生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_高ホモシステイン血症改善剤
出願番号:2004193053
年次:2006
IPC分類:A61K 36/18,A23K 1/16,A23L 1/30,A61P 3/00,A61P 25/28


特許情報キャッシュ

鈴木 淳 城倉 博子 落合 龍史 時光 一郎 JP 2006016311 公開特許公報(A) 20060119 2004193053 20040630 高ホモシステイン血症改善剤 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 的場 ひろみ 100101317 鈴木 淳 城倉 博子 落合 龍史 時光 一郎 A61K 36/18 20060101AFI20051216BHJP A23K 1/16 20060101ALI20051216BHJP A23L 1/30 20060101ALI20051216BHJP A61P 3/00 20060101ALI20051216BHJP A61P 25/28 20060101ALI20051216BHJP JPA61K35/78 CA23K1/16 304CA23L1/30 BA61P3/00A61P25/28 4 OL 8 2B150 4B018 4C088 2B150AB10 2B150DD31 2B150DD57 4B018LB08 4B018MD57 4B018ME10 4B018MF01 4C088AB14 4C088AC04 4C088BA08 4C088CA04 4C088CA05 4C088CA08 4C088NA14 4C088ZA15 4C088ZC21 本発明は、食品、医薬品、飼料として有用な高ホモシステイン血症改善剤に関する。 近年、高齢者人口の増大とともに、痴呆性老人もまた急激に増加し、その対策が急がれている。 痴呆は、成人に起こる記憶および知能の障害である。痴呆の主な原因疾患は、退行変性疾患(アルツハイマー型痴呆、進行性核上麻痺、パーキンソン病、汎発性レビー小体病、ピック病、ハンチントン舞踏病、ALS様症状を伴う痴呆、大脳皮質基底核変性病など)、内分泌・代謝性中毒性疾患(甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症、ビタミンB12・B1欠乏、ペラグラ、脳リピドーシス、ミトコンドリア脳筋症、肝性脳症、肺性脳症、透析脳症、低酸素症、低血糖症、アルコール脳症、薬物中毒など)、感染症疾患(クロイツフェルト・ヤコブ病、亜急性硬化性全脳脳炎、進行性多巣性白質脳症、各種脳炎・髄膜炎、脳膿瘍、脳寄生虫、進行麻痺など)、腫瘍性疾患(原発性・続発性脳腫瘍、髄膜癌腫症など)、外傷性疾患(慢性硬膜下血腫、頭部外傷後遺症、punchdrunk症候群など)、正常圧水頭症、多発性硬化症、神経ベーチュット、サルコイドーシス、シェーグレン症候群などが挙げられる。 脳の一次的老化(病的老化)と関係する退行変性疾患のなかで、痴呆を起こす代表的な疾患として知られているのがアルツハイマー型痴呆(アルツハイマー病)である。アルツハイマー病は、原因論的に多様な症候群と理解することが可能であるが、病理学的には均一な所見を示し、アミロイドβタンパク質(Aβ)の凝集塊からなる老人班に加え、微小管関連タンパク質の一つであるタウが神経細胞内で異常重合した神経原繊維変化の形成、さらに領域特性のある神経細胞脱落を認める。アルツハイマー病の病態生理においては、Aβがその前駆体タンパク質から切り出され、異常重合し、神経細胞を障害する分子過程が重要な役割を果たすと考えられている(アミロイドカスケード仮説)。 Aβが重合し、神経細胞毒性を発揮することがアルツハイマー病発症過程の中核をなすという理論のもとに、近年、抗アミロイド療法とも呼ぶべき新しい治療法である、Aβワクチン、セクレターゼ阻害剤、非ステロイド性抗炎症剤、高コレステロール血症治療薬(スタチン)などの開発研究が進められている。しかしながら、これらのなかには死亡例を伴う重篤な副作用が報告されており、安全性に優れた薬剤の開発が望まれている。 一方、近年、痴呆の危険因子として高ホモシステイン血症が注目されている。ホモシステインは、含硫アミノ酸であるメチオニンからシステインへの変換過程で生じる代謝産物である。ホモシステイン(還元型)は血液中で速やかに酸化され、約98%は酸化型であるホモシスチン、ホモシステインチオラクトン、混合ジスルフィド、アルブミン等タンパク質結合型などとして存在する。臨床検査等においては、酸化型及び還元型あわせて総ホモシステイン値として測定される。一般に、血中総ホモシステインの正常値は5〜15μmol/Lであるといわれる。痴呆の認められない男女について、総ホモシステインの初期値を基礎として8年間追跡したフラミンガム調査(非特許文献1参照)の結果、年齢、性、アポタンパクE遺伝子型、動脈硬化のリスクなどを考慮しても、ホモシステイン高値例からのアルツハイマー痴呆の頻度が増えており、14μmol/Lを超えるとリスクは2倍となっている。このように、血中総ホモシステイン値の上昇抑制あるいは低下は、痴呆の予防・治療のターゲットとなる可能性が指摘されている。 斯かる高ホモシステイン血症は、ホモシステイン代謝酵素の遺伝的欠損、酵素補助因子の欠乏、腎不全、悪性腫瘍、薬剤投与などによって引き起こされると考えられており、葉酸やビタミンB12の投与によって、臨床症状の進行を抑制あるいは改善できるものがあると推察されるが、斯かる酵素補助因子等の多量投与は副作用も懸念され、確立した治療法が存在するわけではない。また、日常の食品素材などを利用して、ホモシステイン値の上昇抑制あるいは低下作用を図ることも考えられるが、臨床試験においてこのような作用を認める食品素材はほとんど報告されていない。 一方、コーヒー豆抽出物には、これまでに高血圧症の予防・治療効果(特許文献1参照)や便性改善作用(特許文献2参照)等があることが報告されている。また最近、焙煎コーヒーの飲用で血中ホモシステイン値が増加することが報告され(非特許文献2参照)、焙煎コーヒーの飲用が血中ホモシステイン値に対して悪影響を及ぼす可能性が示唆されている。特開2002−87977号公報特開2003−212782号公報Seshardi, S. et al., N. Engl. J. Med. 2002; 346: 476-483Nygard, O. et al., Am. J. Clin. Nutr. 1997; 65: 136-143 本発明は、血中ホモシステイン値を有意に低下させ、しかも風味が良好で且つ副作用が少ない素材を提供することを目的とする。 本発明者らは、血中ホモシステイン値を低下させる天然素材を広く探索したところ、コーヒー生豆の抽出物を摂取することによって高ホモシステイン血症が著しく改善されることを見出した。従来、焙煎したコーヒー豆の抽出物には血中総ホモシステイン値の増加作用が知られていたことから、コーヒー生豆抽出物による当該作用は全く予想外のことである。 すなわち本発明は、コーヒー生豆抽出物を有効成分とする高ホモシステイン血症改善剤を提供するものである。 また本発明は、当該高ホモシステイン血症改善剤を含有する食品、医薬品及び動物飼料を提供するものである。 本発明の高ホモシステイン血症改善剤は、血中ホモシステインの低下或いは上昇抑制作用を有し、且つ安全性が高く、長期間経口摂取ができる。従って、高ホモシステイン血症に関連する疾患の予防又は治療のための医薬品を始め、当該疾患の予防、改善或いは治療を目的とした機能性食品、特定保健用食品、飼料等として有用である。 本発明の高ホモシステイン血症改善剤に用いられるコーヒー生豆抽出物としては、例えばアカネ科コーヒー(Coffea arabica LINNE)の種子より、熱水で抽出して得られたものが好ましい。 当該コーヒー生豆抽出物は、例えば特開平6−38723号公報あるいは特開平10−183164号公報に開示されている方法により得ることができる。例えば、粉砕したコーヒー生豆に含水エタノール又は水を添加して、例えば約60℃〜約100℃で、約1時間から約10時間加熱し冷却後、不溶性固形分を分離、加水分解処理、多孔性重合樹脂処理等を行うことにより得ることができる。あるいは上記抽出物を加水分解処理することなくそのまま溶媒を回収して濃縮し、次いで重合樹脂で吸着処理することにより本発明で利用するコーヒー抽出物を得ることができる。 このようにして得られたコーヒー生豆抽出物は、クロロゲン酸類換算で約25重量%〜約70重量%のクロロゲン酸及びカフェ酸及びフェルラ酸の混合物又はクロロゲン酸及びクロロゲン酸同族体の混合物を含有する。本発明に用いるコーヒー生豆抽出物に含まれるクロロゲン酸類、即ちクロロゲン酸同族体には、クロロゲン酸、ネオクロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸、イソクロロゲン酸、フェリルキナ酸などの異性体が含まれる。 コーヒー生豆抽出物は、後記試験例に示すようにヒトに摂取した場合に、血中ホモシステイン低下作用を有する。従って、これを有効量含有する高ホモシステイン血症改善剤は、高ホモシステイン血症に関連する疾患、例えば痴呆症、痴呆の主な原因疾患である、退行変性疾患(アルツハイマー型痴呆、進行性核上麻痺、パーキンソン病、汎発性レビー小体病、ピック病、ハンチントン舞踏病、ALS様症状を伴う痴呆、大脳皮質基底核変性病など)、内分泌・代謝性中毒性疾患(甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症、ビタミンB12・B1欠乏、ペラグラ、脳リピドーシス、ミトコンドリア脳筋症、肝性脳症、肺性脳症、透析脳症、低酸素症、低血糖症、アルコール脳症、薬物中毒など)、感染症疾患(クロイツフェルト・ヤコブ病、亜急性硬化性全脳脳炎、進行性多巣性白質脳症、各種脳炎・髄膜炎、脳膿瘍、脳寄生虫、進行麻痺など)、腫瘍性疾患(原発性・続発性脳腫瘍、髄膜癌腫症など)、外傷性疾患(慢性硬膜下血腫、頭部外傷後遺症、punchdrunk症候群など)、正常圧水頭症、多発性硬化症、神経ベーチュット、サルコイドーシス、シェーグレン症候群など、骨粗鬆症、外反膝、蜘指症、知能障害、けいれん、水晶体脱臼、虹彩振盪等を予防、治療又は改善するための医薬、飲食品、特定保健用食品、医薬部外品として有用である。 本発明の高ホモシステイン血症改善剤は、クロロゲン酸類、カフェ酸及びフェルラ酸を含有するコーヒー生豆抽出物をそのままの形態もしくは乾燥固化した形態で用いてもよいし、又はコーヒー生豆抽出物を適当な希釈剤又は担体との組成物の形態であってもよい。希釈剤又は担体の例としては、グルコース、シュークロース、デキストリン、サイクロデキストリン、アラビアガム等の固体希釈剤又は担体;水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、界面活性剤等の液体希釈剤又は担体を挙げることができる。かかる希釈剤又は担体を用いて液状、乳液状、ペースト状、粉末状、顆粒状その他適宜の剤型とすることができる。 本発明の高ホモシステイン血症改善剤には、酸化安定性を向上させるために、抗酸化剤を添加してもよい。抗酸化剤は通常、食品、医薬品に使用されるものであればいずれでもよいが、ビタミンA、アスコルビン酸、トコフェロール、リン脂質のうち1種又は2種以上の組み合わせが好ましい。ビタミンAとしては、レチノール、レチナール、デヒドロレチノイン酸、カロチン等が挙げられる。アスコルビン酸としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、アスコルビン酸ステアリン酸エステル等が挙げられる。トコフェロールとしては、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールが挙げられるが、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールが好ましい。リン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸等やこれらのリゾ体が挙げられる。 酸化安定性を向上させるためには、抗酸化剤を純分として本発明の高ホモシステイン血症改善剤に0.01〜5質量%、更に0.02〜3質量%、特に0.05〜2質量%添加することが好ましい。5質量%を超えると、風味、着色、汎用性等の点で好ましくない。 本発明の高ホモシステイン血症改善剤には、ホモシステイン低下作用を増強させるために、葉酸、ビタミンB群(ビタミンB6、B12など)などを添加してもよい。 本発明の高ホモシステイン血症改善剤を食品として用いる場合、当該食品の形態には特に制限はなく、有効成分の他に慣用の食品添加物を加えたジュース等の飲料、スープ等の液状食品、牛乳、カレー等の乳状又はペースト状食品、ゼリー、グミ等の半固形状食品、ガム、豆腐、サプリメント等の固形状食品、あるいは粉末状食品、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング等の油脂含有食品等いかなる形態でもよい。 本発明の高ホモシステイン血症改善剤を医薬として用いる場合、上記有効成分そのもの、又は有効成分に薬学的に許容される担体を添加して、経口用組成物とすることができる。経口用組成物としては、錠剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、散剤、カプセル剤(硬カプセル剤及び軟カプセル剤を含む)、トローチ剤、チュアブル剤、液剤(ドリンク剤)などが挙げられる。 本発明の高ホモシステイン血症改善剤は、有効成分であるコーヒー生豆抽出物を好ましくは0.01重量%〜100重量%、さらに好ましくは0.05重量%〜50重量%で含有する製剤として使用される。また、本発明に用いるコーヒー生豆抽出物の成人(体重60kg)での有効投与量は、特に制限はないが、1日に0.01〜100g、特に0.05〜10gを摂取するようなものであることが好ましい。 以下の実施例において%は重量%を意味する。実施例1 軟カプセル剤 下記組成からなる軟カプセル剤皮(オバール型、重さ150mg)の中に、大豆油400mgとコーヒー生豆抽出物100mgを定法により充填し、軟カプセル剤を製造した。実施例2 飲料 上記組成の飲料の保存安定性は高く、また、風味的には何ら問題のないことが分かった。実施例3 小麦粉製品 定法により、下記組成から成るクッキーを焼成した。実施例4 健常男性11名にコーヒー生豆抽出物530mg(クロロゲン酸類148mg)を含むサンプル果汁飲料120mLを、1日1本ずつ5ヶ月間飲用させた。また、コーヒー生豆抽出物を含まないプラセボ果汁飲料120mLを、別の健常男性10名に1日1本ずつ5ヶ月間飲用させた。なお、プラセボ果汁飲料の組成は、オレンジ濃縮果汁12.7%、ニンジン濃縮果汁4.47%、ホウレンソウ濃縮果汁0.15%、パセリ濃縮汁0.24%、レモン濃縮汁0.66%、ハチミツ1.57%、香料0.12%、水適量である。摂取開始前、及び2か月後、5か月後に採血し、血漿中の総ホモシステイン値を測定した。 得られた結果を表4に示す。表4から明らかなように、コーヒー生豆抽出物を含むサンプル飲料摂取群においてのみ、著しい総ホモシステイン値の低下作用が認められた。 コーヒー生豆抽出物を有効成分とする高ホモシステイン血症改善剤。 請求項1項記載の高ホモシステイン血症改善剤を含有する食品。 請求項1項記載の高ホモシステイン血症改善剤を含有する医薬品。 請求項1項記載の高ホモシステイン血症改善剤を含有する動物飼料。 【課題】血中ホモシステイン値を有意に低下させ、しかも風味が良好で且つ副作用が少ない素材を提供する。 【解決手段】 コーヒー生豆抽出物を有効成分とする高ホモシステイン血症改善剤、これを含有する食品、医薬品及び動物飼料。【選択図】なし


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