タイトル: | 公開特許公報(A)_合金型温度ヒューズの使用方法及び合金型温度ヒューズ |
出願番号: | 2004097937 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,H01H37/76,C22C12/00,C22C13/02,C22C28/00 |
田中 嘉明 井川 直孝 岩本 美城 猿渡 利章 JP 2005285561 公開特許公報(A) 20051013 2004097937 20040330 合金型温度ヒューズの使用方法及び合金型温度ヒューズ 内橋エステック株式会社 000225337 松月 美勝 100097308 田中 嘉明 井川 直孝 岩本 美城 猿渡 利章 7H01H37/76C22C12/00C22C13/02C22C28/00 JPH01H37/76 ZH01H37/76 FH01H37/76 KC22C12/00C22C13/02C22C28/00 B 9 OL 12 5G502 5G502AA02 5G502KK10 本発明は、In−Sn系合金をヒューズエレメントとする合金型温度ヒューズを直流下で使用する場合に交流下使用の場合よりも過重の条件である長期直流通電安定性を課し、当該合金型温度ヒューズを合理的に使用する方法に関するものである。 合金型温度ヒューズにおいては、ヒューズエレメントに所定融点の可溶合金を用い、そのヒューズエレメントにフラックスを塗布しており、電子・電気機器に熱的に接触させて取付け、電子・電気機器の異常に基づく発熱でヒューズエレメントを溶融させ、この溶融合金を溶融フラックスとの共存下、表面張力により球状化分断させ、この球状化分断による通電遮断に伴う機器の温度降下で溶融分断合金を凝固させて通電遮断を完結させるようにしている。 近来、電子・電気機器の器材においては、鉛フリー化が進められている。すなわち、電子・電気機器に鉛が含まれていると、その廃棄物から鉛が溶出し、生体系に悪影響を与えるので、例えばはんだの鉛フリー化が進められている。 合金型温度ヒューズのヒューズエレメントにおいても、鉛フリー化が進められている。 使用実績の多い合金型温度ヒューズの動作温度は、120℃〜150℃に属する。 従来、動作温度120℃〜150℃の合金型温度ヒューズの鉛フリーヒューズエレメントとして、In−Sn系合金を使用することが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。特開平11−25829号公報特開2002−25402号公報特開2003−13167号公報 図1はIn−Sn合金の温度状態図を示し、In85%〜52%(Sn15〜48%)の範囲では、固相線温度がほぼ120℃〜150℃の範囲内にあり、固溶体のβ相と溶融体L相との間の固液共存巾が3℃〜4℃と極めて狭く、動作温度のバラツキの狭小化が期待できる。 しかしながら、In−Sn系合金をヒューズエレメントとした合金型温度ヒューズについての本発明者等の鋭意検討結果によれば、予想外にも直流電流を長時間通電すると、長期直流通電による不具合、例えばヒューズエレメントの融点以下の温度でヒューズエレメントが剪断破壊することを知見した。この現象は交流通電では発生せず、直流に固有の現象であることも確認済みである。 この長期直流電流通電破断の一例を示すと、In74%,Sn26%のIn−Sn合金を線引きして得た直径500μmφの線材をヒューズエレメントとした筒型温度ヒューズ(箇数50箇)を動作温度より35℃低い恒温槽に入れ、直流5Aを3000時間通電したところ、ヒューズエレメントが融点以下の固溶体の状態であるにもかかわらず、試料のほぼ50%がヒューズエレメントの中間で剪断破壊した。 これに対し、実効値が前記直流値に等しい交流(波高値√2×5A),3000時間通電では何らの異常も認められなかった。 図1において、In85〜52%の範囲で曲線abに沿い(γ+β)混合相からβ相への相変態が発生しているが、直流通電前の常温から100℃への昇温では破壊が生じないことを確認しており、前記の長時間直流通電破断がこの相変態に基づくものでないことは明らかである。 導体を通電すると周方向磁界が発生し、この周方向磁界と導体電流との間に電流を導体中心に吸引する力が作用する。前記ヒューズエレメントの長期直流通電破断の原因として、推測の域をでないが、直流通電のためにヒューズエレメントの全長にわたり前記電磁作用により中心方向圧縮力が作用し、その結果ポアソン比に基づく軸方向圧縮応力が作用し、多量に含有するInのために柔らかいIn−Sn合金ヒューズエレメントが前記軸方向圧縮応力に基づき剪断応力が発生する面で剪断破壊することが想定できる。 この剪断破壊が直流で生じても、交流では生じない理由としては、交流では角周波数をωとすると、前記斜面での剪断応力が周波数を2ωとする交番力となり、その交番応力が0となる間に結晶間の歪が回復されてしまうのに対し、直流では周波数が0であり、結晶間の歪が累積されていき、遂には剪断破壊に至る破壊機構を想像できる。 電池パックの保護回路におけるFETの異常発熱時の回路保護、ACアダプター内のトランジスタ、コイル、トランス等の過熱保護等にサーモプロテクタが使用されている。この場合に要求されるサーモプロテクタの動作温度は120℃〜150℃である。 しかしながら、In−Sn系合金をヒューズエレメントとして使用した合金型温度ヒューズは、前記プロテクタの動作温度条件を充足するにもかかわらず、前記した長期直流通電による不具合、例えば長期直流通電破壊性のためにサーモプロテクタとして使用し難い。 一方、In85〜52%の範囲で動作温度のバラツキが狭小であり、In85〜52%の範囲が適度の延性を有し、線引き中での断線を排除でき、良好な歩留りを担保できるために、交流電子・電気機器用のサーモプロテクタとしては極めて有用である。なお、交流電子・電気機器とは、それを保護している合金型温度ヒューズに交流電流が流れるものをいい、同様に直流電子・電気機器とは、それを保護している合金型温度ヒューズに直流電流が流れるものをいう。 本発明の目的は、In85〜52%のIn−Sn系合金によれば動作温度のバラツキをよく排除でき、適度の延性のために良好な歩留りを確保できる有利性が得られるにもかかわらず長期間直流通電による不具合、例えば長期直流通電破壊という直流用にとっては致命的な欠陥があることに鑑み、In−Sn系合金をヒューズエレメントとする合金型温度ヒューズを直流下で使用する場合に交流下使用の場合よりも過重の条件である長期直流通電安定性を課し、当該合金型温度ヒューズを合理的に使用することにある。 請求項1に係る合金型温度ヒューズの使用方法は、ヒューズエレメントを(In%+Sn%)>93.4%かつIn%>48.5%のIn−Sn系合金製とした動作温度120〜150℃の交流専用合金型温度ヒューズを交流電子・電気機器を過熱から保護し、同温度の過熱に対する直流電子・電気機器の保護を、ヒューズエレメントの合金組成を前記交流専用合金型温度ヒューズのそれとは合金元素を異ならしめた直流用合金型温度ヒューズにより行なうことを特徴とする。 請求項2に係る合金型温度ヒューズの使用方法は、請求項1記載の合金型温度ヒューズの使用方法において、交流専用合金型温度ヒューズのヒューズエレメントの合金組成が52%≦In≦85%、残部Snの組成であることを特徴とする。 請求項3に係る合金型温度ヒューズの使用方法は、請求項1記載の合金型温度ヒューズの使用方法において、交流専用合金型温度ヒューズのヒューズエレメントの合金組成が52%≦In≦85%、残部Snの100重量部にAg、Au、Ni、Pd、Pt、Sbの少なくとも一種を0.01〜7重量部添加した組成であることを特徴とする。 請求項4に係る合金型温度ヒューズの使用方法は、請求項2または3記載の合金型温度ヒューズの使用方法において、直流用合金型温度ヒューズのヒューズエレメントの合金組成を20%≦Bi≦56.5%,43%<Sn≦70%、0.5%≦In≦10%、または20%≦Bi≦56.5%,43%<Sn≦70%、0.5%≦In≦10%の100重量部にAg、Au、Cu、Ni、Pd、Pt、Sb、Ga、Ge、Pの少なくとも一種を0.01〜7重量部添加した組成であることを特徴とする。 請求項5に係る合金型温度ヒューズの使用方法は、ヒューズエレメントを(In%+Sn%)>93.4%かつIn%>48.5%のIn−Sn系合金製とした動作温度120〜150℃の交流専用合金型温度ヒューズを交・直流電子・電気機器のうちの交流電子・電気機器のみの過熱からの保護に使用することを特徴とする。 請求項6に係る合金型温度ヒューズの使用方法は、請求項5記載の合金型温度ヒューズの使用方法において、交流専用合金型温度ヒューズのヒューズエレメントの合金組成が52%≦In≦85%、残部Snの組成であることを特徴とする。 請求項7に係る合金型温度ヒューズの使用方法は、請求項5記載の合金型温度ヒューズの使用方法において、交流専用合金型温度ヒューズのヒューズエレメントの合金組成が52%≦In≦85%、残部Snの100重量部にAg、Au、Ni、Pd、Pt、Sbの少なくとも一種を0.01〜7重量部添加した組成であることを特徴とする。 請求項8に係る合金型温度ヒューズの使用方法は、請求項1〜7何れかの合金型温度ヒューズの使用方法において、合金型温度ヒューズにヒューズエレメントを溶断させるための発熱体を付設したことを特徴とする。 上記請求項1〜8の合金型温度ヒューズの使用方法において、交流用合金型温度ヒューズと直流用合金型温度ヒューズの動作温度は実質的に同じとされる〔動作温度の公差(±値)の範囲内で両者に一致点を有するもの、公称動作温度+0、−7℃の範囲で両者に一致点を有するものを含む〕。 請求項9に係る合金型温度ヒューズは、請求項1〜8何れかの合金型温度ヒューズの使用方法において使用する、ヒューズエレメントがIn−Sn系合金製の交流専用合金型温度ヒューズであり、交流専用または直流使用禁止の指示を直接または間接的に表示したことを特徴とする。この場合、直接的表示は合金型温度ヒューズのボディへの印刷等により行なうことができ、間接的表示は使用説明書若しくは仕様書、カタログ等での記載により行なうことができる。 In−Sn系合金特に、In85〜52%(Sn15%〜48%)のIn−Sn二元合金をヒューズエレメントとする合金型温度ヒューズでは、長期直流通電下でその通電が原因で破壊する事実に鑑み、そのIn−Sn系合金をヒューズエレメントとする合金型温度ヒューズを交流専用として使用し、またはそのIn−Sn系合金をヒューズエレメントとする合金型温度ヒューズを交流専用として使用し、かつ優れた長期直流通電安定性の別合金組成のヒューズエレメントを用いた合金型温度ヒューズを直流用として使用しているから、In85〜52%のIn−Sn系合金をヒューズエレメントとする合金型温度ヒューズを安全、かつ合理的に使用できる。 特に、ノートパソコン、携帯電話等の電源として用いられている二次電池、例えばリチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池の電池パック内やACアダプター内のサーモプロテクタとして合金型温度ヒューズを使用する場合、前記In85〜52%のIn−Sn系合金をヒューズエレメントとする合金型温度ヒューズの使用を禁じ、優れた長期直流通電安定性の別合金組成のヒューズエレメントを用いた合金型温度ヒューズを電池パック用やACアダプター用のサーモプロテクタ専用として使用することにより、ノートパソコン、携帯電話等の熱的保護の信頼性を向上できる。 更に、In85〜52%のIn−Sn系合金の固液共存巾が狭く、かつ適度の延性を有するために、その合金をヒューズエレメントに用いた合金型温度ヒューズでは、動作温度のバラツキを僅小にでき、良好な歩留りで線引き製線できる有利性を有し、当該合金型温度ヒューズを交流専用で使用することにより、その有利性を享受できる。 図1は本発明において使用する合金型温度ヒューズのヒューズエレメントのIn−Sn合金の温度状態図を示し、In85〜52%の範囲を使用している。 この範囲では、β固溶体→β固溶体と溶液Lとの共存相→溶液Lの相変化で溶融していき、共存域でヒューズエレメントが球状分断される。すなわち、ヒューズエレメントの温度が固相線温度を越えると溶融フラックスの活性作用との相乗効果で前記共存相が合金型温度ヒューズのリード導体や電極に表面張力により濡れ拡がり球状化されつつ分断される。従って、合金型温度ヒューズの動作温度は固相線温度と液相線温度との間の温度となるが、その間の温度巾が3℃程度と狭く、動作温度のバラツキを僅小にできる。 使用頻度の高い合金型温度ヒューズの動作温度は120℃〜150℃であるが、In−Sn系合金の前記In85〜52%の範囲はこの動作温度を充足している。 ヒューズエレメントは、原料配合工程、ビレット製作工程、伸線工程を経て製造できる。まず、SnとInの地金を所定の配合とするように秤量して溶解炉に投入し、溶融合金を型に流し込んでビレットを製作し、このビレットを押出機により粗線に成形し、この粗線をダイスに通し線引きして所定径の線材を得、これを所定長さに切断してヒューズエレメントを得ることができる。 In単体では延性が大き過ぎて線引きが困難であるが、In85〜52%のIn−Sn系合金では、適度の延性のために良好な歩留りで、しかも500μmφ以下の細線への線引きも容易である。 従来、同一合金の合金型温度ヒューズを交流・直流の両用に区別することなく使用しており、その定格の例として、動作温度126±2℃での定格AC3.5A×AC50VとDC3.5A×DC50V、動作温度130±2℃での定格AC3A×AC50VとDC3A×DC50V、動作温度145±2℃での定格AC4A×AC50VとDC4A×DC50V等を挙げることができる。 しかしながら、In85〜52%のIn−Sn系合金をヒューズエレメントとする合金型温度ヒューズでは、長期直流通電による不具合、例えば長期直流通電破壊のために、かかる両用使用に問題があることは既述した通りである。 長期直流通電破壊の原因としては、既述した通り電磁力による破壊を推察でき、この電磁力について考察する。 すなわち、ヒューズエレメントの電流密度をiとすると、半径rの箇所での磁界Hは、H=ir/2で与えられ、その箇所での半径方向の圧縮力をfとすると、が成立するから(dはヒューズエレメントの外径)、 f=〔(d/2)3−r3〕i2/(6r)で与えられ、ヒューズエレメント中心に至るほど圧縮力fが大となり、ヒューズエレメントがその軟質のためにクリープ破断することが推察される。 In85〜52%のIn−Sn系合金のヒューズエレメントの長期直流通電破壊は直流固有の現象であり、交流通電では既述した通り発生しない。現に、長期直流通電破壊が生じた直流電流と同実効値の交流電流を通電したところ、長期直流通電破壊が生じた時間を大きく越える時間の経過でも破断は観察されなかった。 In85〜52%のIn−Sn系合金のヒューズエレメントの長期直流通電破壊は、この合金組成が応力変形を生じ易いことに起因している。而して、大きな熱応力変化が生じるヒートサイクルのもとでは、繰返し応力変化により断面積変化や長さ変化が生じて抵抗値が増加し易い。かかる抵抗値増加のもとでは、ジュール発熱によりヒューズエレメントが昇温され、その上昇温度をΔTとすれば、合金型温度ヒューズ温度が機器許容温度に達するまえのその上昇温度ΔTだけ低い温度で動作してしまい、その上昇温度ΔTが大きくなると由々しい動作誤差が招来される。 そこで、前記In−Sn合金の52%≦In≦85%、残部Snの100重量部にAg、Au、Ni、Pd、Pt、Sbの少なくとも一種を0.01〜7重量部添加することが有効である。Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Sbの少なくとも一種を0.01重量部以上添加する理由は、Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Sbの少なくとも一種の金属とInまたはSnとの金属間化合物を生成させ、その金属間化合物によるくさび効果で結晶間のすべりを生じ難くさせ、前記ヒートサイクル下でのヒューズエレメントの変形を抑制して抵抗値変化を軽減するためであり、7重量部以下とする理由は、液相線温度の上昇及び固液共存温度巾の増加が大きくなり過ぎ、動作温度120℃〜150℃のもとでの動作温度のバラツキの狭小化を達成し難くなるからである。 本発明においては、In−Sn系合金の52%≦In≦85%、残部Snまたはこの組成100重量部にAg、Au、Ni、Pd、Pt、Sbの少なくとも一種を0.01〜7重量部添加した合金のヒューズエレメントを用いた合金型温度ヒューズの直流での使用を禁じ交流専用で使用する形態で実施することができる。 また、In−Sn系合金の52%≦In≦85%、残部Snまたはこの組成100重量部にAg、Au、Ni、Pd、Pt、Sbの少なくとも一種を0.01〜7重量部添加した合金のヒューズエレメントを用いた合金型温度ヒューズの直流での使用を禁じ交流専用で使用し、長期直流通電による不具合、例えば長期直流通電破壊をよく排除できる合金組成のヒューズエレメントを用いた合金型温度ヒューズを直流用として使用する形態で実施することもできる。この長期直流通電破壊の評価基準としては、動作温度−35℃の温度下での直流5A、通電時間3000時間合格を採ることができる。 かかる条件を満足する合金としては、20%≦Bi≦56.5%,43%<Sn≦70%、0.5%≦In≦10%、または20%≦Bi≦56.5%,43%<Sn≦70%、0.5%≦In≦10%の100重量部にAg、Au、Cu、Ni、Pd、Pt、Sb、Ga、Ge、Pの少なくとも一種を0.01〜7重量部添加した組成を使用できる。 この合金組成においては、Sn量(43%<Sn≦70%)とBi量(20%≦Bi≦56.5%)により線引き加工を可能とする延性が与えられ、これらとIn量(0.5%≦In≦10%)とにより融点が120℃〜150℃の範囲を含むように設定される。SnやInに対して殆ど固溶しないBi相(α相)とSn相(γ相)とが混在する中にInが入ると硬く脆いα相とSn−In金属間化合物相が析出し相間の機械的特性差が大となって加工性が劣悪となり、Inが多くなるほど線引き加工が困難となるので、In量を10%以下に抑えている。 Ag、Au、Cu、Ni、Pd、Pt、Sb、Ga、Ge、Pの少なくとも一種を0.01〜7重量部添加する理由は、合金の比抵抗を低減すると共に結晶組織を微細化させ合金中の異相界面を小さくして加工歪や応力の分散をは図るためであり、0.01重量部未満ではその効果を得難く、7重量部を越えると合金型温度ヒューズの動作温度を120℃〜150℃の範囲内に設定することが困難になる。 本発明において、ヒュ−ズエレメントは線引き後の断面丸形のまま、または、さらに扁平に圧縮加工して使用でき、ヒュ−ズエレメントの径は、円形線の場合、外径200μmφ〜1050μmφとされる。 本発明は図2〜図6に示す温度ヒューズの形態で実施される。その外、半導体装置やコンデンサや抵抗体に温度ヒューズエレメントを直列に接続し、このエレメントにフラックスを塗布し、このフラックス塗布エレメントを半導体やコンデンサ素子や抵抗素子に近接配置して半導体やコンデンサ素子や抵抗素子と共に樹脂モールドやケース等により封止した形態で実施することもできる。 図2は筒型ケ−スタイプの合金型温度ヒュ−ズを示し、一対のリ−ド線1,1間に低融点可溶合金片2を接続し、該低融点可溶合金片2上にフラックス3を塗布し、このフラックス塗布低融点可溶合金片上に耐熱性・良熱伝導性の絶縁筒4、例えば、セラミックス筒を挿通し、該絶縁筒4の各端と各リ−ド線1との間を常温硬化の封止剤5、例えば、エポキシ樹脂で封止してある。 図3は、テ−プタイプの合金型温度ヒュ−ズを示し、厚み100〜300μmのプラスチックベ−スフィルム41に厚み100〜200μmの帯状リ−ド導体1,1を接着剤または融着により固着し、帯状リ−ド導体間に線径250μmφ〜500μmφのヒュ−ズエレメント2を接続し、このヒュ−ズエレメント2にフラックス3を塗布し、このフラックス塗布ヒュ−ズエレメントを厚み100〜300μmのプラスチックカバ−フィルム41の接着剤または融着による固着で封止してある。 図4はケ−スタイプラジアル型を示し、並行リ−ド導体1,1の先端部間にヒュ−ズエレメント2を溶接により接合し、ヒュ−ズエレメント2にフラックス3を塗布し、このフラックス塗布ヒュ−ズエレメントを一端開口の絶縁ケ−ス4、例えばセラミックスケ−スで包囲し、この絶縁ケ−ス4の開口をエポキシ樹脂等の封止剤5で封止してある。 図5は基板タイプを示し、絶縁基板4、例えばセラミックス基板上に一対の膜電極1,1を導電ペ−スト(例えば銀ペ−スト)の印刷焼付けにより形成し、各電極1にリ−ド導体11を溶接等により接続し、電極1,1間にヒュ−ズエレメント2を溶接により接合し、ヒュ−ズエレメント2にフラックス3を塗布し、このフラックス塗布ヒュ−ズエレメントを封止剤5例えばエポキシ樹脂で被覆してある。 図6は樹脂ディツピングタイプラジアル型を示し、並行リ−ド導体1,1の先端部間にヒュ−ズエレメント2を溶接により接合し、ヒュ−ズエレメント2にフラックス3を塗布し、このフラックス塗布ヒュ−ズエレメントを樹脂液ディッピングにより絶縁封止剤例えばエポキシ樹脂5で封止してある。 本発明は合金型温度ヒューズに発熱体を付設し、例えば抵抗ペースト(例えば、酸化ルテニウム等の酸化金属粉のペースト)の塗布・焼き付けにより膜抵抗を付設し、平常時はヒューズエレメントを回路の直列路としてヒューズエレメントに回路電流を流通させ、膜抵抗は回路の一部とはせずに回路電流不通とし、機器の異常発熱の原因となる前兆を検出したときにこの検出信号で膜抵抗を通電発熱させ、この発熱でヒューズエレメントを溶断させて回路電流を遮断させる形態で実施することもできる。この場合、平常時、ヒューズエレメントに回路電流が流されるから、直流の場合、前記した長期直流通電による不具合、例えば長期直流通電破壊が問題となるから、前記In−Sn系合金製ヒューズエレメントを用いた発熱体付き温度ヒューズの使用が禁じられ、前記Bi−Sn−In系合金製ヒューズエレメントに用いた発熱体付き温度ヒューズが使用される。 上記のフラックスには、通常、融点がヒュ−ズエレメントの融点よりも低いものが使用され、例えば、ロジン90〜60重量部、ステアリン酸10〜40重量部、活性剤0〜3重量部を使用できる。この場合、ロジンには、天然ロジン、変性ロジン(例えば、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン)またはこれらの精製ロジンを使用でき、活性剤には、ジエチルアミンの塩酸塩や臭化水素酸塩、アジピン酸等の有機酸を使用できる。 以下の実施例及び比較例において、合金型温度ヒューズには、直径600μmφ、長さ3.5mmのヒューズエレメントの両端にリード導体を接続し、ロジンを主成分としてアジピン酸1重量%を添加したフラックスをヒューズエレメントに塗布し、このフラックス塗布ヒューズエレメントに外径2.5mmφ、厚み0.5mm、長さ9mmのセラミックス筒を挿通し、このセラミックス筒各端と各リード導体との間を常温硬化型のエポキシ樹脂で封止した図2に示す筒型温度ヒューズを使用した。 合金型温度ヒューズの動作温度は、試料数を50箇とし、0.1アンペアの電流を通電しつつ、昇温速度1℃/分のオイルバスに浸漬し、溶断による通電遮断時のオイル温度を測定した。 長期直流通電エージング評価については、試料数を50箇とし、動作温度よりも35℃低い恒温槽内に入れ、DC5Aを3000時間通電し、その通電後にヒューズエレメントの破断の有無を軟長期直流通電による不具合、例えば線観察装置で検査し、全数破断無しの場合を合格とした。 長期直流通電エージング試験後の動作温度は、0.1アンペアの電流を通電しつつ、昇温速度1℃/分のオイルバスに浸漬し、溶断による通電遮断時のオイル温度を測定した。 この長期直流通電破壊が直流固有のものであることを確認するために、試料数を50箇とし、前記と同温度の恒温槽内に入れ、実効値がDC5Aと同一値であるAC電流(波高値√2×5A)を3000時間通電し、その通電後にヒューズエレメントの破断の有無を軟長期直流通電による不具合、例えば線装置で検査する試験(長期通電エージング試験)を行なった。 ヒューズエレメントの線引き加工においては、1ダイスについての引落率を6.5%とし、線引き速度を45m/minとして直径300μmφに線引した。 In74%,Sn26%のIn−Sn合金をヒューズエレメントとした筒型温度ヒューズを交流用として使用し、Bi50%,Sn45%,In5%のBi−Sn−In合金をヒューズエレメントとした筒型温度ヒューズを直流用として使用した。 動作温度は前者が129.2±1℃であり、後者が129.7±1℃であって実質的に同一動作温度であった。 交流用では長期直流通電エージング試験でヒューズエレメントが破断したものは50箇中28箇あり、長期直流通電エージングに対する評価は不合格であったが、直流用では長期直流通電エージング試験でヒューズエレメントが破断したものは皆無であり、長期直流通電エージングに対する評価は合格であった。 長期直流通電エージング試験後の試料50箇の動作温度を測定したところ、エージング試験前に対し実質的な変化は認められず、動作性能を安定に維持できた。 直流用ヒューズエレメントの線引き加工は交流用に較べて困難であったが、断線したものはなかった。 長期交流通電エージング試験では、交流用・直流用の何れにおいてもヒューズエレメントが破断したものは皆無であった。 この実施例から、In85〜52%のIn−Sn二元合金をヒューズエレメントとする合金型温度ヒューズが長期直流通電下でその通電が原因で破壊することが直流固有の現象であり、そのIn−Sn系合金をヒューズエレメントとする合金型温度ヒューズを交流専用として使用し、Bi−Sn−In系合金をヒューズエレメントとする合金型温度ヒューズを直流用として使用することにより、交流用・直流用それぞれのもとで電子・電気機器を動作温度120〜150℃の合金型温度ヒューズで安全、かつ合理的に保護できることが明らかである。〔比較例〕 In74%,Sn26%のIn−Sn合金をヒューズエレメントとした筒型温度ヒューズを従来通り交流用・直流用に併用した。 この比較例では、直流用で長期わたって使用する間に直流通電破壊が生じることが予測でき、直流用電子・電気機器を安全に保護できない。In−Sn合金の温度状態図である。本発明において使用する合金型温度ヒュ−ズの一例を示す図面である。本発明において使用する合金型温度ヒュ−ズの上記とは別の例を示す図面である。本発明において使用する合金型温度ヒュ−ズの上記とは別の例を示す図面である。本発明において使用する合金型温度ヒュ−ズの上記とは別の例を示す図面である。本発明において使用する合金型温度ヒュ−ズの上記とは別の例を示す図面である。符号の説明 1 リード導体または電極 2 ヒューズエレメント 3 フラックス 4 絶縁体 5 封止材ヒューズエレメントを(In%+Sn%)>93.4%かつIn%>48.5%のIn−Sn系合金製とした動作温度120〜150℃の交流専用合金型温度ヒューズを交流電子・電気機器を過熱から保護し、同温度の過熱に対する直流電子・電気機器の保護を、ヒューズエレメントの合金組成を前記交流専用合金型温度ヒューズのそれとは合金元素を異ならしめた直流用合金型温度ヒューズにより行なうことを特徴とする合金型温度ヒューズの使用方法。交流専用合金型温度ヒューズのヒューズエレメントの合金組成が52%≦In≦85%、残部Snの組成である請求項1記載の合金型温度ヒューズの使用方法。交流専用合金型温度ヒューズのヒューズエレメントの合金組成が52%≦In≦85%、残部Snの100重量部にAg、Au、Ni、Pd、Pt、Sbの少なくとも一種を0.01〜7重量部添加した組成である請求項1記載の合金型温度ヒューズの使用方法。直流用合金型温度ヒューズのヒューズエレメントの合金組成を20%≦Bi≦56.5%,43%<Sn≦70%、0.5%≦In≦10%、または20%≦Bi≦56.5%,43%<Sn≦70%、0.5%≦In≦10%の100重量部にAg、Au、Cu、Ni、Pd、Pt、Sb、Ga、Ge、Pの少なくとも一種を0.01〜7重量部添加した組成である請求項2または3記載の合金型温度ヒューズの使用方法。ヒューズエレメントを(In%+Sn%)>93.4%かつIn%>48.5%のIn−Sn系合金製とした動作温度120〜150℃の交流専用合金型温度ヒューズを交・直流電子・電気機器のうちの交流電子・電気機器のみの過熱からの保護に使用することを特徴とする合金型温度ヒューズの使用方法。交流専用合金型温度ヒューズのヒューズエレメントの合金組成が52%≦In≦85%、残部Snの組成である請求項5記載の合金型温度ヒューズの使用方法。交流専用合金型温度ヒューズのヒューズエレメントの合金組成が52%≦In≦85%、残部Snの100重量部にAg、Au、Ni、Pd、Pt、Sbの少なくとも一種を0.01〜7重量部添加した組成である請求項5記載の合金型温度ヒューズの使用方法。合金型温度ヒューズにヒューズエレメントを溶断させるための発熱体を付設したことを特徴とする請求項1〜7何れか記載の合金型温度ヒューズの使用方法。請求項1〜8何れか記載の合金型温度ヒューズの使用方法において使用する、ヒューズエレメントがIn−Sn系合金製の交流専用合金型温度ヒューズであり、交流専用または直流使用禁止の指示を直接または間接的に表示したことを特徴とする合金型温度ヒューズ。 【課題】In85〜52%のIn−Sn系合金によれば動作温度のバラツキをよく排除でき、適度の延性のために良好な歩留りを確保できる有利性が得られるにもかかわらず長期直流通電による不具合、例えば長期直流通電破壊という直流用にとっては致命的な欠陥があることに鑑み、In−Sn系合金をヒューズエレメントとする合金型温度ヒューズを直流下で使用する場合に交流下使用の場合よりも過重の条件である長期直流通電安定性を課し、当該合金型温度ヒューズを合理的に使用する。【解決手段】ヒューズエレメントをIn−Sn系合金製とした所定動作温度の交流専用合金型温度ヒューズを交流電子・電気機器を過熱から保護し、同温度の過熱に対する直流電子・電気機器の保護を、ヒューズエレメントの合金組成を前記交流専用合金型温度ヒューズのそれとは合金元素を異ならしめた直流用合金型温度ヒューズにより行なう。【選択図】なし