タイトル: | 特許公報(B2)_液化天然ガスからの炭化水素分離方法および分離装置 |
出願番号: | 2004167236 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C07C 7/04,C07C 9/04,C07C 9/06,C07C 9/08 |
吉田 延弘 山口 昌一 小原 進 クマール アキレッシュ JP 4452130 特許公報(B2) 20100205 2004167236 20040604 液化天然ガスからの炭化水素分離方法および分離装置 東洋エンジニアリング株式会社 000222174 宮崎 昭夫 100123788 伊藤 克博 100106297 石橋 政幸 100106138 吉田 延弘 山口 昌一 小原 進 クマール アキレッシュ JP 2004111236 20040405 20100421 C07C 7/04 20060101AFI20100401BHJP C07C 9/04 20060101ALI20100401BHJP C07C 9/06 20060101ALI20100401BHJP C07C 9/08 20060101ALI20100401BHJP JPC07C7/04C07C9/04C07C9/06C07C9/08 C07C 7/04−7/08 C07C 9/00−9/22 C10G 5/00 C10L 3/06−3/10 米国特許出願公開第2002/0029585(US,A1) 米国特許第2952984(US,A) 8 2005320311 20051117 19 20070111 藤森 知郎 本発明は、液化天然ガスからエタンもしくはプロパン等の炭化水素を分離・回収するために用いられる炭化水素の分離方法及び装置に関するものである。 天然ガスを大気圧付近で約−162℃の温度で液化し、海上輸送により消費地に送り気化した後、都市ガスまたは火力発電用の燃料として天然ガスパイプラインへ送り出すことは一般的に行われている。なお、大気圧付近で液化された天然ガスは液化天然ガス(Liquefied Natural Gas:LNG)と呼ばれる。その際、消費地で受け入れた液化天然ガスには、炭素数2から5までの炭化水素が多く含まれる場合があり、発熱量が高いため消費地にて必要とされる天然ガス規格に適合しないことがある。あるいは、液化天然ガスに含まれる炭素数2から5の炭化水素(例えばエタンおよびプロパン)は、石油化学プラントの原料になるため、都市ガスまたは火力発電用の燃料として利用するよりも市場において高い価値がある場合がある。したがって、消費地で受け入れた液化天然ガスを天然ガスパイプラインに送り出す前に炭素数2以上の炭化水素を液化天然ガスから分離および回収することが望まれていた。 液化天然ガスからエタン、プロパン等の炭化水素を分離および回収する方法に、米国特許第6,510,706号公報(特許文献1)が開示している方法を応用することができる。この方法は、−112℃(−170°F)を超える温度で、かつ、その液が沸騰点以下の温度となるのに十分な圧力で天然ガスを液化し、輸送する技術に関するものである。なお、加圧状態で液化された天然ガスは加圧液化天然ガス(Pressurized Liquid Natural Gas:PLNG)と呼ばれ、前述の液化天然ガス(LNG)と区別される。この技術により、加圧液化天然ガス(PLNG)から、メタンよりも低揮発性の炭化水素を除去することができる。この技術を、大気圧付近で約−162℃の温度において輸送される液化天然ガス(LNG)からエタン、プロパン等の炭化水素を分離および回収する方法に応用することができる。この公報には、原料加圧液化天然ガスを熱交換器において一部または全部を気化すること、気化された原料加圧天然ガスを蒸留塔にフィードすること、蒸留塔の底部から炭素数2以上の重質留分を抜き塔頂部からメタンを主成分とする残留ガスを抜くこと、残留ガスを原料加圧液化天然ガスとの熱交換により液化することが開示される。高いエタン、プロパンの回収が望まれる場合には、原料加圧液化天然ガスの一部を抜き、熱交換器で気化せず液の状態で蒸留塔の塔頂にフィードすることにより、リフラックス効果が得られ高いエタン、プロパン回収率を得ることができるとも記載される。 また液化天然ガスからエタン、プロパン等の炭化水素を分離および回収する方法として、米国特許第2,952,984号公報(特許文献2)が開示している方法を用いることができる。この公報には、液化天然ガスを蒸留塔の中間にフィードすること、蒸留塔の下部を加熱し蒸留塔の上部からメタンが富化された蒸気を発生させること、蒸留塔の上部から抜いた蒸気を蒸留塔にフィードされる液化天然ガスと熱交換させ冷却させること、冷却された蒸気から凝縮液を分離すること、分離された凝縮液を蒸留塔の上部にリフラックスとして供給すること、重質炭化水素を蒸留塔の下部から抜くことが開示される。米国特許 第6,510,706号公報米国特許 第2,952,984号公報 特許文献1記載の方法を、液化天然ガスからエタン等の炭化水素を分離および回収する方法に応用した場合においては、メタン濃度の低い原料液化天然ガスを蒸留塔のリフラックスとして使用している為に優れたリフラックス効果が得られず、エタン回収率は92%程度に留まると考えられる。ここでエタン回収率は、原料液化天然ガス中に含まれるエタンを、製品液化天然ガスから分離し、NGL(天然ガス液)の一部として回収する割合を意味し、すなわち、NGL中のエタン量を原料液化天然ガス中のエタン量で除した値である。消費地の天然ガス規格に合わせるという目的であれば、この程度のエタンの回収率でその目的を達成できることもあるが、炭素数2から5の炭化水素を石油化学プラントの原料ガスとして利用する目的の場合には、より多くのエタンを回収し有効利用することが経済性の観点から望ましい。その為、エタンもしくはプロパンの更なる回収率の向上が望まれていた。 また特許文献2記載の方法においては、メタンが濃縮された蒸留塔塔頂ガスを凝縮させた液を蒸留塔のリフラックスとして供給するため、リフラックス効果が高いという利点がある。しかしながらこの方法では、蒸留塔の上部の気体を冷却して凝縮液を分離した後、残留天然ガスを気体の状態で払い出しており、その後、天然ガスパイプラインに必要な圧力まで昇圧する際に、コンプレッサーで圧縮する必要があった。その為、所要エネルギーが大きいという問題点があった。 本発明の目的は、液化天然ガスから炭化水素の分離をより効率良く行うことのできる方法と装置を提供することである。 より詳しくは、本発明の目的は、蒸留塔を用いた炭化水素の分離および方法および装置において、分離能を向上させ、高いエタンもしくはプロパン回収率を得られる方法および装置を提供することである。また本発明の別の目的は、所要エネルギーを比較的小さくすることができる炭化水素の分離方法及び装置を提供することである。 本発明により、少なくともメタンと炭素数2以上の炭化水素とを含む原料液化天然ガスを、蒸留塔を用いて、該メタンのより多い部分を含み該炭素数2以上の炭化水素のより少ない部分を含む製品天然ガスと、該メタンのより少ない部分を含み該炭素数2以上の炭化水素のより多い部分を含む重質留分とに分離する炭化水素の分離方法において、(a)原料液化天然ガスを熱交換器において加熱する工程;(b)工程(a)で加熱された流体を蒸留塔にフィードする工程;(c)該蒸留塔の底部から該重質留分を抜く工程;(d)該蒸留塔の塔頂部から、残留ガスを抜く工程;(e)該熱交換器において、該残留ガスの少なくとも一部を液化する工程;(f)工程(e)で得られた流体の液体部分のうちの一部を該蒸留塔にリフラックスとして供給する工程;および(g)工程(e)で得られた流体の液体部分のうちの工程(f)で蒸留塔に供給する部分の残りの部分を該製品天然ガスとして払い出す工程を有することを特徴とする炭化水素の分離方法が提供される。 本発明により、少なくともメタン及びエタンと炭素数3以上の炭化水素とを含む原料液化天然ガスを、蒸留塔を用いて、該メタン及びエタンのより多い部分を含み該炭素数3以上の炭化水素のより少ない部分を含む製品天然ガスと、該メタン及びエタンのより少ない部分を含み該炭素数3以上の炭化水素のより多い部分を含む重質留分とに分離する炭化水素の分離方法において、(a)原料液化天然ガスを熱交換器において加熱する工程;(b)工程(a)で加熱された流体を蒸留塔にフィードする工程;(c)該蒸留塔の底部から該重質留分を抜く工程;(d)該蒸留塔の塔頂部から、残留ガスを抜く工程;(e)該熱交換器において、該残留ガスの少なくとも一部を液化する工程;(f)工程(e)で得られた流体の液体部分のうちの一部を該蒸留塔にリフラックスとして供給する工程;および(g)工程(e)で得られた流体の液体部分のうちの工程(f)で蒸留塔に供給する部分の残りの部分を該製品天然ガスとして払い出す工程を有することを特徴とする炭化水素の分離方法が提供される。 前述の方法において、(h)前記工程(a)で加熱された流体を、工程(b)の前に、工程(a)で用いる熱交換器とは異なる熱交換器において加熱する工程をさらに有することができる。 この方法において、 前記工程(e)においては前記残留ガスの一部を液化し、(i)工程(e)で得られた流体から気体部分を分離し、次いで昇圧する工程;(j)前記工程(h)で用いる熱交換器において、工程(i)で得られた流体の全部を液化する工程;および(k)工程(j)で得られた流体を前記製品天然ガスとして払い出す工程をさらに有することができる。 本発明により、少なくともメタンと炭素数2以上の炭化水素とを含む原料液化天然ガスを、蒸留塔を用いて、該メタンのより多い部分を含み該炭素数2以上の炭化水素のより少ない部分を含む製品天然ガスと、該メタンのより少ない部分を含み該炭素数2以上の炭化水素のより多い部分を含む重質留分とに分離するための炭化水素の分離装置において、加熱された原料液化天然ガスがフィードされ、底部から該重質留分を排出し、塔頂部から残留ガスを排出する蒸留塔;原料液化天然ガスと該残留ガスとを熱交換し、該加熱を行うとともに該残留ガスを冷却して残留ガスの少なくとも一部を液化する熱交換器;該熱交換器で少なくとも一部が液化された残留ガスの液体部分の一部を、該蒸留塔に還流するリフラックス手段;該熱交換器で少なくとも一部が液化された残留ガスの液体部分の残部を、該製品天然ガスとして払い出す払出しラインを有することを特徴とする炭化水素の分離装置が提供される。 本発明により、少なくともメタン及びエタンと炭素数3以上の炭化水素とを含む原料液化天然ガスを、蒸留塔を用いて、該メタン及びエタンのより多い部分を含み該炭素数3以上の炭化水素のより少ない部分を含む製品天然ガスと、該メタン及びエタンのより少ない部分を含み該炭素数3以上の炭化水素のより多い部分を含む重質留分とに分離するための炭化水素の分離装置において、加熱された原料液化天然ガスがフィードされ、底部から該重質留分を排出し、塔頂部から残留ガスを排出する蒸留塔;原料液化天然ガスと該残留ガスとを熱交換し、該加熱を行うとともに該残留ガスを冷却して残留ガスの少なくとも一部を液化する熱交換器;該熱交換器で少なくとも一部が液化された残留ガスの液体部分の一部を、該蒸留塔に還流するリフラックス手段;該熱交換器で少なくとも一部が液化された残留ガスの液体部分の残部を、該製品天然ガスとして払い出す払出しラインを有することを特徴とする炭化水素の分離装置が提供される。 前述の装置において、前記熱交換器と蒸留塔との間に、該熱交換器によって加熱された原料液化天然ガスをさらに加熱する第二の熱交換器を少なくとも一つ有することができる。 この装置が、前記残留ガスを冷却する熱交換器が、残留ガスの一部を液化する熱交換器であって、 該熱交換器から得られる一部が液化された流体を、液体部分と気体部分に分離する気液分離手段、および、該気体部分を昇圧する昇圧手段を有し、前記第二の熱交換器の一つが、該昇圧された気体部分の全部を液化する熱交換器であり、該第二の熱交換器で液化された流体を前記製品天然ガスとして払い出すラインを有することができる。 本発明によれば、蒸留塔(エタン回収の場合は脱メタン塔、プロパン回収の場合は脱エタン塔)塔頂ガスを冷却、凝縮することにより得られるメタン濃度もしくはエタン濃度の高い液化天然ガスをリフラックスとして使用することにより、蒸留塔塔頂ガス中のメタン濃度もしくはエタン濃度が上がり、分離能が向上し、より高いエタンもしくはプロパン回収率が得られる。また、本発明によれば、製品として払い出す残留天然ガスの少なくとも一部、好ましくは全部を液体とすることができる。そのため、パイプラインに供給する場合などにおいて、製品天然ガスを昇圧するための所要動力を比較的小さくすることができる。 図1には、本発明に基づく液化天然ガスからの炭化水素の分離方法を示す。ここでは液化天然ガスからのエタン回収プロセスを用いて説明する。液化天然ガスからのエタン回収プロセスは、原料液化天然ガス中に含まれる炭化水素成分を蒸留により、メタンと、エタン以上の重質な成分とに分離するプロセスである。なお、図1は単に本発明の好適な形態を説明する為のものであり、本発明はこれに限定されるものではない。 例えば、メタン及び炭素数2以上の炭化水素から実質的になる原料液化天然ガス1は原料液化天然ガスポンプ2に送られ、脱メタン塔6における運転圧力にリフラックスコンデンサー4、配管の圧力損失及び脱メタン塔フィードの為に必要とされる水頭を足した圧力まで昇圧される。原料として用いられる液化天然ガスは、大気圧付近(例えば99kPa(A)以上150kPa(A)以下)で、沸騰点またはそれ以下の温度(例えば−170℃以上−150℃以下)で天然ガスを液化して得ることができる。圧力の単位における(A)は、絶対圧を示す。 昇圧された原料液化天然ガスの一部は原料液化天然ガスリフラックス3として脱メタン塔6に送られ、残りはリフラックスコンデンサー(熱交換器)4に送られる。この原料液化天然ガスリフラックスは分離能の向上のために好ましい。原料液化天然ガスリフラックスとリフラックスコンデンサーに送る原料液化天然ガスとに分割する比率は、脱メタン塔におけるエタン回収率(脱エタン塔においてはプロパン回収率)が最大になるように決めることが好ましい。エタン回収率(脱エタン塔においてはプロパン回収率)を高める観点から、この分割比率はおよそ1:20(リフラックスとして1、リフラックスコンデンサーに20の比率)〜1:5が好ましい。 原料液化天然ガスをリフラックスコンデンサー4において脱メタン塔塔頂ガス7と熱交換することによって加熱して得られる流体は、脱メタン塔フィード5として、脱メタン塔6に配管を通して原料液化天然ガスポンプ2出口と脱メタン塔6との圧力差によりフィードされる。リフラックスコンデンサー4の出口において、この流体5の一部もしくは全部が気体であってもよく、全部液体であってもよい。 リフラックスコンデンサー4に、脱メタン塔塔頂ガス7の全量を凝縮することのできる熱負荷を与えれば、製品として払い出す天然ガスの全量を液体とすることが容易である。 またリフラックスコンデンサー4出口の流体5が脱メタン塔6にフィードされる際には、リボイラー13の負荷低減の観点からは、この流体5の少なくとも一部が気体となっていることが好ましい。このため、図2に示すように、リフラックスコンデンサー4で加熱された原料液化天然ガス22が全て液体である場合、あるいはこの場合に限らず所望に応じて、リフラックスコンデンサーと脱メタン塔との間に、別の熱交換器(第二の熱交換器)14等の加熱手段を少なくとも一つ設け、この流体22をさらに加熱して、この流体中の気相の割合を増加させたうえで脱メタン塔にフィードすることもできる。 リフラックスコンデンサーおよび第二の熱交換器には、運転条件に応じて、多管式またはプレート式などの公知の熱交換器を利用することができる。またその材質は、ステンレス鋼など熱交換器の材料として公知のものから適宜選ぶことができる。 脱メタン塔6には、液化天然ガスからメタンを分離する公知の脱メタン塔を利用することができる。脱メタン塔は、例えば塔内部にトレイまたはパッキングを有し、蒸留操作により低沸点成分と高沸点成分とを分離する。脱メタン塔の運転圧力は、原料液化天然ガス組成、脱メタン塔塔底スペックにより適切な運転圧力が異なるが、およそ1.0MPa(A)以上4.5MPa(A)以下が好ましい。 脱メタン塔の塔底にはリボイラー13が設置され、塔底液中のメタンを揮発させ、塔底液中のメタン濃度が所望の値以下となるように熱が加えられる。分離能向上の観点から、リボイラーを設けることが好ましい。 脱メタン塔の塔頂からは、エタン及びプロパンなどの成分が除去されたメタンを主成分とする残留ガス7が分離され、その後リフラックスコンデンサー4に送られ原料液化天然ガスと熱交換を行うことで液化し、リフラックスドラム9に送られる。 リフラックスドラム9からは液化された残留ガスの一部が製品液化天然ガス12として払い出される。製品液化天然ガスは、例えば、ポンプなどの液体昇圧手段により払い出され、気化された後、天然ガスパイプラインに送られる。ポンプなどの液体昇圧手段は、天然ガスパイプラインの圧力に応じて市販のものから選定できる。リフラックスドラム9の残りの液は液化残留ガスリフラックス11として、圧力バランスをとるために適宜設けられるリフラックスポンプ10などの液体昇圧手段にて昇圧された後、脱メタン塔に再度送られる。この液体昇圧手段としては、例えば、遠心式ポンプなど市販のポンプから流量とヘッド(水頭)などの条件に応じて選定することができる。送り出される製品液化天然ガスの量と液化残留ガスリフラックスの量との比率は、必要とされるエタン回収率(脱エタン塔においてはプロパン回収率)に応じて決定でき、例えば、エタン回収プロセスの場合、エタン回収率を90%以上98%以下の範囲にするために、およそ8:2(製品液化天然ガスとして8、液化残留ガスリフラックスに2の比率)〜5:5とすることができる。 液化残留ガスリフラックス11中のメタン濃度は、原料液化天然ガスリフラックス3中のメタン濃度よりも高いので、蒸留操作においてメタンとエタンを分離する効率が高い。そのため、液化残留ガスリフラックス11を与えることにより、脱メタン塔のリフラックスとして原料液化天然ガスリフラックス3のみを与える方法(例えば特許文献1が開示している方法)と比べて、よりメタン濃度の高い製品液化天然ガスが得られる。したがい、製品液化天然ガス中に含まれ損失するエタン量が少ないため、より高いエタン回収率が得られる。 なお、「リフラックス」は、狭義には蒸留塔塔頂ガスを凝縮させ再度蒸留塔に戻す液を意味するが、広義にはこれに加えて、精留の目的で蒸留塔塔頂に供給する液をも含む。本発明においては、「リフラックス」は広義の意味で使用され、蒸留塔に供給される精留効果を有する液をも含むものである。 原料液化天然ガスから重質留分を分離して得られる製品天然ガスは、上述のように例えばパイプラインに送るために昇圧されることがある。この際、製品天然ガスが気体であると昇圧のための動力が大きくなる。この観点から、払い出す製品天然ガス中の液体の割合は高ければ高いほど好ましい。従って本発明では、製品天然ガスの少なくとも一部、好ましくは全部を液体とする。このため上記形態では、残留ガス7をリフラックスコンデンサーにおいて全部液化しており、払い出す製品は全て液体(製品液化天然ガス)である。 リフラックスコンデンサー4における熱交換量は、残留ガスを全て液化するに足る量とすることができる。ただし、後に図3を用いて詳述するように、必ずしも残留ガスの全てをリフラックスコンデンサー4において液化しなければならないわけではない。 リフラックスドラム9はポンプ10の運転の容易さのために好ましく設けられる。リフラックスドラムは、例えば、両端に鏡板を有する円筒形の圧力容器とすることができる。その容量としては、ポンプの安定運転を続ける観点から好適な容量を選ぶことができる。またリフラックスコンデンサー4から供給される流体に気体が含まれる場合には、リフラックスドラムを気液分離器として兼用することができる。この場合のリフラックスドラムの寸法(直径×長さ)としては、気液分離を行うために、気体の流速を液滴の沈降速度以下とする観点から好適な大きさを選ぶことができる。また、リフラックスドラムの材料としては、例えば−80℃〜−110℃程度の低温で運転されるため、ステンレス鋼など低温に耐える材料から選ぶことができる。 図1に示した形態では、液化された残留ガスの一部を蒸留塔に還流するリフラックス手段は、ポンプ10と、リフラックスドラム9と、適宜設けられる配管を有する。リフラックスドラムには、ポンプ10に向かうラインと、製品液化天然ガスを払い出す払出ライン12とが接続される。払出ラインは、適宜配管などによって形成すればよい。 脱メタン塔には3種類の流体(図において3、5および11で示される)がフィードされるが、これら3種類のフィードのより詳細な位置は、各フィードの温度及びメタン濃度に応じて適宜決定することができる。 脱メタン塔6の塔底からはエタン、プロパン及びさらに重質の成分がNGL(Natural Gas Liquid:天然ガス液)8として分離される。得られたNGLは、例えばさらに下流に設けられるNGL分離工程で各成分に分離される。 また塔頂ガス7中のエタン濃度が低いほど、エタン回収率が高いことを意味する為、塔頂ガス中のエタン濃度はできるだけ低い方が好ましく、5mol%以下が好ましく、1mol%以下がさらに好ましい。 NGLは回収した炭素数2以上の炭化水素で実質的に構成され、例えばさらに下流に設けられるNGL分離設備へと送り出され、エタン、プロパン及びブタン等の製品に分離される。このような場合、NGL中のメタンはエタン製品の規格を満足できる程度まで低いことが好ましく、2mol%以下が好ましく、1mol%以下がさらに好ましい。 図2に示した形態では、リフラックスコンデンサー4で原料液化天然ガスを加熱して得られる流体22を、リフラックスコンデンサー4とは別に設けた第二の熱交換器14等の加熱手段により、さらに加熱する。流体22も流体5も、それぞれその一部もしくは全部が気体であってもよく全部が液体であってもよいが、第二の熱交換器を使用する形態は、流体22が全て液体であって、流体5の一部もしくは全部を気体とする場合に特に好適である。脱メタン塔に供給する流体の少なくとも一部を気体とすることにより、リボイラー13の負荷が低減できる。 第二の熱交換器14で流体22を加熱するために用いる熱媒としては、所望の温度レベルを有する流体を適宜用いることができ、本発明の分離装置の外部から供給される流体を用いることも、分離装置内の流体を用いることもできる。第二の熱交換器は、リボイラー13の負荷の低減を目的に設置され、このためその熱源に外部から供給される液体を用いる場合には、リボイラー13の熱源、例えば、スチーム、熱媒油もしくは加熱炉による入熱よりもエネルギー消費の少ないもの、たとえば海水、エアーヒーターで加熱されたグリコール水などを用いることが好ましい。 図3には、本発明に基づく液化天然ガスからの炭化水素の分離方法のもう一つの好適な形態を示す。図3に示す形態では、図1に示す形態に加圧残留ガスコンデンサー18と残留ガスコンプレッサー16が追加されている。この形態では、図1に示す形態に比べて、脱メタン塔6の運転圧力を下げ、脱メタン塔6の製作費および消費エネルギーを低減することができる。またこの形態では、第二の熱交換器として、加圧残留ガスコンデンサー18と脱メタン塔フィード予熱器14の二つの熱交換器が存在する。図3に示す形態から、脱メタン塔フィード予熱器を取り去り、第二の熱交換器として加圧残留ガスコンデンサー18のみを有する形態もあり得る。 図3においては、原料液化天然ガスがリフラックスコンデンサー4において加熱された後の流体は、脱メタン塔フィード5として脱メタン塔6にフィードされる前に加圧残留ガスコンデンサー18において更に加熱される。脱メタン塔塔頂を出た残留ガス7は、リフラックスコンデンサー4において、全部は液化されず、一部のみ液化される。その後、リフラックスコンデンサー4出口の流体21は、リフラックスドラム9に送られ、気体と液体に分離される。この形態におけるリフラックスドラムは、気液分離手段を兼ねており、気体を排出するライン15が接続される。リフラックスドラム9で分離された気体(以下、第2残留ガスという。)15は、残留ガスコンプレッサー16で昇圧される。昇圧された気体(以下、加圧残留ガスという。)17は、加圧残留ガスコンデンサー18において原料液化天然ガスと熱交換することにより冷却され、全部が液化される(以下、液化された加圧残留ガスを液化加圧残留ガスという。)。加圧残留ガスコンデンサー18を出た液化加圧残留ガス19は、リフラックスドラム9で分離された液体の一部とともに、製品液化天然ガス12として払い出される。 ここで、加圧残留ガスコンデンサー18の出口において、原料液化天然ガスが加熱された流体23は、一部もしくは全部が気体であってもよく、全部液体であってもよい。一方、ここでは、製品天然ガスの一部としてパイプラインに送るために昇圧する時の動力を小さくする観点から、加圧残留ガスコンデンサー18の出口において、流体19の全部を液体とする。このため、加圧残留ガスコンデンサー18の熱負荷は、加圧残留ガス17を全量凝縮することのできる量が与えられる。 脱メタン塔塔頂を出た残留ガス7がリフラックスコンデンサー4において液化される割合が小さいほど、リフラックスドラム9で分離される気体の量が大きくなり、加圧残留ガスコンデンサー18において加圧残留ガス17を全部凝縮するのに要する熱負荷が大きくなる。これに伴い、原料液化天然ガスが加圧残留ガスコンデンサー18を出る時の温度、すなわち流体23の温度が高くなり、加圧残留ガス17との温度差が小さくなる。熱交換器においては、効率的な熱交換の為に高温流体と低温流体との温度差(温度アプローチと呼ぶ)は、最低2℃〜3℃以上確保するのが一般的であり、加圧残留ガスコンデンサー18においても温度アプローチは、好ましくは2℃以上、より好ましくは3℃以上とする。その為、脱メタン塔塔頂を出た残留ガス7がリフラックスコンデンサー4において液化される割合(つまり流体21中の液体のモル基準の比率)は、加圧残留ガスコンデンサー18において好ましくは2℃以上、より好ましくは3℃以上の温度アプローチが得られる範囲とされ、この観点から0.4以上0.9以下が好ましい。 また、残留ガスコンプレッサー16出口の圧力は、加圧残留ガス17の凝縮温度を上げ、加圧残留ガスコンデンサー18において2℃以上の温度アプローチを確保するのが容易になる圧力とするのが好ましく、好ましくは残留ガスコンプレッサー16入口の圧力よりも0.2MPa以上2.0MPa以下の範囲で高くするのが好ましい。 ここでは、気体15を昇圧する昇圧手段としてガスコンプレッサーを用いているが、これ以外にもガスを昇圧することのできる公知の昇圧手段を用いることができる。ガスコンプレッサーとしては、流量と差圧に応じて遠心式ガスコンプレッサーなど公知のコンプレッサーを選定でき、またコンプレッサーの駆動機には、モーター、スチームタービン、ガスタービンなどを適宜使用できる。 プロパン回収プロセスの場合も、上記エタン回収プロセスと原理は同じで、脱メタン塔6に替えて脱エタン塔が用いられ、脱エタン塔の塔頂からは、メタン及びエタンを主成分とする塔頂ガスが分離され、脱エタン塔の塔底からはプロパン及びさらに重質な成分がNGLとして分離される。 以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されない。 〔実施例1〕 ここでは図1に示したフローを有する液化天然ガスからのエタン回収プロセスを用いた例を説明する。ここでは、常圧の原料液化天然ガス1が飽和条件(圧力0.1MPa(A)、温度−161℃)で本プロセスに導入される。この原料液化天然ガス組成は、表1に示される通りである。流量は39,451kg−mol/時(kg−mol/時は103モル/時を意味する)である。なおCn(nは自然数)は炭素数nの炭化水素を表す。C5+は炭素数5以上の炭化水素を表す。 液化天然ガスは原料液化天然ガスポンプ2で4.15MPa(A)まで昇圧され、原料液化天然ガスリフラックス3として1,973kg−mol/時(103モル/時)が脱メタン塔の塔頂から4段目に供給される。残りの37,478kg−mol/時(103モル/時)はリフラックスコンデンサー4に送られる。その後、リフラックスコンデンサーに送られた液化天然ガスは脱メタン塔塔頂ガス7と熱交換し、−92.1℃まで加熱され、全部液の状態で、脱メタン塔6の10段目に供給される。 脱メタン塔は、内部に理論段数ベースで19段のトレイが設置され塔頂部で3.75MPa(A)、−89.1℃の条件で運転され、塔底部では3.80MPa(A)、46.1℃の条件で運転される。ここでは、塔底部の温度は、NGL8中のメタン濃度が1mol%になる平衡温度により決まる。その温度で塔底部を運転するために、リボイラー13から70.22MWの熱が加えられる。脱メタン塔の塔頂から分離される残留ガス7、及び塔底から分離されるNGL8の組成は表2に示される通りである。流量は、残留ガスが50,676kg−mol/時(103モル/時)、NGLが3,978kg−mol/時(103モル/時)である。 原料液化天然ガス中のエタンの内、98.0%がNGLとして回収される。プロパン及びプロパンより重質な成分は100%がNGLとして回収される。 脱メタン塔の塔頂を出た残留ガス7は、リフラックスコンデンサー4で熱交換し、全部が液化した後、リフラックスドラム9に供給される。その後、製品液化天然ガス12として35,473kg−mol/時(103モル/時)を払い出し、残りの15,203kg−mol/時(103モル/時)を液化残留ガスリフラックス11として脱メタン塔の最上段に供給する。 〔比較例1〕 残留ガス7をリフラックスコンデンサー4で全て液化し、そのまま製品液化天然ガスとして払い出す以外は実施例1と同様のプロセスを採用した。つまり、液化残留ガスをリフラックスとして脱メタン塔に戻すことなく、系外に取り出す。 そしてポンプ2の下流において、原料液化天然ガスを、原料液化天然ガスリフラックス3と、リフラックスコンデンサー4へ送る部分とに分割する比を変動させて、エタン回収率が最も高くなるようにした。 表3に、実施例1および比較例1におけるエタン回収率を示す。実施例1においてはエタン回収率98.0%を達成できるのに対し、比較例1においては92.0%が最大のエタン回収率である。このエタン回収率は脱メタン塔にリフラックスとして供給できる最大のメタン濃度に大きく依存する。実施例1においては99.6mol%のメタン濃度のリフラックス(液化残留ガスリフラックス)を供給可能であり、比較例1に比べ高いエタン回収率を達成することが可能である。 〔実施例2〕 ここでは図2に示すように、リボイラー負荷低減を目的にリフラックスコンデンサー4と脱メタン塔6との間に脱メタン塔フィード予熱器14を設け、外部から供給される熱媒により原料液化天然ガスを加熱し、脱メタン塔フィード5の気相の割合を増加させた例を説明する。 ここでは、実施例1と同じ組成の原料液化天然ガス1が飽和条件(圧力0.1MPa(A)、温度−161℃)で本プロセスに導入される。流量は実施例1と同じく39,451kg−mol/時(103モル/時)である。液化天然ガス1は原料液化天然ガスポンプで4.15MPa(A)まで昇圧され、原料液化天然ガスリフラックスとして1,973kg−mol/時(103モル/時)が脱メタン塔のリフラックスとして塔頂から4段目に供給される。残りの37,478kg−mol/時(103モル/時)はリフラックスコンデンサーに送られる。その後、リフラックスコンデンサーに送られた液化天然ガスは脱メタン塔塔頂ガス7と熱交換し、−91.9℃まで加熱され、さらに脱メタン塔フィード予熱器14により外部から供給される熱媒との熱交換により−77.6℃まで加熱され、脱メタン塔の10段目に供給される。このとき脱メタン塔フィード予熱器14には、リボイラー13の熱負荷を小さくするのに好適な条件として25.76MWの熱が与えられる。 脱メタン塔は、内部に理論段数ベースで19段のトレイが設置され塔頂部で3.75MPa(A)、−88.9℃の条件で運転され、塔底部では3.80MPa(A)、46.4℃の条件で運転される。ここでは、塔底部の温度は、NGL中のメタン濃度が1mol%になる平衡温度により決まる。その温度で塔底部を運転するために、リボイラー13から34.65MWの熱が加えられる。脱メタン塔の塔頂から分離される残留ガス、及び塔底から分離されるNGLの組成は表4に示される通りである。流量は、残留ガスが50,713kg−mol/時(103モル/時)、NGLが3,952kg−mol/時(103モル/時)である。 表4に示すように、原料液化天然ガス中のエタンの内、96.9%がNGLとして回収される。プロパン及び重質成分は100%がNGLとして回収される。 脱メタン塔6の塔頂を出た残留ガス7は、リフラックスコンデンサー4で熱交換し、全部が液化した後、リフラックスドラム9に供給される。その後、製品液化天然ガス12として35,499kg−mol/時(103モル/時)を払い出し、残りの15,214kg−mol/時(103モル/時)を液化残留ガスリフラックス11として脱メタン塔の最上段に供給する。 脱メタン塔フィード予熱器14を追加することにより、実施例1と比べエタン回収率は1.1%低下するが、リボイラー13の熱負荷を35.57MW削減することができる。また、脱メタン塔フィード予熱器14から加えられる熱量25.76MWを差し引いても、プロセス全体の熱負荷として9.81MW削減することができる。 〔実施例3〕 ここでは図3に示すように、脱メタン塔の製作費低減および消費エネルギーの低減を目的に、実施例3としてリフラックスコンデンサー4において残留ガス7の全部ではなく一部のみを凝縮し、リフラックスドラム9で気体を分離し、分離した気体を残留ガスコンプレッサー16により昇圧し、さらに加圧残留ガスコンデンサー18により液化する過程を追加した例を説明する。 ここでは、実施例1および2と同じ組成の原料液化天然ガス1が飽和条件(圧力0.1MPa(A)、温度−161℃)で本プロセスに導入される。流量は実施例1および2と同じく39,451kg−mol/時(103モル/時)である。液化天然ガス1は原料液化天然ガスポンプで3.26MPa(A)まで昇圧され、原料液化天然ガスリフラックスとして1,973kg−mol/時(103モル/時)を脱メタン塔のリフラックスとして塔頂から4段目に供給される。残りの37,478kg−mol/時(103モル/時)はリフラックスコンデンサー4に送られる。リフラックスコンデンサーに送られた液化天然ガスは脱メタン塔塔頂ガス7と熱交換し、−99.9℃まで加熱され(ここでの温度アプローチは3℃)、さらに加圧残留ガスコンデンサー18にて加圧残留ガス17と熱交換し、−89.9℃まで加熱される(ここでの温度アプローチも3℃)。 加圧残留ガスコンデンサー18で加熱された流体23は、さらに脱メタン塔フィード予熱器14により外部から供給される熱媒との熱交換により−87.1℃まで加熱され、脱メタン塔の10段目に供給される。このとき脱メタン塔フィード予熱器14には、リボイラー13による加熱量を小さくするのに好適な条件として19.38MWの熱が与えられる。 脱メタン塔は、内部に理論段数ベースで19段のトレイが設置され塔頂部で2.86MPa(A)、−96.9℃の条件で運転され、塔底部では2.91MPa(A)、30.7℃の条件で運転される。ここでは、塔底部の温度は、NGL中のメタン濃度が1mol%になる平衡温度により決まる。その温度で塔底部を運転するために、リボイラー13から33.36MWの熱が加えられる。脱メタン塔の塔頂から分離される残留ガス、及び塔底から分離されるNGLの組成は表5に示される通りである。流量は、残留ガスが40,979kg−mol/時(103モル/時)、NGLが3,950kg−mol/時(103モル/時)である。 表5に示すように、原料液化天然ガス中のエタンの内、96.9%がNGLとして回収される。プロパン及びプロパンより重質な成分は100%がNGLとして回収される。 脱メタン塔6の塔頂を出た残留ガス7は、リフラックスコンデンサー4で熱交換し、一部液化した後、リフラックスドラム9に供給され気体と液体に分離される。 リフラックスドラム9で分離された液体のうち25,256kg−mol/時(103モル/時)が製品液化天然ガスとして払い出され、残りの5,478kg−mol/時(103モル/時)が液化残留ガスリフラックス11として脱メタン塔の最上段に供給される。またリフラックスドラム9で分離された気体は、残留ガスコンプレッサー16に供給され、4.01MPa(A)まで昇圧される。 その後加圧残留ガス17は加圧残留ガスコンデンサー18において熱交換し、全て液化される。こうして得られた液化加圧残留ガス19は、製品液化天然ガスとして払い出される。液化加圧残留ガスの流量は10,245kg−mol/時(103モル/時)である。リフラックスドラム9から払い出される液化された残留ガス24と液化加圧残留ガス19を合わせた製品液化天然ガス12の量は35,501kg−mol/時(103モル/時)となる。 表6に示す通り、実施例3においては、実施例2と比べ加圧残留ガスコンデンサー18と残留ガスコンプレッサー16が追加となるものの、エタン回収率96.9%を維持しながら脱メタン塔塔径を約1,200mm削減することができる。脱メタン塔の長さは、実施例2と実施例3は同じである。また運転圧力についても実施例2と比べ、0.89MPa低くなることから、脱メタン塔の設計圧力の低減が可能となる。その結果、脱メタン塔の製作費低減が可能である。 また表7に示す通り、実施例3においては、実施例2と比べ脱メタン塔の圧力を0.89MPa低くすることができる為、メタンと炭素数2以上の炭化水素を分離するために要するエネルギーが小さくなり、回収率96.9%を維持しながらプロセス全体の消費エネルギーを5.3MW低減可能である。なお、コンプレッサーは電動モータ駆動とし、モーターが消費する電力を発生する際のエネルギー効率を30%として、コンプレッサによる消費エネルギーを燃料ガスの熱量に換算している。また脱メタンフィード予熱器およびリボイラーにおいて熱媒が消費する熱負荷を加熱炉で与える時のエネルギー効率を80%とし、熱負荷を、加熱炉で消費される燃料ガスの熱量に換算している。本発明の液化天然ガスからの炭化水素分離方法の一形態を説明するためのフロー図である。本発明の液化天然ガスからの炭化水素分離方法の別の形態を説明するためのフロー図である。本発明の液化天然ガスからの炭化水素分離方法のさらに別の形態を説明するためのフロー図である。符号の説明 1 原料液化天然ガス 2 原料液化天然ガスポンプ 3 原料液化天然ガスリフラックス 4 リフラックスコンデンサー 5 脱メタン塔フィード(プロパン回収プラントの場合には脱エタン塔フィード) 6 脱メタン塔(プロパン回収プラントの場合には脱エタン塔) 7 残留ガス 8 NGL(天然ガス液) 9 リフラックスドラム10 リフラックスポンプ11 液化残留ガスリフラックス12 製品液化天然ガス13 リボイラー14 脱メタン塔フィード予熱器15 第2残留ガス16 残留ガスコンプレッサー17 加圧残留ガス18 加圧残留ガスコンデンサー19 液化加圧残留ガス21 残留ガスをリフラックスコンデンサーで冷却して得られる流体22 原料液化天然ガスをリフラックスコンデンサーで加熱して得られる流体23 流体22を加圧残留ガスコンデンサーで加熱して得られる流体24 製品として払い出される液化残留ガス 少なくともメタンと炭素数2以上の炭化水素とを含む原料液化天然ガスを、蒸留塔を用いて、該メタンのより多い部分を含み該炭素数2以上の炭化水素のより少ない部分を含む製品天然ガスと、該メタンのより少ない部分を含み該炭素数2以上の炭化水素のより多い部分を含む重質留分とに分離する炭化水素の分離方法において、(a)原料液化天然ガスを熱交換器において加熱する工程;(b)工程(a)で加熱された流体を蒸留塔にフィードする工程;(c)該蒸留塔の底部から該重質留分を抜く工程;(d)該蒸留塔の塔頂部から、残留ガスを抜く工程;(e)該熱交換器において、該残留ガスの少なくとも一部を液化する工程;(f)工程(e)で得られた流体の液体部分のうちの一部を該蒸留塔にリフラックスとして供給する工程;および(g)工程(e)で得られた流体の液体部分のうちの工程(f)で蒸留塔に供給する部分の残りの部分を該製品天然ガスとして払い出す工程を有することを特徴とする炭化水素の分離方法。 少なくともメタン及びエタンと炭素数3以上の炭化水素とを含む原料液化天然ガスを、蒸留塔を用いて、該メタン及びエタンのより多い部分を含み該炭素数3以上の炭化水素のより少ない部分を含む製品天然ガスと、該メタン及びエタンのより少ない部分を含み該炭素数3以上の炭化水素のより多い部分を含む重質留分とに分離する炭化水素の分離方法において、(a)原料液化天然ガスを熱交換器において加熱する工程;(b)工程(a)で加熱された流体を蒸留塔にフィードする工程;(c)該蒸留塔の底部から該重質留分を抜く工程;(d)該蒸留塔の塔頂部から、残留ガスを抜く工程;(e)該熱交換器において、該残留ガスの少なくとも一部を液化する工程;(f)工程(e)で得られた流体の液体部分のうちの一部を該蒸留塔にリフラックスとして供給する工程;および(g)工程(e)で得られた流体の液体部分のうちの工程(f)で蒸留塔に供給する部分の残りの部分を該製品天然ガスとして払い出す工程を有することを特徴とする炭化水素の分離方法。(h)前記工程(a)で加熱された流体を、工程(b)の前に、工程(a)で用いる熱交換器とは異なる熱交換器において加熱する工程をさらに有する請求項1または2記載の分離方法。 前記工程(e)においては前記残留ガスの一部を液化し、(i)工程(e)で得られた流体から気体部分を分離し、次いで昇圧する工程;(j)前記工程(h)で用いる熱交換器において、工程(i)で得られた流体の全部を液化する工程;および(k)工程(j)で得られた流体を前記製品天然ガスとして払い出す工程をさらに有する請求項3記載の分離方法。 少なくともメタンと炭素数2以上の炭化水素とを含む原料液化天然ガスを、蒸留塔を用いて、該メタンのより多い部分を含み該炭素数2以上の炭化水素のより少ない部分を含む製品天然ガスと、該メタンのより少ない部分を含み該炭素数2以上の炭化水素のより多い部分を含む重質留分とに分離するための炭化水素の分離装置において、加熱された原料液化天然ガスがフィードされ、底部から該重質留分を排出し、塔頂部から残留ガスを排出する蒸留塔;原料液化天然ガスと該残留ガスとを熱交換し、該加熱を行うとともに該残留ガスを冷却して残留ガスの少なくとも一部を液化する熱交換器;該熱交換器で少なくとも一部が液化された残留ガスの液体部分の一部を、該蒸留塔に還流するリフラックス手段;該熱交換器で少なくとも一部が液化された残留ガスの液体部分の残部を、該製品天然ガスとして払い出す払出しラインを有することを特徴とする炭化水素の分離装置。 少なくともメタン及びエタンと炭素数3以上の炭化水素とを含む原料液化天然ガスを、蒸留塔を用いて、該メタン及びエタンのより多い部分を含み該炭素数3以上の炭化水素のより少ない部分を含む製品天然ガスと、該メタン及びエタンのより少ない部分を含み該炭素数3以上の炭化水素のより多い部分を含む重質留分とに分離するための炭化水素の分離装置において、加熱された原料液化天然ガスがフィードされ、底部から該重質留分を排出し、塔頂部から残留ガスを排出する蒸留塔;原料液化天然ガスと該残留ガスとを熱交換し、該加熱を行うとともに該残留ガスを冷却して残留ガスの少なくとも一部を液化する熱交換器;該熱交換器で少なくとも一部が液化された残留ガスの液体部分の一部を、該蒸留塔に還流するリフラックス手段;該熱交換器で少なくとも一部が液化された残留ガスの液体部分の残部を、該製品天然ガスとして払い出す払出しラインを有することを特徴とする炭化水素の分離装置。 前記熱交換器と蒸留塔との間に、該熱交換器によって加熱された原料液化天然ガスをさらに加熱する第二の熱交換器を少なくとも一つ有する請求項5または6記載の分離装置。 前記残留ガスを冷却する熱交換器が、残留ガスの一部を液化する熱交換器であって、 該熱交換器から得られる一部が液化された流体を、液体部分と気体部分に分離する気液分離手段、および、該気体部分を昇圧する昇圧手段を有し、前記第二の熱交換器の一つが、該昇圧された気体部分の全部を液化する熱交換器であり、該第二の熱交換器で液化された流体を前記製品天然ガスとして払い出すラインを有する請求項7記載の分離装置。