タイトル: | 公開特許公報(A)_イソボルニルアクリルアミドの製造法 |
出願番号: | 2004087249 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C07C231/06,C07C233/09,C07B61/00 |
橋本 智尊 沖高 勲 JP 2005272344 公開特許公報(A) 20051006 2004087249 20040324 イソボルニルアクリルアミドの製造法 株式会社興人 000142252 橋本 智尊 沖高 勲 7C07C231/06C07C233/09C07B61/00 JPC07C231/06C07C233/09 BC07B61/00 300 2 OL 4 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC53 4H006BA72 4H006BE60 4H006BJ30 4H006BV35 4H039CA71 4H039CF10 本発明は、インキ、塗料、接着剤などの原料として有用なイソボルニルアクリルアミドの製造法に関する。 従来より、アクリロニトリルとオレフィンあるいはアルコールを濃硫酸、ルイス酸等の存在下反応してN−置換アクリルアミドを製造することは公知であり、種々の化合物が報告されている(例えば特許文献1)。イソボルニルアクリルアミドについても、非特許文献1には、酢酸溶媒中濃硫酸の存在下、アクリロニトリルとカンフェンとを反応し、収率49%で目的物が得られたことが開示されている。しかしながら、これら濃硫酸等を使用する方法は、中和処理等を必要とし、目的物の単離に煩雑な操作が必要となるばかりでなく、オレフィン、アルコールの種類によっては目的物の収率も十分に満足すべきものではなかった。 そこで、濃硫酸、ルイス酸等に代えて、固体触媒、特に強酸性陽イオン交換樹脂を使用する方法が検討され、特許文献2には、アクリロニトリルとアルコールからN−置換アクリルアミドが製造できることが記載されている。この方法によると、反応終了後、触媒を濾過により除去し、濾液を蒸留あるいは結晶化して目的物を単離できるので極めて簡便な製法である。しかしながらこれら報告では、使用されるアルコールとしては比較的反応性の高い2級あるいは3級アルコールに限られており、オレフィンの使用については全く検討されていない。 一方、カンフェンを強酸性陽イオン交換樹脂を用いてイソボルニル誘導体に変換した例も報告があり、例えば、特許文献3には、カンフェンとアクリル酸とからイソボルニルアクリレートを合成した例が記載されている。しかしながら、酸にかえてニトリルが使用できることについては全く開示がない。例えば、特公平3−9898号公報特開平11−209329号公報、同11−279131号公報特開平9−20719号公報Bull.Chem.Soc.Jpn.1970 43 1252 従って、本発明は、濃硫酸等の使用やその中和による塩排水の発生などに伴う大量の廃棄物処理対策を必要としない、高収率で簡便な、イソボルニル(メタ)アクリルアミドの工業的に有利な製造法を提供することを課題とする。 本発明は、強酸性陽イオン交換樹脂と水の存在下で反応を実施することを最も主要な特徴とする。 すなわち本発明は、(1)アクリロニトリルとカンフェンとを、強酸性陽イオン交換樹脂と水の存在下で反応させることを特徴とするイソボルニルアクリルアミドの製造法、(2)カンフェンと水のモル比が0.8〜1.2である、上記(1)記載のイソボルニルアクリルアミドの製造法、を提供するものである。 本発明によると、大量の廃棄物が発生することなく、高収率で簡便に、イソボルニルアクリルアミドを製造できる。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明において、アクリロニトリルとカンフェンとの反応は、強酸性陽イオン交換樹脂及び水の存在下実施される。 アクリロニトリルとカンフェンのモル比は、アクリロニトリル1.0モルに対して、カンフェンは0.1〜1.0モル程度が好ましい。カンフェンのモル比が0.1以下では生産性が低下し、1.0を超えると不純物の増加を招く。 本発明で使用される強酸性陽イオン交換樹脂は、スルホン酸基を有するスチレン、ジビニルベンゼン共重合体からなり、ポーラス型、ゲル型の何れでも良く、一般に市販されているものから任意に選ぶことができる。具体的には商品名アンバーリスト(ローム・アンド・ハース製)、商品名ダイヤイオン(三菱化学製)、商品名ダウエックス(ダウケミカル製)等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。またイオン交換基であるスルホン酸基がアルカリ塩型、例えばナトリウム塩型の場合は公知の方法で酸型にする必要がある。 強酸性陽イオン交換樹脂の使用量は、アクリロニトリル1.0モルに対して、5〜25g(乾燥重量)が好ましい。強酸性陽イオン交換樹脂の使用量が5gより少ないと十分な反応速度を得ることができず、一方、25gより多いと攪拌が困難になり、また樹脂中への吸着により収率の低下を招くので好ましくない。 一方、水は、アクリロニトリル1.0モルに対して0.08〜1.2モルが好ましいが、特に、カンフェン1.0モルに対して0.8〜1.2モルの範囲で使用することが望ましく、最も好ましくは等モルである。水の使用は必須であり、水を添加しないと目的物は生成せず、アクリロニトリルの重合物を主として与える。 水の比率が0.8より小さいと選択率の低下が顕著となり不純物の増加を招き、1.2より多いと十分な反応速度を得ることができない。 反応条件はアクリロニトリル、カンフェン、強酸性陽イオン交換樹脂及び水の比率等により異なるが、概ね、反応温度110〜160℃、反応時間1〜24時間の範囲が好ましい。 反応温度が110℃以下では反応が進行せず、160℃を超えるとアクリロニトリルの重合等の不純物の増加が顕著となる。 反応は、通常オートクレーブが使用される。また、重合禁止剤の使用は必須ではないが、公知の重合禁止剤を少量使用することが望ましい。 反応終了後、目的物は、触媒を濾過等で除去し反応液を減圧濃縮して得られた粗結晶を、有機溶媒、例えばシクロヘキサン等、で再結晶することにより、容易に単離される。 以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。実施例1 容量300mlステンレス製オートクレーブにアクリロニトリル53.1g(1.0mol)、カンフェン34.06g(0.25mol)、イオン交換水4.5g(0.25mol)、アンバーリスト15E(ローム・アンド・ハース製、乾燥)12.5g、フェノチアジン0.04gを加え、140℃で12時間攪拌下反応した。反応終了後、反応液を濾過することによりアンバーリストを濾別し、さらに樹脂を少量のメタノールで洗浄した。濾液および洗浄液を併せてガスクロマトグラフィー(パックドカラム、PEG−20M ジーエルサイエンス製)で分析することにより、カンフェン転化率及びイソボルニルアクリルアミド生成率(カンフェンベース)を求めた。 結果を表1に記載する。 また、濾液および洗浄液をエバポレーターで減圧留去し過剰のアクリロニトリルとメタノールを除去することにより、粗イソボルニルアクリルアミド43.6gを得た。これをシクロヘキサンで再結晶し、白色針状のイソボルニルアクリルアミドを得た(収率76.3%)。 融点:135−137℃ 標品との質量分析計および赤外線吸収スペクトルの比較により、その構造を確認した。実施例2〜5 表1に記載の条件で、実施例1と同様に反応を実施し(強酸性陽イオン交換樹脂:アンバーリスト15E)、ガスクロマトグラフィーで転化率、生成率を測定した。 結果を表1に示す実施例6 強酸性陽イオン交換樹脂をダイヤイオンRCP160H(三菱化学製、乾燥)に変更した以外はすべて実施例1と同様に反応を実施し、ガスクロマトグラフィーで転化率、生成率を測定した。 その結果、カンフェンの転化率は99.2%、イソボルニルアクリルアミドの生成率は86.5%であった。 以上説明してきたように、本発明によると、インキ、塗料、接着剤などの原料として有用なイソボルニルアクリルアミドが、簡便に、かつ高収率で製造できる。 アクリロニトリルとカンフェンとを、強酸性陽イオン交換樹脂と水の存在下で反応させることを特徴とするイソボルニルアクリルアミドの製造法。 カンフェンと水のモル比が0.8〜1.2である、請求項1記載のイソボルニルアクリルアミドの製造法。 【課題】インキ、塗料、接着剤などの原料として有用なイソボルニルアクリルアミドを、濃硫酸の使用やその中和による塩排水の発生などによる大量の廃棄物処理対策が必要ない、高収率で簡便な、工業的に有利な製造法を提供する。【解決手段】アクリロニトリルとカンフェンとを、強酸性陽イオン交換樹脂と水、好ましくは強酸性陽イオン交換樹脂をアクリロニトリル1.0モルに対して5〜25g、水をカンフェン1.0モルに対して0.8〜1.2モル、の存在下、110〜160℃、1〜24時間反応する。【選択図】なし