タイトル: | 公開特許公報(A)_拡散強調MRIの撮像方法および拡散強調MR画像 |
出願番号: | 2004071639 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A61B5/055,G01N24/10 |
高原 太郎 今井 裕 JP 2005253802 公開特許公報(A) 20050922 2004071639 20040312 拡散強調MRIの撮像方法および拡散強調MR画像 学校法人東海大学 000125369 渡辺 望稔 100080159 三和 晴子 100090217 高原 太郎 今井 裕 7A61B5/055G01N24/10 JPA61B5/05 382G01N24/10 510Y 8 OL 10 特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年2月25日 社団法人日本医学放射線学会発行の「NIPPON ACTA RADIOLOGICA 日本医学放射線学会雑誌臨時増刊号 Vol.64 No.2」に発表 4C096 4C096AA17 4C096AB04 4C096AB25 4C096AD06 4C096AD12 4C096AD14 4C096AD24 4C096BA18 4C096BA19 4C096BA41 4C096BA42 4C096DB08 4C096DC11 4C096DC18 4C096DC21 4C096DC28 4C096DC37 本発明は、磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging:MRI)における拡散強調画像(Diffusion Weighted Imaging:DWI)の撮像方法および撮像された画像に関し、より詳しくは、呼吸体動部位を含む全身の3次元描出が可能な拡散強調MRIの撮像方法、および全身スクリーニングによる腫瘍およびその転移の診断などに有効な3次元投影画像に関する。 拡散強調画像(以下、DWIとも記す)は、組織内プロトンの拡散運動情報を観察する磁気共鳴画像(以下、MRIとも記す)の一手法であり、不均一な静磁場のなかで拡散がスピンエコー(SE)の信号を減少させることを利用し、拡散の影響を信号変化として描出した画像である。MRIにおけるDWIの取得は、信号読取りの前に、正負一対の強い拡散強調傾斜磁場(MPG)を印加し、水分子のブラウン運動の強さを信号強度に反映させる方法である。具体的には、被検体の組織を構成する対象原子核(プロトン)スピンをRFパルス(90°)で励起し、スピン・エコー(Spin Echo:SE)を発生させるための反転パルス(位相反転用180°パルス)をかける際、反転パルスの両側に、大きさの等しい逆向きの傾斜磁場をかけた場合の、強い不均一静磁場のなかで観測される信号が、傾斜磁場方向での一次元的な分子の動きとして計測される。静止している分子は、2つの傾斜磁場による位相変化が相殺され、全体として影響を受けないが、傾斜磁場の方向に動いた分子は位相が乱れる。この拡散により生じた位相分散は、信号低下として現われる。 DWIは、今から15年ほど前に、Dumoullinなどによって臨床への導入がなされた。初期には、スピン・エコー法のみを用いてDWIを撮像しており、1枚の画像を得るのに15分程度を要していたが、その後、1回の励起パルスで画像再構成のためのすべてのデータを取得する高速撮像法であるエコプラナー法(Echo Planar Imaging:EPI)を併用するSE−EPI−DWI法が開発され、数分で大脳全体のDWIを取得することが可能になった。 梗塞に陥った脳細胞は、Na-Kポンプ停止や細胞浮腫などにより拡散速度が低下する。DWIにおいて、この梗塞に陥った部は著名な高信号として描出されるため、従来は診断が困難であった急性期脳梗塞を容易に診断可能とした(たとえば非特許文献1など参照)。 この手法は肝腫瘍など、中枢神経以外の場所でも有用であることが示唆されている。しかしながらEPI法は原理的に磁場の不均一に弱い。このため中枢神経系以外の領域においては画像歪みが大きく、ルーチンでの利用は困難であった。 最近になり、撮像におけるエコー数を概ね半分程度に削減し得るSENSE(Sensitivity Encoding)法が開発され、これを併用することにより画像歪みは著しく小さくなり、躯幹部への応用が可能になった。現在、このSENSE-SE-EPI-DWI法を用いて、腹部悪性腫瘍の検出に用いる報告が学会などでなされている。 なお脂肪抑制法としては、一般にCHESS法かその変法が使用されている。 また、DWIは、前述のようにブラウン運動のような微細な動きを検出するために、躯幹部の撮像では、呼吸停止か呼吸同期で行う必要がある。前者の場合、撮像時間は制限され、必然的にRFパルスの繰り返し数は制限される。RFパルスの繰り返し時間(TR)内には、通常、マルチスライス法により複数のスライスを撮像するが、撮像時間(RFパルスの繰り返し数)の制限により、1回のRFパルスによる情報取得量を多くするため、通常スライス厚を厚めにしている。一般的に、SENSE-SE-EPI-DWIにより、腹部などを呼吸停止で撮像する場合には、撮像時間が30秒程度で、加算回数は1回程度であり、スライス厚は5〜10mm程度である。一方、呼吸同期の場合には、自由呼吸下に撮像を行うことが可能なため、その時間に物理的な制限はない。しかし、スキャン時間に対する実効的なデータ取得時間の割合は10〜30%程度である。このため取得効率は通常の呼吸停止スキャンに対して1/3〜1/10程度である。これにより、実際の運用上使用し得る加算回数も1/3〜1/10程度になる。「特集“MRI拡散強調画像の有用性”」,神経内科,科学評論社,平成15年12月25日発行,第59巻第6号 上記のような制限のため、躯幹部(すなわち肺および腹部)などの呼吸体動部位では、3次元画像の元データとして使用可能な信号雑音比(S/N)で取得することは困難であり、脳梗塞部のようなDWIを得ることは困難であった。 このため、DWIが悪性腫瘍を描出しうる手法であって、これによる全身スクリーニングが転移の診断に有用であることは示唆されていても、呼吸体動部位を含むすべての領域の細かいDWIを得ることは困難であるため、3次元画像および任意方向への2次元投影(断層)画像に変換しうる全身スクリーニングによる3次元的データセットを得ることは困難である。 従来、悪性腫瘍の全身スクリーニング方法としては、18FDG-PET(Positron Emission CT)が用いられている。PETは、悪性腫瘍において盛んになる糖代謝を画像化することで、悪性腫瘍を検出することができ、またこれらは3次元的データセットとして取得可能であるので、3次元画像および任意方向への2次元投影画像を取得可能である。しかし、18FDG-PETは、放射性同位元素を用いるため放射線被曝を生じる。また18FDGの作成にはサイクロトロンが必要なため維持管理が大変で、かつコストが高い。 このためもし、DWIによるMRI全身スクリーニングが可能となれば、放射線被曝の問題を回避できるだけでなく、医療コストの安い悪性腫瘍のスクリーニングが可能であり、その有用性は極めて大きい。 本発明者は、上記状況に鑑みて、DWIによる全身スクリーニングを可能とするために呼吸体動部位の撮像について、鋭意研究するうちに、従来、呼吸体動部位の撮像時には、本質的に呼吸停止か呼吸同期が必要と考えられていたことに反して、自由呼吸(呼吸停止なし)下での撮像を試みた。そして、呼吸による撮像時間の制限がないため、加算回数を充分大きくすることができ、これにより呼吸体動部位であっても、充分な信号雑音比(S/N)の信号雑音比画像を得ることができること、またこれにより、薄いスライス厚(高分解能)で撮影を行い、3次元的データセットを得ることができることを知見した。 この際、STIR(Short TI Inversion Recovery: 反復回転法)を用いれば、均一な脂肪抑制効果とともに、脂肪に近いT1値を有する腹部消化管内容物に由来する信号を減弱させ、これら信号によって病変が不可視となる可能性を低減させる効果を得ることも知見した。これらから、撮影した画像に対して特別な後処理をすることなしに、悪性腫瘍スクリーニングもしくは末梢神経描出のための呼吸体動部位を含む全身の3次元DWIを構築できることを確認した。画像を白黒反転表示すれば、悪性腫瘍の診断に有用なPETによる全身スクリーニング像と同じコントラスト像が得られることも知見し、本発明を完成するに至った。 上記拡散強調MRIは、公知のSENSE-SE-EPI-DWIを用いて撮像されるが、呼吸体動部位の呼吸停止なしの撮像は報告されておらず、自由呼吸下で薄いスライスで撮像しこれを立体表示に用いる発想はなかった。もちろんそれによりPETと同等もしくはこれに優る空間分解能の、全身すべての部位の3次元DWIが作成できることは知られていない。このためPETの目的としている臨床応用と比肩しえる方法とは考えられていなかった。(1)本発明は、MRIにおける拡散強調画像を作成のための信号取得において、被検体の同一部位からの信号を少なくとも10回以上加算して取得して、信号雑音比(S/N)を高める呼吸体動部位の拡散強調MRI撮像方法である。(2)上記加算される各信号は、好ましくはスライス厚4mm以下の高分解能で撮影された信号である。(3)本発明では、上記呼吸体動部位の拡散強調MRI撮像方法を含む全身の拡散強調MRI撮像方法も提供する。(4)上記において、反復回復法(STIR)を用いて、脂肪および消化管内容物に由来する信号を抑制することができる。(5)上記(1)〜(4)のいずれかにおいて、信号を、3次元画像を作成しうるデータセットで取得する。(6)上記(1)〜(5)のいずれかで撮像された画像を白黒反転表示した拡散強調MR画像。(7)被検体の3次元投影画像である上記(6)の拡散強調MR画像。(8)被検体の任意方向断層画像である上記(6)の拡散強調MR画像。 本発明により、呼吸体動部位およびこれを含む全身の3次元拡散強調MRIが提供される。この画像では、悪性腫瘍の分布を3次元表示し、従来のPET断層画像と同様に悪性腫瘍の存在範囲および転移巣の空間的な位置を認識できる。したがって放射線被曝がなく、医療コストの安い悪性腫瘍のスクリーニングに有用である。また末梢神経を選択的に描出することができ、それによりその走行を解析することもできる。 以下、本発明を具体的に説明する。 本発明における拡散強調MRIの撮像では、SENSE-SE-EPI-DWI機能を有するMRI測定装置を用いる。 拡散強調MRIの測定は、前述したように、被検体の組織を構成する対象原子核(プロトン)スピンを励起するRFパルスを照射し、スピン・エコー(SE)を発生させるための反転パルス(180°パルス)をかける際、反転パルスの両側に、大きさの等しい逆向きの傾斜磁場をかけるためのMPGを印加して、原子核スピンのうち移動するスピンの位相をディフェイズし、被検体から発生する複数のエコー信号を異なる位相エンコードを付与して計測するパルスシーケンスを繰り返す。 EPI(エコープレナー法)は、1回の励起パルスで画像再構成のためのすべてのデータを取得する超高速スキャンであり、EPIを使って、拡散スピンからの信号を強度に抑制した画像を得る拡散強調イメージングを行う。 SENSE法は、複数のコイルエレメントを用いたアレイ技術であり、個々のコイルエレメントが作る画像を後処理により1つの画像として組合わせることにより、高速撮像を可能にする手法である。DWIにおいては、エコー数が少なくなる結果、歪みが少なく、信号/雑音比(SNR)を向上させる効果を有している。 MRIにおけるこれらSENSE、SE、EPI、DWI各法は公知であって、たとえば杉村編「MRIの原理と撮像法」および荒木・杉村編「MRI・CT用語辞典」(いずれもメジカルビュー社発行)などにその原理が記載されており、必要ならば、その記載を引用して本明細書にも記載されているものとすることができる。 本発明では、これら機能を備えた市販の装置を使用することができ、装置の構成説明は省略する。 本発明では、上記のようなSENSE-SE-EPI-DWIにより、呼吸体動部位のMRIの信号取得するに際して、被検体の同一部位からの信号を少なくとも10回以上加算して取得して、信号/雑音比(SNR)を高める。加算回数は多くなるほど、その平方根に反比例してランダムノイズは減少し、すなわちSNRは向上する。このため相対的なSNRはデータ数の平方根に比例して増加する。このため、高周波吸収率(SAR)などの医療的に許容される操作条件内であれば、加算回数は多い方が好ましく、10回以上とすることが望ましい。本発明では、通常10〜50回加算する。 この加算回数は、1励起回数(Number of Excitation:NEX)を1倍とするときの値であり、k-spaceを1回満たすことを通常1NEXとし、k-spaceを半分しか満たさない高速スキャンのhalf-Fourier法は、0.5NEXと称されている。 EPIおよびSENSEを適用したSENSE-SE-EPI-DWIは高速撮像が可能で、パルスシーケンス1回につき0.5秒程度で信号を取得することができるが、本発明における加算回数10を得るには、通常5秒程度必要とする。このため60枚の撮像では、5分程度必要とする。このような撮像時間(加算回数)で撮像が可能であるのは、前述したとおり、呼吸体動部位であっても、呼吸の停止および呼吸同期の制限なく、自由呼吸下に行うためである。 本発明で撮像可能な呼吸体動部位は、特に肺および腹部である。 また本発明では、マルチスライス法により複数のスライスを撮像するが、加算回数を顕著に多くできるため、薄いスライス厚で撮影することができる。具体的には、スライス厚4mm以下、さらには3mm以下の高分解能撮影が可能である。 なお従来、呼吸体動部位の呼吸制限によるDWI撮影では、加算回数は多くて1〜2回、呼吸停止による撮像時間は通常、30秒程度である。またこれにより、スライス厚も5〜10mm程度と厚くする必要があり、このような条件で取得された信号から得られるDWIは、比較例として後述するように不鮮明で、3次元画像を得るには不充分であった。 本発明において、STIR(Short TI Inversion Recovery:反復回転法)を併用すれば、均一な脂肪抑制効果とともに、腹部消化管内容物に由来する信号を減弱させる効果を得ることができる。消化管内容物は、脂肪に近いT1値を持つ。このためSTIR法を用いることにより消化管信号を減弱させることができる。 なお従来、DWI撮像時の脂肪抑制効果に応用されているCHESS法およびその変法は、理論的に磁場の不均一に弱い。このためは局所的な脂肪抑制効果を得ることは、充分に得られても、全身に使用可能な均一な脂肪抑制を得ることが困難であった。また脂肪抑制法として用いられているCHESS法およびその変法を用いても、腹部消化管内容物に由来する信号が邪魔になり悪性腫瘍との識別が困難であった。 本発明では、自由呼吸で測定できるという知見から、高SNRの信号取得のための撮像条件の制限が少なく、上記のように著しく多い加算回数によるSNRの向上および薄いスライス厚による信号取得が可能であり、3次元的データセットとして取得可能であるので、3次元画像および任意方向への2次元投影画像の取得が可能である。 3次元画像、および任意方向断層像の計算は、3次元画像解析装置(workstation)で行うことができる。 以上から、撮影した画像に対して特別な後処理をすることなしに、全身スクリーニングのための、呼吸体動部位を含む全ての領域の細かい3次元DWIを構築できる。本発明では、実施例としても後述するように、全ての領域の悪性腫瘍の描出が可能であることを確認している。 画像を白黒反転表示すれば、悪性腫瘍の診断に有用なPETによる全身スクリーニング像と同様のコントラスト像が得られる。 また本発明では、末梢神経の描出も可能である。 末梢神経の描出方法としては、別に「MR-neurography」と呼ばれる方法が存在する。この方法は主に脂肪抑制T2強調画像を利用して末梢神経の一部を描出することが可能である。従来のMR-Neurographyは、神経周囲に存在するわずかな水に対し神経が相対的に低信号を呈していることを利用して画像化する。このため水分量が少ない場合には描出が困難である。またMR-Neurographyは、神経以外の構造物も多数描出されるので、神経のみを選択的に、また長い距離にわたって描出をすることはできない。 これに対し、本発明の拡散強調MRI撮像方法では、全身の末梢神経を描出することができる。 本発明の撮像原理はとくに受信コイルの制限を受けないので、上下に長い専用コイルを使用すれば、全身の撮影が可能である。従来型受信コイルを用いても、上下幅30センチ程度の距離の画像を取得することができる。この画像は、後述の実施例に図6として示す。 以下、本発明の実施例として、拡散強調MR画像の撮像例を示す。以下に示す実施例は本発明をより理解容易とするためのものであって、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 以下の実施例に示す各拡散強調MRI像は、フィリップス社製MRI装置InteraTMを用いて撮影した。(撮像例1) 図1に、呼吸停止の有無、それによる加算回数の違いを比較するための画像を示す。 撮像部位:肺A:従来の呼吸停止撮影による画像(加算回数1回、撮像時間30秒、撮像スライス厚9mm)、B:本発明による呼吸停止なし撮影(加算回数12回、撮像時間7分、撮像スライス厚4mm) 従来の理論を無視して呼吸停止をしないことにより、薄いスライスにおいても十分な信号雑音比を得ることができた。(撮像例2)図2に、薄いスライスによる任意断層画像を示す。 撮像部位:肺(加算回数12回、撮像時間7分、撮像スライス厚4mm)、図2に示すように、軸位断で撮影された画像から高品位の矢状断などに変換可能である。(撮像例3) 図3に、脂肪抑制効果を示す。 撮像部位:頚部(加算回数12回、撮像時間7分、撮像スライス厚4mm)、A:CHESS法による脂肪抑制効果を示す。B:STIR法による脂肪抑制効果を示す。 STIR法と組み合わせることにより、とくに体表における脂肪抑制効果の不良が減少する。提示例では、(A)CHESS法の併用では、下顎および肩において認められる脂肪抑制不良部分があるが、(B)STIR法の併用により消失している。これにより腫大リンパ節からなる病変部(B: 矢印)の描出が得られている。体表において脂肪抑制不良が起こることは、体内の悪性腫瘍および末梢神経を3次元表示する際の大きな問題となるが、STIR法を用いることにより何らの特別な後処理を要さずに画像を作成しえる。(撮像例4) 図4に、CHESS法またはSTIR法による消化管信号の減弱効果を示す。 撮像部位:消化管(加算回数12回、撮像時間7分、撮像スライス厚4mm)、A:CHESS法併用による画像を示す。B:STIR法併用による画像を示す。 消化管内容物は脂肪に近いT1値を持つ。このためSTIR法を用いることにより消化管信号(矢印)を減弱させることができる。(撮像例5) 図5に、画像の白黒反転表示による効果を示す。症例:直腸癌術後、吻合部再発(加算回数12回、撮像時間7分、撮像スライス厚4mm)、A: 通常のグレイスケールで表示した元画像B: 白黒反転のグレイスケールで表示した元画像C: 対応するPET画像D: 白黒反転のグレイスケールで表示した冠状断再構成画像、E: 冠状断再構成PET画像。 矢印部分は再発腫瘍を示している。 ここに示すように、白黒反転することでPETと同様のコントラストを得ることができる。またPETよりも空間分解能の高い画像が得られた。(撮像例6) 図6は、悪性腫瘍の3次元表示画像である。(加算回数12回、撮像時間7分、撮像スライス厚4mm)、A: 進行食道癌およびその縦隔リンパ節転移B: 左進行乳癌および脊椎、肋骨および腋下リンパ節転移C: 4歳児の悪性リンパ腫の腸間膜リンパ節腫 空間分解能の高い画像が呼吸停止なしに得られた。(撮像例7) 図7は、末梢神経の3次元表示画像である(加算回数12回、撮像時間7分、撮像スライス厚4mm)A:腕神経叢の描出B:腰神経叢の描出呼吸停止の有無による加算回数の違いを比較するための画像である。薄いスライスによる任意断層画像を示す。STIR法またはCHESS法併用による脂肪抑制効果の違いを示す画像である。CHESS法またはSTIR法による消化管信号の減弱効果を示す画像である。画像の白黒反転表示効果を示す。悪性腫瘍の3次元表示画像である。末梢神経の3次元表示画像である。 MRIにおける拡散強調画像を作成のための信号取得において、被検体の同一部位からの信号を少なくとも10回以上加算して取得して、信号雑音比(S/N)を高める呼吸体動部位の拡散強調MRI撮像方法。 前記加算される各信号が、スライス厚4mm以下の高分解能で撮影された信号である請求項1に記載の拡散強調MRI撮像方法。 請求項1または2に記載の呼吸体動部位の拡散強調MRI撮像方法を含む全身の拡散強調MRI撮像方法。 反復回復法(STIR)を用いて、脂肪および消化管内容物に由来する信号を抑制する請求項1〜3のいずれかに記載の拡散強調MRI撮像方法。 前記信号を、3次元画像を作成しうるデータセットで取得する請求項1〜4のいずれかに記載の拡散強調MRI撮像方法。 請求項1〜5のいずれかで撮像された画像を白黒反転表示した拡散強調MR画像。 被検体の3次元投影画像である請求項6に記載の拡散強調MR画像。 被検体の任意方向断層画像である請求項6に記載の拡散強調MR画像。 【課題】放射線被曝がなく、医療コストの安い悪性腫瘍のスクリーニングに有用な呼吸体動部位およびこれを含む全身の3次元拡散強調MRIの提供。この方法では、悪性腫瘍の分布を3次元表示し、従来のPET断層画像と同様に悪性腫瘍の存在範囲および転移巣の空間的な位置を認識するシステムを構築できる。また末梢神経を選択的に描出することができ、それによりその走行を解析することもできる。 【解決手段】MRIにおける拡散強調画像を作成のための信号取得において、被検体の同一部位からの信号を少なくとも10回以上加算して取得して、信号雑音比(S/N)を高める呼吸体動部位の拡散強調MRI撮像方法、さらにはこの呼吸体動部位の拡散強調MRI撮像方法を含む全身の拡散強調MRI撮像方法。撮像された画像の白黒反転表示による被検体の3次元投影画像または被検体の任意方向断層画像の提供。【選択図面】なし