タイトル: | 公開特許公報(A)_口腔用組成物 |
出願番号: | 2004057055 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A61K7/16 |
柏木 光義 JP 2005247713 公開特許公報(A) 20050915 2004057055 20040302 口腔用組成物 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 的場 ひろみ 100101317 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 柏木 光義 7A61K7/16 JPA61K7/16 4 OL 10 4C083 4C083AB322 4C083AC101 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC132 4C083AC211 4C083AC212 4C083AC432 4C083AC691 4C083AC692 4C083AC781 4C083AC782 4C083AC791 4C083AC792 4C083AC841 4C083AC842 4C083AC862 4C083AD272 4C083AD531 4C083AD532 4C083BB48 4C083CC41 4C083DD23 4C083DD27 4C083EE06 本発明は、殺菌剤などの由来の刺激味が低減もしくは抑制され、使用感が向上した口腔用組成物に関する。 口腔用組成物に配合される原料には、辛味、収斂味などの刺激味を有するものが多くある。その中でも、エタノール、メントール、カルボン、シンナミックアルデヒド、アルキル硫酸ナトリウム塩、アシルメチルタウリン、第4級アンモニウム塩型殺菌剤などは、口腔用組成物中の配合量が多く、これらの刺激味が後味に残り、口腔用組成物の使用感を著しく低下させるという問題があった。 これら刺激味を有する口腔用組成物の使用感を向上させる方法として、種々の香料成分によってマスキングする方法(特許文献1)や、磁化水を配合してエタノールの刺激を緩和する方法(特許文献2)などが報告されている。 特許文献1に記載の香料成分によるマスキング方法は、香料成分に匂いの強いものがあり、また、香料成分自体にも刺激味を有するものがあるため、数千種類もの香料素材から刺激味を有効にマスキングする素材を探索したり、あるいは、マスキングに必要な香料成分の配合量の検討、あるいはマスキング用の調合香料を調合したりすることに非常に長い時間を必要とする。 また、マスキングのために配合した香料成分と、口腔用組成物中のエタノール、メントール、カルボン、シンナミックアルデヒドなどの辛味との組み合わせにより、口腔用組成物の清涼感やさわやかさを低減あるいは抑制させ、その結果、口腔用組成物として必要な使用感を損なってしまう場合がある。 さらに、口腔用組成物の泡立ち性能を向上させ、あるいは口腔用組成物に香料、有効成分などの油溶性成分を組成物中安定させるために配合している界面活性剤は、マスキングのために配合された香料成分の影響を受け、その性能を著しく低下させる場合がある。また、マスキングのために配合された香料成分により、口腔用組成物に配合される殺菌剤の有効性を低下させる場合もある。 一方、特許文献2に記載の磁化水を用いる方法では、口腔用組成物全体に対して多量の磁化水を必要とするため、水の配合量が少ない歯磨きや口中清涼剤などの口腔用組成物への配合が事実上困難である。特許文献2には、「本発明の口腔用組成物における上記磁化水の配合量は、特に制限されるものではなく、通常組成物全体に対して45〜95質量%(以下%、同様)、好ましくは55〜90%とすると好適である。磁化水の配合量が少なすぎると、エタノールの刺激臭を改善することができなくなる場合があり、多すぎると、口腔用組成物の性能発現に必要な有効成分を配合できなくなる場合がある」ことが開示されている。特開2004−18431号公報特開2001−172148号公報 本発明は、エタノール、メントール、カルボン、シンナミックアルデヒド、アルキル硫酸ナトリウム塩、アシルメチルタウリン、第4級アンモニウム塩型殺菌剤などの由来の刺激味を低減もしくは抑制でき、かつ、メントール、カルボン、シンナミックアルデヒドなどの清涼感やさわやかさなどを損なわず、口腔用組成物の使用感を向上させることができる口腔用組成物を提供する。 本発明者らは、少量の炭素数4〜10の環状エステル化合物を口腔用組成物に配合することにより、エタノール、メントール、カルボン、シンナミックアルデヒド、アルキル硫酸ナトリウム塩、アシルメチルタウリン、第4級アンモニウム塩型殺菌剤の刺激味のみを低減もしくは抑制した口腔用組成物を得ることができた。 すなわち、本発明は、(A)エタノール、アルキル硫酸ナトリウム塩、アシルメチルタウリン及び第4級アンモニウム塩型殺菌剤からなるグループより選ばれる2種以上、(B)メントール、カルボン及びシンナミックアルデヒドのグループから選ばれる1種以上、(C)炭素数4〜10の脂肪族環状エステル化合物からなるグループより選ばれる1種以上 0.000001〜0.0009質量%及び(D)水;を含有する口腔用組成物である。 本発明に係る炭素数4〜10の環状エステル化合物を少量に口腔用組成物に配合することによりエタノール、メントール、カルボン、シンナミックアルデヒド、アルキル硫酸ナトリウム塩、アシルメチルタウリン、第4級アンモニウム塩型殺菌剤由来の刺激味、特に、これらのもの2種または3種以上の組み合わせに起因する不快な味を効果的に低減、抑制することができる。また、口腔用組成物に対して、炭素数4〜10の環状エステル化合物自身の味の影響が少なく、口腔用組成物の味に悪い影響をもたらすことはほとんどない。また、本発明は、前記の刺激的な味のみを低減、抑制し、口腔用組成物の清涼感、有効成分の効果などにはほとんど悪影響を及ぼすことがなく、後味がよく、かつ清涼感のよい口腔用組成物を得ることができる。 本発明によれば、少量の炭素数4〜10の環状エステル化合物を口腔用組成物に配合することにより、エタノール、メントール、カルボン、シンナミックアルデヒド、アルキル硫酸ナトリウム塩、アシルメチルタウリン、4級アンモニウム塩型殺菌剤由来の刺激味を低減もしくは抑制することができ、かつ、後味がよく、さわやかな清涼感を有する口腔用組成物を得ることができた。 成分(A)のアルキル硫酸ナトリウム塩としては、オクチル硫酸ナトリウム、カプリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、パルミチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウムなどがあげられる。また、成分(A)のアシルメチルタウリンとしては、カプリルメチルタウリン、ラウリルメチルタウリン、ミリスチルメチルタウリン、パルミチルメチルタウリン、ステアリルメチルタウリンなどをあげることができる。また、成分(A)の第4級アンモニウム塩型殺菌剤としては、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムなどをあげることができる。 本発明に係る(A)成分は、エタノール、アルキル硫酸ナトリウム塩、アシルメチルタウリン及び第4級アンモニウム塩型殺菌剤からなるグループより選ばれる2種以上が組み合せて用いられる。本発明は、前記2種以上、3種以上等の化合物の組み合わせに起因する辛味、収斂味などの味をより効果的に低減し、かつ抑制することができることが主要な特徴の一つとする。前記2種以上の化合物の組み合せとしては、たとえば、エタノールとアルキル硫酸ナトリウム塩又はアシルメチルタウリンとの組み合せ、アルキル硫酸ナトリウム又はアシルメチルタウリンと第4級アンモニウム塩型殺菌剤との組み合せ、エタノールとアルキル硫酸ナトリウム又はアシルメチルタウリンと第4級アンモニウム塩型殺菌剤の組み合せなどがあげられる。 成分(C)の炭素数4〜10の脂肪族環状エステル化合物としては、ブチロラクトン、バレロラクトン、ヘキサラクトン、ヘプタラクトン、オクタラクトン、ノナラクトン及びデカラクトンを挙げることができる。具体的には、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−ヘキサラクトン、γ−ヘキサラクトン、ε−ヘキサラクトン、δ−ヘプタラクトン、γ−ヘプタラクトン、ε−ヘプタラクトン、δ−オクタラクトン、γ−オクタラクトン、ε−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、γ−ノナラクトン、ε−ノナラクトン、δ−デカラクトン、γ−デカラクトン、ε−デカラクトンなどをあげることができる。好ましくは、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン及びγ−デカラクトンである。 成分(C)の口腔用組成物における含有量は、0.000001〜0.0009質量%であり、好ましくは、0.00001〜0.0007質量%、さらには0.0001〜0,0005質量%が好ましい。 前記成分(A):成分(C)の質量比は、30000000:1〜10:1が好ましく、より好ましくは、10000000:1〜10:1、更に好ましくは、5000000:1〜100:1である。 また、前記成分(B):成分(C)の質量比は、1000000:1〜10:1が好ましく、より好ましくは、100000:1〜9:1、特に、10000:1〜8:1が好ましい。 本発明の口腔用組成物には、さらに、口腔用組成物に用いられている様々な成分、例えば、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化第1スズ、塩化ナトリウム、乳酸アルミニウム、グリチルレチン酸、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩化リゾチーム、イプシロンアミノカプロン酸、アズレン、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅、酢酸dl−トコフェロール、硝酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、デキストラナーゼ、アミラーゼ、クエン酸亜鉛、塩化亜鉛等の有効成分を添加することができる。 また、無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等の研磨剤;プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、グリセリン等の湿潤剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン等の粘結剤;パラオキシ安息香酸メチル等の保存剤、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、クロルヘキシジン塩類等の殺菌剤;トラネキサム酸等の消炎剤;水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のpH調整剤;ペパーミント油、スペアミント油、アネトール、ユーカリプトール、オイゲノール、メチルサリシレート、リモネン、ハーブやスパイスから得られた天然香料素材、種々のフルーツフレーバー等口腔用組成物や食品に使用することのできる香料;着色剤;アルキル硫酸ナトリウム塩やアシルメチルタウリン以外の界面活性剤、例えば、アルキルグリコシド、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ラウロイルサルコシン塩などを添加することができる。また、本発明の口腔用組成物を調整するために、精製水等の水を用いることもできる。 本発明の口腔用組成物は、粉歯磨剤、潤性歯磨剤、練り歯磨剤、液状歯磨剤、洗口剤、口中清涼剤等その剤型に応じて、口腔用組成物の一般的な製法に準じて製造することができる。歯磨きおよび洗口剤 <口腔用組成物等の調製> 表1に示す組成に従って実施例1−1〜1−8及び比較例1−1〜1−8の歯磨剤を調製した。また、表2に示す組成に従って実施例2−1〜2−8及び比較例2−1〜2−8の洗口剤を調製した。表中の成分の配合量は質量%である。 <官能評価方法> 得られた歯磨剤、洗口剤を専門パネル3名により、刺激味の強さ、後味の良さ、清涼感の強さ、そして総合評価について官能評価を行った。歯磨剤の使用量は約1g、洗口剤の使用量は約5mlとした。評価結果は、表1乃至表2に併せて示す。<評価基準> 刺激味の強さ 4:刺激味が強い 3:刺激味がやや強い 2:刺激味があまり強くない 1:刺激味が強くない 後味の良さ 4:後味が良い 3:後味がやや良い 2:後味があまり良くない 1:後味が良くない 清涼感の強さ 4:清涼感が強い 3:清涼感がやや強い 2:清涼感があまり強くない 1:清涼感が強くない 総合評価 4:良い 3:やや良い 2:あまり良くない 1:良くない 実施例1−1の歯磨剤においてはヘキサラクトンを、実施例1−2においてはオクタラクトンを配合することによって、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ベンゼトニウムおよびメントール由来の辛みなどがそれぞれ抑制され、使用感が改善された。実施例1−3においてはヘキサラクトンを、実施例1−4においてはノナラクトンおよびデカラクトンを配合することにより、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルメチルタウリン、メントールおよびシンナミックアルデヒド由来の刺激味が抑制され、使用感が改善された。 実施例1−5の歯磨剤においてはバレロラクトンを、実施例1−6においてはオクタラクトンを配合することにより、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ベンゼトニウム、メントール、シンナミックアルデヒドおよびカルボン由来の刺激味が抑制され、かつ、メントール、シンナミックアルデヒド、カルボンのさわやかさを低減することなく使用感が改善された。 表1に示したとおり、比較例1−7は、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ベンゼトニウム、エタノール、メントール、カルボンが配合されているため、これらのものに由来の刺激味が強かったが、実施例1−7の場合は、前記比較例1−7の口腔用組成物にヘキサラクトン、デカラクトン(本発明の成分(C))を配合した。その結果、実施例1−7は、比較例1−7に比較し、刺激の強さを大きく低減させることができ、かつ、清涼感が抑制されることなく、後味もよくなり、使用感が改善された結果を示し、本発明の効果刺激味の低減、抑制効果、使用感の向上効果などが実証された。 実施例2−1の洗口剤においてはブチロラクトンが、実施例2−2においてはバレロラクトンが、さらには実施例2−3においてはヘキサラクトンが配合されたため、エタノール、塩化セチルピリジニウム、メントール由来の刺激味が抑制され、使用感が改善された。 表2に示したとおり、実施例2−4の洗口剤は、オクタラクトンを配合することによって、エタノール、塩化セチルピリジニウム、ラウリルメチルタウリン、メントール由来の刺激味を低減、抑制させることができ、使用感が改善された。 表2に示したとおり、実施例2−5の洗口剤は、比較例2−6に比較し、ブチロラクトンを配合することによって、エタノール、塩化セチルピリジニウム、メントールおよびシンナミックアルデヒド由来の刺激味を低減、抑制させることができ、後味もよくなり、清涼感は変わらず、全体的に使用感が改善され、本発明の効果刺激味の低減、抑制効果、使用感の向上効果などが実証された。 実施例2−7の洗口剤においてはバレロラクトン、ヘキサラクトン、オクタラクトンが配合されたため、エタノール、塩化セチルピリジニウム、メントール、シンナミックアルデヒドおよびカルボン由来の刺激味が抑制され、かつ、メントール、シンナミックアルデヒド、カルボンのさわやかさを低減することなく後味に優れ、使用感が改善された。 実施例2−8の洗口剤においてはノナラクトンとデカラクトンが配合されたため、エタノール、ラウリルメチルタウリン、塩化セチルピリジニウム、メントール、シンナミックアルデヒドおよびカルボン由来の刺激味が抑制され、かつ、メントール、シンナミックアルデヒド、カルボンのさわやかさを低減することなく後味に優れ、使用感が改善された。 下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有する口腔用組成物。(A)エタノール、アルキル硫酸ナトリウム塩、アシルメチルタウリン及び第4級アンモニウム塩型殺菌剤からなるグループより選ばれる2種以上(B)メントール、カルボン及びシンナミックアルデヒドのグループから選ばれる1種以上(C)炭素数4〜10の脂肪族環状エステル化合物からなるグループより選ばれる1種以上 0.000001〜0.0009質量%(D)水 前記成分(C)の炭素数4〜10の脂肪族環状エステル化合物が、ブチロラクトン、バレロラクトン、ヘキサラクトン、ヘプタラクトン、オクタラクトン、ノナラクトン及びデカラクトンである請求項1に記載の口腔用組成物。 前記成分(A):前記成分(C)の質量比が30000000:1〜10:1である請求項1または2に記載の口腔用組成物。 前記成分(B):前記成分(C)の質量比が2000000:1〜10:1である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の口腔用組成物。 【課題】 殺菌剤などの由来の刺激味を低減、抑制でき、かつ、清涼感やさわやかさを損なわない口腔用組成物を提供する。【解決手段】 本発明は、(A)エタノール、アルキル硫酸ナトリウム塩、アシルメチルタウリン及び第4級アンモニウム塩型殺菌剤からなるグループより選ばれる2種以上、(B)メントール、カルボン及びシンナミックアルデヒドのグループから選ばれる1種以上、(C)炭素数4〜10の脂肪族環状エステル化合物からなるグループより選ばれる1種以上 0.000001〜0.0009質量%及び(D)水;を含有する口腔用組成物である。【選択図】 なし