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タイトル:特許公報(B2)_1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩、及びこれらの製造方法
出願番号:2004168710
年次:2010
IPC分類:C07C 281/16


特許情報キャッシュ

馬場 昌克 上村 定夫 合歓垣 修一 JP 4564786 特許公報(B2) 20100806 2004168710 20040607 1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩、及びこれらの製造方法 株式会社日本ファインケム 000229656 小野 尚純 100075177 奥貫 佐知子 100113217 中 敦士 100120570 馬場 昌克 上村 定夫 合歓垣 修一 20101020 C07C 281/16 20060101AFI20100930BHJP JPC07C281/16 C07C 281/16 特開昭54−088251(JP,A) 特開昭64−052763(JP,A) 特開平07−285950(JP,A) 特開平08−165273(JP,A) 特開昭50−077328(JP,A) 特公昭50−005175(JP,B1) 特開平02−042053(JP,A) 特開平02−056413(JP,A) Zhurnal Obschchei Khimii,1962年,32,p.3811-3817 J. Am. Chem. Soc.,1952年,74,p.2981-2983 J. Am. Chem. Soc.,1950年,72,p.874-875 J. Am. Chem. Soc.,1953年,75,p.4053-4054 3 2005343866 20051215 13 20070412 安田 周史 本発明は、無機酸の存在下にシアナミドと置換ヒドラジンとを反応させることを特徴とする、医薬、農薬等の中間体として有用な1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩の製造方法、及び該製造方法等により得られる1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩に関する。 1−メチル―1―アミノグアニジン及び1−ベンジル―1―アミノグアニジンは公知の化合物であるが、これら以外の1−置換−1−アミノグアニジン、及びその塩は新規な化合物である。1−メチル―1―アミノグアニジンの製造方法として、例えば下記の製造方法が開示されている。非特許文献1にはS−メチルイソチオウレアを原料に使用しモノメチルヒドラジンと反応させる1−メチル―1―アミノグアニジンの製造方法が開示されている。 また、非特許文献2にはニトロソグアニジンを出発原料にした1−メチル―1―アミノグアニジンの製造方法が開示されている。 更に、非特許文献3には、チオシアン酸カリウムとモノメチルヒドラジンから得られる2―メチル―3―チオセミカルバジドをS−メチル化してS―メチル―2―メチルチオセミカルバジドを得、これをアンモニア水で処理することにより1−メチル―1―アミノグアニジンを得る製造方法が開示されている。シ゛ャーナル オフ゛シュケイ キミー(Zhurnal Obshchei Khimii) (1962) 32, 3811‐3817シ゛ャーナル オフ゛ アメリカン ケミカル ソサイアティ(J. Am. Chem. Soc.) (1952) 74, 2981‐2983シ゛ャーナル オフ゛ アメリカン ケミカル ソサイアティ(J. Am. Chem. Soc.)(1950) 72, 874‐875 しかしながら、非特許文献1に記載の方法では、上記出発原料、及び反応で生じる副生成物は強い臭気を持っており、工業的に取り扱うには臭気対策が必要となるという問題点がある。特許文献2に記載の方法では、出発原料の毒性が強く、工業的に実施するには問題がある。また、目的物質の反応収率の記載は記載されていない。特許文献3に記載の方法では、副生成物が強い臭気を有しており臭気対策が必要であること、また反応工程が多いことにより工業的規模での実施には不都合である。更に、中間体である2―メチル―3―チオセミカルバジド合成時の反応収率が36.8モル%(チオシアン酸カリウムをべースとして)と記載されている。 本発明の目的は、上記した1−メチル―1―アミノグアニジンで代表される1−置換―1―アミノグアニジンの製造法における種々の問題点を解消し、取り扱いが容易で工業的に有利な原料を使用し、且つ異性体であるアルキルアミノグアニジン等の副生を抑制した、1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩の製造方法を提供することにある。 また、本発明の他の目的は、上記製造方法等により製造が可能である、医薬、農薬の中間体として有用な新規な1−置換―1―アミノグアニジン、及びその塩を提供することにある。 本発明者らは、鋭意研究を行った結果、シアナミドとアルキルヒドラジン等とを無機酸の存在下で反応させることにより上記課題を解決して、1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩を効率よく製造できることを見出し本発明の完成に至った。 すなわち、本発明は、シアナミドと、式R1NHNH2(R1は式(I)中のR1と同じである。)で表される置換ヒドラジンとを、該置換ヒドラジンに対する当量比で0.7〜1.0倍の塩酸または硫酸から選ばれた無機酸の存在下に反応させることを特徴とする、式(I)(式(I)中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基を示す。)で表される1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩の製造方法に関する。 上記製造方法を採用することにより、副生物である異性体の生成を極力抑制して、目的物質である1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩を効率よく製造することが可能となる。 本製造方法においては、更に下記の態様とすることが望ましい。(1)シアナミドと前記置換ヒドラジンとを、無機酸の存在下に水又は低級脂肪族アルコール溶媒中で反応させること、(2)式(I)で表される1−置換―1―アミノグアニジン塩が前記無機酸の塩であること 本発明によれば、工業的に取り扱いが容易なシアナミドと前記式R1NHNH2で表される置換ヒドラジンとの反応を一定量の無機酸の存在下で反応させることで、有害物質や強い臭気物質の発生を伴うことなく、式(I)で示される1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩を得ることが可能となる。特に、本発明の製造方法は、異性体であるアルキルアミノグアニジン等の副生を抑制して、目的物質を得ることができるので工業的に極めて有利な製造方法である。 又、本製造方法により得られる式(II)で示される1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩は、多くの医薬、農薬の中間体として有用な新規化合物である。 以下に、本発明の方法について詳細に説明する。 本発明の1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩の製造における化学反応は以下の反応式で示される。 本発明の1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩の製造において、シアナミドと置換ヒドラジンとの反応は無機酸の存在下にて実施され、使用した無機酸と反応主成物であるグアニジン誘導体との塩として回収されることが好ましい。 本製造方法において原料として用いるシアナミド(NH2CN)は植調剤として工業的に製造されており、工業的に入手可能である。 また、他方の原料となる置換ヒドラジン(R1NHNH2)としては、上記触媒存在下にシアナミドと反応させて1−置換―1―アミノグアニジンを生成するものであれば特に限定されるものではないが、炭素数が1〜10のアルキル基で置換されたアルキルヒドラジン、炭素数3〜10のシクロアルキル基で置換されたシクロアルキルヒドラジン、炭素数が2〜10のアルケニル基で置換されたアルケニルヒドラジン、炭素数が1〜10のヒドロキシアルキル基で置換されたヒドロキシアルキルヒドラジン、及び炭素数6〜10のアリール基で置換されたアリールヒドラジン等が好ましい。 置換ヒドラジン(R1NHNH2)のR1において、炭素数が1〜10のアルキル基で置換されたアルキルヒドラジンとしては、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、n−プロピルヒドラジン、i−プロピルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン等が例示できるが炭素数が1〜4のアルキル基で置換されたアルキルヒドラジンが好ましい。炭素数が3〜10のシクロアルキル基で置換されたシクロアルキルヒドラジンとしては、シクロペンチルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン等が例示できるが炭素数が5〜10のシクロアルキル基で置換されたシクロアルキルヒドラジンが好ましい。炭素数が2〜10のアルケニル基で置換されたアルケニルヒドラジンとしては、メタリルドラジン、アリルヒドラジン、2−ブテニルヒドラジンが例示できるが炭素数が2〜4のアルケニル基で置換されたアルケニルヒドラジンが好ましい。炭素数が1〜10のヒドロキシアルキル基で置換されたヒドロキシアルキルヒドラジンとしては、2−ヒドロキシエチルヒドラジン、3−ヒドロキシブチルヒドラジン等が例示できるが炭素数が2〜4のヒドロキシアルキル基で置換されたヒドロキシアルキルヒドラジンが好ましい。炭素数6〜10のアリール基で置換されたアリールヒドラジンとしては、フェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、トリルヒドラジン等が例示できる また、本製造方法に使用する無機酸としては、塩酸のようなハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸のようなオキソ酸が例示できるが、反応収率を考慮すると塩酸、又は硫酸の使用が望ましい。 本製造方法は、好ましくは反応溶媒を使用して液相系で行われる。反応溶媒としてはそれ自身が反応系で安定であり、目的とする反応を阻害しないものであれば使用可能である。反応に使用される溶媒としては、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール等の低級脂肪族アルコール類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられる。溶媒の使用量は、反応混合物の撹拌が可能な量であれば良く、使用する溶媒により広い範囲から選ばれるが、一般的に仕込みのすべての原料に対して、重量比で0.5〜10倍が好ましい。使用する反応溶媒は、反応時間、収率、製品品質等を考慮すると水、又は低級脂肪族アルコールが望ましい。 本製造方法は、通常、反応器中に溶媒、原料のシアナミドと置換ヒドラジンおよび無機酸を混合し、所定の温度条件下で所定の時間反応させることにより行われる。原料の仕込み方法は、一括して仕込んでもよく、置換ヒドラジンと無機酸の混合液にシアナミドを添加してもよく、特に限定されない。反応収率を考慮すると、シアナミドの仕込み量は置換ヒドラジンに対する仕込みのモル比で好ましくは1〜1.5倍、より好ましくは1〜1.2倍である。 本製造方法における無機酸の使用量は、仕込みの置換ヒドラジンに対する当量比で0.6〜1.0倍が好ましく、特に0.7〜0.9倍が好ましい。1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩を得る反応を行う際、無機酸の使用量を前記範囲外で行うことも可能であるが、前記範囲外の場合には、例えば無機酸の仕込み当量比が前記0.6倍未満のときには、目的物である置換グアニジンの収率が低下すると共に、副生物である異性体の置換アミノグアニジンおよび原料のシアナミドが二量化したジシアンジアミドの生成が増加し好ましくなく(比較例1参照)、一方、当量比が前記1.0倍を越えるとき、目的物である置換グアニジンの収率が極端に低下して異性体の副生も多くなり、更に反応速度が低下する(比較例2参照)という問題点が生じる。 前記1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩を得る反応において、無機酸を使用しないか、又は使用してもその使用量が相当に少量であると、反応液がアルカリ性となり、ジシアンジアミドの副生が優先的に起こることになる(比較例3参照)。 このように、無機酸を使用すること、且つその配合当量比を制御することにより異性体の副生およびジシアンジアミドの生成を抑制することができ、目的とする1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩をより高い収率で得ることが可能となる。 本製造方法において、反応温度は20〜150℃が好ましい、反応温度が前記20℃未満では反応速度が低下し、一方150℃を越えると異性体の副生が増加して目的物の収率が低下するおそれがある。前記温度範囲の中で50〜100℃が特に好ましい。 上記反応温度条件下において反応時間は通常1〜10時間程度である。 反応終了後、生成した1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩を含む反応液中で、その無機酸の塩として析出させるための無機酸が不足しているときは、無機酸を添加した後、1−置換―1―アミノグアニジンの塩を析出させる。その後、通常のろ過による固液分離等の操作を行い、1−置換―1―アミノグアニジンの塩を単離することができる。 このときろ過操作の前に予め溶媒の蒸発等による濃縮操作を行っても良い。 また、1−置換―1―アミノグアニジンとして回収したいときは、反応生成液を水酸化ナトリウム等のアルカリにより中和処理後、ろ過、抽出等の通常の分離操作を行うことで1−置換―1―アミノグアニジンを回収することができる。例えば、反応生成液を中和処理し、該中和液を蒸発により濃縮乾固した後、これに水、あるいは水と低級脂肪族アルコールの混液を加えて過熱溶解し、冷却後析出させて、結晶をろ過処理することにより1−置換―1―アミノグアニジンを回収することができる。 また、濃縮乾固物にエタノール等の低級脂肪族アルコールを加え、熱時ろ過による無機塩除去後、冷却・ろ過処理して目的物を回収することも可能である。このような操作を行うことにより、副生した少量の異性体であるアルキルアミノグアニジン等の不純物及び未反応物は母液側に移行するので、高純度の1−置換―1―アミノグアニジンを回収することができる。 上記した製造方法により、工業的に扱い易いシアナミドと置換ヒドラジンとの反応を無機酸の存在下で行うことにより副生成物の生成を抑制し、式(I) (式(I)中、R1は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を示す。)に示す1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩の製造を効率的に行うことが可能となり、且つ工業的に有利な製造が可能となる。 式(I)のR1において、炭素数が1〜10のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基等が例示できるが炭素数が1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数が3〜10のシクロアルキル基としてはシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が例示できるが炭素数が5〜10のシクロアルキル基が好ましく、炭素数が2〜10のアルケニル基としてはメタリル基、アリル基、2−ブテニル基が例示できるが炭素数が2〜4のアルケニル基が好ましく、炭素数が1〜10のヒドロキシアルキル基としては2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシブチル基等が例示できるが炭素数が2〜4のヒドロキシアルキル基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基等が例示できる。 上記製造方法により得られる下記の式(II)(式(II)中、R2は炭素数2〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基(ベンジル基を除く)を示す。)で表される1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩は新規な化合物である。 式(II)のR2において、炭素数が2〜10のアルキル基としては、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基等が例示できるが炭素数が2〜4のアルキル基が好ましい。炭素数が3〜10のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が例示できるが炭素数が5〜10のシクロアルキル基が好ましい。 炭素数が2〜10のアルケニル基としては、メタリル基、アリル基、2−ブテニル基が例示できるが炭素数が2〜4のアルケニル基が好ましい。 炭素数が1〜10のヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシブチル基等が例示できるが炭素数が2〜4のヒドロキシアルキル基で置換されたヒドロキシアルキル基が好ましい。炭素数6〜10のアリール基(ベンジル基を除く)としては、フェニル基、トリル基等が例示できる 前記式(I)又は式(II)で表される1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩は、医薬、農薬等の中間体として有用な化合物である。すなわち前記式(I)又は式(II)で表される1−置換―1―アミノグアニジンは、抗炎症、鎮痛剤、抗真菌剤、免疫異常と慢性炎症に改善効果を示す医薬、精神分裂病予防薬等の医薬中間体、害虫防除剤等の農薬中間体、その他洗浄剤、発泡剤、水処理剤等の中間原料として有用である。 以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってその範囲を限定されるものではない。 尚、実施例1−1〜8、比較例1〜3における反応生成物の分析、物性等の測定は下記の機器を使用して行った。(1)液体クロマトグラフィー (株)島津製作所製、液体クロマトグラフィー(型式:RID−10A(RI)、カラム:ODS−AM(YMC)、4.6φ×150mm、溶離液:0.7mM、HClO4水溶液)(2)融点測定装置 メトラー社製、全自動融点測定装置(型式:メトラーFP62)(3)質量分析計 (株)島津製作所製、質量分析計(型式:GCMS−QP1000)直接試料導入法(4)元素分析装置 住友化学(株)製、元素分析装置(型式:SUMIGRAPH NC-80)実施例1−1[1−メチル―1―アミノグアニジン硫酸塩] 500ミリリットル(mL)の4つ口フラスコに水120g、98%硫酸33.8g(0.338モル、モノメチルヒドラジンに対して当量比で0.9倍)、35%のモノメチルヒドラジン水溶液98.6g(0.750モル)、及び純度98%のシアナミド32.1g(0.750モル)を仕込み、この混合液を50℃で3時間撹拌して反応を行った。反応終了後、反応生成液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、1−メチル―1―アミノグアニジンとメチルアミノグアニジンの異性体の生成比は14.1:1であった。反応生成液に、98%硫酸3.7g(0.037モル)を添加した。次に109.1gの水分を蒸発させて濃縮を行い、得られた濃縮物にエタノール200gを添加して晶析を行い、1−メチル―1―アミノグアニジン硫酸塩の白色結晶84.4gを得た。収率は、仕込みのモノメチルヒドラジンベースで82モル%であった。 得られた前記1−メチル―1―アミノグアニジン硫酸塩の純度を液体クロマトグラフィーで測定したところ98.7重量%であった。これらの結果は表1にまとめて示す。 また、1−メチル―1―アミノグアニジン硫酸塩の融点は、291.7−292.0℃(文献値:293−295℃)であった。実施例1−2[1−メチル―1―アミノグアニジン塩酸] 500mLの4つ口フラスコに水120g、34%の塩酸72.5g(0.675モル、モノメチルヒドラジンに対して当量比で0.9倍)、35%のモノメチルヒドラジン水溶液98.6g(0.750モル)および98%シアナミド32.1g(0.750モル)を仕込み、この混合液を50℃で7時間撹拌して反応を行った。 反応生成液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、1−メチル―1―アミノグアニジンとメチルアミノグアニジンの異性体比は13.7:1であった。反応生成液に、34%塩酸8.0g(0.075モル)を滴下後、213.7gの水分を加熱蒸発させて濃縮を行った。該濃縮物にメタノール200gを加えて晶析し、1−メチル―1―アミノグアニジン塩酸塩の白色結晶82.8gを得た。反応収率は、仕込みのモノメチルヒドラジンベースで88.6モル%であった。これらの結果は表1にまとめて示す。液体クロマトグラフィーによる製品純度の測定値は、97.0重量%であった。 1−メチル―1―アミノグアニジン塩酸塩の融点は、104.5〜109.6℃であった。実施例1−3[1−メチル−1−アミノグアニジン] 実施例1−2で得た1−メチル―1―アミノグアニジン塩酸塩12.45g(0.1モル)を水20gに溶解した後、48%苛性ソーダ水溶液9.17g(0.11モル)を加えて中和することにより、1−メチル−1−アミノグアニジンを定量的に得た。 該1−メチル−1−アミノグアニジンの質量分析の結果、M+1=89(分子量:88.11)であった。元素分析の結果、全炭素(TC)は19.00(計算値:19.28)、全窒素(TN)は44.00(計算値:44.98)であった。実施例1−4〜8[1−メチル−1−アミノグアニジン] 表1に記載した以外は実施例1−1に記載したと同様の条件で、塩酸の存在下にモノメチルヒドラジンとシアナミドから1−メチル―1―アミノグアニジン塩酸塩を得る反応を行った。これらの結果は表1にまとめて示す。比較例1 500mLの4つ口フラスコに水120g、34%塩酸32.2g(0.300モル、モノメチルヒドラジンに対して当量比で0.4倍)、35%モノメチルヒドラジン水溶液98.6g(0.750モル)、及び純度98%のシアナミド32.1g(0.750モル)を仕込み、この混合液を75〜95℃で1時間撹拌し反応を行った。反応液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、1−メチル―1―アミノグアニジンとメチルアミノグアニジンの異性体比は3:1であった。また、ジシアンジアミドが23%副生し、収率は仕込みのモノメチルヒドラジンベースで56モル%であった。これらの結果は表1にまとめて示す。比較例2 表1に記載した以外は、比較例1に記載したと同様の条件で、塩酸の存在下にモノメチルヒドラジンとシアナミドから1−メチル―1―アミノグアニジン塩酸塩を得る反応を行った。これらの結果は表1にまとめて示す。比較例3 500mLの4つ口フラスコに水120g、34%塩酸96.5g(0.900モル、モノメチルヒドラジンに対して当量比で1.2倍)、35%のモノメチルヒドラジン水溶液98.6g(0.750モル)および純度98%のシアナミド32.1g(0.750モル)を仕込み、この混合液を80〜115℃で3時間撹拌し反応を行った。反応液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、1−メチル―1―アミノグアニジンとメチルアミノグアニジンの異性体比は1.8:1であった。また、収率は仕込みのモノメチルヒドラジンベースで26モル%であり、仕込んだ原料のシアナミドが59%未反応で残存していた。これらの結果は表1にまとめて示す。比較例4 500mLの4つ口フラスコに水120g、35%のモノメチルヒドラジン水溶液98.6g(0.750モル)、及び純度98%のシアナミド32.1g(0.750モル)を仕込み、この混合液を100℃で3時間撹拌し反応を行った。反応液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、原料のシアナミドが二量化したジシアンジアミドが80モル%の割合(仕込みのモノメチルヒドラジンベース)で副生していた。このとき1−メチル―1―アミノグアニジンの生成はわずかに5%(仕込みのモノメチルヒドラジンベース)であった。これらの結果は表1にまとめて示す。 表1から、メチルヒドラジンに対する無機酸の仕込み当量比が0.6〜1.0(実施例1〜9)の場合には、メチルアミノグアニジン収率が67〜90モル%(仕込みメチルヒドラジンベース)であり、無機酸の仕込み当量比が0.4(比較例1)、1.1(比較例2)、1.2(比較例3)では、前記メチルアミノグアニジン収率が56モル%、45モル%、26モル%と低い値を示した。また、メチルヒドラジンに対する無機酸の仕込み当量比が前記範囲では副生異性体も低目の値を示した。実施例2−1〜4[1−置換−1−アミノグアニジン] 置換ヒドラジンとして、エチルヒドラジン、n−プロピルヒドラジン、i−プロピルヒドラジン、アリルヒドラジンをそれぞれ用いて、塩酸の存在下、表2に示す条件下にシアナミドと反応を行った。結果をまとめて、表2に示す。いずれもの場合も、置換アミノグアニジンが75〜89モル%(仕込み置換ヒドラジンベース)で得られた。 また、実施例1で使用したと同様の融点、質量、元素分析測定装置を使用して、得られた製品の測定を行った。これらの結果をまとめて表2、3に示す。 本発明の製造方法は、1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩の工業的な製造方法として有用である。1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩は、医薬、農薬等の中間体として有用な化合物である。 シアナミドと、式R1NHNH2(R1は式(I)中のR1と同じである。)で表される置換ヒドラジンとを、該置換ヒドラジンに対する当量比で0.7〜1.0倍の塩酸または硫酸から選ばれた無機酸の存在下に反応させることを特徴とする、式(I)(式(I)中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基を示す。)で表される1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩の製造方法。 シアナミドと前記置換ヒドラジンとを、無機酸の存在下に水又は低級脂肪族アルコール溶媒中で反応させることを特徴とする請求項1に記載の1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩の製造方法。 式(I)で表される1−置換―1―アミノグアニジン塩が前記無機酸の塩である請求項1ないし2のいずれかに記載の1−置換―1―アミノグアニジン又はその塩の製造方法。


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