タイトル: | 公開特許公報(A)_フリーラジカル消去剤 |
出願番号: | 2004110916 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A61K31/341,A23L1/30,A23L2/52,A61P39/06,C07D307/48,C09K15/06 |
伊藤 浩子 松本 紘斉 JP 2005289940 公開特許公報(A) 20051020 2004110916 20040405 フリーラジカル消去剤 伊藤 浩子 504136144 松本 紘斉 501404815 丸山 敏之 100066728 宮野 孝雄 100100099 北住 公一 100111017 長塚 俊也 100119596 伊藤 浩子 松本 紘斉 7A61K31/341A23L1/30A23L2/52A61P39/06C07D307/48C09K15/06 JPA61K31/341A23L1/30 BA61P39/06A23L2/00 FC07D307/48C09K15/06 3 OL 6 4B017 4B018 4C037 4C086 4H025 4B017LC03 4B017LG03 4B017LP01 4B018LB08 4B018MD52 4B018ME06 4B018MF01 4C037HA21 4C037HA22 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA03 4C086MA01 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZC37 4H025AA82 4H025BA01 本発明は、ムメフラールを有効成分とするフリーラジカル消去剤及び該フリーラジカル消去剤を含む飲食品に関するものである。 呼吸で体内に取り入れた酸素は、約98%が生活エネルギーに使われ、残りの約2%は活性化する。活性化した酸素の一部は、白血球やマクロファージの殺菌作用に利用されるが、過剰に増加すると、攻撃性の強い有害酸素に変化する。 この攻撃性の強い酸素には、スーパーオキシドラジカル、ヒドロキシラジカル、ヒドロペルオキシドラジカル、ジフェニルピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカルなどのフリーラジカルが含まれており、これらのフリーラジカルは、正常な組織細胞に損傷を与えて、発癌を促進したり、動脈硬化、心筋梗塞などの様々な生活習慣病の原因になると言われている。 これらフリーラジカル消去剤は、人体への副作用回避等の安全性の見地から、天然由来のものが好適に選択され、これまでにも、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド類(緑黄色野菜、藻類)、カテキン類(緑茶)、フラボノイド類(タマネギ、ブロッコリー)など、植物抽出物を含むものが広く用いられている。 しかしながら、これらの植物抽出物は、フリーラジカル消去作用が十分ではなかったため、フリーラジカル消去効果を高めるために、様々な提案がなされている。 例えば、緑茶葉抽出物とカロチノイド色素を含有することを特徴とする活性酸素フリーラジカル消去剤がある(例えば特許文献1参照)。 また、柑橘果実由来のエリオシトリンとビタミンCを有効成分として含有することを特徴とするフリーラジカル消去剤がある(例えば特許文献2参照)。特開平6−145062号公報(全文)特開2002−29975号公報(全文) 前記特許文献に記載されたフリーラジカル消去剤は、異種成分の組合せによる相乗効果によってフリーラジカル消去作用を高めるものであるが、活性酸素フリーラジカルの中でも、最も反応性が強いヒドロキシラジカルに対しては、その消去能力は、必ずしも満足し得るものではなかった。 本発明の目的は、フリーラジカル、特にヒドロキシラジカルの消去活性にすぐれたフリーラジカル消去剤及び該フリーラジカル消去剤を含む飲食品を提供することである。 梅肉エキスの血流改善作用の研究において、梅肉エキスの中には、ムメフラール(Mumefural)と名付けられた成分が含まれており、このムメフラールが血流改善にすぐれた効果を発揮することが明らかにされている。 しかしながら、これまで、ムメフラールが、活性酸素・フリーラジカル消去作用を有することについては知られていなかった。 本発明者らは、ムメフラールが極めてすぐれたフリーラジカル消去能力を有することを見い出し、フリーラジカル消去剤として有用であるという知見に基づいて上記課題を解決するものである。 すなわち、本発明は、ムメフラールを有効成分とするフリーラジカル消去剤である。 さらに本発明は、ムメフラールを有効成分とするフリーラジカル消去剤を含む飲食品である。 ムメフラールは、フリーラジカルの中でも最も反応性が強いヒドロキシラジカルの消去活性にすぐれ、かつ安全性も高いため、フリーラジカル消去剤、及び該フリーラジカル消去剤を含む飲食品として有用であり、シロップ、錠剤、カプセル等の種々形態で経口摂取することにより、生体内で発生するフリーラジカルを効果的に消去し、フリーラジカルに起因する様々な疾病の予防に大きく寄与することができる。<ムメフラール> ムメフラールは、梅肉エキスの製造過程で生成する物質であることが知られており、青梅のすりおろし汁を長時間煮詰める間に、生梅の酵素活性が失われ、酸性条件下で進行する化学反応によって生成する。 即ち、ムメフラールは、梅肉エキスの製造過程において、梅の実に含まれているグルコース、フルクトース等の糖質が、加熱によって脱水反応し、5−ヒドロキシメチル−2−フルフラールに変化した後、さらにクエン酸とエステル結合することによって生成する物質である。 ムメフラールの化学名は、1-[5-(2-formylfuryl)methyl]dihydrogen 2-hydroxypropane-1,2,3-tricarboxylateであり、その化学構造式は、次のとおりである。<ムメフラールの単離> 梅肉エキスに含まれるムメフラールの単離は、例えば次の要領にて行なうことができる。 まず、梅肉エキスをメタノール溶液に浸漬して、濃縮液を抽出する。得られた濃縮液を乾燥した後、再びメタノール溶液に溶解する。この溶液を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって分画し、溶出した所定の画分を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって単離し精製することができる。<ムメフラールの使用形態> 本発明のフリーラジカル消去剤は、ムメフラールを有効成分として含有するものである。この有効成分とは、所定量のムメフラールを摂取したときに、生体内で、活性酸素フリーラジカルを有意的に低減又は消去できることを意味する。 ムメフラールは、単離精製したものを、医薬の製剤技術分野で通常使用される賦形剤、懸濁剤、コーティング剤などの補助剤を用いて製剤化し、シロップ剤、錠剤、顆粒、カプセル剤等の形態で服用することができる。 また、砂糖やハチミツなどの甘味料の他、健康用飲食品に常用される各種成分を加えることにより、飲食品として製造することもできる。 なお、ムメフラールを梅肉エキスから単離精製することなく、梅肉エキスの状態でフリーラジカル消去剤として使用することもできる。 本発明のフリーラジカル消去剤におけるムメフラールの摂取量は、症状、年齢、体重等によって適宜選択される。ムメフラールが有効成分として含まれる薬剤、飲食品等の摂取に際しては、例えば、成人の場合、1日当たりのムメフラールの摂取量が0.05〜0.1mM(約15〜30mg)となるように、薬剤、飲食品等を摂取することが好ましい。なお、ムメフラールを梅肉エキスの状態で摂取する場合、成人1日当たりの梅肉エキスの摂取量は、約5〜10gが好ましい。 次に、本発明のフリーラジカル消去剤におけるムメフラールのヒドロキシラジカル消去活性について、電子スピン共鳴法(ESR)によって調べた結果を、例を挙げて説明する。 まず、供試サンプルとして用いるムメフラールを次のとおり単離した。 梅肉エキス(株式会社梅丹本舗製)5gを80%メタノール溶液100mlに浸漬して、抽出物を得た。得られた抽出物を同じメタノール溶液による抽出作業をさらに2回繰り返した。抽出溶液を真空乾燥し、10%メタノール溶液(蟻酸0.2%含有)30mlに溶解し、得られた溶解液をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に付し、120分画を得た。GPCは、東ソー株式会社製HW−40を使用し、カラムは長さ450mm×内径40mmである。次に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、ムメフラール溶出画分を単離した。使用したHPLCの構成は、ポンプJASCO880−PU、インジェクターRHEODYNE7125、波長検出器875−UVである。 単離したムメフラールは17.3mgであった。 ムメフラールの供試サンプルとして、単離したムメフラールを0.1Mリン酸塩緩衝液(pH7.8)に溶解し、0.001mM、0.0025mM、0.01mM、0.10mMの4種類を準備した。 なお、比較のために、アスコルビン酸(ビタミンC)(特級、和光純薬工業株式会社)について、ムメフラールの場合と同様、0.1Mリン酸塩緩衝液(pH7.8)に溶解し、0.10mM、0.50mM、1.00mMの3種類の供試サンプルを準備し、クエン酸(特級、和光純薬株式会社)についても、50mMの供試サンプルを準備した。 ESR装置は、JES−RE1X(日本電子株式会社)を使用した。フリーラジカルの測定に関しては、フリーラジカルの寿命は非常に短いことから、極めて短時間のうちに測定を行わなければならないことがこれまでの最大の問題であった。しかしながら、各種トラッピング剤の開発により、短寿命フリーラジカルを比較的長命のフリーラジカル(スピンアダクト又はアダクト)として捕捉することができるようになり、ESRによる測定が可能となった。 ESR装置は、電源スイッチを入れ、冷却水を流し、磁場を336.0mTに設定した後、20分間放置した。試験管には、2mM硫酸第一鉄水溶液(特級、関東化学株式会社)37.5μlと、11mM DETAPAC37.5μlを入れておいた。その後、各供試サンプル50μlを入れ、0.092M DMPO(用時調整)20μl及び1mM過酸化水素水(精密分析用、三徳化学工業株式会社)(用時調整)75μlを加え、渦動した後、全量をセルに入れ、ESR装置に付した。 試験結果によれば、ムメフラールの供試サンプルの場合、ヒドロキシラジカルの消去活性率は、0.001mMで30%、0.0025mMで50%、0.01mMで75%、0.10mMで100%を示した。 アスコルビン酸(ビタミンC)の供試サンプルの場合、ヒドロキシラジカルの消去活性率は、0.10mMで25%、0.50mMで40%、1.00mMで80%であり、クエン酸の供試サンプルの場合は、50mMでも45%にすぎなかった。 これらの結果から明らかなように、ムメフラールは、フリーラジカル消去活性にすぐれると一般的に言われているビタミンCよりも、約10倍以上も強力なフリーラジカル消去能力を有している。 本発明のフリーラジカル消去剤は、フリーラジカルの中でも最も反応性が強いヒドロキシラジカルの消去活性にすぐれるムメフラールを有効成分として含んでいるため、安全性も高く、適量を摂取することにより、生体内で発生するフリーラジカルを効果的に消去し、フリーラジカルに起因する生活習慣病その他様々な疾病の改善や予防に大きく寄与することができる。 本発明のフリーラジカル消去剤は、梅肉エキス、シロップ、錠剤、カプセル等の種々形態で提供することにより、これら疾病の改善及び予防のための薬剤、健康食品、飲食品として利用することができる。ムメフラールを有効成分とするフリーラジカル消去剤。ムメフラールを有効成分とするヒドロキシラジカル消去剤。ムメフラールを有効成分とするフリーラジカル消去剤を含む飲食品。 【課題】 フリーラジカル、特にヒドロキシラジカルの消去活性にすぐれたフリーラジカル消去剤及び該フリーラジカル消去剤を含む飲食品を提供する。【解決手段】 ムメフラールを有効成分に含むことにより、従来のフリーラジカル消去剤と比べて、フリーラジカル消去活性を飛躍的に向上させることができる。本発明のフリーラジカル消去剤を摂取することにより、活性酸素フリーラジカルに起因する各種の疾患や生活習慣病の改善や予防にすぐれた効果がもたらされる。【選択図】 なし