生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_低刺激性シロップ状食酢およびその製造方法
出願番号:2004070510
年次:2005
IPC分類:7,C12J1/00,A23L1/24,A23L1/39


特許情報キャッシュ

吉川 幸子 JP 2005253380 公開特許公報(A) 20050922 2004070510 20040312 低刺激性シロップ状食酢およびその製造方法 吉川 幸子 504098200 鎌田 文二 100074206 東尾 正博 100084858 鳥居 和久 100087538 吉川 幸子 7C12J1/00A23L1/24A23L1/39 JPC12J1/00 AC12J1/00 101A23L1/24 AA23L1/39 3 OL 7 4B028 4B036 4B047 4B028BC03 4B028BC04 4B028BL06 4B028BL14 4B028BP24 4B036LC01 4B036LF03 4B036LH29 4B036LH43 4B036LH44 4B047LB09 4B047LG38 4B047LG50 4B047LG62 4B047LG66 この発明は、食酢の飲用し易さを改善した低刺激性シロップ状食酢およびその製造方法に関する。 一般に、食酢は、糖質原料を発酵させて生成した酢酸の酸味を利用した調味料の総称であり、通例は、穀物や果実をアルコール発酵させて酒を造り、さらに酢酸発酵させて得られるものである。 このような食酢は、醸造酢または合成酢のいずれかに該当するものであるが、前者の「醸造酢」は、米、麦その他の穀類、酒粕または果実および種酢により変性したアルコールを原料として酢酸発酵させたもの、または合成酢酸を使用しないものをいい、後者の「合成酢」は、合成酢酸を主原料として調整したものまたは合成酢酸と醸造酢とを混合したものをいう。現在、わが国で食酢として市販されている調味料としての酢の大半は、醸造酢であり、合成酢は殆ど見られなくなっている。 ところで、食酢は、主成分として約3〜5重量%の酢酸を含有しており、その他にクエン酸などの各種有機酸、各種糖類、アミノ酸類(グルタミン酸、アルギニン酸、アスパラギン酸など)およびエステル類などを含んでいる。 例えば米を原料とする米酢は、蒸し米に米麹を加え、清酒と同様に発酵させた後、純粋培養の酢酸菌を加えて30℃で1〜2カ月発酵させ、熟成させた後、水で酸度を調節し、火入れして製造されており、約4重量%の酢酸を含んでいる。米以外の穀物酢の場合もほぼ同様の製造工程で同様に酢酸を含有している。 一方、果実酢は、ブドウ酒やリンゴ酒を原料として酢酸発酵させて作り、約7%の酢酸を含み、穀物酢よりも酢酸濃度が高い。 このように米酢、穀物酢、果実酢などの醸造酢または合成酢に分類される食酢は、何れも酢酸の他にクエン酸類などの有機酸を含んでいて、疲労回復効果、カルシウム吸収効率の促進効果があり、その他にも、個人差はあるもののダイエット、消化不良の改善、皮膚の健全性、アレルギー改善、筋肉疾患などに好影響があることとの評価もあり、健康食品として利用価値の高いものである。 ところで、食酢のうち、ブドウ酒やリンゴ酒を原料として、酢酸発酵させて作る果実酢を飲料とする例として、酸味料としてリンゴ酢やレモンを用い、甘味料として、てんさい糖、蜂蜜、砂糖、果糖、ブドウ糖などを用いた混合飲料が知られている(特許文献1)。特開平6−253792号公報(請求項1、請求項2参照。) しかし、上記した食酢を含有する従来の混合飲料では、野菜の青臭さをリンゴ酢で消す程度の効果であり、食酢を主成分として飲みやすさが改善されているものではない。 また、酢酸は、刺激性の強い臭気と酸味があるために、これを4重量%程度含む食酢をそのまま飲用すると、喉にむせ返るような刺激があり、これを主成分とする健康飲料を習慣的に飲用することは、かなりの強い意思を要することであった。 このように食酢を主成分とする健康飲料の飲みやすさの問題は、特許文献1に記載されているような野菜や蜂蜜と併用する混合飲料でも充分に改善できず、美味しいと感じられるような食感は全く得られないことであった。 そこで、この発明の課題は、上記した問題を解決して、食酢を主成分とする液体状の健康食品として、そのまま飲用しても喉に刺激がなく、また刺激臭もなくて習慣的に飲用できるものであり、かつ調味料その他に汎用性のある低刺激性シロップ状食酢であり、またそのようなシロップ状食酢の簡易な製造方法を確立することである。 上記の課題を解決するために、この発明においては、食酢と、蜂蜜と、レモン果皮とを必須成分として含有し、酢酸成分量を低減化調整してなる低刺激性シロップ状食酢としたのである。 上記した低刺激性シロップ状食酢は、食酢に通常含まれている3〜5%の酢酸成分が揮発により低減されており、具体的には3重量%未満に揮発させて低減化調整されているので、酢酸による鼻や喉の粘膜に対する刺激が弱く低刺激性なものである。 添加成分のうち、蜂蜜は、喉の粘膜を保護する作用があるから、この発明の作用として酢酸の刺激を緩和する。 また、レモンの果皮には、クエン酸と共に、リモネン、β−ピネン、γ−テルピネンなどの香りや苦味のある精油成分が含まれており、このような香りのマスキング作用により、酢酸の刺激臭気がより少なく感じられる。 このように蜂蜜とレモン果皮との併用によって、食酢の喉および鼻の知覚細胞に対する刺激性が極めて効果的に低減されると考えられ、前述の酢酸成分の揮発による作用もあって、飲用時の喉や鼻に対する刺激が顕著に低下し、習慣的に飲みやすく、低刺激性シロップ状食酢になる。 このような低刺激性シロップ状食酢は、酢酸成分を3%未満に低減する揮発処理がなされていることが好ましい。 また、このような低刺激性シロップ状食酢を効率よく製造する好ましい方法は、食酢と果皮を含むレモン果実の裁断物の混合物を大気圧下で煮沸状態に加熱し、酢酸成分を3%未満揮発させた後、蜂蜜を添加する製造方法である。 果皮を含むレモン果実の裁断物は、果皮部分に香気のある精油成分を多量に含有すると共に、果皮以外の部分(果肉など)にはクエン酸が多量に含まれているから、食酢に健康に有用なクエン酸を添加できると共にマスキング成分をも添加することができる。そして、食酢と果皮を含むレモン果実の裁断物との混合物を大気圧下で煮沸状態に加熱すると、食酢中の酢酸成分が揮発して3重量%未満に減少する。このようにして酢酸成分量の減少と、レモン果皮由来の精油のマスキング作用によって、酢酸による鼻や喉の粘膜に対する刺激性が低くなっていると考えられる。 また、蜂蜜は、果糖、ブドウ糖、オリゴ糖などの主要成分が、上記の混合物に均一に溶ければよく、それ以上に加熱する必要はない。加熱しすぎると、却って健康に有益な微量成分を滅失する可能性もあって好ましくない。このような傾向から、蜂蜜添加時に必要充分な温度は、60℃程度である。このような蜂蜜を添加することにより、前述のように、飲用しても喉に刺激がより少なくなり、習慣的に飲みやすいものになる。 この発明は、以上説明したように、食酢と、蜂蜜と、レモン果皮とを必須成分として含有し、酢酸成分を揮発させてなる低刺激性シロップ状食酢としたので、食酢を主成分とする液体状の健康食品として、そのまままたは適宜に希釈して飲用しても、喉に対する刺激や刺激臭もなくて習慣的に飲みやすく調味料としても使用可能なものになるという利点がある。 また、食酢と果皮を含むレモン果実の裁断物の混合物を大気圧下で煮沸状態に加熱し、酢酸成分を3%未満に揮発させた後、蜂蜜を添加することにより、刺激臭もなくて習慣的に飲みやすく、また調味料としても使用可能な低刺激性シロップ状食酢を比較的簡易に製造できるという利点がある。 この発明に用いる食酢は、醸造酢または合成酢のいずれであってもよいが、酢酸と共にクエン酸を多く含ませるためには、醸造酢を採用することが好ましい。 前述したように、醸造酢は、米、麦その他の穀類、酒粕または果実及び種酢により変性したアルコールを原料とし、酢酸発酵させたものであって、合成酢酸を使用せずに、または添加しないものである。そして、醸造酢は、穀物酢または果実酢のいずれであっても良く、その他の原料により種々のものを採用できる。因みにJAS規格では、穀物酢は、さらに「穀物酢」および「米酢」(いわゆる黒酢を含む。)に分類され、果実酢は、「果実酢」、「リンゴ酢」、「ブドウ酢」に分類されるが、これらのいずれであってもよい。 なお、前記した米酢のうち、黒酢とは、玄米と米麹を壺に入れ振り麹(麹を薄く均一に振り、水面を覆う)をして蓋をし、熟成させたものである。このようにすると、麹カビの働きによって糖化が始まり、次いで酵母によりアルコール発酵し、さらに酢酸菌によって酢酸発酵して約半年後に酢が製造され、さらに1年以上熟成させることにより、琥珀色系の黒酢が生成する。黒酢には、酢酸、乳酸などの有機酸の他に、通常の穀物酢よりもクエン酸、アミノ酸、ビタミンB、水溶性ビタミン類、ミネラル類が多く含まれている。そのため、酢酸に独特の刺激臭や味は、穏やかであるが、風味が強く、通常の穀物酢と黒酢を混ぜ合わせて用いると、風味が調整されてより飲みやすいものになって好ましい。 このような食酢には、3〜5重量%の酢酸が含有されているが、これを酢酸成分3重量%未満に低減化調整する。このような低減化調整は、加熱によって酢酸を揮発させる処理が簡単で効率よく行なえて好ましい方法である。3重量%以上に酢酸が残存していると、そのまま飲用すると喉に刺激があり、または習慣的に飲用しようとした場合に困難な風味となって好ましくない。このような傾向から、この発明の低刺激性シロップ状食酢におけるより好ましい酢酸成分量は、2重量%以下であり、また下限値は特に示す必要性は乏しいが、敢えて挙げると0.1〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。 この発明に用いる蜂蜜は、特に蜂の種類や花蜜の酒類を限定したものではなく、ミツバチが草木の花の蜜を集め、食物として巣の中に貯蔵したものを採集した食品であればよい。 一般的な蜂蜜の成分は、蔗糖を主とする花蜜がミツバチの口から分泌されるβ−フルクトフラノシダーゼと混和されたものであり、これは蜜房で熟成されることによりグルコース40%とフルクトース50%に変化し、その他に蔗糖2〜5%、麦芽糖、蟻酸、乳酸、リンゴ酸、ロウなどを含んでいる。 また、この発明に用いるレモン果皮は、果実であるレモンの表面を覆っている種子を除いた全部をいい、主として子房壁の成熟したもので、外果皮・中果皮・内果皮のいずれであってもよく、特に好ましいものは、果実の表面をおおっている外果皮を含むものである。 なぜなら、外果皮には、リモネン、β−ピネン、γ−テルピネンなどの香りや苦味のある精油成分が含まれており、このような香りにマスキング作用が強いからである。また、外果皮にはビタミンE、カルシウム、カリウム、ビタミンCも中果皮や内果皮に比べて多く含まれている。そして、レモン果皮の成分のうち固形分を除いて略全量が含まれるのであれば、これらレモン果皮の搾汁を用いても良い。 果皮を含むレモン果実の裁断物を用いる場合には、外果皮を含めて果実全体を裁断し、例えば2〜10mm角程度、好ましくは5〜8mm角程度の大きさに細切れに裁断したものを前述の食酢に混合することが好ましい。 上記の説明した食酢と、蜂蜜と、レモン果皮からなる必須成分についての好ましい配合割合は、煮沸時において食酢100重量部に対して、レモン果皮300〜900重量部、蜂蜜300〜900重量部であることが好ましい。レモン果皮が上記所定量未満では、酢酸の香りを充分にマスキングすることが難しくなり、蜂蜜による喉の保護作用を確実に奏させることも困難になる。また、レモン果皮が前記所定範囲を超えて多量に配合されると、レモンの香りのほかに苦味も比較的強く現れてくるので好ましくない。 また、蜂蜜の配合量は、前記所定範囲未満では、シロップ状食酢を飲み込んだときに喉に刺激がある場合があって好ましくなく、また前記所定範囲を超えて配合した場合には、それ以上の喉粘膜の保護効果が現れず、また甘味も必要以上に強く現れて、添加効率およびコスト上昇による経済的理由からも好ましくないからである。 上記した必須成分以外の任意添加材料としては、蜂蜜以外の糖類、またはレモン以外の野菜・果物類、その他の調味性のある食品や香辛料などである。 蜂蜜以外の糖類としては、黒砂糖、果糖、オリゴ糖、蔗糖(砂糖)、麦芽糖、葡萄糖などが挙げられる。このうち、黒砂糖は、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウムなどの含有量が精製糖に比べて高いものであり、砂糖きびの茎の表皮についているワックス成分もコレステロール低下作用が認められるなど、健康に有用な成分を多く含む点で好ましい材料である。 また、果糖(β-D-フルクトース)は、ブドウ糖よりも、肝臓や筋肉でグリコーゲンへの変化率が高く、運動中の低血糖を防ぐ効果があり、しかも血中インシュリンを上昇させる作用が小さいので、糖尿病患者用などにも好ましい。また、リンと作用して解糖するために体内カルシウムを消費せず、また口内で虫歯の原因となるデキストランをつくらず、疲労の原因なるL−乳糖を除去して疲労回復効果があるなど種々の利点があり、この発明には好ましい材料である。 前記の任意添加材料のうち、レモン以外の野菜・果物類としては、低刺激性シロップ状食酢の食感を阻害しない配合で、ミカン、オレンジなどの柑橘類、リンゴ、桃、イチゴ、バナナその他の果物類、ニンジン、トマト、ホウレンソウ、タマネギ、セロリ、キュウリ、パプリカ、モロヘイヤなどの周知の野菜・果物類を添加することができる。 これらのうち、ニンジンは、特にカロチン、カリウム、食物繊維を多く含んでおり、低刺激性シロップ状食酢の味をまろやかにできる点で好ましく、またカロチンは、体内でビタミンAに変化することなどから好ましい材料であるといえる。 また、モロヘイヤもカロチン、カリウム、カルシウムの含有量が多く、細胞増殖および老化防止性のあるムチンを含んでいることからも好ましい材料であるといえる。 耐熱性容器にレモンを果皮を含めて1cm角に裁断したものを600g、果糖150g、黒砂糖150gに400mlの水を加えて都市ガスのコンロの強火で7分間加熱し、その間に生じたアクを除去した。次に、約3mm角のみじん切りにしたニンジン80g、穀物酢600ml、黒酢200mlを加えて5分間煮熟し、さらにアクを除去した。その後、生のモロヘイヤ20gを細かく切ったものを加えて1分間煮熟し、最後に蜂蜜280g(=1cup)を加えて加熱を止め、そのまま8時間自然冷却し、実施例のシロップ状食酢2100gを得た。 得られたシロップ状食酢の25ml(大さじ1.5〜2杯)は、酢酸成分が約1%程度に低減化されたものであり、これに水160mlで薄めて試飲する官能検査を成人男女15人に対して行ったところ、「美味しく飲める」9名、「飲みやすい」5名、「やや飲みにくい」1名との評価が得られ、またいずれのパネラーも喉に刺激がなく、また刺激臭もないとの感想が得られた。 なお、シロップ状食酢は、そのまま、または適宜に薄めて飲むこともできるが、以下のレシピなどのように調味料等として用いてもよい。なお、大さじ1杯は25mlとして計算した。また、シロップ状食酢は、周知の食品に添加して用いてもよいのは勿論のことであり、例えばジャム、ゼリー、飴などに添加することもできる。 [ドレッシング] オリーブ油 大さじ6杯 実施例1のシロップ状食酢 大さじ2杯 塩 小さじ1/2〜1杯 黒コショウ 適量 以上の材料を全量一括して混合し、ドレッシングを製造した。得られたドレッシングを前記パネラーに試食させたところ、ほぼ全員から食酢とオリーブ油の風味が調和し、イタリアン風の美味なものであるとの評価が得られた。 [トマトソース] パプリカ1個、ピーマン2個、シメジ50g(1/2パック)、中サイズのタマネギ1/2個を5mm角にみじん切りした。別途、オリーブ油大さじ2杯、ニンニク適量、赤唐辛子(タカノツメ)2〜3本の輪切りをフライパンで加熱し、前記野菜類を全量入れて、少し柔らかくなるまで炒め、ホールトマト150g(1缶)および水200mlを添加して15〜20分煮た。次いで、塩とコショウで味付けし、バジルを振りかけ、最後に実施例1のシロップ状食酢を大さじ3杯加えてトマトソース(サルサ風)を製造した。 得られたトマトソースを前記パネラーに試食させたところ、ほぼ全員から食酢の風味とトマト類の風味が調和し、美味なものであるとの評価が得られた。 食酢と、蜂蜜と、レモン果皮とを必須成分として含有し、酢酸成分量を低減化調整してなる低刺激性シロップ状食酢。 酢酸成分量の低減化調整が、酢酸成分を3重量%未満に揮発させる低減化調整である請求項1に記載の低刺激性シロップ状食酢。 食酢と果皮を含むレモン果実の裁断物の混合物を大気圧下で煮沸状態に加熱し、酢酸成分を3重量%未満に揮発させた後、蜂蜜を添加する低刺激性シロップ状食酢の製造方法。 【課題】そのまま飲用しても喉に刺激がなく、また刺激臭もなくて習慣的に飲用できるものであり、かつ調味料としても使用可能である低刺激性シロップ状食酢とし、またその簡易な製造方法とすることである。【解決手段】食酢と、蜂蜜と、レモン果皮とを必須成分として含有し、酢酸成分量を3%未満に揮発させるよう調整してなる低刺激性シロップ状食酢とする。このものは食酢と果皮を含むレモン果実の裁断物の混合物を大気圧下で煮沸状態に加熱し、酢酸成分を3%未満に揮発させた後、蜂蜜を添加することにより製造する。【選択図】なし


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