生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ヒアルロニダーゼ阻害剤およびそれを含有してなる食品
出願番号:2004080707
年次:2005
IPC分類:7,A61K35/78,A23L1/30,A61P37/08,A61P43/00,C12N9/99


特許情報キャッシュ

今中 ひろみ JP 2005263730 公開特許公報(A) 20050929 2004080707 20040319 ヒアルロニダーゼ阻害剤およびそれを含有してなる食品 今中 ひろみ 598154707 鈴木 俊一郎 100081994 牧村 浩次 100103218 鈴木 亨 100110917 八本 佳子 100115392 今中 ひろみ 7A61K35/78A23L1/30A61P37/08A61P43/00C12N9/99 JPA61K35/78 CA23L1/30 BA61P37/08A61P43/00 111C12N9/99 7 OL 8 4B018 4C088 4B018MD61 4B018ME07 4B018MF01 4C088AB12 4C088AC05 4C088AC06 4C088AC08 4C088BA10 4C088CA06 4C088CA08 4C088MA52 4C088MA63 4C088NA14 4C088ZA59 4C088ZA89 4C088ZB11 4C088ZB13 4C088ZC20 本発明は、ミルラ樹脂抽出物を有効成分として含有するヒアルロニダーゼ阻害剤およびそれを含有してなる食品に関する。 ヒアルロニダーゼは、皮膚の真皮にあるヒアルロン酸を分解する酵素であり、活性が過剰に強まるとアレルギー症状が発生する場合があることから、アレルギー誘引酵素として知られている。このため、アレルギー反応を抑制し、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患を治療する手段として、ヒアルロニダーゼの活性を阻害するヒアルロニダーゼ阻害剤の使用が期待されている。また、アレルギー性疾患は、長期にわたって罹患するケースが多く、長期間の使用でも副作用が少ない薬剤を用いることが求められ、ヒアルロニダーゼ阻害剤としても、植物抽出物などの天然成分を用いることが望まれている。 このため、天然成分を利用したヒアルロニダーゼ阻害剤が近年種々検討されており、たとえば、ブドウの種子または搾汁粕由来のもの(特許文献1)、菌株から得られるコウジ酸を含むもの(特許文献2)、ヒジキまたはモロヘイヤの抽出物(特許文献3)、ハマスゲ抽出物(特許文献4)、豆、米、麦などの穀類由来のもの(特許文献5)などをヒアルロニダーゼ阻害の有効成分として用いることが提案されている。しかしながら、天然成分由来であって、より効果に優れたヒアルロニダーゼ阻害剤の出現が望まれていた。 ところで、ミルラ(没薬)はカンラン科の植物であり、その樹脂は香料として用いられる他、防腐剤としての効果を有することが従来より知られている。また、ミルラの樹脂は、水、アルコール、エーテルに一部可溶であることが知られている。 このようなミルラは、強壮薬あるいは歯磨きなどの成分として利用されており、また、ミルラの樹脂から水蒸気蒸留法により抽出した精油を、傷や炎症の治療やアロマテラピーに使用できることが知られている。 本発明者は、このような状況に鑑みて鋭意研究した結果、ミルラ樹脂からの抽出物が、ヒアルロニダーゼ活性の阻害効果に優れ、しかも経口投与または食品としての摂取においてもその効果が期待されることを見出し、本発明を完成するに至った。特開2000−26306号公報特開2002−293740号公報特開2003−238434号公報特開2003−137726号公報特開2003−252778号公報 本発明は、生薬として知られるミルラの抽出物を有効成分として含有し、ヒアルロニダーゼ活性を抑制し、アレルギー症状を軽減し得るヒアルロニダーゼ阻害剤およびそれを含有してなる食品を提供することを課題としている。 本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤は、ミルラ抽出物を有効成分として含有することを特徴としている。 このような本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤では、ミルラ抽出物が、ミルラ樹脂からエタノールで抽出して得た抽出物であることが好ましく、該エタノールが、純エタノールまたはエタノール濃度70%以上のエタノール水であることがより好ましい。また、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤では、ミルラ抽出物が、10〜50℃において、純エタノールまたはエタノール濃度80重量%以上のエタノール水溶液に、ミルラ樹脂の少なくとも一部を溶解して得た液状成分であることが好ましい。 また、このような本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤は、経口投与剤であることが好ましく、また、外用剤であることも好ましい。 本発明の食品は、前記本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤を含有することを特徴としている。 本発明によれば、ヒアルロニダーゼ活性の阻害効果に優れ、アレルギー性疾患の治療などに高い効果の見込まれる、新規なヒアルロニダーゼ阻害剤およびそれを用いた食品を提供することができる。 以下、本発明について具体的に説明する。 本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤は、ミルラ抽出物を有効成分として含有する。ミルラ抽出物としては、ミルラの樹脂、樹皮、葉、幹を粉砕したチップなどからの抽出物が挙げられるが、本発明においては、これらのうちミルラの樹脂からの抽出物が好ましく用いられる。 ミルラ樹脂からの抽出物としては、水、エタノール、エーテル、その他の有機溶媒などの溶媒への可溶成分、加熱濾過物、加熱留出物、水蒸気留出物などが挙げられ、これらのうち、ミルラ樹脂からエタノールで抽出して得た抽出物であることが好ましい。 ミルラ樹脂からエタノールで抽出して得たミルラ抽出物としては、具体的には、ミルラ樹脂の少なくとも一部が溶解した液状成分、これを濃縮あるいは希釈した液体成分、またはこれらから常法により得られる固体成分が挙げられる。ここで、エタノールとしては、純エタノールまたは濃度70%以上のエタノール水溶液、好ましくは、純エタノールまたはエタノール濃度80%以上のエタノール水溶液が好適に用いられる。 ミルラ樹脂の溶解は、例えば、粉砕したミルラ樹脂を、エタノールまたはエタノール水溶液中に、通常0.1〜60重量%、好ましくは0.5〜30重量%程度の量で導入し、必要に応じて攪拌することにより行うことができる。このようなミルラ樹脂の溶解は、通常5〜75℃、好ましくは10〜50℃のエタノール温度条件で行うのが好ましい。溶解の温度条件が5℃未満である場合には、ミルラ樹脂由来の成分の溶解度が低く抽出が不十分なことがあり、75℃を超える場合には、ミルラ樹脂由来の成分のうち、揮発性の高い成分が揮発してしまい、ヒアルロニダーゼ阻害剤では有効成分を充分に活用できない場合がある。 ミルラ樹脂からエタノールで抽出したミルラ抽出物を得る場合、抽出は、エタノールまたはエタノール水溶液中に、ミルラ樹脂由来の成分の少なくとも一部が溶解する条件で行えばよく、特に限定されるものではないが、エタノールまたはエタノール水溶液中に、導入したミルラ樹脂の10重量%以上、好ましくは20重量%以上、より好ましくは20〜60重量%程度が溶解する条件で行うのが望ましい。 エタノールまたはエタノール水溶液に溶解したミルラ樹脂の量は、導入したミルラ樹脂と不溶分として除去したミルラ樹脂との重量の差により求めることができる。不溶分の除去は、デカンテーション、ろ過、遠心分離などの公知の方法により適宜行うことができ、ミルラ樹脂が溶解したミルラ樹脂抽出液を有効に活用でき、工程が簡便であることから、ろ過により行うのが好ましい。ミルラ樹脂がエタノールまたはエタノール水溶液中に完全に溶解した場合には、不溶分の除去は行わなくともよい。このようにして得られたミルラ抽出液中には、ミルラ樹脂に含まれる、ヒアルロニダーゼの活性を阻害する作用を有する成分が含有されている。 このようにしてミルラ樹脂からエタノールで抽出して得たミルラ抽出液は、そのまま有効成分として、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤または該阻害剤を含有する食品の調製あるいは製造に用いることができるが、溶媒であるエタノールあるいはエタノール水の少なくとも一部を除去して、濃縮して用いてもよい。濃縮は、どのような方法で行ってもよいが、減圧濃縮または加熱還流により容易に行うことができ、好ましくは減圧濃縮により行うことができる。減圧濃縮は、ミルラ樹脂抽出液を長時間高度に加熱する必要がないため、有効成分の分解による効果の低下や、分解物による副作用を防止することができるため好ましい。 エタノール溶液またはエタノール水溶液として抽出されたミルラ抽出液を、減圧濃縮などにより濃縮した場合には、溶媒であるエタノールおよび水が除去されるとともに、ミルラ由来の揮発成分の一部も除去されるが、濃縮された抽出物がヒアルロニダーゼ阻害効果を示すため、濃縮物を、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤および該阻害剤を含有する食品の有効成分として好適に用いることができる。また、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤を外用薬として用いる場合には、ミルラ由来の揮発成分による芳香ならびに清涼感が好適に作用するため、エタノール溶液またはエタノール水溶液として抽出されたミルラ抽出液を、濃縮せずにそのまま有効成分として含有することも好ましい。 本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤およびそれを含有する食品は、ヒトおよび動物の、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などのI型アレルギー疾患の治療や症状の改善に有効である。 アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性気管支炎のようなI型アレルギーでは、免疫グロブリンE(IgE)抗体がアレルギー症状の発症に関与している。このようなアレルギーにより、抗原抗体反応がおこって皮膚や粘膜などに炎症が起こる際には、皮膚の真皮にあるヒアルロン酸を分解する酵素であるヒアルロニダーゼの活性が強まることが知られており、ヒアルロニダーゼはメディエーターの拡張因子の一つであると考えられている。このため、ヒアルロニダーゼの活性を阻害できれば、アレルギー症状の発症も抑制することができる。本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤およびそれを含有する食品は、ヒアルロニダーゼの活性を有意に阻害することができる。このため本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤およびそれを含有する食品は、I型アレルギー症状の発現を抑制するか、I型アレルギーの症状を軽減することができる。 本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤は、その剤形を特に限定するものではなく、経口投与剤(内服剤)、注射剤、外用剤などのいずれであってもよいが、経口投与剤であるのが好ましい。経口投与剤としては、たとえば、シロップやドリンク剤などの液剤、顆粒剤、粉剤、カプセル剤、錠剤、タブレットなどが挙げられる。また、外用剤としては、液剤、クリーム剤、乳液剤、軟膏、湿布剤などの外用剤などが挙げられる。本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤の剤形および使用量は、適用する疾患、投与する患者の症状等に応じて適宜選択することができる。本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤は、ミルラ抽出物のみから構成されていてもよく、ミルラ抽出物を有効成分として単独で含有する剤であってもよく、ミルラ抽出物と、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有するその他の成分とを組み合わせて含有する剤であってもよく、また、ミルラ抽出物とその他の薬剤成分とを含有する剤であってもよい。 本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する食品は、上記本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤を有効成分あるいは機能成分として含有するものであって、上述の経口投与剤と同様の形状の他、各種形状の食品とすることができる。 また、本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤およびヒアルロニダーゼ阻害剤を含有する食品を、経口投与剤あるいは食品として、ヒトまたは動物が経口的に摂取した場合には、良好なヒアルロニダーゼ阻害効果が得られるとともに、糞便あるいは尿の臭気が軽減されるという二次的効果も有する。 実施例 以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 なお、以下の実施例および比較例において、ヒアルロニダーゼ阻害作用の検証およびIC50値の評価は、次のようにして行った。ヒアルロニダーゼ阻害作用の検証 基質であるヒアルロン酸ナトリウムと、牛精子由来のヒアルロニダーゼ酵素とを反応させた際に基質が低分子化するという、ヒアルロニダーゼの酵素活性を、試料を添加することによりどの程度阻害できるかを検証する。 基質であるヒアルロン酸ナトリウムと、牛精子由来のヒアルロニダーゼ酵素とを反応させる反応系中に、測定用試料を添加した際に、酵素活性が阻害されていれば、反応系に分解されずに残存するヒアルロン酸ナトリウム量が、測定用試料を添加しない場合よりも多く残存することになるため、酵素活性の阻害の程度を反応液中に残存するヒアルロン酸ナトリウム量の測定値より評価する。 ここで、反応液中のヒアルロン酸ナトリウムの量は、ヒアルロン酸ナトリウム溶液中に牛血清アルブミンを添加すると白濁する性質を利用して、反応液中に牛血清アルブミンを添加した後の600nmの吸光度を測定して求める。測定用試料を添加していない場合よりも吸光度が高く、ヒアルロン酸ナトリウム量が多い場合には、測定用試料の添加によりヒアルロニダーゼ活性が阻害されたことが確認される。 なお、反応系としては、基質である0.4μl/mlのヒアルロン酸ナトリウム:100μlと、約70μl/mlの牛精子由来のヒアルロニダーゼ酵素:50μlとを反応させる反応系を用いた。IC50値の評価 蒸気のヒアルロニダーゼ阻害作用の検証において、測定用試料を添加した際にヒアルロニダーゼ活性の阻害が確認された場合には、IC50値についても求める。ここで、IC50値とは、酵素の阻害活性の測定において、阻害対象となる酵素(ヒアルロニダーゼ)の活性を50%阻害するのに必要な試料の濃度を意味する。 IC50値は、測定用試料を適宜希釈し、希釈系試料の活性阻害率をそれぞれ測定し、得られた各測定結果から、希釈倍率のlog(常用対数)値を横軸(X)に、阻害率を縦軸(Y)にとって、X−Yの一次式を求め、これより阻害率が50%となるのに必要な希釈率を求めて、その希釈率と調製した試料の濃度より算出する。(ミルラ樹脂抽出液Aの調製) ミルラ樹脂(生活の木社製)の乾燥物を乳鉢で粉砕し、粉状ミルラ樹脂を得た。得られた粉状ミルラ樹脂180gを、20℃の純エタノール1000ml中に入れ、室温にて攪拌した後にろ過し、ろ液をミルラ樹脂抽出液Aとして得た。ろ別された固形分量は154.8gであった。(ヒアルロニダーゼ阻害作用の検証) 上記で得たミルラ樹脂抽出液A1.0gを正確に秤量し、精製水1000mlを加え、測定用試料Aを調製した。 この測定用試料Aを用いて上記のヒアルロニダーゼ阻害作用の検証を行ったところ、ヒアルロニダーゼ活性の阻害作用を示すことが確認された。 次いで、上記の方法によりIC50値を求めたところ、ミルラ樹脂抽出液Aのヒアルロニダーゼに対するIC50値は6.14μg/mlであった。 比較例1 血糖値抑制作用を有するとされ、難消化性デキストリンを含有する市販の特定保健用食品Bを、正確に10g秤量し、精製水100mlを加えてビーカー内で30分間撹拌し、4℃において6500rpmで10分間遠心分離し、上澄み液を分取およびろ過して測定用試料Bを得た。 この測定用試料Bを用いて上記のヒアルロニダーゼ阻害作用の検証を行ったところ、ヒアルロニダーゼ活性の阻害作用を示すことが確認された。 次いで、上記の方法によりIC50値を求めたところ、特定保健用食品Bのヒアルロニダーゼに対するIC50値は451.00mg/mlであった。 比較例2 高血圧抑制作用を有するとされ、ラクトトリペプチドを含有する市販の特定保健用食品Cを、正確に10g秤量し、精製水100mlを加えてビーカー内で30分間撹拌し、4℃において6500rpmで10分間遠心分離し、上澄み液を分取およびろ過して測定用試料Cを得た。 この測定用試料Cを用いて上記のヒアルロニダーゼ阻害作用の検証を行ったところ、ヒアルロニダーゼ活性の阻害作用は示さないことがわかった。 ミルラ抽出物を有効成分として含有することを特徴とするヒアルロニダーゼ阻害剤。 ミルラ抽出物が、ミルラ樹脂からエタノールで抽出して得た抽出物であることを特徴とする請求項1に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。 エタノールが、純エタノールまたはエタノール濃度70%以上のエタノール水であることを特徴とする請求項2に記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。 ミルラ抽出物が、10〜50℃において、純エタノールまたはエタノール濃度80重量%以上のエタノール水溶液に、ミルラ樹脂の少なくとも一部を溶解して得た液状成分であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。 経口投与剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。 外用剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤。 請求項1〜4のいずれかに記載のヒアルロニダーゼ阻害剤を含有することを特徴とする食品。 【解決手段】本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤は、ミルラ抽出物を有効成分として含有することを特徴としている。このような本発明のヒアルロニダーゼ阻害剤では、ミルラ抽出物が、ミルラ樹脂からエタノールで抽出して得た抽出物であることが好ましく、該エタノールが、純エタノールまたはエタノール濃度70%以上のエタノール水であることがより好ましい。 【効果】本発明によれば、ヒアルロニダーゼ活性の阻害効果に優れ、アレルギー性疾患の治療などに高い効果の見込まれる、新規なヒアルロニダーゼ阻害剤およびそれを用いた食品を提供することができる。 【選択図】 なし


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