タイトル: | 特許公報(B2)_消炎鎮痛外用剤 |
出願番号: | 2004136030 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | A61K 47/02,A61K 31/192,A61K 31/196,A61K 31/405,A61K 31/5415,A61K 45/00,A61K 47/10,A61P 29/00 |
田中 幸司 高田 恭憲 新村 幸 鶴田 清美 有本 哲也 坂井 健三 JP 4584620 特許公報(B2) 20100910 2004136030 20040430 消炎鎮痛外用剤 久光製薬株式会社 000160522 佐伯 憲生 100102668 田中 幸司 高田 恭憲 新村 幸 鶴田 清美 有本 哲也 坂井 健三 20101124 A61K 47/02 20060101AFI20101104BHJP A61K 31/192 20060101ALI20101104BHJP A61K 31/196 20060101ALI20101104BHJP A61K 31/405 20060101ALI20101104BHJP A61K 31/5415 20060101ALI20101104BHJP A61K 45/00 20060101ALI20101104BHJP A61K 47/10 20060101ALI20101104BHJP A61P 29/00 20060101ALI20101104BHJP JPA61K47/02A61K31/192A61K31/196A61K31/405A61K31/5415A61K45/00A61K47/10A61P29/00 A61K 9/00− 9/72 A61K47/00−47/48 特開昭63−091318(JP,A) 特開平11−199482(JP,A) 特開平06−199701(JP,A) 特開2001−151973(JP,A) 特開平11−222443(JP,A) 特開平11−199473(JP,A) 特開平10−182494(JP,A) 特開平09−208463(JP,A) 特開平07−089853(JP,A) 特許第3238409(JP,B2) 特開2002−226366(JP,A) 国際公開第2004/071499(WO,A1) 9 2005314328 20051110 8 20070215 辰己 雅夫 本発明は、消炎鎮痛剤を含有する、安定性に優れた外用剤に関する。詳しくは、本発明は、分子内にカルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬と、分子内にヒドロキシル基を有する添加剤を含んでなる外用剤中におけるエステル化物生成反応を効果的に抑制した、安定性に優れた外用剤、並びにエステル化抑制剤に関する。 抗炎症薬を油性の粘着剤に含有させた、所謂テープ剤を用いた治療法についてはこれまでに種々の検討がなされており、数多くの非水系貼付剤が開発されているが、その大半は、主薬の吸収促進剤として、また、薬効成分の一つとして、更には、清涼剤として、l-メントールが汎用されている。ところが、消炎鎮痛薬として分子内にカルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬を使用した場合、長期保存中にl-メントールとの反応によりl-メントールエステル体が生成し、主薬の量が減少する等、主薬の安定性に問題があった。 非水系外用貼付剤における、このような分子内にカルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬とl-メントールが共存する系でのエステル化物生成反応に対し、これを抑制する技術についての検討もなされており、これまでに、例えば、脂肪酸金属塩を配合する技術(特許文献1)や金属酸化物を配合する技術(特許文献2)等が提案されており、一部実用に供されている。特許第3238409号公報特開2002−226366号公報 非水系貼付剤は加熱や乾燥などの製造工程を経るため、製剤が乾燥した状態となり、カルボキシル基(又はその塩)とヒドロキシル基とのエステル化反応の平衡がエステル生成側に偏り易い状態にある。 従って、本発明は、分子内にカルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬と、分子内にヒドロキシル基を有する添加剤(例えば、l-メントール等)とのエステル化物生成反応(脱水縮合反応)を抑制することをその課題とする。 本発明は、分子内にカルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬と、分子内にヒドロキシル基を有する添加剤、及び金属水酸化物を含んでなることを特徴とする外用剤に関する。 また、本発明は、金属水酸化物を含んでなることを特徴とする、分子内にカルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬と、分子内にヒドロキシル基を有する添加剤とを含んでなる外用剤中におけるエステル化物生成反応抑制剤に関する。 金属水酸化物を含んでなる本発明のエステル化物生成反応抑制剤を配合した本発明の外用剤、就中、非水系外用貼付剤は、カルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬と、分子内にヒドロキシル基を有する添加剤、例えばl-メントール等とのエステル化反応が効果的に抑制されるので、製剤の保存安定性が顕著に向上する。 本発明の外用剤、就中、非水系外用貼付剤は、支持体と、粘着層と、剥離フィルムとから構成される。 本発明貼付剤の粘着層は、少なくとも、カルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬と、例えばl-メントール等の、分子内にヒドロキシル基を有する添加剤と、金属水酸化物及びゴム系粘着基剤とから構成される。 カルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬としては、例えば、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ジクロフェナク、ピロキシカム、フェルビナク、フルルビプロフェン、ロキソプロフェン、及びこれらの薬学的に許容される塩類などが挙げられる。 カルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬の配合量は、それぞれ目的に応じて然るべき量が配合される。 分子内にヒドロキシル基を有する添加剤としては、例えばl-メントールに代表されるメントール類や、ポリエチレングリコール等が挙げられる。 金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどから選択される1種又は2種以上が挙げられる。 金属水酸化物の配合量は、粘着層中の濃度として0.01〜3%が好ましい。0.01%より少ないと、ほとんど配合効果がない。一方、3%を超えると、金属酸化物粉体の分散が不均一となったり、均一混合するための予製工程が必要となるなどの不利益がある。 なお、カルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬と金属水酸化物との質量比率は、1:0.1〜10の範囲が好ましい。 分子内にヒドロキシル基を有する添加剤、即ち、例えばl-メントール等のメントール類等の配合量は、目的とする薬物の経皮吸収速度、或いは期待する清涼感に応じて配合されるので、必ずしも一定ではないが、一般的には、0.5〜10%が好ましい。0.5%未満では経皮吸収を高める効果が足りず、清涼感の持続性も充分ではない。また、10%を超えると皮膚刺激性が認められるため好ましくない。 本発明貼付剤の粘着層のゴム系粘着基剤は、天然又は合成ゴムを主体とする粘着組成物を意味する。該粘着組成物は、天然及び/又は合成ゴムと、粘着付与樹脂、軟化剤の他、目的に応じた添加剤を加えて構成される。 本発明貼付剤の粘着層のゴム系粘着基剤に用いられる合成ゴムとしては、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴムから選択される1種又は2種以上が挙げられるが、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体がより好ましい。 ゴム系粘着基剤全体に占める天然及び/又は合成ゴムの割合は、10〜40質量%が好ましい。 本発明貼付剤の粘着層のゴム系粘着基剤に用いられる粘着付与樹脂は、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリテルペン樹脂、ロジンエステル樹脂、水素添加ロジンエステル樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂などが好ましく用いられる。ゴム系粘着基剤全体に占める粘着付与樹脂の割合は、10〜30質量%が好ましい。 本発明貼付剤の粘着層のゴム系粘着基剤に用いられる軟化剤は、一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、流動パラフィン、ポリブテン、液状ポリイソブチレン、動植物油などが好ましく用いられる。ゴム系粘着剤全体に占める軟化剤の割合は、30〜70質量%が好ましい。 本発明貼付剤の粘着層のゴム系粘着基剤に用いられる、目的に応じた添加剤とは、薬物、吸収促進剤、充填剤、酸化防止剤、可溶化剤(溶解剤)、紫外線吸収剤、香料、色素などである。 ここで言う薬物とは、抗炎症薬に加えて相乗的な治療効果等を期待して加えられるもので、トウガラシ成分(カプサイシンなど)やノニル酸ワニリルアミドなどの温感剤、メントール類などの冷感剤、精油成分、その他の成分(例えば、植物エキス、酢酸トコフェロールなど)を意味する。 本発明貼付剤の粘着層の厚みは、好ましくは20〜300μmである。 本発明貼付剤の支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエステル、ナイロン、セルロース誘導体、ポリウレタンなどの合成樹脂のフィルム、シート、シート状多孔質体、シート状発泡体、織布、編布、不織布、紙、又はこれらの積層体を用いることができる。中でも編布などの伸縮性を有するものが、貼付剤の皮膚への付着性を確保する点で好ましい。また、自己支持性を有するものが、貼付剤のハンドリング性の点で好ましい。 本発明貼付剤の剥離フィルムは、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、紙、或いはこれらの積層体からなるシート状材料に離型処理(シリコンコーティングなど)を施したものが好ましく使用される。 金属水酸化物は、粘着層内のpH環境を調整する働きがある。また、より大きな要因としては、金属水酸化物は化学反応によって水分を取り込むことができる他、水分子を吸着することによっても水分を捕捉することが可能で、粘着層を製造する工程において水分揮散が防がれて水分子が粘着層に取り込まれる結果、粘着層の化学的平衡がエステル化側へ移ることを抑制するものと考えられる。 本発明で用いられる金属水酸化物は、一般的に、金属酸化物と比べて硬度が低いので、金属酸化物を配合する場合のようにミキサー等の混合機を摩耗したり傷つけたりする虞がないので、混合時、金属粉等によるコンタミの虞が少ないことも利点の一つである。 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。 以下の配合割合(質量%)で本発明の非水系外用貼付剤を調製した。ジクロフェナクナトリウム 1クロタミトン 5l−メントール 3水酸化アルミニウム 2スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS) 14ポリイソブチレン(PIB) 14流動パラフィン 30.5脂環族系石油樹脂 30.5<調製法> (1)クロタミトンに、ジクロフェナクナトリウムを混合した。 (2)SIS、PIB、流動パラフィン、脂環族系石油樹脂、水酸化アルミニウムを 加熱・混練した。 (3)(1)とl−メントールを、(2)に添加して、均一に混合した。 (4)(3)をライナーに塗布展延して、支持体を積層し、適当な大きさに裁断して 貼付剤を得た。比較例 以下の配合割合(質量%)で比較例の非水系外用貼付剤を調製した。ジクロフェナクナトリウム 1クロタミトン 5l−メントール 3水酸化アルミニウム なしスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS) 14ポリイソブチレン(PIB) 14流動パラフィン 31.5脂環族系石油樹脂 31.5<調製法> (1)クロタミトンに、ジクロフェナクナトリウムを混合した。 (2)SIS、PIB、流動パラフィン、脂環族系石油樹脂を加熱・混練した。 (3)(1)を(2)に添加して、均一に混合した。 (4)(3)をライナーに塗布展延して、支持体を積層し、適当な大きさに裁断して 貼付剤を得た。試験例1 実施例1及び比較例1の貼付剤をセロニウム包材に各7枚ずつ包装し、40℃、相対湿度75%で保存し、1ヶ月ごとに取り出して、ジクロフェナクナトリウムの含量をHPLCで定量した。 それぞれ、保存初期を100%としてグラフ化したものを図1に示す。 図1から、実施例1の方が比較例1と比べて明らかに保存安定性の点で優れていることが判る。 以下の配合割合(質量%)で本発明の非水系外用貼付剤を調製した。ジクロフェナクナトリウム 1PEG−4000 5l−メントール 3水酸化アルミニウム 2スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS) 14ポリイソブチレン(PIB) 14流動パラフィン 30.5脂環族系石油樹脂 30.5<調製法> (1)ジクロフェナクナトリウムを適量の流動パラフィン中に分散させた (2)SIS、PIB、流動パラフィン、脂環族系石油樹脂、水酸化アルミニウムを 加熱・混練した。 (3)(1)とl−メントールを、(2)に添加して、均一に混合した。 (4)(3)をライナーに塗布展延して、支持体を積層し、適当な大きさに裁断して 貼付剤を得た。 以下の配合割合(質量%)で本発明の非水系外用貼付剤を調製した。ジクロフェナクナトリウム 1l−メントール 3水酸化アルミニウム 2スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS) 14ポリイソブチレン(PIB) 14流動パラフィン 33脂環族系石油樹脂 33<調製法> (1)ジクロフェナクナトリウムを適量の流動パラフィン中に分散させた。 (2)SIS、PIB、流動パラフィン、脂環族系石油樹脂、水酸化アルミニウムを 加熱・混練した。 (3)(1)とl−メントールを、(2)に添加して、均一混合した。 (4)(3)をライナーに塗布展延して、支持体を積層し、適当な大きさに裁断して 貼付剤を得た。 本発明の外用剤は、抗炎症薬を含有する、安定性に優れた外用剤として医薬分野に於いて広く利用し得るものである。実施例1及び比較例1の非水系外用貼付剤中のジクロフェナクナトリウムの保存安定性について測定した結果を示す。 分子内にカルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬と、分子内にヒドロキシル基を有する添加剤、及び金属水酸化物を含んでなることを特徴とする非水系外用貼付剤。 カルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬と金属水酸化物との質量比率が1:0.1〜10の範囲にある、請求項1に記載の外用貼付剤。 金属水酸化物が水酸化アルミニウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム及び水酸化ナトリウムからなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項1又は2に記載の外用貼付剤。 分子内にカルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬が、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ジクロフェナク、ピロキシカム、フェルビナク、フルルビプロフェン、ロキソプロフェン、及びこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項1〜3の何れかに記載の外用貼付剤。 金属水酸化物を含んでなることを特徴とする、分子内にカルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬と、分子内にヒドロキシル基を有する添加剤とを含んでなる外用剤中におけるエステル化物生成反応抑制剤。 カルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬と金属水酸化物との質量比率が1:0.1〜10の範囲にある、請求項5に記載のエステル化物生成反応抑制剤。 金属水酸化物が水酸化アルミニウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム及び水酸化ナトリウムからなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項5又は6に記載のエステル化物生成反応抑制剤。 分子内にカルボキシル基(又はその塩)を有する抗炎症薬が、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ジクロフェナク、ピロキシカム、フェルビナク、フルルビプロフェン、ロキソプロフェン、及びこれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項5〜7の何れかに記載のエステル化物生成反応抑制剤。 外用剤が非水系外用貼付剤である、請求項5〜8の何れかに記載のエステル化物生成反応抑制剤。