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タイトル:公開特許公報(A)_1−オクタノールの超臨界乃至亜臨界溶媒を用いたバイオマスからの有価物への変換収集方法
出願番号:2004110921
年次:2005
IPC分類:7,B09B3/00,B01J3/00,C07C41/44,C07C43/23


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坂 志朗 南 英治 山崎 潤 河本 晴雄 JP 2005288406 公開特許公報(A) 20051020 2004110921 20040405 1−オクタノールの超臨界乃至亜臨界溶媒を用いたバイオマスからの有価物への変換収集方法 坂 志朗 599006203 豊田通商株式会社 000241485 田中 宏 100089406 樋口 榮四郎 100096563 宮本 晴視 100110168 坂 志朗 南 英治 山崎 潤 河本 晴雄 7B09B3/00B01J3/00C07C41/44C07C43/23 JPB09B3/00 304ZB01J3/00 AB09B3/00 ZC07C41/44C07C43/23 A 3 2 OL 7 特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年3月1日 京都大学大学院エネルギー科学研究科発行の「京都大学21世紀COE広報「環境調和型エネルギーの研究教育拠点形成」」に発表 4D004 4H006 4D004AA12 4D004AA50 4D004BA06 4D004CA04 4D004CA39 4D004CB04 4D004CB31 4D004CC04 4D004CC15 4D004DA02 4D004DA03 4D004DA06 4D004DA07 4D004DA20 4H006AA02 4H006AD30 4H006GP03 4H006GP10本発明は、超臨界から亜臨界状態、すなわち、温度範囲195℃〜500℃、好ましくは300℃〜385℃および圧力範囲1MPa〜100MPa、好ましくは2.5MPa〜25MPaの状態の1−オクタノール中でリグノセルロース系バイオマス、セルロース系、ヘミセルロー系バイオマス、含窒素多糖類及びたんぱく質系バイオマスからなる群から選択される1種または2種以上を処理して前記バイオマスを分解・可溶化する有価物への変換収集方法に関する。 化石資源は無尽蔵とは言えないことから、これらを生産効率の良い化学原料に振り向けることが資源の有効利用の面から好ましい。また、地球温暖化などの環境問題の軽減などの観点から、CO2の発生を抑制した、または伴わないクリーンなエネルギー供給源の開発、およびエネルギーへの変換技術の開発が熱望されている。このような中で、最もクリーンなエネルギーの供給源、すなわち植物などの生育など、乃至太陽光の生活利用性の良いエネルギーへの変換手段の開発のために色々な方向からアプローチがされている。このような技術の1つとして、バイオマスなどからできる限り多くの、エネルギー源としての、また化学製品としての有価物を得ることを目的とした技術開発が種々の超臨界または亜臨界状態の媒体を用いて検討されている。 前記検討の中で、前記媒体の超臨界または亜臨界状態における基本特性の検討が前記開発を進めるために重要である。例えば、超臨界状態の水は、温度または圧力を変えることにより、溶媒特性を連続的かつ大幅に変えることができ、被処理物との関連において至適条件の確立が必要である。また、メタノールのイオン積は、水と同様温度上昇と共に増大し、圧力を上げるとさらにイオン積が増大し、超臨界状態では解離したメタノールが酸として働き高温のバイオマス類の可溶媒分解場として利用できる。従って、このように超臨界メタノールは、超臨界水と同様、温度または圧力を変えることにより、溶媒特性を連続的かつ大幅に変えて利用することができる。しかし、このような特性を知っただけで、直ちに被処理物との組み合わせを予測できるわけでもなく、多くの試行錯誤の繰り返しにより、被処理物からの所望の生成物をうる条件を見出すことができる、というのが現状である。 このような中で、本発明者は、未利用及び廃バイオマスを含むセルロース系、リグノセルロース系バイオマス、含窒素多糖類及びたんぱく質系バイオマス資源から、低分子量の有用物質を、最終製品または化成品製造原料などとしての物資の利用などを考慮しつつ、効率良く変換して得る技術を研究し、前記バイオマス資源をメタノールなどのアルコール又は他の有機溶媒と超臨界状態または亜臨界状態で加溶媒分解することにより有用物質を含む組成物、特に、有機溶媒に溶解したバイオマス由来の成分を含む液体燃料としてそのまま利用できる組成物を提供する技術、および、前記処理で得られた有機溶媒に溶解したバイオマス由来の成分を、前記溶媒を留去した後、他の溶媒に溶解して新しい組成物として、また、燃料などとして用いることを提案している(特許文献1)。 更に、アルコール類として炭素数が1−14の脂肪族アルコールを利用することを提案しているが、具体的に超臨界などの条件を挙げているものは炭素数が5までのものであり、メタノール以外のアルコール類の超臨界状態または亜臨界状態における特性を知ると共に、その有用性を見出すことは更なる発展につながる。特開2001−205070公報、特に、特許請求の範囲本発明の課題は、前記詳細に検討されていなかったアルコール類の超臨界状態または亜臨界状態における特性を詳細に検討し、バイオマス類から顕著な効率で有価物を収集できる方法を提供することである。そこで、本発明者等は、温度範囲195℃〜500℃、好ましくは300℃〜385℃および圧力範囲1MPa〜100MPa、好ましくは2.5MPa〜25MPaの超臨界から亜臨界状態におけるバイオマスとして、ブナ(Fagus crenata)木粉の処理の特性を鋭意検討した。その中で、1−オクタノールが他のアルコールに対して可溶化において極めて顕著な特性、すなわち、350℃の超臨界から亜臨界状態の条件において約3分間で前記ブナ材の95%を可溶化できるという予想以上の優れた特性があることを見出し、本発明の前記課題を解決できた。 特に、処理温度300℃〜385℃、処理圧力2.5MPa〜25MPaの亜臨界状態の1−オクタノールを用いると、処理時間が短くて回収可能のため、後に化成品の中間原料として有効なコニフェリルアルコール、シナピルアルコールおよびこれらのγ−アルキルエーテルが得られることが確認され、極めて優れたバイオマスの可溶化手段であることが確認された。本発明は、(1)リグノセルロース系バイオマス、セルロース系バイオマス、含窒素多糖類及びたんぱく質系バイオマスからなる群から選択される1種または2種以上を、温度範囲195℃〜500℃および圧力範囲1MPa〜100MPaの超臨界から亜臨界状態の1−オクタノール中で処理することを特徴とする前記バイオマスの分解・液化方法である。好ましくは、(2)バイオマス原料として外接径が10mm以下、より好ましくは1mm以下となるように粉砕したものを使用する前記(1)に記載のバイオマスの分解・液化方法であり、より好ましくは、(3)処理温度300℃以上385℃以下、処理圧力2.5MPa以上25MPa以下の亜臨界状態の1−オクタノールを用いる前記(1)または(2)に記載のバイオマスの分解・液化方法である。発明の効果として、非常に短時間でバイオマスの分解・液化が可能であるので、バイオマスから好ましい分解段階の化学原料として収集できることを挙げることができる。 A.表1に各アルコールの臨界温度および臨界圧力と、バイオマスとしてブナ木粉を用いて、これの可溶化試験に用いた条件(*)とをまとめて示す。処理後の試料はアルコール不溶残渣とアルコール可溶部とに、0.2μmのメンブランフィルター(アドバンテックス社製、品名TO20A047A)を用い分離した。また、アルコール可溶部は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)(島津製作所社製、カラム STR-ODSII、移動相 水/メタノール=80/20〜0/100(60分)、温度 40℃、検出器 SPD(280nm)により分解生成物を確認した。B.バッチ型の耐圧反応容器にバイオマスとアルコールとを充填し、150℃〜500℃に調整できるスズまたはオイル浴槽を用いて加熱し、時間経過後に20℃の水浴に漬けて急冷し反応を停止させる操作により試験をした。C.亜臨界とは、反応系の温度がアルコールの沸点以上、かつ、圧力が反応温度におけるアルコールの蒸気圧より大きい条件である。1−オクタノールの沸点は195℃であり、反応系の温度は195℃以上、圧力1.0MPa以上の条件をいう。 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これは本発明をより理解し易くすることを目的とするものであり、これにより本発明を限定的に解釈されないことは当然である。 バイオマス試料として粒径280μm以下のブナ(Fagus crenata)木粉150mgを容積5mL、材質インコネル625の耐圧反応管を有し、加熱用のスズ浴(必要に応じてオイル浴)と冷却用の水浴に移送する装置を備えたバッチ型超臨界流体バイオマス変換装置に挿入し、更に1−オクタノール4.9mLを充填した。前記ブナ木粉及び1−オクタノールを充填した耐圧反応管を温度270℃または350℃に制御されたスズ浴に最長30分浸漬した。所定の処理時間が経過後、前記反応管を20℃の水浴に移送して冷却した。採取した試料を0.22μmメンブレンフィルタで濾過し、アルコール不溶残渣とアルコール可溶部に分離し、アルコールの可溶化の特性を測定した。350℃での実験結果を図1に示す、参考のために、1−オクタノール(▲)の場合に加えて、メタノール(○)、エタノール(△)、1−プロパノール(□)、1−ブタノール(●)、及び1−デカノール(■)の場合を示した。1−オクタノールを用いた場合、極めて顕著な効果を示すことが分かった。 前記アルコールを用いた、350℃で5分間処理の条件でのアルコール類のブナ木粉の可溶化特性を検討した。その結果を図2に示す。1−オクタノールが前記処理において特異的効果を示すことが分かった。 前記処理により得られたアルコール可溶部を前記高速液体クロマトグラフを用いて分析した。その結果を図3に示した。リグニン由来生成物の化成品として有用な中間品である、コニフェリルアルコール(1)、シナピルアルコール(2)、シナピルアルコールγ-オクチルエーテル(13)、コニフェリルアルコールγ-オクチルエーテル(14)などが得られることが分かった。図3において、(3)は2,6−ジメトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール、(4)はイソオイゲノール、(5)はシナピルアルコールγ-メチルエーテル、(6)はコニフェリルアルコールγ-メチルエーテル、(7)はシナピルアルコールγ-エチルエーテル、(8)はコニフェリルアルコールγ-エチルエーテル、(9)はシナピルアルコールγ-プロピルエーテル、(10)はコニフェリルアルコールγ-プロピルエーテル、(11)はシナピルアルコールγ-ブチルエーテル、そして(12)はコニフェリルアルコールγ-ブチルエーテルである。 前記350℃で5分間処理の条件での1−オクタノールを用いたブナ木粉の可溶化特性から、被処理バイオマスを粉体化処理することにより、原料の供給、1−オクタノールを温度制御して超臨界乃至亜臨界の条件を達成する流通型反応管を配置することでバイオマス変換装置が容易に設計可能である。本発明の1−オクタノールを用いたバイオマスの可溶化方法は、反応の進行が温度的に穏和な低温で、かつ低圧力で実施できることから、バイオマスからの化成品などの有価物の収集を制御した条件で進行させることができることから、産業上の利用性が高い。特に太陽光の利用をもくろんだバイオマス資源の有効利用と結合すれば、グリーンケミストリーを実現でき、有望な技術となる。実施例1可溶化処理の時間経過特性を示す使用アルコール類の可溶化処理特性を350℃、5分間の固定条件において比較した場合を示す使用アルコール類の可溶化処理特性で得られる化成品を示す高速液体クロマトグラムリグノセルロース系バイオマス、セルロース系バイオマス、含窒素多糖類及びたんぱく質系バイオマスからなる群から選択される1種または2種以上を、温度範囲195℃〜500℃および圧力範囲1MPa〜100MPaの超臨界から亜臨界状態の1−オクタノール中で処理することを特徴とする前記バイオマスの分解・液化方法。バイオマス原料として外接径が10mm以下となるように粉砕したものを使用すること請求項1に記載のバイオマスの分解・液化方法。温度範囲300℃〜385℃および圧力範囲2.5MPa〜25MPaの亜臨界の1−オクタノールを用いる請求項1または2に記載のバイオマスの分解・液化方法(実施例に近い最も好ましい範囲の技術限定)。 【目的】 バイオマスの効率的な超臨界乃至亜臨界可溶化処理方法の提供 【構成】 リグノセルロース系バイオマス、セルロース系バイオマス、含窒素多糖類及びたんぱく質系バイオマスからなる群から選択される1種または2種以上を、温度範囲195℃〜500℃および圧力範囲1MPa〜100MPaの超臨界から亜臨界状態の1−オクタノール中で処理することを特徴とする前記バイオマスの分解・液化方法。 【選択図】 図2


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特許公報(B2)_バイオマスの分解・液化方法

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タイトル:特許公報(B2)_バイオマスの分解・液化方法
出願番号:2004110921
年次:2011
IPC分類:B09B 3/00,B01J 3/00,C07C 41/44,C07C 43/23


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坂 志朗 南 英治 山崎 潤 河本 晴雄 JP 4759227 特許公報(B2) 20110610 2004110921 20040405 バイオマスの分解・液化方法 坂 志朗 599006203 豊田通商株式会社 000241485 渡邊 薫 100112874 坂 志朗 南 英治 山崎 潤 河本 晴雄 20110831 B09B 3/00 20060101AFI20110811BHJP B01J 3/00 20060101ALI20110811BHJP C07C 41/44 20060101ALN20110811BHJP C07C 43/23 20060101ALN20110811BHJP JPB09B3/00 304ZB09B3/00 ZB01J3/00 AC07C41/44C07C43/23 A B09B 3/00 特開2001−205070(JP,A) 特開2001−170601(JP,A) 5 2005288406 20051020 7 20070403 特許法第30条第1項適用 平成16年3月1日 京都大学大学院エネルギー科学研究科発行の「京都大学21世紀COE広報「環境調和型エネルギーの研究教育拠点形成」」に発表 岡田 三恵本発明は、超臨界から亜臨界状態、すなわち、温度範囲195℃〜500℃、好ましくは300℃〜385℃および圧力範囲1MPa〜100MPa、好ましくは2.5MPa〜25MPaの状態の1−オクタノール中でリグノセルロース系バイオマス、セルロース系、ヘミセルロー系バイオマス、含窒素多糖類及びたんぱく質系バイオマスからなる群から選択される1種または2種以上を処理して前記バイオマスを分解・可溶化する有価物への変換収集方法に関する。 化石資源は無尽蔵とは言えないことから、これらを生産効率の良い化学原料に振り向けることが資源の有効利用の面から好ましい。また、地球温暖化などの環境問題の軽減などの観点から、CO2の発生を抑制した、または伴わないクリーンなエネルギー供給源の開発、およびエネルギーへの変換技術の開発が熱望されている。このような中で、最もクリーンなエネルギーの供給源、すなわち植物などの生育など、乃至太陽光の生活利用性の良いエネルギーへの変換手段の開発のために色々な方向からアプローチがされている。このような技術の1つとして、バイオマスなどからできる限り多くの、エネルギー源としての、また化学製品としての有価物を得ることを目的とした技術開発が種々の超臨界または亜臨界状態の媒体を用いて検討されている。 前記検討の中で、前記媒体の超臨界または亜臨界状態における基本特性の検討が前記開発を進めるために重要である。例えば、超臨界状態の水は、温度または圧力を変えることにより、溶媒特性を連続的かつ大幅に変えることができ、被処理物との関連において至適条件の確立が必要である。また、メタノールのイオン積は、水と同様温度上昇と共に増大し、圧力を上げるとさらにイオン積が増大し、超臨界状態では解離したメタノールが酸として働き高温のバイオマス類の可溶媒分解場として利用できる。従って、このように超臨界メタノールは、超臨界水と同様、温度または圧力を変えることにより、溶媒特性を連続的かつ大幅に変えて利用することができる。しかし、このような特性を知っただけで、直ちに被処理物との組み合わせを予測できるわけでもなく、多くの試行錯誤の繰り返しにより、被処理物からの所望の生成物をうる条件を見出すことができる、というのが現状である。 このような中で、本発明者は、未利用及び廃バイオマスを含むセルロース系、リグノセルロース系バイオマス、含窒素多糖類及びたんぱく質系バイオマス資源から、低分子量の有用物質を、最終製品または化成品製造原料などとしての物資の利用などを考慮しつつ、効率良く変換して得る技術を研究し、前記バイオマス資源をメタノールなどのアルコール又は他の有機溶媒と超臨界状態または亜臨界状態で加溶媒分解することにより有用物質を含む組成物、特に、有機溶媒に溶解したバイオマス由来の成分を含む液体燃料としてそのまま利用できる組成物を提供する技術、および、前記処理で得られた有機溶媒に溶解したバイオマス由来の成分を、前記溶媒を留去した後、他の溶媒に溶解して新しい組成物として、また、燃料などとして用いることを提案している(特許文献1)。 更に、アルコール類として炭素数が1−14の脂肪族アルコールを利用することを提案しているが、具体的に超臨界などの条件を挙げているものは炭素数が5までのものであり、メタノール以外のアルコール類の超臨界状態または亜臨界状態における特性を知ると共に、その有用性を見出すことは更なる発展につながる。特開2001−205070公報、特に、特許請求の範囲 本発明の課題は、前記詳細に検討されていなかったアルコール類の超臨界状態または亜臨界状態における特性を詳細に検討し、バイオマス類から従来よりも短時間の処理で有価物を収集できる方法を提供することである。 そこで、本発明者等は、温度範囲195℃〜500℃、好ましくは300℃〜385℃および圧力範囲1MPa〜100MPa、好ましくは2.5MPa〜25MPaの超臨界から亜臨界状態におけるバイオマスとして、ブナ(Fagus crenata)木粉の処理の特性を鋭意検討した。その中で、1−オクタノールが他のアルコールに対して可溶化において極めて顕著な特性、すなわち、350℃の超臨界から亜臨界状態の条件において約3分間で前記ブナ材の95%を可溶化できるという予想以上の優れた特性があることを見出し、本発明の前記課題を解決できた。 特に、処理温度300℃〜385℃、処理圧力2.5MPa〜25MPaの1−オクタノールを用いると、処理時間が短くて回収可能のため、後に化成品の中間原料として有効なコニフェリルアルコール、シナピルアルコールおよびこれらのγ−アルキルエーテルが得られることが確認され、極めて優れたバイオマスの可溶化手段であることが確認された。 即ち、本発明に係るバイオマスの分解・液化方法では、リグノセルロース系バイオマスを、温度範囲195℃〜500℃および圧力範囲1MPa〜100MPaの超臨界から亜臨界状態の1−オクタノール中で処理することにより、前記バイオマスを分解し、1−オクタノールに可溶化する。 この方法は、バイオマス原料として外接径が10mm以下、より好ましくは1mm以下となるように粉砕した木粉を使用することができる。 また、温度範囲300℃〜385℃および圧力範囲2.5MPa〜25MPaの条件で処理を行ってもよい。 更に、前記リグノセルロース系バイオマス中のリグニンを分解することにより、コニフェリルアルコール、シナピルアルコール及びこれらのγ−アルキルエーテルを得ることもできる。 このγ−アルキルエーテルとしては、例えば、シナピルアルコールγ-オクチルエーテル及び/又はコニフェリルアルコールγ-オクチルエーテルが挙げられる。発明の効果として、非常に短時間でバイオマスの分解・液化が可能であるので、バイオマスから好ましい分解段階の化学原料として収集できることを挙げることができる。 A.表1に各アルコールの臨界温度および臨界圧力と、バイオマスとしてブナ木粉を用いて、これの可溶化試験に用いた条件(*)とをまとめて示す。処理後の試料はアルコール不溶残渣とアルコール可溶部とに、0.2μmのメンブランフィルター(アドバンテックス社製、品名TO20A047A)を用い分離した。また、アルコール可溶部は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)(島津製作所社製、カラム STR-ODSII、移動相 水/メタノール=80/20〜0/100(60分)、温度 40℃、検出器 SPD(280nm)により分解生成物を確認した。B.バッチ型の耐圧反応容器にバイオマスとアルコールとを充填し、150℃〜500℃に調整できるスズまたはオイル浴槽を用いて加熱し、時間経過後に20℃の水浴に漬けて急冷し反応を停止させる操作により試験をした。C.亜臨界とは、反応系の温度がアルコールの沸点以上、かつ、圧力が反応温度におけるアルコールの蒸気圧より大きい条件である。1−オクタノールの沸点は195℃であり、反応系の温度は195℃以上、圧力1.0MPa以上の条件をいう。 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これは本発明をより理解し易くすることを目的とするものであり、これにより本発明を限定的に解釈されないことは当然である。 バイオマス試料として粒径280μm以下のブナ(Fagus crenata)木粉150mgを容積5mL、材質インコネル625の耐圧反応管を有し、加熱用のスズ浴(必要に応じてオイル浴)と冷却用の水浴に移送する装置を備えたバッチ型超臨界流体バイオマス変換装置に挿入し、更に1−オクタノール4.9mLを充填した。前記ブナ木粉及び1−オクタノールを充填した耐圧反応管を温度270℃または350℃に制御されたスズ浴に最長30分浸漬した。所定の処理時間が経過後、前記反応管を20℃の水浴に移送して冷却した。採取した試料を0.22μmメンブレンフィルタで濾過し、アルコール不溶残渣とアルコール可溶部に分離し、アルコールの可溶化の特性を測定した。350℃での実験結果を図1に示す、参考のために、1−オクタノール(▲)の場合に加えて、メタノール(○)、エタノール(△)、1−プロパノール(□)、1−ブタノール(●)、及び1−デカノール(■)の場合を示した。1−オクタノールを用いた場合、極めて顕著な効果を示すことが分かった。 前記アルコールを用いた、350℃で5分間処理の条件でのアルコール類のブナ木粉の可溶化特性を検討した。その結果を図2に示す。1−オクタノールが前記処理において特異的効果を示すことが分かった。 前記処理により得られたアルコール可溶部を前記高速液体クロマトグラフを用いて分析した。その結果を図3に示した。リグニン由来生成物の化成品として有用な中間品である、コニフェリルアルコール(1)、シナピルアルコール(2)、シナピルアルコールγ-オクチルエーテル(13)、コニフェリルアルコールγ-オクチルエーテル(14)などが得られることが分かった。図3において、(3)は2,6−ジメトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール、(4)はイソオイゲノール、(5)はシナピルアルコールγ-メチルエーテル、(6)はコニフェリルアルコールγ-メチルエーテル、(7)はシナピルアルコールγ-エチルエーテル、(8)はコニフェリルアルコールγ-エチルエーテル、(9)はシナピルアルコールγ-プロピルエーテル、(10)はコニフェリルアルコールγ-プロピルエーテル、(11)はシナピルアルコールγ-ブチルエーテル、そして(12)はコニフェリルアルコールγ-ブチルエーテルである。 前記350℃で5分間処理の条件での1−オクタノールを用いたブナ木粉の可溶化特性から、被処理バイオマスを粉体化処理することにより、原料の供給、1−オクタノールを温度制御して超臨界乃至亜臨界の条件を達成する流通型反応管を配置することでバイオマス変換装置が容易に設計可能である。本発明の1−オクタノールを用いたバイオマスの可溶化方法は、反応の進行が温度的に穏和な低温で、かつ低圧力で実施できることから、バイオマスからの化成品などの有価物の収集を制御した条件で進行させることができることから、産業上の利用性が高い。特に太陽光の利用をもくろんだバイオマス資源の有効利用と結合すれば、グリーンケミストリーを実現でき、有望な技術となる。実施例1可溶化処理の時間経過特性を示す使用アルコール類の可溶化処理特性を350℃、5分間の固定条件において比較した場合を示す使用アルコール類の可溶化処理特性で得られる化成品を示す高速液体クロマトグラム リグノセルロース系バイオマスを、温度範囲195℃〜500℃および圧力範囲1MPa〜100MPaの超臨界から亜臨界状態の1−オクタノール中で処理することにより、前記バイオマスを分解し、1−オクタノールに可溶化するバイオマスの分解・液化方法。 バイオマス原料として木粉を使用することを特徴とする請求項1に記載のバイオマスの分解・液化方法。 温度範囲300℃〜385℃および圧力範囲2.5MPa〜25MPaの条件で、3〜5分間処理を行い、前記バイオマスの95%以上を可溶化することを特徴とする請求項1又は2に記載のバイオマスの分解・液化方法。 前記リグノセルロース系バイオマス中のリグニンを分解して、コニフェリルアルコール、シナピルアルコール及びこれらのγ−アルキルエーテルを得ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のバイオマスの分解・液化方法。 γ−アルキルエーテルが、シナピルアルコールγ-オクチルエーテル及び/又はコニフェリルアルコールγ-オクチルエーテルであることを特徴とする請求項4に記載のバイオマスの分解・液化方法。


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