生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_二酸化窒素標準ガスの製造方法
出願番号:2004083136
年次:2005
IPC分類:7,G01N31/00,G01N1/00


特許情報キャッシュ

天谷 和夫 JP 2005265815 公開特許公報(A) 20050929 2004083136 20040322 二酸化窒素標準ガスの製造方法 天谷 和夫 593000764 角田 芳末 100122884 磯山 弘信 100113516 天谷 和夫 7G01N31/00G01N1/00 JPG01N31/00 HG01N31/00 ZG01N1/00 102D 2 1 OL 7 特許法第30条第1項適用申請有り 2G042 2G052 2G042BB07 2G042DA05 2G042EA01 2G042FA19 2G042FA20 2G052AA01 2G052AA02 2G052AA39 2G052AB07 2G052AD26 2G052AD42 2G052CA03 2G052CA20 2G052DA14 2G052EB11 2G052GA11 2G052HA02 2G052JA04 2G052JA09 本発明は、自動車排気ガスや、煙道排出ガスなどをはじめとする各種大気汚染物質の濃度測定に用いて好適な二酸化窒素(NO2 )標準ガスの製造方法に関する。 近年、大気ガス中の汚染物質の人体に与える影響が益々注目されている。大気中の汚染物質を計測する装置としては、汚染物質用の分析装置が各種提案されている。この分析装置は、大気中の汚染物質、すなわち一酸化炭素、二酸化硫黄や二酸化窒素(NO2 )などの濃度を計測するものであるが、これらの汚染物質は大気中に数ppmまでの低濃度、物質によっては数ppb以下という希薄な濃度であり、分析装置の零位や目盛りの校正を精度良く行う必要がある。 この分析装置の零位や目盛りを校正するために、一定の濃度を有する標準ガスが用いられている。標準ガスには、その校正の目的によって、分析装置の最小目盛値の校正に使用する零位調整標準ガス(ゼロガス)や、分析装置の測定レンジにおいて最大目盛付近の目盛値の校正に使用するスパンガスなどがある。 分析装置は、一旦標準ガスを用いて校正した後も、装置の電源電圧の変動や検出器などの経時的要因による変動などのため、ゼロ点及びスパン点も変動する可能性があることから、その使用前にゼロガスとスパンガスとを用いて校正を行う必要がある。したがって、連続的にかつ正確に環境汚染を計測するためには、分析装置は製造時及び使用中に、定期的に標準ガスを用いて校正を行うことが必要である。 更に、標準ガス自体も濃度に経時的変化を生じ易く、使用の際には適正な品質であることが求められる。このため、環境計測の適正化及び信頼性の確保を図るために、標準ガスの供給体系の整備がなされ、計量法計量標準供給制度(JCSS)に基づく標準ガスが認定業者により供給されている。 ところで、一酸化窒素NOや二酸化窒素NO2 の測定に使用する分析装置は、実際に使用するフルスケール(例えば0.02ppm)内濃度の標準ガスで校正を行うことが精度を保つ上で望ましい。しかしながら、特に二酸化窒素NO2 は、経時的変化を生じやすく、またボンベ内吸着等の問題もあるので、最も利用し易い容器詰めガスではなく、キャリブレータ(標準ガス発生装置)により発生させたものが多用されている。 このキャリブレータによる二酸化窒素標準ガスの製造方法としては、流量比混合(NO2 またはNOをゼロガスで希釈し、その流量比から濃度値を算出)、気相滴定(NO標準ガスをオゾンで酸化し、得られたNO2 を希釈する)、パーミエイション(パーミエイションチューブを用いて、チューブから浸透するNO2 を希釈する)、酸素酸化(NOガスを酸素で酸化し、得られたNO2 を希釈する)などの方法が挙げられる(例えば非特許文献1参照。)。 しかしながら、NO2 標準ガスとしては、現在でも未だに5ppm以上の濃度のものしか容器詰では得られていない(例えば非特許文献2参照。)。 したがって、環境測定用の低濃度測定器の検定に用いられる実用的な低濃度の標準ガスが完成されておらず、不正確な測定が行われている恐れがある。 なお、NO2 ガスの製造方法として、硝酸鉛固体を秤量して熱分解する方法が提案されている(例えば非特許文献3参照。)。 しかしながら、上述したような0.1ppm程度の希薄な濃度で、かつ1回の校正や検定に必要な小容量(10l程度)の二酸化窒素標準ガスは、確実に精度良く製造する技術が未だ確立されていないのが現状である。「通商産業省測定技術分科会報告」、社団法人産業公害防止協会、昭和52年2月20日発行、p.135「標準物質一覧(標準ガス)」、財団法人化学物質評価研究機構化学標準部門、[平成16年2月5日検索]、インターネット<URL:http://www.cerij.or.jp/ceri_jp/gyoumu/fr_hyoujyum.html>「窒素酸化物(環境汚染物質シリーズ)」、社団法人日本化学会編、丸善(株)、昭和52年11月25日発行、p.290 上述のキャリブレータによる二酸化窒素生成方法では、使用に当たっては、濃度安定性、流量計測の精度などの性能面や、希釈用ガス(ゼロガス)のブランク値についても注意が必要となり、また汚染物質の測定にあたり煩雑な作業が必要となるという不都合も生じる。 更に、容器詰ガスでは、上述したように最低濃度でも5ppm程度のものしか得られず、現在多く用いられているフルスケール0.1ppmの二酸化窒素測定器の検定を正確に行うことは困難である。 また、硝酸鉛を単に熱分解して二酸化窒素ガスを製造する場合、希薄な濃度のNO2 ガスを精度良く濃度を調整し、かつ少量製造することは難しいという問題がある。 これらの問題に鑑みて、本発明は、簡単な方法でまた精度良く二酸化窒素標準ガスを製造する方法を提案するものであり、また従来に比して極めて希薄な濃度の二酸化窒素標準ガスを製造することができる二酸化窒素標準ガスの製造方法を提供するものである。 上記課題を解決するため、本発明は、窒素化合物を非水溶媒に溶かした非水溶液を作製し、この非水溶液中の窒素化合物を熱分解することによって所望の濃度の二酸化窒素標準ガスを製造することを特徴とする。 また本発明は、上述の製造方法において、非水溶媒として、有機溶媒を用いることを特徴とする。 上述したように、本発明においては、二酸化窒素標準ガスを製造するにあたり、窒素化合物を非水溶媒に溶かした非水溶液を作製し、この非水溶液に含まれる微量の窒素化合物を熱分解するものである。 窒素化合物としては、加熱により定量的に分解し、二酸化窒素を定量的に発生するものが望ましく、例えば硝酸鉛を熱分解すると、下記の化学式(1)で示される熱分解が生じる。 Pb(NO3 )2 → PbO+2NO2 +(1/2)O2 ・・・(1) 特に、0.1ppm未満程度の極めて希薄な標準ガスを得ようとする場合は、溶媒にこのような窒素化合物を微量に溶かす方法を採ることによって、溶媒の重量と窒素化合物の重量を精度良く秤量すれば、比較的容易に希薄な濃度の二酸化窒素ガスを精度良く濃度を調整して製造することが可能となる。 ところが、この窒素化合物を水などの水溶液に溶かすと、加水分解が起こり、定量的な二酸化窒素ガスの発生が行われず、計算量の約80%程度しか二酸化窒素ガスを発生しない。 これに対し、本発明においては、上述したように非水溶媒、特にアルコール等の有機溶媒を溶媒として窒素化合物を溶かし、この非水溶液中の窒素化合物を加熱分解して二酸化窒素標準ガスを得るものであることから、希薄な濃度の二酸化窒素標準ガスを、精度良く確実に計算値通りの濃度に調整して製造することが可能となる。 すなわち、本発明によれば、簡単な方法でまた精度良く二酸化窒素標準ガスを製造することができ、従来に比して極めて希薄な濃度の二酸化窒素標準ガスを容易に製造することができる。 以下本発明による二酸化窒素標準ガスの製造方法を実施するための最良の形態の例を説明する。 図1は、本発明による二酸化窒素標準ガスの製造方法を実施するための製造装置の一例の概略構成図である。 本発明による二酸化窒素標準ガスの製造方法においては、窒素化合物を非水溶媒、例えば有機溶媒のアルコール等に溶かして非水溶液を作製し、この非水溶液中の窒素化合物を熱分解するものであるが、図1に示す製造装置においては、窒素化合物を非水溶媒に溶かした非水溶液を、非水溶液浸漬体9に浸漬して、この非水溶液浸漬体9を、装置の管体7に保持する構成とする。 この管体7は、石英ガラス管等より成り、例えばその周囲に電熱ヒーター等の加熱手段8が設けられる。そして管体7内の非水溶液浸漬体9から発生したNO2 ガスは、管体7にバルブ10等を介して気密に連結されるテトラバッグなどより成るNO2 標準ガス保持手段11に収容する構成とする。 また、管体7は、バルブ6を介してポンプ等の空気供給手段5に接続される。空気供給手段5には、空気取り入れ口1から導入される空気が、例えば空気中のNO2 ガスを除去するNO2 ガス除去手段2、ガスの総体積(積算流量)を測定する例えば湿式のガスメーター3、空気中の水分を除去する水分除去手段4などを介して取り入れられる構成とする。 次に、このような構成の製造装置において、NO2 標準ガスを製造する方法の一例について説明する。 先ず、窒素化合物として、加熱により定量的に分解して二酸化窒素ガスを定量的に発生する材料、例えば有機ニトロ化合物や硝酸鉛を用意する。そして、この窒素化合物と非水溶媒、例えばアルコールを予めその重量を精度良く秤量して、窒素化合物例えば硝酸鉛を所望の濃度をもって非水溶媒に溶かした非水溶液を作製する。 そしてこの非水溶液を、ロックウール等の非水溶液浸漬体9に所定量浸漬させる。 一方、空気取り入れ口1から矢印aで示すように空気を導入し、例えばソーダ灰中に空気を導入する構成のNO2 除去手段2において、空気中のNO2 ガスを除去しておく。 そして、正確な湿式のガスメーター3により空気総量を測定し、湿式ガスメーターから発生する水分を、シリカゲル又はソーダ灰等を入れた水分除去手段4により除去した後、空気供給手段5によって、管体7に空気を導入する。 管体7では、非水溶液浸漬体9を加熱して、非水溶液中の例えばPb(NO3 )2 を分解して一定量のNO2 ガスを発生させ、空気供給手段5により供給される空気とともに送り出し、所望の濃度をもってNO2 標準ガス保持手段11に収容させることができる。 以上の製造方法により製造した実施例及び溶媒として水を用いた比較例について説明する。(1)実施例 この例においては、窒素化合物として硝酸鉛、非水溶媒としてメチルアルコールを用いた。先ず、100mgの硝酸鉛Pb(NO3 )2 を、250mlのメチルアルコールに溶解した非水溶液を作製し、その0.1ml溶媒を、マイクロピペットに取って、ロックウールより成る非水溶液浸漬体にしみ込ませた。これを管体に保持し、電熱手段等の加熱手段によって硝酸鉛を熱分解し、発生したガスを希釈用空気と共にテドラバッグより成るNO2 標準ガス保持手段に収容した。(2)比較例 上述の実施例と同様の濃度をもつ硝酸鉛水溶液を作製し、電気炉により同様に加熱して、発生したガスをテドラバッグに収容した。 以上の実施例及び比較例により発生したガスを、発生直後にザルツマン式基準測定器に導入し、ザルツマン係数を0.84として発色の程度を比較した。発色の程度は、メチルアルコールを溶媒として用いた実施例が1.0であり、水を用いた比較例による場合は0.80であった。すなわち、実施例による場合は、ほぼ計算値(0.295ppm)の100%の重量の二酸化窒素ガスが得られた。 また、実施例により製造したガスをテドラバッグに収容し、財団法人化学物質評価研究機構においてケミルミ計により二酸化窒素の濃度を測定した。 測定にあたり、測定器を濃度0.4642ppmのNOガスでNOx レンジを校正したところ、濃度0.4642ppmでは数値926であった。上述の実施例によるテドラバッグに収容したガスの濃度をこの測定器により測定したところ、数値は533であった。すなわち、このガスの濃度は、 0.4642×(533/926)≒0.267(ppm)となる。これは、計算値の90.5%であったが、10%弱の二酸化窒素ガスは、テドラバッグ内に吸着されたものと予想できる。 すなわち、テドラバッグ内に保持する場合、吸着量を予測することによって、精度良く希薄な、かつ少量のNO2 標準ガスを提供することができる。 なお、この測定器においては、NOx ガスを校正したが、上記実施例により発生したガス中にNOが含まれていた場合、1時間程度の放置により殆どNO2 ガスに変化するため、濃度の測定値としては問題ない。 したがって、非水溶液を用いた本発明によるNO2 標準ガスは、より所望の低濃度をもって製造することができることがわかる。 以上説明したように、本発明により製造したNO2 ガスは、所望の希薄な濃度、例えば0.2ppm程度の濃度をもって製造することができ、また少量のNO2 標準ガスを簡単な方法をもって容易に製造することができた。 特に、非水溶媒としてアルコールを用いることによって、より簡単かつ確実に、またコストを増大させることなく、所望の希薄な濃度のNO2 標準ガスを製造することができた。 このように、本発明により簡単にかつ所望の希薄な濃度をもってNO2 標準ガスを製造することができることから、従来容器詰めガスでは得られなかった希薄な濃度の標準ガスを用いた分析装置の校正や検定を行うことが可能となり、その貢献する利益は極めて大きいものとなる。 なお、本発明は以上説明した例に限定されるものではなく、例えば窒素化合物として上述の硝酸鉛の他各種有機ニトロ化合物を用いるとか、非水溶媒としても各種の有機溶媒を用いることが可能であり、その他本発明製造方法を実現する製造装置の構成などにおいて、本発明構成を逸脱しない範囲で種々の変形、変更が可能であることはいうまでもない。本発明による二酸化窒素標準ガスの製造方法を実現する二酸化窒素標準ガス製造装置の一例の概略構成図である。符号の説明 1 空気取り入れ口 2 NO2 除去手段 3 ガスメーター 4 水分除去手段 5 空気供給手段 6 バルブ 7 管体 8 加熱手段 9 非水溶液浸漬体 10 バルブ 11 NO2 標準ガス保持手段 窒素化合物を非水溶媒に溶かした非水溶液を作製し、該非水溶液中の窒素化合物を熱分解することによって所望の濃度の二酸化窒素標準ガスを製造することを特徴とする二酸化窒素標準ガスの製造方法。 上記非水溶媒として、有機溶媒を用いることを特徴とする請求項1記載の二酸化窒素標準ガスの製造方法。 【課題】簡単な方法で精度良く二酸化窒素標準ガスを製造することができ、特に従来と比較して極めて希薄な濃度の二酸化窒素標準ガスを確実に製造することができる二酸化窒素標準ガスの製造方法を提供する。【解決手段】窒素化合物を非水溶媒に溶かして非水溶液を作製し、この非水溶液中の窒素化合物を熱分解することによって所望の濃度の二酸化窒素標準ガスを得る。【選択図】図1


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特許公報(B2)_二酸化窒素標準ガスの製造方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_二酸化窒素標準ガスの製造方法
出願番号:2004083136
年次:2010
IPC分類:G01N 31/00,G01N 1/00


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天谷 和夫 JP 4443963 特許公報(B2) 20100122 2004083136 20040322 二酸化窒素標準ガスの製造方法 天谷 和夫 593000764 角田 芳末 100122884 磯山 弘信 100113516 天谷 和夫 20100331 G01N 31/00 20060101AFI20100311BHJP G01N 1/00 20060101ALI20100311BHJP JPG01N31/00 HG01N31/00 ZG01N1/00 102D G01N 31/00 特開平05−296971(JP,A) 特開2003−221210(JP,A) 特開昭57−173740(JP,A) 特開昭62−098714(JP,A) 2 2005265815 20050929 7 20070322 特許法第30条第1項適用 平成15年9月に発行された「第44回 大気環境学会年会 講演要旨集」に発明者の発表要旨が掲載されている。 海野 佳子 本発明は、自動車排気ガスや、煙道排出ガスなどをはじめとする各種大気汚染物質の濃度測定に用いて好適な二酸化窒素(NO2 )標準ガスの製造方法に関する。 近年、大気ガス中の汚染物質の人体に与える影響が益々注目されている。大気中の汚染物質を計測する装置としては、汚染物質用の分析装置が各種提案されている。この分析装置は、大気中の汚染物質、すなわち一酸化炭素、二酸化硫黄や二酸化窒素(NO2 )などの濃度を計測するものであるが、これらの汚染物質は大気中に数ppmまでの低濃度、物質によっては数ppb以下という希薄な濃度であり、分析装置の零位や目盛りの校正を精度良く行う必要がある。 この分析装置の零位や目盛りを校正するために、一定の濃度を有する標準ガスが用いられている。標準ガスには、その校正の目的によって、分析装置の最小目盛値の校正に使用する零位調整標準ガス(ゼロガス)や、分析装置の測定レンジにおいて最大目盛付近の目盛値の校正に使用するスパンガスなどがある。 分析装置は、一旦標準ガスを用いて校正した後も、装置の電源電圧の変動や検出器などの経時的要因による変動などのため、ゼロ点及びスパン点も変動する可能性があることから、その使用前にゼロガスとスパンガスとを用いて校正を行う必要がある。したがって、連続的にかつ正確に環境汚染を計測するためには、分析装置は製造時及び使用中に、定期的に標準ガスを用いて校正を行うことが必要である。 更に、標準ガス自体も濃度に経時的変化を生じ易く、使用の際には適正な品質であることが求められる。このため、環境計測の適正化及び信頼性の確保を図るために、標準ガスの供給体系の整備がなされ、計量法計量標準供給制度(JCSS)に基づく標準ガスが認定業者により供給されている。 ところで、一酸化窒素NOや二酸化窒素NO2 の測定に使用する分析装置は、実際に使用するフルスケール(例えば0.02ppm)内濃度の標準ガスで校正を行うことが精度を保つ上で望ましい。しかしながら、特に二酸化窒素NO2 は、経時的変化を生じやすく、またボンベ内吸着等の問題もあるので、最も利用し易い容器詰めガスではなく、キャリブレータ(標準ガス発生装置)により発生させたものが多用されている。 このキャリブレータによる二酸化窒素標準ガスの製造方法としては、流量比混合(NO2 またはNOをゼロガスで希釈し、その流量比から濃度値を算出)、気相滴定(NO標準ガスをオゾンで酸化し、得られたNO2 を希釈する)、パーミエイション(パーミエイションチューブを用いて、チューブから浸透するNO2 を希釈する)、酸素酸化(NOガスを酸素で酸化し、得られたNO2 を希釈する)などの方法が挙げられる(例えば非特許文献1参照。)。 しかしながら、NO2 標準ガスとしては、現在でも未だに5ppm以上の濃度のものしか容器詰では得られていない(例えば非特許文献2参照。)。 したがって、環境測定用の低濃度測定器の検定に用いられる実用的な低濃度の標準ガスが完成されておらず、不正確な測定が行われている恐れがある。 なお、NO2 ガスの製造方法として、硝酸鉛固体を秤量して熱分解する方法が提案されている(例えば非特許文献3参照。)。 しかしながら、上述したような0.1ppm程度の希薄な濃度で、かつ1回の校正や検定に必要な小容量(10l程度)の二酸化窒素標準ガスは、確実に精度良く製造する技術が未だ確立されていないのが現状である。「通商産業省測定技術分科会報告」、社団法人産業公害防止協会、昭和52年2月20日発行、p.135「標準物質一覧(標準ガス)」、財団法人化学物質評価研究機構化学標準部門、[平成16年2月5日検索]、インターネット<URL:http://www.cerij.or.jp/ceri_jp/gyoumu/fr_hyoujyum.html>「窒素酸化物(環境汚染物質シリーズ)」、社団法人日本化学会編、丸善(株)、昭和52年11月25日発行、p.290 上述のキャリブレータによる二酸化窒素生成方法では、使用に当たっては、濃度安定性、流量計測の精度などの性能面や、希釈用ガス(ゼロガス)のブランク値についても注意が必要となり、また汚染物質の測定にあたり煩雑な作業が必要となるという不都合も生じる。 更に、容器詰ガスでは、上述したように最低濃度でも5ppm程度のものしか得られず、現在多く用いられているフルスケール0.1ppmの二酸化窒素測定器の検定を正確に行うことは困難である。 また、硝酸鉛を単に熱分解して二酸化窒素ガスを製造する場合、希薄な濃度のNO2 ガスを精度良く濃度を調整し、かつ少量製造することは難しいという問題がある。 これらの問題に鑑みて、本発明は、簡単な方法でまた精度良く二酸化窒素標準ガスを製造する方法を提案するものであり、また従来に比して極めて希薄な濃度の二酸化窒素標準ガスを製造することができる二酸化窒素標準ガスの製造方法を提供するものである。 上記課題を解決するため、本発明は、窒素化合物を非水溶媒に溶かした非水溶液を作製し、この非水溶液中の窒素化合物を熱分解することによって所望の濃度の二酸化窒素標準ガスを製造することを特徴とする。 また本発明は、上述の製造方法において、非水溶媒として、有機溶媒を用いることを特徴とする。 上述したように、本発明においては、二酸化窒素標準ガスを製造するにあたり、窒素化合物を非水溶媒に溶かした非水溶液を作製し、この非水溶液に含まれる微量の窒素化合物を熱分解するものである。 窒素化合物としては、加熱により定量的に分解し、二酸化窒素を定量的に発生するものが望ましく、例えば硝酸鉛を熱分解すると、下記の化学式(1)で示される熱分解が生じる。 Pb(NO3 )2 → PbO+2NO2 +(1/2)O2 ・・・(1) 特に、0.1ppm未満程度の極めて希薄な標準ガスを得ようとする場合は、溶媒にこのような窒素化合物を微量に溶かす方法を採ることによって、溶媒の重量と窒素化合物の重量を精度良く秤量すれば、比較的容易に希薄な濃度の二酸化窒素ガスを精度良く濃度を調整して製造することが可能となる。 ところが、この窒素化合物を水などの水溶液に溶かすと、加水分解が起こり、定量的な二酸化窒素ガスの発生が行われず、計算量の約80%程度しか二酸化窒素ガスを発生しない。 これに対し、本発明においては、上述したように非水溶媒、特にアルコール等の有機溶媒を溶媒として窒素化合物を溶かし、この非水溶液中の窒素化合物を加熱分解して二酸化窒素標準ガスを得るものであることから、希薄な濃度の二酸化窒素標準ガスを、精度良く確実に計算値通りの濃度に調整して製造することが可能となる。 すなわち、本発明によれば、簡単な方法でまた精度良く二酸化窒素標準ガスを製造することができ、従来に比して極めて希薄な濃度の二酸化窒素標準ガスを容易に製造することができる。 以下本発明による二酸化窒素標準ガスの製造方法を実施するための最良の形態の例を説明する。 図1は、本発明による二酸化窒素標準ガスの製造方法を実施するための製造装置の一例の概略構成図である。 本発明による二酸化窒素標準ガスの製造方法においては、窒素化合物を非水溶媒、例えば有機溶媒のアルコール等に溶かして非水溶液を作製し、この非水溶液中の窒素化合物を熱分解するものであるが、図1に示す製造装置においては、窒素化合物を非水溶媒に溶かした非水溶液を、非水溶液浸漬体9に浸漬して、この非水溶液浸漬体9を、装置の管体7に保持する構成とする。 この管体7は、石英ガラス管等より成り、例えばその周囲に電熱ヒーター等の加熱手段8が設けられる。そして管体7内の非水溶液浸漬体9から発生したNO2 ガスは、管体7にバルブ10等を介して気密に連結されるテトラバッグなどより成るNO2 標準ガス保持手段11に収容する構成とする。 また、管体7は、バルブ6を介してポンプ等の空気供給手段5に接続される。空気供給手段5には、空気取り入れ口1から導入される空気が、例えば空気中のNO2 ガスを除去するNO2 ガス除去手段2、ガスの総体積(積算流量)を測定する例えば湿式のガスメーター3、空気中の水分を除去する水分除去手段4などを介して取り入れられる構成とする。 次に、このような構成の製造装置において、NO2 標準ガスを製造する方法の一例について説明する。 先ず、窒素化合物として、加熱により定量的に分解して二酸化窒素ガスを定量的に発生する材料、例えば有機ニトロ化合物や硝酸鉛を用意する。そして、この窒素化合物と非水溶媒、例えばアルコールを予めその重量を精度良く秤量して、窒素化合物例えば硝酸鉛を所望の濃度をもって非水溶媒に溶かした非水溶液を作製する。 そしてこの非水溶液を、ロックウール等の非水溶液浸漬体9に所定量浸漬させる。 一方、空気取り入れ口1から矢印aで示すように空気を導入し、例えばソーダ灰中に空気を導入する構成のNO2 除去手段2において、空気中のNO2 ガスを除去しておく。 そして、正確な湿式のガスメーター3により空気総量を測定し、湿式ガスメーターから発生する水分を、シリカゲル又はソーダ灰等を入れた水分除去手段4により除去した後、空気供給手段5によって、管体7に空気を導入する。 管体7では、非水溶液浸漬体9を加熱して、非水溶液中の例えばPb(NO3 )2 を分解して一定量のNO2 ガスを発生させ、空気供給手段5により供給される空気とともに送り出し、所望の濃度をもってNO2 標準ガス保持手段11に収容させることができる。 以上の製造方法により製造した実施例及び溶媒として水を用いた比較例について説明する。(1)実施例 この例においては、窒素化合物として硝酸鉛、非水溶媒としてメチルアルコールを用いた。先ず、100mgの硝酸鉛Pb(NO3 )2 を、250mlのメチルアルコールに溶解した非水溶液を作製し、その0.1ml溶媒を、マイクロピペットに取って、ロックウールより成る非水溶液浸漬体にしみ込ませた。これを管体に保持し、電熱手段等の加熱手段によって硝酸鉛を熱分解し、発生したガスを希釈用空気と共にテドラバッグより成るNO2 標準ガス保持手段に収容した。(2)比較例 上述の実施例と同様の濃度をもつ硝酸鉛水溶液を作製し、電気炉により同様に加熱して、発生したガスをテドラバッグに収容した。 以上の実施例及び比較例により発生したガスを、発生直後にザルツマン式基準測定器に導入し、ザルツマン係数を0.84として発色の程度を比較した。発色の程度は、メチルアルコールを溶媒として用いた実施例が1.0であり、水を用いた比較例による場合は0.80であった。すなわち、実施例による場合は、ほぼ計算値(0.295ppm)の100%の重量の二酸化窒素ガスが得られた。 また、実施例により製造したガスをテドラバッグに収容し、財団法人化学物質評価研究機構においてケミルミ計により二酸化窒素の濃度を測定した。 測定にあたり、測定器を濃度0.4642ppmのNOガスでNOx レンジを校正したところ、濃度0.4642ppmでは数値926であった。上述の実施例によるテドラバッグに収容したガスの濃度をこの測定器により測定したところ、数値は533であった。すなわち、このガスの濃度は、 0.4642×(533/926)≒0.267(ppm)となる。これは、計算値の90.5%であったが、10%弱の二酸化窒素ガスは、テドラバッグ内に吸着されたものと予想できる。 すなわち、テドラバッグ内に保持する場合、吸着量を予測することによって、精度良く希薄な、かつ少量のNO2 標準ガスを提供することができる。 なお、この測定器においては、NOx ガスを校正したが、上記実施例により発生したガス中にNOが含まれていた場合、1時間程度の放置により殆どNO2 ガスに変化するため、濃度の測定値としては問題ない。 したがって、非水溶液を用いた本発明によるNO2 標準ガスは、より所望の低濃度をもって製造することができることがわかる。 以上説明したように、本発明により製造したNO2 ガスは、所望の希薄な濃度、例えば0.2ppm程度の濃度をもって製造することができ、また少量のNO2 標準ガスを簡単な方法をもって容易に製造することができた。 特に、非水溶媒としてアルコールを用いることによって、より簡単かつ確実に、またコストを増大させることなく、所望の希薄な濃度のNO2 標準ガスを製造することができた。 このように、本発明により簡単にかつ所望の希薄な濃度をもってNO2 標準ガスを製造することができることから、従来容器詰めガスでは得られなかった希薄な濃度の標準ガスを用いた分析装置の校正や検定を行うことが可能となり、その貢献する利益は極めて大きいものとなる。 なお、本発明は以上説明した例に限定されるものではなく、例えば窒素化合物として上述の硝酸鉛の他各種有機ニトロ化合物を用いるとか、非水溶媒としても各種の有機溶媒を用いることが可能であり、その他本発明製造方法を実現する製造装置の構成などにおいて、本発明構成を逸脱しない範囲で種々の変形、変更が可能であることはいうまでもない。本発明による二酸化窒素標準ガスの製造方法を実現する二酸化窒素標準ガス製造装置の一例の概略構成図である。符号の説明 1 空気取り入れ口 2 NO2 除去手段 3 ガスメーター 4 水分除去手段 5 空気供給手段 6 バルブ 7 管体 8 加熱手段 9 非水溶液浸漬体 10 バルブ 11 NO2 標準ガス保持手段 窒素化合物を非水溶媒に溶かした非水溶液を作製し、該非水溶液中の窒素化合物を熱分解することによって所望の濃度の二酸化窒素標準ガスを製造することを特徴とする二酸化窒素標準ガスの製造方法。 上記非水溶媒として、有機溶媒を用いることを特徴とする請求項1記載の二酸化窒素標準ガスの製造方法。


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