生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ピリジン−N−オキシド類の製造方法
出願番号:2004066420
年次:2005
IPC分類:7,C07D213/89,C07D215/60,C07B61/00


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佐藤 一彦 碓井 洋子 JP 2005255560 公開特許公報(A) 20050922 2004066420 20040309 ピリジン−N−オキシド類の製造方法 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 佐藤 一彦 碓井 洋子 7C07D213/89C07D215/60C07B61/00 JPC07D213/89C07D215/60C07B61/00 300 3 OL 8 4C031 4C055 4H039 4C031QA03 4C055AA17 4C055BA01 4C055BA02 4C055BA03 4C055BA05 4C055BA06 4C055BA39 4C055CA01 4C055CA02 4C055CA05 4C055CA06 4C055CA16 4C055CA39 4C055DA01 4C055DA05 4C055DA06 4C055DA08 4C055DA16 4C055FA01 4C055FA31 4C055FA37 4H039CA62 4H039CC60 本発明は、種々の有機化合物の中間体として有用なピリジン−N−オキシド類の製造法に関し、さらに詳しくは、酸および有機溶媒を使用しない非水溶性のピリジン類油性溶液と過酸化水素水溶液の反応による、ピリジン−N−オキシド類の新規な製造法に関する。 ピリジン類を酸化してピリジン−N−オキシド類を製造する方法としては、ベンゼン溶媒中でのm-クロロ過安息香酸(非特許文献1)、アセトン溶媒中でのジメチルジオキシラン(非特許文献2)、または五塩化モリブデンを触媒とする過酸化−t−アミル(非特許文献3)等を酸化剤として用いる反応が知られている。さらに、メチル三酸化レニウム錯体触媒存在下、塩化メチレン溶媒中でビストリメチル過酸化シリルを酸化剤とする手法(非特許文献4)が報告されている。しかしながら、これらの方法は、反応後に毒性の高い大量の副生成物および有機溶媒を処理しなければならないため操作が煩雑となり、また環境および人体に与える負荷が大きいため、工業的に優れた方法とは言い難い。 一方、過酸化水素は、反応後の共生成物は無害な水のみであるために環境や人体への負荷が小さく、また、装置の腐食等の問題もないため、工業的に利用するのに優れた酸化剤ということができる。 過酸化水素を酸化剤として用いたピリジン類からピリジン−N−オキシド類を製造する方法としては、酸溶媒中で行う反応(非特許文献5)が知られているが、この方法では反応系中で高濃度の過酸が発生するため爆発の危険があり、また反応後に酸溶媒の除去などの必要があるため、操作が煩雑である。さらに、酸による装置の腐食も問題である。 水媒体中、金属触媒存在下、反応系のpHを3〜9(約6程度)に調整するために高濃度の硫酸(95%)や塩酸等を触媒量添加して、ピリジン類と過酸化水素からピリジン−N−オキシド類を生成する方法(特許文献1)も報告されている。この反応では強酸を使用するため、装置の腐食等の問題が発生し、工業的に優れた合成法ではない。 一方、酸を使用しないピリジン−N−オキシド類の生成反応が報告されている。メチル三酸化レニウム錯体を触媒として用いる反応 (非特許文献6)では、塩化メチレンが溶媒として使用されている。また、ハイドロタルサイト触媒を用いた過酸化水素によるピリジン類の酸化反応(非特許文献7)が報告されたが、この反応では基質に対して二当量のベンゾニトリルを添加する必要があり、さらに、ピリジン類と過酸化水素水溶液を混合するために溶媒としてメタノールを使用しなくてはならない。 一般に、非水溶性のピリジン類の酸化反応において、過酸化水素水溶液を酸化剤とする場合、溶媒量または高濃度の酸を使用したり、ピリジン類油性溶液を溶解させて均一溶液とするために有機溶媒の使用が不可欠とされている。その結果、反応装置が腐食したり、目的生成物であるピリジン−N−オキシド類を単離する際に、酸または有機溶媒の除去手段が必要となり、反応操作が煩雑となる。さらにそれらの環境及び人体への影響・毒性も指摘されるに至っている。このように、操作が煩雑で装置の腐食等を引き起こし、また環境や人体へ有害である酸や有機溶媒を用いることによるピリジン−N−オキシド類の合成法がほとんどであった。過酸化水素の利便性、即ち環境や人体への負荷が小さく装置の腐食の問題がない等の性質を、酸や有機溶媒を使用することによって生かすことができていなかった。特開平10-324678TetrahedronLett., 4867−4870(1966)J. Org. Chem., 50, 2847−2853 (1985)TetrahedronLett., 2807−2808(1971)TetrahedronLett., 39, 761−764 (1998)J. Chem. Soc., Chem. Commun., 28−29 (1971)J. Org. Chem., 63, 1740−1741 (1998)NewJ. Chem., 23, 799−801 (1999) 本発明は、上記のような従来技術の問題点を克服するためになされたものであって、温和な反応条件下、酸および有機溶媒を使用せずとも、非水溶性のピリジン類油性溶液からピリジン−N−オキシド類を高収率で得ることができると共に、反応操作が簡便で反応終了後の酸や溶媒の除去操作を不要とし、装置の腐食も少なく、環境や人体への影響・毒性がきわめて小さい、非水溶性ピリジン類油性溶液と過酸化水素水溶液との反応による安全でかつ簡便で効率的なピリジン−N−オキシド類の新規製造法を提供することを目的とする。 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、酸あるいは有機溶媒を使用した非水溶性ピリジン類油性溶液と過酸化水素水溶液との酸化反応を行う従来の反応方法に代えて、酸および有機溶媒を使用しなくても、特定な触媒存在下、過酸化水素水溶液と非水溶性のピリジン類油性溶液の不均一溶液系を用いる反応を選定すると、従来の常識的な技術的知見とは異なり、対応するピリジン−N−オキシド類が高収率で安全かつ簡便に製造しうることを見いだし、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。(1)非水溶性のピリジン類油性溶液と過酸化水素水溶液を、周期律表第6族金属酸類触媒の存在下、不均一溶液で反応させることを特徴とするピリジン−N−オキシド類の製造方法。(2)6族金属酸類が、6族金属酸、6族金属酸アルカリ又は6族金属酸化物である上記(1)に記載のピリジン−N−オキシド類の製造方法。(3)酸および有機溶媒の非在下で反応を行うことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のピリジン−N−オキシド類の製造方法。本発明の製造方法によれば、種々の有機化合物の中間体として幅広く用いられる有用なピリジンN−オキシド類を、温和な条件下で、かつ高収率で得ることができる。また、本発明方法は、酸および有機溶媒を一切使用しないため、反応操作が簡便で、装置の腐食も少なく、環境や人体への影響・毒性がきわめて小さく、環境に対する負荷を軽減する効果も有し、安全かつ効率的にピリジン−N−オキシド類を得ることができる。したがって、本発明方法は工業的に多大な効果をもたらす発明ということができる。 本発明に係る過酸化水素を用いる非水溶性のピリジン類の酸化反応によるピリジン−N−オキシド類の製造方法は、該酸化反応を、周期律表第6族金属酸類を含む触媒の存在下、好ましくは酸および有機溶媒の非在下で、過酸化水素水溶液とピリジン類油性溶液の不均一溶液中で行うことを特徴としている。 従来、過酸化水素を用いた酸化においては、酸を溶媒として、あるいは触媒量の強酸と金属を系中に添加して反応を円滑に進行させる手法が採られていた。しかしながら、酸を使用すると装置の腐食を招き、反応後の酸の除去操作等も煩雑となり、また過酸が発生して爆発の危険性もあるため、工業的な大スケールでの合成には不向きである。 さらに、液液反応においては、原料同士、あるいは原料と酸化剤、反応促進剤などの反応試薬が相溶性を持たない場合には、反応を円滑に進めるために原料と反応試薬が相互に溶解する有機溶媒を用いて、両者の均一な溶液を予め調整し、しかる後反応させるプロセスが選択率、収率などの点で有利であるとされていた。しかしながら、反応後の有機溶媒の除去操作等の操作が煩雑であり、また有機溶媒自身の人体に及ぼす毒性が問題視されている。 ピリジン類と過酸化水素の反応によるピリジン−N−オキシド類の合成反応においても、前記したように、これらの発想が踏襲され、酸または有機溶媒を使用して、ピリジン類油性溶液と過酸化水素を反応させてピリジン−N−オキシド類を製造するプロセスが採られている。 本発明者らは、かかる酸化反応を更に効率的にかつ環境・人体の保護の観点から、種々様々な研究、実験、理論的な考察を模索した結果、この過酸化水素を酸化剤とする非水溶性のピリジン類の酸化反応は、従来の技術常識とは異なり、酸および有機溶媒を一切使用せず、非水溶性のピリジン類油性溶液と過酸化水素水溶液の不均一溶液系で行った場合には、ピリジン−N−オキシド類が収率良く生成し、しかも環境負荷の軽減に著しく貢献することを知見した。このような知見は従来の技術常識では到底予期できるものではなく、本発明者の弛まぬ実験研究の積み重ねによって見いだされた現象である。 本発明における基質のピリジン類としては、従来公知のものが何れも使用でき、通常下記一般式(1)で示される化合物が用いられる。式中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立して同一または相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、ニトロ基、スルホン酸基、アルコキシカルボニル基、シリル基、ホスホリル基、スルフィニル基、スルホニル基、スルホナート基などの当該酸化反応に関与しない基を示し、必要に応じ当該酸化反応に不活性な置換基で置換されていてもよい。また、R1、R2、R3、R4およびR5のいずれか二つがそれぞれから水素原子を取り除いた残基で互いに結合して環を形成していても良く、さらにはR1、R2、R3、R4およびR5のいずれか二つから水素原子を取り除いた残基が2価の原子または/および2価の官能基を介して互いに結合して環を形成していても良い。本発明で好ましく使用されるピリジン類としては、例えば、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2−ピリジンメタノール、3−ピリジンメタノール、4−ピリジンメタノール、4−フェニルピリジン、3−クロロピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、キノリンなどが挙げられる。過酸化水素の使用量はピリジン類の窒素原子に対して通常1〜20当量、好ましくは1〜8当量の範囲である。過酸化水素の濃度は特に制限はなく、市販の30%水溶液で充分であるが、3−20%程度に希釈して用いてもよい。 本発明方法で用いる触媒は、周期律表第6族金属化合物を主体とするものである。このような金属化合物としては、クロム、モリブテンおよびタングステンから選ばれた少なくとも一種の金属化合物を挙げることができる。 具体的には、クロム化合物としては、水中でクロム酸アニオンを生成するクロム化合物、例えばクロム酸、三酸化クロム、三硫化クロム、六塩化クロム、リンクロム酸、クロム酸アンモニウム、クロム酸カリウム二水和物、クロム酸ナトリウム二水和物等が挙げられるが、クロム酸、三酸化クロム、リンクロム酸が好ましい。 モリブデン化合物としては、水中でモリブデン酸アニオンを生成する化合物、例えばモリブデン酸、三酸化モリブデン、三硫化モリブデン、六塩化モリブデン、リンモリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸カリウム二水和物、モリブデン酸ナトリウム二水和物等が挙げられるが、モリブデン酸、三酸化モリブデン、リンモリブデン酸が好ましい。 タングステン化合物としては、水中でタングステン酸アニオンを生成する化合物であり、例えばタングステン酸、三酸化タングステン、三硫化タングステン、六塩化タングステン、リンタングステン酸、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸カリウム二水和物、タングステン酸ナトリウム二水和物等が挙げられるが、タングステン酸、三酸化タングステン、リンタングステン酸が好ましい。 これらの周期律表第6族金属化合物は単独で使用しても、二種以上を併用しても良い。また、その使用量に特に制限はないが、通常、原料のピリジン類に対して0.000001〜0.2当量、好ましくは0.0001〜0.1当量の範囲から選ばれる。 本発明の製造方法で用いる触媒は、前記した周期律表第6族金属化合物が主体とするものであるが、必要に応じ、四級アンモニウム塩等の補助触媒等を使用することも可能である。本発明方法の反応条件には、特に制約はないが、通常、反応は30〜120 ℃、好ましくは50〜100 ℃の範囲で行われる。反応圧力は常圧、加圧、減圧のいずれでも良いが、常圧で行うことが望ましい。本発明の好ましい製造方法においては、非水溶性のピリジン類油性溶液と触媒を混合した溶液を反応実施温度まで加温し、ついで過酸化水素水溶液を徐々に滴下して撹拌しながら反応させる方法が採られる。本発明方法で得られるピリジン−N−オキシド類は、通常下記一般式(2)で示される。(式中の各記号は、一般式(1)と同じ。)このような、ピリジン−N−オキシド類としては、例えば、ピリジン−N−オキシド、2−ピコリン−N−オキシド、3−ピコリン−N−オキシド、4−ピコリン−N−オキシド、2−ピリジンメタノール−N−オキシド、3−ピリジンメタノール−N−オキシド、4−ピリジンメタノール−N−オキシド、4−フェニルピリジン−N−オキシド、3−クロロピリジン−N−オキシド、2,6−ルチジン−N−オキシド、2,4,6−コリジン−N−オキシド、キノリン−N−オキシドなどが例示される。 生成した目的生成物であるピリジン−N−オキシド類は、反応終了後に水相から分離して取り出し、再結晶や蒸留、昇華等の通常の方法によって精製することが出来る。以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。実施例1 H2WO4 (25.0 mg, 0.100 mmol)とピリジン(0.81 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、ピリジン−N−オキシドの収率は97%であった。比較例1ピリジンと過酸化水素水溶液が均一相をなすように、あらかじめジオキサン(10 mL)を加えた以外は実施例1と同じ条件で反応を行った結果、ピリジン−N−オキシドの収率は9%であった。 実施例2 H2WO4 (250.0 mg, 1.000 mmol)とピリジン(8.10 mL, 100 mmol)を混合し、60 ℃で20分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(34.0 mL, 300 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。過剰の過酸化水素を二酸化マンガンで分解した。溶液をろ過し、エバポレータで水を留去した後、蒸留により得られたピリジン−N−オキシド(8.37g, 88 mmol)の収率は88%であった。実施例3 H3[P(W3O10)4] (24.0mg, 0.0083 mmol)とピリジン(0.81 mL, 10mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、ピリジン−N−オキシドの収率は63%であった。実施例4 MoO3 (14.4 mg, 0.100 mmol)とピリジン(0.81 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、ピリジン−N−オキシドの収率は12%であった。実施例5 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と2−ピコリン(0.97 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、2−ピコリン−N−オキシドの収率は100%であった。実施例6 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と3−ピコリン(0.97 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、3−ピコリン−N−オキシドの収率は98%であった。実施例7 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と4−ピコリン(0.97 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、4−ピコリン−N−オキシドの収率は99%であった。実施例8 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と2−ピリジンメタノール(0.97 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、2−ピリジンメタノール−N−オキシドの収率は88%であった。実施例9 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と3−ピリジンメタノール(0.96 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、3−ピリジンメタノール−N−オキシドの収率は83%であった。実施例10 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と4−ピリジンメタノール(1.091 g, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、4−ピリジンメタノール−N−オキシドの収率は90%であった。実施例11 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と4−フェニルピリジン(1.552 g, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、4−フェニルピリジン−N−オキシドの収率は90%であった。実施例12 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と2−クロロピリジン(0.94 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、2−クロロピリジン−N−オキシドの収率は85%であった。実施例13 H2WO4 (25.0 mg, 0.100 mmol)と3−クロロピリジン(0.95 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、3−クロロピリジン−N−オキシドの収率は97%であった。実施例14 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と2,6−ルチジン(1.16 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、2,6−ルチジン−N−オキシドの収率は92%であった。実施例15 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と2,4,6−コリジン(1.32 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(5.7 mL, 50 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、2,4,6−コリジン−N−オキシドの収率は83%であった。実施例16 H2WO4 (25.0 mg, 0.100 mmol)とキノリン(1.20 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、キノリン−N−オキシドの収率は91%であった。非水溶性のピリジン類油性溶液と過酸化水素水溶液を、周期律表第6族金属酸類触媒の存在下、不均一溶液で反応させることを特徴とするピリジン−N−オキシド類の製造方法。6族金属酸類が、6族金属酸、6族金属酸アルカリ又は6族金属酸化物である請求項1に記載のピリジン−N−オキシド類の製造方法。酸および有機溶媒の非在下で反応を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のピリジン−N−オキシド類の製造方法。 【課題】 温和な反応条件下で、酸および有機溶媒を一切使用しなくても、ピリジン類からピリジン−N−オキシド類を高収率で得ることができると共に、反応操作が簡便で、装置の腐食も少なく、環境や人体への影響・毒性がきわめて小さい、ピリジン類と過酸化水素水溶液との反応による安全かつ効率的なピリジン−N−オキシド類の製造方法を提供する。【解決手段】 ピリジン類油性溶液と過酸化水素水溶液を、好ましくは酸および有機溶媒の非在下で、周期律表第6族金属酸類触媒存在下、不均一溶液系で反応させる。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_ピリジン−N−オキシド類の製造方法

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タイトル:特許公報(B2)_ピリジン−N−オキシド類の製造方法
出願番号:2004066420
年次:2008
IPC分類:C07D 213/89,C07D 215/60,C07B 61/00


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佐藤 一彦 碓井 洋子 JP 4072623 特許公報(B2) 20080201 2004066420 20040309 ピリジン−N−オキシド類の製造方法 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 佐藤 一彦 碓井 洋子 20080409 C07D 213/89 20060101AFI20080319BHJP C07D 215/60 20060101ALI20080319BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080319BHJP JPC07D213/89C07D215/60C07B61/00 300 C07D 213/00−89 C07D 215/00−60 C07B 61/00 CAplus(STN) 米国特許第03047579(US,A) 特開平10−324678(JP,A) 特開2004−059451(JP,A) ハンガリー特許183595号,1984年 5月28日 1 2005255560 20050922 8 20040315 齋藤 恵 本発明は、種々の有機化合物の中間体として有用なピリジン−N−オキシド類の製造法に関し、さらに詳しくは、酸および有機溶媒を使用しない非水溶性のピリジン類油性溶液と過酸化水素水溶液の反応による、ピリジン−N−オキシド類の新規な製造法に関する。 ピリジン類を酸化してピリジン−N−オキシド類を製造する方法としては、ベンゼン溶媒中でのm-クロロ過安息香酸(非特許文献1)、アセトン溶媒中でのジメチルジオキシラン(非特許文献2)、または五塩化モリブデンを触媒とする過酸化−t−アミル(非特許文献3)等を酸化剤として用いる反応が知られている。さらに、メチル三酸化レニウム錯体触媒存在下、塩化メチレン溶媒中でビストリメチル過酸化シリルを酸化剤とする手法(非特許文献4)が報告されている。しかしながら、これらの方法は、反応後に毒性の高い大量の副生成物および有機溶媒を処理しなければならないため操作が煩雑となり、また環境および人体に与える負荷が大きいため、工業的に優れた方法とは言い難い。 一方、過酸化水素は、反応後の共生成物は無害な水のみであるために環境や人体への負荷が小さく、また、装置の腐食等の問題もないため、工業的に利用するのに優れた酸化剤ということができる。 過酸化水素を酸化剤として用いたピリジン類からピリジン−N−オキシド類を製造する方法としては、酸溶媒中で行う反応(非特許文献5)が知られているが、この方法では反応系中で高濃度の過酸が発生するため爆発の危険があり、また反応後に酸溶媒の除去などの必要があるため、操作が煩雑である。さらに、酸による装置の腐食も問題である。 水媒体中、金属触媒存在下、反応系のpHを3〜9(約6程度)に調整するために高濃度の硫酸(95%)や塩酸等を触媒量添加して、ピリジン類と過酸化水素からピリジン−N−オキシド類を生成する方法(特許文献1)も報告されている。この反応では強酸を使用するため、装置の腐食等の問題が発生し、工業的に優れた合成法ではない。 一方、酸を使用しないピリジン−N−オキシド類の生成反応が報告されている。メチル三酸化レニウム錯体を触媒として用いる反応 (非特許文献6)では、塩化メチレンが溶媒として使用されている。また、ハイドロタルサイト触媒を用いた過酸化水素によるピリジン類の酸化反応(非特許文献7)が報告されたが、この反応では基質に対して二当量のベンゾニトリルを添加する必要があり、さらに、ピリジン類と過酸化水素水溶液を混合するために溶媒としてメタノールを使用しなくてはならない。 一般に、非水溶性のピリジン類の酸化反応において、過酸化水素水溶液を酸化剤とする場合、溶媒量または高濃度の酸を使用したり、ピリジン類油性溶液を溶解させて均一溶液とするために有機溶媒の使用が不可欠とされている。その結果、反応装置が腐食したり、目的生成物であるピリジン−N−オキシド類を単離する際に、酸または有機溶媒の除去手段が必要となり、反応操作が煩雑となる。さらにそれらの環境及び人体への影響・毒性も指摘されるに至っている。このように、操作が煩雑で装置の腐食等を引き起こし、また環境や人体へ有害である酸や有機溶媒を用いることによるピリジン−N−オキシド類の合成法がほとんどであった。過酸化水素の利便性、即ち環境や人体への負荷が小さく装置の腐食の問題がない等の性質を、酸や有機溶媒を使用することによって生かすことができていなかった。特開平10-324678TetrahedronLett., 4867−4870(1966)J. Org. Chem., 50, 2847−2853 (1985)TetrahedronLett., 2807−2808(1971)TetrahedronLett., 39, 761−764 (1998)J. Chem. Soc., Chem. Commun., 28−29 (1971)J. Org. Chem., 63, 1740−1741 (1998)NewJ. Chem., 23, 799−801 (1999) 本発明は、上記のような従来技術の問題点を克服するためになされたものであって、温和な反応条件下、酸および有機溶媒を使用せずとも、非水溶性のピリジン類油性溶液からピリジン−N−オキシド類を高収率で得ることができると共に、反応操作が簡便で反応終了後の酸や溶媒の除去操作を不要とし、装置の腐食も少なく、環境や人体への影響・毒性がきわめて小さい、非水溶性ピリジン類油性溶液と過酸化水素水溶液との反応による安全でかつ簡便で効率的なピリジン−N−オキシド類の新規製造法を提供することを目的とする。 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、酸あるいは有機溶媒を使用した非水溶性ピリジン類油性溶液と過酸化水素水溶液との酸化反応を行う従来の反応方法に代えて、酸および有機溶媒を使用しなくても、特定な触媒存在下、過酸化水素水溶液と非水溶性のピリジン類油性溶液の不均一溶液系を用いる反応を選定すると、従来の常識的な技術的知見とは異なり、対応するピリジン−N−オキシド類が高収率で安全かつ簡便に製造しうることを見いだし、本発明を完成するに至った。 即ち、この出願によれば、以下の発明が提供される。 (1)タングステン酸触媒の存在下、非水溶性のピリジン類それ自体の油性液と過酸化水素水溶液を、酸および有機溶媒を用いずに、不均一溶液系で反応させることを特徴とするピリジン−N−オキシド類の製造方法。本発明の製造方法によれば、種々の有機化合物の中間体として幅広く用いられる有用なピリジンN−オキシド類を、温和な条件下で、かつ高収率で得ることができる。また、本発明方法は、酸および有機溶媒を一切使用しないため、反応操作が簡便で、装置の腐食も少なく、環境や人体への影響・毒性がきわめて小さく、環境に対する負荷を軽減する効果も有し、安全かつ効率的にピリジン−N−オキシド類を得ることができる。したがって、本発明方法は工業的に多大な効果をもたらす発明ということができる。 本発明に係る過酸化水素を用いる非水溶性のピリジン類の酸化反応によるピリジン−N−オキシド類の製造方法は、該酸化反応を、タングステン酸触媒の存在下、非水溶性のピリジン類それ自体の油性液(以下、ピリジン油性溶液ともいう)と過酸化水素水溶液を、酸および有機溶媒を用いずに、不均一溶液系で反応させることを特徴としている。 従来、過酸化水素を用いた酸化においては、酸を溶媒として、あるいは触媒量の強酸と金属を系中に添加して反応を円滑に進行させる手法が採られていた。しかしながら、酸を使用すると装置の腐食を招き、反応後の酸の除去操作等も煩雑となり、また過酸が発生して爆発の危険性もあるため、工業的な大スケールでの合成には不向きである。 さらに、液液反応においては、原料同士、あるいは原料と酸化剤、反応促進剤などの反応試薬が相溶性を持たない場合には、反応を円滑に進めるために原料と反応試薬が相互に溶解する有機溶媒を用いて、両者の均一な溶液を予め調整し、しかる後反応させるプロセスが選択率、収率などの点で有利であるとされていた。しかしながら、反応後の有機溶媒の除去操作等の操作が煩雑であり、また有機溶媒自身の人体に及ぼす毒性が問題視されている。 ピリジン類と過酸化水素の反応によるピリジン−N−オキシド類の合成反応においても、前記したように、これらの発想が踏襲され、酸または有機溶媒を使用して、ピリジン類油性溶液と過酸化水素を反応させてピリジン−N−オキシド類を製造するプロセスが採られている。 本発明者らは、かかる酸化反応を更に効率的にかつ環境・人体の保護の観点から、種々様々な研究、実験、理論的な考察を模索した結果、この過酸化水素を酸化剤とする非水溶性のピリジン類の酸化反応は、従来の技術常識とは異なり、酸および有機溶媒を一切使用せず、非水溶性のピリジン類油性溶液と過酸化水素水溶液の不均一溶液系で行った場合には、ピリジン−N−オキシド類が収率良く生成し、しかも環境負荷の軽減に著しく貢献することを知見した。このような知見は従来の技術常識では到底予期できるものではなく、本発明者の弛まぬ実験研究の積み重ねによって見いだされた現象である。 本発明における基質のピリジン類としては、従来公知のものが何れも使用でき、通常下記一般式(1)で示される化合物が用いられる。式中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立して同一または相異なり、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、ニトロ基、スルホン酸基、アルコキシカルボニル基、シリル基、ホスホリル基、スルフィニル基、スルホニル基、スルホナート基などの当該酸化反応に関与しない基を示し、必要に応じ当該酸化反応に不活性な置換基で置換されていてもよい。また、R1、R2、R3、R4およびR5のいずれか二つがそれぞれから水素原子を取り除いた残基で互いに結合して環を形成していても良く、さらにはR1、R2、R3、R4およびR5のいずれか二つから水素原子を取り除いた残基が2価の原子または/および2価の官能基を介して互いに結合して環を形成していても良い。本発明で好ましく使用されるピリジン類としては、例えば、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2−ピリジンメタノール、3−ピリジンメタノール、4−ピリジンメタノール、4−フェニルピリジン、3−クロロピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、キノリンなどが挙げられる。過酸化水素の使用量はピリジン類の窒素原子に対して通常1〜20当量、好ましくは1〜8当量の範囲である。過酸化水素の濃度は特に制限はなく、市販の30%水溶液で充分であるが、3−20%程度に希釈して用いてもよい。 本発明方法で用いる触媒は、タングステン酸を主体とするものである。その使用量に特に制限はないが、通常、原料のピリジン類に対して0.000001〜0.2当量、好ましくは0.0001〜0.1当量の範囲から選ばれる。 本発明の製造方法で用いる触媒は、前記したタングステン酸を主体とするものであるが、必要に応じ、四級アンモニウム塩等の補助触媒等を使用することも可能である。本発明方法の反応条件には、特に制約はないが、通常、反応は30〜120 ℃、好ましくは50〜100 ℃の範囲で行われる。反応圧力は常圧、加圧、減圧のいずれでも良いが、常圧で行うことが望ましい。本発明の好ましい製造方法においては、非水溶性のピリジン類油性溶液と触媒を混合した溶液を反応実施温度まで加温し、ついで過酸化水素水溶液を徐々に滴下して撹拌しながら反応させる方法が採られる。本発明方法で得られるピリジン−N−オキシド類は、通常下記一般式(2)で示される。(式中の各記号は、一般式(1)と同じ。)このような、ピリジン−N−オキシド類としては、例えば、ピリジン−N−オキシド、2−ピコリン−N−オキシド、3−ピコリン−N−オキシド、4−ピコリン−N−オキシド、2−ピリジンメタノール−N−オキシド、3−ピリジンメタノール−N−オキシド、4−ピリジンメタノール−N−オキシド、4−フェニルピリジン−N−オキシド、3−クロロピリジン−N−オキシド、2,6−ルチジン−N−オキシド、2,4,6−コリジン−N−オキシド、キノリン−N−オキシドなどが例示される。 生成した目的生成物であるピリジン−N−オキシド類は、反応終了後に水相から分離して取り出し、再結晶や蒸留、昇華等の通常の方法によって精製することが出来る。以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。実施例1 H2WO4 (25.0 mg, 0.100 mmol)とピリジン(0.81 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、ピリジン−N−オキシドの収率は97%であった。比較例1ピリジンと過酸化水素水溶液が均一相をなすように、あらかじめジオキサン(10 mL)を加えた以外は実施例1と同じ条件で反応を行った結果、ピリジン−N−オキシドの収率は9%であった。 実施例2 H2WO4 (250.0 mg, 1.000 mmol)とピリジン(8.10 mL, 100 mmol)を混合し、60 ℃で20分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(34.0 mL, 300 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。過剰の過酸化水素を二酸化マンガンで分解した。溶液をろ過し、エバポレータで水を留去した後、蒸留により得られたピリジン−N−オキシド(8.37g, 88 mmol)の収率は88%であった。参考例1 H3[P(W3O10)4] (24.0 mg, 0.0083 mmol)とピリジン(0.81 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、ピリジン−N−オキシドの収率は63%であった。参考例2 MoO3 (14.4 mg, 0.100 mmol)とピリジン(0.81 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、ピリジン−N−オキシドの収率は12%であった。実施例3 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と2−ピコリン(0.97 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、2−ピコリン−N−オキシドの収率は100%であった。実施例4 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と3−ピコリン(0.97 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、3−ピコリン−N−オキシドの収率は98%であった。実施例5 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と4−ピコリン(0.97 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、4−ピコリン−N−オキシドの収率は99%であった。実施例6 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と2−ピリジンメタノール(0.97 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、2−ピリジンメタノール−N−オキシドの収率は88%であった。実施例7 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と3−ピリジンメタノール(0.96 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、3−ピリジンメタノール−N−オキシドの収率は83%であった。実施例8 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と4−ピリジンメタノール(1.091 g, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、4−ピリジンメタノール−N−オキシドの収率は90%であった。実施例9 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と4−フェニルピリジン(1.552 g, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、4−フェニルピリジン−N−オキシドの収率は90%であった。実施例10 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と2−クロロピリジン(0.94 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、2−クロロピリジン−N−オキシドの収率は85%であった。実施例11 H2WO4 (25.0 mg, 0.100 mmol)と3−クロロピリジン(0.95 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、3−クロロピリジン−N−オキシドの収率は97%であった。実施例12 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と2,6−ルチジン(1.16 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、2,6−ルチジン−N−オキシドの収率は92%であった。実施例13 H2WO4 (125.0 mg, 0.500 mmol)と2,4,6−コリジン(1.32 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(5.7 mL, 50 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、2,4,6−コリジン−N−オキシドの収率は83%であった。実施例14 H2WO4 (25.0 mg, 0.100 mmol)とキノリン(1.20 mL, 10 mmol)を混合し、60 ℃で10分間撹拌した。その混合溶液へ30%過酸化水素水溶液(3.4 mL, 30 mmol)を徐々に滴下し、60 ℃で24時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。GCおよびNMRを測定したところ、キノリン−N−オキシドの収率は91%であった。 タングステン酸触媒の存在下、非水溶性のピリジン類それ自体の油性液と過酸化水素水溶液を、酸および有機溶媒を用いずに、不均一溶液系で反応させることを特徴とするピリジン−N−オキシド類の製造方法。


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