タイトル: | 特許公報(B2)_水素活量測定装置 |
出願番号: | 2004120735 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | G01N 27/30,G01N 27/416 |
中村 進 マクシモフ イゴール 前田 恒昭 JP 4324692 特許公報(B2) 20090619 2004120735 20040415 水素活量測定装置 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 中村 進 マクシモフ イゴール 前田 恒昭 20090902 G01N 27/30 20060101AFI20090813BHJP G01N 27/416 20060101ALI20090813BHJP JPG01N27/30 311ZG01N27/46 311H G01N 27/30 G01N 27/416 JSTPlus(JDreamII) 特開昭63−127153(JP,A) 中村進,新しい定義に基づくpH測定,THE CHEMICAL TIMES,日本,2004年 1月,No.1(通巻191号),P.3-8 4 2005300475 20051027 9 20061005 黒田 浩一本発明は、水素イオン活量測定又はpH測定用緩衝溶液測定のための水素活量測定装置に関する。 水素イオン活量測定又は、炭酸塩緩衝溶液pHの定義に基づいて水素イオン活量を測定するには、Harned Cell(注:水素ガス飽和溶液中の白金黒電極と銀/塩化銀電極とを塩素イオンを加えた液間電位差のない水溶液で結合した電池の総称)を用いなければならない。 このセルは、基本原理は明確にされており、測定対象の緩衝溶液に白金黒電極と銀/塩化銀電極を浸し、白金黒電極側に水素を吹き込み、水素イオンで飽和した状態を作り測定を行う。測定は通常連続して5時間以上の安定な値を得て、この平均値から水素イオン活量指数(pH)を求める(非特許文献1参照)。実際に炭酸塩緩衝液を測定しようとすると、炭酸イオンは水素ガスをバブリングして飽和させる際に一部炭酸ガスとして系外に排出され、炭酸イオン濃度は安定せず、正確なpH値を得ることは困難であった。また、炭酸イオン濃度を安定に保つために測定セル内部に緩衝液を補給すると、水素イオン濃度が変化し安定な値が得られなくなるという問題が生じる。 本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を続けたところ、測定セル内部の炭酸イオン濃度を安定に保ち、かつ水素イオン濃度も安定に保つために、測定セルとは別個に測定に必要な時間セルから系外に放出される炭酸ガスを補えるに十分な量の炭酸塩緩衝溶液を保持した炭酸ガス補給部を設け、これにより、測定セル内の炭酸イオン濃度は維持され、また水素イオン濃度にも変化を生じることなく測定が行え、ことで長時間安定した測定を可能とすることを見出した。すなわち、 炭酸塩緩衝液で満たされてなるセル内に白金黒電極及び銀/塩化銀電極が収納された水素活量測定用セルと、同炭酸塩緩衝液で満たされた前室とを有する水素活量測定装置であって、該前室において飽和水蒸気及び一定量の二酸化炭素を含んだ水素ガスを調整し、該水素ガスを前記白金黒電極に供給することを特徴とする水素活量測定装置である。本発明の水素活量測定装置を用いることで、pH緩衝液にNaClを約0.015mol/kg加えても図5に示すような結果が得られ、5時間以上に亘って一定の起電力を示すことが証明された。5時間以上安定な測定値を得ることができ、国際的なpH測定の定義に合った結果がいつでも得られる。 本発明において用いる炭酸塩緩衝溶液とは、水1.0 kg中に0.025モルの炭酸水素ナトリウムと等モルの炭酸ナトリウムを溶解したものである。 本発明においては、前室も白金黒電極を収納するセルも銀/塩化銀電極を収納するセルも、炭酸塩緩衝溶液で満たし、前室の底部より水素ガスを導入する。導入された水素ガスは、前室を通過している間に、水蒸気及び二酸化炭素ガスが飽和される。 本発明においては、白金黒電極と銀/塩化銀電極とを液間電位差の生じない方法で結合したセルを用い、白金黒電極を収納するセルから飽和水蒸気及び一定量の二酸化炭素を含んだ水素を排出することができる。液間電位差の生じない方法としては、代表的には2つのセルを、中空管で結合させる方法を用いることができる。 また、本発明においては、前室は、一つとは限らず、必要に応じて複数設けることができる。 さらに、本発明においては、水素活量測定装置を小型化するため、前室とセルが一体化した構造とすることができる。実施例1と全く同様にして、pH緩衝液にNaClを約0.010 mol/kg加えた水溶液を用いてpH(起電力)測定を行ったところ、図4の結果を得た。実施例1と全く同様にして、pH緩衝液にNaClを約0.005 mol/kg加えた水溶液を用いてpH(起電力)測定を行ったところ、図5の結果を得た。(比較例)従来の前室を用いない水素活量測定装置を用いて、pH緩衝液にNaClを約0.005 mol/kg加えた水溶液を用いてpH(起電力)測定を行ったところ、図2(従来装置)に示すような結果が得られた。従来の測定装置では時間の経過とともに起電力は上昇し、確たる終点は得られない。しかし、本発明の水素活量測定装置を用いると5時間以上に亘って一定の起電力を示すことが証明された。本発明の水素活量測定装置を用いることで、5時間以上安定な測定値を得ることができ、国際的なpH測定の定義に合った結果がいつでも得られ、前室は、従来の水素活量測定装置に取り付けることができるので、多くの利用形態があり、産業上利用可能性が高い。本発明の水素活量測定装置の見取り図従来の水素活量測定装置による起電力変化図本発明の水素活量測定装置による起電力変化図(NaCl0.015M添加)本発明の水素活量測定装置による起電力変化図(NaCl0.010M添加)本発明の水素活量測定装置による起電力変化図(NaCl0.005M添加)符号の説明 炭酸塩緩衝液で満たされてなるセル内に白金黒電極及び銀/塩化銀電極が収納された水素活量測定用セルと、同炭酸塩緩衝液で満たされた前室とを有する水素活量測定装置であって、該前室において飽和水蒸気及び一定量の二酸化炭素を含んだ水素ガスを調整し、該水素ガスを前記白金黒電極に供給することを特徴とする水素活量測定装置。 前記水素活量測定用セルが、白金黒電極を収納するセルと銀/塩化銀電極を収納するセルとを液間電位差の生じない方法で結合したセルであって、該白金黒電極を収納するセルから飽和水蒸気及び一定量の二酸化炭素を含んだ水素を排出する請求項1に記載した水素活量測定装置。 前記前室を、複数個設けた請求項1又は請求項2に記載した水素活量測定装置。 前記複数個の前室の一部が、前記白金黒電極を収納するセルの内部に設けられて、セルと一体化した構造であることを特徴とする請求項3に記載した水素活量測定装置。