生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_メラニン産生促進剤
出願番号:2004059378
年次:2005
IPC分類:7,A61K7/06


特許情報キャッシュ

久保 道徳 松田 秀秋 JP 2005247736 公開特許公報(A) 20050915 2004059378 20040303 メラニン産生促進剤 ベリトロン・リミテッド 503194819 VERITRON LIMITED 田村 恭生 100068526 品川 永敏 100126778 久保 道徳 松田 秀秋 7A61K7/06 JPA61K7/06 6 OL 8 4C083 4C083AA111 4C083AA112 4C083CC37 4C083EE24 本発明は、毛髪用のメラニン産生促進剤に関する。詳しくは、黒髪の維持に深く関わっているメラニンを産生するメラノイサイトのメラニン産生促進作用に関するものであり、更に詳しくは、白毛症または白髪等のメラニン産生不全に基づく毛髪の症状又は状態を予防し、改善し若しくは治療することができる薬剤若しくは化粧料に関する。 本発明において、白毛症の治療剤とは白毛の症状を予防し、改善しおよび/又は治療する薬剤を意味し、白髪改善剤とは、白髪を予防し、および/又は改善する化粧料を意味する。 表皮あるいは毛髪に存在するメラニン産生細胞より産生されるメラニンは、角化細胞に移行され、角化細胞の増殖、分化に伴い組織に供給分散される。この際、組織に供給されるメラニンの量的および質的差異により、組織の色調が決定される。シミ、ソバカス、色黒やステロイドなどの薬物による皮膚の黒化症などの色素沈着症は、皮膚にメラニン色素が過剰に沈着するために発生する疾患である。 一方、メラニン産生能の欠落あるいは低下の結果、加齢に伴い白毛症がおこる。白毛症とは限局性島状に白色の毛の生ずる現象をいい、毛嚢内のメラノサイトのチロシナーゼの酵素活性の不全に伴うメラニン形成低下が主因である。このメラニンは、動植物界に広く分布しているが、脊椎動物においては、メラノサイト中に細胞質顆粒メラノソームで、チロシンがチロシナーゼにより酸化されて、ドーパ、ドーパキノンが生合成され、さらにドーパキノンは紫外線による自動酸化によってインドールキノンになり、複雑な経路を経てメラニンが生合成されることが知られている。 また、通常加齢化に伴って生ずる白髪化もメラニン産生能低下が主たる原因と考えられるが、白毛症や白髪化のようなメラニン産生不全は、男女を問わず美容上好ましくないものである。しかし、白毛症や白髪化の治療法または対処法としては、もっぱら染剤で染めるのがほとんどで、治療剤としても種々の毛髪用化粧料が報告されているが、根本的な治療剤として広く応用されるに至っているものはない。 Ranunculaceae(キンポウゲ科)Nigella(クロタネソウ)属植物は、茎が堅く直立した株状の一年草約20種(Nigella damascena(クロタネソウ)、Nigella sativa(ニオイクロタネソウあるいはセイヨウクロタネソウ)、Nigella hispanica、Nigella orientalisなど)が、地中海地域、ユーラシア、北アフリカの岸壁斜面、荒地、休閑地に自生する。花は主に夏季に咲き、観賞用として切花、鉢植え、花壇に利用される。特にその種子はブラックシード(Balck Seed)あるいはブラッククミン(Black Cumin)と呼ばれ、インド、トルコ、ギリシャ、中東(特にエジプトやチュニジア)では香辛料として用いられている。種子はやや弱い辛味性の風味をもち、5世紀頃にアジアからヨーロッパにコショウが伝わる前の調味料として汎用されていた。地中海沿岸では古代エジプト時代より風邪、喘息、結膜炎、小児麻痺、湿疹など種々の疾患に有効と伝承され、その溶媒抽出物あるいは圧搾抽出物については、血糖降下、抗腫瘍、気管支拡張、降圧、抗菌、抗真菌作用などが報告されている。 頭髪に関する作用としては、例えば仏国特許公開公報(特許文献1参照)に、Nigella sativaに由来する油成分が毛髪再生促進作用を示すことが記載されている。しかし、その作用機序については全く触れておらず、メラニン産生促進効果やテストステロン5α−レダクターゼ阻害効果の記載はない。また、白毛症又は白髪の改善等に関する効果も知られていない。仏国特許出願公開第2728168号明細書 そのため、本発明はメラニン産生促進効果に優れ、白毛症または白髪化等のメラニン産生不全に基づく毛髪の症状又は状態を予防し、改善し若しくは治療することができる薬剤若しくは化粧料を提供することを目的としてなされたものである。 本発明者らはRanunculaceae(キンポウゲ科)Nigella(クロタネソウ)属植物に着目し、その抽出物を有効成分とする物質が、培養メラノーマ細胞に対してメラニン産生促進効果を有することを見出した。 更に本発明者らは、その抽出物を有効成分とする物質がテストステロン5α−リダクターゼ(以下、リダクターゼ)阻害作用を併せ持つことを見出した。リダクターゼの作用によりテストステロンから生成される5α−ジヒドロテストステロンはレセプターと結合して複合体を形成し、特定のDNAに作用することによってmRNAの発現を介してある種の蛋白質が合成され、これが毛包上皮系細胞に働いて、毛成長や毛周期(ヘアサイクル)に異常を引き起こし、毛包を萎縮させ、脱毛を誘発する原因になるとともに、メラノーマの活動を抑制することが知られている。従って、リダクターゼ阻害作用を有する薬物は毛髪成長促進作用とともにメラノーマ賦活作用を有すると考えられる。 かくして、本発明者らは、Ranunculaceae(キンポウゲ科)Nigella(クロタネソウ)属植物に着目し、その抽出物を有効成分とする物質が、抗男性ホルモン作用を介する間接的な作用と、メラノーマに対する直接的な作用に基づく優れたメラニン産生促進効果を有し、上記の目的に適うものであることを見出して、本発明を完成した。 すなわち、本発明のメラニン産生促進剤は、Ranunculaceae(キンポウゲ科)Nigella(クロタネソウ)属植物あるいはその抽出物を有効成分として含有するものである。好ましくはNigella(クロタネソウ)属植物が特にその種子(ブラックシード(Black Seed)あるいはブラッククミン(Black Cumin))の抽出物を有効成分として含有するものである。 本発明にかかる、Ranunculaceae(キンポウゲ科)Nigella(クロタネソウ)属植物あるいはその抽出物は、メラノーマに対し直接作用してメラニンの産生を促進するのみならず、リダクターゼ阻害によりメラノーマの活動を抑制する男性ホルモンを減少させるから、メラニン産生促進作効果に優れている。従って、本発明のメラニン産生促進剤は外用剤、経口投与剤などとして好適に使用することができ、白毛症または白髪等のメラニン産生不全に基づく毛髪の症状又は状態を予防し、改善し若しくは治療することができる薬剤若しくは化粧料として利用することができる。 本発明において、Nigella(クロタネソウ)属植物の使用する部位としてはこの植物を構成する全て、または種子、葉、根、根茎、茎など植物を構成する部位の一部を用いることもできるが、好ましくは、種子(ブラックシード(Black Seed)あるいはブラッククミン(Black Cumin))を用いたものである。生のままでも乾燥したものでも使用することができるが、使用性、製剤化等の点から乾燥粉末、溶媒抽出物、圧搾抽出物として用いることが好ましい。 本発明において、Nigella(クロタネソウ)属植物の抽出物は常法により得ることができる。例えば植物の種子、葉、根、根茎、茎などを水および/または有機溶媒を用いて抽出して抽出液を得る一般公知の方法を用いることができる。さらにこの抽出液から凍結乾燥、噴霧乾燥、減圧留去など一般公知の溶媒除去方法により粉末を得ることができる。有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数1〜4の低級アルコール、エチルエーテル、メチルエーテルなど炭素数2〜4のエーテルやアセトン、メチルエチルケトンなど炭素数3〜4のケトンなどが挙げられる。これらの中で、特にエタノールが好ましい。また、これらの溶媒は単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよく、水とこれらの有機溶媒を混合して使用してもよい。 好ましい抽出溶媒としては、含水アルコールが挙げられ、特に含水エタノールが好ましい。エタノールの含有率は特に限定はされないが、通常、40%から60%の範囲であり、50%含水エタノール(以下、50%エタノール)が特に好ましい。これらの抽出溶媒の使用量は特に制限されない。抽出の具体的方法は、例えばエキス剤、チンキ剤などを製する際に用いられる冷浸法、温浸法、パーコレーション法などを適用することができる。得られた抽出液はそのまま、またはさらに濃縮したり、希釈したり、精製したりして用いることもできる。 さらに、これらの抽出液や粉末を、カラムクロマトグラフィーなどを用いて精製することにより、単一成分としたものを用いることもできる。 本発明者のメラニン産生促進剤はそのまま使用しても良いが、通常の化粧料、医薬部外品、医薬品などに用いられる成分と混合したものとすることができる。この場合、前記植物またはその抽出物は、全組成中に植物の乾燥固形分(抽出物の場合は抽出に用いた植物の乾燥固形分)に換算して0.0001〜20重量%、特に0.01〜10重量%配合するのが好ましい。 このようにして得られる本発明のメラニン産生促進剤は、例えば経口投与、局所投与などの方法で用いることができるが、外用剤に配合して、頭皮又は頭髪に直接塗布するのが簡便であり好ましい。ここで、外用剤としては、軟膏剤、ローション剤などの薬用外用剤、クリーム、化粧水、乳液、ファンデーション、油性化粧料、パック剤のほかシャンプー、ヘアトニック、リンス、ポマード、ヘアトリートメント等の頭髪用化粧料として通常用いられるものが挙げられる。 これらの外用剤は、全組成中に、前記植物およびその抽出物を、乾燥固形分(抽出物の場合は抽出に用いた植物の乾燥固形分)として0.0001〜20重量%、特に0.01〜10重量%配合するのが好ましく、通常の方法に従って製造することができる。その際には、前記植物およびその抽出物のほか、通常の皮膚外用剤又は頭髪用化粧料に用いられる成分、例えば油剤、界面活性化剤、保湿剤、薬効成分、アルコール類、防腐剤、増粘剤、色素、香料などを、本発明の効果を損なわない範囲で適宣組み合わせて配合することができる。 次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。参考例1 Nigella damascena(クロタネソウ)の種子10gを粉砕した後、100mlの50%エタノールで2時間2回熱時抽出後ろ過した。ろ液を減圧下で溶媒を留去し、その後凍結乾燥したエキス(収率17.9%)を被検体Aとした。同様に、メタノールで抽出後、ろ過し、ろ液を減圧下で溶媒を留去し得たエキス(収率11.8%)を被検体Bとした。実施例1(メラノーマ細胞培養法におけるメラニン産生促進作用の検討) 参考例1で得られた被検体A(50%エタノール抽出エキス)のメラニン産生促進作用を調べた。 細胞培養法;マウス由来のB16培養メラノーマ細胞を10%ウシ胎児血清(FBS、インビトロジェン社製)を含むD-MEM培地(インビトロジェン社製、以下D−MEM培地とする)で2×104cells/ウェル(6穴プレート)/1.9mlに調整し、CO2インキュベータ(5%CO2)内、37℃の条件下で24時間予備培養した。被検体を最終濃度が10および50μg/mLになるように、ジメチルスルホキシド(DMSO)、PBS(リン酸緩衝食塩水)の1:1溶液に溶解した。対照群にはDMSO、PBSの1:1溶液を用いた。この溶液4μlをD−MEM培地96μlの割合で希釈し、100μlを培養プレート中に添加した。なお、DMSOの最終濃度は0.1%に調整した。さらに3日間培養を継続し、以下の方法で細胞内および細胞外メラニン量を測定した。 細胞内メラニンの測定;トリプシン処理で集めた細胞をCa、Mg Free(CMF)−PBSで洗浄した後、1M NaOH(400μl)を加え80℃、30分間加熱溶解し、本溶液の吸光度(475nm)より細胞内メラニン量を求めた。細胞外メラニンの測定;等量の0.4M HEPES buffer(pH6.8)/エタノール(9:1、v/v)添加でpHを調整した培地の上清(700×g、10分間、4℃の遠心分離で調製)の吸光度(475nm)より細胞外メラニン量を求めた。実験結果を表1に示す。表1から明らかなように、Nigella damascena(クロタネソウ)の種子から得た抽出エキスを添加して培養すると、B16メラノーマ細胞内および培養液中のメラニン量が増加し、Nigella damascena(クロタネソウ)の種子にメラニン産生促進作用が明らかになった。実施例2(In Vitro リダクターゼ阻害作用)参考例1で得られた抽出エキスのin vitro リダクターゼ阻害作用を調べた。1.粗酵素液(S−9)の調製;24時間絶食した5週令のSlc:SD系雄性ラットの肝臓を氷冷したクレープス−リンガー液で潅流した。これに5倍量の氷冷したトリス−塩酸緩衝液(10mM、pH7.2)を加え、攪拌し、900×gで10分間遠心分離した。この上清を5000×gで10分間遠心分離し、さらに上清を9000×gで10分間遠心分離し、その上清をリダクターゼを含む粗酵素液(S−9)とした。S−9のタンパク量を14mg/mlに調整し、−80℃で凍結保存した。2.リダクターゼ阻害作用;トリス−塩酸緩衝液(10mM、pH7.2)1.0ml、テストステロン(500μg/ml)0.3ml、試験液0.2ml(50%エタノールに溶解)および粗酵素液(S−9)1.0mlを混和し、反応促進剤として補酵素のβ−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート−4−ナトリウム塩(以下NADPHという、0.77mg/ml)0.5mlを加え、30分間37℃に保持した。ジクロロメタン5mlを加えて反応を停止させ、内部標準物質(p−ヒドロキシ安息香酸n−ヘキシルエステル、0.1mg/ml)0.5mlを加え、10分間振とうし、900×gで10分間遠心分離した。上清を除去した後、残ったジクロロメタン層からトッピングによりジクロロメタンを留去し、これにメタノール5mlを加えて高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCという)用サンプルとした。テストステロンの量はHPLCで測定した。測定条件は、用いたカラムはYMC−PACK ODS−AMであり、移動層の溶媒はメタノール/水=65/35の混合溶媒であり、流速が1ml/分であり、吸収光はUV254nmであり、カラム温度は40℃であった。また、測定は内部標準物質法を用いて行い、変換率および阻害率(%)を次式から求めた。 変換率(%)=(コントロール0分のテストステロン量−試験液を加えたときのテストステロン量)/(コントロール0分のテストステロン量)×100 阻害率(%)=(試験液を加えたときのテストステロン量−コントロール30分のテストステロン量)/(コントロール0分のテストステロン量−コントロール30分のテストステロン量)×100・コントロール0分のテストステロン量:トリス−塩酸緩衝液、テストステロン、試験液および酵素液を混和した後に、NADPHを加える前に、ジクロロメタンを加えて反応を起こさないようにした時のテストステロン量・コントロール30分のテストステロン量:試験液の代わりに、50%エタノール溶液を用いて、反応を行った時のテストステロン量 実験結果を表2に示す。表2から明らかなように、Nigella damascena(クロタネソウ)の種子から得た抽出液はリダクターゼ阻害作用を示した。Ranunculaceae(キンポウゲ科)Nigella(クロタネソウ)属植物またはその抽出物を含有することを特徴とする毛髪用のメラニン産生促進剤。メラニン産生促進剤が白毛症の治療剤である、請求項1のメラニン産生促進剤。メラニン産生促進剤が白髪改善剤である、請求項1のメラニン産生促進剤。外用剤であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のメラニン産生促進剤。経口投与剤であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のメラニン産生促進剤。Nigella(クロタネソウ)属植物がブラックシード(Black Seed)あるいはブラッククミン(Black Cumin)である、請求項1から5のいずれかに記載のメラニン産生促進剤。 【課題】毛髪用のメラニン産生促進剤を提供することを目的とする。【解決手段】Ranunculaceae(キンポウゲ科)Nigella(クロタネソウ)属植物あるいはその抽出物を有効成分として含有し、外用剤や経口投与剤とすることができる。【効果】メラニン産生促進効果に優れたものであり、外用剤、経口投与剤などとして好適に使用することができ、白毛症または白髪等のメラニン産生不全に基づく毛髪の症状又は状態を予防し、改善し若しくは治療することができる。


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