生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_メタクリル酸メチルの製造方法
出願番号:2004196027
年次:2006
IPC分類:C07C 67/54,C07C 67/20,C07C 69/54


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藤本 賢一 土居 純一 西田 直毅 JP 2006016339 公開特許公報(A) 20060119 2004196027 20040701 メタクリル酸メチルの製造方法 三菱レイヨン株式会社 000006035 藤本 賢一 土居 純一 西田 直毅 C07C 67/54 20060101AFI20051216BHJP C07C 67/20 20060101ALI20051216BHJP C07C 69/54 20060101ALI20051216BHJP JPC07C67/54C07C67/20C07C69/54 Z 1 OL 8 4H006 4H006AA02 4H006AC10 4H006AC26 4H006AC48 4H006AC53 4H006AD11 4H006KA16 本発明は、アセトンシアンヒドリン(以下、ACHともいう)を硫酸または発煙硫酸と反応させてメタクリルアマイド硫酸塩とし、メタクリルアマイド硫酸塩を水およびメタノールと反応させてメタクリル酸メチルとし、メタクリル酸メチルを蒸留により精製するメタクリル酸メチル(以下、MMAともいう。)の製造方法に関する。 MMAの工業的な製造方法として、ACHを硫酸または発煙硫酸と反応させてメタクリルアマイド硫酸塩を製造し、メタクリルアマイド硫酸塩を水およびメタノールと反応させてMMAを製造するいわゆるACH法がある。 この方法によって得られたMMAは、その製造過程おいて強い酸化剤や高温に曝されることにより、無視出来ない量の着色原因物質を含有している。着色原因物質の含有量はMMAの製品価値を大きく左右する。一般にMMAを主成分としたメタクリル系樹脂は、対候性、透明性、表面光沢、機械的強度、成形性等に優れた特性を有し光学材料、看板、照明カバー、機械装置の窓、水族館水槽、あるいは各種表示装置用部材等多くの用途に使用されているが、着色原因物質を多く含有すると切断面の着色が外観上問題になることがある。特に光ファイバー等に用いる場合には、着色原因物質の存在が特定波長の光の透過率を損なうという重要な問題を生ずることがある。 MMAに含有される着色原因物質の除去方法としては、例えば、特許文献1には、ACH法で製造した粗MMAを蒸留により精製する方法が記載されている。しかし、この方法では着色原因物質の除去が十分ではなく精製したMMAが着色していたり、着色はしないがロスが多くMMAが低収率になったりするという問題があった。 □特開2001−288147号公報 このようにACH法で得られたMMAを蒸留して着色のないMMAを高収率で製造する方法が望まれていた。 本発明の目的は、ACH法で着色のないMMAを高収率で製造する方法を提供することにある。 本発明は、(1)ACHを硫酸または発煙硫酸と反応させてメタクリルアマイド硫酸塩を製造する工程、(2)メタクリルアマイド硫酸塩を水およびメタノールと反応させてMMAを製造する工程、(3)MMAを蒸留により留出させて精製する工程、を含むMMAの製造方法において、前記工程(3)で、蒸留対象のMMAに50ppmを超えて含まれる不純物であって、かつMMAよりも高沸点の不純物の少なくとも1種を指標物質とし、留出成分中の当該指標物質の含有率が50ppm以下となる条件で蒸留操作を行うことを特徴とするメタクリル酸メチルの製造方法である。方法。 本発明のMMA製造方法によれば、ACH法で得られたMMAを蒸留する際に精製の程度を簡便に判定できるので、着色の少ないMMAを効率良く製造することができる。 本発明のメタクリル酸メチルの製造方法は次の(1)〜(3)の3つの製造工程を含む。(1)ACHを硫酸または発煙硫酸(以下、硫酸類という)と反応させてメタクリルアマイド硫酸塩を製造する工程(2)メタクリルアマイド硫酸塩を水およびメタノールと反応させてメタクリル酸メチル(以下、MMAという)を製造する工程(3)工程(2)で製造したMMAを蒸留により精製する工程 工程(1)において、ACHと硫酸類の反応は、ACH1モルに対して、通常、硫酸は1.0〜3.0モル、好ましくは1.42〜2.1モルで行う。反応温度は50〜180℃、好ましくは90〜150℃である。反応は、連続式で行っても回分式で行ってもよいが、連続式が好ましい。反応に使用される反応器としては、例えば、攪拌式反応槽、連続攪拌式反応槽、流通式反応槽が挙げられる。中でも連続攪拌式反応槽が好ましい。 工程(2)において、メタクリルアマイド硫酸塩1モルに対して、使用する水は通常、1〜5モル、好ましくは2〜3モルである。また、使用するメタノールは通常、0.5〜5モル、好ましくは1〜3モルである。反応温度は60〜150℃、好ましくは90〜130℃である。反応は、連続式で行っても回分式で行ってもよいが、連続式が好ましい。反応に使用される反応器としては、例えば、攪拌式反応槽、連続攪拌式反応槽、流通式反応槽が挙げられる。中でも連続攪拌式反応槽が好ましい。反応で得られたMMAには、水、未反応メタノール、反応で生じた低沸点不純物等が含まれているので、蒸留、抽出等の分離操作でこれらの物質を適宜除去する。通常、水および未反応メタノールは抽出操作で、低沸点不純物は蒸留で除去する。このようにして製造された粗MMAにはジアセチル等の着色原因物質が含まれている。このようにして得られた粗MMAは工程(3)に先立ち蒸留精製してもよい。得られたMMAが依然として着色している場合は、以下の工程(3)を行う。このような蒸留後も着色しているMMAも以下において粗MMAと言う。 工程(3)では、工程(2)で製造した粗MMAを蒸留塔へ供給する。粗MMAにはMMAより低沸点および高沸点の不純物が含まれている。高沸点の不純物としては、例えば、メタクリル酸エチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル、α−メトキシイソ酪酸メチル、β−ヒドロキシイソ酪酸メチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、メタクリル酸メチルダイマー、メタクリル酸等が挙げられる。含有率の高い高沸点不純物とその一般的な含有率は、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル1〜2%、β−メトキシイソ酪酸メチル1〜2%、およびメタクリル酸2〜8%である。高沸点不純物には、MMAの製造工程で生成した着色原因物質が含まれている。 蒸留操作では精製MMAを蒸留塔の塔頂部より留出させる。その際、留出成分中の少なくとも1種の高沸点不純物を指標物質として選定し、その各々の濃度が50ppm以下、好ましくは20ppm以下になるように運転する。ただし、MMAの回収率を高めるためには、留出成分中の各々の指標物質の濃度は15ppm以上が好ましい。このように操作することで留出成分中の着色原因物質を問題ないレベルに低減することができる。留出成分中の指標物質の濃度は、例えばガスクロマトグラフィー等の手段により測定できる。また、留出成分中の指標物質の濃度は、例えば留出成分の量により調節できる。指標物質はMMAより高い沸点を有する高沸点不純物であればよい。指標物質として、沸点の高いものを使用すると蒸留塔の塔底部からの抜出液の量を少なくなるのでMMAのロスが減り、沸点の低いものを使用すると留出液に含まれる着色原因物質が少なくなるのでMMAの品質が向上する傾向がある。これらの点を勘案すると、指標物質としては、常圧における沸点が130〜150℃の化合物が好ましい。この沸点範囲の指標物質としては、例えば、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル(常圧における沸点137℃)、β−メトキシイソ酪酸メチル(同147℃)等が挙げられる。指標物質としては、α−ヒドロキシイソ酪酸メチルが特に好ましい。 例えば、指標物質がα−ヒドロキシイソ酪酸メチルで粗MMA中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチルの含有率が1〜2%の場合、工程(3)におけるMMAの回収率は80〜86%を目標にすることが好ましい。 このような蒸留操作を行うことで、高沸点の着色原因物質は高沸点不純物と共に塔底液に含まれる。蒸留操作を連続で行う場合、塔底液は塔底部から抜き出しながら運転する。 蒸留操作で使用する蒸留塔の形式は特に限定されず、例えば、充填塔、トレイタイプの塔等が挙げられる。充填塔に使用する充填物としては、例えば、ヘリパック、マクマホン、カスケードミニリング等が挙げられる。トレイタイプの蒸留塔としては、例えば、オルダーショウ型、リフトトレイ型等が挙げられる。 蒸留塔の理論段数は特に限定されないが、5段以上が好ましく、10段以上がより好ましい。また、70段以下が好ましく、50段以下がより好ましい。理論段数は、多いほど分離能力が向上し、少ないほど蒸留塔内の差圧が小さくなる。 蒸留操作は、常圧(大気圧付近)、減圧および加圧のいずれの圧力下でも行うことができるが、好ましい蒸留圧力は、2600〜108000Pa(絶対圧)である。 蒸留温度(蒸留塔内の温度)は蒸留圧力によって変動するので一概には決められないが、一般には40〜110℃である。反応圧力が常圧の場合、蒸留温度は通常90〜105℃である。 蒸留に際しては系内に重合防止剤を存在させてもよい。重合防止剤はMMAに対して重合防止効果を有するものであればいずれも用いることができる。このような重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、パラメトキシフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール等のフェノール系化合物;フェノチアジン、N−フェニル−N’−イソプロピルパラフェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチルパラフェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)パラフェニレンジアミン等のアミン系化合物;4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、あるいは、下記一般式(1)で示されるN−オキシル系化合物等のN−オキシル化合物等が挙げられる。重合防止剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。(式(1)中、R6、R7はともに水素原子を表すか、または、R6、R7の一方が水素原子を表し、他方がメチル基を表す。R8、R9、R10、R11はそれぞれ直鎖状または分岐状のアルキル基を表す。R12は水素原子または(メタ)アクリロイル基を表す。nは1〜18の整数である。) また、MMAの重合を防止する目的で、エアーバブリング等によって蒸留塔内に酸素を供給してもよい。 上記の重合防止剤や酸素を用いる重合防止方法は、反応工程、すなわち工程(1)および(2)及び(3)においても適用できる。 この蒸留操作によるMMAの回収率は、指標物質の種類、粗MMA中の指標物質の含量等に依存する。例えば、粗MMA中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチル含量が1〜2%、指標物質がα−ヒドロキシイソ酪酸メチル、留出成分中の指標物質の濃度が5〜15ppmとなるように蒸留操作を行った場合、回収率は80〜86%程度である。また、粗MMA中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチル含量が50〜1000ppm、指標物質がα−ヒドロキシイソ酪酸メチル、留出成分中の指標物質の濃度が5〜40ppmとなるように蒸留操作を行った場合、回収率は94〜99%程度である。留出成分中の指標物質濃度は高いほどMMAの回収率が高くなる。また、留出成分中の指標物質濃度は一定レベルまでは低いほど留出成分中の着色原因物質が低減する。目標とする留出成分中の指標物質の濃度は、これらのことを考慮して設定するとよい。 蒸留塔の塔底側から分離された高沸液は、必要に応じてその全量もしくは一部を反応工程または蒸留工程の上流側にリサイクルしてもよい。 このような蒸留操作を行うことにより実質的に着色のないMMAを留出成分として取得することができる。また、この方法によれば蒸留操作におけるロスが少ないので精製MMAを高回収率で得ることができる。 本発明では、上記の蒸留操作以外の他の精製方法を組み合わせて実施してもよい。組み合わせる精製方法を実施する時期は特に限定されず、上記の蒸留操作の前、同時、後のいずれでもよい。このように他の精製方法と組み合わせると、着色原因物質の低減に相乗効果が見られる場合がある。 本発明で製造されたMMAは、単独で、または、他のモノマーとともに重合してメタクリル樹脂となる。メタクリル樹脂は、光学材料、看板、照明カバー、機械装置の窓、水族館水槽、各種表示装置用部材、光ファイバー、繊維、塗料等の様々な用途に使用される。 以下、本発明を実施例および比較例で詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。 以下の例では、指標物質はα−ヒドロキシイソ酪酸メチルとした。MMA中の指標物質の濃度は、SHIMAZU社製ガスクロマトグラフィーGC14B(以下、GCと言う。)を使用して、予め標品を使用して作成した検量線をもとに絶対検量線法で測定した。 MMAのAPHAは化学製品の色試験方法であるJIS K0071−1に基づいて測定した。また、着色原因物質の除去効果については、全ての着色原因物質が同定されているわけではないことと、微量レベルでの除去効果を問題にしていることからMMAのレベルでこれを評価することは難しいことから、MMAを重合したメタクリル樹脂のYI値についても評価した。 YI値は、精製MMA100質量部にラジカル重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.001質量部を混合溶解した溶液を、600mm×600mm×5mmの2枚のガラス板とその周縁部にガラス板の間隔が5mmとなるように挟み込んだポリ塩化ビニール製ガスケットからなるガラスセルに注入し、50℃のウオーターバスで5時間重合した後、120℃のエアーオーブンで2時間加熱処理して製造したキャスト板を、50mm(幅)×5mm(厚さ)×550mm(長さ)に切断した後、50mm×5mmの両端面を研磨して製造した平板サンプルの長手方向について端面の位置を変えて25点測定した。測定には、日本電飾社製の色差計ASA−1(300A)を使用し、X、Y、Z刺激値から次式によりYI値を算出した。 YI値=100(1.28X−1.06Z)/Yなお、評価には25点測定したYI値の平均値(以下、平均YI値という。)を採用した。 実施例および比較例における、%およびppmはそれぞれ質量%および質量ppmを表す。また、回収率は、回収率(%)=留出量/(供給量または仕込み量)×100で算出した値である。 <実施例1> ACHと硫酸からメタクリルアミド硫酸塩を加水分解しメタノールを加えて粗MMAを製造した。アセトンシアンヒドリンを硫酸と反応させてメタクリルアマイド硫酸塩を製造し、生成したメタクリルアマイド硫酸塩と水およびメタノールを反応させた。反応液から蒸留によってメタクリル酸メチルを硫酸と硫酸アンモニウムと水と混合物から分離した。分離したメタクリル酸メチルは、水を抽剤として液−液抽出操作によって未反応メタノールと水を分離した。更に蒸留操作により、水、メタノールおよび低沸点不純物を分離した。このようにして得られた粗MMAには、α−ヒドロキシイソ酪酸メチルが1.5%含まれていた。 粗MMAを実段数45段の棚段塔の上から40段目に単位時間当たり10質量部で供給し、棚段塔の塔底圧力25〜50kpa(絶対圧)、塔頂圧力5〜30kpa(絶対圧)、塔底温度60〜80℃、塔頂温度35〜55℃とし、塔頂からの留出液中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチル濃度が12ppmとなるように、留出液(精製MMA)の留出速度を単位時間当たり8.4質量部、塔底液の抜出速度を単位時間当たり1.6質量部で蒸留操作を行った。得られた精製MMAのAPHAは5以下、着色原因物質の1種であるジアセチルはGCの定量下限以下(1ppm以下)であった。このときのMMAの回収率は84%であった。また、精製MMAから製造されたメタクリル樹脂の平均YI値は7.71であり着色原因物質が十分に低減されていた。 <実施例2> 留出成分中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチルの濃度が463ppmになるように精製における留出液の留出速度を単位時間当たり8.8質量部、塔底液の抜出速度を単位時間当たり1.3質量部に変更した以外は実施例1と同様にして精製MMAを得た。この精製MMA(1次精製MMA)は、APHA10、ジアセチルがGCの定量下限以下(1ppm以下)であった。このときのMMAの回収率は88%であった。 次に、得られた1次精製MMA2503.32gに重合禁止剤である2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール0.25gを添加したものを、還流器、冷却器付き30段オールダーショー蒸留塔の付いた3L四つ口フラスコに仕込んだ。重合防止用の空気を10ml/minでフラスコ内液中に吹き込み、26600Paから13300Paの減圧下で蒸留操作(2次精製)を行った。このとき、塔頂からの留出液中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチル濃度が19ppmとなるように、留出液(2次精製MMA)の留出速度を150〜200g/hrとした。得られた2次精製MMAのAPHAは5以下、着色原因物質の1種であるジアセチルはGCの定量下限以下(1ppm以下)であった。2次精製におけるMMAの回収率は98.1%であった。また、2次精製MMAから製造されたメタクリル樹脂の平均YI値は7.77であり着色原因物質が十分に低減されていた。 <実施例3> 塔頂からの留出液中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチル濃度が8ppmとなるように、留出液(2次精製MMA)の留出速度を100〜150g/hrに変更した以外は実施例2と同様にして2次精製MMAを得た。2次精製MMAはAPHA5以下、着色原因物質の1種であるジアセチルはGCの定量下限以下(1ppm以下)であった。2次精製におけるMMAの回収率は94.6%であった。また、2次精製MMAから製造されたメタクリル樹脂の平均YI値は6.76であり、着色原因物質は十分低減されていた。 <比較例1> α−ヒドロキシイソ酪酸メチルの濃度が463ppm、APHA10、ジアセチルがGCの定量下限以下(1ppm以下)である実施例2の1次精製MMAから製造されたメタクリル樹脂の平均YI値は40.73であり、着色原因物質の低減が不十分であった。 <比較例2> 塔頂からの留出液中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチル濃度が424ppmとなるように、留出液(2次精製MMA)の留出速度を200〜250g/hrに変更した以外は実施例2と同様にして2次精製MMAを得た。2次精製MMAはAPHA10、着色原因物質の1種であるジアセチルはGCの定量下限以下(1ppm以下)であった。2次精製におけるMMAの回収率は99.5%であった。また、2次精製MMAから製造されたメタクリル樹脂の平均YI値は30.46であり、着色原因物質の低減が不十分であった。 <比較例3> 塔頂からの留出液中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチル濃度が293ppmとなるように、留出液(2次精製MMA)の留出速度を175〜225g/hrに変更した以外は実施例2と同様にして2次精製MMAを得た。2次精製MMAはAPHA5以下、着色原因物質の1種であるジアセチルはGCの定量下限以下(1ppm以下)であった。2次精製におけるMMAの回収率は99.3%であった。また、2次精製MMAから製造されたメタクリル樹脂の平均YI値は13.95であり、着色原因物質の低減が不十分であった。 (1)アセトンシアンヒドリンを硫酸または発煙硫酸と反応させてメタクリルアマイド硫酸塩を製造する工程、(2)メタクリルアマイド硫酸塩を水およびメタノールと反応させてメタクリル酸メチルを製造する工程、(3)メタクリル酸メチルを蒸留により留出させて精製する工程、を含むメタクリル酸メチルの製造方法において、 前記工程(3)で、蒸留対象のメタクリル酸メチルに50ppmを超えて含まれる不純物であって、かつメタクリル酸メチルよりも高沸点の不純物の少なくとも1種を指標物質とし、留出成分中の当該指標物質の含有率が50ppm以下となる条件で蒸留操作を行うことを特徴とするメタクリル酸メチルの製造方法。 【課題】 ACH法で着色のないMMAを高収率で製造する方法を提供する。【解決手段】 (1)アセトンシアンヒドリンを硫酸または発煙硫酸と反応させてメタクリルアマイド硫酸塩を製造する工程、(2)メタクリルアマイド硫酸塩を水およびメタノールと反応させてメタクリル酸メチルを製造する工程、(3)メタクリル酸メチルを蒸留により留出させて精製する工程、を含むメタクリル酸メチルの製造方法において、 前記工程(3)で、蒸留対象のメタクリル酸メチルに50ppmを超えて含まれる不純物であって、かつメタクリル酸メチルよりも高沸点の不純物の少なくとも1種を指標物質とし、留出成分中の当該指標物質の含有率が50ppm以下となる条件で蒸留操作を行う。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_メタクリル酸メチルの製造方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_メタクリル酸メチルの製造方法
出願番号:2004196027
年次:2010
IPC分類:C07C 67/54,C07C 67/20,C07C 69/54


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藤本 賢一 土居 純一 西田 直毅 JP 4573325 特許公報(B2) 20100827 2004196027 20040701 メタクリル酸メチルの製造方法 三菱レイヨン株式会社 000006035 藤本 賢一 土居 純一 西田 直毅 20101104 C07C 67/54 20060101AFI20101014BHJP C07C 67/20 20060101ALI20101014BHJP C07C 69/54 20060101ALI20101014BHJP JPC07C67/54C07C67/20C07C69/54 Z C07C 67/54 C07C 67/20 C07C 69/54 特開平08−169862(JP,A) 特開2001−288147(JP,A) 特開昭52−036621(JP,A) 特開2002−205971(JP,A) 特開2002−234863(JP,A) 1 2006016339 20060119 9 20070601 安田 周史 本発明は、アセトンシアンヒドリン(以下、ACHともいう)を硫酸または発煙硫酸と反応させてメタクリルアマイド硫酸塩とし、メタクリルアマイド硫酸塩を水およびメタノールと反応させてメタクリル酸メチルとし、メタクリル酸メチルを蒸留により精製するメタクリル酸メチル(以下、MMAともいう。)の製造方法に関する。 MMAの工業的な製造方法として、ACHを硫酸または発煙硫酸と反応させてメタクリルアマイド硫酸塩を製造し、メタクリルアマイド硫酸塩を水およびメタノールと反応させてMMAを製造するいわゆるACH法がある。 この方法によって得られたMMAは、その製造過程おいて強い酸化剤や高温に曝されることにより、無視出来ない量の着色原因物質を含有している。着色原因物質の含有量はMMAの製品価値を大きく左右する。一般にMMAを主成分としたメタクリル系樹脂は、対候性、透明性、表面光沢、機械的強度、成形性等に優れた特性を有し光学材料、看板、照明カバー、機械装置の窓、水族館水槽、あるいは各種表示装置用部材等多くの用途に使用されているが、着色原因物質を多く含有すると切断面の着色が外観上問題になることがある。特に光ファイバー等に用いる場合には、着色原因物質の存在が特定波長の光の透過率を損なうという重要な問題を生ずることがある。 MMAに含有される着色原因物質の除去方法としては、例えば、特許文献1には、ACH法で製造した粗MMAを蒸留により精製する方法が記載されている。しかし、この方法では着色原因物質の除去が十分ではなく精製したMMAが着色していたり、着色はしないがロスが多くMMAが低収率になったりするという問題があった。 このようにACH法で得られたMMAを蒸留して着色のないMMAを高収率で製造する方法が望まれていた。 本発明の目的は、ACH法で着色のないMMAを高収率で製造する方法を提供することにある。 本発明は、(1)ACHを硫酸または発煙硫酸と反応させてメタクリルアマイド硫酸塩を製造する工程、(2)メタクリルアマイド硫酸塩を水およびメタノールと反応させてMMAを製造する工程、(3)MMAを蒸留により留出させて精製する工程、を含むMMAの製造方法において、前記工程(3)で、α−ヒドロキシイソ酪酸メチルを指標物質とし、留出成分中の当該指標物質の含有率が50ppm以下となる条件で蒸留操作を行うことを特徴とするメタクリル酸メチルの製造方法である。 本発明のMMA製造方法によれば、ACH法で得られたMMAを蒸留する際に精製の程度を簡便に判定できるので、着色の少ないMMAを効率良く製造することができる。 本発明のメタクリル酸メチルの製造方法は次の(1)〜(3)の3つの製造工程を含む。(1)ACHを硫酸または発煙硫酸(以下、硫酸類という)と反応させてメタクリルアマイド硫酸塩を製造する工程(2)メタクリルアマイド硫酸塩を水およびメタノールと反応させてメタクリル酸メチル(以下、MMAという)を製造する工程(3)工程(2)で製造したMMAを蒸留により精製する工程 工程(1)において、ACHと硫酸類の反応は、ACH1モルに対して、通常、硫酸は1.0〜3.0モル、好ましくは1.42〜2.1モルで行う。反応温度は50〜180℃、好ましくは90〜150℃である。反応は、連続式で行っても回分式で行ってもよいが、連続式が好ましい。反応に使用される反応器としては、例えば、攪拌式反応槽、連続攪拌式反応槽、流通式反応槽が挙げられる。中でも連続攪拌式反応槽が好ましい。 工程(2)において、メタクリルアマイド硫酸塩1モルに対して、使用する水は通常、1〜5モル、好ましくは2〜3モルである。また、使用するメタノールは通常、0.5〜5モル、好ましくは1〜3モルである。反応温度は60〜150℃、好ましくは90〜130℃である。反応は、連続式で行っても回分式で行ってもよいが、連続式が好ましい。反応に使用される反応器としては、例えば、攪拌式反応槽、連続攪拌式反応槽、流通式反応槽が挙げられる。中でも連続攪拌式反応槽が好ましい。反応で得られたMMAには、水、未反応メタノール、反応で生じた低沸点不純物等が含まれているので、蒸留、抽出等の分離操作でこれらの物質を適宜除去する。通常、水および未反応メタノールは抽出操作で、低沸点不純物は蒸留で除去する。このようにして製造された粗MMAにはジアセチル等の着色原因物質が含まれている。このようにして得られた粗MMAは工程(3)に先立ち蒸留精製してもよい。得られたMMAが依然として着色している場合は、以下の工程(3)を行う。このような蒸留後も着色しているMMAも以下において粗MMAと言う。 工程(3)では、工程(2)で製造した粗MMAを蒸留塔へ供給する。粗MMAにはMMAより低沸点および高沸点の不純物が含まれている。高沸点の不純物としては、例えば、メタクリル酸エチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル、α−メトキシイソ酪酸メチル、β−ヒドロキシイソ酪酸メチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、メタクリル酸メチルダイマー、メタクリル酸等が挙げられる。含有率の高い高沸点不純物とその一般的な含有率は、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル1〜2%、β−メトキシイソ酪酸メチル1〜2%、およびメタクリル酸2〜8%である。高沸点不純物には、MMAの製造工程で生成した着色原因物質が含まれている。 蒸留操作では精製MMAを蒸留塔の塔頂部より留出させる。その際、留出成分中の少なくとも1種の高沸点不純物を指標物質として選定し、その各々の濃度が50ppm以下、好ましくは20ppm以下になるように運転する。ただし、MMAの回収率を高めるためには、留出成分中の各々の指標物質の濃度は15ppm以上が好ましい。このように操作することで留出成分中の着色原因物質を問題ないレベルに低減することができる。留出成分中の指標物質の濃度は、例えばガスクロマトグラフィー等の手段により測定できる。また、留出成分中の指標物質の濃度は、例えば留出成分の量により調節できる。指標物質はMMAより高い沸点を有する高沸点不純物であればよい。指標物質として、沸点の高いものを使用すると蒸留塔の塔底部からの抜出液の量を少なくなるのでMMAのロスが減り、沸点の低いものを使用すると留出液に含まれる着色原因物質が少なくなるのでMMAの品質が向上する傾向がある。これらの点を勘案すると、指標物質としては、常圧における沸点が130〜150℃の化合物が好ましい。この沸点範囲の指標物質としては、例えば、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル(常圧における沸点137℃)、β−メトキシイソ酪酸メチル(同147℃)等が挙げられる。指標物質としては、α−ヒドロキシイソ酪酸メチルが特に好ましい。 例えば、指標物質がα−ヒドロキシイソ酪酸メチルで粗MMA中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチルの含有率が1〜2%の場合、工程(3)におけるMMAの回収率は80〜86%を目標にすることが好ましい。 このような蒸留操作を行うことで、高沸点の着色原因物質は高沸点不純物と共に塔底液に含まれる。蒸留操作を連続で行う場合、塔底液は塔底部から抜き出しながら運転する。 蒸留操作で使用する蒸留塔の形式は特に限定されず、例えば、充填塔、トレイタイプの塔等が挙げられる。充填塔に使用する充填物としては、例えば、ヘリパック、マクマホン、カスケードミニリング等が挙げられる。トレイタイプの蒸留塔としては、例えば、オルダーショウ型、リフトトレイ型等が挙げられる。 蒸留塔の理論段数は特に限定されないが、5段以上が好ましく、10段以上がより好ましい。また、70段以下が好ましく、50段以下がより好ましい。理論段数は、多いほど分離能力が向上し、少ないほど蒸留塔内の差圧が小さくなる。 蒸留操作は、常圧(大気圧付近)、減圧および加圧のいずれの圧力下でも行うことができるが、好ましい蒸留圧力は、2600〜108000Pa(絶対圧)である。 蒸留温度(蒸留塔内の温度)は蒸留圧力によって変動するので一概には決められないが、一般には40〜110℃である。反応圧力が常圧の場合、蒸留温度は通常90〜105℃である。 蒸留に際しては系内に重合防止剤を存在させてもよい。重合防止剤はMMAに対して重合防止効果を有するものであればいずれも用いることができる。このような重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、パラメトキシフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール等のフェノール系化合物;フェノチアジン、N−フェニル−N’−イソプロピルパラフェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチルパラフェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)パラフェニレンジアミン等のアミン系化合物;4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、あるいは、下記一般式(1)で示されるN−オキシル系化合物等のN−オキシル化合物等が挙げられる。重合防止剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。(式(1)中、R6、R7はともに水素原子を表すか、または、R6、R7の一方が水素原子を表し、他方がメチル基を表す。R8、R9、R10、R11はそれぞれ直鎖状または分岐状のアルキル基を表す。R12は水素原子または(メタ)アクリロイル基を表す。nは1〜18の整数である。) また、MMAの重合を防止する目的で、エアーバブリング等によって蒸留塔内に酸素を供給してもよい。 上記の重合防止剤や酸素を用いる重合防止方法は、反応工程、すなわち工程(1)および(2)及び(3)においても適用できる。 この蒸留操作によるMMAの回収率は、指標物質の種類、粗MMA中の指標物質の含量等に依存する。例えば、粗MMA中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチル含量が1〜2%、指標物質がα−ヒドロキシイソ酪酸メチル、留出成分中の指標物質の濃度が5〜15ppmとなるように蒸留操作を行った場合、回収率は80〜86%程度である。また、粗MMA中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチル含量が50〜1000ppm、指標物質がα−ヒドロキシイソ酪酸メチル、留出成分中の指標物質の濃度が5〜40ppmとなるように蒸留操作を行った場合、回収率は94〜99%程度である。留出成分中の指標物質濃度は高いほどMMAの回収率が高くなる。また、留出成分中の指標物質濃度は一定レベルまでは低いほど留出成分中の着色原因物質が低減する。目標とする留出成分中の指標物質の濃度は、これらのことを考慮して設定するとよい。 蒸留塔の塔底側から分離された高沸液は、必要に応じてその全量もしくは一部を反応工程または蒸留工程の上流側にリサイクルしてもよい。 このような蒸留操作を行うことにより実質的に着色のないMMAを留出成分として取得することができる。また、この方法によれば蒸留操作におけるロスが少ないので精製MMAを高回収率で得ることができる。 本発明では、上記の蒸留操作以外の他の精製方法を組み合わせて実施してもよい。組み合わせる精製方法を実施する時期は特に限定されず、上記の蒸留操作の前、同時、後のいずれでもよい。このように他の精製方法と組み合わせると、着色原因物質の低減に相乗効果が見られる場合がある。 本発明で製造されたMMAは、単独で、または、他のモノマーとともに重合してメタクリル樹脂となる。メタクリル樹脂は、光学材料、看板、照明カバー、機械装置の窓、水族館水槽、各種表示装置用部材、光ファイバー、繊維、塗料等の様々な用途に使用される。 以下、本発明を実施例および比較例で詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。 以下の例では、指標物質はα−ヒドロキシイソ酪酸メチルとした。MMA中の指標物質の濃度は、SHIMAZU社製ガスクロマトグラフィーGC14B(以下、GCと言う。)を使用して、予め標品を使用して作成した検量線をもとに絶対検量線法で測定した。 MMAのAPHAは化学製品の色試験方法であるJIS K0071−1に基づいて測定した。また、着色原因物質の除去効果については、全ての着色原因物質が同定されているわけではないことと、微量レベルでの除去効果を問題にしていることからMMAのレベルでこれを評価することは難しいことから、MMAを重合したメタクリル樹脂のYI値についても評価した。 YI値は、精製MMA100質量部にラジカル重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.001質量部を混合溶解した溶液を、600mm×600mm×5mmの2枚のガラス板とその周縁部にガラス板の間隔が5mmとなるように挟み込んだポリ塩化ビニール製ガスケットからなるガラスセルに注入し、50℃のウオーターバスで5時間重合した後、120℃のエアーオーブンで2時間加熱処理して製造したキャスト板を、50mm(幅)×5mm(厚さ)×550mm(長さ)に切断した後、50mm×5mmの両端面を研磨して製造した平板サンプルの長手方向について端面の位置を変えて25点測定した。測定には、日本電飾社製の色差計ASA−1(300A)を使用し、X、Y、Z刺激値から次式によりYI値を算出した。 YI値=100(1.28X−1.06Z)/Yなお、評価には25点測定したYI値の平均値(以下、平均YI値という。)を採用した。 実施例および比較例における、%およびppmはそれぞれ質量%および質量ppmを表す。また、回収率は、回収率(%)=留出量/(供給量または仕込み量)×100で算出した値である。 <実施例1> ACHと硫酸からメタクリルアミド硫酸塩を加水分解しメタノールを加えて粗MMAを製造した。アセトンシアンヒドリンを硫酸と反応させてメタクリルアマイド硫酸塩を製造し、生成したメタクリルアマイド硫酸塩と水およびメタノールを反応させた。反応液から蒸留によってメタクリル酸メチルを硫酸と硫酸アンモニウムと水と混合物から分離した。分離したメタクリル酸メチルは、水を抽剤として液−液抽出操作によって未反応メタノールと水を分離した。更に蒸留操作により、水、メタノールおよび低沸点不純物を分離した。このようにして得られた粗MMAには、α−ヒドロキシイソ酪酸メチルが1.5%含まれていた。 粗MMAを実段数45段の棚段塔の上から40段目に単位時間当たり10質量部で供給し、棚段塔の塔底圧力25〜50kpa(絶対圧)、塔頂圧力5〜30kpa(絶対圧)、塔底温度60〜80℃、塔頂温度35〜55℃とし、塔頂からの留出液中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチル濃度が12ppmとなるように、留出液(精製MMA)の留出速度を単位時間当たり8.4質量部、塔底液の抜出速度を単位時間当たり1.6質量部で蒸留操作を行った。得られた精製MMAのAPHAは5以下、着色原因物質の1種であるジアセチルはGCの定量下限以下(1ppm以下)であった。このときのMMAの回収率は84%であった。また、精製MMAから製造されたメタクリル樹脂の平均YI値は7.71であり着色原因物質が十分に低減されていた。 <実施例2> 留出成分中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチルの濃度が463ppmになるように精製における留出液の留出速度を単位時間当たり8.8質量部、塔底液の抜出速度を単位時間当たり1.3質量部に変更した以外は実施例1と同様にして精製MMAを得た。この精製MMA(1次精製MMA)は、APHA10、ジアセチルがGCの定量下限以下(1ppm以下)であった。このときのMMAの回収率は88%であった。 次に、得られた1次精製MMA2503.32gに重合禁止剤である2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール0.25gを添加したものを、還流器、冷却器付き30段オールダーショー蒸留塔の付いた3L四つ口フラスコに仕込んだ。重合防止用の空気を10ml/minでフラスコ内液中に吹き込み、26600Paから13300Paの減圧下で蒸留操作(2次精製)を行った。このとき、塔頂からの留出液中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチル濃度が19ppmとなるように、留出液(2次精製MMA)の留出速度を150〜200g/hrとした。得られた2次精製MMAのAPHAは5以下、着色原因物質の1種であるジアセチルはGCの定量下限以下(1ppm以下)であった。2次精製におけるMMAの回収率は98.1%であった。また、2次精製MMAから製造されたメタクリル樹脂の平均YI値は7.77であり着色原因物質が十分に低減されていた。 <実施例3> 塔頂からの留出液中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチル濃度が8ppmとなるように、留出液(2次精製MMA)の留出速度を100〜150g/hrに変更した以外は実施例2と同様にして2次精製MMAを得た。2次精製MMAはAPHA5以下、着色原因物質の1種であるジアセチルはGCの定量下限以下(1ppm以下)であった。2次精製におけるMMAの回収率は94.6%であった。また、2次精製MMAから製造されたメタクリル樹脂の平均YI値は6.76であり、着色原因物質は十分低減されていた。 <比較例1> α−ヒドロキシイソ酪酸メチルの濃度が463ppm、APHA10、ジアセチルがGCの定量下限以下(1ppm以下)である実施例2の1次精製MMAから製造されたメタクリル樹脂の平均YI値は40.73であり、着色原因物質の低減が不十分であった。 <比較例2> 塔頂からの留出液中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチル濃度が424ppmとなるように、留出液(2次精製MMA)の留出速度を200〜250g/hrに変更した以外は実施例2と同様にして2次精製MMAを得た。2次精製MMAはAPHA10、着色原因物質の1種であるジアセチルはGCの定量下限以下(1ppm以下)であった。2次精製におけるMMAの回収率は99.5%であった。また、2次精製MMAから製造されたメタクリル樹脂の平均YI値は30.46であり、着色原因物質の低減が不十分であった。 <比較例3> 塔頂からの留出液中のα−ヒドロキシイソ酪酸メチル濃度が293ppmとなるように、留出液(2次精製MMA)の留出速度を175〜225g/hrに変更した以外は実施例2と同様にして2次精製MMAを得た。2次精製MMAはAPHA5以下、着色原因物質の1種であるジアセチルはGCの定量下限以下(1ppm以下)であった。2次精製におけるMMAの回収率は99.3%であった。また、2次精製MMAから製造されたメタクリル樹脂の平均YI値は13.95であり、着色原因物質の低減が不十分であった。(1)アセトンシアンヒドリンを硫酸または発煙硫酸と反応させてメタクリルアマイド硫酸塩を製造する工程、(2)メタクリルアマイド硫酸塩を水およびメタノールと反応させてメタクリル酸メチルを製造する工程、(3)メタクリル酸メチルを蒸留により留出させて精製する工程、を含むメタクリル酸メチルの製造方法において、 前記工程(3)で、α−ヒドロキシイソ酪酸メチルを指標物質とし、留出成分中の当該指標物質の含有率が50ppm以下となる条件で蒸留操作を行うことを特徴とするメタクリル酸メチルの製造方法。


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