タイトル: | 公開特許公報(A)_活性酸素抑制用の組成物と、その組成物を配合する皮膚外用剤及び化粧料 |
出願番号: | 2004056122 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A61K7/48,A61K7/00,A61K7/031,A61K7/032 |
明石 欣也 横田 明穂 阪本 聡 情野 治良 酒井 薫 濱田 和彦 JP 2005247700 公開特許公報(A) 20050915 2004056122 20040301 活性酸素抑制用の組成物と、その組成物を配合する皮膚外用剤及び化粧料 ピアス株式会社 000112266 藤本 昇 100074332 薬丸 誠一 100114421 中谷 寛昭 100114432 岩田 徳哉 100117204 明石 欣也 横田 明穂 阪本 聡 情野 治良 酒井 薫 濱田 和彦 7A61K7/48A61K7/00A61K7/031A61K7/032 JPA61K7/48A61K7/00 CA61K7/00 JA61K7/031A61K7/032 7 OL 18 4C083 4C083AA082 4C083AB232 4C083AB242 4C083AB432 4C083AC012 4C083AC022 4C083AC072 4C083AC122 4C083AC302 4C083AC352 4C083AC482 4C083AC581 4C083AC582 4C083AD072 4C083AD282 4C083AD321 4C083AD322 4C083CC01 4C083CC02 4C083CC12 4C083CC14 4C083EE12 4C083EE13 本発明は、活性酸素抑制用の組成物、特にシワ、シミ等の皮膚老化や、肌荒れ、炎症性ニキビ等の皮膚細胞損傷への影響性が高いヒドロキシラジカルを抑制する組成物と、その組成物を配合する皮膚外用剤、化粧料に関する。 活性酸素は、酸素分子等が高エネルギー放電、酵素反応等により、或いは電離してラジカルを持つようになった状態のものであり、酸素自体がラジカルを持つものの他、OHの酸素がラジカルを持ついわゆるヒドロキシラジカルも広義の活性酸素に含まれる。 このような活性酸素種の中でも、ヒドロキシラジカルは紫外線や電磁波等により皮膚で発生し、皮膚に対して悪影響を及ぼすことが知られている。具体的には、ニキビ、アトピー性皮膚炎、肌荒れ等の炎症性の皮膚トラブルや、光老化によって起こるシワやシミ等に深く関与していることが指摘されている。ヒドロキシラジカルは細胞障害性や過酸化脂質発生が高い一方で、皮膚損傷反応は極めて短時間で進行するため、短時間でほぼ完全にヒドロキシラジカルを抑制する技術が求められている。 従来、酸素ラジカルの生成を抑制するものとしてSOD(スーパーオキシドディムスターゼ)や、抗酸化剤であるビタミンE(トコフェロール)等が知られている。またビタミンC(アスコルビン酸)に活性酸素の抑制作用があるとする下記特許文献1のような特許出願もなされている。特開2001−322990号公報 しかし、これらのSOD、ビタミンE、ビタミンC等は、ヒドロキシラジカル抑制効果が低く、安定性、持続性も弱いという問題があった。 一方、植物からの抽出液が活性酸素の抑制作用を有することも指摘されており、たとえば下記特許文献2乃至4のように、植物エキスを配合した活性酸素抑制用の化粧料等に関する特許出願もなされている。特開2003−192566号公報特開2003−226632号公報特開2003−321337号公報 しかし、この特許文献2乃至4のように、植物エキスを配合したものであっても、活性酸素抑制効果が十分ではなく、安定性、持続性も弱いものであった。 本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、安定性、持続性が高く、短時間でほぼ完全にヒドロキシラジカル等の活性酸素を抑制することのできる活性酸素抑制効果に優れた組成物、及びその組成物を配合した皮膚外用剤、化粧料を提供することを課題とする。 本発明者等は、このような課題を解決すべく鋭意研究したところ、キチン若しくはキトサン又はキチン若しくはキトサンの誘導体と、アミノ酸との共存、複合化、とりわけ平均分子量1000〜5000000 のキチン若しくはキトサン又はキチン若しくはキトサンの誘導体と、シトルリン、プロリン、ヒスチジン、テアニン、トリメチルグリシン、セリン、トリプトファン、システイン、カルノシン、カルニチン、オルニチン、グルタチオン、若しくはN−アセチルシステイン、又はこれらの誘導体等のようなアミノ酸とを共存、複合化させることにより、ヒドロキシラジカル等の活性酸素の抑制効果が効果的、相乗的に高まり、さらに皮膚細胞への作用性が高まって、上記問題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、請求項1記載の発明は、活性酸素抑制用の組成物に係る発明であり、アミノ酸又はアミノ酸誘導体と、キチン若しくはキトサン又はキチン若しくはキトサンの誘導体とを含有することを特徴とする。キチン若しくはキトサンの誘導体としては、たとえばカルボキシメチルキトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシブチルキトサン、キトサン乳酸塩、キトサンアスコルビン酸塩、ヒドロキシプロピルキトサン等を使用することができる。 また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の活性酸素抑制用の組成物において、アミノ酸又はアミノ酸誘導体が、シトルリン、プロリン、ヒスチジン、テアニン、トリメチルグリシン、セリン、トリプトファン、システイン、カルノシン、カルニチン、オルニチン、グルタチオン、若しくはN−アセチルシステイン、又はこれらの誘導体から選択される一種又は二種以上であることを特徴とする。特に、DNA損傷に対する抑止作用や併用効果の点から、シトルリン、テアニン、及びこれらの誘導体が好ましい。 さらに、請求項3記載の発明は、請求項1記載の活性酸素抑制用の組成物において、アミノ酸がシトルリンであることを特徴とする。 さらに、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の活性酸素抑制用の組成物において、キチン若しくはキトサン又はキチン若しくはキトサンの誘導体が、平均分子量1000〜5000000 のキチン若しくはキトサン又はキチン若しくはキトサンの誘導体から選択される一種又は二種以上であることを特徴とする。 さらに、請求項5記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の活性酸素抑制用の組成物において、キチン若しくはキトサン又はキチン若しくはキトサンの誘導体が、炭素数4〜20の脂肪酸基を部分導入した平均分子量1000〜2000000 のキチン若しくはキトサン又はキチン若しくはキトサンの誘導体から選択される一種又は二種以上であることを特徴とする。 さらに、請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の活性酸素抑制用の組成物を含有することを特徴とする皮膚外用剤の発明である。 さらに、請求項7記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の活性酸素抑制用の組成物を含有することを特徴とする化粧料の発明である。 このような皮膚外用剤や化粧料は、炎症性皮膚部位の予防、軽減用として使用することができ、或いは光老化によって起るシワ又はシミの予防、軽減用として使用することができる。 本発明によって、安定性,持続性が高く、短時間でほぼ完全にヒドロキシラジカル等の活性酸素を抑制することのできる活性酸素抑制効果に優れた組成物、及びその組成物を配合した皮膚外用剤、化粧料を提供することが可能となった。 本発明の組成物に含まれるアミノ酸としては、上述のようにシトルリン、プロリン、ヒスチジン、テアニン、トリメチルグリシン、セリン、トリプトファン、システイン、エクトイン、カルノシン、カルニチン、オルニチン、グルタチオン、若しくはN−アセチルシステイン、又はこれらの誘導体から選択される一種又は二種以上のものを用いるのが好ましい。アミノ酸又はこれらの誘導体として、より好ましくは、たとえば炭素数2〜10のアシル基やアルキル基を導入したもの等が用いられる。具体的には、アセチルシトルリン、アセチルヒスチジン、アセチルテアニン、サクシニルセリン等が例示される。 キチン、キトサン、又はその誘導体としては、上記アミノ酸又はアミノ酸誘導体との相乗的作用より、上述のように平均分子量1000〜5000000 のものを用いるのが好ましい。たとえば、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、カルボキシブチルキトサン、ヒドロキシプロピルキトサン、N−ジカルボキシメチルキトサン、サクシニル化キトサン、リン酸化キチン、リン酸化キトサン、部分加水分解キチン、硫酸化キチン、硫酸化キトサン、エチレングリコールキトサン、エチレングリコールキチン、キチンやキトサンのグリコール酸塩やアスコルビン酸塩等の塩類等が挙げられる。 又、炭素数4〜20のアシル基等の脂肪酸基を0.1 〜50.0%部分導入したようなものも用いられる。アミノ基や水酸基に炭素数4〜20の脂肪酸基を0.1 〜50.0%部分導入した物質は相乗的作用がさらに高まるため好ましい。この観点からは、炭素数8〜20の脂肪酸基を部分導入したものがより好ましい。具体的には部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩(製品名PM−キトサン:ピアス株式会社)、部分アセチルミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩、部分ミリストイル化カルボキシメチルキトサン、部分ミリストイル化カルボキシメチルキチン、部分ミリストイル化キチン乳酸塩、部分ミリストイル化四級化キトサングリコ−ル酸塩等を利用するのが好ましい。 ここで、「部分導入」とは構成単糖1残基当たりにアシル基等の脂肪酸基がどの程度導入されているかを示すもので、「脂肪酸基を0.1 〜50.0%部分導入した」とは、たとえばキトサンの場合であれば、構成単糖であるヘキソサミン1000残基に、脂肪酸基が1 〜500 個導入されていることを意味する。このように炭素数4〜20のアシル基等の脂肪酸基が部分導入されたキチン、キトサンの誘導体は、両親媒性を示すものである。 上記の場合の平均分子量は、たとえばデータモジュールGPC用カートリッジを連結させたGPC−HPLC〔ゲル濾過クロマトグラフィーカラム:東ソー(株)製TSK−gel−G3000WXL+TSK−gel−G2500PWXL、溶媒:0.4 M酢酸−酢酸Na緩衝液(pH=4.8)〕分析により分子量分布を明らかにすることによって測定される。分子量スタンダードとしては、キトサンオリゴ糖(分子量:413,1006)、デキストラン硫酸塩(分子量:5000 、8000) 及びプルラン分子量スタンダードが用いられる。また、粘度測定法等からも平均分子量を求めることが可能である。 キトサンは、天然多糖であるキチンの高脱アセチル化物であり、脱アセチル化度50〜100 %を示す脱アセチル化キチンを元に誘導体を合成するのが好ましい。 アミノ酸又はその誘導体と、キチン、キトサン又はこれらの誘導体の共存比は、特に限定されないが、アミノ酸又はその誘導体100 容量に対してキチン、キトサン又はこれらの誘導体の容量比が0.1 〜20容量であることが望ましい。 本発明における皮膚外用剤又は化粧料に対する組成物の配合量は、特に限定されるものではないが、外用剤等の全量中、乾燥固形物重量で0.0005〜5質量%が好ましい。0.0005質量%未満では本発明の効果が充分に得られない可能性があり、一方、5質量%を越えても、その増量に見合った効果の向上は認められないからである。この観点からは、0.001 〜3質量%がより好ましい。 皮膚外用剤の形態は特に限定されるものではなく、たとえば、ローション、エッセンス、ジェル、乳液、乳化ローション及びクリーム等にすることができる。より具体的には、低分子界面活性剤を含まない炎症予防軽減用のスキンケアクリーム、乳液状の乳化ファンデーション、乳液状の化粧下地、乳化型マスカラ等の製剤として提供することができる。 また、皮膚外用剤の形態に応じ、上記必須成分以外に化粧料や外用剤で一般的に用いられる成分を本発明の効果を阻害しない範囲で配合できる。たとえばブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、セタノール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、流動パラフィン、スクワラン等の非極性油剤類、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル系油剤類、小麦胚芽油やオリーブ油等の植物油類、トリメチルシロキシケイ酸、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコン化合物類、パーフルオロポリエーテル等のフッ素化合物類が挙げられる。また、保湿柔軟化剤、抗酸化剤、収斂剤、美白剤、抗菌剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤類、紫外線散乱剤、ビタミン類、酵素等の医薬部外品原料規格、化粧品種別配合成分規格、化粧品原料基準、日本薬局方、食品添加物公定書規格等の成分等が挙げられる。 以下、本発明の実施例について説明する。(実施例1) 本実施例では、シトルリンと部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩とを混合して活性酸素抑制用の組成物を調整した。具体的にはシトルリン1%、及び部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩0.01%を含む溶液を調製し、これを活性酸素抑制用の組成物とした。部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩としては、ピアス株式会社製のPM−キトサンを用いた。 このようにして調製した活性酸素抑制用組成物のヒドロキシラジカルの消去活性を測定し、消去作用を試験した。一方、シトルリン1%のみを含む溶液(比較例1−1)、及び部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩0.01%のみを含む溶液(比較例1−2)を調製し、同様にヒドロキシラジカル消去活性を測定して、上記混合物である活性酸素抑制用の組成物と比較した。 反応組成は、40mM K-Pi buffer(pH 7.4)、0.26mMアスコルビン酸、0.15mM FeEDTA 、0.6mM 過酸化水素、2mM サリチル酸と、上記シトルリン、部分ミリストイル化キトサン等の目的とする溶質を含み、全量を400mL とし、アスコルビン酸−過酸化水素系によりヒドロキシラジカルを発生させた。25℃で90分間保温した後、水酸化されたサリチル酸を誘導体化して発色させ、510nm の吸光度を測定することにより、ラジカルの検出を行った。コントロールには、試料の代わりに精製水を添加し、ブランクは、アスコルビン酸、FeEDTA、過酸化水素を除いた溶液を用いて測定した。 ヒドロキシラジカル消去率は、以下の計算式に従い、算出した。 ヒドロキシラジカル消去率 (%)=〔1−(試料OD−ブランクOD)/(コントロールOD−ブランクOD)〕×100 この式において、ODとは、510nm における吸光度を示す。生成したヒドロキシラジカルに対する消去率を表1及び図1に示す。 表1及び図1からも明らかなように、シトルリンのみを含む溶液の比較例1−1では約17%の消去活性が得られ、部分ミリストイル化キトサンのみを含む溶液の比較例1−2では約3%の消去活性が得られた。これに対して、両方を含む溶液の場合は約28%の消去活性が得られた。この結果から、シトルリンと部分ミリストイル化キトサンとの双方を含む液の場合には、シトルリンのみを含む溶液の消去活性の数値と、部分ミリストイル化キトサンのみを含む溶液の消去活性の数値とを合算した以上の消去活性が得られることがわかった。このことから、シトルリンと部分ミリストイル化キトサンとの双方を含有させることで、それぞれ単独の場合におけるヒドロキシラジカルの消去活性が相乗的に上昇することが確認できた。(実施例2) 本実施例では、シトルリンの濃度を2%とし、部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩の濃度を0.05%とした。この両者を混合して活性酸素抑制用の組成物を調製したが、その調製方法は実施例1と同じである。 そして、本実施例の活性酸素抑制用の組成物について、実施例1と同様にヒドロキシラジカル消去活性を測定した。一方、シトルリン2%のみを含む溶液(比較例2−1)、及び部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩0.05%のみを含む溶液(比較例2−2)を調製し、同様にヒドロキシラジカル消去活性を測定して、上記混合物である本実施例の活性酸素抑制用の組成物と比較した。 生成したヒドロキシラジカルに対する消去率を表2に示す。 表2からも明らかなように、シトルリンのみを含む溶液の比較例2−1では約22%の消去活性が得られ、部分ミリストイル化キトサンのみを含む溶液の比較例2−2では約29%の消去活性が得られた。これに対して、両方を含む溶液の場合は約57%の消去活性が得られた。この結果から、シトルリンと部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩との双方を含む液の場合には、それぞれ単独の場合におけるヒドロキシラジカルの消去活性が相乗的に上昇することが確認できた。(実施例3) 本実施例では、キトサン誘導体として実施例2の部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩に代えて、濃度0.1 %のカルボキシメチルキチンを用いた。シトルリンの濃度は実施例2と同じとした。この両者を混合して活性酸素抑制用の組成物を調製したが、その調製方法は実施例1、2と同じである。 本実施例の活性酸素抑制用の組成物について、実施例1、2と同様にヒドロキシラジカル消去活性を測定し、シトルリン2%のみを含む溶液(比較例3−1)、及びカルボキシメチルキチン0.1 %のみを含む溶液(比較例3−2)のヒドロキシラジカル消去活性を同様に測定して本実施例の活性酸素抑制用の組成物と比較した。 生成したヒドロキシラジカルに対する消去率を表3に示す。 表3からも明らかなように、比較例3−1では約22%の消去活性が得られ、比較例3−2では約8%の消去活性が得られた。これに対して、両方を含む溶液の場合は約35%の消去活性が得られた。この結果から、シトルリンとカルボキシメチルキチンとの双方を含む液の場合には、それぞれ単独の場合におけるヒドロキシラジカルの消去活性が相乗的に上昇することが確認できた。(実験例4) 本実施例では、キトサン誘導体として実施例2の部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩に代えて、濃度0.1 %のキトサンピロリドンカルボン酸塩を用いた。シトルリンの濃度は実施例2、3と同じとした。この両者を混合して活性酸素抑制用の組成物を調製したが、その調製方法は実施例1乃至3と同じである。 本実施例の活性酸素抑制用の組成物について、実施例1乃至3と同様にヒドロキシラジカル消去活性を測定し、シトルリン2%のみを含む溶液(比較例4−1)、及びキトサンピロリドンカルボン酸塩0.1 %のみを含む溶液(比較例4−2)のヒドロキシラジカル消去活性を同様に測定して本実施例の活性酸素抑制用の組成物と比較した。 生成したヒドロキシラジカルに対する消去率を表4に示す。 表4からも明らかなように、シトルリンのみを含む溶液の比較例4−1では約22%の消去活性が得られ、キトサンピロリドンカルボン酸塩のみを含む溶液の比較例4−2では約15%の消去活性が得られた。これに対して、両方を含む溶液の場合は約41%の消去活性が得られた。この結果から、シトルリンとキトサンピロリドンカルボン酸塩の双方を含む液の場合には、それぞれ単独の場合におけるヒドロキシラジカルの消去活性が相乗的に上昇することが確認できた。(実験例5) 本実施例では、アミノ酸として実施例2のシトルリンに代えて濃度2%のテアニンを用いた。キトサン誘導体の種類、濃度は実施例2と同じとした。この両者を混合して活性酸素抑制用の組成物を調製したが、その調製方法は実施例1乃至4と同じである。 本実施例の活性酸素抑制用の組成物について、実施例1乃至4と同様にヒドロキシラジカル消去活性を測定し、テアニン2%のみを含む溶液(比較例5−1)、及び部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩0.05%のみを含む溶液(比較例5−2)のヒドロキシラジカル消去活性を同様に測定して本実施例の活性酸素抑制用の組成物と比較した。 生成したヒドロキシラジカルに対する消去率を表5に示す。 表5からも明らかなように、比較例5−1では約20%の消去活性が得られ、比較例5−2では約28%の消去活性が得られた。これに対して、両方を含む溶液の場合は約56%の消去活性が得られた。この結果から、テアニンと部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩の双方を含む液の場合には、それぞれ単独の場合におけるヒドロキシラジカルの消去活性が相乗的に上昇することが確認できた。(実験例6) 本実施例では、アミノ酸として濃度2%のテアニンを用い、キトサン誘導体の種類、濃度は実施例3と同じとした。この両者を混合して活性酸素抑制用の組成物を調製したが、その調製方法は実施例1乃至5と同じである。 本実施例の活性酸素抑制用の組成物について、実施例1乃至5と同様にヒドロキシラジカル消去活性を測定し、テアニン2%のみを含む溶液(比較例6−1)、及びカルボキシメチルキチン0.1 %のみを含む溶液(比較例6−2)のヒドロキシラジカル消去活性を同様に測定して本実施例の活性酸素抑制用の組成物と比較した。 生成したヒドロキシラジカルに対する消去率を表6に示す。 表6からも明らかなように、比較例6−1では約20%の消去活性が得られ、比較例6−2では約8%の消去活性が得られた。これに対して、両方を含む溶液の場合は約33%の消去活性が得られた。この結果から、テアニンとカルボキシメチルキチンの双方を含む液の場合には、それぞれのヒドロキシラジカルの消去活性が相乗的に上昇することが確認できた。(実験例7) 本実施例では、アミノ酸として濃度2%のテアニンを用い、キトサン誘導体の種類、濃度は実施例4と同じとした。この両者を混合して活性酸素抑制用の組成物を調製したが、その調製方法は実施例1乃至5と同じである。 本実施例の活性酸素抑制用の組成物について、実施例1乃至6と同様にヒドロキシラジカル消去活性を測定し、テアニン2%のみを含む溶液(比較例7−1)、及びキトサンピロリドンカルボン酸塩0.1 %のみを含む溶液(比較例7−2)のヒドロキシラジカル消去活性を同様に測定して本実施例の活性酸素抑制用の組成物と比較した。 生成したヒドロキシラジカルに対する消去率を表7に示す。 表7からも明らかなように、比較例7−1では約20%の消去活性が得られ、比較例7−2では約15%の消去活性が得られた。これに対して、両方を含む溶液の場合は約40%の消去活性が得られた。この結果から、テアニンとキトサンピロリドンカルボン酸塩の双方を含む液の場合には、それぞれ単独の場合におけるヒドロキシラジカルの消去活性が相乗的に上昇することが確認できた。(比較例8) 実施例2、5のアミノ酸に代えて、濃度2%のアルギニンを用いた。キトサン誘導体の種類、濃度は実施例2、5と同じとした。この両者を混合して活性酸素抑制用の組成物を調製したが、その調製方法は実施例1乃至7と同じである。 比較例8の組成物について、実施例1乃至7と同様にヒドロキシラジカル消去活性を測定し(比較例8−1)、アルギニン2%のみを含む溶液(比較例8−2)、及び部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩0.05%のみを含む溶液(比較例8−3)のヒドロキシラジカル消去活性を同様に測定して比較した。 生成したヒドロキシラジカルに対する消去率を表8に示す。 表8からも明らかなように、比較例8−2では約16%の消去活性が得られ、比較例8−3では約28%の消去活性が得られた。これに対して、両方を含む比較例8−1では約41%の消去活性が得られた。この結果から、アルギニンと部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩の双方を含む液の場合には、それぞれ単独の場合におけるヒドロキシラジカルの消去活性が相乗的に上昇しないことが確認できた。(比較例9) 比較例8と同様のアルギニンを用い、キトサン誘導体の種類、濃度は実施例3、6と同じとした。この両者を混合して活性酸素抑制用の組成物を調製したが、その調製方法は実施例1乃至7と同じである。 比較例9の組成物について、実施例1乃至7と同様にヒドロキシラジカル消去活性を測定し(比較例9−1)、アルギニン2%のみを含む溶液(比較例9−2)、及びカルボキシメチルキチン0.1 %のみを含む溶液(比較例9−3)のヒドロキシラジカル消去活性を同様に測定して比較した。 生成したヒドロキシラジカルに対する消去率を表9に示す。 表9からも明らかなように、比較例9−2では約16%の消去活性が得られ、比較例9−3では約9%の消去活性が得られた。これに対して、両方を含む比較例9−1では約22%の消去活性が得られた。この結果から、アルギニンとカルボキシメチルキチンの双方を含む液の場合には、それぞれ単独の場合におけるヒドロキシラジカルの消去活性が相乗的に上昇しないことが確認できた。(比較例10) 比較例8、9と同様のアルギニンを用い、キトサン誘導体の種類、濃度は実施例4、7と同じとした。この両者を混合して活性酸素抑制用の組成物を調製したが、その調製方法は実施例1乃至7と同じである。 比較例10の組成物について、実施例1乃至7と同様にヒドロキシラジカル消去活性を測定し(比較例10−1)、アルギニン2%のみを含む溶液(比較例10−2)、及びキトサンピロリドンカルボン酸塩0.1 %のみを含む溶液(比較例10−3)のヒドロキシラジカル消去活性を同様に測定して比較した。 生成したヒドロキシラジカルに対する消去率を表10に示す。 表10からも明らかなように、比較例10−2では約16%の消去活性が得られ、比較例10−3では約15%の消去活性が得られた。これに対して、両方を含む比較例10−1では約28%の消去活性が得られた。この結果から、アルギニンとキトサンピロリドンカルボン酸塩の双方を含む液の場合には、それぞれ単独の場合におけるヒドロキシラジカルの消去活性が相乗的に上昇しないことが確認できた。 以上の実施例2乃至7及び比較例8乃至10の結果をまとめると次表11のとおりである。表11において、○は相乗効果が認められたこと、△は必ずしも相乗効果が認められなかったこと、△−○はほぼ相乗効果が認められたことを示す。 すなわち、表11に示すように、アミノ酸であるシトルリン若しくはテアニンと、キトサン若しくはキチン誘導体との混合物のヒドロキシラジカル消去活性は、それぞれ単独のヒドロキシラジカル消去活性に比べて相乗的に上昇したが、アルギニンとキトサン若しくはキチン誘導体との混合物のヒドロキシラジカル消去活性は、それぞれ単独のヒドロキシラジカル消去活性に比べて相乗的に上昇しなかった。(実施例8) 本実施例では、アミノ酸とキトサン又はキチン誘導体との混合物のDNA損傷抑制作用について試験した。被検物質である濃度0.2 %のシトルリン及び濃度0.05%の部分ミリストイル化カルボキシメチルキトサン、20mM Tris-Hcl(pH7.4)、80ng/μL のpUC18プラスミドDNA、2mM 50μM EDTA−Na−Fe(III) 、8mM過酸化水素となるように全量が20uLの溶液を調整し、25℃で保温した。2時間後、反応溶液にゲルローディングバッファー(0.25%BPB,1mMEDTA,30%グリセロール)を1/2 当量加え、エチジウムブロマイド含有1%アガロースゲル、及びTBE(×0.5)を用いて電気泳動した。泳動後、アガロースゲルに紫外線照射を行い、泳動結果の写真を撮影した。各バンドの大きさはATTO Lanc & Spot Analyzer により定量した。 一方、被検物質を加えない状態で同様に電気泳動を行い、泳動結果の写真を撮影し、各バンドの大きさを同様に定量した。被検物質を加えた場合と加えない場合の定量値から、DNA損傷の抑制率を求めた。抑制率は次式で示される。 抑制率(%)=〔1−(被検物質を加えた場合のバンドの定量値)/(被検物質を加え ない場合のバンドの定量値)〕×100 この抑制率を求めることで、過酸化水素から発生するヒドロキシラジカルによってpUC18プラスミドDNAが損傷される程度が、上記被検物質によりどの程度抑制されるかが確認できる。結果を表12に示す。 本実施例では、表12に示すように抑制率は25%であり、非常に優れた結果が得られた。 (実施例9) 本実施例では、被検物質として濃度0.2 %のテアニン及び濃度0.05%のカルボキシメチルキチンの混合物を用いた。実施例8と同様の方法でDNA損傷抑制作用について試験した。本実施例では、表12に示すように抑制率は45%であり、実施例8と同様に非常に優れた結果が得られた。(比較例8) 被検物質として濃度0.2 %のシトルリンを用いた。実施例8、9と同様の方法でDNA損傷抑制作用について試験した。比較例8では、表12に示すように抑制率は16%であり、ある程度の抑制作用は認められたが、実施例8に比べると抑制率は劣っていた。(比較例9) 被検物質として濃度0.2 %のテアニンを用いた。実施例8、9と同様の方法でDNA損傷抑制作用について試験した。比較例9では、表12に示すように抑制率は29%であり、ある程度の抑制作用は認められたが、実施例9に比べると抑制率は劣っていた。(比較例10) 被検物質として濃度0.2 %のシステインを用いた。実施例8、9と同様の方法でDNA損傷抑制作用について試験した。比較例10では、表12に示すように抑制率は5%以下であり、抑制作用はほとんど認められなかった。(比較例11) 被検物質として濃度0.2 %のアルギニンを用いた。実施例8、9と同様の方法でDNA損傷抑制作用について試験した。比較例11では、表12に示すように抑制率は5%以下であり、抑制作用はほとんど認められなかった。(処方例1) 本処方例は、化粧料の一例としてのエッセンスの処方例であり、その組成は次のとおりである。 成分 配合量(質量%)(1) シトルリン 2.0 (2) 部分ミリストイル化キトサンピロリドン カルボン酸塩1%水溶液(製品名:PM−キトサン) 20.0 (3) アセチルシトルリン 0.5 (4) グリセリン 10.0 (5) ヒドロキシエチルセルロース 0.5 (6) メチルパラベン 0.1 (7) 精製水 残量 (1) 〜(3) の成分を均一に加熱処理し、超音波処理又は高圧乳化処理したものを凍結乾燥させることにより複合化させる。この複合化したものを、(4) 〜(7) の成分を混合、攪拌した攪拌溶解物に徐々に添加、溶解することにより、エッセンスを調製した。(処方例2) 本処方例は、化粧料の一例としてのローションの処方例であり、その組成は次のとおりである。 成分 配合量(質量%) (1) テアニン 1.5(2) アセチルヒスチジン 0.5(3) カルボキシメチルキトサン 0.2(4) 部分ミリストイル化キトサンピロリドン カルボン酸塩1%水溶液(製品名:PM−キトサン) 10.0(5) ブチレングリコール 10.0(6) グリセリン 5.0(7) クエン酸 0.01(8) メチルパラベン 0.2 (9) 精製水 残量 (1) 〜(4) の成分を均一に加熱処理し、超音波処理又は高圧乳化処理したものを凍結乾燥させることにより複合化させる。この複合化したものを、(5) 〜(9) の成分を混合、攪拌した攪拌溶解物に徐々に添加、溶解することにより、ローションを調製した。(処方例3) 本処方例は、化粧料の一例としての乳化ファンデーションの処方例であり、その組成は次のとおりである。 成分 配合量(質量%) (1) 流動パラフィン 2.0(2) ミリスチン酸イソプロピル 3.0(3) スクワラン 7.0(4) ワセリン 2.0(5) セタノール 1.5(6) 部分ミリストイル化キトサン乳酸塩 0.2(7) キトサンピロリドンカルボン酸塩 0.1(8) N−ジカルボキシメチルキトサン 0.1(9) 黄酸化鉄 4.0(10)タルク 5.5(11)酸化チタン 5.0(12)シトルリン 0.5(13)テアニン 1.0(14)グリセリン 5.0(15)メチルパラベン 0.1(16)精製水 残量 加熱処理した上記(6) 〜(13)の成分に、(1) 〜(5) の成分を添加し、ホモミキサー処理(8500rpm,20分処理)による乳化により乳化ファンデーションを調製した。(処方例4) 本処方例は、化粧料の一例としての乳化マスカラの処方例であり、その組成は次のとおりである。 成分 配合量(質量%) (1) 流動パラフィン 5.0 (2) ミツロウ 15.0 (3) ベヘニルアルコール 1.0 (4) ワセリン 2.0 (5) セタノール 1.5 (6) シトルリン 1.0 (7) 部分ミリストイル化キトサン ピロリドンカルボン酸塩1%水溶液(製品名:PM−キトサン〔ピアス株式会社製〕) 20.0 (8) グリセリン 1.0 (9) メチルパラベン 0.2 (10)黒酸化鉄 5.0 (11)タルク 2.5 (12)微粒子酸化チタン 1.0 (13)ナイロン末 4.0 (14)ヒドロキシエチルセルロース 0.5 (15)精製水 残量 加熱処理した上記(6) 〜(15)の成分に、加熱溶解させた上記(1) 〜(5) の油相組成のも+−のを添加し、ホモミキサー処理による乳化によりpH4.8 の弱酸性の耐水性O/W型エマルションを調製した。(処方例5) 本処方例では、上記処方例1のエッセンス中の成分であるシトルリンに代えてプロリンを用い、アセチルシトルリンに代えてヒスチジンを用いた。その他の成分は、上記処方例1と同じであるため、その説明は省略する。(処方例6) 本処方例では、上記処方例2のローション中の成分であるテアニンに代えてトリメチルグリシンを用い、アセチルヒスチジンに代えてエクトインを用いた。その他の成分は、上記処方例2と同じであるため、その説明は省略する。(処方例7) 本処方例では、上記処方例3の乳化ファンデーション中の成分であるシトルリンに代えてトリプトファンを用い、テアニンに代えてシステインを用いた。その他の成分は、上記処方例3と同じであるため、その説明は省略する。(処方例8) 本処方例では、上記処方例4の乳化マスカラ中の成分であるシトルリンに代えてカルノシンを用いた。その他の成分は、上記処方例3と同じであるため、その説明は省略する。 本発明の組成物は、活性酸素抑制用、特にシワ、シミ等の皮膚老化や、肌荒れ、炎症性ニキビ等の皮膚細胞損傷への影響性が高いヒドロキシラジカルを抑制する皮膚膚外用剤、化粧料に広く適用することができる。シトルリンと部分ミリストイル化キトサンピロリドンカルボン酸塩とのヒドロキシラジカルに対する消去率の相乗効果を示すグラフ。 アミノ酸又はアミノ酸誘導体と、キチン若しくはキトサン又はキチン若しくはキトサンの誘導体とを含有することを特徴とする活性酸素抑制用の組成物。 アミノ酸又はアミノ酸誘導体が、シトルリン、プロリン、ヒスチジン、テアニン、トリメチルグリシン、セリン、トリプトファン、システイン、カルノシン、カルニチン、オルニチン、グルタチオン、若しくはN−アセチルシステイン、又はこれらの誘導体から選択される一種又は二種以上である請求項1記載の活性酸素抑制用の組成物。 アミノ酸又はアミノ酸誘導体が、シトルリン若しくはテアニン、又はこれらの誘導体である請求項1記載の活性酸素抑制用の組成物。 キチン若しくはキトサン又はキチン若しくはキトサンの誘導体が、平均分子量1000〜5000000のキチン若しくはキトサン又はキチン若しくはキトサンの誘導体から選択される一種又は二種以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の活性酸素抑制用の組成物。 キチン若しくはキトサン又はキチン若しくはキトサンの誘導体が、炭素数4〜20の脂肪酸基を部分導入した平均分子量1000〜2000000 のキチン若しくはキトサン又はキチン若しくはキトサンの誘導体から選択される一種又は二種以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の活性酸素抑制用の組成物。 請求項1乃至5のいずれかに記載の活性酸素抑制用の組成物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。 請求項1乃至5のいずれかに記載の活性酸素抑制用の組成物を含有することを特徴とする化粧料。 【課題】 シワ、シミ等の皮膚老化や、肌荒れ、炎症性ニキビ等の皮膚細胞損傷への影響性が高いヒドロキシラジカルを抑制する組成物と、その組成物を配合する皮膚外用剤、化粧料に関し、安定性,持続性が高く、短時間でほぼ完全にヒドロキシラジカル等の活性酸素を抑制することのできる活性酸素抑制効果に優れた組成物、及びその組成物を配合した皮膚外用剤、化粧料を提供することを課題とする。 【解決手段】 活性酸素抑制用の組成物に、アミノ酸又はアミノ酸誘導体と、キチン若しくはキトサン又はキチン若しくはキトサンの誘導体とを含有させたことを特徴とする。【選択図】 なし