とし、モノマー成分中に占めるEMAの割合が40〜100重量%であるメタクリル酸エステルモノマー混合物であり、上記a)成分のPMMAについては、使用時の操作性と機械的強度に悪影響を及ぼさないので、分子量は特に限定されない。 又、粉末状の第1成分が2種以上のポリマーの混合物である本発明の歯科用樹脂組成物は、第1成分が、下記のポリマーa)〜c): a)ポリメチルメタクリレート、 b)分子量が50万〜200万のポリエチルメタクリレート、 c)メチルメタクリレートとエチルメタクリレートから成る分子量が50万〜200万のコポリマーのうちの少なくとも2つを含む混合物であっても良く、この場合には、全ポリマー中に占めるエチルメタクリレートの割合は10〜50重量%でなければならない。この理由については、第1成分がEMA‐MMAコポリマーによって構成される樹脂組成物の場合と同様であり、第2成分としては、EMAの割合が40〜100重量%であるメタクリル酸エステルモノマー混合物が使用される。 上記の本発明の歯科用樹脂組成物の第1成分と第2成分とを混合して得られる歯科用成形体は、いずれもその吸水率が20μg/mm3以下(約11〜21μg/mm3)であり、従来のPMMA製成形体の吸水率(22〜24μg/mm3程度)よりも低いために、口腔内で長期間使用される場合であっても、唾液などを吸水が抑制されて汚れが発生しにくく、衛生的である。又、本発明の樹脂組成物から得られた成形体は、歯科用成形体として必要とされる十分な強度を有しており、その曲げ弾性率は2000MPa以上(一般的には2050〜3300MPa)である。 以下、本発明の実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1:PEMAの配合量と、操作性及び機械的強度の関係 第1成分が、PMMAとPEMAとから成るポリマー成分である樹脂組成物に関して、PEMAの配合量と、操作性及び機械的強度(曲げ弾性率)の関係を調べた。 この際、PMMAとしては分子量が80万(分子量分布が約70万〜90万)のものを使用し、PEMAとしては、平均分子量が4万(分子量分布が1万〜6万)、25万(22万〜28万)、47万(45万〜50万)、55万(50万〜60万)、100万(94万〜105万)、190万(180万〜200万)のものを使用し、PEMAの配合量を0〜100重量%の範囲で変化させた。尚、メタクリル酸エステルモノマーである第2成分としては、EMA100重量%のものと、EMA40重量%とMMA60重量%とからなるものをそれぞれ使用した。 上記の第1成分と第2成分の混合については、上記の各種PEMAをPMMAと混合した後、EMA(100重量%)あるいはEMA(40重量%)、MMA(60重量%)と第1成分:第2成分=10g:4gの割合で混合した。 この実験結果を以下の表1及び表2に示す。 上記表1及び表2の実験結果から、PEMAの分子量が50万未満と50万以上とでは、PEMAの配合量によって操作性及び機械的強度に違いが見られ、操作性及び機械的強度が共に良好なPEMAの配合割合の範囲は、PEMAの分子量が1万〜50万未満である場合には20〜80重量%で、PEMAの分子量が50万〜200万である場合には10〜50重量%であることがわかった。実施例2:PMMAの分子量と、操作性及び機械的強度の関係 第1成分が、PMMAとPEMAとから成るポリマー成分である樹脂組成物に関して、PMMAの分子量と、操作性及び機械的強度(曲げ弾性率)の関係を調べた。 この際、PEMAとしては、上記実施例1で使用したものと同じ分子量のものを使用し、PMMAとしては、平均分子量が3万(分子量分布2万〜4万)、80万(分子量分布70万〜90万)、195万(分子量分布180万〜210万)のものを使用し、上記の各種PEMA:PMMA=40:60の割合で混合し、EMA(100重量%)と第1成分:第2成分=10g:4gの割合で混合した。 この実験結果を以下の表3に示す。 上記表3の実験結果から、PEMA:PMMA=40:60の混合割合の場合には、PMMAの分子量に関わらず全て同様の良好な結果が得られ、PMMAの分子量は操作性及び機械的強度に大きな影響を及ぼすことなく、2万〜210万の分子量のものが広く使用できることがわかった。実施例3:コポリマー中のEMA成分の割合と、操作性及び機械的強度の関係 第1成分が、MMAとEMAとから成るコポリマーである樹脂組成物に関して、コポリマー中のEMA成分の割合と、操作性及び機械的強度(曲げ弾性率)の関係を調べた。 この実施例において使用した第1成分のコポリマーは、以下のものである。(1)poly(MMA−co−EMA)EMA:MMA=20:80 分子量分布2万〜6万(平均分子量4万)(2)poly(MMA−co−EMA)EMA:MMA=20:80 分子量分布45万〜50万(平均分子量48万)(3)poly(MMA−co−EMA)EMA:MMA=20:80 分子量分布180万〜200万(平均分子量190万)(4)poly(MMA−co−EMA)EMA:MMA=50:50 分子量分布2万〜6万(平均分子量4万)(5)poly(MMA−co−EMA)EMA:MMA=50:50 分子量分布45万〜50万(平均分子量48万)(6)poly(MMA−co−EMA)EMA:MMA=50:50 分子量分布190万〜205万(平均分子量195万)(7)poly(MMA−co−EMA)EMA:MMA=80:20 分子量分布2万〜7万(平均分子量5万)(8)poly(MMA−co−EMA)EMA:MMA=80:20 分子量分布45万〜50万(平均分子量48万)(9)poly(MMA−co−EMA)EMA:MMA=80:20 分子量分布180万〜200万(平均分子量190万) 上記の各種コポリマーと、第2成分であるEMA(100重量%)とを、第1成分:第2成分=10g:4gの割合で混合した。 この実験結果を以下の表4に示す。 上記表4の実験結果から、第1成分として上記コポリマーを使用した場合においても、表1及び表2に記載されるホモポリマー(PMMA,PEMA)の混合物と同様の結果が得られることがわかった。尚、このような傾向は、第2成分として、EMA40重量%、MMA60重量%の混合物を使用した場合においても同様であった。 従って、コポリマーの分子量の範囲もホモポリマー(PMMA,PEMA)の混合物と同様で良いと考えられ、操作性と機械的強度が共に良好な範囲は、EMAとMMAからなる分子量が2万〜50万未満のコポリマーの場合にはEMA単位の割合が20〜80重量%であり、EMAとMMAからなる分子量が50万〜200万のコポリマーの場合にはEMA単位の割合が10〜50重量%であると考えられる。実施例4:PMMAとMMA−EMAコポリマーの混合物を使用した場合の操作性と曲げ弾性率 第1成分を構成するMMA−EMAコポリマーとしては、上記実施例3で使用したものと同じものを使用し、PMMAとしては、平均分子量が80万(分子量分布70万〜90万)のものを使用し、上記コポリマーの配合量を0〜100重量%の範囲で変化させた。尚、メタクリル酸エステルモノマーである第2成分としては、EMA100重量%のものを使用した。 上記の各種コポリマーをそれぞれ上記PMMAと混合した後、EMA(100重量%)と第1成分:第2成分=10g:4gの割合で混合した。 この実験結果を以下の表5に示す。 上記表5の実験結果から、全ポリマー中のPEMA成分が、コポリマーの分子量が2万〜50万未満の場合は20重量%〜80重量%、コポリマーの分子量が50万〜200万の場合は10重量%〜50重量%存在すると、操作性、機械的強度ともに歯科用樹脂組成物として使用可能の範囲であることが確認された。尚、上記の配合のいずれの場合においても曲げ弾性率は2000MPa以上であった。 このような傾向は、第1成分が、PMMAとMMA−EMAコポリマーの混合物である場合だけでなく、PEMAとMMA−EMAコポリマーの混合物においても、PMMAとPEMAとMMA−EMAコポリマーの混合物においても同様であった。実施例5:PEMAの配合量と吸水量の関係 実施例1で得られた成形体の中で本発明の範囲内にあるものについて、それぞれの吸水量を測定した。 尚、吸水量の測定は、JIS T6501の吸水量試験に基づいて試験を行なった。 この結果を以下の表6に示す。 上記表6の実験結果から、本発明の歯科用樹脂組成物を用いることによって、吸水量が約11〜21μg/mm3程度の歯科用成形体が製造できることがわかった。この吸水量の値は、PMMA製の成形体よりも小さく、汚れの発生抑制に有効である。 使用する直前に2つの成分を混合して使用される本発明の歯科用樹脂組成物は、操作性に優れており、硬化後に得られる歯科用成形体は十分な機械的強度を有しており、吸水率が従来のPMMA品よりも小さく、口腔内で長期間使用した場合であっても汚れが発生しにくく、特に義歯床を製造するのに好適である。歯科用成形体を製造するのに使用される二成分型の樹脂組成物であって、当該樹脂組成物における第1成分が、ポリエチルメタクリレートとポリメチルメタクリレートを主成分とするポリマー成分で、当該ポリマー成分中に占めるポリエチルメタクリレートの割合が10重量%以上であること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とする歯科用樹脂組成物。歯科用成形体を製造するのに使用される二成分型の樹脂組成物であって、当該樹脂組成物における第1成分が、ポリエチルメタクリレートとポリメチルメタクリレートを主成分とするポリマー成分で、当該ポリマー成分中に分子量1万〜50万未満のポリエチルメタクリレートが20〜80重量%含まれていること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とする歯科用樹脂組成物。歯科用成形体を製造するのに使用される二成分型の樹脂組成物であって、当該樹脂組成物における第1成分が、ポリエチルメタクリレートとポリメチルメタクリレートを主成分とするポリマー成分で、当該ポリマー成分中に分子量50万〜200万のポリエチルメタクリレートが10〜50重量%含まれていること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とする歯科用樹脂組成物。歯科用成形体を製造するのに使用される二成分型の樹脂組成物であって、当該樹脂組成物における第1成分が、エチルメタクリレートとメチルメタクリレートを主成分とするコポリマーで、当該コポリマー中に占めるエチルメタクリレートの割合が10重量%以上であること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とする歯科用樹脂組成物。歯科用成形体を製造するのに使用される二成分型の樹脂組成物であって、当該樹脂組成物における第1成分が、エチルメタクリレートとメチルメタクリレートを主成分とする分子量が2万〜50万未満のコポリマーで、当該コポリマー中に占めるエチルメタクリレートの割合が20〜80重量%であること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とする歯科用樹脂組成物。歯科用成形体を製造するのに使用される二成分型の樹脂組成物であって、当該樹脂組成物における第1成分が、エチルメタクリレートとメチルメタクリレートを主成分とする分子量が50万〜200万のコポリマーで、当該コポリマー中に占めるエチルメタクリレートの割合が10〜50重量%であること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とする歯科用樹脂組成物。歯科用成形体を製造するのに使用される二成分型の樹脂組成物であって、当該樹脂組成物における第1成分が、下記のポリマーa)〜c): a)ポリメチルメタクリレート、 b)分子量が1万〜50万未満のポリエチルメタクリレート、 c)メチルメタクリレートとエチルメタクリレートから成る分子量が1万〜50万未満のコポリマーのうちの少なくとも2つを含む混合物であり、全ポリマー中に占めるエチルメタクリレートの割合が20〜80重量%であること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とする歯科用樹脂組成物。歯科用成形体を製造するのに使用される二成分型の樹脂組成物であって、当該樹脂組成物における第1成分が、下記のポリマーa)〜c): a)ポリメチルメタクリレート、 b)分子量が50万〜200万のポリエチルメタクリレート、 c)メチルメタクリレートとエチルメタクリレートから成る分子量が50万〜200万のコポリマーのうちの少なくとも2つを含む混合物であり、全ポリマー中に占めるエチルメタクリレートの割合が10〜50重量%であること、及び、他方の第2成分が、エチルメタクリレートを必須成分とするメタクリル酸エステルモノマー成分で、当該モノマー成分中に占めるエチルメタクリレートの割合が40〜100重量%であることを特徴とする歯科用樹脂組成物。 【課題】 充分な機械的強度を有し、操作性が良く、吸水率が低く、口腔内で長期間使用しても汚れが発生しにくい義歯床を製造するのに適した樹脂組成物を提供する。【解決手段】 二成分型の樹脂組成物であって、この第1成分は、ポリエチルメタクリレート(PEMA)とポリメチルメタクリレート(PMMA)を主成分とするポリマー成分で、当該ポリマー成分中のPEMAの割合は10重量%以上であり、第2成分は、EMAを必須成分として40〜100重量%含むメタクリル酸エステルモノマー成分である。この際、上記PEMAの分子量が1万〜50万未満の場合には上記ポリマー中にPEMAが20〜80重量%含まれていることが好ましく、分子量50万〜200万のPEMAの場合には上記ポリマー中にPEMAが10〜50重量%含まれていることが好ましい。尚、上記の第1成分はEMAとMMAからなるコポリマーであっても良い。【選択図】 なし


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