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タイトル:公開特許公報(A)_結晶の定量方法
出願番号:2004196481
年次:2005
IPC分類:7,G01N23/20,G01N1/28,G01N1/36


特許情報キャッシュ

奥村 剛宏 JP 2005127999 公開特許公報(A) 20050519 2004196481 20040702 結晶の定量方法 住友化学株式会社 000002093 久保山 隆 100093285 中山 亨 100113000 榎本 雅之 100119471 奥村 剛宏 JP 2003343246 20031001 7G01N23/20G01N1/28G01N1/36 JPG01N23/20G01N1/28 TG01N1/28 Y 5 1 OL 16 2G001 2G052 2G001AA01 2G001BA18 2G001CA01 2G001FA01 2G001FA02 2G001GA03 2G001GA07 2G001GA13 2G001JA05 2G001KA08 2G001LA01 2G001MA04 2G001RA01 2G001RA10 2G001RA20 2G052AD35 2G052AD55 2G052FB02 2G052FB08 2G052FD08 2G052GA19 2G052HB07 2G052JA09 本発明は、結晶の定量方法に関する。 結晶多形が存在する化合物は、結晶形によって種々の性質が異なり、同一の化学組成を有していても、例えば溶解度、溶解速度、安定性、吸湿性等の物理化学的性質や、例えば効力、分解物、代謝物、毒性、製剤特性等の諸特性が異なる場合が多い。そのため、結晶多形を有する化合物を、例えば医薬原体として用いる場合は、医薬原体という分野の特性上、当然に、異なる結晶形を含まないか、もしくは多形の組成比率が一定になるよう制御された医薬原体を提供することが要求され、その製造プロセスの開発においては、当該プロセスにおいて、目的とする結晶形とは異なる結晶形の化合物が生成しないかどうか、得られた原体中に、目的とする結晶形とは異なる結晶形の化合物が含まれていないかどうか、あるいは多形の組成比率が一定になっているかどうか、さらには、製造した医薬原体の保存中や製剤過程において、結晶形の変化がないかどうか等結晶多形の有無、多形の含有量等を確認することが極めて重要であった。また、結晶化度が異なる場合も、前記結晶多形の場合と同様に、物理化学的性質や諸特性が異なることが多く、結晶化度が一定になるように制御された医薬原体を提供することが要求され、その製造プロセスにおいても、同様に、目的とする結晶化度の化合物が得られているか、製造後の保存過程等において、結晶化度の変化がないかどうか等を確認することが極めて重要であった。 従来、かかる結晶多形や結晶化度を定量する方法としては、粉末X線回折測定法が用いられていた。これは、特定の結晶形あるいは結晶化度の結晶をメノウ製乳鉢を用いてすりつぶし、すりつぶした結晶粉末を所定量ずつ採取、混合した後、粉末X線回折測定し、前記結晶の固有ピークの大きさと混合粉末中のそれぞれの結晶粉末の重量または結晶化度との相関の検量線を作成した後、含量未知の結晶混合物を同様にすりつぶし、粉末X線回折測定して得られる粉末X線回折プロファイル中の固有ピークの大きさと前記検量線とから、前記結晶混合物中のそれぞれの結晶形の含有量や結晶混合物の結晶化度を定量する方法であるが、検量線の信頼性の点から、定量限界が5〜10%程度といわれており、また、すりつぶす際に結晶形の転移、非晶化、結晶化等が起こるおそれもあり、例えば医薬原体等の分野における微量の結晶多形の有無、微量の結晶もしくは非晶の有無等を分析する方法としては、必ずしも適しているとは言えなかった。さらに、製剤中に含まれる結晶についても、製剤中の結晶含有量自体が少量であるため、定量下限はさらに大きくなり、結晶形の含有量や結晶試料の結晶化度を精密に定量することは難しかった。 定量限界を小さくし、より信頼性の高い検量線を作成するためには、結晶をできるだけ均質に、結晶形、結晶性等を変化させることなく粉砕し、均等に混合した標準混合粉末を調製し、該標準混合粉末を用いて検量線を作成する必要があるが、これまで、結晶をできるだけ均質に、結晶形の転移、非晶化、結晶化等を起こさせることなく粉砕し、混合して、標準混合粉末を調製する方法は知られておらず、より定量下限の小さな含量未知の結晶の定量方法は知られていなかった。 このような状況のもと、本発明者は、結晶をできるだけ均質に、結晶形の転移、非晶化、結晶化等を起こさせることなく粉砕し、混合した標準混合粉末を調製でき、より信頼性の高い検量線を作成でき、より定量限界の小さい結晶の定量方法を開発すべく鋭意検討したところ、結晶形または結晶化度の異なる二種以上の結晶を気流式粉砕機を用いて粉砕処理することにより、微粉末結晶が得られ、かかる微粉末結晶を、少なくともその外面が弾性体で形成されてなる混合媒体を備えた中空容器に入れ、該中空容器を振動もしくは回転せしめて、前記粉砕結晶を混合処理することにより、結晶形の転移、結晶化度の変化等を起こすことなく、混合状態が均質な混合微粉末を得ることができ、該混合微粉末を標準混合粉末として、粉末X線回折測定することにより、混合微粉末中の各結晶形の重量または該混合粉末の結晶化度と、得られた粉末X線回折プロファイル中の各結晶の固有ピークの大きさとの相関のより信頼性の高い検量線を作成することができ、かかる検量線を用いることにより、含量未知の結晶を、より精密に定量することができることを見出し、本発明に至った。 すなわち本発明は、(a)結晶形または結晶化度の異なる二種以上の結晶を、それぞれ独立に気流式粉砕機を用いて粉砕処理し、それぞれの粉砕結晶を得るステップと、(b)前記粉砕結晶を、それぞれ所定量ずつ秤量し、少なくともその外面が弾性体で形成されてなる混合媒体を備えてなる中空容器に入れ、該中空容器を振動もしくは回転せしめることにより、前記粉砕結晶の混合処理を行い、結晶形の含有割合または結晶化度の異なる複数の標準混合粉末を得るステップと、(c)該標準混合粉末を粉末X線回折測定し、得られた粉末X線回折プロファイル中の各結晶の固有ピークの大きさと、該標準混合粉末中の各結晶形の重量または該標準混合粉末の結晶化度との相関の検量線を作成するステップと、(d)定量すべき結晶混合物を粉砕処理するステップと、(e)前記粉砕処理された結晶混合物を粉末X線回折測定し、得られた粉末X線回折プロファイル中の各結晶の固有ピークの大きさと、前記ステップ(c)で作成した検量線とから、定量すべき結晶混合物中の各結晶形の含有量または該結晶混合物の結晶化度を算出するステップを含むことを特徴とする結晶の定量方法、該定量方法に用いる標準混合粉末の調製方法および該定量方法に用いる検量線の作成方法を提供するものである。 本発明によれば、より定量下限が小さく、精密な定量が可能となるため、微量の結晶多形の定量、微量の非晶の定量等の精密な定量が必要とされる医薬の分野はもちろん、他の分野においても有用である。 本発明の結晶の定量方法は、以下の(a)〜(e)の各ステップを含むことを特徴とするものであり、かかる定量方法により、より定量限界の小さい検量線を作成することができ、結晶混合物中に微量含まれる結晶形や非晶等を定量することができる。(a)結晶形または結晶化度の異なる二種以上の結晶を、それぞれ独立に気流式粉砕機を用いて粉砕処理し、それぞれの粉砕結晶を得るステップ(以下、ステップ(a)と略記する。)、(b)前記粉砕結晶を、それぞれ所定量ずつ秤量し、少なくともその外面が弾性体で形成されてなる混合媒体を備えてなる中空容器に入れ、該中空容器を振動もしくは回転せしめることにより、前記粉砕結晶の混合処理を行い、結晶形の含有割合または結晶化度の異なる複数の標準混合粉末を得るステップ(以下、ステップ(b)と略記する。)、(c)該標準混合粉末を粉末X線回折測定し、得られた粉末X線回折プロファイル中の各結晶の固有ピークの大きさと、該標準混合粉末中の各結晶形の重量または該標準混合粉末の結晶化度との相関の検量線を作成するステップ(以下、ステップ(c)と略記する。)、(d)定量すべき結晶混合物を粉砕処理するステップ(以下、ステップ(d)と略記する。)、(e)前記粉砕処理された結晶混合物を粉末X線回折測定し、得られた粉末X線回折プロファイル中の各結晶の固有ピークの大きさと、前記ステップ(c)で作成した検量線とから、定量すべき結晶混合物中の各結晶形の含有量または該結晶混合物の結晶化度を算出するステップ(以下、ステップ(e)と略記する。)。 以下、図1に示した本発明の定量方法のフロー図に基づき、各ステップごとに、順に説明する。 ステップ(a)は、前記のとおり、結晶形または結晶化度の異なる二種以上の結晶を、それぞれ独立に気流式粉砕機を用いて粉砕処理し、それぞれの粉砕結晶を得るステップ(図1 S1)である。かかるステップにより、微細で、無配向化した粉砕結晶が得られる。 結晶形または結晶化度の異なる二種以上の結晶をそれぞれ独立に粉砕処理する気流式粉砕機としては、ノズルから噴出する圧縮空気もしくは圧縮不活性ガスで生じるジェット気流中に、粉砕すべき結晶を供給し、ジェット気流中での結晶同士の衝突や結晶の衝突板への衝突により、結晶を粉砕する粉砕機であれば特に制限されない。かかる気流式粉砕機としては、例えばジェットミル等が挙げられ、通常市販されているものが用いられる。市販されているジェットミルとしては、例えばA−Oジェットミル(株式会社セイシン企業製)、スパイラルジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製)、カウンタージェットミル(ホソカワミクロン株式会社製)、シングルトラックジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製)、スーパーシングルトラックジェットミル(ホソカワミクロン株式会社製)、カレントジェット(日清エンジニアリング株式会社製)等が挙げられる。 結晶の粉砕が行われるミル部分の材質は特に制限されず、例えばステンレス、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、チッ化ケイ素等が挙げられる。 かかる粉砕処理では、後述する検量線の精度の観点から、通常D90が約10μm以下の粉砕結晶が得られるよう、気流式粉砕機の気流量、ジェット気流を生じさせるための圧縮空気や圧縮不活性ガスの圧力、気流式粉砕機に投入する結晶量等の粉砕条件を適宜決められる。 気流式粉砕機から排出された粉砕結晶を採取し、所定数の結晶について粉砕処理が終了すれば(図1 S2)、次ステップ(b)に進む。なお、採取した粉砕結晶を、さらに気流式粉砕機に投入し、粉砕処理を二回以上行ってもよい。 ステップ(b)は、前記ステップ(a)で得られた粉砕結晶を、それぞれ所定量ずつ秤量し、少なくともその外面が弾性体で形成されてなる混合媒体を備えてなる中空容器に入れ、該中空容器を振動もしくは回転せしめることにより、前記粉砕結晶の混合処理を行い、結晶形の含有割合または結晶化度の異なる複数の標準混合粉末を得るステップ(図1 S3)である。 かかるステップ(b)により、前記ステップ(a)で得られた微細な、無配向化された粉砕結晶を、結晶形の転移、結晶化度の変化等を起こすことなく、均一に混合でき、信頼性の高い検量線を作成可能な標準混合粉末を得ることができる。 標準混合粉末は、二種以上の結晶形の含有割合または結晶化度の異なるものが複数作成される。標準混合粉末の個数は二個以上であればよい。もちろん個数が多いほど、より精密な検量線が作成可能であるため、目的等に応じて個数を決めればよい。また、例えば後述するステップ(d)の定量すべき結晶混合物中に含まれる各結晶形の含有量または該結晶混合物の結晶化度が予想できる場合には、予想される含有量の近傍または予想される結晶化度の近傍における検量線を作成するようにしてもよい。 前記ステップ(a)で得られた粉砕結晶の秤量には、例えば電子天秤等の秤量器が用いられ、該秤量器でそれぞれ所定量が秤量される。秤量する所定量は検量線が作成可能であれば、特に限定されない。 秤量した各粉砕結晶を、少なくともその外面が弾性体で形成されてなる混合媒体を備えてなる中空容器に入れ、該中空容器を振動もしくは回転せしめることにより、前記粉砕結晶の混合処理が行われ、結晶形の含有割合または結晶化度の異なる複数の標準混合粉末が得られる。 中空容器は、粉砕結晶を投入する投入口と混合後の混合粉末を排出する排出口が設けられた中空の密閉容器であればよく、その大きさは特に制限されない。投入口と排出口を別々に設けてあってもよいし、投入口と排出口を兼ねた投入/排出口を一つ設けてあってもよい。 中空容器の材質は特に制限されず、例えばステンレス、アルミナ、ジルコニア、セラミック等が挙げられる。また、粉砕結晶や混合媒体と接触する中空容器の内面が、弾性体で形成された中空容器を用いると、混合時の粉砕結晶への衝撃をより弱めることができるため、混合処理時の粉砕結晶の結晶形の転移、結晶化度の変化等がより起こりにくく、好ましい。 混合媒体としては、例えば球状、柱状等粉砕結晶と接触して粉砕結晶を混合することが可能な形状であればよく、その個数も、中空容器内で混合媒体が動く余裕があれば特に制限されない。 かかる混合媒体の少なくともその外面は弾性体で形成されており、これにより、粉砕結晶との接触においても、粉砕結晶の結晶形の転移、結晶化度の変化等を起こすことなく、混合することができる。 混合媒体は、前記のとおり、少なくともその外面が弾性体で形成されており、ある程度の弾力性を有するものであればよく、混合媒体全体が弾性体で形成されていてもよい。外面が弾性体で形成され、内部が例えばセラミック等の弾性体以外の硬い材質で形成された混合媒体の場合、弾性体で形成された外面層は、混合媒体が粉砕結晶と接触した際、該粉砕結晶の結晶形や結晶化度等を変化させない程度の弾力性を有する厚みを有しておればよい。 弾性体としては、通常JIS K6253に規定されているタイプAデュロメータで測定したゴム硬さが20〜90の範囲である弾性体が用いられ、好ましくは前記ゴム硬さが40〜85の範囲である弾性体が用いられる。 かかる弾性体の材質としては、例えば天然ゴム、合成ゴム、樹脂、エラストマー、コルク等が挙げられ、合成ゴム、樹脂が好ましい。合成ゴムとしては、例えばシリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンイソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム等が挙げられ、シリコンゴム、ウレタンゴムが好ましい。樹脂としては、例えば塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂等が挙げられる。 弾性体として、例えばカーボン、鉄等の導電材をかかる弾性体に混合せしめた導電性ゴム等の導電性を備えた弾性体を用いてもよい。少なくともその外面がかかる導電性を備えた弾性体で形成された混合媒体を用いることにより、混合媒体への粉体の付着を軽減し、混合後の粉体をより容易に取り出すことができる。また、例えば静電気を帯びた粉体や静電気を帯びやすい粉体を混合する場合も、少なくともその外面が導電性を備えた弾性体で形成された混合媒体を用いることが好ましい。 混合媒体の大きさや使用個数は、中空容器の中空部の大きさにより適宜決めればよい。 中空容器の振動もしくは回転は人為的に行ってもよいし、機械的に行ってもよい。混合処理の再現性という点から、機械的に振動もしくは回転せしめることが好ましい。単位時間当りの振動数もしくは回転数は特に制限されない。混合時間は、混合媒体の数、振動数もしくは回転数、粉砕結晶の種類等に応じて適宜決めればよい。 機械的に中空容器を振動もしくは回転せしめるものとしては、例えば中空容器を振動もしくは回転せしめる振動もしくは回転装置を備えた混合装置が挙げられる。かかる中空容器を振動もしくは回転せしめる振動もしくは回転装置を備えた混合装置としては、例えば円筒型混合器、V型混合器、振動ミル、回転ミル、転動ミル等が挙げられ、通常市販されているものが用いられる。 また、前記のとおり、中空容器の少なくとも内面が、弾性体で形成されてなる中空容器を用いることにより、混合処理時の粉砕結晶への衝撃をより弱めることができるため、さらに混合処理時の粉砕結晶の結晶形の転移、結晶化度の変化等がより起こりにくく、より好ましい。 所定数の粉砕結晶について混合処理が終了すれば(図1 S4)、次ステップ(c)に進む。 ステップ(c)は、前記ステップ(b)で得た標準混合粉末を粉末X線回折測定し(図1 S5およびS6)、得られた粉末X線回折プロファイル中の各結晶の固有ピークの大きさと、該標準混合粉末中の各結晶形の重量または該標準混合粉末の結晶化度との相関の検量線を作成するステップ(図1 S7)である。 標準混合粉末を粉末X線回折測定する方法としては、通常の粉末X線回折法でよく、通常略一定量の各標準混合粉末を秤量し、粉末X線回折装置で測定が行われる。粉末X線回折法における走査モードとしては、一定速度で軸を駆動しながら測定する連続モードを用いてもよいし、一定角度ずつ軸を送り、静止している状態で計数するステップモードを用いてもよい。低含量域のピークの強度の統計誤差が小さいという点で、ステップモードが好ましい。ステップモードの場合、後述する選定した固有ピークの回折角が通常選択される。 予め各結晶について、単独で粉末X線回折測定を行い、各結晶の固有ピークを選定しておき、得られた粉末X線回折プロファイルから、選定した各固有ピークの大きさを求め、求めた固有ピークの大きさを縦軸に、標準混合粉末中の各結晶形の重量または該標準混合粉末の結晶化度を横軸とし、それぞれのデータをプロットすることにより、検量線が作成される(図1 S7)。プロットする際の固有ピークの大きさとしては、例えば固有ピークの強度、固有ピークのピーク面積、固有ピークの相対強度、固有ピークが複数の場合は、その和等が挙げられる。なお、結晶形が異なる二種以上の結晶を用いて標準混合粉末を調製した場合は、前記各結晶形が特異的に有する回折ピーク、すなわちいずれか一つの結晶形には検出され、他の結晶形では検出されない各結晶形に固有の回折ピークを固有ピークとすればよい。また、結晶化度が異なる二種以上の結晶を用いて標準混合粉末を調製した場合には、検出された回折ピークのいずれを固有ピークとしてもよいが、その強度の変化が大きい回折ピークを固有ピークとすることが好ましい。 なお、結晶化度は、通常結晶試料の結晶化度を100%、粉末X線回折プロファイル中に回折ピークが検出されない非晶試料の結晶化度を0%として、規定されるため、本発明においては、標準混合粉末を調製する際の結晶化度の異なる結晶の結晶化度とその混合重量比とから、標準混合粉末の結晶化度を求めればよい。例えば結晶化度100%の結晶と結晶化度10%の結晶、すなわち非晶とを用い、結晶化度100%の結晶/結晶化度10%の結晶(重量比)が、100/0、80/20、50/50、20/80および0/100の5種の標準混合粉末を調製した場合の各標準混合粉末の結晶化度は、それぞれ100%、82%、55%、28%および10%となる。 粉末X線回折測定(図1 S5)は、各標準混合粉末について、少なくとも一回ずつ行えばよい。もちろん測定誤差をより小さくし、より精度の高い検量線を作成するという観点から、各標準混合粉末について、二回以上測定してもよい。 所定数の標準混合粉末について、粉末X線回折測定が終了すれば(図1 S6)、検量線が作成される(図1 S7)。検量線は、例えば得られた粉末X線回折プロファイル中の各結晶の固有ピークの大きさと、該標準混合粉末中の各結晶形の重量または該標準混合粉末の結晶化度とを、それぞれ縦軸、横軸とし、データをプロットしたグラフ、例えばその両者の相関を、例えば一次方程式、二次方程式等の近似式で表わしたもの等が挙げられる。検量線グラフの例を、図4に示した。 検量線が作成されれば、次ステップ(d)に進む。 ステップ(d)は、定量すべき結晶混合物を粉砕処理するステップ(図1 S8)である。 粉砕処理は、例えば定量すべき結晶混合物をメノウ製乳鉢に入れ、人為的にもしくは機械的にすりつぶす方法でもよいし、前記ステップ(b)と同様の気流式粉砕機を用いる方法により粉砕処理を行ってもよい。後者の前記ステップ(b)と同様の気流式粉砕機を用いる方法により粉砕処理を行うことが、結晶形の転移、結晶化度の変化等が起こるおそれがより少なく、好ましい。 定量すべき結晶混合物の粉砕処理が終了すれば、次ステップ(e)へ進む。 ステップ(e)は、前記ステップ(d)で粉砕処理された結晶混合物を粉末X線回折測定し、得られた粉末X線回折プロファイル中の各結晶の固有ピークの大きさと、前記ステップ(c)で作成した検量線とから、定量すべき結晶混合物中の各結晶形の含有量またが該結晶混合物の結晶化度を算出するステップ(図1 S9)である。 前記ステップ(d)で粉砕処理された結晶混合物の粉末X線回折測定は、通常の粉末X線回折法により実施すればよい。その測定に用いる測定量は、通常前記ステップ(c)において粉末X線回折測定に用いられた標準混合粉末の量と略同量とされる。 結晶混合物を粉末X線回折測定し、得られた粉末X線回折プロファイル中の各結晶の固有ピークの大きさと、前記ステップ(c)で作成した検量線とから、各結晶形の含有量または結晶化度を算出する。固有ピークの大きさとしては、前記ステップ(c)で検量線を作成した際に用いたと同じものが用いられる。各結晶形の含有量または結晶化度は、例えば検量線グラフの縦軸が固有ピークの大きさで、横軸が結晶形の含有量または結晶化度の場合は、各結晶の検量線グラフの縦軸に結晶混合物の固有ピークの大きさをプロットし、該プロット位置から水平線を引き、該水平線と検量線との交点を求め、該交点から垂直線を引いて、該垂直線と横軸との交点を読み取ればよい。また、検量線を、近似式で表わした場合は、前記固有ピークの大きさを近似式に代入することにより、結晶形の含有量または結晶化度を算出してもよい。 また、本発明の定量方法を利用して、製造された結晶または製剤中に含まれる各結晶の含有量または該結晶の結晶化度を測定し、該含有量または結晶化度の変化に応じて、該結晶の製造工程または該結晶を含む製剤を製造する製剤化工程における、結晶多形の生成または結晶化度に影響を及ぼす因子条件を制御し、管理することにより、各結晶の含有量または結晶化度が安定した結晶または該結晶を含む製剤を生産することができる。 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。実施例1<粉砕結晶の取得> セイシン企業製A−Oジェットミル(ベンチュリー圧0.5MPa、グランディング圧1 0.5MPaおよびグランディング圧2 0.5MPa)を用いて、α形インドメタシン結晶を粉砕処理(ジェットミルへの結晶の供給速度は、1時間当たり30〜40g)し、粒子径約10μm以下のα形粉砕結晶を得た。同様にして、γ形インドメタシン結晶を粉砕処理し、粒子径約10μm以下のγ形粉砕結晶を得た。<標準混合粉末の調製> α形粉砕結晶とγ形粉砕結晶をそれぞれ所定量ずつ秤量し、全体がウレタンゴムで形成されたウレタンゴム製ボール(直径約20mm、重さ約4〜5g、タイプAデュロメータで測定したゴム硬さ70)を混合媒体(個数;3個)とする振動ミル(株式会社シーエムティ科学製 TI−100型)の中空容器内に入れ、振動回転数1730rpm/60Hzおよび振幅7mmで、3分間振動させ、表1に示す10種類のα形の含有割合の異なる標準混合粉末 1〜10(それぞれ約2g)を調製した。<検量線の作成> 調製した標準混合粉末 1〜10を、それぞれ粉末X線回折測定を行った。走査モードを連続モード(走査速度:2.0°/分、サンプリング幅:0.02°)として、各標準混合粉末約200mgを3回詰め替え測定した。また、走査モードをステップモード(固有ピークの回折角(2θ)=8.4°、計数時間:20秒、サンプリング幅:0.01°)として、各標準混合粉末約200mgを3回詰め替え測定した。なお、いずれの走査モードにおいても、標準混合粉末 2については、5回詰め替え測定した。 連続モードで測定して得られた回折プロファイルを図2に、該回折プロファイルから固有ピーク(回折角(2θ)=8.4°)のピーク強度の平均値を表2に示した。また、ステップモードで測定して得られた回折プロファイル(固有ピークの回折角(2θ)=8.4°近傍の回折プロファイル)を図3に、該回折プロファイルから固有ピークのピーク強度の平均値を表3に示した。 各標準混合粉末中のα形の含有量(重量%)を横軸に、固有ピークのピーク強度の平均値を縦軸にとり、表3のデータをプロットし、検量線を作成した。作成した検量線を図4に示した。図4の検量線を近似一次方程式で表わすと、傾き=1675.6、切片=10554であった。<組成未知の混合結晶の定量> 組成が未知のα形およびγ形インドメタシン混合結晶を、メノウ製乳鉢で注意深くすりつぶし、粉砕処理を行った。得られた粉砕粉末を、粉末X線回折測定(走査モード:ステップモード)したところ、回折角(θ)=8.4°のピーク強度は、12924cpsであった。図4に示した検量線から、組成が未知のインドメタシン結晶の組成を求めたところ、α形結晶/γ形結晶=1.4/98.6(重量比)の組成比の混合結晶であることがわかった。実施例2<粉砕結晶の取得> セイシン企業製A−Oジェットミル(ベンチュリー圧0.5MPa、グランディング圧1 0.5MPaおよびグランディング圧2 0.5MPa)を用いて、γ形インドメタシン結晶を粉砕処理(ジェットミルへの結晶の供給速度は、1時間当たり30〜40g)し、粒子径約10μm以下のγ形粉砕結晶(結晶化度100%とした。)を得た。また、γ形インドメタシン結晶を180℃で溶融させた後、液体窒素で急冷せしめて、インドメタシン非晶を得、該非晶を粉砕処理し、粒子径約10μm以下の粉砕非晶(結晶化度0%とした。)を得た。<標準混合粉末の調製> γ形粉砕結晶と粉砕非晶をそれぞれ所定量ずつ秤量し、全体がウレタンゴムで形成されたウレタンゴム製ボール(直径約20mm、重さ約4〜5g、タイプAデュロメータで測定したゴム硬さ70)を混合媒体(個数;3個)とする振動ミル(株式会社シーエムティ科学製 TI−100型)の中空容器内に入れ、振動回転数1730rpm/60Hzおよび振幅7mmで、3分間振動させ、9種類の混合粉末を得た。それぞれの混合粉末に、所定量のマンニトール(混合粉末に対して9重量倍)を加え、表4に示す9種類の結晶化度の異なる標準混合粉末 1’〜9’を調製した。<検量線の作成> 得られた標準混合粉体1’〜9’について、粉末X線回折分析(混合粉末約200mg採取、走査モード:連続モード、固有ピークの回折角(2θ)=11.6°、走査速度:2°/分、サンプリング幅:0.02°)を行った。得られたX線回折プロファイルから、γ形インドメタシン結晶の固有ピークの回折角(2θ)=11.6°の回折ピークのピーク強度の平均値と結晶化度の関係を表5に示した。各標準混合粉末の結晶化度(%)を横軸に、固有ピークのピーク強度の平均値を縦軸にとり、表5のデータをプロットし、検量線を作成した。作成した検量線を図5に示した。図5の検量線を近似一次方程式で表わすと、傾き=29.236、切片=−171.52であった。 図5に示した検量線を用いることにより、結晶化度が不明なγ形インドメタシン結晶の結晶化度を測定することができる。実施例3<粉砕結晶の取得> 前記実施例1と同様にして、α形結晶/非晶混合インドメタシンとγ形結晶/非晶混合インドメタシンとをそれぞれ粉砕処理し、それぞれの粉末を得た。ルーランド法により結晶化度を測定したところ、α形結晶/非晶混合インドメタシン粉末の結晶化度は43.9%、γ形結晶/非晶混合インドメタシン粉末の結晶化度は53.4%であった。<標準混合粉末の調製> 得られたα形結晶/非晶混合インドメタシン粉末とγ形結晶/非晶混合インドメタシン粉末をそれぞれ所定量ずつ秤量し、表6に示す標準混合粉末a〜fを調製した。なお、表中、α形含有率(α形インドメタシン結晶の含有率)およびγ形含有率(γ形インドメタシン結晶の含有率)は、α形結晶/非晶混合インドメタシン粉末とγ形結晶/非晶混合インドメタシン粉末の混合割合とα形結晶/非晶混合インドメタシン粉末とγ形結晶/非晶混合インドメタシン粉末の結晶化度とから計算し、非晶含有率は、α形含有率とγ形含有率の和を100から差し引いた値とした。<検量線の作成> 標準混合粉末a〜fについて、粉末X線回折分析(混合粉末約50mg採取、走査モード:連続モード)を行った。得られたX線回折プロファイルから、α形インドメタシン結晶の固有ピークの回折角(2θ)=8.4°、11.8°および14.4°の3本の回折ピークのピーク強度の合計値の平均値とγ形インドメタシン結晶の固有ピークの回折角(2θ)=12.7°、16.6°および21.8°の3本の回折ピークのピーク強度の合計値の平均値とをそれぞれ算出し、α形含有率またはγ形含有率を横軸に、前記平均値を縦軸にとり、検量線グラフを作成し、それぞれ図6(a)および(b)に示した。図6(a)に示した検量線を近似一次方程式で表わすと、傾き=287.23、切片=736.39であり、図6(b)に示した検量線を近似一次方程式で表わすと、傾き=580.48、切片=2719.7であった。 また、標準混合粉末a〜fの結晶化度をルーランド法により測定したところ、表7に示すように、α形結晶/非晶混合インドメタシン粉末とγ形結晶/非晶混合インドメタシン粉末の混合割合に基づいて算出した計算値とルーランド法により測定した実測値にほとんど差がないことも確認できた。<組成未知の混合結晶の定量> 組成が未知のα形およびγ形インドメタシン混合物(結晶化度も未知)を、メノウ製乳鉢で注意深くすりつぶし、粉砕処理を行った。得られた粉砕粉末を、粉末X線回折測定(走査モード:連続モード)し、図6(a)および(b)に示した検量線をもとに、α形およびγ形の含有率を算出した。算出したα形およびγ形含有率の和を100から差し引いた値を非晶の含有率とした。その結果、組成が未知のインドメタシン混合物の組成は、α形結晶/γ形結晶/非晶=10.5/32.9/56.6(重量比)であることがわかった。本発明の定量方法のフロー図である。標準混合粉末 1〜10を、連続モードで粉末X線回折分析して得られたX線回折プロファイルである。標準混合粉末 1〜10を、ステップモードで粉末X線回折分析して得られたX線回折プロファイル(固有ピークの回折角(2θ)=8.4°近傍の回折プロファイル)である。表3に示したデータをプロットして作成した検量線グラフである。表5に示したデータをプロットして作成した検量線グラフである。(a)α形インドメタシン結晶の含有率を横軸に、3本の回折ピークのピーク強度の合計値の平均値を縦軸にとり、結果をプロットしたグラフである。(b)γ形インドメタシン結晶の含有率を横軸に、3本の回折ピークのピーク強度の合計値の平均値を縦軸にとり、結果をプロットしたグラフである。(a)結晶形または結晶化度の異なる二種以上の結晶を、それぞれ独立に気流式粉砕機を用いて粉砕処理し、それぞれの粉砕結晶を得るステップと、(b)前記粉砕結晶を、それぞれ所定量ずつ秤量し、少なくともその外面が弾性体で形成されてなる混合媒体を備えてなる中空容器に入れ、該中空容器を振動もしくは回転せしめることにより、前記粉砕結晶の混合処理を行い、結晶形の含有割合または結晶化度の異なる複数の標準混合粉末を得るステップと、(c)該標準混合粉末を粉末X線回折測定し、得られた粉末X線回折プロファイル中の各結晶の固有ピークの大きさと、該標準混合粉末中の各結晶形の重量または該標準混合粉末の結晶化度との相関の検量線を作成するステップと、(d)定量すべき結晶混合物を粉砕処理するステップと、(e)前記粉砕処理された結晶混合物を粉末X線回折測定し、得られた粉末X線回折プロファイル中の各結晶の固有ピークの大きさと、前記ステップ(c)で作成した検量線とから、定量すべき結晶混合物中の各結晶形の含有量または該結晶混合物の結晶化度を算出するステップを含むことを特徴とする結晶の定量方法。前記ステップ(d)において、定量すべき結晶混合物を、気流式粉砕機を用いて粉砕処理する請求項1に記載の結晶の定量方法。(a)結晶形または結晶化度の異なる二種以上の結晶を、それぞれ独立に気流式粉砕機を用いて粉砕処理し、それぞれの粉砕結晶を得るステップと、(b)前記粉砕結晶を、それぞれ所定量ずつ秤量し、少なくともその外面が弾性体で形成されてなる混合媒体を備えてなる中空容器に入れ、該中空容器を振動もしくは回転せしめて、前記粉砕結晶の混合処理を行い、結晶形の含有割合または結晶化度の異なる複数の標準混合粉末を得るステップとを含むことを特徴とする標準混合粉末の調製方法。(a)結晶形または結晶化度の異なる二種以上の結晶を、それぞれ独立に気流式粉砕機を用いて粉砕処理し、それぞれの粉砕結晶を得るステップと、(b)前記粉砕結晶を、それぞれ所定量ずつ秤量し、少なくともその外面が弾性体で形成されてなる混合媒体を備えてなる中空容器に入れ、該中空容器を振動もしくは回転せしめることにより、前記粉砕結晶の混合処理を行い、結晶形の含有割合または結晶化度の異なる複数の標準混合粉末を得るステップと、(c)該標準混合粉末を粉末X線回折測定し、得られた粉末X線回折プロファイル中の各結晶の固有ピークの大きさと、該標準混合粉末中の各結晶形の重量または該標準混合粉末の結晶化度との相関の検量線を作成するステップを含むことを特徴とする結晶混合物中の各結晶形の含有量または結晶化度を定量するための検量線の作成方法。請求項1または請求項2に記載の結晶の定量方法を利用して、製造された結晶または製剤中に含まれる各結晶の含有量もしくは該結晶の結晶化度を決定し、該含有量もしくは結晶化度の変化に応じて結晶の製造工程または該結晶を含む製剤を製造する製剤化工程を制御することを特徴とする結晶または製剤の製造管理方法。 【課題】結晶を粉砕・混合した標準混合粉末を調製して検量線を作成し、精度の高い定量方法を提供する。【解決手段】(a)結晶形または結晶化度の異なる二種以上の結晶を、それぞれ気流式粉砕機で粉砕結晶を得るステップと、(b)前記粉砕結晶を所定量ずつ秤量し、外面が弾性体の混合媒体を備えた中空容器に入れ、該中空容器を振動もしくは回転させて、結晶の含有割合または結晶化度の異なる複数の標準混合粉末を得るステップと、(c)該標準混合粉末を粉末X線回折測定し、該標準混合粉末中の各結晶の重量または該標準混合粉末の結晶化度との相関の検量線を作成するステップと、(d)定量すべき結晶混合物を粉砕処理するステップと、(e)前記粉砕処理された結晶混合物を粉末X線回折測定し、前記ステップ(c)で作成した検量線から、結晶混合物中の各結晶の含有量または該結晶混合物の結晶化度を算出するステップを含むことを特徴とする結晶の定量方法。【選択図】図1


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