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タイトル:公開特許公報(A)_還元糖の測定方法および装置
出願番号:2004096950
年次:2005
IPC分類:7,G01N31/00,G01N27/26,G01N27/44,G01N31/16


特許情報キャッシュ

近藤 正夫 飯嶋 茂定 JP 2005283294 公開特許公報(A) 20051013 2004096950 20040329 還元糖の測定方法および装置 飯島電子工業株式会社 593038941 愛知県 000116622 大川 宏 100081776 近藤 正夫 飯嶋 茂定 7G01N31/00G01N27/26G01N27/44G01N31/16 JPG01N31/00 VG01N27/26 341AG01N27/44 GG01N27/44 311G01N31/16 A 16 1 OL 31 2G042 2G042AA01 2G042BD20 2G042CA10 2G042CB03 2G042DA03 2G042DA06 2G042FA04 2G042FA05 2G042FA06 2G042FB03 2G042GA01 2G042GA05 2G042HA04 本発明は還元糖試料中の還元糖を測定する還元糖の測定方法および装置に関する。 還元糖の測定方法としては従来より種々の方法が開発されており、一般にはアルカリ性銅試薬法が用いられている。アルカリ性銅試薬法は、還元糖試料中のグルコースやフルクトースといった還元糖をアルカリ条件下で銅試薬と煮沸反応させ、生成する亜酸化銅(酸化第1銅、Cu2O)や残存する2価銅イオン量から還元糖量を算出する方法である(例えば、非特許文献1)。 生成する亜酸化銅から還元糖量を算出する代表的な方法としてはソモギー法が挙げられる。また、残存する2価銅イオン量から還元糖量を算出する代表的な方法としてはフェーリングレーマンシュール法が挙げられる。その他、銅イオンと還元糖の反応後にさらに還元糖を追加して、反応液中に残存する2価銅イオンを全て亜酸化銅にまで還元して、反応液中の銅イオンを全て亜酸化銅に還元するのに要する還元糖の総量と追加した還元糖の量から還元糖試料中の還元糖量を算出する方法(レインエイノン定容法)もある。 これらの方法はいずれも滴定操作が必要である。そして、滴定の終点の判定は、ヨウ素でんぷん反応やメチレンブルーの青色の退色を目視で判断することによっておこなわれているために、測定に熟練した操作が必要とされる問題があった。さらに、還元糖を算出するためには別途換算表や検量線や予備滴定が必要であるために自動化ができず、測定には長時間を要するとともに煩雑な操作を要する問題があった。 ここで、滴定の終点を目視以外の方法で検出する方法としては、一般に、検知電極にて反応液中の電位差等を測定し、当量点付近の急激な変化を電気信号として取り出す電気的測定法(電気滴定法)が用いられている。しかし、上述したアルカリ性銅試薬法においては、反応液中に残存する2価銅イオンが検知電極と電気化学的に反応するために、終点の検出が銅イオンにより干渉されて、正確な測定値が得られない場合がある。 さらに、アルカリ性銅試薬法では、還元糖と銅イオンとの反応を煮沸条件下で反応させるとともに、反応をアルカリ条件下でおこなうために強アルカリの試薬を用いる。このため、一般的な電極では電極の劣化が生じて性能が低下するために、終点を正確に検出することができない問題があった。福井作蔵著 「生物化学実験法1 還元糖の定量法」 学会出版センター 1969年 本発明は、滴定の終点を目視に依らず検出でき、還元糖を容易かつ正確に測定することのできる還元糖の測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。 第1発明の還元糖測定方法は、定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、該亜酸化銅酸化工程後の反応液中に既知濃度のヨウ素還元剤を徐々に加えて該反応液中に残存する該ヨウ素量を容量滴定し、電気的測定によって該容量滴定の終点を検出することで該容量滴定に要した該ヨウ素還元剤量を測定するヨウ素還元剤測定工程ヨウ素還元剤測定工程と、を備え、該ヨウ素還元剤測定工程で測定された該ヨウ素還元剤量から該還元糖試料中の還元糖量を算出することを特徴とする。 第2発明の還元糖測定方法は、定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、該亜酸化銅酸化工程後の反応液に該反応液に残存する該ヨウ素に対して過剰量となる所定量のヨウ素還元剤を加え、該反応液中に残存する該ヨウ素を還元するヨウ素還元工程と、該キレート工程後から該ヨウ素還元工程後の何れかの反応液にヨウ化カリウムを加えるヨウ化カリウム添加工程と、該ヨウ化カリウムが添加された反応液中の該ヨウ化カリウムを電気分解して徐々にヨウ素を生成させて反応液中に残存する該ヨウ素還元剤量を電量滴定し、電気的測定によって該電量滴定の終点を検出することで該電量滴定に要した該ヨウ素量を測定するヨウ素測定工程と、を備え、該ヨウ素測定工程で測定されたヨウ素量から該還元糖試料中の還元糖量を算出することを特徴とする。 第3発明の還元糖測定方法は、定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、該亜酸化銅生成工程後の反応液を煮沸しつつ既知濃度の標準還元糖溶液を徐々に加えて該反応液中に残存する該2価銅イオン量を容量滴定し、電気的測定によって該容量滴定の終点を検出することで該容量滴定に要した該標準還元糖量を測定する標準還元糖測定工程と、を備え、該標準還元糖測定工程で測定された標準還元糖量から該還元糖試料中の還元糖量を算出することを特徴とする。 第1発明および第2発明の還元糖測定方法において、上記一定煮沸条件は、上記水溶液を2分30秒以内に沸騰させた後に3分間沸騰させ、その後1分間急冷する条件であることが好ましい。 第3発明の還元糖測定方法において、上記一定煮沸条件は、上記水溶液を2分30秒以内に沸騰させた後に3分間沸騰させる条件であることが好ましい。 第1発明および第2発明の還元糖測定方法において、上記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムおよびジエチレントリアミン-N,N,N',N'',N''-五酢酸から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。 第1発明または第3発明の還元糖測定方法において、電気的測定は、反応液の分極電流と分極電位差と酸化還元電位との少なくとも1種を測定することが好ましい。 第2発明の還元糖測定方法において、電気的測定は、反応液の分極電流と分極電位差との少なくとも1種を測定することが好ましい。 第1発明または第2発明の還元糖測定方法において、上記ヨウ素還元剤はチオ硫酸ナトリウムであることが好ましい。 第1発明または第2発明の還元糖測定方法において、上記還元糖量は、上記亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて算出されることが好ましい。 第4発明の還元糖測定装置は、第1発明の還元糖測定方法によって還元糖を測定するための装置である。第4発明の還元糖測定装置は、定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、によって得られた反応液中に、既知濃度のヨウ素還元剤を徐々に加えて該反応液中に残存する該ヨウ素量を容量滴定する際に、該反応液の酸化還元電位と分極電流と分極電位差との少なくとも一種を測定して該容量滴定の終点を検出するための、複合白金電極と双白金つの型電極との少なくとも一方をもつ滴定量測定手段を備えることを特徴とする。 第5発明の還元糖測定装置は、第2発明の還元糖測定方法によって還元糖を測定するための装置である。第5発明の還元糖測定装置は、定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、該亜酸化銅酸化工程後の反応液に該反応液に残存する該ヨウ素に対して過剰量となる所定量のヨウ素還元剤を加え、該反応液中に残存する該ヨウ素を還元するヨウ素還元工程と、該キレート工程後から該ヨウ素還元工程後の何れかの反応液にヨウ化カリウムを加えるヨウ化カリウム添加工程と、によって得られた反応液中に所定電流を印加して該ヨウ化カリウムを電気分解し徐々にヨウ素を生成させるための双白金渦巻型電極をもつ電気分解手段と、該ヨウ素によって反応液中に残存する該チオ硫酸ナトリウム量を電量滴定する際に、該反応液の分極電流と分極電位差との少なくとも一種を測定して該電量滴定の終点を検出するための、双白金つの型電極をもつ滴定量測定手段を備えることを特徴とする。 第6発明の還元糖測定装置は、第3発明の還元糖測定方法によって還元糖を測定するための装置である。第6発明の還元糖測定装置は、定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程によって得られた反応液を、煮沸しつつ既知濃度の標準還元糖溶液を徐々に加えて該反応液中に残存する該2価銅イオン量を容量滴定する際に、該反応液の酸化還元電位と分極電流との少なくとも一種を測定して該容量滴定の終点を検出するための、複合白金電極と双白金つの型電極との少なくとも一方をもつ滴定量測定手段を備えることを特徴とする。 第4発明および第5発明の還元糖測定装置は、さらに、上記終点から算出された上記反応液中の上記チオ硫酸ナトリウム量から上記還元糖試料中の還元糖量を算出する演算手段を備えることが好ましい。そして、この演算手段は、上記亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて上記還元糖試料中の還元糖量を算出することが望ましい。 第6発明の還元糖測定装置は、さらに、上記終点から算出された上記標準還元糖量から該還元糖試料中の還元糖量を算出する演算手段を備えることが好ましい。 滴定の終点を目視によらずに検出する方法としては、上述した電気滴定法が優れている。しかし、上述したように、アルカリ性銅試薬法を用いる場合には、反応液中に残存する2価銅イオンの存在により正確な測定値が得られない問題や、煮沸条件下で強アルカリとともに使用することで電極の性能が劣化するために終点を正確に検出することができない問題がある。 本発明の発明者らは、鋭意研究の結果、反応液中に2価銅イオンをキレートするキレート剤を添加することで、亜酸化銅生成工程後に反応液中に残存する2価銅イオンが検知電極と電気化学的に反応することを抑制し、反応液中に残存する2価銅イオンが還元糖の測定に与える影響を低減できることを見いだした。 また本発明の発明者らは、アルカリ性銅試薬法における2価銅イオンと還元糖との反応が、従来知られている反応機構とは異なる反応機構によることを見いだした。このことにより、換算表や検量線を要さずに滴定の終点から還元糖量を算出することが可能となった。 すなわち従来は、アルカリ性銅試薬法における2価銅イオンと還元糖との反応時には、2モルの2価銅イオンが1モルの還元糖とのみ反応して2モルの亜酸化銅が生成すると考えられていた。しかし、この反応機構を基に還元糖量を算出する場合には正確な値が得られないために、従来は換算表や検量線を用いて還元糖量を算出していた。このため、上述したように還元糖測定に長時間を要するとともに煩雑な操作を要する問題があった。 本発明の発明者らは鋭意研究の結果、2価銅イオンと還元糖との反応時には約10モルの銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することを見いだした。この反応機構は明らかではないが、おそらく、2価銅イオンは還元糖の酸化剤であると同時に触媒的作用を果たし、2価銅イオンと還元糖との反応には反応液中や空気中の酸素が関与していると考えられ、下に示す化1式のような反応が生じていると考えられる。 この新たな反応機構を基に還元糖量を算出することで、換算表や検量線等を用いずに正確な還元糖量を得ることが可能となり、還元糖測定に要する時間を短縮できるとともに還元糖測定を簡易な操作でおこなうことが可能となる。 第1発明及び第2発明の還元糖測定方法では、反応液中に残存する2価銅イオンをキレート剤によりキレートすることで、2価銅イオンが検知電極に与える影響を低減して電気滴定法により正確な終点を検出することが可能となる。また、電気滴定法により終点を検出することで、還元糖量を簡便かつ正確に測定することが可能となる。そして、この場合、2価銅イオンと還元糖との反応時には約10モルの銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて、滴定により得られた亜酸化銅量から還元糖試料中の還元糖量を算出することで、換算表や検量線を用いることなく正確な還元糖量を得ることが可能となる。 また、第2発明の還元糖測定方法では、通常用いられる容量滴定にかえて電量滴定を用いることで、容量滴定の際に必要な滴定剤用の送液装置等を必要とせず、滴定に要する装置を小型化することが可能となる。 また、第3発明の還元糖測定方法では、電気滴定法により終点を検出することで、第1発明及び第2発明と同様に還元糖量を簡便かつ正確に測定することが可能となる。 そして、第4発明から第6発明の還元糖測定装置では、電気滴定用の検出電極として、耐久性に優れた双白金つの型電極や複合白金電極を用いることで、アルカリ性銅試薬法を用いつつ電気滴定法で還元糖を測定する還元糖測定装置の耐久性を向上することができる。また、このうち第5発明の還元糖測定装置では、電量滴定用の電解電極として耐久性に優れた双白金渦巻型電極を用いることで、同様に、還元糖測定装置の耐久性を向上させることができる。 アルカリ性銅試薬法には、上述したとおり種々の方法があるが、還元糖試料中の還元糖濃度によってそれぞれ適する方法がある。このうちソモギー法やソモギー法を改良したソモギー変法は、比較的還元糖の含量が低い還元糖試料中の還元糖量を測定する場合に適した方法である。 ソモギー法やソモギー変法は、2価銅イオンと還元糖との反応によって生成した亜酸化銅をヨウ素で酸化し滴定するヨードメトリーを含む方法であるため、ヨードメトリーの終点を電気滴定の一般的な方法である酸化還元電位の変化等によって検出することができると考えられる。さらに、ソモギー法では2価銅イオンが同モルのアルドース及びケトースと反応することから、還元糖の総量を単一の係数で算出することができる。 第1発明の還元糖の測定方法は、ソモギー法を改良した方法であり、亜酸化銅生成工程において、定量測定すべき還元糖試料に、この還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を一定煮沸条件下で反応させて、還元糖試料中の還元糖を2価銅イオンによって還元して亜酸化銅を生成させる。この亜酸化銅生成工程は、ソモギー法等の一般的なアルカリ性銅試薬法に沿った方法でおこなうことができ、例えば、水に硫酸銅や塩化第2銅等を溶解させることで、反応液中に2価銅イオンを生成させ、さらに、反応液に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を加えることで反応液をアルカリ性水溶液とすることができる。 ここで、反応液のpHは10〜11.5程度であることが好ましい。また、還元糖試料中の還元糖をすべて還元するために反応液中の2価銅イオン量は還元糖量に対して過剰である必要があり、キレート剤を残存する2価銅イオン量に対して過剰となる量添加するために反応液中の2価銅イオン量は所定量である必要がある。 また、一定煮沸条件とは、反応液中の還元糖が全て2価銅イオンと反応する条件であり、例えば、アルカリ性水溶液を2分30秒以内に沸騰させた後に正確に3分間沸騰させ、その後1分間急冷する条件や、沸騰温浴中で10分間加熱した後に5分間冷却する条件等の、ソモギー法やソモギー変法で一般に用いられる既知の種々の煮沸条件を用いることができる。なお、アルカリ性水溶液を2分以内に沸騰させた後に正確に3分間沸騰させ、その後1分間急冷する条件を用いる場合には、還元糖と2価銅イオンとの反応に要する時間を短縮できる利点がある。なお、還元糖と2価銅イオンとの反応によって生じた亜酸化銅は、空気中の酸素で酸化され易いために、煮沸後の反応液は急冷することが好ましい。急冷の条件としては、反応液の温度を5分以内に室温にまで低下させる条件が好ましく、反応液の温度を1分以内に室温にまで低下させる条件が望ましい。 キレート工程では、亜酸化銅生成工程後の反応液に過剰量のキレート剤を加えることで、反応液中に残存する2価銅イオンをキレートする。ここでいうキレート剤の過剰量とは、反応液中に残存する2価銅イオンに対して過剰となる量をいう。キレート剤は、2価金属イオンとキレート型化合物を作るものであれば良く、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA−2Na)やジエチレントリアミン-N,N,N’,N’’,N’’−五酢酸(DPTA)が好ましく用いられる。 そして、亜酸化銅酸化工程では、キレート工程後の反応液に過剰量となる所定量のヨウ素を加え、このヨウ素で反応液中の亜酸化銅を酸化する。ここでいうヨウ素の過剰量とは、反応液中の亜酸化銅に対して過剰となる量をいう。 反応液中に過剰量のヨウ素を加える方法としては、例えば、反応液中に過剰量のヨウ素酸カリウム溶液およびヨウ化カリウム溶液を加えて、ヨウ素酸カリウムとヨウ化カリウムとの反応によって過剰量のヨウ素を生成させる方法を用いることもできる。また、反応液中に過剰量のヨウ化カリウムを加えて、ヨウ化カリウムを電気分解して過剰量のヨウ素を生成させる方法を用いることもできる。さらに、これに限らず既知の種々の方法を用いることもできる。 ヨウ素還元剤測定工程では、亜酸化銅酸化工程後の反応液中に既知濃度のヨウ素還元剤を徐々に加えて反応液中に残存するヨウ素量を容量滴定し、電気的測定によって終点を検出することで容量滴定に要したヨウ素還元剤量を測定する。ヨウ素還元剤としては、チオ硫酸ナトリウムやシュウ酸ナトリウム等が好ましく用いられる。 また、ここでいう電気的測定としては、例えば、反応液の酸化還元電位を測定する方法等の既知の種々の方法を用いることができる。また、反応液の分極電流や分極電位差等を測定する方法を用いても良い。これらの方法によると、分極の変化、すなわち、正負両極と電解質の界面における電荷移動の遅れや、電極近傍での物質移動の遅れなどによる起因する過電圧の変化を利用して終点を検出できる。 第1発明の還元糖測定方法において、還元糖試料中の還元糖量を算出する方法を以下に例示する。 先ず、ヨウ素還元剤測定工程で測定されたヨウ素還元剤量から亜酸化銅生成工程で生成した亜酸化銅量を算出する。すなわち、(1)ヨウ素還元剤測定工程で検出された終点を基に、ヨウ素還元剤測定工程で反応液に加えたヨウ素還元剤量を測定し、(2)ヨウ素還元剤測定工程で反応液に加えたヨウ素還元剤量から、亜酸化銅酸化工程後の反応液に残存するヨウ素量を算出し、(3)亜酸化銅酸化工程後の反応液に残存するヨウ素量と亜酸化銅酸化工程で反応液に加えたヨウ素量とから、亜酸化銅酸化工程で亜酸化銅と反応したヨウ素量を算出し、(4)亜酸化銅酸化工程で亜酸化銅と反応したヨウ素量から、亜酸化銅生成工程で生成した亜酸化銅量を算出する。 次に、亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づく換算係数を用いて、上記(1)〜(4)で算出された亜酸化銅量から還元糖試料中の還元糖量を算出する。 ここで、第1発明の還元糖測定方法においては、キレート工程において亜酸化銅生成工程後の反応液中に残存する2価銅イオンがキレートされるため、終点を電気的測定で検出する際にも2価銅イオンと検出電極とが反応することはなく、終点を正確に検出することができる。 また、亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて還元糖試料中の還元糖量を算出する場合には、換算表や検量線を要さずに滴定の終点から還元糖量を算出することが可能になる。 第2発明の還元糖測定方法は、第1発明で用いた容量滴定にかえて電量滴定を用いる方法である。電量滴定では、目的成分を含む電解液を定電流で電気分解することで目的成分を反応液中に徐々に加える。そして、滴定の終点に達するまでの電解時間を測定し、電気分解の際の電流の大きさと電解時間との積から電気分解に要した電気量を求めて、ファラデーの法則により目的成分の生成量を算出する。したがって電量滴定によると、容量滴定のように滴定剤を反応液中に送液する送液装置等を要さない利点がある。 この第2発明の還元糖測定方法においては、亜酸化銅生成工程、キレート工程および亜酸化銅酸化工程は第1発明の還元糖測定方法と同じである。 第2発明の還元糖測定方法において、ヨウ素還元工程では、亜酸化銅酸化工程後の反応液に残存するヨウ素に対して過剰量となる所定量のヨウ素還元剤を加えて反応液中に残存するヨウ素を還元する。また、ヨウ素還元剤は第1発明と同様に溶液状で加えても良いし、あるいはその他種々の状態で加えても良い。 ヨウ化カリウム添加工程では、キレート工程後〜ヨウ素還元工程後の何れかの反応液にヨウ化カリウムを加える。ここで、例えば、亜酸化銅酸化工程でヨウ素酸カリウムとヨウ化カリウムとからヨウ素を生成させる場合には、亜酸化銅酸化工程で加えるヨウ化カリウムの量をヨウ素酸カリウムに対して過剰量にすることで、反応液中にヨウ化カリウムが残存する。また、例えば亜酸化銅酸化工程でヨウ化カリウムを電気分解してヨウ素を生成させる場合にも、亜酸化銅酸化工程で加えるヨウ化カリウム量を電気分解に要する量に対して過剰にすることで、反応液中にヨウ化カリウムが残存する。 また、キレート工程前の反応液にヨウ化カリウムを加えると、後述する副反応が生じてヨウ化カリウムからヨウ素が生成するために、ヨウ化カリウムの添加は少なくともキレート工程後に行う。 ヨウ素測定工程では、ヨウ化カリウムが添加された反応液中のヨウ化カリウムを電気分解して、反応液中に徐々にヨウ素を生成させる。そしてこのヨウ素によってヨウ素還元工程後の反応液に残存するヨウ素還元剤を電量滴定する。なお、この滴定の終点は上述した第1発明と同様に電気的測定によって検出する。 ヨウ化カリウムの電気分解によってヨウ素が生成する反応は、以下に示す化2式及び化3式に基づく。すなわち、化2式に示されるようにヨウ化カリウムが反応液に溶解して生じたヨウ素イオンが、化3式に示されるように電気分解されてヨウ素が生成する。 第2発明の還元糖測定方法において、還元糖試料中の還元糖量を算出する方法を以下に例示する。 先ず、ヨウ素測定工程で測定されたヨウ素量から亜酸化銅生成工程で生成した亜酸化銅量を算出する。すなわち、(1)ヨウ素測定工程で検出された終点を基にヨウ素測定工程で生成したヨウ素量を測定し、(2)ヨウ素測定工程で生成したヨウ素量から、ヨウ素還元工程後の反応液中に残存するヨウ素還元剤量を算出し、(3)ヨウ素還元工程後の反応液に残存するヨウ素還元剤量から、ヨウ素還元工程でヨウ素と反応したヨウ素還元剤量を算出し、(4)ヨウ素還元工程でヨウ素と反応したヨウ素還元剤量から、亜酸化銅酸化工程後の反応液に残存するヨウ素量を算出し、(5)亜酸化銅酸化工程後の反応液に残存するヨウ素量と亜酸化銅酸化工程で反応液に加えたヨウ素量から、亜酸化銅酸化工程で亜酸化銅と反応したヨウ素量を算出し、(6)亜酸化銅酸化工程で亜酸化銅と反応したヨウ素量から、亜酸化銅生成工程で生成した亜酸化銅量を算出する。 次に、亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づく換算係数を用いて、上記(1)〜(6)で算出された亜酸化銅量から還元糖試料中の還元糖量を算出する。 ここで、第2発明の還元糖測定方法においては、第1発明の還元糖測定方法と同様に、キレート工程において反応液中に残存する2価銅イオンがキレートされることによって、終点を正確に検出することができる。 また、亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて還元糖試料中の還元糖量を算出する場合には、換算表や検量線を要さずに滴定の終点から還元糖量を算出することが可能になる。 第3発明の還元糖の測定方法は、レインエイノン定容法を改良した方法である。上述したソモギー法等が、反応液中の還元糖濃度が比較的低濃度である場合に好ましく用いられるに対して、レインエイノン定容法では反応液中の還元糖濃度が比較的高濃度である場合に好ましく用いられる。一般に製糖業界では、還元糖含量の高い還元糖試料を測定する場合が多く、例えば、総量50mlの反応液中に数十mgの還元糖が含まれる場合等があるため、レインエイノン定容法が広く用いられている。また、レインエイノン定容法は製糖業界で国際的な公定法(Method GS1/3/7−3(1994))であるため、レインエイノン定容法を基にした第3発明の還元糖測定方法は、公定法に準拠した方法となる。 レインエイノン定容法は、2価銅イオンと還元糖との反応で生成する亜酸化銅と残存する2価銅イオン量とを区別して測定するのではなく、2価銅イオンを全て亜酸化銅にまで還元するのに要する還元糖量から、還元糖試料中の還元糖量を算出する方法である。このレインエイノン定容法には還元糖と2価銅イオンとの反応しか関与しないため、レインエイノン定容法は極めてシンプルで直接的な方法といえる。 第3発明の還元糖測定方法では、亜酸化銅生成工程において、定量測定すべき還元糖試料とこの還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンとを含むアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させる。2価銅イオンの生成源は、第1発明と同様に硫酸銅等の種々のものを用いることができる。なお、第3発明においては亜酸化銅生成工程後に行う標準還元糖測定工程でも引き続き煮沸条件下で反応を進行させるために、亜酸化銅生成工程における煮沸条件は、第1発明や第2発明の煮沸条件とは異なり、煮沸後の急冷を含まなくても良い。本第3発明の煮沸条件としては、その他、レインエイノン定容法で通常用いられる煮沸条件を用いても良い。 標準還元糖測定工程では、亜酸化銅生成工程後の反応液を煮沸しつつ既知濃度の還元糖溶液である標準還元糖溶液を徐々に加えて、反応液中に残存する2価銅イオン量を容量滴定し、電気的測定によって終点を検出することで容量滴定に要した標準還元糖量を測定する。本第3発明の還元糖測定方法において、電気的測定は上述した第1発明の場合と同様におこなえばよい。 亜酸化銅生成工程において2価銅イオンは還元糖に対して過剰量添加されているため、亜酸化銅生成工程後の反応液中には2価銅イオンが残存する。したがって、亜酸化銅生成工程後の反応液にさらに標準還元糖溶液を加えることで、2価銅イオン量を容量滴定することができる。 なお、本第3発明の還元糖測定方法で用いる標準還元糖溶液は、還元糖試料と同じ試料から調製したものであっても良いし、異なる試料から調製したものであっても良い。例えば、標準還元糖溶液として、既知量の還元糖を含む試料を水等に溶解させて調製した既知濃度の還元糖溶液を用いる場合には、アルカリ性水溶液中の2価銅イオン量と、標準還元糖溶液中に含まれる還元糖量とから、還元糖試料に含まれる還元糖量を算出できる。 また、還元糖試料と同じ未知量の還元糖を含む試料から標準還元糖溶液を調製する場合には、アルカリ性水溶液中の2価銅イオンの量から、標準還元糖溶液に含まれる還元糖量と還元糖試料中に含まれる還元糖量との和が算出され、標準還元糖溶液の濃度と還元糖試料の量(還元糖試料として液体状のものを用いる場合にはその濃度)とから、還元糖試料に含まれる還元糖の量が算出できる。 第3発明の還元糖測定方法において、還元糖試料中の還元糖量を算出する方法を以下に例示する。 先ず、標準還元糖測定工程で検出された終点から標準還元糖測定工程で加えた生成した亜酸化銅量を算出する。すなわち、(1)予め、反応液中の2価銅イオンを完全に消費する還元糖量(以下、所要還元糖総量と呼ぶ)を算出しておき、(2)標準還元糖測定工程で得られた終点を基に、標準還元糖測定工程で加えた還元糖量を算出し、(3)予め算出しておいた所要還元糖総量と、還元糖量標準還元糖測定工程で加えた標準還元糖量との差から、反応液中の還元糖量、すなわち、還元糖試料中の還元糖量を算出する。 第3発明の還元糖測定方法によると、滴定の終点を電気的測定によって検出することから終点の検出を目視に依らずおこなうことができる。また、例えば予め所要還元糖総量を算出しておく際に、約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて還元糖量を算出すれば、所要還元糖総量を容易かつ正確に算出することができる。 ここで、従来のレインエイノン定容法では、標準還元糖測定工程後の反応液の総量が約75mlとなるように容量滴定をおこなうことが定められていた。しかし、標準還元糖測定工程後の反応液の総量を約75mlとするためには、還元糖試料溶液毎に予め予備滴定をおこない、還元糖試料溶液中の還元糖量を予め調整しておく必要がある。例えば還元糖試料溶液中の還元糖量が多すぎて標準還元糖測定工程後の反応液の総量が75mlを大きく上回るような場合には還元糖試料溶液を希釈する必要がある。また、還元糖試料溶液中の還元糖量が少なすぎて標準還元糖測定工程後の反応液の総量が75mlを大きく下回るようであれば、還元糖試料溶液に既知量の還元糖を補填した後に再度予備滴定をおこなう必要がある。また、標準還元糖測定工程後の反応液の総量が75mlをさらに大きく上回る場合やさらに大きく下回る場合には、還元糖試料溶液を再度調製して、再度予備滴定をおこなう必要がある。このような操作は非常に煩雑であるために、還元糖の測定が遅延する事情があった。さらに、予備滴定の結果に応じて希釈等の操作が必要になるために、自動滴定装置等を用いた分析操作を行うことができない事情もあった。 そこで、標準還元糖測定工程後の反応液の総量が約75mlである場合と、75mlを大きく上回る場合や大きく下回る場合とで、2価銅イオンを還元するのに要する還元糖の量がどの程度変化するかを検証した。 先ず、後述する実施例5で用いた銅試薬と同じ銅試薬20mlに25ml、35ml、40ml、45ml、50ml、55ml、65mlの各量の蒸留水を加えて試験1〜7の2価銅イオンを含む水溶液を調製した。この試験1〜7の水溶液中の2価銅イオン量を、10mg/mlの標準還元糖溶液によって滴定した。そして、水溶液中の2価銅イオンを還元するのに要した還元糖量と反応液の総量とを比較した。その結果を表1に示す。 表1に示すように、反応液の総量が75mlでなくても、最終液量が75ml±20mlで、同量の銅試薬を還元するのに要する還元糖の総量はほぼ103mgであった。このように、反応液の総量が75mlでなくても、還元糖試料の濃度を正確に算出することが可能であることがわかる。 なお、第1発明〜第3発明の還元糖測定方法において、還元糖試料が還元糖以外の成分を多く含むような場合には、既知の方法によってタンパク質、脂肪、色素等に代表される還元糖以外の成分を除去することが好ましい。 第4発明の還元糖測定装置は、第1発明の還元糖測定方法によって還元糖を測定するための装置である。第4発明の還元糖測定装置は、第1発明の還元糖測定方法におけるヨウ素還元剤測定工程で容量滴定の終点を検出するための滴定量測定手段を備える。この滴定量測定手段は、反応液の酸化還元電位と分極電流と分極電位差との少なくとも一種を測定するための、双白金つの型電極と複合白金電極との少なくとも一方をもつ。滴定量測定手段は、双白金つの型電極と複合白金電極との少なくとも一方(以下、検出電極と呼ぶ)のみを備えるものであっても良いし、検出電極で検知した電流や電圧を表示するための表示手段等を備えるものであっても良い。また、これ以外にも既知の自動滴定装置に設けられる既知の種々の手段を設けることもできる。 双白金つの型電極は、互いに離間して配置された2本の白金線を持つ電極であり、上述した反応液の分極電位差や分極電流を検出することができる。 複合白金電極は、白金からなり、内部に比較極を備えた電極であり、上述した反応液の酸化還元電位を検出することができる。 第4発明の還元糖測定装置では、検出電極として双白金つの型電極や複合白金電極の少なくとも一方を備えることで、電気的方法を用いた終点検出をおこなうことができる。そして双白金つの型電極や複合白金電極は耐久性に優れた電極であるため、一般的な電極を用いた場合と異なり、煮沸されたアルカリ性の反応液の電流や電位差を測定しても電極の劣化等が生じにくく、滴定の終点を正確に検出することができる。このうち、双白金つの型電極は特に耐久性に優れることから、特に好ましく用いられる。 第4発明の還元糖測定装置には、滴定量測定手段以外にも、反応液を収容するための収容容器を設けてもよいし、反応液を煮沸するための加熱手段や加熱手段による加熱時間や加熱温度を制御する加熱制御手段、煮沸後の反応液を冷却するための冷却手段等を設けてもよい。なお、冷却手段としては、例えば冷水を反応液が収容された収容容器の外側に循環させるような手段や、反応液中に冷水を注入する手段等に代表されるの種々の既知の手段を用いることができる。また第1発明のキレート工程で反応液にキレート剤を加えるためのキレート剤添加手段や、第1発明の亜酸化銅酸化工程で反応液にヨウ素を加えるためのヨウ素添加手段を設けても良い。さらに、第1発明のヨウ素還元剤測定工程で反応液中にヨウ素還元剤を滴下するための滴下手段や送液装置を設けてもよい。その他、ヨウ素還元剤測定工程で検知電極により検知された電流や電圧をもとに滴定の終点を判定したり、終点を基に還元糖量を算出するための演算手段を設けてもよい。演算手段と送液手段とを接続して、演算手段によって送液手段の駆動を制御してもよい。さらに、測定後に検出電極を電気化学的にクリーニングできるクリーニング手段を備えても良い。また、これ以外にも、既知の自動滴定装置に設けられる既知の種々の手段を設けることができる。 第5発明の還元糖測定装置は、第2発明の還元糖測定方法によって還元糖の測定をおこなうための装置である。この還元糖測定装置は、第2発明におけるヨウ素測定工程でヨウ素を電解生成させるための電気分解手段と、第2発明におけるヨウ素測定工程で反応液の分極電流と分極電位差との少なくとも一種を測定するための滴定量測定手段とを備える。 滴定量測定手段は、上述した第4発明の還元糖測定装置の滴定量測定手段と同様のものを用いることができる。 電気分解手段は双白金渦巻型電極をもつ。この双白金渦巻型電極は、白金線が渦巻状に丸められてなる2つの電極が互いに離間して配置されたものであり、白金線が渦巻状に丸められていることで、電極の表面積が大きくなったものである。この双白金渦巻型電極は、定電流を供給することで反応液中に加えられたヨウ化カリウムを電気分解してヨウ素を生成させることができる。電気分解手段は、双白金渦巻型電極のみを備えるものであっても良いし、双白金渦巻型電極の出力電流等を表示するための表示手段等を備えるものであっても良い。そして、測定後に双白金渦巻型電極を電気化学的にクリーニングできるクリーニング手段を備えていることが望ましい。 第5発明の還元糖測定装置では、検出電極として双白金つの型電極を備えることで、上述した第4発明と同様に、電気的方法を用いた終点検出をおこなうとともに、滴定の終点を正確に検出することができる。さらに、電気分解手段を備えることで、滴定のための滴下手段や送液装置等を別途設けたり、滴下手段や送液装置等を本発明の還元糖測定装置以外に別途用意する必要が無くなる。そして、電気分解手段のうちヨウ素を電解生成するための双白金渦巻型電極は上述した双白金つの型電極等と同様に耐久性に優れた電極であるために、反応液中にヨウ素を安定して供給することができる。なお、この第5発明の還元糖測定装置にも、上述した第4発明の還元糖測定装置と同様に加熱手段等を設けてもよい。 第6発明の還元糖測定装置は、第3発明の還元糖測定方法によって還元糖の測定をおこなうための装置である。この還元糖測定装置は、第3発明における標準還元糖測定工程で反応液の酸化還元電位と分極電流との少なくとも一種を測定するための滴定量測定手段を備える。滴定量測定手段は、上述した第4発明の還元糖測定装置の滴定量測定手段と同様のものを用いることができる。 第6発明の還元糖測定装置では、第4発明の還元糖測定装置と同様に、電気的方法を用いた終点検出をおこなうことができ、双白金つの型電極や複合白金電極の優れた耐久性に起因して滴定の終点を正確に検出することができる。特に、双白金つの型電極は上述したように非常に優れた耐久性を発揮するために、滴定の終点をより正確に検出することができる。 ここで、第3発明の還元糖測定方法では、煮沸下で滴定をする必要があるために、検出電極には特に高い耐久性が要求される。そして、検出電極として酸化還元電極を用いる場合には、酸化還元電極をクリーニングできるクリーニング手段を備えていることが好ましい。このうち双白金つの型電極は、構造が簡単であるため耐久性とクリーニングのし易さとを兼ね備えており、特に好ましく用いられる。以下、本発明の還元糖測定方法および測定装置を例を挙げて説明する。 (実施例1)実施例1は第1発明および第4発明に関する実施例である。本実施例において還元糖測定に用いた還元糖測定装置を図1に示す。 本実施例1の還元糖測定装置1は、検出電極としての複合白金電極2をもつ滴定量測定手段3をもつ。滴定量測定手段3は、さらに、測定後に複合白金電極2を電気化学的にクリーニングするクリーニング手段(図示せず)を備えている。クリーニング手段は、硫酸酸性化で滴定とは逆方向に電流を流すものである。 また、本実施例1の還元糖測定装置1は、反応液5を収容するための第1の収容容器6、反応液5を煮沸するための加熱手段7、反応液5を冷却するための冷却手段9、ヨウ素還元剤としてのチオ硫酸ナトリウム溶液8を反応液5中に滴下するための自動滴定手段10、および、複合白金電極2に接続され複合白金電極2によって検知された酸化還元電位をもとに滴定の終点を判定し、さらに、終点を基に還元糖量を算出する演算手段11を備えている。このうち、加熱手段7はホットスターラであり、冷却手段9は冷却水を収容容器6の表面に接触させるための冷却管である。また、演算手段11はマイクロコンピュータである。また、収容容器6は反応液5を収容する容器部12と容器部12の開口を覆う蓋部13とからなり、蓋部13には攪拌子15が取りつけられている。この攪拌子15は、容器部12に反応液5が収容される容器部12の開口が蓋部13で閉じられると、反応液5中に挿入されるようになっており、加熱手段7のホットスターラにより回転して反応液5を攪拌する。 加熱手段7には、反応液5の温度を検知する温度検知手段16が接続されるとともに、加熱手段7による加熱時間と加熱温度とを制御する加熱制御手段(図示せず)が接続されている。 また、自動滴定手段10には、チオ硫酸ナトリウム溶液8を収容するための第2の収容容器17、反応液5中にチオ硫酸ナトリウム溶液8を滴下するための滴下手段18、および、第2の収容容器17中のチオ硫酸ナトリウム溶液8を滴下手段18に送る送液手段20が設けられている。自動滴定手段10は演算手段11に接続され、演算手段11で滴定の終点が検出されると信号を受けて送液装置20の駆動が停止するようになっている。 本実施例1において、還元糖の測定は以下のようにおこなった。 A.試薬の調製 (a)0.5Nのヨウ素酸カリウム溶液の調製445.8mgのヨウ素酸カリウム(KIO3)を精密にはかり、水に溶かして25.0mlとし、0.5Nのヨウ素酸カリウム溶液とした。 (b)銅試薬の調製Na2HPO4・12H2O71gと酒石酸カリウムナトリウム40gとを水約400mlに溶かし、次に1NのNaOH溶液100mlを加えて、かき混ぜながら、液面にまで達する漏斗を用いてCuSO4溶液(10gのCuSO4・5H2Oに水を加えて全量を100mlにしたもの)80mlを加えた。次に、410gのNa2SO4・10H2Oを加えて溶かし、0.5Nのヨウ素酸カリウム溶液18mlを加えて水で1000mlにした。これを1〜2日間放置した後に濾過して着色瓶に貯えた。 (c)2.5%KI溶液の調製2.5gのKIをはかりとり、微量のNa2CO3溶液を加えるとともに水に溶かして全量を100mlにして2.5%(w/v)KI溶液とした。 (d)還元糖試料溶液の調製 還元糖試料溶液として、以下の試料溶液1〜6を調製した。試料溶液1〜5はグルコースとフルクトースとを1:1の重量比で混合した還元糖試料を含む溶液であり、試料溶液6は還元糖を含まない水溶液(水)である。試料溶液1の還元糖濃度は0.4μmol/ml、試料溶液2の還元糖濃度は0.8μmol/ml、試料溶液3の還元糖濃度は1.2μmol/ml、試料溶液4の還元糖濃度は1.6μmol/ml、試料溶液5の還元糖濃度は2.0μmol/ml、試料溶液6の還元糖濃度は0μmol/mlであった。 (e)0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液の調製 市販の0.01Nチオ硫酸ナトリウム標準液を準備した。 B.還元糖量の測定 (亜酸化銅生成工程)収容容器6に銅試薬5mlを入れ、還元糖試料溶液5mlと水を加えて全量を10mlとして還元糖試料と2価銅イオンとを含むアルカリ性水溶液を調製した。次に、このアルカリ性水溶液を加熱手段によって2分以内に沸騰させるとともに正確に3分間沸騰させた。この亜酸化銅生成工程で、2価銅イオンと還元糖試料中の還元糖とが反応して亜酸化銅が生成した。その後冷却手段9によって反応液を1分間急冷し、さらに、その後に2N硫酸5mlを加えた。 (キレート工程)亜酸化銅生成工程後の反応液に、100mgのEDTA−2Naを加えた。このEDTA−2Naによって反応液中に残存する2価銅イオンがキレートされた。 (亜酸化銅酸化工程)キレート工程後の反応液に100mgのヨウ化カリウムを添加した。このヨウ化カリウムと銅試薬に予め含まれているヨウ素酸カリウムとによってヨウ素が生成し、生成したヨウ素によって反応液中の亜酸化銅が酸化された。 (ヨウ素還元剤測定工程)亜酸化銅酸化工程後の反応液に、総液量50mlとなるように水を加えた。次いで、攪拌子15により反応液を攪拌しつつ、自動滴定手段10によって0.01Nのチオ硫酸ナトリウム溶液を反応液に滴下し、反応液中に残存するヨウ素を容量滴定した。このとき、指示電極である複合白金電極2によって反応液中の酸化還元電位を測定した。このときの酸化還元電位を演算手段11に送信し、演算手段11にて酸化還元電位の変化によって滴定の終点を検出した。 亜酸化銅生成工程からヨウ素還元剤測定工程までの操作をおこなった後に、演算手段11にて、ヨウ素還元剤測定工程で滴定に要したチオ硫酸ナトリウム量を基に、試料6の場合のチオ硫酸ナトリウム滴定量との差からチオ硫酸ナトリウム減少量(mol)を算出した。 試料溶液1の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は5.6μmol、試料溶液2の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は17.4μmol、試料溶液3の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は30.6μmol、試料溶液4の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は43.0μmol、試料溶液5の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は56.8μmolであった。また、還元糖を含まない試料溶液6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は0μmolであった。ここで、チオ硫酸ナトリウム減少量とは、各々の滴定に要したチオ硫酸ナトリウム量を、予め加えたヨウ素全量を還元するのに要するチオ硫酸ナトリウム量からひいた値を指す。 (実施例2)実施例2の還元糖測定装置は、指示電極が双白金つの型電極であること以外は実施例1の還元糖測定装置と同じものである。また、実施例2の還元糖測定方法は、ヨウ素還元剤測定工程で反応液中の分極電位差の変化により滴定の終点を検出した以外は実施例1と同じ方法である。 本実施例2の還元糖測定方法において、分極の電位差が急激に変化した時点を終点と判断した。実施例2において、試料溶液1の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は4.6μmol、試料溶液2の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は16.4μmol、試料溶液3の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は29.0μmol、試料溶液4の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は41.2μmol、試料溶液5の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は52.8μmolであった。また、還元糖を含まない試料溶液6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は0μmolであった。 (実施例3)実施例3の還元糖測定装置は実施例2の還元糖測定装置と同じものであり、実施例3の還元糖測定方法は、ヨウ素還元剤測定工程で反応液中の分極電流の変化により滴定の終点を検出した以外は実施例1と同じ方法である。 本実施例3の還元糖測定方法において、分極の電流が生じた時点を終点と判断した。実施例3において、試料溶液1の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は5.2μmol、試料溶液2の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は14.2μmol、試料溶液3の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は28.0μmol、試料溶液4の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は41.4μmol、試料溶液5の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は53.2μmolであった。また、還元糖を含まない試料溶液6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は0μmolであった。 (比較例1)比較例1の還元糖の測定方法は、ソモギー法にしたがって目視で終点を決定する方法である。本比較例1において還元糖量の測定は以下のようにおこなった。 A.試薬の調製実施例1と同じ銅試薬、2.5%KI溶液、0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液および実施例1〜3と同じ還元糖試料溶液1〜試料溶液6を準備した。 B.還元糖量の測定ビーカーに還元糖試料溶液5mlと銅試薬5mlとを入れ、水を加えて全量を10mlとして還元糖試料と2価銅イオンとを含むアルカリ性水溶液を調製した。次に、このアルカリ性水溶液を激しく沸騰している水浴中に浸した。本比較例1においてアルカリ性水溶液の加熱時間は3分間とした。加熱終了後、反応液を冷水で冷却した後に2.5%KI溶液2mlを徐々に加えた。ついで5mlの2NのH2SO4を素早く加え、振り混ぜて沈殿を完全に溶解した。その後に、1%デンプン試薬1mlを指示薬として、0.01Nのチオ硫酸ナトリウム溶液で析出したI2を滴定した。滴定の終点は目視にて反応液の色の変化を検出した。 滴定終了後、予め準備した検量線に基づいて、滴定に要したチオ硫酸ナトリウム量から還元糖試料溶液中の還元糖量を算出した。そして算出されたチオ硫酸ナトリウム量を基に、試料6の場合のチオ硫酸ナトリウム滴定量との差からチオ硫酸ナトリウム減少量(mol)を算出した。 比較例1の還元糖試験方法で算出された試料溶液1の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は7.3μmol、試料溶液2の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は18.8μmol、試料溶液3の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は32.2μmol、試料溶液4の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は44.8μmol、試料溶液5の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は57.3μmolであった。また、還元糖を含まない試料溶液6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は0μ当量であった。 (実施例1〜3の方法と比較例1の方法との比較)電気的測定により検出された終点と、従来おこなわれていた目視による終点との差異を検証するために、実施例1で還元糖試料溶液1〜6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量と、比較例1で還元糖試料溶液1〜6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量とを比較した。実施例1及び比較例1におけるチオ硫酸ナトリウム減少量を表すグラフを図2に示す。図中、縦軸はチオ硫酸ナトリウム減少量(μmol)を示し、横軸は還元糖試料溶液中に入れた還元糖の量(μmol)を示す。図2に示すように、実施例1の本発明の還元糖測定方法におけるチオ硫酸ナトリウム減少量は、比較例1の従来の還元糖測定方法とほぼ一致した値であった。このことから、本発明の還元糖測定方法で測定される還元糖量はソモギー法による従来の還元糖測定方法で測定される還元糖量とほぼ一致することがわかった。 また、分極電流の変化により検出された終点と、分極電圧の変化により検出された終点とを比較するために、実施例2で還元糖試料溶液1〜6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量と、実施例3で還元糖試料溶液1〜6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウムの減少量とを比較した。実施例2及び実施例3におけるチオ硫酸ナトリウム減少量を表すグラフを図3に示す。図中、縦軸はチオ硫酸ナトリウム減少量(μmol)を示し、横軸は還元糖試料溶液中に入れた還元糖の量(μmol)を示す。 図3に示すように、分極電位差の変化によって終点を検出した場合(実施例2)も、分極電流の変化によって終点を検出した場合(実施例3)も、ほぼ同程度のチオ硫酸ナトリウム減少量を示した。また、このチオ硫酸ナトリウム減少量は、図2に示される実施例1及び比較例1のチオ硫酸ナトリウム減少量とほぼ一致した。このことから、酸化還元電位の変化によって終点を検出する場合に限らず、分極電位差の変化や分極電流の変化によって終点を検出した場合にも、還元糖の測定値は従来の還元糖測定方法で測定される測定値とほぼ一致した値が得られることが判った。 さらに、図2および図3に示される結果から、何れの場合にも、2価銅イオンと還元糖との反応時には約10モルの銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成する化学量論が成り立っていることがわかる。 したがって、還元糖試料中に含まれる還元糖量は、亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて算出すればよく、換算表や検量線等を要さずに還元糖の測定を容易かつ迅速におこなうことができることがわかる。 なお、参考までに、双白金つの型電極を用いた際の終点付近の分極電流の変化および分極電位差の変化を表すグラフを図4に示す。図4中(A)は終点付近の分極電流の変化を表すグラフであり、図中、縦軸は分極電流(μA)を表し、横軸は経過時間を表し、矢印は終点を表す。また、図4中(B)は終点付近の分極電位差の変化を表すグラフであり、図中、縦軸は分極電位差(mV)を表し、横軸は経過時間を表し、矢印は終点を表す。図4に示されるように、何れの方法でも終点は鋭いピークとしてあらわれるために、終点の検出は容易におこなわれる。 (実施例4)実施例4は第2発明および第5発明に関する実施例である。本実施例において還元糖測定に用いた還元糖測定装置を図5に示す。 本実施例4の還元糖測定装置21は、双白金つの型電極22をもつ滴定量測定手段23と、双白金渦巻型電極25をもつ電気分解手段26を持つ。滴定量測定手段23は、実施例1の還元糖測定装置と同じクリーニング手段(図示せず)を備えている。 また、本実施例4の還元糖測定装置21は、反応液27を収容するための収容容器28、実施例1のものと同じ加熱手段30、実施例1のものと同じ冷却手段29、双白金渦巻型電極25に定電流を印加する定電流電源31、および、双白金つの型電極22に接続され双白金つの型電極22によって検知された分極電流をもとに電量滴定の終点を判定し、さらに、終点を基に還元糖量を算出する演算手段32を備えている。 また、収容容器28は反応液27を収容する容器部33と容器部33の開口を覆う蓋部35とからなり、蓋部35には攪拌子36と、攪拌子36を回転させるための駆動手段(図示せず)が取りつけられている。この攪拌子36は、容器部33に反応液27が収容される容器部33の開口が蓋部35で閉じられると、反応液中27に挿入されるようになっており、駆動手段により回転して反応液27を攪拌する。 また、収容容器28内には図示しない窒素ガス供給手段から延びるノズル37が挿入されており、後述するヨウ素測定工程直前に窒素ガス供給手段から反応液27中に窒素ガスが供給されるようになっている。 加熱手段30には、実施例1のものと同じ温度検知手段38と加熱制御手段(図示せず)とが接続されている。また、定電流電源31には双白金渦巻型電極25が接続されており、この定源流電源31は演算手段32に接続されている。定電流電源31による双白金渦巻型電極25への電流の印加は、演算手段32によって制御されている。また双白金つの型電極22は演算手段32と接続され、複合白金電極22により検知された酸化還元電位は演算手段32に送られる。 本実施例において還元糖の測定は以下のようにおこなった。 A.試薬の調製実施例1と同じ銅試薬および還元糖試料溶液を準備した。 B.還元糖の測定 (亜酸化銅生成工程)収容容器33に還元糖試料溶液5mlと銅試薬5mlを入れ、水を加え全量を10mlとして還元糖試料と2価銅イオンとを含むアルカリ性水溶液を調製した。次に、このアルカリ性水溶液を加熱手段30で2分以内に沸騰させるとともに正確に3分間沸騰させた。この亜酸化銅生成工程で、2価銅イオンと還元糖試料中の還元糖とが反応して亜酸化銅が生成した。その後、冷却手段29により反応液を1分間急冷した。さらに、その後に2N硫酸5mlを加えた。 (キレート工程)亜酸化銅生成工程後の反応液に、100mgのEDTA−2Naを加えた。このEDTA−2Naによって反応液中に残存する2価銅イオンがキレートされた。 (亜酸化銅酸化工程)キレート工程後の反応液に、100mgのヨウ化カリウムを加えた。このヨウ化カリウムは銅試薬中に含まれ予め反応液中に加えられているヨウ素酸カリウムと反応し、ヨウ素が生成した。そして、生成したヨウ素によって反応液中の亜酸化銅が酸化した。 (ヨウ素還元工程)亜酸化銅酸化工程後の反応液にノズル37より反応液中に窒素ガスを導入しつつ一分間脱気し、その後に0.01Nのチオ硫酸ナトリウム溶液10.5mlを加えた。ここで加えたチオ硫酸ナトリウムによって反応液中に残存するヨウ素が還元された。 (ヨウ化カリウム添加工程)亜酸化銅酸化工程において、添加されたヨウ化カリウムの量はヨウ素酸カリウムの量に対して過剰であるため、ヨウ素還元工程後の反応液中にはヨウ化カリウムが残存した。 (ヨウ素測定工程)ヨウ化カリウム添加工程後、定電流電源31より双白金渦巻型電極25に定電流(24.12mA)を印加し、反応液中のヨウ化カリウムを電気分解した。この電気分解によってヨウ素が生成し、生成したヨウ素によって反応液に残存するチオ硫酸ナトリウム量を電量滴定した。そして、反応液中の分極電流を双白金つの型電極22によって測定することで電量滴定の終点を検出し、電量滴定に要したヨウ素量を測定した。 先ず、亜酸化銅生成工程〜ヨウ素測定工程が終了した後に、ヨウ素測定工程における電量滴定の終点を基に、演算手段32にて、反応液中に残存するチオ硫酸ナトリウムを酸化するために必要な量のヨウ素を生成させるのに要する電気量(電解電極に印加された電流量と電解時間との積算値、以下積算電気量と呼ぶ)を算出した。 積算電気量と各試料溶液中に含まれる還元糖量(理論値)との関係を表すグラフを図6に示す。図6に示される還元糖量は、各々の試料溶液中に含まれると考えられる還元糖量の理論値である。図6に示されるように、還元糖量と積算電気量との間には比例関係が成立した。したがって、電量滴定によって得られた終点から算出された積算電気量を基に還元糖量を算出できることがわかる。 (EDTA−2Na添加量の検討)EDTA−2Naの最適な添加量を検討した。上述したように、電気的測定で終点を検出する場合には、亜酸化銅生成工程後の反応液中に残存する2価銅イオンの影響で正確な測定値が得られない場合がある。したがって、2価銅イオンをキレートするためのキレート剤には最適な添加量がある。本試験において、銅試薬は実施例1と同じものを用い、還元糖試料溶液は実施例1と同じ試料溶液5を用い、EDTA−2Naの量を0mg、40mg、60mg、80mg、100mg、120mgとかえて、実施例4の方法により還元糖の測定をおこなった。その結果、図7に示すように、積算電気量はEDTA−2Naの添加量の増加に伴って減少し、EDTA−2Naを80mg以上添加すると一定となった。したがって、5mlの銅試薬(銅イオン含有量160μmol)と5mlの還元糖溶液(試験溶液5、還元糖含有量10μmol)とを亜酸化銅生成工程で反応させる場合、キレート工程で添加するEDTA−2Naの量は80mg以上が好ましいことが判った。 なお、実施例1と同じ銅試薬と実施例1と同じ還元糖溶液である試料溶液1〜6とを反応させ、EDTA−2Naを添加しなかったこと以外は実施例4の還元糖測定方法と同じ方法で測定をおこなった場合には、図8に示すように積算電気量は一定しなかった。 (ヨウ化カリウム添加量の検討)実施例4の還元糖測定方法において電気分解によってヨウ素を生成させるために添加するヨウ化カリウムの添加量を検討した。通常、電量滴定においては電解の電流効率を100%にする必要があるため、ヨウ化カリウムは総量50mlの反応液中に1g前後含まれるようにする必要があると考えられる。ところが、2価銅イオンが存在すると、電気分解に関係なく、ヨウ化カリウム濃度の増加に伴ってヨウ素が生成する現象が観察された。これは、反応液中で化4式に示される副反応が生じているためと考えられる。 参考までに、ヨウ化カリウムの添加量の増加とヨウ素量との関係を表すグラフを図9に示す。図9に示すグラフは、詳しくは、種々の量のヨウ化カリウムと2価銅イオンとを含む水溶液をチオ硫酸ナトリウムで滴定した時のチオ硫酸ナトリウムの滴定量とヨウ化カリウムの添加量との関係を表すグラフである。水溶液中のヨウ化カリウムの量は、0mg、100mg、200mg、300mg、600mg、1000mg、1500mg、2500mgであり、ヨウ素酸カリウムを含まないこと以外は実施例1と同様に調製された。そして、銅試薬5mlを加えることで、水溶液中に2価銅イオンを加えた 。図9によると、ヨウ化カリウムの添加量が増加するとチオ硫酸ナトリウムの滴定量が増加することから、反応液中にヨウ素量が生成していることがわかる。 このように、電気分解に関係なく反応液中にヨウ素が生成することで、例えば0.2μmol程度の還元糖を含む低濃度の還元糖を測定する際には、反応液中のヨウ化カリウム量が多くなると還元糖の検出精度が低下する場合がある。 一方、通常のソモギー法では総量約50mlの反応液に含まれるヨウ化カリウムが50mg程度に設定されているために、上述した2価銅イオンによるヨウ素の生成は抑えられるが、電流効率が悪くなるために終点の検出精度が低下する問題がある。反応液中に含まれるヨウ化カリウムの最適な量は、総量50mlの反応液中にヨウ化カリウムが80mg〜120mg含まれる範囲であり、ヨウ化カリウムが100mg含まれる場合が特に好ましい。反応液中のヨウ化カリウムの量がこの範囲であれば、上述した副反応による影響をおさえつつ電量滴定を精度良くおこなうことができる。 (実施例5)実施例5は第3発明及び第6発明に関する実施例である。本実施例5の還元糖測定装置を模式的に表す図を図10に示す。 本実施例5の還元糖測定装置40は、実施例1のものと同じ滴定量測定手段41を備える。また、本実施例5の還元糖測定装置40は、実施例1のものと同じ第1の収容容器42、加熱手段43、および、複合白金電極45に接続され複合白金電極45によって検知された酸化還元電位をもとに滴定の終点を判定し、さらに、終点を基に還元糖量を算出する演算手段46を備えている。そして自動滴定手段47は、第2の収容容器48に標準還元糖溶液50が収容されるとともに反応液51中に標準還元糖溶液50を滴下すること以外は実施例1と同じものである。 A.試薬の調整 (a)銅試薬の調製138.56gのCuSO4・5H2Oを正確に秤量し、水に溶解した。この溶液を2L容メスフラスコに全量移し入れ、20℃において水で定容して混合し溶液Aとした。 別に、692.18gのKNaC4H4O6と200gのNaOHとを各々秤量し、約500mlの水に溶解した。この溶液を冷却後、2L容メスフラスコに移し、20℃において水で定容にまで希釈し、混合して溶液Bとした。 ガラス棒で攪拌しながら溶液Aを溶液Bに注ぎ、等容量の両用液を混合して銅試薬を調製した。 (b)標準還元糖溶液の調製グルコースとフルクトースとを1:1の重量比で混合した還元糖1000mgを水に溶かして全量100mlとし、10mg/mlの標準還元糖溶液を調製した。 B.還元糖の測定 (亜酸化銅生成工程)還元糖試料溶液として上述した標準還元糖溶液を用いた。先ず、第1の収容容器42に銅試薬20mlを入れたものを10個準備し、このうち一つには標準還元糖溶液を加えず、残りの各第1の収容容器42中には、上述した標準還元糖溶液を0.5ml、1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、8ml、10mlで加えた。そして、各々の第1の収容容器42には、さらに水45mlを加えて全量を65〜75mlとした。この作業で、還元糖試料と2価銅イオンとを含むアルカリ性水溶液7〜16が調製された。なお、各アルカリ性水溶液に含まれる還元糖量は、アルカリ性水溶液7が5mg、アルカリ性水溶液8が10mg、アルカリ性水溶液9が20mg、アルカリ性水溶液10が30mg、アルカリ性水溶液11が40mg、アルカリ性水溶液12が50mg、アルカリ性水溶液13が60mg、アルカリ性水溶液14が80mg、アルカリ性水溶液15が100mg、アルカリ性水溶液16が0mgであった。 次に、このアルカリ性水溶液を加熱手段で2分以内に沸騰させるとともに正確に3分間沸騰させた。この亜酸化銅生成工程で、2価銅イオンと還元糖試料中の還元糖とが反応して亜酸化銅が生成した。 (標準還元糖測定工程)加熱手段43により亜酸化銅生成工程後の反応液を煮沸しつつ、自動滴定手段47により反応液中に標準還元糖溶液50を徐々に加えて、反応液中に残存する2価銅イオンを容量滴定した。そして、複合白金電極45により反応液中の酸化還元電位を測定し、演算手段46にて酸化還元電位の変化を検出することで、滴定の終点を検出した。 標準還元糖測定工程終了後、演算手段46にて、標準還元糖測定工程で測定された標準還元糖量をもとに上述した方法に基づいて各試料溶液中の還元糖量を算出した。 各液量の還元糖試料溶液を含むアルカリ性水溶液7〜12およびアルカリ性水溶液16中に含まれる還元糖量の理論値(以下、試料溶液の理論還元糖量と呼ぶ)と、標準還元糖測定工程で加えた標準還元糖溶液に含まれる還元糖量の理論値(以下、標準還元糖溶液の理論還元糖量)との和を、試料溶液毎に比較するグラフを図11に示す。試料溶液の理論還元糖量と標準還元糖溶液の理論還元糖量との和は、各濃度の試料溶液でほぼ等しかった。 試料溶液7〜12および試料溶液16の理論還元糖量と、標準還元糖測定工程で検出された滴定の終点を基に算出された還元糖量(試料溶液の実測還元糖量)との関係を表すグラフを図12に示す。図12に示されるグラフから、試料溶液の理論還元糖量が5mg〜50mgの範囲において、試料溶液の理論還元糖量と実測還元糖量とがほぼ一致することがわかる。このことから、本実施例3の還元糖測定方法によると、還元糖試料溶液中の還元糖量が正確に測定できることがわかる。 上述したレインエイノン定容法では、標準還元糖測定工程後の反応液の総量が75mlになるように、予め予備滴定をおこなってアルカリ性水溶液中に添加する還元糖試料の量を調整していた。これは、2価銅イオンと反応すべき還元糖の大半を亜酸化銅生成工程において煮沸条件下で反応させておくことで、還元糖の反応条件を一定にして、還元糖の測定を高精度におこなうためである。しかし本実施例の結果から、同じ量の2価銅イオンと反応する還元糖の総量は、2価銅イオンと反応すべき還元糖の大半を亜酸化銅生成工程で反応させる場合にも、標準還元糖測定工程で反応させる場合にもほぼ等しいことがわかった。したがって、本第3発明の還元糖測定方法によると、従来のレインエイノン定容法にように測定に煩雑な操作を要さず、還元糖量を正確に測定できることがわかる。また従来のレインエイノン定容法では、還元糖測定に予備滴定が必要であったため、測定の自動化ができない問題があったが、本発明の方法では予備滴定が必要でなくなることから、測定の自動化が可能になる。さらに、上述したように還元糖測定装置40の電極として耐久性の高い複合白金電極45を用いたことで、滴定の終点を電気化学的方法で検出できるようになり、還元糖の測定をより容易かつ正確におこなうことが可能になる。 さらに、銅試薬中に含まれる2価銅イオン量と還元糖量との当量関係から、還元糖1molは、酸化剤である2価銅イオン5molと反応することがわかる。 なお、参考までに、複合白金電極を用いた際の終点付近の酸化還元電位の変化を表すグラフを図13に示す。図中、左側縦軸は酸化還元電位(V)を表し右側縦軸は酸化還元電位の一次微分値を表す。また図中横軸は、経過時間を表し、矢印は終点を表す。 標準還元糖溶液による容量滴定の終点に達すると、酸化還元電位が急激に変化するため、終点を容易に検出することができる。また、酸化還元電位の一次微分値ではこの変化はより顕著であるため、例えば、演算手段にて酸化還元電位を一次微分することで、より正確に終点を検出することができる。 さらに、このとき反応液中にメチレンブルー溶液を加えておくと250秒後にメチレンブルーの退色があらわれた。メチレンブルーの退色があらわれた経過時間と酸化還元電位の一次微分値の最大値があらわれる経過時間とは完全に一致するため、酸化還元電位の変化によって、滴定の終点を鋭敏かつ精度よく検出できることがわかる。 さらに、検知電極として複合白金電極にかえて双白金つの型電極を用いた際の終点付近の分極電流の変化を表すグラフを図14に示す。図中、縦軸は分極電流の大きさμAを示し、横軸は経過時間を示す。図14に示されるように、分極電流の変化によるる分極電流法でも終点を鋭敏に検出することができる。 検知電極として双白金つの型電極を用いた場合の試料溶液9、11、13〜16の理論還元糖量と実測還元糖量との関係および、検知電極として複合白金電極を用いた場合の試料溶液9、11、13〜16の理論還元糖量と実測還元糖量との関係を表すグラフを図15に示す。還元糖量が100mg以下の範囲では、検知電極として複合白金電極を用いた場合にも双白金つの型電極を用いた場合にも、理論還元糖量と実測還元糖量とがほぼ一致した。したがって、検知電極として複合白金電極を用いる場合にも、双白金つの型電極を用いる場合にも、還元糖量を高精度に測定できることがわかる。 (実施例6)実施例5は第3発明及び第6発明に関する実施例である。本実施例では、還元糖試料として、黒砂糖、きび砂糖、三温糖、上白糖、グラニュー糖、水飴、しょうゆ、はちみつ、および、ワイン(赤、甘口)を用いた以外は、実施例5と同じ方法で還元糖の測定をおこなった。 (比較例2)比較例2は従来のレインエイノン定容法を用いて、実施例6と同じ還元糖試料中の還元糖量を測定した実施例である。 A.試薬の調整 (a)銅試薬の調製実施例5と同じ銅試薬を用いた。 (b)メチレンブルー溶液の調製 メチレンブルー1gを100mlの水にとかし、メチレンブルー溶液とした。 (c)標準還元糖溶液の調製 実施例5と同じ標準還元糖溶液を用いた。 B.還元糖の測定 (予備滴定工程)先ず、各還元糖試料を量りとり、水に溶かして各還元糖試料溶液を調製した。各還元糖試料溶液を15mlと、銅試薬(所謂フェーリング試薬)20mlと、蒸留水35mlとを200ml容三角フラスコにとり、全容量が74mlになるように標準還元糖溶液を加えた。この三角フラスコに、少量の粉末沸石と数滴の消泡剤(流動パラフィン)とを加え、溶液を穏やかに揺り動かしながら混合した。この三角フラスコを加熱器に乗せ、溶液が沸騰点に達するまで待った。このとき、予め水が室温から沸騰し始めるまでに要する時間が2.5分±5秒間になるように、加熱器の出力を設定しておいた。沸騰点に達した時点でタイマを始動させ、溶液を正確に2分間沸騰させた。沸騰させた後に、メチレンブルー溶液を4滴加え、ビュレットに入れておいた標準還元糖溶液をゆっくり滴下して、メチレンブルーの青色が消失した時点を滴定の終点とした。滴定後の反応液の総量が約75mlにならなかった場合には、還元糖試料の濃度を調整して、滴定後の反応液の総量が約75mlになるようにした。 (本滴定工程)予備滴定工程で濃度を調整した各還元糖試料溶液を15mlと、銅試薬(所謂フェーリング試薬)20mlと、蒸留水35mlとを200ml容三角フラスコにとり、全容量が74mlになるように標準還元糖溶液を加えた。この三角フラスコに、少量の粉末沸石と数滴の消泡剤(流動パラフィン)とを加え、溶液を穏やかに揺り動かしながら混合した。この三角フラスコを加熱器に乗せ、溶液が沸騰点に達するまで待った。このとき、予め水が室温から沸騰し始めるまでに要する時間が2.5分±5秒間になるように、加熱器の出力を設定しておいた。沸騰点に達した時点でタイマを始動させ、溶液を正確に2分間沸騰させた。沸騰させた後に、メチレンブルー溶液を4滴加え、ビュレットに入れておいた標準還元糖溶液をゆっくり滴下して、メチレンブルーの青色が消失した時点を滴定の終点とした。 (実施例6の方法と比較例2の方法との比較)第3発明の還元糖測定方法と従来のレインエイノン定容法との相関を検証するために、実施例6の還元糖測定方法で測定された各還元糖試料中の還元糖量と、比較例2の還元糖測定方法で測定された各還元糖試料中の還元糖量とを比較した。実施例6および比較例2で測定された各還元糖試料中の還元糖量を表2に示す。 表2に示されるように、第3発明の還元糖測定方法である実施例6の方法で測定された還元糖の量と、従来のレインエイノン定容法である比較例2の方法で測定された還元糖の量とはほぼ一致した。この事から、第3発明の還元糖測定方法によると、従来のレインエイノン定容法よりも著しく簡易な操作で従来のレインエイノン定容法と同程度に精度高く還元糖量を測定できることがわかった。実施例1の還元糖測定装置を表す模式図である。実施例1及び比較例1の還元糖測定方法におけるチオ硫酸ナトリウム減少量を表すグラフである。実施例2及び実施例3の還元糖測定方法におけるチオ硫酸ナトリウム減少量を表すグラフである。双白金つの型電極を用いた際の終点付近の分極電流の変化および分極電位差の変化を表すグラフである。実施例4の還元糖測定装置を模式的に表す図である。EDTA−2Na添加時の積算電気量と各試料溶液中に含まれる還元糖量(理論値)との関係を表すグラフである。積算電気量とEDTA−2Naの添加量との関係を表すグラフである。EDTA−2Na非添加時の積算電気量と各試料溶液中に含まれる還元糖量(理論値)との関係を表すグラフである。ヨウ化カリウムの添加量の増加とヨウ素量との関係を表すグラフである。実施例5の還元糖測定装置を模式的に表す図である。試料溶液7〜12および試料溶液16の理論還元糖量と標準還元糖溶液の理論還元糖量との和を、試料溶液毎に比較するグラフである。試料溶液7〜12および試料溶液16の理論還元糖量と試料溶液の実測還元糖量との関係を表すグラフである。検出電極として複合白金電極を用いた際の終点付近の酸化還元電位の変化を表すグラフである。検出電極として双白金つの型電極を用いた際の終点付近の分極電流の変化を表すグラフである。検知電極として双白金つの型電極を用いた場合の試料溶液9、11、13〜16の理論還元糖量と実測還元糖量との関係および、検知電極として複合白金電極を用いた場合の試料溶液9、11、13〜16の理論還元糖量と実測還元糖量との関係を表すグラフである。符号の説明1:還元糖測定装置 2:複合白金電極 3:滴定量測定手段 5:反応液 6:第1の収容容器 7:加熱手段 8:チオ硫酸ナトリウム溶液 10:自動滴定手段 11:演算手段1 12:容器部 13:蓋部 15:攪拌子 16:温度検知手段 17:第2の収容容器 18:滴下手段 20:送液手段21:還元糖測定装置 22:双白金つの型電極 23:滴定量測定手段 25:双白金渦巻型電極 26:電気分解手段 27:反応液 28:収容容器 30:加熱手段 31:定電流電源 32:演算手段 33:容器部 35:蓋部 36:攪拌子 37:窒素導入ノズル 38:温度検知手段40:還元糖測定装置 41:滴定量測定手段 42:収容容器 43:加熱手段 45:複合白金電極 46:演算手段 47:自動滴定手段 48:第2の収容容器 50:標準還元糖溶液 51:反応液 定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、 該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、 該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、 該亜酸化銅酸化工程後の反応液中に既知濃度のヨウ素還元剤を徐々に加えて該反応液中に残存する該ヨウ素量を容量滴定し、電気的測定によって該容量滴定の終点を検出することで該容量滴定に要した該ヨウ素還元剤量を測定するヨウ素還元剤測定工程と、を備え、 該チオ硫酸ナトリウム測定工程で測定された該チオ硫酸ナトリウム量から該還元糖試料中の還元糖量を算出することを特徴とする還元糖測定方法。 定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、 該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、 該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、 該亜酸化銅酸化工程後の反応液に該反応液に残存する該ヨウ素に対して過剰量となる所定量のヨウ素還元剤を加え、該反応液中に残存する該ヨウ素を還元するヨウ素還元工程と、 該キレート工程後から該ヨウ素還元工程後の何れかの反応液にヨウ化カリウムを加えるヨウ化カリウム添加工程と、 該ヨウ化カリウムが添加された反応液中の該ヨウ化カリウムを電気分解して徐々にヨウ素を生成させて反応液中に残存する該ヨウ素還元剤量を電量滴定し、電気的測定によって該電量滴定の終点を検出することで該電量滴定に要した該ヨウ素量を測定するヨウ素測定工程と、を備え、 該ヨウ素測定工程で測定されたヨウ素量から該還元糖試料中の還元糖量を算出することを特徴とする還元糖測定方法。 定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、 該亜酸化銅生成工程後の反応液を煮沸しつつ既知濃度の標準還元糖溶液を徐々に加えて該反応液中に残存する該2価銅イオン量を容量滴定し、電気的測定によって該容量滴定の終点を検出することで該容量滴定に要した該標準還元糖量を測定する標準還元糖測定工程と、を備え、 該標準還元糖測定工程で測定された標準還元糖量から該還元糖試料中の還元糖量を算出することを特徴とする還元糖測定方法。 前記一定煮沸条件は、前記水溶液を2分30秒以内に沸騰させた後に3分間沸騰させ、その後1分間急冷する条件である請求項1または請求項2に記載の還元糖測定方法。 前記一定煮沸条件は、前記水溶液を2分30秒以内に沸騰させた後に3分間沸騰させる条件である請求項3に記載の還元糖測定方法。 前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムおよびジエチレントリアミン-N,N,N',N'',N''-五酢酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1または請求項2記載の還元糖測定方法。 前記電気的測定は、反応液の分極電流と分極電位差と酸化還元電位との少なくとも1種を測定する請求項1または請求項3記載の還元糖測定方法。 前記電気的測定は、反応液の分極電流と分極電位差との少なくとも1種を測定する請求項2記載の還元糖測定方法。 前記ヨウ素還元剤はチオ硫酸ナトリウムである請求項1または請求項2記載の還元糖測定方法。 前記還元糖量は、前記亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて算出される請求項1または請求項2記載の還元糖測定方法。 定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、によって得られた反応液中に、既知濃度のヨウ素還元剤を徐々に加えて該反応液中に残存する該ヨウ素量を容量滴定する際に、該反応液の酸化還元電位と分極電流と分極電位差との少なくとも一種を測定して該容量滴定の終点を検出するための、複合白金電極と双白金つの型電極との少なくとも一方をもつ滴定量測定手段を備えることを特徴とする還元糖測定装置。 定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、該亜酸化銅酸化工程後の反応液に該反応液に残存する該ヨウ素に対して過剰量となる所定量のヨウ素還元剤を加え、該反応液中に残存する該ヨウ素を還元するヨウ素還元工程と、該キレート工程後から該ヨウ素還元工程後の何れかの反応液にヨウ化カリウムを加えるヨウ化カリウム添加工程と、によって得られた反応液中に所定電流を印加して該ヨウ化カリウムを電気分解し徐々にヨウ素を生成させるための双白金渦巻型電極をもつ電気分解手段と、該ヨウ素によって反応液中に残存する該ヨウ素還元剤量を電量滴定する際に、該反応液の分極電流と分極電位差との少なくとも一種を測定して該電量滴定の終点を検出するための、双白金つの型電極をもつ滴定量測定手段を備えることを特徴とする還元糖測定装置。 定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程によって得られた反応液を、煮沸しつつ既知濃度の標準還元糖溶液を徐々に加えて該反応液中に残存する該2価銅イオン量を容量滴定する際に、該反応液の酸化還元電位と分極電流との少なくとも一種を測定して該容量滴定の終点を検出するための、複合白金電極と双白金つの型電極との少なくとも一方をもつ滴定量測定手段を備えることを特徴とする還元糖測定装置。 さらに、前記終点から算出された前記反応液中の前記ヨウ素還元剤量から前記還元糖試料中の還元糖量を算出する演算手段を備える請求項11または請求項12記載の還元糖測定装置。 さらに、前記終点から算出された前記標準還元糖量から前記還元糖試料中の還元糖量を算出する演算手段を備える請求項13に記載の還元糖測定装置。 前記演算手段は、前記亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて、前記還元糖試料中の還元糖量を算出する請求項14記載の還元糖測定装置。 【課題】滴定の終点を目視に依らず検出できる還元糖の測定方法及び測定装置を提供する。【解決手段】還元糖との反応後に残存する2価銅イオンをキレート剤でキレートし、滴定の終点を電気的測定で検出する。また、電気的測定に用いる電極として、耐久性に優れた双白金つの型電極や複合白金電極を用いる。【選択図】図1


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特許公報(B2)_還元糖の測定方法および装置

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_還元糖の測定方法および装置
出願番号:2004096950
年次:2007
IPC分類:G01N 31/00,G01N 27/26,G01N 27/44,G01N 31/16


特許情報キャッシュ

近藤 正夫 飯嶋 茂定 JP 3992692 特許公報(B2) 20070803 2004096950 20040329 還元糖の測定方法および装置 飯島電子工業株式会社 593038941 愛知県 000116622 大川 宏 100081776 近藤 正夫 飯嶋 茂定 20071017 G01N 31/00 20060101AFI20070927BHJP G01N 27/26 20060101ALI20070927BHJP G01N 27/44 20060101ALI20070927BHJP G01N 31/16 20060101ALI20070927BHJP JPG01N31/00 VG01N27/26 341AG01N27/44 GG01N27/44 311G01N31/16 A G01N31/00〜31/22 G01N27/26〜27/56 特開昭61−175559(JP,A) 特開昭60−104246(JP,A) 特開平10−062387(JP,A) 岩波 理化学事典 第4版,株式会社 岩波書店,1987年,1085 化学大事典 7 縮刷版,共立出版株式会社,1964年,743 化学大事典 5 縮刷版,共立出版株式会社,1963年,537 16 2005283294 20051013 31 20040831 三木 隆 本発明は還元糖試料中の還元糖を測定する還元糖の測定方法および装置に関する。 還元糖の測定方法としては従来より種々の方法が開発されており、一般にはアルカリ性銅試薬法が用いられている。アルカリ性銅試薬法は、還元糖試料中のグルコースやフルクトースといった還元糖をアルカリ条件下で銅試薬と煮沸反応させ、生成する亜酸化銅(酸化第1銅、Cu2O)や残存する2価銅イオン量から還元糖量を算出する方法である(例えば、非特許文献1)。 生成する亜酸化銅から還元糖量を算出する代表的な方法としてはソモギー法が挙げられる。また、残存する2価銅イオン量から還元糖量を算出する代表的な方法としてはフェーリングレーマンシュール法が挙げられる。その他、銅イオンと還元糖の反応後にさらに還元糖を追加して、反応液中に残存する2価銅イオンを全て亜酸化銅にまで還元して、反応液中の銅イオンを全て亜酸化銅に還元するのに要する還元糖の総量と追加した還元糖の量から還元糖試料中の還元糖量を算出する方法(レインエイノン定容法)もある。 これらの方法はいずれも滴定操作が必要である。そして、滴定の終点の判定は、ヨウ素でんぷん反応やメチレンブルーの青色の退色を目視で判断することによっておこなわれているために、測定に熟練した操作が必要とされる問題があった。さらに、還元糖を算出するためには別途換算表や検量線や予備滴定が必要であるために自動化ができず、測定には長時間を要するとともに煩雑な操作を要する問題があった。 ここで、滴定の終点を目視以外の方法で検出する方法としては、一般に、検知電極にて反応液中の電位差等を測定し、当量点付近の急激な変化を電気信号として取り出す電気的測定法(電気滴定法)が用いられている。しかし、上述したアルカリ性銅試薬法においては、反応液中に残存する2価銅イオンが検知電極と電気化学的に反応するために、終点の検出が銅イオンにより干渉されて、正確な測定値が得られない場合がある。 さらに、アルカリ性銅試薬法では、還元糖と銅イオンとの反応を煮沸条件下で反応させるとともに、反応をアルカリ条件下でおこなうために強アルカリの試薬を用いる。このため、一般的な電極では電極の劣化が生じて性能が低下するために、終点を正確に検出することができない問題があった。福井作蔵著 「生物化学実験法1 還元糖の定量法」 学会出版センター 1969年 本発明は、滴定の終点を目視に依らず検出でき、還元糖を容易かつ正確に測定することのできる還元糖の測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。 第1発明の還元糖測定方法は、定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、該亜酸化銅酸化工程後の反応液中に既知濃度のヨウ素還元剤を徐々に加えて該反応液中に残存する該ヨウ素量を容量滴定し、電気的測定によって該容量滴定の終点を検出することで該容量滴定に要した該ヨウ素還元剤量を測定するヨウ素還元剤測定工程ヨウ素還元剤測定工程と、を備え、該ヨウ素還元剤測定工程で測定された該ヨウ素還元剤量から該還元糖試料中の還元糖量を算出することを特徴とする。 第2発明の還元糖測定方法は、定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、該亜酸化銅酸化工程後の反応液に該反応液に残存する該ヨウ素に対して過剰量となる所定量のヨウ素還元剤を加え、該反応液中に残存する該ヨウ素を還元するヨウ素還元工程と、該キレート工程後から該ヨウ素還元工程後の何れかの反応液にヨウ化カリウムを加えるヨウ化カリウム添加工程と、該ヨウ化カリウムが添加された反応液中の該ヨウ化カリウムを電気分解して徐々にヨウ素を生成させて反応液中に残存する該ヨウ素還元剤量を電量滴定し、電気的測定によって該電量滴定の終点を検出することで該電量滴定に要した該ヨウ素量を測定するヨウ素測定工程と、を備え、該ヨウ素測定工程で測定されたヨウ素量から該還元糖試料中の還元糖量を算出することを特徴とする。 第3発明の還元糖測定方法は、定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、該亜酸化銅生成工程後の反応液を煮沸しつつ既知濃度の標準還元糖溶液を徐々に加えて該反応液中に残存する該2価銅イオン量を容量滴定し、電気的測定によって該容量滴定の終点を検出することで該容量滴定に要した該標準還元糖量を測定する標準還元糖測定工程と、を備え、該標準還元糖測定工程で測定された標準還元糖量から該還元糖試料中の還元糖量を算出することを特徴とする。 第1発明および第2発明の還元糖測定方法において、上記一定煮沸条件は、上記水溶液を2分30秒以内に沸騰させた後に3分間沸騰させ、その後1分間急冷する条件であることが好ましい。 第3発明の還元糖測定方法において、上記一定煮沸条件は、上記水溶液を2分30秒以内に沸騰させた後に3分間沸騰させる条件であることが好ましい。 第1発明および第2発明の還元糖測定方法において、上記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムおよびジエチレントリアミン-N,N,N',N'',N''-五酢酸から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。 第1発明または第3発明の還元糖測定方法において、電気的測定は、反応液の分極電流と分極電位差と酸化還元電位との少なくとも1種を測定することが好ましい。 第2発明の還元糖測定方法において、電気的測定は、反応液の分極電流と分極電位差との少なくとも1種を測定することが好ましい。 第1発明または第2発明の還元糖測定方法において、上記ヨウ素還元剤はチオ硫酸ナトリウムであることが好ましい。 第1発明または第2発明の還元糖測定方法において、上記還元糖量は、上記亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて算出されることが好ましい。 第4発明の還元糖測定装置は、第1発明の還元糖測定方法によって還元糖を測定するための装置である。第4発明の還元糖測定装置は、定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、によって得られた反応液中に、既知濃度のヨウ素還元剤を徐々に加えて該反応液中に残存する該ヨウ素量を容量滴定する際に、該反応液の酸化還元電位と分極電流と分極電位差との少なくとも一種を測定して該容量滴定の終点を検出するための、複合白金電極と双白金つの型電極との少なくとも一方をもつ滴定量測定手段を備えることを特徴とする。 第5発明の還元糖測定装置は、第2発明の還元糖測定方法によって還元糖を測定するための装置である。第5発明の還元糖測定装置は、定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、該亜酸化銅酸化工程後の反応液に該反応液に残存する該ヨウ素に対して過剰量となる所定量のヨウ素還元剤を加え、該反応液中に残存する該ヨウ素を還元するヨウ素還元工程と、該キレート工程後から該ヨウ素還元工程後の何れかの反応液にヨウ化カリウムを加えるヨウ化カリウム添加工程と、によって得られた反応液中に所定電流を印加して該ヨウ化カリウムを電気分解し徐々にヨウ素を生成させるための双白金渦巻型電極をもつ電気分解手段と、該ヨウ素によって反応液中に残存する該チオ硫酸ナトリウム量を電量滴定する際に、該反応液の分極電流と分極電位差との少なくとも一種を測定して該電量滴定の終点を検出するための、双白金つの型電極をもつ滴定量測定手段を備えることを特徴とする。 第6発明の還元糖測定装置は、第3発明の還元糖測定方法によって還元糖を測定するための装置である。第6発明の還元糖測定装置は、定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程によって得られた反応液を、煮沸しつつ既知濃度の標準還元糖溶液を徐々に加えて該反応液中に残存する該2価銅イオン量を容量滴定する際に、該反応液の酸化還元電位と分極電流との少なくとも一種を測定して該容量滴定の終点を検出するための、複合白金電極と双白金つの型電極との少なくとも一方をもつ滴定量測定手段を備えることを特徴とする。 第4発明および第5発明の還元糖測定装置は、さらに、上記終点から算出された上記反応液中の上記チオ硫酸ナトリウム量から上記還元糖試料中の還元糖量を算出する演算手段を備えることが好ましい。そして、この演算手段は、上記亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて上記還元糖試料中の還元糖量を算出することが望ましい。 第6発明の還元糖測定装置は、さらに、上記終点から算出された上記標準還元糖量から該還元糖試料中の還元糖量を算出する演算手段を備えることが好ましい。 滴定の終点を目視によらずに検出する方法としては、上述した電気滴定法が優れている。しかし、上述したように、アルカリ性銅試薬法を用いる場合には、反応液中に残存する2価銅イオンの存在により正確な測定値が得られない問題や、煮沸条件下で強アルカリとともに使用することで電極の性能が劣化するために終点を正確に検出することができない問題がある。 本発明の発明者らは、鋭意研究の結果、反応液中に2価銅イオンをキレートするキレート剤を添加することで、亜酸化銅生成工程後に反応液中に残存する2価銅イオンが検知電極と電気化学的に反応することを抑制し、反応液中に残存する2価銅イオンが還元糖の測定に与える影響を低減できることを見いだした。 また本発明の発明者らは、アルカリ性銅試薬法における2価銅イオンと還元糖との反応が、従来知られている反応機構とは異なる反応機構によることを見いだした。このことにより、換算表や検量線を要さずに滴定の終点から還元糖量を算出することが可能となった。 すなわち従来は、アルカリ性銅試薬法における2価銅イオンと還元糖との反応時には、2モルの2価銅イオンが1モルの還元糖とのみ反応して2モルの亜酸化銅が生成すると考えられていた。しかし、この反応機構を基に還元糖量を算出する場合には正確な値が得られないために、従来は換算表や検量線を用いて還元糖量を算出していた。このため、上述したように還元糖測定に長時間を要するとともに煩雑な操作を要する問題があった。 本発明の発明者らは鋭意研究の結果、2価銅イオンと還元糖との反応時には約10モルの銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することを見いだした。この反応機構は明らかではないが、おそらく、2価銅イオンは還元糖の酸化剤であると同時に触媒的作用を果たし、2価銅イオンと還元糖との反応には反応液中や空気中の酸素が関与していると考えられ、下に示す化1式のような反応が生じていると考えられる。 この新たな反応機構を基に還元糖量を算出することで、換算表や検量線等を用いずに正確な還元糖量を得ることが可能となり、還元糖測定に要する時間を短縮できるとともに還元糖測定を簡易な操作でおこなうことが可能となる。 第1発明及び第2発明の還元糖測定方法では、反応液中に残存する2価銅イオンをキレート剤によりキレートすることで、2価銅イオンが検知電極に与える影響を低減して電気滴定法により正確な終点を検出することが可能となる。また、電気滴定法により終点を検出することで、還元糖量を簡便かつ正確に測定することが可能となる。そして、この場合、2価銅イオンと還元糖との反応時には約10モルの銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて、滴定により得られた亜酸化銅量から還元糖試料中の還元糖量を算出することで、換算表や検量線を用いることなく正確な還元糖量を得ることが可能となる。 また、第2発明の還元糖測定方法では、通常用いられる容量滴定にかえて電量滴定を用いることで、容量滴定の際に必要な滴定剤用の送液装置等を必要とせず、滴定に要する装置を小型化することが可能となる。 また、第3発明の還元糖測定方法では、電気滴定法により終点を検出することで、第1発明及び第2発明と同様に還元糖量を簡便かつ正確に測定することが可能となる。 そして、第4発明から第6発明の還元糖測定装置では、電気滴定用の検出電極として、耐久性に優れた双白金つの型電極や複合白金電極を用いることで、アルカリ性銅試薬法を用いつつ電気滴定法で還元糖を測定する還元糖測定装置の耐久性を向上することができる。また、このうち第5発明の還元糖測定装置では、電量滴定用の電解電極として耐久性に優れた双白金渦巻型電極を用いることで、同様に、還元糖測定装置の耐久性を向上させることができる。 アルカリ性銅試薬法には、上述したとおり種々の方法があるが、還元糖試料中の還元糖濃度によってそれぞれ適する方法がある。このうちソモギー法やソモギー法を改良したソモギー変法は、比較的還元糖の含量が低い還元糖試料中の還元糖量を測定する場合に適した方法である。 ソモギー法やソモギー変法は、2価銅イオンと還元糖との反応によって生成した亜酸化銅をヨウ素で酸化し滴定するヨードメトリーを含む方法であるため、ヨードメトリーの終点を電気滴定の一般的な方法である酸化還元電位の変化等によって検出することができると考えられる。さらに、ソモギー法では2価銅イオンが同モルのアルドース及びケトースと反応することから、還元糖の総量を単一の係数で算出することができる。 第1発明の還元糖の測定方法は、ソモギー法を改良した方法であり、亜酸化銅生成工程において、定量測定すべき還元糖試料に、この還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を一定煮沸条件下で反応させて、還元糖試料中の還元糖を2価銅イオンによって還元して亜酸化銅を生成させる。この亜酸化銅生成工程は、ソモギー法等の一般的なアルカリ性銅試薬法に沿った方法でおこなうことができ、例えば、水に硫酸銅や塩化第2銅等を溶解させることで、反応液中に2価銅イオンを生成させ、さらに、反応液に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を加えることで反応液をアルカリ性水溶液とすることができる。 ここで、反応液のpHは10〜11.5程度であることが好ましい。また、還元糖試料中の還元糖をすべて還元するために反応液中の2価銅イオン量は還元糖量に対して過剰である必要があり、キレート剤を残存する2価銅イオン量に対して過剰となる量添加するために反応液中の2価銅イオン量は所定量である必要がある。 また、一定煮沸条件とは、反応液中の還元糖が全て2価銅イオンと反応する条件であり、例えば、アルカリ性水溶液を2分30秒以内に沸騰させた後に正確に3分間沸騰させ、その後1分間急冷する条件や、沸騰温浴中で10分間加熱した後に5分間冷却する条件等の、ソモギー法やソモギー変法で一般に用いられる既知の種々の煮沸条件を用いることができる。なお、アルカリ性水溶液を2分以内に沸騰させた後に正確に3分間沸騰させ、その後1分間急冷する条件を用いる場合には、還元糖と2価銅イオンとの反応に要する時間を短縮できる利点がある。なお、還元糖と2価銅イオンとの反応によって生じた亜酸化銅は、空気中の酸素で酸化され易いために、煮沸後の反応液は急冷することが好ましい。急冷の条件としては、反応液の温度を5分以内に室温にまで低下させる条件が好ましく、反応液の温度を1分以内に室温にまで低下させる条件が望ましい。 キレート工程では、亜酸化銅生成工程後の反応液に過剰量のキレート剤を加えることで、反応液中に残存する2価銅イオンをキレートする。ここでいうキレート剤の過剰量とは、反応液中に残存する2価銅イオンに対して過剰となる量をいう。キレート剤は、2価金属イオンとキレート型化合物を作るものであれば良く、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA−2Na)やジエチレントリアミン-N,N,N’,N’’,N’’−五酢酸(DPTA)が好ましく用いられる。 そして、亜酸化銅酸化工程では、キレート工程後の反応液に過剰量となる所定量のヨウ素を加え、このヨウ素で反応液中の亜酸化銅を酸化する。ここでいうヨウ素の過剰量とは、反応液中の亜酸化銅に対して過剰となる量をいう。 反応液中に過剰量のヨウ素を加える方法としては、例えば、反応液中に過剰量のヨウ素酸カリウム溶液およびヨウ化カリウム溶液を加えて、ヨウ素酸カリウムとヨウ化カリウムとの反応によって過剰量のヨウ素を生成させる方法を用いることもできる。また、反応液中に過剰量のヨウ化カリウムを加えて、ヨウ化カリウムを電気分解して過剰量のヨウ素を生成させる方法を用いることもできる。さらに、これに限らず既知の種々の方法を用いることもできる。 ヨウ素還元剤測定工程では、亜酸化銅酸化工程後の反応液中に既知濃度のヨウ素還元剤を徐々に加えて反応液中に残存するヨウ素量を容量滴定し、電気的測定によって終点を検出することで容量滴定に要したヨウ素還元剤量を測定する。ヨウ素還元剤としては、チオ硫酸ナトリウムやシュウ酸ナトリウム等が好ましく用いられる。 また、ここでいう電気的測定としては、例えば、反応液の酸化還元電位を測定する方法等の既知の種々の方法を用いることができる。また、反応液の分極電流や分極電位差等を測定する方法を用いても良い。これらの方法によると、分極の変化、すなわち、正負両極と電解質の界面における電荷移動の遅れや、電極近傍での物質移動の遅れなどによる起因する過電圧の変化を利用して終点を検出できる。 第1発明の還元糖測定方法において、還元糖試料中の還元糖量を算出する方法を以下に例示する。 先ず、ヨウ素還元剤測定工程で測定されたヨウ素還元剤量から亜酸化銅生成工程で生成した亜酸化銅量を算出する。すなわち、(1)ヨウ素還元剤測定工程で検出された終点を基に、ヨウ素還元剤測定工程で反応液に加えたヨウ素還元剤量を測定し、(2)ヨウ素還元剤測定工程で反応液に加えたヨウ素還元剤量から、亜酸化銅酸化工程後の反応液に残存するヨウ素量を算出し、(3)亜酸化銅酸化工程後の反応液に残存するヨウ素量と亜酸化銅酸化工程で反応液に加えたヨウ素量とから、亜酸化銅酸化工程で亜酸化銅と反応したヨウ素量を算出し、(4)亜酸化銅酸化工程で亜酸化銅と反応したヨウ素量から、亜酸化銅生成工程で生成した亜酸化銅量を算出する。 次に、亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づく換算係数を用いて、上記(1)〜(4)で算出された亜酸化銅量から還元糖試料中の還元糖量を算出する。 ここで、第1発明の還元糖測定方法においては、キレート工程において亜酸化銅生成工程後の反応液中に残存する2価銅イオンがキレートされるため、終点を電気的測定で検出する際にも2価銅イオンと検出電極とが反応することはなく、終点を正確に検出することができる。 また、亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて還元糖試料中の還元糖量を算出する場合には、換算表や検量線を要さずに滴定の終点から還元糖量を算出することが可能になる。 第2発明の還元糖測定方法は、第1発明で用いた容量滴定にかえて電量滴定を用いる方法である。電量滴定では、目的成分を含む電解液を定電流で電気分解することで目的成分を反応液中に徐々に加える。そして、滴定の終点に達するまでの電解時間を測定し、電気分解の際の電流の大きさと電解時間との積から電気分解に要した電気量を求めて、ファラデーの法則により目的成分の生成量を算出する。したがって電量滴定によると、容量滴定のように滴定剤を反応液中に送液する送液装置等を要さない利点がある。 この第2発明の還元糖測定方法においては、亜酸化銅生成工程、キレート工程および亜酸化銅酸化工程は第1発明の還元糖測定方法と同じである。 第2発明の還元糖測定方法において、ヨウ素還元工程では、亜酸化銅酸化工程後の反応液に残存するヨウ素に対して過剰量となる所定量のヨウ素還元剤を加えて反応液中に残存するヨウ素を還元する。また、ヨウ素還元剤は第1発明と同様に溶液状で加えても良いし、あるいはその他種々の状態で加えても良い。 ヨウ化カリウム添加工程では、キレート工程後〜ヨウ素還元工程後の何れかの反応液にヨウ化カリウムを加える。ここで、例えば、亜酸化銅酸化工程でヨウ素酸カリウムとヨウ化カリウムとからヨウ素を生成させる場合には、亜酸化銅酸化工程で加えるヨウ化カリウムの量をヨウ素酸カリウムに対して過剰量にすることで、反応液中にヨウ化カリウムが残存する。また、例えば亜酸化銅酸化工程でヨウ化カリウムを電気分解してヨウ素を生成させる場合にも、亜酸化銅酸化工程で加えるヨウ化カリウム量を電気分解に要する量に対して過剰にすることで、反応液中にヨウ化カリウムが残存する。 また、キレート工程前の反応液にヨウ化カリウムを加えると、後述する副反応が生じてヨウ化カリウムからヨウ素が生成するために、ヨウ化カリウムの添加は少なくともキレート工程後に行う。 ヨウ素測定工程では、ヨウ化カリウムが添加された反応液中のヨウ化カリウムを電気分解して、反応液中に徐々にヨウ素を生成させる。そしてこのヨウ素によってヨウ素還元工程後の反応液に残存するヨウ素還元剤を電量滴定する。なお、この滴定の終点は上述した第1発明と同様に電気的測定によって検出する。 ヨウ化カリウムの電気分解によってヨウ素が生成する反応は、以下に示す化2式及び化3式に基づく。すなわち、化2式に示されるようにヨウ化カリウムが反応液に溶解して生じたヨウ素イオンが、化3式に示されるように電気分解されてヨウ素が生成する。 第2発明の還元糖測定方法において、還元糖試料中の還元糖量を算出する方法を以下に例示する。 先ず、ヨウ素測定工程で測定されたヨウ素量から亜酸化銅生成工程で生成した亜酸化銅量を算出する。すなわち、(1)ヨウ素測定工程で検出された終点を基にヨウ素測定工程で生成したヨウ素量を測定し、(2)ヨウ素測定工程で生成したヨウ素量から、ヨウ素還元工程後の反応液中に残存するヨウ素還元剤量を算出し、(3)ヨウ素還元工程後の反応液に残存するヨウ素還元剤量から、ヨウ素還元工程でヨウ素と反応したヨウ素還元剤量を算出し、(4)ヨウ素還元工程でヨウ素と反応したヨウ素還元剤量から、亜酸化銅酸化工程後の反応液に残存するヨウ素量を算出し、(5)亜酸化銅酸化工程後の反応液に残存するヨウ素量と亜酸化銅酸化工程で反応液に加えたヨウ素量から、亜酸化銅酸化工程で亜酸化銅と反応したヨウ素量を算出し、(6)亜酸化銅酸化工程で亜酸化銅と反応したヨウ素量から、亜酸化銅生成工程で生成した亜酸化銅量を算出する。 次に、亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づく換算係数を用いて、上記(1)〜(6)で算出された亜酸化銅量から還元糖試料中の還元糖量を算出する。 ここで、第2発明の還元糖測定方法においては、第1発明の還元糖測定方法と同様に、キレート工程において反応液中に残存する2価銅イオンがキレートされることによって、終点を正確に検出することができる。 また、亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて還元糖試料中の還元糖量を算出する場合には、換算表や検量線を要さずに滴定の終点から還元糖量を算出することが可能になる。 第3発明の還元糖の測定方法は、レインエイノン定容法を改良した方法である。上述したソモギー法等が、反応液中の還元糖濃度が比較的低濃度である場合に好ましく用いられるに対して、レインエイノン定容法では反応液中の還元糖濃度が比較的高濃度である場合に好ましく用いられる。一般に製糖業界では、還元糖含量の高い還元糖試料を測定する場合が多く、例えば、総量50mlの反応液中に数十mgの還元糖が含まれる場合等があるため、レインエイノン定容法が広く用いられている。また、レインエイノン定容法は製糖業界で国際的な公定法(Method GS1/3/7−3(1994))であるため、レインエイノン定容法を基にした第3発明の還元糖測定方法は、公定法に準拠した方法となる。 レインエイノン定容法は、2価銅イオンと還元糖との反応で生成する亜酸化銅と残存する2価銅イオン量とを区別して測定するのではなく、2価銅イオンを全て亜酸化銅にまで還元するのに要する還元糖量から、還元糖試料中の還元糖量を算出する方法である。このレインエイノン定容法には還元糖と2価銅イオンとの反応しか関与しないため、レインエイノン定容法は極めてシンプルで直接的な方法といえる。 第3発明の還元糖測定方法では、亜酸化銅生成工程において、定量測定すべき還元糖試料とこの還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンとを含むアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させる。2価銅イオンの生成源は、第1発明と同様に硫酸銅等の種々のものを用いることができる。なお、第3発明においては亜酸化銅生成工程後に行う標準還元糖測定工程でも引き続き煮沸条件下で反応を進行させるために、亜酸化銅生成工程における煮沸条件は、第1発明や第2発明の煮沸条件とは異なり、煮沸後の急冷を含まなくても良い。本第3発明の煮沸条件としては、その他、レインエイノン定容法で通常用いられる煮沸条件を用いても良い。 標準還元糖測定工程では、亜酸化銅生成工程後の反応液を煮沸しつつ既知濃度の還元糖溶液である標準還元糖溶液を徐々に加えて、反応液中に残存する2価銅イオン量を容量滴定し、電気的測定によって終点を検出することで容量滴定に要した標準還元糖量を測定する。本第3発明の還元糖測定方法において、電気的測定は上述した第1発明の場合と同様におこなえばよい。 亜酸化銅生成工程において2価銅イオンは還元糖に対して過剰量添加されているため、亜酸化銅生成工程後の反応液中には2価銅イオンが残存する。したがって、亜酸化銅生成工程後の反応液にさらに標準還元糖溶液を加えることで、2価銅イオン量を容量滴定することができる。 なお、本第3発明の還元糖測定方法で用いる標準還元糖溶液は、還元糖試料と同じ試料から調製したものであっても良いし、異なる試料から調製したものであっても良い。例えば、標準還元糖溶液として、既知量の還元糖を含む試料を水等に溶解させて調製した既知濃度の還元糖溶液を用いる場合には、アルカリ性水溶液中の2価銅イオン量と、標準還元糖溶液中に含まれる還元糖量とから、還元糖試料に含まれる還元糖量を算出できる。 また、還元糖試料と同じ未知量の還元糖を含む試料から標準還元糖溶液を調製する場合には、アルカリ性水溶液中の2価銅イオンの量から、標準還元糖溶液に含まれる還元糖量と還元糖試料中に含まれる還元糖量との和が算出され、標準還元糖溶液の濃度と還元糖試料の量(還元糖試料として液体状のものを用いる場合にはその濃度)とから、還元糖試料に含まれる還元糖の量が算出できる。 第3発明の還元糖測定方法において、還元糖試料中の還元糖量を算出する方法を以下に例示する。 先ず、標準還元糖測定工程で検出された終点から標準還元糖測定工程で加えた生成した亜酸化銅量を算出する。すなわち、(1)予め、反応液中の2価銅イオンを完全に消費する還元糖量(以下、所要還元糖総量と呼ぶ)を算出しておき、(2)標準還元糖測定工程で得られた終点を基に、標準還元糖測定工程で加えた還元糖量を算出し、(3)予め算出しておいた所要還元糖総量と、還元糖量標準還元糖測定工程で加えた標準還元糖量との差から、反応液中の還元糖量、すなわち、還元糖試料中の還元糖量を算出する。 第3発明の還元糖測定方法によると、滴定の終点を電気的測定によって検出することから終点の検出を目視に依らずおこなうことができる。また、例えば予め所要還元糖総量を算出しておく際に、約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて還元糖量を算出すれば、所要還元糖総量を容易かつ正確に算出することができる。 ここで、従来のレインエイノン定容法では、標準還元糖測定工程後の反応液の総量が約75mlとなるように容量滴定をおこなうことが定められていた。しかし、標準還元糖測定工程後の反応液の総量を約75mlとするためには、還元糖試料溶液毎に予め予備滴定をおこない、還元糖試料溶液中の還元糖量を予め調整しておく必要がある。例えば還元糖試料溶液中の還元糖量が多すぎて標準還元糖測定工程後の反応液の総量が75mlを大きく上回るような場合には還元糖試料溶液を希釈する必要がある。また、還元糖試料溶液中の還元糖量が少なすぎて標準還元糖測定工程後の反応液の総量が75mlを大きく下回るようであれば、還元糖試料溶液に既知量の還元糖を補填した後に再度予備滴定をおこなう必要がある。また、標準還元糖測定工程後の反応液の総量が75mlをさらに大きく上回る場合やさらに大きく下回る場合には、還元糖試料溶液を再度調製して、再度予備滴定をおこなう必要がある。このような操作は非常に煩雑であるために、還元糖の測定が遅延する事情があった。さらに、予備滴定の結果に応じて希釈等の操作が必要になるために、自動滴定装置等を用いた分析操作を行うことができない事情もあった。 そこで、標準還元糖測定工程後の反応液の総量が約75mlである場合と、75mlを大きく上回る場合や大きく下回る場合とで、2価銅イオンを還元するのに要する還元糖の量がどの程度変化するかを検証した。 先ず、後述する実施例5で用いた銅試薬と同じ銅試薬20mlに25ml、35ml、40ml、45ml、50ml、55ml、65mlの各量の蒸留水を加えて試験1〜7の2価銅イオンを含む水溶液を調製した。この試験1〜7の水溶液中の2価銅イオン量を、10mg/mlの標準還元糖溶液によって滴定した。そして、水溶液中の2価銅イオンを還元するのに要した還元糖量と反応液の総量とを比較した。その結果を表1に示す。 表1に示すように、反応液の総量が75mlでなくても、最終液量が75ml±20mlで、同量の銅試薬を還元するのに要する還元糖の総量はほぼ103mgであった。このように、反応液の総量が75mlでなくても、還元糖試料の濃度を正確に算出することが可能であることがわかる。 なお、第1発明〜第3発明の還元糖測定方法において、還元糖試料が還元糖以外の成分を多く含むような場合には、既知の方法によってタンパク質、脂肪、色素等に代表される還元糖以外の成分を除去することが好ましい。 第4発明の還元糖測定装置は、第1発明の還元糖測定方法によって還元糖を測定するための装置である。第4発明の還元糖測定装置は、第1発明の還元糖測定方法におけるヨウ素還元剤測定工程で容量滴定の終点を検出するための滴定量測定手段を備える。この滴定量測定手段は、反応液の酸化還元電位と分極電流と分極電位差との少なくとも一種を測定するための、双白金つの型電極と複合白金電極との少なくとも一方をもつ。滴定量測定手段は、双白金つの型電極と複合白金電極との少なくとも一方(以下、検出電極と呼ぶ)のみを備えるものであっても良いし、検出電極で検知した電流や電圧を表示するための表示手段等を備えるものであっても良い。また、これ以外にも既知の自動滴定装置に設けられる既知の種々の手段を設けることもできる。 双白金つの型電極は、互いに離間して配置された2本の白金線を持つ電極であり、上述した反応液の分極電位差や分極電流を検出することができる。 複合白金電極は、白金からなり、内部に比較極を備えた電極であり、上述した反応液の酸化還元電位を検出することができる。 第4発明の還元糖測定装置では、検出電極として双白金つの型電極や複合白金電極の少なくとも一方を備えることで、電気的方法を用いた終点検出をおこなうことができる。そして双白金つの型電極や複合白金電極は耐久性に優れた電極であるため、一般的な電極を用いた場合と異なり、煮沸されたアルカリ性の反応液の電流や電位差を測定しても電極の劣化等が生じにくく、滴定の終点を正確に検出することができる。このうち、双白金つの型電極は特に耐久性に優れることから、特に好ましく用いられる。 第4発明の還元糖測定装置には、滴定量測定手段以外にも、反応液を収容するための収容容器を設けてもよいし、反応液を煮沸するための加熱手段や加熱手段による加熱時間や加熱温度を制御する加熱制御手段、煮沸後の反応液を冷却するための冷却手段等を設けてもよい。なお、冷却手段としては、例えば冷水を反応液が収容された収容容器の外側に循環させるような手段や、反応液中に冷水を注入する手段等に代表されるの種々の既知の手段を用いることができる。また第1発明のキレート工程で反応液にキレート剤を加えるためのキレート剤添加手段や、第1発明の亜酸化銅酸化工程で反応液にヨウ素を加えるためのヨウ素添加手段を設けても良い。さらに、第1発明のヨウ素還元剤測定工程で反応液中にヨウ素還元剤を滴下するための滴下手段や送液装置を設けてもよい。その他、ヨウ素還元剤測定工程で検知電極により検知された電流や電圧をもとに滴定の終点を判定したり、終点を基に還元糖量を算出するための演算手段を設けてもよい。演算手段と送液手段とを接続して、演算手段によって送液手段の駆動を制御してもよい。さらに、測定後に検出電極を電気化学的にクリーニングできるクリーニング手段を備えても良い。また、これ以外にも、既知の自動滴定装置に設けられる既知の種々の手段を設けることができる。 第5発明の還元糖測定装置は、第2発明の還元糖測定方法によって還元糖の測定をおこなうための装置である。この還元糖測定装置は、第2発明におけるヨウ素測定工程でヨウ素を電解生成させるための電気分解手段と、第2発明におけるヨウ素測定工程で反応液の分極電流と分極電位差との少なくとも一種を測定するための滴定量測定手段とを備える。 滴定量測定手段は、上述した第4発明の還元糖測定装置の滴定量測定手段と同様のものを用いることができる。 電気分解手段は双白金渦巻型電極をもつ。この双白金渦巻型電極は、白金線が渦巻状に丸められてなる2つの電極が互いに離間して配置されたものであり、白金線が渦巻状に丸められていることで、電極の表面積が大きくなったものである。この双白金渦巻型電極は、定電流を供給することで反応液中に加えられたヨウ化カリウムを電気分解してヨウ素を生成させることができる。電気分解手段は、双白金渦巻型電極のみを備えるものであっても良いし、双白金渦巻型電極の出力電流等を表示するための表示手段等を備えるものであっても良い。そして、測定後に双白金渦巻型電極を電気化学的にクリーニングできるクリーニング手段を備えていることが望ましい。 第5発明の還元糖測定装置では、検出電極として双白金つの型電極を備えることで、上述した第4発明と同様に、電気的方法を用いた終点検出をおこなうとともに、滴定の終点を正確に検出することができる。さらに、電気分解手段を備えることで、滴定のための滴下手段や送液装置等を別途設けたり、滴下手段や送液装置等を本発明の還元糖測定装置以外に別途用意する必要が無くなる。そして、電気分解手段のうちヨウ素を電解生成するための双白金渦巻型電極は上述した双白金つの型電極等と同様に耐久性に優れた電極であるために、反応液中にヨウ素を安定して供給することができる。なお、この第5発明の還元糖測定装置にも、上述した第4発明の還元糖測定装置と同様に加熱手段等を設けてもよい。 第6発明の還元糖測定装置は、第3発明の還元糖測定方法によって還元糖の測定をおこなうための装置である。この還元糖測定装置は、第3発明における標準還元糖測定工程で反応液の酸化還元電位と分極電流との少なくとも一種を測定するための滴定量測定手段を備える。滴定量測定手段は、上述した第4発明の還元糖測定装置の滴定量測定手段と同様のものを用いることができる。 第6発明の還元糖測定装置では、第4発明の還元糖測定装置と同様に、電気的方法を用いた終点検出をおこなうことができ、双白金つの型電極や複合白金電極の優れた耐久性に起因して滴定の終点を正確に検出することができる。特に、双白金つの型電極は上述したように非常に優れた耐久性を発揮するために、滴定の終点をより正確に検出することができる。 ここで、第3発明の還元糖測定方法では、煮沸下で滴定をする必要があるために、検出電極には特に高い耐久性が要求される。そして、検出電極として酸化還元電極を用いる場合には、酸化還元電極をクリーニングできるクリーニング手段を備えていることが好ましい。このうち双白金つの型電極は、構造が簡単であるため耐久性とクリーニングのし易さとを兼ね備えており、特に好ましく用いられる。以下、本発明の還元糖測定方法および測定装置を例を挙げて説明する。 (実施例1)実施例1は第1発明および第4発明に関する実施例である。本実施例において還元糖測定に用いた還元糖測定装置を図1に示す。 本実施例1の還元糖測定装置1は、検出電極としての複合白金電極2をもつ滴定量測定手段3をもつ。滴定量測定手段3は、さらに、測定後に複合白金電極2を電気化学的にクリーニングするクリーニング手段(図示せず)を備えている。クリーニング手段は、硫酸酸性化で滴定とは逆方向に電流を流すものである。 また、本実施例1の還元糖測定装置1は、反応液5を収容するための第1の収容容器6、反応液5を煮沸するための加熱手段7、反応液5を冷却するための冷却手段9、ヨウ素還元剤としてのチオ硫酸ナトリウム溶液8を反応液5中に滴下するための自動滴定手段10、および、複合白金電極2に接続され複合白金電極2によって検知された酸化還元電位をもとに滴定の終点を判定し、さらに、終点を基に還元糖量を算出する演算手段11を備えている。このうち、加熱手段7はホットスターラであり、冷却手段9は冷却水を収容容器6の表面に接触させるための冷却管である。また、演算手段11はマイクロコンピュータである。また、収容容器6は反応液5を収容する容器部12と容器部12の開口を覆う蓋部13とからなり、蓋部13には攪拌子15が取りつけられている。この攪拌子15は、容器部12に反応液5が収容される容器部12の開口が蓋部13で閉じられると、反応液5中に挿入されるようになっており、加熱手段7のホットスターラにより回転して反応液5を攪拌する。 加熱手段7には、反応液5の温度を検知する温度検知手段16が接続されるとともに、加熱手段7による加熱時間と加熱温度とを制御する加熱制御手段(図示せず)が接続されている。 また、自動滴定手段10には、チオ硫酸ナトリウム溶液8を収容するための第2の収容容器17、反応液5中にチオ硫酸ナトリウム溶液8を滴下するための滴下手段18、および、第2の収容容器17中のチオ硫酸ナトリウム溶液8を滴下手段18に送る送液手段20が設けられている。自動滴定手段10は演算手段11に接続され、演算手段11で滴定の終点が検出されると信号を受けて送液装置20の駆動が停止するようになっている。 本実施例1において、還元糖の測定は以下のようにおこなった。 A.試薬の調製 (a)0.5Nのヨウ素酸カリウム溶液の調製445.8mgのヨウ素酸カリウム(KIO3)を精密にはかり、水に溶かして25.0mlとし、0.5Nのヨウ素酸カリウム溶液とした。 (b)銅試薬の調製Na2HPO4・12H2O71gと酒石酸カリウムナトリウム40gとを水約400mlに溶かし、次に1NのNaOH溶液100mlを加えて、かき混ぜながら、液面にまで達する漏斗を用いてCuSO4溶液(10gのCuSO4・5H2Oに水を加えて全量を100mlにしたもの)80mlを加えた。次に、410gのNa2SO4・10H2Oを加えて溶かし、0.5Nのヨウ素酸カリウム溶液18mlを加えて水で1000mlにした。これを1〜2日間放置した後に濾過して着色瓶に貯えた。 (c)2.5%KI溶液の調製2.5gのKIをはかりとり、微量のNa2CO3溶液を加えるとともに水に溶かして全量を100mlにして2.5%(w/v)KI溶液とした。 (d)還元糖試料溶液の調製 還元糖試料溶液として、以下の試料溶液1〜6を調製した。試料溶液1〜5はグルコースとフルクトースとを1:1の重量比で混合した還元糖試料を含む溶液であり、試料溶液6は還元糖を含まない水溶液(水)である。試料溶液1の還元糖濃度は0.4μmol/ml、試料溶液2の還元糖濃度は0.8μmol/ml、試料溶液3の還元糖濃度は1.2μmol/ml、試料溶液4の還元糖濃度は1.6μmol/ml、試料溶液5の還元糖濃度は2.0μmol/ml、試料溶液6の還元糖濃度は0μmol/mlであった。 (e)0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液の調製 市販の0.01Nチオ硫酸ナトリウム標準液を準備した。 B.還元糖量の測定 (亜酸化銅生成工程)収容容器6に銅試薬5mlを入れ、還元糖試料溶液5mlと水を加えて全量を10mlとして還元糖試料と2価銅イオンとを含むアルカリ性水溶液を調製した。次に、このアルカリ性水溶液を加熱手段によって2分以内に沸騰させるとともに正確に3分間沸騰させた。この亜酸化銅生成工程で、2価銅イオンと還元糖試料中の還元糖とが反応して亜酸化銅が生成した。その後冷却手段9によって反応液を1分間急冷し、さらに、その後に2N硫酸5mlを加えた。 (キレート工程)亜酸化銅生成工程後の反応液に、100mgのEDTA−2Naを加えた。このEDTA−2Naによって反応液中に残存する2価銅イオンがキレートされた。 (亜酸化銅酸化工程)キレート工程後の反応液に100mgのヨウ化カリウムを添加した。このヨウ化カリウムと銅試薬に予め含まれているヨウ素酸カリウムとによってヨウ素が生成し、生成したヨウ素によって反応液中の亜酸化銅が酸化された。 (ヨウ素還元剤測定工程)亜酸化銅酸化工程後の反応液に、総液量50mlとなるように水を加えた。次いで、攪拌子15により反応液を攪拌しつつ、自動滴定手段10によって0.01Nのチオ硫酸ナトリウム溶液を反応液に滴下し、反応液中に残存するヨウ素を容量滴定した。このとき、指示電極である複合白金電極2によって反応液中の酸化還元電位を測定した。このときの酸化還元電位を演算手段11に送信し、演算手段11にて酸化還元電位の変化によって滴定の終点を検出した。 亜酸化銅生成工程からヨウ素還元剤測定工程までの操作をおこなった後に、演算手段11にて、ヨウ素還元剤測定工程で滴定に要したチオ硫酸ナトリウム量を基に、試料6の場合のチオ硫酸ナトリウム滴定量との差からチオ硫酸ナトリウム減少量(mol)を算出した。 試料溶液1の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は5.6μmol、試料溶液2の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は17.4μmol、試料溶液3の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は30.6μmol、試料溶液4の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は43.0μmol、試料溶液5の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は56.8μmolであった。また、還元糖を含まない試料溶液6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は0μmolであった。ここで、チオ硫酸ナトリウム減少量とは、各々の滴定に要したチオ硫酸ナトリウム量を、予め加えたヨウ素全量を還元するのに要するチオ硫酸ナトリウム量からひいた値を指す。 (実施例2)実施例2の還元糖測定装置は、指示電極が双白金つの型電極であること以外は実施例1の還元糖測定装置と同じものである。また、実施例2の還元糖測定方法は、ヨウ素還元剤測定工程で反応液中の分極電位差の変化により滴定の終点を検出した以外は実施例1と同じ方法である。 本実施例2の還元糖測定方法において、分極の電位差が急激に変化した時点を終点と判断した。実施例2において、試料溶液1の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は4.6μmol、試料溶液2の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は16.4μmol、試料溶液3の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は29.0μmol、試料溶液4の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は41.2μmol、試料溶液5の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は52.8μmolであった。また、還元糖を含まない試料溶液6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は0μmolであった。 (実施例3)実施例3の還元糖測定装置は実施例2の還元糖測定装置と同じものであり、実施例3の還元糖測定方法は、ヨウ素還元剤測定工程で反応液中の分極電流の変化により滴定の終点を検出した以外は実施例1と同じ方法である。 本実施例3の還元糖測定方法において、分極の電流が生じた時点を終点と判断した。実施例3において、試料溶液1の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は5.2μmol、試料溶液2の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は14.2μmol、試料溶液3の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は28.0μmol、試料溶液4の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は41.4μmol、試料溶液5の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は53.2μmolであった。また、還元糖を含まない試料溶液6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は0μmolであった。 (比較例1)比較例1の還元糖の測定方法は、ソモギー法にしたがって目視で終点を決定する方法である。本比較例1において還元糖量の測定は以下のようにおこなった。 A.試薬の調製実施例1と同じ銅試薬、2.5%KI溶液、0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液および実施例1〜3と同じ還元糖試料溶液1〜試料溶液6を準備した。 B.還元糖量の測定ビーカーに還元糖試料溶液5mlと銅試薬5mlとを入れ、水を加えて全量を10mlとして還元糖試料と2価銅イオンとを含むアルカリ性水溶液を調製した。次に、このアルカリ性水溶液を激しく沸騰している水浴中に浸した。本比較例1においてアルカリ性水溶液の加熱時間は3分間とした。加熱終了後、反応液を冷水で冷却した後に2.5%KI溶液2mlを徐々に加えた。ついで5mlの2NのH2SO4を素早く加え、振り混ぜて沈殿を完全に溶解した。その後に、1%デンプン試薬1mlを指示薬として、0.01Nのチオ硫酸ナトリウム溶液で析出したI2を滴定した。滴定の終点は目視にて反応液の色の変化を検出した。 滴定終了後、予め準備した検量線に基づいて、滴定に要したチオ硫酸ナトリウム量から還元糖試料溶液中の還元糖量を算出した。そして算出されたチオ硫酸ナトリウム量を基に、試料6の場合のチオ硫酸ナトリウム滴定量との差からチオ硫酸ナトリウム減少量(mol)を算出した。 比較例1の還元糖試験方法で算出された試料溶液1の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は7.3μmol、試料溶液2の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は18.8μmol、試料溶液3の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は32.2μmol、試料溶液4の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は44.8μmol、試料溶液5の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は57.3μmolであった。また、還元糖を含まない試料溶液6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量は0μ当量であった。 (実施例1〜3の方法と比較例1の方法との比較)電気的測定により検出された終点と、従来おこなわれていた目視による終点との差異を検証するために、実施例1で還元糖試料溶液1〜6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量と、比較例1で還元糖試料溶液1〜6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量とを比較した。実施例1及び比較例1におけるチオ硫酸ナトリウム減少量を表すグラフを図2に示す。図中、縦軸はチオ硫酸ナトリウム減少量(μmol)を示し、横軸は還元糖試料溶液中に入れた還元糖の量(μmol)を示す。図2に示すように、実施例1の本発明の還元糖測定方法におけるチオ硫酸ナトリウム減少量は、比較例1の従来の還元糖測定方法とほぼ一致した値であった。このことから、本発明の還元糖測定方法で測定される還元糖量はソモギー法による従来の還元糖測定方法で測定される還元糖量とほぼ一致することがわかった。 また、分極電流の変化により検出された終点と、分極電圧の変化により検出された終点とを比較するために、実施例2で還元糖試料溶液1〜6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウム減少量と、実施例3で還元糖試料溶液1〜6の還元糖を測定した際のチオ硫酸ナトリウムの減少量とを比較した。実施例2及び実施例3におけるチオ硫酸ナトリウム減少量を表すグラフを図3に示す。図中、縦軸はチオ硫酸ナトリウム減少量(μmol)を示し、横軸は還元糖試料溶液中に入れた還元糖の量(μmol)を示す。 図3に示すように、分極電位差の変化によって終点を検出した場合(実施例2)も、分極電流の変化によって終点を検出した場合(実施例3)も、ほぼ同程度のチオ硫酸ナトリウム減少量を示した。また、このチオ硫酸ナトリウム減少量は、図2に示される実施例1及び比較例1のチオ硫酸ナトリウム減少量とほぼ一致した。このことから、酸化還元電位の変化によって終点を検出する場合に限らず、分極電位差の変化や分極電流の変化によって終点を検出した場合にも、還元糖の測定値は従来の還元糖測定方法で測定される測定値とほぼ一致した値が得られることが判った。 さらに、図2および図3に示される結果から、何れの場合にも、2価銅イオンと還元糖との反応時には約10モルの銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成する化学量論が成り立っていることがわかる。 したがって、還元糖試料中に含まれる還元糖量は、亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて算出すればよく、換算表や検量線等を要さずに還元糖の測定を容易かつ迅速におこなうことができることがわかる。 なお、参考までに、双白金つの型電極を用いた際の終点付近の分極電流の変化および分極電位差の変化を表すグラフを図4に示す。図4中(A)は終点付近の分極電流の変化を表すグラフであり、図中、縦軸は分極電流(μA)を表し、横軸は経過時間を表し、矢印は終点を表す。また、図4中(B)は終点付近の分極電位差の変化を表すグラフであり、図中、縦軸は分極電位差(mV)を表し、横軸は経過時間を表し、矢印は終点を表す。図4に示されるように、何れの方法でも終点は鋭いピークとしてあらわれるために、終点の検出は容易におこなわれる。 (実施例4)実施例4は第2発明および第5発明に関する実施例である。本実施例において還元糖測定に用いた還元糖測定装置を図5に示す。 本実施例4の還元糖測定装置21は、双白金つの型電極22をもつ滴定量測定手段23と、双白金渦巻型電極25をもつ電気分解手段26を持つ。滴定量測定手段23は、実施例1の還元糖測定装置と同じクリーニング手段(図示せず)を備えている。 また、本実施例4の還元糖測定装置21は、反応液27を収容するための収容容器28、実施例1のものと同じ加熱手段30、実施例1のものと同じ冷却手段29、双白金渦巻型電極25に定電流を印加する定電流電源31、および、双白金つの型電極22に接続され双白金つの型電極22によって検知された分極電流をもとに電量滴定の終点を判定し、さらに、終点を基に還元糖量を算出する演算手段32を備えている。 また、収容容器28は反応液27を収容する容器部33と容器部33の開口を覆う蓋部35とからなり、蓋部35には攪拌子36と、攪拌子36を回転させるための駆動手段(図示せず)が取りつけられている。この攪拌子36は、容器部33に反応液27が収容される容器部33の開口が蓋部35で閉じられると、反応液中27に挿入されるようになっており、駆動手段により回転して反応液27を攪拌する。 また、収容容器28内には図示しない窒素ガス供給手段から延びるノズル37が挿入されており、後述するヨウ素測定工程直前に窒素ガス供給手段から反応液27中に窒素ガスが供給されるようになっている。 加熱手段30には、実施例1のものと同じ温度検知手段38と加熱制御手段(図示せず)とが接続されている。また、定電流電源31には双白金渦巻型電極25が接続されており、この定源流電源31は演算手段32に接続されている。定電流電源31による双白金渦巻型電極25への電流の印加は、演算手段32によって制御されている。また双白金つの型電極22は演算手段32と接続され、複合白金電極22により検知された酸化還元電位は演算手段32に送られる。 本実施例において還元糖の測定は以下のようにおこなった。 A.試薬の調製実施例1と同じ銅試薬および還元糖試料溶液を準備した。 B.還元糖の測定 (亜酸化銅生成工程)収容容器33に還元糖試料溶液5mlと銅試薬5mlを入れ、水を加え全量を10mlとして還元糖試料と2価銅イオンとを含むアルカリ性水溶液を調製した。次に、このアルカリ性水溶液を加熱手段30で2分以内に沸騰させるとともに正確に3分間沸騰させた。この亜酸化銅生成工程で、2価銅イオンと還元糖試料中の還元糖とが反応して亜酸化銅が生成した。その後、冷却手段29により反応液を1分間急冷した。さらに、その後に2N硫酸5mlを加えた。 (キレート工程)亜酸化銅生成工程後の反応液に、100mgのEDTA−2Naを加えた。このEDTA−2Naによって反応液中に残存する2価銅イオンがキレートされた。 (亜酸化銅酸化工程)キレート工程後の反応液に、100mgのヨウ化カリウムを加えた。このヨウ化カリウムは銅試薬中に含まれ予め反応液中に加えられているヨウ素酸カリウムと反応し、ヨウ素が生成した。そして、生成したヨウ素によって反応液中の亜酸化銅が酸化した。 (ヨウ素還元工程)亜酸化銅酸化工程後の反応液にノズル37より反応液中に窒素ガスを導入しつつ一分間脱気し、その後に0.01Nのチオ硫酸ナトリウム溶液10.5mlを加えた。ここで加えたチオ硫酸ナトリウムによって反応液中に残存するヨウ素が還元された。 (ヨウ化カリウム添加工程)亜酸化銅酸化工程において、添加されたヨウ化カリウムの量はヨウ素酸カリウムの量に対して過剰であるため、ヨウ素還元工程後の反応液中にはヨウ化カリウムが残存した。 (ヨウ素測定工程)ヨウ化カリウム添加工程後、定電流電源31より双白金渦巻型電極25に定電流(24.12mA)を印加し、反応液中のヨウ化カリウムを電気分解した。この電気分解によってヨウ素が生成し、生成したヨウ素によって反応液に残存するチオ硫酸ナトリウム量を電量滴定した。そして、反応液中の分極電流を双白金つの型電極22によって測定することで電量滴定の終点を検出し、電量滴定に要したヨウ素量を測定した。 先ず、亜酸化銅生成工程〜ヨウ素測定工程が終了した後に、ヨウ素測定工程における電量滴定の終点を基に、演算手段32にて、反応液中に残存するチオ硫酸ナトリウムを酸化するために必要な量のヨウ素を生成させるのに要する電気量(電解電極に印加された電流量と電解時間との積算値、以下積算電気量と呼ぶ)を算出した。 積算電気量と各試料溶液中に含まれる還元糖量(理論値)との関係を表すグラフを図6に示す。図6に示される還元糖量は、各々の試料溶液中に含まれると考えられる還元糖量の理論値である。図6に示されるように、還元糖量と積算電気量との間には比例関係が成立した。したがって、電量滴定によって得られた終点から算出された積算電気量を基に還元糖量を算出できることがわかる。 (EDTA−2Na添加量の検討)EDTA−2Naの最適な添加量を検討した。上述したように、電気的測定で終点を検出する場合には、亜酸化銅生成工程後の反応液中に残存する2価銅イオンの影響で正確な測定値が得られない場合がある。したがって、2価銅イオンをキレートするためのキレート剤には最適な添加量がある。本試験において、銅試薬は実施例1と同じものを用い、還元糖試料溶液は実施例1と同じ試料溶液5を用い、EDTA−2Naの量を0mg、40mg、60mg、80mg、100mg、120mgとかえて、実施例4の方法により還元糖の測定をおこなった。その結果、図7に示すように、積算電気量はEDTA−2Naの添加量の増加に伴って減少し、EDTA−2Naを80mg以上添加すると一定となった。したがって、5mlの銅試薬(銅イオン含有量160μmol)と5mlの還元糖溶液(試験溶液5、還元糖含有量10μmol)とを亜酸化銅生成工程で反応させる場合、キレート工程で添加するEDTA−2Naの量は80mg以上が好ましいことが判った。 なお、実施例1と同じ銅試薬と実施例1と同じ還元糖溶液である試料溶液1〜6とを反応させ、EDTA−2Naを添加しなかったこと以外は実施例4の還元糖測定方法と同じ方法で測定をおこなった場合には、図8に示すように積算電気量は一定しなかった。 (ヨウ化カリウム添加量の検討)実施例4の還元糖測定方法において電気分解によってヨウ素を生成させるために添加するヨウ化カリウムの添加量を検討した。通常、電量滴定においては電解の電流効率を100%にする必要があるため、ヨウ化カリウムは総量50mlの反応液中に1g前後含まれるようにする必要があると考えられる。ところが、2価銅イオンが存在すると、電気分解に関係なく、ヨウ化カリウム濃度の増加に伴ってヨウ素が生成する現象が観察された。これは、反応液中で化4式に示される副反応が生じているためと考えられる。 参考までに、ヨウ化カリウムの添加量の増加とヨウ素量との関係を表すグラフを図9に示す。図9に示すグラフは、詳しくは、種々の量のヨウ化カリウムと2価銅イオンとを含む水溶液をチオ硫酸ナトリウムで滴定した時のチオ硫酸ナトリウムの滴定量とヨウ化カリウムの添加量との関係を表すグラフである。水溶液中のヨウ化カリウムの量は、0mg、100mg、200mg、300mg、600mg、1000mg、1500mg、2500mgであり、ヨウ素酸カリウムを含まないこと以外は実施例1と同様に調製された。そして、銅試薬5mlを加えることで、水溶液中に2価銅イオンを加えた 。図9によると、ヨウ化カリウムの添加量が増加するとチオ硫酸ナトリウムの滴定量が増加することから、反応液中にヨウ素量が生成していることがわかる。 このように、電気分解に関係なく反応液中にヨウ素が生成することで、例えば0.2μmol程度の還元糖を含む低濃度の還元糖を測定する際には、反応液中のヨウ化カリウム量が多くなると還元糖の検出精度が低下する場合がある。 一方、通常のソモギー法では総量約50mlの反応液に含まれるヨウ化カリウムが50mg程度に設定されているために、上述した2価銅イオンによるヨウ素の生成は抑えられるが、電流効率が悪くなるために終点の検出精度が低下する問題がある。反応液中に含まれるヨウ化カリウムの最適な量は、総量50mlの反応液中にヨウ化カリウムが80mg〜120mg含まれる範囲であり、ヨウ化カリウムが100mg含まれる場合が特に好ましい。反応液中のヨウ化カリウムの量がこの範囲であれば、上述した副反応による影響をおさえつつ電量滴定を精度良くおこなうことができる。 (実施例5)実施例5は第3発明及び第6発明に関する実施例である。本実施例5の還元糖測定装置を模式的に表す図を図10に示す。 本実施例5の還元糖測定装置40は、実施例1のものと同じ滴定量測定手段41を備える。また、本実施例5の還元糖測定装置40は、実施例1のものと同じ第1の収容容器42、加熱手段43、および、複合白金電極45に接続され複合白金電極45によって検知された酸化還元電位をもとに滴定の終点を判定し、さらに、終点を基に還元糖量を算出する演算手段46を備えている。そして自動滴定手段47は、第2の収容容器48に標準還元糖溶液50が収容されるとともに反応液51中に標準還元糖溶液50を滴下すること以外は実施例1と同じものである。 A.試薬の調整 (a)銅試薬の調製138.56gのCuSO4・5H2Oを正確に秤量し、水に溶解した。この溶液を2L容メスフラスコに全量移し入れ、20℃において水で定容して混合し溶液Aとした。 別に、692.18gのKNaC4H4O6と200gのNaOHとを各々秤量し、約500mlの水に溶解した。この溶液を冷却後、2L容メスフラスコに移し、20℃において水で定容にまで希釈し、混合して溶液Bとした。 ガラス棒で攪拌しながら溶液Aを溶液Bに注ぎ、等容量の両用液を混合して銅試薬を調製した。 (b)標準還元糖溶液の調製グルコースとフルクトースとを1:1の重量比で混合した還元糖1000mgを水に溶かして全量100mlとし、10mg/mlの標準還元糖溶液を調製した。 B.還元糖の測定 (亜酸化銅生成工程)還元糖試料溶液として上述した標準還元糖溶液を用いた。先ず、第1の収容容器42に銅試薬20mlを入れたものを10個準備し、このうち一つには標準還元糖溶液を加えず、残りの各第1の収容容器42中には、上述した標準還元糖溶液を0.5ml、1ml、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、8ml、10mlで加えた。そして、各々の第1の収容容器42には、さらに水45mlを加えて全量を65〜75mlとした。この作業で、還元糖試料と2価銅イオンとを含むアルカリ性水溶液7〜16が調製された。なお、各アルカリ性水溶液に含まれる還元糖量は、アルカリ性水溶液7が5mg、アルカリ性水溶液8が10mg、アルカリ性水溶液9が20mg、アルカリ性水溶液10が30mg、アルカリ性水溶液11が40mg、アルカリ性水溶液12が50mg、アルカリ性水溶液13が60mg、アルカリ性水溶液14が80mg、アルカリ性水溶液15が100mg、アルカリ性水溶液16が0mgであった。 次に、このアルカリ性水溶液を加熱手段で2分以内に沸騰させるとともに正確に3分間沸騰させた。この亜酸化銅生成工程で、2価銅イオンと還元糖試料中の還元糖とが反応して亜酸化銅が生成した。 (標準還元糖測定工程)加熱手段43により亜酸化銅生成工程後の反応液を煮沸しつつ、自動滴定手段47により反応液中に標準還元糖溶液50を徐々に加えて、反応液中に残存する2価銅イオンを容量滴定した。そして、複合白金電極45により反応液中の酸化還元電位を測定し、演算手段46にて酸化還元電位の変化を検出することで、滴定の終点を検出した。 標準還元糖測定工程終了後、演算手段46にて、標準還元糖測定工程で測定された標準還元糖量をもとに上述した方法に基づいて各試料溶液中の還元糖量を算出した。 各液量の還元糖試料溶液を含むアルカリ性水溶液7〜12およびアルカリ性水溶液16中に含まれる還元糖量の理論値(以下、試料溶液の理論還元糖量と呼ぶ)と、標準還元糖測定工程で加えた標準還元糖溶液に含まれる還元糖量の理論値(以下、標準還元糖溶液の理論還元糖量)との和を、試料溶液毎に比較するグラフを図11に示す。試料溶液の理論還元糖量と標準還元糖溶液の理論還元糖量との和は、各濃度の試料溶液でほぼ等しかった。 試料溶液7〜12および試料溶液16の理論還元糖量と、標準還元糖測定工程で検出された滴定の終点を基に算出された還元糖量(試料溶液の実測還元糖量)との関係を表すグラフを図12に示す。図12に示されるグラフから、試料溶液の理論還元糖量が5mg〜50mgの範囲において、試料溶液の理論還元糖量と実測還元糖量とがほぼ一致することがわかる。このことから、本実施例3の還元糖測定方法によると、還元糖試料溶液中の還元糖量が正確に測定できることがわかる。 上述したレインエイノン定容法では、標準還元糖測定工程後の反応液の総量が75mlになるように、予め予備滴定をおこなってアルカリ性水溶液中に添加する還元糖試料の量を調整していた。これは、2価銅イオンと反応すべき還元糖の大半を亜酸化銅生成工程において煮沸条件下で反応させておくことで、還元糖の反応条件を一定にして、還元糖の測定を高精度におこなうためである。しかし本実施例の結果から、同じ量の2価銅イオンと反応する還元糖の総量は、2価銅イオンと反応すべき還元糖の大半を亜酸化銅生成工程で反応させる場合にも、標準還元糖測定工程で反応させる場合にもほぼ等しいことがわかった。したがって、本第3発明の還元糖測定方法によると、従来のレインエイノン定容法にように測定に煩雑な操作を要さず、還元糖量を正確に測定できることがわかる。また従来のレインエイノン定容法では、還元糖測定に予備滴定が必要であったため、測定の自動化ができない問題があったが、本発明の方法では予備滴定が必要でなくなることから、測定の自動化が可能になる。さらに、上述したように還元糖測定装置40の電極として耐久性の高い複合白金電極45を用いたことで、滴定の終点を電気化学的方法で検出できるようになり、還元糖の測定をより容易かつ正確におこなうことが可能になる。 さらに、銅試薬中に含まれる2価銅イオン量と還元糖量との当量関係から、還元糖1molは、酸化剤である2価銅イオン5molと反応することがわかる。 なお、参考までに、複合白金電極を用いた際の終点付近の酸化還元電位の変化を表すグラフを図13に示す。図中、左側縦軸は酸化還元電位(V)を表し右側縦軸は酸化還元電位の一次微分値を表す。また図中横軸は、経過時間を表し、矢印は終点を表す。 標準還元糖溶液による容量滴定の終点に達すると、酸化還元電位が急激に変化するため、終点を容易に検出することができる。また、酸化還元電位の一次微分値ではこの変化はより顕著であるため、例えば、演算手段にて酸化還元電位を一次微分することで、より正確に終点を検出することができる。 さらに、このとき反応液中にメチレンブルー溶液を加えておくと250秒後にメチレンブルーの退色があらわれた。メチレンブルーの退色があらわれた経過時間と酸化還元電位の一次微分値の最大値があらわれる経過時間とは完全に一致するため、酸化還元電位の変化によって、滴定の終点を鋭敏かつ精度よく検出できることがわかる。 さらに、検知電極として複合白金電極にかえて双白金つの型電極を用いた際の終点付近の分極電流の変化を表すグラフを図14に示す。図中、縦軸は分極電流の大きさμAを示し、横軸は経過時間を示す。図14に示されるように、分極電流の変化によるる分極電流法でも終点を鋭敏に検出することができる。 検知電極として双白金つの型電極を用いた場合の試料溶液9、11、13〜16の理論還元糖量と実測還元糖量との関係および、検知電極として複合白金電極を用いた場合の試料溶液9、11、13〜16の理論還元糖量と実測還元糖量との関係を表すグラフを図15に示す。還元糖量が100mg以下の範囲では、検知電極として複合白金電極を用いた場合にも双白金つの型電極を用いた場合にも、理論還元糖量と実測還元糖量とがほぼ一致した。したがって、検知電極として複合白金電極を用いる場合にも、双白金つの型電極を用いる場合にも、還元糖量を高精度に測定できることがわかる。 (実施例6)実施例6は第3発明及び第6発明に関する実施例である。本実施例では、還元糖試料として、黒砂糖、きび砂糖、三温糖、上白糖、グラニュー糖、水飴、しょうゆ、はちみつ、および、ワイン(赤、甘口)を用いた以外は、実施例5と同じ方法で還元糖の測定をおこなった。 (比較例2)比較例2は従来のレインエイノン定容法を用いて、実施例6と同じ還元糖試料中の還元糖量を測定した実施例である。 A.試薬の調整 (a)銅試薬の調製実施例5と同じ銅試薬を用いた。 (b)メチレンブルー溶液の調製 メチレンブルー1gを100mlの水にとかし、メチレンブルー溶液とした。 (c)標準還元糖溶液の調製 実施例5と同じ標準還元糖溶液を用いた。 B.還元糖の測定 (予備滴定工程)先ず、各還元糖試料を量りとり、水に溶かして各還元糖試料溶液を調製した。各還元糖試料溶液を15mlと、銅試薬(所謂フェーリング試薬)20mlと、蒸留水35mlとを200ml容三角フラスコにとり、全容量が74mlになるように標準還元糖溶液を加えた。この三角フラスコに、少量の粉末沸石と数滴の消泡剤(流動パラフィン)とを加え、溶液を穏やかに揺り動かしながら混合した。この三角フラスコを加熱器に乗せ、溶液が沸騰点に達するまで待った。このとき、予め水が室温から沸騰し始めるまでに要する時間が2.5分±5秒間になるように、加熱器の出力を設定しておいた。沸騰点に達した時点でタイマを始動させ、溶液を正確に2分間沸騰させた。沸騰させた後に、メチレンブルー溶液を4滴加え、ビュレットに入れておいた標準還元糖溶液をゆっくり滴下して、メチレンブルーの青色が消失した時点を滴定の終点とした。滴定後の反応液の総量が約75mlにならなかった場合には、還元糖試料の濃度を調整して、滴定後の反応液の総量が約75mlになるようにした。 (本滴定工程)予備滴定工程で濃度を調整した各還元糖試料溶液を15mlと、銅試薬(所謂フェーリング試薬)20mlと、蒸留水35mlとを200ml容三角フラスコにとり、全容量が74mlになるように標準還元糖溶液を加えた。この三角フラスコに、少量の粉末沸石と数滴の消泡剤(流動パラフィン)とを加え、溶液を穏やかに揺り動かしながら混合した。この三角フラスコを加熱器に乗せ、溶液が沸騰点に達するまで待った。このとき、予め水が室温から沸騰し始めるまでに要する時間が2.5分±5秒間になるように、加熱器の出力を設定しておいた。沸騰点に達した時点でタイマを始動させ、溶液を正確に2分間沸騰させた。沸騰させた後に、メチレンブルー溶液を4滴加え、ビュレットに入れておいた標準還元糖溶液をゆっくり滴下して、メチレンブルーの青色が消失した時点を滴定の終点とした。 (実施例6の方法と比較例2の方法との比較)第3発明の還元糖測定方法と従来のレインエイノン定容法との相関を検証するために、実施例6の還元糖測定方法で測定された各還元糖試料中の還元糖量と、比較例2の還元糖測定方法で測定された各還元糖試料中の還元糖量とを比較した。実施例6および比較例2で測定された各還元糖試料中の還元糖量を表2に示す。 表2に示されるように、第3発明の還元糖測定方法である実施例6の方法で測定された還元糖の量と、従来のレインエイノン定容法である比較例2の方法で測定された還元糖の量とはほぼ一致した。この事から、第3発明の還元糖測定方法によると、従来のレインエイノン定容法よりも著しく簡易な操作で従来のレインエイノン定容法と同程度に精度高く還元糖量を測定できることがわかった。実施例1の還元糖測定装置を表す模式図である。実施例1及び比較例1の還元糖測定方法におけるチオ硫酸ナトリウム減少量を表すグラフである。実施例2及び実施例3の還元糖測定方法におけるチオ硫酸ナトリウム減少量を表すグラフである。双白金つの型電極を用いた際の終点付近の分極電流の変化および分極電位差の変化を表すグラフである。実施例4の還元糖測定装置を模式的に表す図である。EDTA−2Na添加時の積算電気量と各試料溶液中に含まれる還元糖量(理論値)との関係を表すグラフである。積算電気量とEDTA−2Naの添加量との関係を表すグラフである。EDTA−2Na非添加時の積算電気量と各試料溶液中に含まれる還元糖量(理論値)との関係を表すグラフである。ヨウ化カリウムの添加量の増加とヨウ素量との関係を表すグラフである。実施例5の還元糖測定装置を模式的に表す図である。試料溶液7〜12および試料溶液16の理論還元糖量と標準還元糖溶液の理論還元糖量との和を、試料溶液毎に比較するグラフである。試料溶液7〜12および試料溶液16の理論還元糖量と試料溶液の実測還元糖量との関係を表すグラフである。検出電極として複合白金電極を用いた際の終点付近の酸化還元電位の変化を表すグラフである。検出電極として双白金つの型電極を用いた際の終点付近の分極電流の変化を表すグラフである。検知電極として双白金つの型電極を用いた場合の試料溶液9、11、13〜16の理論還元糖量と実測還元糖量との関係および、検知電極として複合白金電極を用いた場合の試料溶液9、11、13〜16の理論還元糖量と実測還元糖量との関係を表すグラフである。符号の説明1:還元糖測定装置 2:複合白金電極 3:滴定量測定手段 5:反応液 6:第1の収容容器 7:加熱手段 8:チオ硫酸ナトリウム溶液 10:自動滴定手段 11:演算手段1 12:容器部 13:蓋部 15:攪拌子 16:温度検知手段 17:第2の収容容器 18:滴下手段 20:送液手段21:還元糖測定装置 22:双白金つの型電極 23:滴定量測定手段 25:双白金渦巻型電極 26:電気分解手段 27:反応液 28:収容容器 30:加熱手段 31:定電流電源 32:演算手段 33:容器部 35:蓋部 36:攪拌子 37:窒素導入ノズル 38:温度検知手段40:還元糖測定装置 41:滴定量測定手段 42:収容容器 43:加熱手段 45:複合白金電極 46:演算手段 47:自動滴定手段 48:第2の収容容器 50:標準還元糖溶液 51:反応液 定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、 該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、 該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、 該亜酸化銅酸化工程後の反応液中に既知濃度のヨウ素還元剤を徐々に加えて該反応液中に残存する該ヨウ素量を容量滴定し、電気的測定によって該容量滴定の終点を検出することで該容量滴定に要した該ヨウ素還元剤量を測定するヨウ素還元剤測定工程と、を備え、 該ヨウ素還元剤測定工程で測定された該ヨウ素還元剤量から該還元糖試料中の還元糖量を算出することを特徴とする還元糖測定方法。 定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、 該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、 該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、 該亜酸化銅酸化工程後の反応液に該反応液に残存する該ヨウ素に対して過剰量となる所定量のヨウ素還元剤を加え、該反応液中に残存する該ヨウ素を還元するヨウ素還元工程と、 該キレート工程後から該ヨウ素還元工程後の何れかの反応液にヨウ化カリウムを加えるヨウ化カリウム添加工程と、 該ヨウ化カリウムが添加された反応液中の該ヨウ化カリウムを電気分解して徐々にヨウ素を生成させて反応液中に残存する該ヨウ素還元剤量を電量滴定し、電気的測定によって該電量滴定の終点を検出することで該電量滴定に要した該ヨウ素量を測定するヨウ素測定工程と、を備え、 該ヨウ素測定工程で測定されたヨウ素量から該還元糖試料中の還元糖量を算出することを特徴とする還元糖測定方法。 定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、 該亜酸化銅生成工程後の反応液を煮沸しつつ既知濃度の標準還元糖溶液を徐々に加えて該反応液中に残存する該2価銅イオン量を容量滴定し、電気的測定によって該容量滴定の終点を検出することで該容量滴定に要した該標準還元糖量を測定する標準還元糖測定工程と、を備え、 該標準還元糖測定工程で測定された標準還元糖量から該還元糖試料中の還元糖量を算出することを特徴とする還元糖測定方法。 前記一定煮沸条件は、前記水溶液を2分30秒以内に沸騰させた後に3分間沸騰させ、その後1分間急冷する条件である請求項1または請求項2に記載の還元糖測定方法。 前記一定煮沸条件は、前記水溶液を2分30秒以内に沸騰させた後に3分間沸騰させる条件である請求項3に記載の還元糖測定方法。 前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムおよびジエチレントリアミン-N,N,N',N'',N''-五酢酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1または請求項2記載の還元糖測定方法。 前記電気的測定は、反応液の分極電流と分極電位差と酸化還元電位との少なくとも1種を測定する請求項1または請求項3記載の還元糖測定方法。 前記電気的測定は、反応液の分極電流と分極電位差との少なくとも1種を測定する請求項2記載の還元糖測定方法。 前記ヨウ素還元剤はチオ硫酸ナトリウムである請求項1または請求項2記載の還元糖測定方法。 前記還元糖量は、前記亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて算出される請求項1または請求項2記載の還元糖測定方法。 定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、によって得られた反応液中に、既知濃度のヨウ素還元剤を徐々に加えて該反応液中に残存する該ヨウ素量を容量滴定する際に、該反応液の酸化還元電位と分極電流と分極電位差との少なくとも一種を測定して該容量滴定の終点を検出するための、複合白金電極と双白金つの型電極との少なくとも一方をもつ滴定量測定手段を備えることを特徴とする還元糖測定装置。 定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程と、該亜酸化銅生成工程後の反応液に該反応液に残存する該2価銅イオンに対して過剰量となるキレート剤を加え、該反応液中に残存する該2価銅イオンをキレートするキレート工程と、該キレート工程後の反応液に該亜酸化銅に対して過剰量となる所定量のヨウ素を加え、該ヨウ素で該反応液中の該亜酸化銅を酸化する亜酸化銅酸化工程と、該亜酸化銅酸化工程後の反応液に該反応液に残存する該ヨウ素に対して過剰量となる所定量のヨウ素還元剤を加え、該反応液中に残存する該ヨウ素を還元するヨウ素還元工程と、該キレート工程後から該ヨウ素還元工程後の何れかの反応液にヨウ化カリウムを加えるヨウ化カリウム添加工程と、によって得られた反応液中に所定電流を印加して該ヨウ化カリウムを電気分解し徐々にヨウ素を生成させるための双白金渦巻型電極をもつ電気分解手段と、該ヨウ素によって反応液中に残存する該ヨウ素還元剤量を電量滴定する際に、該反応液の分極電流と分極電位差との少なくとも一種を測定して該電量滴定の終点を検出するための、双白金つの型電極をもつ滴定量測定手段を備えることを特徴とする還元糖測定装置。 定量測定すべき還元糖試料に該還元糖試料に対して過剰量となる所定量の2価銅イオンを配合したアルカリ性水溶液を煮沸条件下で反応させて亜酸化銅を生成させる亜酸化銅生成工程によって得られた反応液を、煮沸しつつ既知濃度の標準還元糖溶液を徐々に加えて該反応液中に残存する該2価銅イオン量を容量滴定する際に、該反応液の酸化還元電位と分極電流との少なくとも一種を測定して該容量滴定の終点を検出するための、複合白金電極と双白金つの型電極との少なくとも一方をもつ滴定量測定手段を備えることを特徴とする還元糖測定装置。 さらに、前記終点から算出された前記反応液中の前記ヨウ素還元剤量から前記還元糖試料中の還元糖量を算出する演算手段を備える請求項11または請求項12記載の還元糖測定装置。 さらに、前記終点から算出された前記標準還元糖量から前記還元糖試料中の還元糖量を算出する演算手段を備える請求項13に記載の還元糖測定装置。 前記演算手段は、前記亜酸化銅生成工程の反応液中で約10モルの2価銅イオンが2モルの還元糖と反応して5モルの亜酸化銅が生成することに基づいて、前記還元糖試料中の還元糖量を算出する請求項14記載の還元糖測定装置。


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