生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_スポット溶接部の破断強度増大のための最適化方法
出願番号:2004118200
年次:2010
IPC分類:B23K 11/24,G01N 3/00


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吉田 博司 野村 成彦 上西 朗弘 JP 4418287 特許公報(B2) 20091204 2004118200 20040413 スポット溶接部の破断強度増大のための最適化方法 新日本製鐵株式会社 000006655 國分 孝悦 100090273 吉田 博司 野村 成彦 上西 朗弘 20100217 B23K 11/24 20060101AFI20100128BHJP G01N 3/00 20060101ALN20100128BHJP JPB23K11/24 394G01N3/00 Q B23K 11/24 B23K 11/11 G01N 3/00 特開2002−316267(JP,A) 特開平08−155653(JP,A) 特開平07−024581(JP,A) 特開平06−182561(JP,A) 特開2005−148053(JP,A) 1 2005297023 20051027 9 20060907 栗田 雅弘 本発明は、自動車用の構造部材のスポット溶接に利用して好適な、より詳しくは衝突変形時に部材のスポット溶接部が破断する強度を大きくする部材形状、板厚、材料強度、及びスポット溶接のナゲット径を求めるためのスポット溶接部の破断強度増大のための最適化方法に関する。 近年、自動車業界では、衝突時の乗員への傷害を低減しうる車体構造の開発が急務の課題となっている。そのような衝突安全性に優れた車体構造は、衝突時の衝撃エネルギーを客室部以外の構造部材で吸収させ、客室部の変形を最小限とし生存空間を確保することにより実現できる。つまり、構造部材により衝撃エネルギーを吸収させることが重要である。 自動車のフルラップ衝突やオフセット衝突での衝撃エネルギーを吸収させる主要な構造部材はフロントサイドメンバーである。フロントサイドメンバーは、プレス成形等で部材成形後、スポット溶接により部材を閉断面化している。通常このフロントサイドメンバーを座屈させることで、衝撃エネルギーを吸収させる。衝撃エネルギーの吸収を向上させるためには、座屈形態を安定化させ、途中で折れ曲りや破断をさせないことが重要である。 前記の部材のスポット溶接に関して、座屈を安定化させるためにはスポット溶接間隔やナゲット径や溶接条件を最適化しないと、座屈時に溶接点からの破断が起きてしまい、安定した座屈形態にならず衝撃エネルギーの吸収が低下するという問題がある。解説論文No.9705JSAE SYMPOSIUM「新しい車体構造成形技術」JIS Z3136JIS Z3137特開平6−182561号公報特開2002−31627号公報 従来からこの問題の解決のため、例えば非特許文献1にあるように、スポット溶接間隔をいろいろと変えて部材を試作し、座屈試験をして溶接点で破断せず安定に座屈する条件を調べていた。しかしながら、この方法では自動車ごと、また部材ごとに試作をつくり試験を行うという試行錯誤が必要となり、製作コストがかかり、設計にも時間を要するという問題を抱えていた。 また、特許文献1には、フロアパネルでの荷重のかかるところの溶接部の剥離防止構造が提案されているがフロアパネルについてのみの構造であり、すべての衝撃吸収部材で溶接点の剥離を防ぎ安定座屈により衝撃エネルギーを吸収するスポット溶接法には試作による試行錯誤になっていた。 さらに、特許文献2では、スポット溶接間隔の最適化が提案されているが、個々のスポット溶接強度については、単純な指標でしかなく、破断そのものの正確な予測になっていないため、精度の良いスポット溶接部破断の予測にもとづく設計ができない問題があった。 スポット溶接部の強度の指標は、非特許文献2、3に規定される、せん断引張試験及び十字形引張試験が代表的である。この他にも多様な荷重状態を想定した多様な試験形態での報告例はあるが、一般には、JISで規定された2種の試験により、せん断引張試験値を溶接部のせん断強度として、また、十字形引張試験値を溶接部の剥離強度として扱っている。 しかし、試験により得られたスポット溶接のせん断強度及び剥離強度が、幅等の構造影響を受けることから、実部材では、試験値を様様な観点から補正して推定せざるを得ない。近年飛躍的に進歩してきた計算機上で自動車の衝突のシミュレーションによる最適設計を行うシステムにおいては、この推定精度が十分とは言えず、衝突安全の最適な設計の信頼性を低下させていた。 本発明は、部材の試作・衝突試験によらず、形状、幅、板厚、材料強度、荷重負荷方法、及びスポット溶接のナゲット径を変化させた試験片レベルのスポット溶接強度のデータ表、又は、そのデータ表を基に作成されるスポット溶接強度の予測式に基づいて、衝撃変形時に任意の部材のスポット溶接部における破断強度を大きくする幅、板厚、材料強度、スポット溶接部のナゲット径のうち1種以上を算出し、部材の衝撃時の溶接部破断を防ぎ、変形座屈モードの適正化を図り、衝撃エネルギーの吸収を向上させることを目的とするものである。 本発明のスポット溶接部の最適化方法は、十字型引張試験における様々な試験片の材料強度TS(MPa)、板厚t(mm)、スポット溶接のナゲット径d(mm)、継ぎ手の板幅W(mm)、破断時の最大荷重Fcts(N)、及び十字型引張試験の継ぎ手の回転角θ、並びに/又はせん断型引張試験における様々な試験片の材料強度TS(MPa)、板厚t(mm)、スポット溶接のナゲット径d(mm)、継ぎ手の板幅W(mm)、及び破断時の最大荷重Ftss(N)を測定し、(1)式若しくは(4)式に基づいて、又は(1)式若しくは(4)式により定義した応力集中係数αと、ナゲット径dと幅Wの比d/Wの関係式に基づいて、前記応力集中係数αを算出してデータベースを作成し、前記データベースに基づいて、任意の部材のスポット溶接部における破断限界荷重を最大にするように、スポット溶接部の幅、板厚、材料強度、ナゲット径のうち1種以上を決定する点に特徴を有する。 α=TS・W・t/Ftss・・・(1) α=2・TS・W・t・sinθ/Fcts・・・(4) ただし、α:十字型引張及び/又はせん断型引張でのスポット溶接部のナゲットの端部と母材における応力集中係数 本発明によれば、任意の部材でのスポット溶接部の破断強度を正確に予測することができるので、例えば実際の自動車の部材での衝突試験時のスポット溶接部破断の検証を省略したり、検証試験の回数を大幅に削減したりすることができる。また、自動車の部材のスポット溶接条件を変えた試作・衝突試験の大規模な実験によるスポット溶接破断を防ぐ部材設計を省略し、部材の負荷方法が決まったときの破断強度が最大となるように、形状、幅、板厚、材料強度、及びスポット溶接のナゲット径を簡単に決定することができるので、大幅なコスト削減・設計開発期間の短縮に寄与することができる。 以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は、せん断型引張試験の概要を示す図である。試験片は、図のように母材2である2枚の鋼板を重ねてスポット溶接し、ナゲット1を形成する。この試験片を矢印3で示す方向に試験片が破断するまで引張試験を行う。このとき、引張方向3における試験片の変位と荷重を測定する。ナゲット1の周りで破断が発生し、このときに、最大荷重となり、これを破断限界荷重Ftss(N)とする。この限界荷重Ftssとなったとき、母材2の幅W(mm)、板厚t(mm)から、母材内の平均応力σo(MPa)は、Ftss/W・tである。 破断の起点となるナゲット1の周りにおいては、最大応力が引張強さTS(MPa)に達したと仮定すれば、ナゲット1の端部と母材2における応力集中係数αを、母材の引張強さTSと母材の平均引張応力σoの比として(1)式のように定義できる。 α=TS/σo=TS・W・t/Ftss・・・(1) 様々な引張り強さTSの材料で、様々な試験片幅W、板厚t、ナゲットの直径d(mm)で、破断限界荷重Ftssを測定することで、この応力集中係数αを、(1)式から算出してデータベースとして表を作成しておく。これから、任意の引張り強さTS、板厚t、幅W、ナゲット径dでの破断限界荷重Ftssは、表の応力集中係数αを用いて、(2)式で予測できる。 Ftss=TS・W・t/α・・・(2) また、応力集中係数αは、ナゲット径dと幅Wの比d/Wで整理すると一つの曲線になることから、(3)式から算出したαを用いて、(2)式からもFtssを予測しても良い。 α=k/(p・d/W−q)n+r・・・(3) ここで、k、p、q、n、及びrは、αとd/Wの曲線の関係を(3)式でフィッティングするためのパラメータである。曲線をフィッティングする式は、必ずしも(3)式の形でなくても良く、曲線関係をフィッティングできる式であれば良い。また、(3)式を用いなくても、曲線のグラフから直接αを読み取っても良い。 (2)式、(3)式から任意のナゲット径d、幅W、板厚t、材料強度TSでの破断限界荷重Ftssを求めることができる。これは、逆に、例えば部材に使用する材料の板厚tと材料強度TSが決まれば、破断限界荷重を最大にするナゲット径dと幅Wの組合せを求めることができることを示す。すなわち、(2)式、(3)式から生成される曲面の破断限界荷重Ftssが極大となるナゲット径、幅、板厚、材料強度の組合せが得られ、目的に応じて、その中から最適な組合せを選べばよい。 また、曲面の極大値でなくとも、その極大値を含む、Ftssの変化率が最大及び最小となるナゲット径、幅、板厚、材料強度の変化率の組合せを求め、その範囲をFtssが安定して強度を保つ範囲として使用しても良い。ここで、幅Wは、試験片幅Wの他に、例えば、図2に示すように部材では、ハット型断面のフランジ幅4、断面長5、座屈ビードの間隔6、スポット溶接ピッチ7の何れかに相当する。このように、実際の部材は様々な形状になるため、それの都度、スポット溶接周りの寸法や、座屈形態を決める寸法を幅Wに対応する寸法として、評価すればよい。 図3は、十字型引張試験方法の概要を示す図である。試験片は、図のように母材2である2枚の鋼板を重ねてスポット溶接し、ナゲット1を形成する。この試験片を矢印3で示す方向に試験片が破断するまで引張試験を行う。このとき、引張方向3の試験片の変位と荷重を測定する。ナゲット1の周りで破断が発生し、このときに、最大荷重となり、これを破断限界荷重Fcts(N)とする。この限界荷重Fctsとなったとき、母材2の幅W(mm)、板厚t(mm)から、母材の板面内の平均応力σoは、図4に示す角度θを用いて、Fcts/(2W・t・sinθ)である。 破断の起点となるナゲット1の周りにおいては、最大応力が引張強さTS(MPa)に達したと仮定すれば、ナゲット1の端部と母材2における応力集中係数αを、母材の引張強さTS(MPa)と母材の平均引張応力σo(MPa)の比として(4)式のように定義できる。 α=TS/σo=2・TS・W・t・sinθ/Fcts・・・(4) これは、せん断型引張試験で求めた(1)式と全く同形式であり、引張方向が違うため、角度補正θが入る。従って、せん断型引張りと同じ方法で、任意の幅、板厚、材料強度、ナゲット径に基づいて、破断限界荷重Fctsは、(5)式から算出できる。 Fcts=2・TS・W・t・sinθ/α・・・(5) (4)式、(5)式から、せん断型引張試験と同様の考え方で、破断限界荷重Fctsを求めることができる。破断限界荷重FtssとFctsは、どちらか小さい方を設計上の破断限界荷重としても良いし、部材形状と負荷条件から、スポット溶接部の変形様式がどちらに対応するか分っている場合は、対応する方の破断限界荷重を使用しても良い。 この方法は、鉄鋼材料だけでなく、あらゆる材料に適用することができる。また、スポット溶接だけなく、レーザー溶接、アーク溶接、シーム溶接、マッシュシーム溶接等のあらゆる溶接、さらには、TOX接合、リベット接合等のあらゆる機械接合、摩擦接合や拡散接合、摩擦拡散接合、接着剤による接合すべてに応用することができる。 実験による応力集中係数αの算出方法も、上記のせん断型引張試験、十字型引張試験に限らず、あらゆる試験片形状、荷重負荷方法で、算出することができる。 上記の破断判定の予測は、自動車全体、部材の衝突解析だけでなく、自動車以外の部品にも適用でき、衝突以外の準静的な変形での解析にも適用できることは言うまでもない。 図7は、本発明の最適化方法を実行可能なコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。同図において、1200はコンピュータPCである。PC1200は、CPU1201を備え、ROM1202又はハードディスク(HD)1211に記憶された、或いはフレキシブルディスクドライブ(FD)1212より供給されるデバイス制御ソフトウェアを実行し、システムバス1204に接続される各デバイスを総括的に制御する。 前記PC1200のCPU1201、ROM1202又はハードディスク(HD)1211に記憶されたプログラムにより、本実施形態の各機能手段が構成される。 1203はRAMで、CPU1201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。1205はキーボードコントローラ(KBC)であり、キーボード(KB)1209から入力される信号をシステム本体内に入力する制御を行う。1206は表示コントローラ(CRTC)であり、表示装置(CRT)1210上の表示制御を行う。1207はディスクコントローラ(DKC)で、ブートプログラム(起動プログラム:パソコンのハードやソフトの実行(動作)を開始するプログラム)、複数のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイルそしてネットワーク管理プログラム等を記憶するハードディスク(HD)1211、及びフレキシブルディスク(FD)1212とのアクセスを制御する。 1208はネットワークインタフェースカード(NIC)で、LAN1220を介して、ネットワークプリンタ、他のネットワーク機器、或いは他のPCと双方向のデータのやり取りを行う。 上述した実施形態の機能は、コンピュータがコンピュータプログラムを実行することによっても実現される。また、コンピュータプログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体又はかかるプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、前記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。前記のコンピュータプログラム、記録媒体、伝送媒体及びコンピュータプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリ、ROM等を用いることができる。(実施例) 上記の破断予測モデルを使い、せん断型引張試験における破断限界荷重Ftssの極大となる領域を調べた。980MPa級の厚さt=1.4mmの鋼板で、せん断型引張試験片での極大となる破断限界荷重Ftssを求めるために、スポット溶接のナゲット径d、幅Wを変化させた。(2)式、(3)式で使用する他のパラメータは、この980MPa級の特定の鋼板に限定することにより、簡易的に求めたパラメータで、TS=1050(MPa),t=1.4(mm),p=0.8013,q=0.06712,r=1.0614,k=0.02695,n=2.3759とした。これらは、材料が変われば変化するが、その都度求めるか、材料とパラメータの関係式を別途使用しても良い。 図5は、この予測モデルの検証例であり、ナゲット径dを7.1mmに固定すると、幅40mm付近で、破断限界荷重が極大となっており、ナゲット径まで決めれば、最大の破断限界荷重とそのときの幅を求めることができることがわかる。 また、極大値を含み、破断限界荷重が、その変化率が最大となる点と最小となる点の間の範囲とは、20mm以上で60mm以下であるので、この範囲を破断限界荷重が安定して高い領域として、使用することが出来る。 図6は、図5の幅だけでなく、ナゲット径も変化させたときの破断限界荷重の変化を示す曲面である。破断限界荷重が極大値を示す幅Wが、ナゲット径を変化させると、より大きい側にシフトすることが分り、目的に応じて、幅とナゲット径の最適な組合せを選ぶことができる。すなわち、破断限界荷重をより大きくしたいのであれば、幅は約70mm、ナゲット径は約13mmとすることができるし、部材の別の設計要件から幅が50mmに決まるのであれば、極大となる破断限界荷重のときのナゲット径は約11mmと決めることができる。 このように、基本的な試験でスポット溶接での、極大となる破断限界荷重を予測し、材料、板厚、ナゲット径、幅の最適条件を決定することができた。また、部品レベルでの衝突変形時のスポット溶接破断の予測について実験・予測モデルから検証しており、予測モデルでの破断が実験と一致することを確かめている。以上から、スポット溶接部の破断の極大値を求めることにより、部材の変形モード、吸収エネルギーの制御・設計が可能なことが確かめられた。せん断型引張試験の概要を示す図である。実部材でのフランジ幅、断面長、座屈ビードの間隔、スポット溶接ピッチを示す図である。十字型引張試験方法の概要を示す図である。十字型引張試験の試験時における側面図である。せん断型引張試験の破断限界荷重の幅Wに対する変化を示す図である。せん断型引張試験での破断限界荷重の幅W及びナゲット径dに対する変化を示す図である。最適化方法を実行可能なコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。符号の説明 1 ナゲット 2 母材 3 試験片両端部の引張方向 4 ハット型断面のフランジ幅 5 断面長 6 座屈ビードの間隔 7 スポット溶接ピッチ 十字型引張試験における様々な試験片の材料強度TS(MPa)、板厚t(mm)、スポット溶接のナゲット径d(mm)、継ぎ手の板幅W(mm)、破断時の最大荷重Fcts(N)、及び十字型引張試験の継ぎ手の回転角θ、並びに/又はせん断型引張試験における様々な試験片の材料強度TS(MPa)、板厚t(mm)、スポット溶接のナゲット径d(mm)、継ぎ手の板幅W(mm)、及び破断時の最大荷重Ftss(N)を測定し、(1)式若しくは(4)式に基づいて、又は(1)式若しくは(4)式により定義した応力集中係数αと、ナゲット径dと幅Wの比d/Wの関係式に基づいて、前記応力集中係数αを算出してデータベースを作成し、前記データベースに基づいて、任意の部材のスポット溶接部における破断限界荷重を最大にするように、スポット溶接部の幅、板厚、材料強度、ナゲット径のうち1種以上を決定することを特徴とするスポット溶接部の破断強度増大のための最適化方法。 α=TS・W・t/Ftss・・・(1) α=2・TS・W・t・sinθ/Fcts・・・(4) ただし、α:十字型引張及び/又はせん断型引張でのスポット溶接部のナゲットの端部と母材における応力集中係数


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