タイトル: | 公開特許公報(A)_アズレン類の溶液製剤 |
出願番号: | 2004101715 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A61K47/34,A61K9/08,A61K31/10,A61K47/10,A61K47/32,A61P29/00,A61P37/08 |
金井匡平 秋田恵理子 武山敬祐 JP 2005281269 公開特許公報(A) 20051013 2004101715 20040331 アズレン類の溶液製剤 大洋薬品工業株式会社 000208145 金井匡平 秋田恵理子 武山敬祐 7A61K47/34A61K9/08A61K31/10A61K47/10A61K47/32A61P29/00A61P37/08 JPA61K47/34A61K9/08A61K31/10A61K47/10A61K47/32A61P29/00A61P37/08 8 OL 8 4C076 4C206 4C076AA12 4C076CC05 4C076DD38E 4C076EE16E 4C076EE23E 4C076FF15 4C076GG45 4C076GG46 4C206AA01 4C206JA13 4C206MA05 4C206MA37 4C206NA02 4C206NA03 4C206NA06 4C206ZB11 4C206ZB13 本発明はアズレン類の可溶化及び析出防止に関する。 アズレンスルホン酸ナトリウムをはじめとするアズレン類は菊科植物であるカミツレの花の成分であり、古くから抗炎症効果があるとして経験的に使用されてきた。そして現在ではアズレン類の一つであるアズレンスルホン酸塩は抗炎症剤、抗アレルギー作用、抗潰瘍作用、組織修復促進作用等が確認されている。また、人体に対して安全性が高いことから、経口、経皮、粘膜、点眼等人体の各部医で幅広く使用されて、それ故に数多くの剤形が世の中に存在している。 しかし、アズレン類は水分、熱、光、酸塩基等により容易に分解されるため、比較的、反応性の低い剤形である錠剤、細粒剤等の固形剤が主流であった。一方で、アズレン類は水にほとんど溶解しない薬物であるため、薬効発現のためには、溶解性を高めるため何からの製剤的工夫が必要である。従って、安定で可溶化されたアズレン類の水溶液の製剤が望まれ、以下に示すように、安定で可溶化されたアズレン類の液剤製剤が様々提案されている。特開平1−193387はイミダゾリン型両性界面活性剤アズレンに両性界面活性剤やグリシン両性界面活性剤などのような両性界面活性剤を用いることにより長期的に安定な溶解型アズレン製剤を製する方法を開示している。特公平8−25874はアルキルポリアミノエチルグリシンと非イオン界面活性剤を添加することにより長期に安定性を確保することのできる製剤を製することのできる方法を開示している。しかし、ここに開示されているアズレンスルホン酸塩の長期に安定化できた製剤はアズレンスルホン酸塩の含量が1%未満と非常に少なく、高濃度で長期に安定化されたアズレン類の液剤製剤が望まれてきた。特開平11−246513は非イオン性界面活性剤とアルコール類を含有させることにより1%以上と非常に高含量のアズレンスルホン酸塩を含有させた水溶液を得ることに成功した。特開平1−193387特公平8−25874特開平11−246513界面活性剤を利用して高濃度の製剤を得ることができたものの、界面活性剤は環境に排出されると海、川、湖等に流れ込み、生態系を破壊することはもとより、体内に蓄積されると発ガン性があるとの報告がある。従って、界面活性剤を使用せず、溶解安定なアズレン類の液剤製剤の設計が望まれている。 本発明者らは鋭意、研究を行った結果、多価アルコールとポリエチレングリコールを配合させることにより界面活性剤を用いることなく高含量のアズレン類を含有した安定な水溶液製剤を完成した。すなわち、本発明の趣旨は下記の通りである。(1)多価アルコールとポリエチレングリコールを含有させたアズレン類の溶液製剤(2)アズレン類がアズレンスルホン酸ナトリウムである(1)の製剤(3)多価アルコールがプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、キシリトールである(1)若しくは(2)の製剤(4)多価アルコールがグリセリンである(1)ないし(3)の製剤(5)ポリエチレングリコールの分子量が200〜20000である(1)ないし(4)の製剤(6)ポリエチレングリコールの分子量が300〜600である(1)ないし(5)の製剤(7)更にポリビニルピロリドンを加えた(1)ないし(6)の製剤(8)更に一価のアルコールを加えた(1)ないし(7)の製剤 上記に述べたように従来の方法では、界面活性剤を用いないと高含量のアズレン類の水溶液を調整することができなかったが、本発明の方法を用いることにより界面活性剤を用いずに高含量のアズレン類の水溶液を製造することができる。また、本発明に従ってアズレン類の水溶液を製造することによって、再結晶を起こすこともなく、品質的にも安定な水溶液を提供することができる。 本発明は、水にほとんど溶解しないアズレン類を多価アルコールとポリエチレングリコールとともに溶解させることにより、今までよりも高含量で溶解性が維持され且つ安定なアズレンスルホン酸類の水溶液製剤に関する。また、本発明は必要に応じてポリビニルピロリドンや一価のアルコール等のような他の添加剤を含有することもできる。本発明におけるアズレン類はアズレン環を有する化学物質であれば限定されることはなく、グアイアズレン、アズレンスルホン酸塩、ハイアズレン、アズレン若しくはこれらの誘導体や塩が挙げられ、特にアズレンスルホン酸ナトリウムが特に望ましい。製剤中の含量は0.0001〜0.20部、好ましくは0.001〜0.10部、更に好ましくは0.01〜0.05部である。 本発明における多価アルコールは複数の水酸基が結合しているアルコールであれば特に限定されることはなく、具体的にはグリセリン、プロピレングリコール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、トレハロース、ガラクチトール、ポリビニルアルコール、エチレングリコール、などが挙げられ、好ましくはグリセリン、プロピレングリコールである。製剤中の含量はアズレン類に対して0.1部以上であればよく、好ましくは1〜20部、更に好ましくは2〜10部である。本発明におけるポリエチレングリコールの分子量は特に限定されることはないが、その分子量は好ましくは200〜20000であり、更に好ましくは300〜600である。製剤中の含量はアズレン類に対して0.5部以上であればよく、好ましくは4〜30部、更に好ましくは5〜20部である。本製剤は適宜一価のアルコールやポリビニルピロリドンを添加することができる。一価のアルコールは特に限定することはないが、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、が望まれる。また、ポリビニルピロリドンはK値により粘度が異なり最終製剤の物性等にも影響を与える。ただし、安定な水溶液を得るためにはK値は特段設定することはないが、望ましくはK=90が良い。 また、更に本発明の効果に支障がない限り、適宜製剤化助剤を加えることができる。製剤化助剤として利用できる添加剤として、安定化剤、緩衝剤、甘味剤、矯味剤、抗酸化剤、着香剤・香料、消泡剤、着色剤、等帳化剤、pH調整剤、粘稠剤、保存剤、溶剤、溶解剤などが含まれる。 安定化剤としては例えば、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、エリソルビン酸、ショ糖脂肪酸エステル、精製ゼラチン、大豆レシチン、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。緩衝剤としては例えば、L−アルギニン、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩酸アルギニン、塩酸グルコサミン、クエン酸、グリシン、L−グルタミン、酒石酸、炭酸水素ナトリウム、乳酸、酢酸、塩酸、ホウ酸、リンゴ酸、リン酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウムなどが含まれる。甘味剤としては、例えばアスパルテーム、アマチャ、果糖、カンゾウ、サッカリンなどが含まれる。 矯味剤としては、例えばウイキョウ、オレンジ油、カラメル、カルバコール、カンフル、グルクノラクトン、クロレラ、ケイヒ末、センブリ、タイゾウ末、タンニン酸、チョウジ油、トウガラシ、トウヒチキン、トウヒ末、ニガキ末、梅肉エキス、ハッカ油、メントール、ユーカリ油、レモン油、ローズ油、ローヤルゼリーなどが挙げられる。 抗酸化剤としては、例えば亜硝酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、トコフェロール、没食子酸プロピルなどが挙げられる。着香剤・香料としては、例えばウイキョウ油、エチルバニリン、オレンジ、ケイヒ、シュガーフレーバー、チェリーフレーバー、バニラフレーバーなどの各種フレーバー類などが挙げられる。 消泡剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、シリコン消泡剤、シリコン油などが挙げられる。着色剤としてはリボフラビン、厚生労働省から認められている法定色素などが挙げられる。等張化剤としては、例えば塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、生理食塩水、ブドウ糖などが挙げられる。pH調整剤としては、例えば、アンモニア水、塩酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、硫酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなどが含まれる。粘稠剤としては、例えばアルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、軽質無水ケイ酸、デキストラン、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、水飴、メチルセルロース、流動パラフィンなどが挙げられる。 保存剤としては、例えば安息香酸、フェノール、エデト酸、塩化セチルピリジニウム、塩化ゼンザルコニウム、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸イソプチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどが挙げられる。 また、本発明製剤を製造するにあたり、特に制約はなく、通常の設備を用い、常法で混合、溶解などの操作を行えばよい。好ましくはアズレン類を溶解するなど、固形物を溶解させる際には加温をすることにより、工程の短縮を行うことができ、生産の効率が上がることを期待できる。 以下、実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制約されるものではない。 下記の処方表1を用い常法に従いアズレンスルホン酸ナトリウム水溶液を作成した。なお、製造時は顕微鏡観察により完全に溶解されていることを確認した。 試験例1実施例1、2、比較例1、2の検体を5℃の冷蔵庫に40日間保管し、これらの製剤について析出具合を確認した。その結果を表2に示す。表2の結果より、比較例1、2では水溶性アズレンと思われる析出を確認したが、実施例1、2では確認されなかった。 下記の処方表3を用い常法に従いアズレンスルホン酸ナトリウム水溶液を作成した。なお、製造時は顕微鏡観察により完全に溶解されていることを確認した。 実施例3、4の検体を試験例1に従い析出試験を実施した。その結果を表4に示す。試験例2実施例1、4の検体を用い60℃の恒温器で21日間の安定性試験を実施した。その結果を表5に示す。 表4及び表5の結果より実施例の製剤は析出を起こさず、更に安定性が確保されたアズレンスルホン酸ナトリウム液剤製剤であることを確認した。多価アルコールとポリエチレングリコールを含有させたアズレン類の溶液製剤アズレン類がアズレンスルホン酸ナトリウムである請求項1の製剤多価アルコールがプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、キシリトールである請求項1若しくは2の製剤多価アルコールがグリセリンである請求項1ないし3の製剤ポリエチレングリコールの分子量が200〜20000である請求項1ないし4の製剤ポリエチレングリコールの分子量が300〜600である請求項1ないし5の製剤更にポリビニルピロリドンを加えた請求項1ないし6の製剤更に一価のアルコールを加えた請求項1ないし7の製剤 【課題】界面活性剤を用いずに完全に溶解した高含量のアズレン類水溶液を提供する。【解決手段】アズレン類若しくはその誘導体、若しくはその塩と多価アルコール、ポリエチレングリコールを添加した製剤