タイトル: | 公開特許公報(A)_一酸化窒素遊離促進剤 |
出願番号: | 2004097870 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A61K31/22,A61P7/00,A61P43/00 |
開発 啓之 JP 2005281200 公開特許公報(A) 20051013 2004097870 20040330 一酸化窒素遊離促進剤 第一製薬株式会社 000002831 開発 啓之 7A61K31/22A61P7/00A61P43/00 JPA61K31/22A61P7/00A61P43/00 105A61P43/00 111 3 OL 4 4C206 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA41 4C206MA01 4C206MA04 4C206MA83 4C206NA14 4C206ZA36 4C206ZB21 4C206ZC20 本発明は一酸化窒素遊離促進剤に関する。 塩化カルプロニウムは、血管拡張作用を有する化合物として知られ、発毛促進剤として知られている(特許文献1参照)。しかしながら、塩化カルプロニウムが一酸化窒素遊離促進作用を有することは知られていない。特公昭42−5680号公報 本発明は、一酸化窒素遊離促進剤および一酸化窒素の遊離を促進することで予防および/または治療可能な疾病の医薬を提供するものである。 本発明者は、鋭意研究を行った結果、塩化カルプロニウムまたはその水和物が、一酸化窒素遊離促進作用を有することを新たに見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、以下のものに関する。(1)塩化カルプロニウムまたはその水和物を有効成分とする一酸化窒素遊離促進剤。(2)塩化カルプロニウムまたはその水和物を有効成分とする血管内皮細胞からの一酸化窒素遊離促進剤。(3)剤形が外用剤である上記(1)または(2)記載の一酸化窒素遊離促進剤。 さらには、一酸化窒素の遊離を促進することで予防および/または治療可能な疾病の予防および/または治療薬に関するものである。 本発明にかかる塩化カルプロニウムまたはその水和物は、血管内皮細胞からの一酸化窒素遊離促進作用を示した。 本発明にかかる塩化カルプロニウムまたは水和物は、公知の化合物であり、市販されているものを用いることができ、また公知の方法に基づき製造することもできる。本発明においては、塩化カルプロニウム水和物が好ましい。 本発明の一酸化窒素遊離促進剤には、公知の薬効成分を、さらに加えてもよい。その成分としては、例えば、パントテニールエチルエーテル、竹節人参またはその抽出物(竹節人参エキス、竹節人参チンキなど)、何首烏またはその抽出物(何首烏エキス、何首烏チンキなど)、メントール(l−メントール)、ヒノキチオール等を挙げることができる。 本発明の一酸化窒素遊離促進剤は、経口的または非経口的に投与(服用)すればよい。経口的に投与する製剤(経口投与製剤)としては、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、液剤、トローチ剤、ゼリー剤等の剤形を挙げることができる。また、非経口的に投与する製剤(非経口投与製剤)としては、エキス剤、硬膏剤、酒精剤、座剤、懸濁剤、チンキ剤、軟膏剤、パップ剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、点眼剤、注射剤等の剤形を挙げることができる。本発明においては、非経口的に投与することが好ましく、非経口投与製剤としては、液剤、エキス剤、硬膏剤、酒精剤、懸濁剤、チンキ剤、軟膏剤、パップ剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤等の外用剤の剤形が好ましい。製剤化は、公知の製剤技術により行うことができ、製剤中には適当な製剤添加物を加えることができる。製剤添加物としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、保湿(湿潤)剤、保存剤、溶剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味剤、甘味剤、色素、香料、噴射剤等を挙げることができ、製剤添加物は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択して、適当量を加えればよい。 本発明にかかる塩化カルプロニウムまたはその水和物を投与するに際し、製剤中の配合量は、適宜、使用目的、性別、年齢、症状、投与(服用)方法、投与(服用)回数、投与(服用)時期等を考慮して検討すればよいが、塩化カルプロニウムとして、0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜5重量%がより好ましく、1〜2重量%がさらに好ましい。 以下に、実施例を示して本発明をさらに説明するが、本発明はこれらのみに限定されるべきものではない。1.一酸化窒素遊離促進効果1.1. 試験方法1.1.1 大動脈標本の作製 8〜9週齢の雄性Wistar系ラットを頭部強打により失神させ放血致死させた後、胸部大動脈を摘出した。摘出した胸部大動脈から周囲の脂肪および結合織を除去後、幅2〜4mm、長さ8〜13mmのらせん状標本を作製した。 あらかじめ酒石酸水素L−(−)−ノルエピネフリン溶液(NE溶液、濃度:10−7M)で収縮させた標本に、塩化カルバミルコリン溶液(濃度:10−6M)を適用し、80%以上の弛緩を示した標本を内皮細胞が保存された標本(内皮保存標本)とした。また、別途、血管内皮を剥離させた標本(内皮剥離標本)を作製した。得られた標本は、容量10mlのオルガンバス内に0.5gの負荷をかけて懸垂し、安定化するまで約1時間放置した。1.1.2 血管弛緩作用の検討 あらかじめNE溶液(濃度:10−7M)で収縮させた内皮保存標本(n=8)と内皮剥離標本(n=5)に、塩化カルプロニウム溶液を最終濃度が1、3、10、30、100μg/mlとなるようにオルガンバス中に累積的に添加して、血管弛緩作用について調べた。結果を表1に示した。表1 表1から明らかなように、塩化カルプロニウムは、内皮保存標本においては、血管弛緩作用を示したものの、内皮剥離標本においては、血管弛緩作用を示さなかった。1.1.3 血管弛緩作用機序の検討 NO合成阻害薬として知られるNG−ニトロ−L−アルギニンメチルエステル塩酸塩溶液(L−NAME、濃度:10−6M)で10分間前処置した内皮保存標本(n=5)にNE溶液(濃度:10−7M)を添加して血管を収縮させ、その後、塩化カルプロニウム溶液を最終濃度が1、3、10、30、100μg/mlとなるように累積添加して、L−NAME前処置により塩化カルプロニウムの血管弛緩作用が抑制されるか否かを調べた。結果を表2に示した。表2 表2から明らかなように、L−NAMEで前処置した内皮保存標本における塩化カルプロニウムの弛緩反応は完全に抑制された。1.3 結果 塩化カルプロニウムによる血管の弛緩反応がL−NAMEにより抑制されたことから、塩化カルプロニウムが、血管内皮細胞から一酸化窒素の遊離を促進することで血管を弛緩させることが判明した。 本発明にかかる塩化カルプロニウムまたはその水和物は、実施例から明らかなように、一酸化窒素遊離促進剤、血管内皮細胞から一酸化窒素の遊離を促進することで予防および/または治療可能な疾病の医薬として有用である。塩化カルプロニウムまたはその水和物を有効成分とする一酸化窒素遊離促進剤。塩化カルプロニウムまたはその水和物を有効成分とする血管内皮細胞からの一酸化窒素遊離促進剤。剤形が外用剤である請求項1または2に記載の一酸化窒素遊離促進剤。 【課題】 一酸化窒素遊離促進剤を提供する。【解決手段】 塩化カルプロニウムまたはその水和物が、一酸化窒素遊離促進作用、より具体的には血管内皮細胞からの一酸化窒素遊離促進作用を有することを新たに見出した。したがって、塩化カルプロニウムまたはその水和物は、一酸化窒素遊離促進剤、血管内皮細胞から一酸化窒素の遊離を促進することで予防および/または治療可能な疾病の医薬として有用である。(1)塩化カルプロニウムまたはその水和物を有効成分とする一酸化窒素遊離促進剤。(2)塩化カルプロニウムまたはその水和物を有効成分とする血管内皮細胞からの一酸化窒素遊離促進剤。【選択図】 なし。