生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_COパルス法を用いた触媒粒子測定方法およびその装置
出願番号:2004092763
年次:2005
IPC分類:7,G01N31/10,G01N31/00


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金沢 孝明 松本 伸一 江口 浩一 菊地 隆司 竹口 竜弥 JP 2005283129 公開特許公報(A) 20051013 2004092763 20040326 COパルス法を用いた触媒粒子測定方法およびその装置 トヨタ自動車株式会社 000003207 岡戸 昭佳 100105751 富澤 孝 100097009 山中 郁生 100098431 国立大学法人京都大学 504132272 金沢 孝明 松本 伸一 江口 浩一 菊地 隆司 竹口 竜弥 7G01N31/10G01N31/00 JPG01N31/10G01N31/00 Y 5 1 OL 10 2G042 2G042AA04 2G042CA10 2G042CB06 2G042DA03 2G042DA07 2G042EA20 2G042FA04 2G042FA05 2G042FA07 2G042FB05 2G042GA01 2G042GA03 2G042HA02 2G042HA07 2G042HA10 本発明は,担持体とそれに担持された貴金属とよりなる触媒粒子の状態をCOパルス法を用いて測定する触媒粒子測定方法およびその装置に関する。 従来より,貴金属をセラミックス等の担持体に担持させた各種の触媒が,様々な分野で多く用いられている。貴金属としては,例えば,白金(Pt),パラジウム(Pd),ロジウム(Rh)等が,また担持体としては,例えば,セリア,ジルコニア,アルミナ等が用いられる。特に,自動車用の高活性・高耐熱性を有する触媒として,セリアとアルミナとの複合酸化物粉末を含む担体と,その担体に担持された貴金属とよりなる触媒が提案されている(例えば,特許文献1参照。)。 触媒の評価方法の1つとして,従来より,例えばパルス法による吸着量の測定が行われている。パルス法とは,吸着させる測定ガスをパルス状にしてキャリアガスに混入させて試料に流し,出力ガス中の測定ガス量を検出する方法である。図5に示すように,初めの1〜2回のパルス分は試料に吸着されるため,測定ガスの流出量は供給量より少ない。この図で,破線で示したのが供給ガス量であり,実線で示したのが検出ガス量である。この図に示すように,検出ガス量はやがて,供給ガス量よりやや小さい値で一定となる。この一定となった定常値とそれまでの流出量との差を合計することにより,試料に吸着された測定ガスの量を求めることができる。 このパルス法としては,測定ガスの種類によってCO吸着法,水素吸着法,酸素吸着法,H2−O2滴定法等がある。またパルス法は,測定が簡便であり,非定常な測定や,実際に近い条件での測定が可能であるという利点があり,広く用いられている。また,このパルス法等によるガス吸着量の測定結果から,担持されている金属の分散度および粒子径を算出することもできる。一般に,金属原子がその一部でも表面に露出していれば,ガスを吸着可能であると考えて,ガス吸着量と貴金属の担持量とからその分散度を算出する。特開2003−24783号公報 しかしながら,担体にセリア等の酸素収蔵能を有するものを含む触媒においては,上記のCOパルス法等の測定方法によってはその触媒の状態を正確に評価することができないという問題点があった。このような触媒のガス吸着量を上記の従来の方法で測定すると,使用する測定ガス種によって異なる結果となり,例えばCOパルス法では吸着量が非常に大きく出てしまうのである。これは,担体によっても,COガスが消費されているためであると予想される。しかも,このガス吸着量は,担持させる貴金属の種類に依存するため,担体による消費量を単に減ずるだけでは,正確な評価ができないことも分かった。これらから,セリア等の酸素収蔵能を有するものを含む担体とその担体に担持された貴金属等の触媒粒子とを含むサンプルでも,その触媒粒子の状態を正確に測定できる測定手法の確立が課題となっていた。 本発明は,前記した従来の触媒測定方法が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,セリア等を含む担体上に担持された貴金属粒子の状態をCOパルス法を用いて正確に測定することのできる触媒粒子測定方法およびその装置を提供することにある。 この課題の解決を目的としてなされた本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法は,担持体と触媒粒子とを含むサンプル中の触媒粒子の状態をCOパルス法により測定する触媒粒子測定方法であって,容器中に収容されたサンプルに酸化処理および還元処理を含む前処理を施し,前処理後に容器中にCO2 ガスを供給し,容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってからCOパルス法を実施するものである。 本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法によれば,酸化処理および還元処理を含む前処理を施した後のサンプルにCO2 ガスを供給している。本発明者らは,担体によるCOガスの消費は,COガスのまま担体に吸着されるのではなく,次の過程を経て行われていることを見いだした。すなわち,供給されたCOガスが,担体の酸素収蔵能によって酸化されてCO2 ガスとなり,このCO2 ガスが担体の吸着サイトに吸着されるのである。そこで,COパルス法を実施する前に,サンプルにCO2 ガスを供給することにより,担体のCO2 ガス吸着サイトが被毒される。これにより,COパルス法を実施するときには,担体によるCOガスの消費が防止される。 さらに,本発明では,担持体がセリアを含み触媒粒子が白金粒子であるサンプルを対象とし,容器中へのCO2 ガスの供給を70℃以下の温度で行い,容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから容器中にH2 ガスを供給し,容器中へのH2 ガスの供給を絶ってからCOパルス法を実施することが望ましい。 このようにすれば,容器中へのCO2 ガスの供給によって触媒粒子の表面にCO2 ガスが吸着した場合でも,H2 ガスを供給することによって還元される。このとき,CO2 ガスの供給やH2 ガスの供給を70℃以下の温度で行うので,サンプルのうち担体では,CO2 ガス吸着サイトが被毒された状態が保たれる。一方,触媒粒子では,吸着したCO2 ガスがH2 ガスによって還元され,きれいな状態となる。 また,この課題の解決を目的としてなされた本発明のCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置は,担持体と触媒粒子とを含むサンプル中の触媒粒子の状態をCOパルス法により測定する触媒粒子測定装置であって,サンプルを収容する容器と,容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給ラインと,容器内に酸化ガスを供給する酸化ガス供給ラインと,容器内に還元ガスを供給する還元ガス供給ラインと,容器内にCOガスを供給するCOガス供給ラインと,容器内にCO2 ガスを供給するCO2 ガス供給ラインと,COガス供給ラインによるCOガスの供給を断続させる断続装置と,容器からの排出ガス中のCOガス成分を検出するガス成分検出装置とを有するものである。 本発明のCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置によれば,容器に収納されたサンプルに対し,キャリアガス供給ラインによってキャリアガスを供給することができる。さらに,キャリアガスに混入させて,酸化ガス供給ラインによって酸化ガスを供給することにより,サンプルを酸化させることができる。また,キャリアガスに混入させて,還元ガス供給ラインによって還元ガスを供給することにより,サンプルを還元させることができる。さらに,COガス供給ラインと断続装置とによって,サンプルにパルス状のCOガスを供給して,COパルス法を実施できる。さらに,CO2 ガス供給ラインによって,サンプルに含まれる担体のCO2 ガス吸着サイトを被毒することができる。従って,このCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置によれば,本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法を実施することができる。 さらに,本発明では,各ガス供給ラインによる容器内へのガス供給を制御する制御部を有し,制御部は,酸化ガス供給ラインと還元ガス供給ラインとを用いて容器内のサンプルに酸化処理および還元処理を含む前処理を施し,前処理後に容器中にCO2 ガス供給ラインからCO2 ガスを供給し,容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから容器中にCOガス供給ラインからCOガスをパルス状に供給することが望ましい。 このようにすれば,本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法を実施することができる。 さらに,本発明では,容器は加熱機能を有するものであり,還元ガス供給ラインは容器内にH2 ガスを供給するものであり,制御部は,前処理後に容器の温度が70℃以下に下がってから容器中にCO2 ガスを供給し,容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから容器中に還元ガス供給ラインからH2 ガスを供給し,容器中へのH2 ガスの供給を絶ってから容器中へのCOガスのパルス状の供給を行うことが望ましい。 このようにすれば,本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法を実施することができ,さらに,触媒粒子の表面に吸着したCO2 ガスの影響を取り除くことができる。 本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法およびその装置によれば,セリア等を含む担体上に担持された貴金属粒子の状態をCOパルス法を用いて正確に測定することができる。 「第1の形態」 以下,本発明を具体化した第1の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,COパルス法の改良であり,セリアを含む担体上に白金等の貴金属粒子を担持させた触媒について,その触媒粒子の状態を測定するのに適した触媒粒子測定装置である。 本形態の触媒粒子測定装置1は,図1にその概略を示すように,一般的なCOパルス法測定装置に,CO2 パージライン11を追加したものである。すなわち,パージガスラインとして,CO2 パージライン11,O2 パージライン12,H2 パージライン13を有している。このH2 パージライン13は,H2 /He混合ガスによるパージラインとしても良い。また触媒粒子測定装置1は,キャリアガスラインであるHeガスライン14および,測定ガスラインであるCOガスライン15を有している。さらに,Heガスライン14は分流路16を有し,分流路16とCOガスライン15との間には,6ポートバルブ17が設けられている。さらに,この触媒粒子測定装置1の全体をを制御する制御部18を有している。 各パージガスラインは,Heガスライン14に合流されている。CO2 パージライン11の合流点21と,O2 パージライン12の合流点22と,H2 パージライン13の合流点23とは,分流路16の合流点24より上流側に設けられている。合流点24の下流側には,試料を入れるU字管25およびTCD検出器26が直列に接続されている。また,各ガスライン(CO2 パージライン11,O2 パージライン12,H2 パージライン13,Heガスライン14,COガスライン15)の基部には,それぞれ開閉弁31〜35が設けられている。さらに,Heガスライン14の分流路16への分流点より下流側には,開閉弁36が設けられている。 このうち,6ポートバルブ17は,外部に開口した6ポートのうち互いに隣り合う2ポートずつが内部で接続され,流通されているガスがその接続部分に所定量貯留されるようになっている。このバルブの切り換えにより,別の流通路に,その貯留された所定量のガスを流入させることができる。従って,この6ポートバルブ17を回転させることにより,COガスを断続的な所定量のパルス状として供給することができる。また,U字管25には加熱機能がある。また,TCD検出器26は,一般的な熱伝導度検出器であり,通過するガス中のCOガスおよびCO2 ガス量の合計を測定することができる。このTCD検出器26では,COガスとCO2 ガスとが区別されずに検出される。 制御部18は,6ポートバルブ17,U字管25,TCD検出器26,および,各開閉弁31〜36を制御する。すなわち,各開閉弁31〜36を開閉して,U字管25へ流入するガスの種類や量を制御する。また,6ポートバルブ17を制御して,COガスのパルス量や間隔を制御する。さらに,U字管25の温度を制御する。また,TCD検出器26の検出結果を受けて,通過したCOガスおよびCO2 ガス量や定常値との差およびその積算量を算出する。一般的なCOパルス法ではCO2 ガスは混入しないので,この検出結果はCOガスのみの量であると見なして良い。 この触媒粒子測定装置1による触媒によるCO吸着量の測定方法の例を,図2に示す。この測定方法では,COパルス法による測定の前に,O2 ガスによる酸化処理,H2 ガスによる還元処理,CO2 処理の各工程を含んでいる。また,測定対象となる触媒を所定重量分だけ量り取ってペレットに形成し,すべての開閉弁31〜36を閉じた状態でU字管25に入れておく。 この測定方法が開始されるとまず,開閉弁34,36を開いてU字管25にHeガスを流しながら,400℃まで昇温する(工程1)。次に,開閉弁32を開いてO2 ガスを流すことにより試料を酸化し,吸着されている有機分子を除去する(工程2)。次に,開閉弁32を閉じて管内をHeガスで置換する(工程3)。次に,開閉弁33を開いてH2 ガスを流し,試料中の貴金属粒子を還元する(工程4)。次に,開閉弁33を閉じてHeガスで置換しつつ,室温まで冷却する(工程5)。ここまでが前処理工程である。 次に,室温で開閉弁31を開き,試料にCO2 ガスを流す。所定量のCO2 ガスを流したら,開閉弁31を閉じてHeガスで置換する(工程6)。次に,開閉弁36を閉じて開閉弁35を開き,6ポートバルブ17を回転させて試料にパルス状にCOガスを送り込む。同時に,出力ガス中のCOおよびCO2 量をTCD検出器26で検出する(工程7)。このTCD検出器26による検出結果から,制御部18によって試料によるCOガスの吸着量が求められる。その理由を以下に示す。 セリアにおいては,その成分であるセリウムが複数通りの酸化数を取り得るため,酸素を吸収あるいは放出する性質がある。そのため,セリアを含む担体を有する触媒では,COパルス法によって供給されたCOが,この放出された酸素によって酸化されてCO2 となることは防止できない。しかし,この測定方法では,COパルス法を行う前に,CO2 ガスによる処理工程が挿入されている。これにより,担体にセリア等を含むものにおいては,その担体のCO2 ガス吸着サイトが被毒される。従って,その生成されたCO2 がセリア担体に吸着されることは防止されている。 一方,TCD検出器26ではCOガスとCO2 ガスとの合計量が検出される。これは,COガスのまま流出された量とセリアによって酸化されてCO2 ガスとなって流出された量との合計量であり,触媒に吸着されずに残ったCOガス量に相当する。すなわち,工程7で検出される出力ガス中のCOおよびCO2 量は,図5で示した測定ガスの流出量に相当している。従って,通常と同様に定常値からこの検出量を減算して累積することにより,触媒粒子によるCOガスの吸着量が得られる。これにより,触媒粒子によるCO吸着量が正確に測定できる測定方法となっている。 また,得られたCOガスの吸着量から,公知の算出式によって,触媒に含まれる貴金属の分散度や粒径を算出することもできる。さらに,上記の測定方法では,具体的な流量等の条件や各工程の順序は適宜変更して実施しても良い。例えば,酸化工程は省略してもよい。また,酸化あるいは還元の各工程と同時に昇温することもできる。また,工程5のHe置換は冷却の後で行っても良い。 以上詳細に説明したように,本形態の触媒粒子測定装置1によれば,COパルス法の前処理としてCO2 ガスによる処理を行うことができるので,担体としてセリアを含む触媒においても,セリアによるCOガスの消費が防止される。従って,セリア等を含む担体上に担持された貴金属粒子の状態をCOパルス法を用いて正確に測定することができる触媒粒子測定方法を実施できる触媒粒子測定装置1となっている。 「第2の形態」 以下,本発明を具体化した第2の形態について説明する。本形態では,第1の形態と同様の触媒粒子測定装置1を使用し,その測定方法は,第1の形態に1工程追加したものである。 本形態による測定方法では,図3に示すように,第1の形態の工程6を,工程6Aと工程6Bとの2工程からなるものに変更する。工程6Aは,第1の形態の工程6と同様であり,室温で開閉弁31を開き,試料にCO2 ガスを流す工程である。また,工程6Bは,開閉弁31を閉じて開閉弁33を開き,室温でH2 ガスを流す工程である。 触媒粒子として白金を使用した場合には,工程6Aによってその粒子表面にCO2 が吸着される場合がある。CO2 が吸着している白金粒子には,COが吸着しにくい。そのため,CO吸着量がその分小さく検出されるおそれがある。また,この白金粒子に吸着したCO2 は,室温で容易に還元される一方,担体に含まれるセリアは室温では容易に還元されないことも分かった。そこで,工程6Bとして,室温での酸化・還元工程を追加することにより,白金粒子は還元され,セリアは還元されていない状態を得ることができる。 本形態では,この工程6Bを加えたことにより,白金粒子表面にCO2 が吸着しないので,白金粒子によるCOガス吸着量がより正確に測定される。従って,本形態においても,第1の形態と同様に,セリア等を含む担体上に担持された貴金属粒子の状態をCOパルス法を用いて正確に測定することができる触媒粒子測定方法を実施できる触媒粒子測定装置1となっている。 なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。 次に,第1の形態の触媒測定方法によって,セリア担体にPtを1wt%または5wt%担持した触媒のPt分散度を測定した。試料としては,Pt5wt%/CeO2 およびPt1wt%/CeO2 を100mgずつ用いた。工程1〜工程3は省略し,工程4において,20%H2 /Heガスを40ml/minで流しながら10℃/minで昇温し,400℃で10分間保った。次に,工程5で5分間Heで置換し,He中で室温まで冷却した。ここでは室温として25℃程度とした。 次に,工程6で,室温でCO2 ガスを5分間流通させ,さらにHe置換した。このような前処理をした後で,工程7でCOパルス法によるCO吸着量の測定を行った。具体的には,0.224mlのCOガスを6分おきにパルスして,定常値に達した後,さらに2回パルスした。 比較例として,同一の試料に対し,工程6を除いてそれ以外は同一の工程による測定を行った。本実施例と比較例とのPt分散度算出結果を,図4のグラフに示す。この図から分かるように,いずれの試料においても,Ptの分散度は,実施例の方が比較例より5〜15%程度低く算出された。すなわち,比較例では担体によるCOガスの消費があるため,分散度が高めに出てしまっていると考えられる。従って,本実施例では,より現実に近い分散度が算出されていることが分かった。本形態の測定装置の概略構成図である。第1の形態の測定方法の概略工程図である。第2の形態の測定方法の概略工程図である。本形態の測定方法と従来の測定方法とによる測定結果を比較したグラフである。パルス法による測定結果の例を示す説明図である。符号の説明 1 触媒粒子測定装置(COパルス法を用いる触媒粒子測定装置) 11 CO2 パージライン(CO2 ガス供給ライン) 12 O2 パージライン(酸化ガス供給ライン) 13 H2 パージライン(還元ガス供給ライン) 14 Heガスライン(キャリアガス供給ライン) 15 COガスライン(COガス供給ライン) 17 6ポートバルブ(断続装置) 18 制御部 25 U字管(容器) 26 TCD検出器(ガス成分検出装置)担持体と触媒粒子とを含むサンプル中の触媒粒子の状態をCOパルス法により測定する触媒粒子測定方法において, 容器中に収容されたサンプルに酸化処理および還元処理を含む前処理を施し, 前処理後に容器中にCO2 ガスを供給し, 容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってからCOパルス法を実施することを特徴とするCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法。請求項1に記載のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法において, 担持体がセリアを含み触媒粒子が白金粒子であるサンプルを対象とし, 容器中へのCO2 ガスの供給を70℃以下の温度で行い, 容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから容器中にH2 ガスを供給し, 容器中へのH2 ガスの供給を絶ってからCOパルス法を実施することを特徴とするCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法。担持体と触媒粒子とを含むサンプル中の触媒粒子の状態をCOパルス法により測定する触媒粒子測定装置において, サンプルを収容する容器と, 前記容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給ラインと, 前記容器内に酸化ガスを供給する酸化ガス供給ラインと, 前記容器内に還元ガスを供給する還元ガス供給ラインと, 前記容器内にCOガスを供給するCOガス供給ラインと, 前記容器内にCO2 ガスを供給するCO2 ガス供給ラインと, 前記COガス供給ラインによるCOガスの供給を断続させる断続装置と, 前記容器からの排出ガス中のCOガス成分を検出するガス成分検出装置とを有することを特徴とするCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置。請求項3に記載のCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置において, 前記各ガス供給ラインによる前記容器内へのガス供給を制御する制御部を有し, 前記制御部は, 前記酸化ガス供給ラインと前記還元ガス供給ラインとを用いて前記容器内のサンプルに酸化処理および還元処理を含む前処理を施し, 前処理後に前記容器中に前記CO2 ガス供給ラインからCO2 ガスを供給し, 前記容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから前記容器中に前記COガス供給ラインからCOガスをパルス状に供給することを特徴とするCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置。請求項4に記載のCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置において, 前記容器は加熱機能を有するものであり, 前記還元ガス供給ラインは前記容器内にH2 ガスを供給するものであり, 前記制御部は, 前処理後に前記容器の温度が70℃以下に下がってから前記容器中にCO2 ガスを供給し, 前記容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから前記容器中に前記還元ガス供給ラインからH2 ガスを供給し, 前記容器中へのH2 ガスの供給を絶ってから前記容器中へのCOガスのパルス状の供給を行うことを特徴とするCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置。 【課題】セリア等を含む担体上に担持された貴金属粒子の状態をCOパルス法を用いて正確に測定することのできる触媒粒子測定方法およびその装置を提供すること。【解決手段】本発明の触媒粒子測定装置1は,サンプルを収容するU字管25と,U字管25内にキャリアガスを供給するHeガスライン14と,U字管25内に酸化ガスを供給するO2 パージライン12と,U字管25内に還元ガスを供給するH2 パージライン13と,U字管25内にCOガスを供給するCOガスライン15と,U字管25内にCO2 ガスを供給するCO2 パージライン11と,COガスライン15によるCOガスの供給を断続させる6ポートバルブ17と,U字管25からの排出ガス中のCOガス成分を検出するTCD検出器26とを有する。本発明の測定方法では,COパルス法を実施する前に,サンプルにCO2 ガスを供給する。【選択図】 図1


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特許公報(B2)_COパルス法を用いた触媒粒子測定方法およびその装置

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_COパルス法を用いた触媒粒子測定方法およびその装置
出願番号:2004092763
年次:2008
IPC分類:G01N 31/10,G01N 31/00


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金沢 孝明 松本 伸一 江口 浩一 菊地 隆司 竹口 竜弥 JP 4208249 特許公報(B2) 20081031 2004092763 20040326 COパルス法を用いた触媒粒子測定方法およびその装置 トヨタ自動車株式会社 000003207 岡戸 昭佳 100105751 富澤 孝 100097009 山中 郁生 100098431 国立大学法人京都大学 504132272 金沢 孝明 松本 伸一 江口 浩一 菊地 隆司 竹口 竜弥 20090114 G01N 31/10 20060101AFI20081218BHJP G01N 31/00 20060101ALI20081218BHJP JPG01N31/10G01N31/00 Y G01N 31/00−G01N 31/22 JSTPlus(JDreamII) 国際公開第01/015805(WO,A1) 特開2003−024783(JP,A) 特開2003−245554(JP,A) 特開2003−275588(JP,A) 国際公開第01/079835(WO,A1) 真辺 俊介 他,担持貴金属触媒の貴金属粒子径評価法の検討,第93回触媒討論会 討論会A予稿集,2004年 3月30日,Vol.93rd,p.60 5 2005283129 20051013 10 20060713 白形 由美子 本発明は,担持体とそれに担持された貴金属とよりなる触媒粒子の状態をCOパルス法を用いて測定する触媒粒子測定方法およびその装置に関する。 従来より,貴金属をセラミックス等の担持体に担持させた各種の触媒が,様々な分野で多く用いられている。貴金属としては,例えば,白金(Pt),パラジウム(Pd),ロジウム(Rh)等が,また担持体としては,例えば,セリア,ジルコニア,アルミナ等が用いられる。特に,自動車用の高活性・高耐熱性を有する触媒として,セリアとアルミナとの複合酸化物粉末を含む担体と,その担体に担持された貴金属とよりなる触媒が提案されている(例えば,特許文献1参照。)。 触媒の評価方法の1つとして,従来より,例えばパルス法による吸着量の測定が行われている。パルス法とは,吸着させる測定ガスをパルス状にしてキャリアガスに混入させて試料に流し,出力ガス中の測定ガス量を検出する方法である。図5に示すように,初めの1〜2回のパルス分は試料に吸着されるため,測定ガスの流出量は供給量より少ない。この図で,破線で示したのが供給ガス量であり,実線で示したのが検出ガス量である。この図に示すように,検出ガス量はやがて,供給ガス量よりやや小さい値で一定となる。この一定となった定常値とそれまでの流出量との差を合計することにより,試料に吸着された測定ガスの量を求めることができる。 このパルス法としては,測定ガスの種類によってCO吸着法,水素吸着法,酸素吸着法,H2−O2滴定法等がある。またパルス法は,測定が簡便であり,非定常な測定や,実際に近い条件での測定が可能であるという利点があり,広く用いられている。また,このパルス法等によるガス吸着量の測定結果から,担持されている金属の分散度および粒子径を算出することもできる。一般に,金属原子がその一部でも表面に露出していれば,ガスを吸着可能であると考えて,ガス吸着量と貴金属の担持量とからその分散度を算出する。特開2003−24783号公報 しかしながら,担体にセリア等の酸素収蔵能を有するものを含む触媒においては,上記のCOパルス法等の測定方法によってはその触媒の状態を正確に評価することができないという問題点があった。このような触媒のガス吸着量を上記の従来の方法で測定すると,使用する測定ガス種によって異なる結果となり,例えばCOパルス法では吸着量が非常に大きく出てしまうのである。これは,担体によっても,COガスが消費されているためであると予想される。しかも,このガス吸着量は,担持させる貴金属の種類に依存するため,担体による消費量を単に減ずるだけでは,正確な評価ができないことも分かった。これらから,セリア等の酸素収蔵能を有するものを含む担体とその担体に担持された貴金属等の触媒粒子とを含むサンプルでも,その触媒粒子の状態を正確に測定できる測定手法の確立が課題となっていた。 本発明は,前記した従来の触媒測定方法が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,セリア等を含む担体上に担持された貴金属粒子の状態をCOパルス法を用いて正確に測定することのできる触媒粒子測定方法およびその装置を提供することにある。 この課題の解決を目的としてなされた本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法は,担持体と触媒粒子とを含むサンプル中の触媒粒子の状態をCOパルス法により測定する触媒粒子測定方法であって,容器中に収容されたサンプルに酸化処理および還元処理を含む前処理を施し,前処理後に容器中にCO2 ガスを供給し,容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってからCOパルス法を実施するものである。 本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法によれば,酸化処理および還元処理を含む前処理を施した後のサンプルにCO2 ガスを供給している。本発明者らは,担体によるCOガスの消費は,COガスのまま担体に吸着されるのではなく,次の過程を経て行われていることを見いだした。すなわち,供給されたCOガスが,担体の酸素収蔵能によって酸化されてCO2 ガスとなり,このCO2 ガスが担体の吸着サイトに吸着されるのである。そこで,COパルス法を実施する前に,サンプルにCO2 ガスを供給することにより,担体のCO2 ガス吸着サイトが被毒される。これにより,COパルス法を実施するときには,担体によるCOガスの消費が防止される。 さらに,本発明では,担持体がセリアを含み触媒粒子が白金粒子であるサンプルを対象とし,容器中へのCO2 ガスの供給を70℃以下の温度で行い,容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから容器中にH2 ガスを供給し,容器中へのH2 ガスの供給を絶ってからCOパルス法を実施することが望ましい。 このようにすれば,容器中へのCO2 ガスの供給によって触媒粒子の表面にCO2 ガスが吸着した場合でも,H2 ガスを供給することによって還元される。このとき,CO2 ガスの供給やH2 ガスの供給を70℃以下の温度で行うので,サンプルのうち担体では,CO2 ガス吸着サイトが被毒された状態が保たれる。一方,触媒粒子では,吸着したCO2 ガスがH2 ガスによって還元され,きれいな状態となる。 また,この課題の解決を目的としてなされた本発明のCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置は,担持体と触媒粒子とを含むサンプル中の触媒粒子の状態をCOパルス法により測定する触媒粒子測定装置であって,サンプルを収容する容器と,容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給ラインと,容器内に酸化ガスを供給する酸化ガス供給ラインと,容器内に還元ガスを供給する還元ガス供給ラインと,容器内にCOガスを供給するCOガス供給ラインと,容器内にCO2 ガスを供給するCO2 ガス供給ラインと,COガス供給ラインによるCOガスの供給を断続させる断続装置と,容器からの排出ガス中のCOガス成分を検出するガス成分検出装置とを有するものである。 本発明のCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置によれば,容器に収納されたサンプルに対し,キャリアガス供給ラインによってキャリアガスを供給することができる。さらに,キャリアガスに混入させて,酸化ガス供給ラインによって酸化ガスを供給することにより,サンプルを酸化させることができる。また,キャリアガスに混入させて,還元ガス供給ラインによって還元ガスを供給することにより,サンプルを還元させることができる。さらに,COガス供給ラインと断続装置とによって,サンプルにパルス状のCOガスを供給して,COパルス法を実施できる。さらに,CO2 ガス供給ラインによって,サンプルに含まれる担体のCO2 ガス吸着サイトを被毒することができる。従って,このCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置によれば,本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法を実施することができる。 さらに,本発明では,各ガス供給ラインによる容器内へのガス供給を制御する制御部を有し,制御部は,酸化ガス供給ラインと還元ガス供給ラインとを用いて容器内のサンプルに酸化処理および還元処理を含む前処理を施し,前処理後に容器中にCO2 ガス供給ラインからCO2 ガスを供給し,容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから容器中にCOガス供給ラインからCOガスをパルス状に供給することが望ましい。 このようにすれば,本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法を実施することができる。 さらに,本発明では,容器は加熱機能を有するものであり,還元ガス供給ラインは容器内にH2 ガスを供給するものであり,制御部は,前処理後に容器の温度が70℃以下に下がってから容器中にCO2 ガスを供給し,容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから容器中に還元ガス供給ラインからH2 ガスを供給し,容器中へのH2 ガスの供給を絶ってから容器中へのCOガスのパルス状の供給を行うことが望ましい。 このようにすれば,本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法を実施することができ,さらに,触媒粒子の表面に吸着したCO2 ガスの影響を取り除くことができる。 本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法およびその装置によれば,セリア等を含む担体上に担持された貴金属粒子の状態をCOパルス法を用いて正確に測定することができる。 「第1の形態」 以下,本発明を具体化した第1の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,COパルス法の改良であり,セリアを含む担体上に白金等の貴金属粒子を担持させた触媒について,その触媒粒子の状態を測定するのに適した触媒粒子測定装置である。 本形態の触媒粒子測定装置1は,図1にその概略を示すように,一般的なCOパルス法測定装置に,CO2 パージライン11を追加したものである。すなわち,パージガスラインとして,CO2 パージライン11,O2 パージライン12,H2 パージライン13を有している。このH2 パージライン13は,H2 /He混合ガスによるパージラインとしても良い。また触媒粒子測定装置1は,キャリアガスラインであるHeガスライン14および,測定ガスラインであるCOガスライン15を有している。さらに,Heガスライン14は分流路16を有し,分流路16とCOガスライン15との間には,6ポートバルブ17が設けられている。さらに,この触媒粒子測定装置1の全体をを制御する制御部18を有している。 各パージガスラインは,Heガスライン14に合流されている。CO2 パージライン11の合流点21と,O2 パージライン12の合流点22と,H2 パージライン13の合流点23とは,分流路16の合流点24より上流側に設けられている。合流点24の下流側には,試料を入れるU字管25およびTCD検出器26が直列に接続されている。また,各ガスライン(CO2 パージライン11,O2 パージライン12,H2 パージライン13,Heガスライン14,COガスライン15)の基部には,それぞれ開閉弁31〜35が設けられている。さらに,Heガスライン14の分流路16への分流点より下流側には,開閉弁36が設けられている。 このうち,6ポートバルブ17は,外部に開口した6ポートのうち互いに隣り合う2ポートずつが内部で接続され,流通されているガスがその接続部分に所定量貯留されるようになっている。このバルブの切り換えにより,別の流通路に,その貯留された所定量のガスを流入させることができる。従って,この6ポートバルブ17を回転させることにより,COガスを断続的な所定量のパルス状として供給することができる。また,U字管25には加熱機能がある。また,TCD検出器26は,一般的な熱伝導度検出器であり,通過するガス中のCOガスおよびCO2 ガス量の合計を測定することができる。このTCD検出器26では,COガスとCO2 ガスとが区別されずに検出される。 制御部18は,6ポートバルブ17,U字管25,TCD検出器26,および,各開閉弁31〜36を制御する。すなわち,各開閉弁31〜36を開閉して,U字管25へ流入するガスの種類や量を制御する。また,6ポートバルブ17を制御して,COガスのパルス量や間隔を制御する。さらに,U字管25の温度を制御する。また,TCD検出器26の検出結果を受けて,通過したCOガスおよびCO2 ガス量や定常値との差およびその積算量を算出する。一般的なCOパルス法ではCO2 ガスは混入しないので,この検出結果はCOガスのみの量であると見なして良い。 この触媒粒子測定装置1による触媒によるCO吸着量の測定方法の例を,図2に示す。この測定方法では,COパルス法による測定の前に,O2 ガスによる酸化処理,H2 ガスによる還元処理,CO2 処理の各工程を含んでいる。また,測定対象となる触媒を所定重量分だけ量り取ってペレットに形成し,すべての開閉弁31〜36を閉じた状態でU字管25に入れておく。 この測定方法が開始されるとまず,開閉弁34,36を開いてU字管25にHeガスを流しながら,400℃まで昇温する(工程1)。次に,開閉弁32を開いてO2 ガスを流すことにより試料を酸化し,吸着されている有機分子を除去する(工程2)。次に,開閉弁32を閉じて管内をHeガスで置換する(工程3)。次に,開閉弁33を開いてH2 ガスを流し,試料中の貴金属粒子を還元する(工程4)。次に,開閉弁33を閉じてHeガスで置換しつつ,室温まで冷却する(工程5)。ここまでが前処理工程である。 次に,室温で開閉弁31を開き,試料にCO2 ガスを流す。所定量のCO2 ガスを流したら,開閉弁31を閉じてHeガスで置換する(工程6)。次に,開閉弁36を閉じて開閉弁35を開き,6ポートバルブ17を回転させて試料にパルス状にCOガスを送り込む。同時に,出力ガス中のCOおよびCO2 量をTCD検出器26で検出する(工程7)。このTCD検出器26による検出結果から,制御部18によって試料によるCOガスの吸着量が求められる。その理由を以下に示す。 セリアにおいては,その成分であるセリウムが複数通りの酸化数を取り得るため,酸素を吸収あるいは放出する性質がある。そのため,セリアを含む担体を有する触媒では,COパルス法によって供給されたCOが,この放出された酸素によって酸化されてCO2 となることは防止できない。しかし,この測定方法では,COパルス法を行う前に,CO2 ガスによる処理工程が挿入されている。これにより,担体にセリア等を含むものにおいては,その担体のCO2 ガス吸着サイトが被毒される。従って,その生成されたCO2 がセリア担体に吸着されることは防止されている。 一方,TCD検出器26ではCOガスとCO2 ガスとの合計量が検出される。これは,COガスのまま流出された量とセリアによって酸化されてCO2 ガスとなって流出された量との合計量であり,触媒に吸着されずに残ったCOガス量に相当する。すなわち,工程7で検出される出力ガス中のCOおよびCO2 量は,図5で示した測定ガスの流出量に相当している。従って,通常と同様に定常値からこの検出量を減算して累積することにより,触媒粒子によるCOガスの吸着量が得られる。これにより,触媒粒子によるCO吸着量が正確に測定できる測定方法となっている。 また,得られたCOガスの吸着量から,公知の算出式によって,触媒に含まれる貴金属の分散度や粒径を算出することもできる。さらに,上記の測定方法では,具体的な流量等の条件や各工程の順序は適宜変更して実施しても良い。例えば,酸化工程は省略してもよい。また,酸化あるいは還元の各工程と同時に昇温することもできる。また,工程5のHe置換は冷却の後で行っても良い。 以上詳細に説明したように,本形態の触媒粒子測定装置1によれば,COパルス法の前処理としてCO2 ガスによる処理を行うことができるので,担体としてセリアを含む触媒においても,セリアによるCOガスの消費が防止される。従って,セリア等を含む担体上に担持された貴金属粒子の状態をCOパルス法を用いて正確に測定することができる触媒粒子測定方法を実施できる触媒粒子測定装置1となっている。 「第2の形態」 以下,本発明を具体化した第2の形態について説明する。本形態では,第1の形態と同様の触媒粒子測定装置1を使用し,その測定方法は,第1の形態に1工程追加したものである。 本形態による測定方法では,図3に示すように,第1の形態の工程6を,工程6Aと工程6Bとの2工程からなるものに変更する。工程6Aは,第1の形態の工程6と同様であり,室温で開閉弁31を開き,試料にCO2 ガスを流す工程である。また,工程6Bは,開閉弁31を閉じて開閉弁33を開き,室温でH2 ガスを流す工程である。 触媒粒子として白金を使用した場合には,工程6Aによってその粒子表面にCO2 が吸着される場合がある。CO2 が吸着している白金粒子には,COが吸着しにくい。そのため,CO吸着量がその分小さく検出されるおそれがある。また,この白金粒子に吸着したCO2 は,室温で容易に還元される一方,担体に含まれるセリアは室温では容易に還元されないことも分かった。そこで,工程6Bとして,室温での酸化・還元工程を追加することにより,白金粒子は還元され,セリアは還元されていない状態を得ることができる。 本形態では,この工程6Bを加えたことにより,白金粒子表面にCO2 が吸着しないので,白金粒子によるCOガス吸着量がより正確に測定される。従って,本形態においても,第1の形態と同様に,セリア等を含む担体上に担持された貴金属粒子の状態をCOパルス法を用いて正確に測定することができる触媒粒子測定方法を実施できる触媒粒子測定装置1となっている。 なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。 次に,第1の形態の触媒測定方法によって,セリア担体にPtを1wt%または5wt%担持した触媒のPt分散度を測定した。試料としては,Pt5wt%/CeO2 およびPt1wt%/CeO2 を100mgずつ用いた。工程1〜工程3は省略し,工程4において,20%H2 /Heガスを40ml/minで流しながら10℃/minで昇温し,400℃で10分間保った。次に,工程5で5分間Heで置換し,He中で室温まで冷却した。ここでは室温として25℃程度とした。 次に,工程6で,室温でCO2 ガスを5分間流通させ,さらにHe置換した。このような前処理をした後で,工程7でCOパルス法によるCO吸着量の測定を行った。具体的には,0.224mlのCOガスを6分おきにパルスして,定常値に達した後,さらに2回パルスした。 比較例として,同一の試料に対し,工程6を除いてそれ以外は同一の工程による測定を行った。本実施例と比較例とのPt分散度算出結果を,図4のグラフに示す。この図から分かるように,いずれの試料においても,Ptの分散度は,実施例の方が比較例より5〜15%程度低く算出された。すなわち,比較例では担体によるCOガスの消費があるため,分散度が高めに出てしまっていると考えられる。従って,本実施例では,より現実に近い分散度が算出されていることが分かった。本形態の測定装置の概略構成図である。第1の形態の測定方法の概略工程図である。第2の形態の測定方法の概略工程図である。本形態の測定方法と従来の測定方法とによる測定結果を比較したグラフである。パルス法による測定結果の例を示す説明図である。符号の説明 1 触媒粒子測定装置(COパルス法を用いる触媒粒子測定装置) 11 CO2 パージライン(CO2 ガス供給ライン) 12 O2 パージライン(酸化ガス供給ライン) 13 H2 パージライン(還元ガス供給ライン) 14 Heガスライン(キャリアガス供給ライン) 15 COガスライン(COガス供給ライン) 17 6ポートバルブ(断続装置) 18 制御部 25 U字管(容器) 26 TCD検出器(ガス成分検出装置)担持体と触媒粒子とを含むサンプル中の触媒粒子の状態をCOパルス法により測定する触媒粒子測定方法において, 容器中に収容されたサンプルに酸化処理および還元処理を含む前処理を施し, 前処理後に容器中にCO2 ガスを供給し, 容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってからCOパルス法を実施することを特徴とするCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法。請求項1に記載のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法において, 担持体がセリアを含み触媒粒子が白金粒子であるサンプルを対象とし, 容器中へのCO2 ガスの供給を70℃以下の温度で行い, 容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから容器中にH2 ガスを供給し, 容器中へのH2 ガスの供給を絶ってからCOパルス法を実施することを特徴とするCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法。担持体と触媒粒子とを含むサンプル中の触媒粒子の状態をCOパルス法により測定する触媒粒子測定装置において, サンプルを収容する容器と, 前記容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給ラインと, 前記容器内に酸化ガスを供給する酸化ガス供給ラインと, 前記容器内に還元ガスを供給する還元ガス供給ラインと, 前記容器内にCOガスを供給するCOガス供給ラインと, 前記容器内にCO2 ガスを供給するCO2 ガス供給ラインと, 前記COガス供給ラインによるCOガスの供給を断続させる断続装置と, 前記容器からの排出ガス中のCOガス成分を検出するガス成分検出装置とを有することを特徴とするCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置。請求項3に記載のCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置において, 前記各ガス供給ラインによる前記容器内へのガス供給を制御する制御部を有し, 前記制御部は, 前記酸化ガス供給ラインと前記還元ガス供給ラインとを用いて前記容器内のサンプルに酸化処理および還元処理を含む前処理を施し, 前処理後に前記容器中に前記CO2 ガス供給ラインからCO2 ガスを供給し, 前記容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから前記容器中に前記COガス供給ラインからCOガスをパルス状に供給することを特徴とするCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置。請求項4に記載のCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置において, 前記容器は加熱機能を有するものであり, 前記還元ガス供給ラインは前記容器内にH2 ガスを供給するものであり, 前記制御部は, 前処理後に前記容器の温度が70℃以下に下がってから前記容器中にCO2 ガスを供給し, 前記容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから前記容器中に前記還元ガス供給ラインからH2 ガスを供給し, 前記容器中へのH2 ガスの供給を絶ってから前記容器中へのCOガスのパルス状の供給を行うことを特徴とするCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置。


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特許公報(B2)_COパルス法を用いた触媒粒子測定方法およびその装置

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_COパルス法を用いた触媒粒子測定方法およびその装置
出願番号:2004092763
年次:2009
IPC分類:G01N 31/10,G01N 31/00


特許情報キャッシュ

金沢 孝明 松本 伸一 江口 浩一 菊地 隆司 竹口 竜弥 JP 4208249 特許公報(B2) 20081031 2004092763 20040326 COパルス法を用いた触媒粒子測定方法およびその装置 トヨタ自動車株式会社 000003207 岡戸 昭佳 100105751 富澤 孝 100097009 山中 郁生 100098431 国立大学法人京都大学 504132272 金沢 孝明 松本 伸一 江口 浩一 菊地 隆司 竹口 竜弥 20090114 G01N 31/10 20060101AFI20081218BHJP G01N 31/00 20060101ALI20081218BHJP JPG01N31/10G01N31/00 Y G01N 31/00−G01N 31/22 JSTPlus(JDreamII) 国際公開第01/015805(WO,A1) 特開2003−024783(JP,A) 特開2003−245554(JP,A) 特開2003−275588(JP,A) 国際公開第01/079835(WO,A1) 真辺 俊介 他,担持貴金属触媒の貴金属粒子径評価法の検討,第93回触媒討論会 討論会A予稿集,2004年 3月30日,Vol.93rd,p.60 5 2005283129 20051013 10 20060713 白形 由美子 本発明は,担持体とそれに担持された貴金属とよりなる触媒粒子の状態をCOパルス法を用いて測定する触媒粒子測定方法およびその装置に関する。 従来より,貴金属をセラミックス等の担持体に担持させた各種の触媒が,様々な分野で多く用いられている。貴金属としては,例えば,白金(Pt),パラジウム(Pd),ロジウム(Rh)等が,また担持体としては,例えば,セリア,ジルコニア,アルミナ等が用いられる。特に,自動車用の高活性・高耐熱性を有する触媒として,セリアとアルミナとの複合酸化物粉末を含む担体と,その担体に担持された貴金属とよりなる触媒が提案されている(例えば,特許文献1参照。)。 触媒の評価方法の1つとして,従来より,例えばパルス法による吸着量の測定が行われている。パルス法とは,吸着させる測定ガスをパルス状にしてキャリアガスに混入させて試料に流し,出力ガス中の測定ガス量を検出する方法である。図5に示すように,初めの1〜2回のパルス分は試料に吸着されるため,測定ガスの流出量は供給量より少ない。この図で,破線で示したのが供給ガス量であり,実線で示したのが検出ガス量である。この図に示すように,検出ガス量はやがて,供給ガス量よりやや小さい値で一定となる。この一定となった定常値とそれまでの流出量との差を合計することにより,試料に吸着された測定ガスの量を求めることができる。 このパルス法としては,測定ガスの種類によってCO吸着法,水素吸着法,酸素吸着法,H2−O2滴定法等がある。またパルス法は,測定が簡便であり,非定常な測定や,実際に近い条件での測定が可能であるという利点があり,広く用いられている。また,このパルス法等によるガス吸着量の測定結果から,担持されている金属の分散度および粒子径を算出することもできる。一般に,金属原子がその一部でも表面に露出していれば,ガスを吸着可能であると考えて,ガス吸着量と貴金属の担持量とからその分散度を算出する。特開2003−24783号公報 しかしながら,担体にセリア等の酸素収蔵能を有するものを含む触媒においては,上記のCOパルス法等の測定方法によってはその触媒の状態を正確に評価することができないという問題点があった。このような触媒のガス吸着量を上記の従来の方法で測定すると,使用する測定ガス種によって異なる結果となり,例えばCOパルス法では吸着量が非常に大きく出てしまうのである。これは,担体によっても,COガスが消費されているためであると予想される。しかも,このガス吸着量は,担持させる貴金属の種類に依存するため,担体による消費量を単に減ずるだけでは,正確な評価ができないことも分かった。これらから,セリア等の酸素収蔵能を有するものを含む担体とその担体に担持された貴金属等の触媒粒子とを含むサンプルでも,その触媒粒子の状態を正確に測定できる測定手法の確立が課題となっていた。 本発明は,前記した従来の触媒測定方法が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,セリア等を含む担体上に担持された貴金属粒子の状態をCOパルス法を用いて正確に測定することのできる触媒粒子測定方法およびその装置を提供することにある。 この課題の解決を目的としてなされた本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法は,担持体と触媒粒子とを含むサンプル中の触媒粒子の状態をCOパルス法により測定する触媒粒子測定方法であって,容器中に収容されたサンプルに酸化処理および還元処理を含む前処理を施し,前処理後に容器中にCO2 ガスを供給し,容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってからCOパルス法を実施するものである。 本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法によれば,酸化処理および還元処理を含む前処理を施した後のサンプルにCO2 ガスを供給している。本発明者らは,担体によるCOガスの消費は,COガスのまま担体に吸着されるのではなく,次の過程を経て行われていることを見いだした。すなわち,供給されたCOガスが,担体の酸素収蔵能によって酸化されてCO2 ガスとなり,このCO2 ガスが担体の吸着サイトに吸着されるのである。そこで,COパルス法を実施する前に,サンプルにCO2 ガスを供給することにより,担体のCO2 ガス吸着サイトが被毒される。これにより,COパルス法を実施するときには,担体によるCOガスの消費が防止される。 さらに,本発明では,担持体がセリアを含み触媒粒子が白金粒子であるサンプルを対象とし,容器中へのCO2 ガスの供給を70℃以下の温度で行い,容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから容器中にH2 ガスを供給し,容器中へのH2 ガスの供給を絶ってからCOパルス法を実施することが望ましい。 このようにすれば,容器中へのCO2 ガスの供給によって触媒粒子の表面にCO2 ガスが吸着した場合でも,H2 ガスを供給することによって還元される。このとき,CO2 ガスの供給やH2 ガスの供給を70℃以下の温度で行うので,サンプルのうち担体では,CO2 ガス吸着サイトが被毒された状態が保たれる。一方,触媒粒子では,吸着したCO2 ガスがH2 ガスによって還元され,きれいな状態となる。 また,この課題の解決を目的としてなされた本発明のCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置は,担持体と触媒粒子とを含むサンプル中の触媒粒子の状態をCOパルス法により測定する触媒粒子測定装置であって,サンプルを収容する容器と,容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給ラインと,容器内に酸化ガスを供給する酸化ガス供給ラインと,容器内に還元ガスを供給する還元ガス供給ラインと,容器内にCOガスを供給するCOガス供給ラインと,容器内にCO2 ガスを供給するCO2 ガス供給ラインと,COガス供給ラインによるCOガスの供給を断続させる断続装置と,容器からの排出ガス中のCOガス成分を検出するガス成分検出装置とを有するものである。 本発明のCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置によれば,容器に収納されたサンプルに対し,キャリアガス供給ラインによってキャリアガスを供給することができる。さらに,キャリアガスに混入させて,酸化ガス供給ラインによって酸化ガスを供給することにより,サンプルを酸化させることができる。また,キャリアガスに混入させて,還元ガス供給ラインによって還元ガスを供給することにより,サンプルを還元させることができる。さらに,COガス供給ラインと断続装置とによって,サンプルにパルス状のCOガスを供給して,COパルス法を実施できる。さらに,CO2 ガス供給ラインによって,サンプルに含まれる担体のCO2 ガス吸着サイトを被毒することができる。従って,このCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置によれば,本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法を実施することができる。 さらに,本発明では,各ガス供給ラインによる容器内へのガス供給を制御する制御部を有し,制御部は,酸化ガス供給ラインと還元ガス供給ラインとを用いて容器内のサンプルに酸化処理および還元処理を含む前処理を施し,前処理後に容器中にCO2 ガス供給ラインからCO2 ガスを供給し,容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから容器中にCOガス供給ラインからCOガスをパルス状に供給することが望ましい。 このようにすれば,本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法を実施することができる。 さらに,本発明では,容器は加熱機能を有するものであり,還元ガス供給ラインは容器内にH2 ガスを供給するものであり,制御部は,前処理後に容器の温度が70℃以下に下がってから容器中にCO2 ガスを供給し,容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから容器中に還元ガス供給ラインからH2 ガスを供給し,容器中へのH2 ガスの供給を絶ってから容器中へのCOガスのパルス状の供給を行うことが望ましい。 このようにすれば,本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法を実施することができ,さらに,触媒粒子の表面に吸着したCO2 ガスの影響を取り除くことができる。 本発明のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法およびその装置によれば,セリア等を含む担体上に担持された貴金属粒子の状態をCOパルス法を用いて正確に測定することができる。 「第1の形態」 以下,本発明を具体化した第1の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,COパルス法の改良であり,セリアを含む担体上に白金等の貴金属粒子を担持させた触媒について,その触媒粒子の状態を測定するのに適した触媒粒子測定装置である。 本形態の触媒粒子測定装置1は,図1にその概略を示すように,一般的なCOパルス法測定装置に,CO2 パージライン11を追加したものである。すなわち,パージガスラインとして,CO2 パージライン11,O2 パージライン12,H2 パージライン13を有している。このH2 パージライン13は,H2 /He混合ガスによるパージラインとしても良い。また触媒粒子測定装置1は,キャリアガスラインであるHeガスライン14および,測定ガスラインであるCOガスライン15を有している。さらに,Heガスライン14は分流路16を有し,分流路16とCOガスライン15との間には,6ポートバルブ17が設けられている。さらに,この触媒粒子測定装置1の全体をを制御する制御部18を有している。 各パージガスラインは,Heガスライン14に合流されている。CO2 パージライン11の合流点21と,O2 パージライン12の合流点22と,H2 パージライン13の合流点23とは,分流路16の合流点24より上流側に設けられている。合流点24の下流側には,試料を入れるU字管25およびTCD検出器26が直列に接続されている。また,各ガスライン(CO2 パージライン11,O2 パージライン12,H2 パージライン13,Heガスライン14,COガスライン15)の基部には,それぞれ開閉弁31〜35が設けられている。さらに,Heガスライン14の分流路16への分流点より下流側には,開閉弁36が設けられている。 このうち,6ポートバルブ17は,外部に開口した6ポートのうち互いに隣り合う2ポートずつが内部で接続され,流通されているガスがその接続部分に所定量貯留されるようになっている。このバルブの切り換えにより,別の流通路に,その貯留された所定量のガスを流入させることができる。従って,この6ポートバルブ17を回転させることにより,COガスを断続的な所定量のパルス状として供給することができる。また,U字管25には加熱機能がある。また,TCD検出器26は,一般的な熱伝導度検出器であり,通過するガス中のCOガスおよびCO2 ガス量の合計を測定することができる。このTCD検出器26では,COガスとCO2 ガスとが区別されずに検出される。 制御部18は,6ポートバルブ17,U字管25,TCD検出器26,および,各開閉弁31〜36を制御する。すなわち,各開閉弁31〜36を開閉して,U字管25へ流入するガスの種類や量を制御する。また,6ポートバルブ17を制御して,COガスのパルス量や間隔を制御する。さらに,U字管25の温度を制御する。また,TCD検出器26の検出結果を受けて,通過したCOガスおよびCO2 ガス量や定常値との差およびその積算量を算出する。一般的なCOパルス法ではCO2 ガスは混入しないので,この検出結果はCOガスのみの量であると見なして良い。 この触媒粒子測定装置1による触媒によるCO吸着量の測定方法の例を,図2に示す。この測定方法では,COパルス法による測定の前に,O2 ガスによる酸化処理,H2 ガスによる還元処理,CO2 処理の各工程を含んでいる。また,測定対象となる触媒を所定重量分だけ量り取ってペレットに形成し,すべての開閉弁31〜36を閉じた状態でU字管25に入れておく。 この測定方法が開始されるとまず,開閉弁34,36を開いてU字管25にHeガスを流しながら,400℃まで昇温する(工程1)。次に,開閉弁32を開いてO2 ガスを流すことにより試料を酸化し,吸着されている有機分子を除去する(工程2)。次に,開閉弁32を閉じて管内をHeガスで置換する(工程3)。次に,開閉弁33を開いてH2 ガスを流し,試料中の貴金属粒子を還元する(工程4)。次に,開閉弁33を閉じてHeガスで置換しつつ,室温まで冷却する(工程5)。ここまでが前処理工程である。 次に,室温で開閉弁31を開き,試料にCO2 ガスを流す。所定量のCO2 ガスを流したら,開閉弁31を閉じてHeガスで置換する(工程6)。次に,開閉弁36を閉じて開閉弁35を開き,6ポートバルブ17を回転させて試料にパルス状にCOガスを送り込む。同時に,出力ガス中のCOおよびCO2 量をTCD検出器26で検出する(工程7)。このTCD検出器26による検出結果から,制御部18によって試料によるCOガスの吸着量が求められる。その理由を以下に示す。 セリアにおいては,その成分であるセリウムが複数通りの酸化数を取り得るため,酸素を吸収あるいは放出する性質がある。そのため,セリアを含む担体を有する触媒では,COパルス法によって供給されたCOが,この放出された酸素によって酸化されてCO2 となることは防止できない。しかし,この測定方法では,COパルス法を行う前に,CO2 ガスによる処理工程が挿入されている。これにより,担体にセリア等を含むものにおいては,その担体のCO2 ガス吸着サイトが被毒される。従って,その生成されたCO2 がセリア担体に吸着されることは防止されている。 一方,TCD検出器26ではCOガスとCO2 ガスとの合計量が検出される。これは,COガスのまま流出された量とセリアによって酸化されてCO2 ガスとなって流出された量との合計量であり,触媒に吸着されずに残ったCOガス量に相当する。すなわち,工程7で検出される出力ガス中のCOおよびCO2 量は,図5で示した測定ガスの流出量に相当している。従って,通常と同様に定常値からこの検出量を減算して累積することにより,触媒粒子によるCOガスの吸着量が得られる。これにより,触媒粒子によるCO吸着量が正確に測定できる測定方法となっている。 また,得られたCOガスの吸着量から,公知の算出式によって,触媒に含まれる貴金属の分散度や粒径を算出することもできる。さらに,上記の測定方法では,具体的な流量等の条件や各工程の順序は適宜変更して実施しても良い。例えば,酸化工程は省略してもよい。また,酸化あるいは還元の各工程と同時に昇温することもできる。また,工程5のHe置換は冷却の後で行っても良い。 以上詳細に説明したように,本形態の触媒粒子測定装置1によれば,COパルス法の前処理としてCO2 ガスによる処理を行うことができるので,担体としてセリアを含む触媒においても,セリアによるCOガスの消費が防止される。従って,セリア等を含む担体上に担持された貴金属粒子の状態をCOパルス法を用いて正確に測定することができる触媒粒子測定方法を実施できる触媒粒子測定装置1となっている。 「第2の形態」 以下,本発明を具体化した第2の形態について説明する。本形態では,第1の形態と同様の触媒粒子測定装置1を使用し,その測定方法は,第1の形態に1工程追加したものである。 本形態による測定方法では,図3に示すように,第1の形態の工程6を,工程6Aと工程6Bとの2工程からなるものに変更する。工程6Aは,第1の形態の工程6と同様であり,室温で開閉弁31を開き,試料にCO2 ガスを流す工程である。また,工程6Bは,開閉弁31を閉じて開閉弁33を開き,室温でH2 ガスを流す工程である。 触媒粒子として白金を使用した場合には,工程6Aによってその粒子表面にCO2 が吸着される場合がある。CO2 が吸着している白金粒子には,COが吸着しにくい。そのため,CO吸着量がその分小さく検出されるおそれがある。また,この白金粒子に吸着したCO2 は,室温で容易に還元される一方,担体に含まれるセリアは室温では容易に還元されないことも分かった。そこで,工程6Bとして,室温での酸化・還元工程を追加することにより,白金粒子は還元され,セリアは還元されていない状態を得ることができる。 本形態では,この工程6Bを加えたことにより,白金粒子表面にCO2 が吸着しないので,白金粒子によるCOガス吸着量がより正確に測定される。従って,本形態においても,第1の形態と同様に,セリア等を含む担体上に担持された貴金属粒子の状態をCOパルス法を用いて正確に測定することができる触媒粒子測定方法を実施できる触媒粒子測定装置1となっている。 なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。 次に,第1の形態の触媒測定方法によって,セリア担体にPtを1wt%または5wt%担持した触媒のPt分散度を測定した。試料としては,Pt5wt%/CeO2 およびPt1wt%/CeO2 を100mgずつ用いた。工程1〜工程3は省略し,工程4において,20%H2 /Heガスを40ml/minで流しながら10℃/minで昇温し,400℃で10分間保った。次に,工程5で5分間Heで置換し,He中で室温まで冷却した。ここでは室温として25℃程度とした。 次に,工程6で,室温でCO2 ガスを5分間流通させ,さらにHe置換した。このような前処理をした後で,工程7でCOパルス法によるCO吸着量の測定を行った。具体的には,0.224mlのCOガスを6分おきにパルスして,定常値に達した後,さらに2回パルスした。 比較例として,同一の試料に対し,工程6を除いてそれ以外は同一の工程による測定を行った。本実施例と比較例とのPt分散度算出結果を,図4のグラフに示す。この図から分かるように,いずれの試料においても,Ptの分散度は,実施例の方が比較例より5〜15%程度低く算出された。すなわち,比較例では担体によるCOガスの消費があるため,分散度が高めに出てしまっていると考えられる。従って,本実施例では,より現実に近い分散度が算出されていることが分かった。本形態の測定装置の概略構成図である。第1の形態の測定方法の概略工程図である。第2の形態の測定方法の概略工程図である。本形態の測定方法と従来の測定方法とによる測定結果を比較したグラフである。パルス法による測定結果の例を示す説明図である。符号の説明 1 触媒粒子測定装置(COパルス法を用いる触媒粒子測定装置) 11 CO2 パージライン(CO2 ガス供給ライン) 12 O2 パージライン(酸化ガス供給ライン) 13 H2 パージライン(還元ガス供給ライン) 14 Heガスライン(キャリアガス供給ライン) 15 COガスライン(COガス供給ライン) 17 6ポートバルブ(断続装置) 18 制御部 25 U字管(容器) 26 TCD検出器(ガス成分検出装置)担持体と触媒粒子とを含むサンプル中の触媒粒子の状態をCOパルス法により測定する触媒粒子測定方法において, 容器中に収容されたサンプルに酸化処理および還元処理を含む前処理を施し, 前処理後に容器中にCO2 ガスを供給し, 容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってからCOパルス法を実施することを特徴とするCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法。請求項1に記載のCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法において, 担持体がセリアを含み触媒粒子が白金粒子であるサンプルを対象とし, 容器中へのCO2 ガスの供給を70℃以下の温度で行い, 容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから容器中にH2 ガスを供給し, 容器中へのH2 ガスの供給を絶ってからCOパルス法を実施することを特徴とするCOパルス法を用いた触媒粒子測定方法。担持体と触媒粒子とを含むサンプル中の触媒粒子の状態をCOパルス法により測定する触媒粒子測定装置において, サンプルを収容する容器と, 前記容器内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給ラインと, 前記容器内に酸化ガスを供給する酸化ガス供給ラインと, 前記容器内に還元ガスを供給する還元ガス供給ラインと, 前記容器内にCOガスを供給するCOガス供給ラインと, 前記容器内にCO2 ガスを供給するCO2 ガス供給ラインと, 前記COガス供給ラインによるCOガスの供給を断続させる断続装置と, 前記容器からの排出ガス中のCOガス成分を検出するガス成分検出装置とを有することを特徴とするCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置。請求項3に記載のCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置において, 前記各ガス供給ラインによる前記容器内へのガス供給を制御する制御部を有し, 前記制御部は, 前記酸化ガス供給ラインと前記還元ガス供給ラインとを用いて前記容器内のサンプルに酸化処理および還元処理を含む前処理を施し, 前処理後に前記容器中に前記CO2 ガス供給ラインからCO2 ガスを供給し, 前記容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから前記容器中に前記COガス供給ラインからCOガスをパルス状に供給することを特徴とするCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置。請求項4に記載のCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置において, 前記容器は加熱機能を有するものであり, 前記還元ガス供給ラインは前記容器内にH2 ガスを供給するものであり, 前記制御部は, 前処理後に前記容器の温度が70℃以下に下がってから前記容器中にCO2 ガスを供給し, 前記容器中へのCO2 ガスの供給を絶ってから前記容器中に前記還元ガス供給ラインからH2 ガスを供給し, 前記容器中へのH2 ガスの供給を絶ってから前記容器中へのCOガスのパルス状の供給を行うことを特徴とするCOパルス法を用いる触媒粒子測定装置。


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