タイトル: | 特許公報(B2)_微粒子分散液の送液方法、及び微粒子分散液の送液装置 |
出願番号: | 2004140313 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | B01J 4/00,B01J 19/00,G01N 37/00 |
高木 誠一 太田 哲生 JP 4461900 特許公報(B2) 20100226 2004140313 20040510 微粒子分散液の送液方法、及び微粒子分散液の送液装置 富士ゼロックス株式会社 000005496 中島 淳 100079049 加藤 和詳 100084995 西元 勝一 100085279 福田 浩志 100099025 高木 誠一 太田 哲生 20100512 B01J 4/00 20060101AFI20100415BHJP B01J 19/00 20060101ALI20100415BHJP G01N 37/00 20060101ALI20100415BHJP JPB01J4/00 103B01J19/00 321G01N37/00 101 B01J2/00−19/32 G01N37/00 特開2001−165939(JP,A) 国際公開第03/085379(WO,A1) 特開2004−122107(JP,A) 特表2003−502144(JP,A) 特表2007−526113(JP,A) 4 2005319409 20051117 13 20070419 三崎 仁 本発明は、マイクロ流路での、微粒子分散液の送液方法及び微粒子分散液の送液装置に関する。 近年マイクロメーターオーダーの領域で、化学反応、単位操作などを行う方法が種々研究されている。また、これに関連して、拡散時間の短いことに着目した、抽出、分離、混合、粒子形成の方法及び装置などが提案されている。 一方、比重が媒体液体よりも大きくミクロンオーダーの微粒子の分散液を、センチメーターオーダー以上の径の配管中に流すことは日常的に行われている。 しかし、比重が媒体液体よりも大きくミクロンオーダーの微粒子の分散液を、マイクロメーターオーダーの径の配管中に流す方法は、未だ提案されていない。 これは、比重が媒体液体よりも大きくミクロンオーダーの微粒子の分散液を、マイクロメーターオーダーの径の配管中に流すと、微粒子の比重が媒体の比重より大きいため、微粒子が沈降し、閉塞の原因となってしまうという課題があるからである。特に、マイクロメーターオーダーの径の配管中では、径が小さいことから管内流体は層流で流れることが知られているが、層流の場合、流体内攪拌が生じないため、流れに沿って移動しながら沈降した微粒子は、重力方向と逆の方向への力を受けられず、管内底面に堆積してしまうのである。このため、短時間で沈降が生じ問題となる。マイクロ流路は閉塞すると解消が大変困難であるため、さらに大きな問題となる。 従来、マイクロメーターオーダーの径の配管中では、重力の影響を相対的に受けなくなると考えられていた(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、重力により分散されたミクロンオーダーの微粒子の沈降が問題となることがわかった。通常、流路は重力方向に対する状態を考慮していないため問題となる。 一方、ミクロンオーダーの微粒子の分散液を、センチメーターオーダー以上の径の配管中に流す場合は、微粒子が沈降し、配管内の底面に堆積することはほとんどない。これは、科学的には微粒子の沈降は起こっているはずであるが、管内流体が乱流状態で流れているため、攪拌され、実質上沈降せず、配管内の底面への堆積が起こらないと考えることができる。 上述のマイクロメーターオーダーの領域で、化学反応、単位操作などを行う方法としては、例えば、マイクロ流体システムを用いた溶媒抽出方法が提案されているが、これは微粒子含有の系に用いるものではない(例えば、特許文献1参照。)。 また、単分散な金属ナノ粒子を連続的に形成する方法、およびこれを核として結晶成長させる方法、さらにナノ粒子コロイド分散液の脱塩、分解物除去を連続的に行う方法が提供されている。しかし、金属ナノ粒子は10nm以下となっており、より大きな微粒子には言及していない(例えば、特許文献2参照。)。 一方、マイクロミキサを使用して形態学的に均一なマイクロ粒子およびナノ粒子を製造する新しい連続的な方法、作用物質をカプセル化するためのこの方法の使用、および、この方法で製造された粒子が提案されているが、この作製されたマイクロ粒子は1〜1000μmであり(実施例は〜10μm位)、比重が媒体液体を越える粒子を含有する分散液をマイクロ流路に送液した場合、流路途中で沈降等が発生し、流れを阻害したり、あるいは閉塞の問題が発生してしまう(例えば、特許文献3参照。)。 即ち、ミクロンオーダーの微粒子の分散物を安定に閉塞無く送液する方法はなかった。例えば、微粒子を合成し、その微粒子分散液体をマイクロ流路内を送液することは行われているが、微粒子の大きさはナノミクロンオーダーに限られていた。更に、マイクロリアクターによりミクロンオーダーの粒子等を作製する方法では、作製後、すぐに系外に出され、マイクロ流路内を送液するものはなかった。 上述のように、これまで、沈降や閉塞などを起こさず、ミクロンオーダーの微粒子を安定に送液し、さらに、効率良く洗浄する方法・装置はなかった。特開2002−361002号公報特開2003−193119号公報特表2003−500202号公報化学工学第66巻第2号(2002年) 本発明は、微粒子分散液を、流れが安定した状態で、微粒子が沈降し流路内壁底面に堆積することなく、更に詰まりや閉塞を起こさず、高い微粒子の回収効率でマイクロ流路を送液するマイクロ流路での微粒子分散液の送液方法、及び、微粒子分散液を、流れが安定した状態で、微粒子が沈降し流路内壁底面に堆積することなく、更に詰まりや閉塞を起こさず、長時間使用が可能なマイクロ流路での微粒子分散液の送液装置を提供することを目的とする。 上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、<1> 体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より重力方向で下になるように設置し、かつ、該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の重力方向に対する角度を0〜45°とし、更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とする微粒子分散液の送液方法である。<2> 体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より重力方向で下になるように設置し、かつ、該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の重力方向に対する角度を0〜15°とし、更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とするマイクロ流路での微粒子分散液の送液方法である。<3> 体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有し、流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より重力方向で下になるように設置し、かつ、該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の壁面の重力方向に対する角度を0〜45°とし、更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とする微粒子分散液の送液方法である。<4> 体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液装置であって、前記マイクロ流路は、前記排出部が前記導入部より重力方向で下に位置し、かつ該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の重力方向に対する角度が0〜45°であることを特徴とする微粒子分散液の送液装置である。<5> 体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液装置であって、前記マイクロ流路は、前記排出部が前記導入部より重力方向で下に位置し、かつ該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の重力方向に対する角度が0〜15°であることを特徴とする微粒子分散液の送液装置である。<6> 体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有し、流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させるマイクロ流路での微粒子分散液の送液装置であって、前記マイクロ流路は、前記排出部が前記導入部より重力方向で下に位置し、かつ前記導入部から前記排出部に至るまでの全ての流路の壁面の重力方向に対する角度が0〜45°であることを特徴とするマイクロ流路での微粒子分散液の送液装置である。 本発明によれば、微粒子分散液を、流れが安定した状態で、微粒子が沈降し流路内壁底面に堆積することなく、更に詰まりや閉塞を起こさず、高い微粒子の回収効率でマイクロ流路を送液するマイクロ流路での微粒子分散液の送液方法、及び、微粒子分散液を、流れが安定した状態で、微粒子が沈降し流路内壁底面に堆積することなく、更に詰まりや閉塞を起こさず、高い微粒子の回収効率でマイクロ流路を送液し、長時間使用が可能なマイクロ流路での微粒子分散液の送液装置を提供することができる。 以下、本発明を詳細に説明する。 第1の本発明の微粒子分散液の送液方法(以下、「第1の本発明の送液方法」という場合がある。)は、体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より重力方向で下になるように設置し、かつ、該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の重力方向に対する角度を0〜45°とし、更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とする。 また、第2の本発明の微粒子分散液の送液方法(以下、「第2の本発明の送液方法」という場合がある。)は、体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有し、流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より重力方向で下になるように設置し、かつ、該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の壁面の重力方向に対する角度を0〜45°とし、更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とする。 尚、本発明において、前記微粒子の体積平均粒径は、下記粒径(5μm以下)の場合を除き、コールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて測定した値である。この場合、微粒子の粒径レベルにより、最適なアパーチャーを用いて測定した。しかし、微粒子の粒径が5μm以下の場合は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)を用いて測定した。更に、粒径がナノメ−ターオーダーの場合は、BET式の比表面積測定装置(Flow SorbII2300、島津製作所社製)を用いて測定した。 また、前記微粒子の比重は、気相置換法(ピクノメータ法)により、湯浅アイオニクス社製ウルトラピクノメータ1000を用いて測定した。 更に、前記媒体液体の比重は、エーアンドディー社の比重測定キットAD−1653を用い測定した。 前記第1及び第2の本発明の送液方法(以下、併せて「本発明の送液方法」という場合がある。)に用いられる微粒子分散液は、体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散し、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍であることを特徴とする。 前記微粒子としては、体積平均粒径が0.1μm〜1000μmであれば特に限定されず、樹脂微粒子、無機微粒子、金属微粒子、セラミック微粒子等何れでも構わない。 前記微粒子の体積平均粒径は、上述のように0.1μm〜1000μmであることを必須とし、0.1μm〜500μmであることが好ましく、0.1μm〜200μmであることがより好ましく、0.1μm〜50μmであることが更に好ましい。前記微粒子の体積平均粒径が1000μmを越えると、後述するように本発明に用いられるマイクロ流路の粒径は数μm〜数千μmであるため、マイクロ流路で送液される微粒子分散液中の微粒子が流路を詰まらせる可能性がある。一方、前記微粒子の体積平均粒径が0.1μm未満であると、微粒子が堆積してしまうという問題はほとんど発生しないが、内壁面とのインタラクションの影響が大きくなり、付着などを生じてしまう。 前記微粒子の形状は、特に限定されないが、針状で特に、長軸が流路幅の1/4より大きくなると詰まりの可能性が高くなる場合がある。このような観点から、微粒子の長軸長と短軸長との比(長軸長/短軸長)は、1〜50の範囲が好ましく、1〜20の範囲がより好ましい。尚、粒径、粒子形状に合わせて、適宜流路幅を選択することが望ましい。 前記微粒子の種類は、以下に列挙したものが可能であるが、それらに限定されるものではない。例えば、高分子微粒子、顔料のごとき有機物の結晶あるいは凝集体、無機物の結晶あるいは凝集体、金属微粒子、あるいは金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物のごとき金属化合物の微粒子、セラミックの微粒子が挙げられる。 前記高分子微粒子としては、具体的には、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の微粒子が挙げられる。 また、前記金属あるいは金属化合物の微粒子としては、カーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、あるいはその合金、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO、酸化鉄等の金属酸化物やこれらの化合物、窒化ケイ素などの金属窒化物などやそれらを組合せた微粒子が挙げられる。 これら微粒子の製法は多岐に渉るが、合成により媒体中で微粒子を作製し、そのまま微粒子の処理を行う場合が多い。塊状物を機械的に解砕して作製した微粒子を媒体中に分散し処理する場合もある。この場合は、媒体中で解砕することが多く、この場合はそのまま処理される。 一方、乾式で作製された粉体(微粒子)を処理する場合には、予め、媒体に分散しておく必要がある。媒体中に乾燥粉体を分散させる方法としては、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ボールミル、ダイノーミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、コボールミル、ロールミル等が挙げられるが、この際、分散によって1次粒子が粉砕されない条件で行なうことが好ましい。 前記微粒子の比重は前記媒体液体の比重の1.01〜21.00倍であることを必須とし、1.05〜12.00倍であることが好ましく、1.05〜5.00倍であることがより好ましい。前記微粒子の比重が前記媒体液体の比重の1.01倍未満であると、微粒子が媒体液体中で浮遊してくるため、微粒子の搬送が困難となる。一方、前記微粒子の比重が前記媒体液体の比重の21.00倍を超えると、微粒子の沈降が激しくなり、微粒子の搬送が困難となる。 前記媒体液体は、上述のように、前記微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍に設定できるものであれば特に限定されず、例えば、水、あるいは水系媒体、有機溶剤系媒体などが挙げられる。 前記水としては、イオン交換水、蒸留水、電解イオン水などが挙げられる。また、前記有機溶剤系媒体としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン、キシレンなど、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。 また、好ましい媒体液体は前記微粒子の種類によって異なる。前記微粒子の種類別の好ましい前記媒体液体としては、高分子微粒子(一般的に比重が1.05〜1.6程度である。)と組み合わされる媒体液体として、微粒子を溶解させない水系、アルコール類、キシレンなどの有機溶媒、酸あるいはアルカリ水などが好ましく挙げられる。 また、金属あるいは金属化合物の微粒子(一般的に比重が2〜10程度である。)と組み合わされる媒体液体としては、金属などを酸化、還元などで犯さない水、アルコール類、キシレンなどの有機溶媒、あるいは油類が好ましく挙げられる。 本発明の送液装置において、より好ましい微粒子と媒体液体との組み合わせとしては、高分子微粒子と水系媒体との組み合わせ、金属あるいは金属化合物と低粘度油性媒体との組み合わせが挙げられ、この中でも高分子微粒子と水系媒体との組み合わせが特に好ましい。 また、前記微粒子分散液における微粒子の含有率は、0.1〜60体積%であることが好ましく、5〜30体積%であることがより好ましい。前記微粒子分散液における微粒子の割合が0.1体積%未満であると、回収が問題となる場合があり、60体積%を超えると、流路に詰まる可能性が高くなる場合がある。 本発明に用いられるマイクロ流路は、導入部及び排出部を有し、マイクロオーダーの流路、具体的に、数μm〜数千μmの幅の流路を有するものである。前記マイクロ流路を有するものとしては、マイクロリアクターが好ましく挙げられる。 以下、マイクロ流路としてマイクロリアクターを用いた場合について、本発明の送液方法、及び後述する本発明のマイクロ流路での微粒子分散液の送液装置を説明する。 本発明に用いられるマイクロリアクターは、マイクロスケールの流路(チャンネル)を有する反応装置であり、該流路は複数であることが好ましい。マイクロリアクターの流路は、マイクロスケールであるので、寸法および流速がいずれも小さく、レイノルズ数は数百以下である。したがって、本発明に用いられるマイクロリアクターに液体を送液した場合、該液体は層流で送液される。 尚、レイノルズ数(Re)は、Re=uL/ν (u:流速、L:代表長さ、ν:動粘性係数)で表されるもので、この値がおおよそ2300以下のとき、層流支配となる。 本発明に用いられるマイクロリアクターの材質としては、金属、セラミックス、プラスチック、ガラス、など一般的に用いられているものが可能であり、送液する媒体液体により、適宜選択することが好ましい。 第1の本発明の送液方法において、マイクロリアクターは、前記排出部が前記導入部より重力方向で下に位置し、かつ該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の重力方向に対する角度が0〜45°とする。ここで流路の重力方向に対する角度とは、流路を各部分で切断したときの重心を結んだ線が重力方向となす角をいう。 前記流路の重力方向に対する角度は、0〜30°であることが好ましく、0〜15°であることがより好ましく、0〜10°であることが更に好ましく、0〜5°であることが特に好ましい。前記流路の重力方向に対する角度が45°を超えると、沈降による流路内壁底面への微粒子の付着、堆積が生じ、流路閉塞の原因となる。 第2の本発明の送液方法において、マイクロリアクターは、前記排出部が前記導入部より重力方向で下に位置し、流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所を有し、かつ前記導入部から前記排出部に至るまでの全ての流路の壁面の重力方向に対する角度が0〜45°とする。 前記流路の壁面の重力方向に対する角度は、0〜30°であることが好ましく、0〜15°であることがより好ましく、0〜10°であることが更に好ましく、0〜5°であることが特に好ましい。前記流路の壁面の重力方向に対する角度が45°を超えると、沈降による流路内壁底面への微粒子の付着、堆積が生じ、流路閉塞の原因となる。 また、第1の本発明の送液方法において、マイクロリアクターが流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所を有する場合は、前記流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所の壁面の重力方向に対する角度が0〜45°であることが好ましく、0〜30°であることがより好ましく、0〜15°であることが更に好ましく、0〜10°であることが特に好ましく、0〜5°であることが最も好ましい。 マイクロ流路内において、微粒子の堆積を防ぐためには、単純に流路を重力方向と同方向とすれば、かかる問題は解消するが、マイクロリアクター内のすべての流路を重力方向とすることは不可能である。そこで、流路の傾きと微粒子の沈降度合いを詳細に検討した結果、少なくとも、流路又は流路の壁面の重力方向に対する角度を0〜45°とすることで、ほとんど沈降が問題とならなくなることを見出した。これにより、前記微粒子分散液を前記導入口に導入すると、重力により、流れが安定した状態で、微粒子が沈降し流路内壁底面に堆積することなく、更に詰まりや閉塞を起こさず、高い微粒子の回収効率で、前記微粒子分散液が前記排出口に送液され、回収できる。 本発明の送液方法は微粒子の洗浄に好ましく用いられる。一般的に微粒子の洗浄はバッチ式のろ過と再分散を組み合わせた手法がとられているため、工程間の物の移動や濾布への微粒子残存のため効率がよくない。これを沈降の課題を解消した本発明の送液方法を用いることにより格段に効率をアップすることができる。 第1の本発明の微粒子分散液の送液装置(以下、「第1の本発明の送液装置」という場合がある。)は、体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液装置であって、前記マイクロ流路は、前記排出部が前記導入部より重力方向で下に位置し、かつ該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の重力方向に対する角度が0〜45°であることを特徴とする。 また、第2の本発明の微粒子分散液の送液装置(以下、「第2の本発明の送液装置」という場合がある。)は、体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有し、流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液装置であって、前記マイクロ流路は、前記排出部が前記導入部より重力方向で下に位置し、かつ前記導入部から前記排出部に至るまでの全ての流路の壁面の重力方向に対する角度が0〜45°であることを特徴とする。 第1及び第2の本発明の送液装置(以下、併せて「本発明の送液装置」という場合がある。)における微粒子分散液、マイクロ流路は、それぞれ本発明の送液方法における微粒子分散液、マイクロ流路と同義であり、好ましい例も同様である。 また、本発明の送液装置における流路の重力方向に対する角度、及び流路の壁面の重力方向に対する角度は、それぞれ本発明の送液方法における流路の重力方向に対する角度、及び流路の壁面の重力方向に対する角度と同義であり、好ましい値も同様である。 本発明の送液装置を用いることにより、前記微粒子分散液を前記導入口に導入するだけで、重力により、流れが安定した状態で、微粒子が沈降し流路内壁底面に堆積することなく、更に詰まりや閉塞を起こさず、高い微粒子の回収効率で、前記微粒子分散液が前記排出口に送液され、回収できる。 また、本発明の送液装置は微粒子の洗浄に好ましく用いられる。一般的に微粒子の洗浄はバッチ式のろ過と再分散を組み合わせた手法がとられているため、工程間の物の移動や濾布への微粒子残存のため効率がよくない。これを沈降の課題を解消した本発明の送液方法を用いることにより格段に効率をアップすることができる。かつ本発明の送液装置は長時間使用が可能である。 以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。 まず、下記の実施例、比較例における各種特性の測定法について説明する。 前記微粒子の体積平均粒径は、下記粒径(5μm以下)の場合を除き、コールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて測定した値である。この場合、微粒子の粒径レベルにより、最適なアパーチャーを用いて測定した。しかし、微粒子の粒径がおよそ5μm以下の場合は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)を用いて測定した。さらに、粒径がナノメ−ターオーダーの場合は、BET式の比表面積測定装置(Flow SorbII2300、島津製作所社製)を用いて測定した。 また、前記微粒子の比重は、気相置換法(ピクノメータ法)により、湯浅アイオニクス社製ウルトラピクノメータ1000を用いて測定した。 更に、前記媒体液体の比重は、エーアンドディー社の比重測定キットAD−1653を用い測定した。<実施例1> 実施例1を図1を用いて説明する、図1は実施例1に用いるマイクロリアクターを説明するための概念図である。図1において、マイクロリアクター10はガラス製であり、流路L1、L2及びL3が設けてある。流路L1、L2及びL3には、それぞれ導入口1、2及び排出口3が設けてあり、断面が長方形であり奥行きは100μmである。また、流路L1及びL2は、それぞれ、幅が250μm、長さが20mmである。一方、L3は、幅が500μm、長さが50mmである。また、流路L1及びL2の重力方向に対する角度は45°であり、流路L3の重力方向に対する角度は0℃である。 不図示の導入装置により、導入口1に下記分散液Aを、導入口2に下記分散液Bを導入した。 尚、分散液Aは、体積平均粒径:10μmのポリスチレン微粒子を5体積%含む水分散液(商品名:粒子径標準粒子4210A、MORITEX社製)である。ポリスチレン微粒子の比重は水の比重の1.05倍である。 分散液Bは、体積平均粒径:3μmのポリメチルメタクリレート微粒子を8体積%含むエタノール分散液である。ポリメチルメタクリレート微粒子の比重はエタノールの比重の1.50倍である。 導入口1及び2に導入された分散液A及び分散液Bは、排出口3に向かって落下し、流路L3に入り、排出口3から排出され回収された。その流量は分散液A、分散液Bとも同じで、0.1ml/hrであった。更に、5時間にわたって、導入口1及び2に、分散液A及び分散液Bをそれぞれ導入し、5時間にわたって送液したが、ポリスチレン微粒子及びポリメチルメタクリレート微粒子の壁面への付着、閉塞などなく、安定に送液された。<実施例2> 実施例1において、流路L1、L2及びL3の奥行きがそれぞれ200μm、流路L1、L2の幅が400μm、流路L3の幅が800μmとなっていること以外、実施例1で用いたマイクロリアクターと同じ構成のマイクロリアクターを用い、分散液Aを水に、分散液Bを下記分散液Cに変更したこと以外、実施例1と同様にして、導入口1に水を、導入口2に下記分散液Cをそれぞれ導入し、5時間にわたって送液したが、ポリスチレン微粒子の壁面への付着、閉塞などなく、水及び分散液Cは安定に送液された。 尚、分散液Cは、体積平均粒径:50μmのポリスチレン微粒子を5体積%含む水分散液(商品名:粒子径標準粒子4250A、MORITEX社製)で、ポリスチレン微粒子の比重は水の比重の1.05倍であった。<実施例3> 実施例1において、分散液Aを下記分散液Dとしたこと以外、実施例1と同様にして、導入口1に下記分散液Dを、導入口2に分散液Bを導入し、5時間にわたって送液したが、ポリスチレン微粒子壁面への付着、閉塞などなく、安定に流れた。 尚、分散液Dは、体積平均粒径:0.1μmのポリスチレン微粒子を10体積%含む水分散液(商品名:粒子径標準粒子5010A、MORITEX社製)で、ポリスチレン微粒子の比重は水の比重の1.05倍であった。<比較例1> 流路L1及びL2の重力方向に対する角度が60°となっていること以外、実施例1で用いたマイクロリアクターと同じ構成のマイクロリアクターを用い、実施例1と同様にして、導入口1に分散液Aを、導入口2に分散液Bを導入した。その結果、約20分で流路L1の重力方向底面内壁に微粒子の堆積が目立つようになり、約60分後には流路L1は、送液が十分に行えなくなった。流路L2も同様に、約30分で堆積が目立つようになり、約90分後には流路L2は流れにくくなった。<比較例2> 流路L1及びL2の重力方向に対する角度が50°となっていること以外、実施例1で用いたマイクロリアクターと同じ構成のマイクロリアクターを用い、実施例1と同様にして、導入口1に分散液Aを、導入口2に分散液Bを導入した。その結果、約40分で流路L1の重力方向底面内壁に微粒子の堆積が目立つようになり、約90分で流路L1は、送液が十分に行えなくなった。流路L2も同様に、約60分で堆積が目立つようになり、約120分で流路L2は閉塞傾向となった。<実施例4> 実施例4を図2を用いて説明する、図2は実施例4に用いるマイクロリアクターを説明するための概念図である。図2において、マイクロリアクター12はアクリル樹脂製であり、流路L4、L6、及び繋ぎ流路L5が設けてある。流路L4、L6、及び繋ぎ流路L5それぞれ断面が長方形であり、長さがそれぞれ30mm、0.26mm、30mmであり、奥行きがそれぞれ50μmである。流路L4及びL6には、それぞれ導入口4及び排出口6が設けてある。また、流路L4及びL6は、幅がそれぞれ500μm及び200μmである。流路L4及びL6の壁面の重力方向に対する角度は0°である。L5はL4とL6との繋ぎ流路となっており、壁面の重力方向に対する角度は30°である。 不図示の導入装置により、導入口4に下記分散液Eを導入した。 尚、分散液Eは体積平均粒径:0.4μmのTiO2微粒子を10体積%含むエタノール分散液(商品名:クロノスKA−15、チタン工業製)であり、TiO2微粒子の比重はエタノールの比重の4.92倍である。 導入口4に導入された分散液Eは、加圧により排出口6に向かって送液し、その流量は1ml/hrであった。更に、導入口4に、分散液Eを導入し、3時間にわたって送液したが、TiO2微粒子の壁面への付着、閉塞などなく、安定に流れた。<実施例5> 実施例4において、分散液Eを下記分散液Fとし、流路L1、L2及びL3の奥行きが500μmであり、幅がそれぞれ、L4が1000μm、L6が400μm、長さがL4が30mm、L5が0.52mm、L6が30mmとなっていること以外、実施例4で用いたマイクロリアクターと同じ構成のマイクロリアクターを用い、流量を10ml/hrとしたこと以外、実施例4と同様にして、導入口4に下記分散液Fを導入し、3時間にわたって送液したが、ステンレス微粒子の壁面への付着、閉塞などなく、安定に流れた。 尚、分散液Fは、下記ステンレス球の篩分品(粒径が約50μmのステンレス微粒子)のの5体積%水分散液(商品名:粒子径標準粒子435、MORITEX社製)であり、ステンレス球の比重は水の比重の約8倍である。<比較例3> 繋ぎ流路L5の重力方向に対する角度が90°となっていること以外、実施例4で用いたマイクロリアクターと同じ構成のマイクロリアクターを用い、実施例4と同様にして、導入口4に下記分散液Eを導入した。その結果繋ぎ流路L5の壁面に約10分でTiO2微粒子の堆積が目立つようになり、約30分で流路L5は閉塞した。<比較例4> 繋ぎ流路L5の重力方向に対する角度が50°となっていること以外、実施例4で用いたマイクロリアクターと同じ構成のマイクロリアクターを用い、実施例4と同様にして、導入口4に下記分散液Eを導入した。その結果繋ぎ流路L5の壁面に約30分でTiO2微粒子の堆積が目立つようになり、約1時間で閉塞傾向となった。実施例1に用いるマイクロリアクターを説明するための概念図である。実施例4に用いるマイクロリアクターを説明するための概念図である。符号の説明 1、2、4 導入口 3、6 排出口 10、12 マイクロリアクター L1、L2、L3、L4、L6 流路 L5 繋ぎ流路 体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、 前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より重力方向で下になるように設置し、 かつ、該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の重力方向に対する角度を0〜45°とし、 更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とする微粒子分散液の送液方法。 体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有し、流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液方法であって、 前記マイクロ流路を前記排出部が前記導入部より重力方向で下になるように設置し、 かつ、該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の壁面の重力方向に対する角度を0〜45°とし、 更に、前記微粒子分散液を前記導入部に導入し、該導入された微粒子分散液を前記排出部に送液することを特徴とする微粒子分散液の送液方法。 体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液装置であって、 前記マイクロ流路は、前記排出部が前記導入部より重力方向で下に位置し、 かつ該導入部から該排出部に至るまでの全ての流路の重力方向に対する角度が0〜45°であることを特徴とする微粒子分散液の送液装置。 体積平均粒径が0.1μm〜1000μmの微粒子が媒体液体に分散されており、該微粒子の比重が該媒体液体の比重の1.01〜21.00倍である微粒子分散液を、導入部及び排出部を有し、流路径が変化する箇所、及び/又は、流路の形状が変化する箇所を有するマイクロ流路の導入部から排出部に層流で送液させる微粒子分散液の送液装置であって、 前記マイクロ流路は、前記排出部が前記導入部より重力方向で下に位置し、 かつ前記導入部から前記排出部に至るまでの全ての流路の壁面の重力方向に対する角度が0〜45°であることを特徴とする微粒子分散液の送液装置。