生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_イオン伝導体
出願番号:2004052025
年次:2005
IPC分類:7,C07C255/54


特許情報キャッシュ

岸井 豊 大森 裕 喜井 敬介 加藤 隆史 JP 2005239639 公開特許公報(A) 20050908 2004052025 20040226 イオン伝導体 日東電工株式会社 000003964 加藤 隆史 501073909 鎌田 耕一 100107641 黒田 茂 100115152 岸井 豊 大森 裕 喜井 敬介 加藤 隆史 7C07C255/54 JPC07C255/54 4 1 OL 12 4H006 4H006AA03 4H006AB91 本発明は、イオン伝導体に関する。具体的には、リチウムおよびリチウムイオン電池、キャパシタ、光電気化学電池、イオンセンサ、フォトクロミック素子、燃料電池等の各種デバイスに適した特性を有するイオン伝導体に関する。 従来から知られているイオン伝導体としては、無機材料を用いた無機固体電解質、有機高分子を用いた高分子固体電解質、水または非水溶媒を用いた液状電解質が挙げられる。高分子固体電解質は、液漏れのおそれがなく不揮発性であり、次世代リチウム二次電池用の電解質等として注目を集めている。しかし、高分子固体電解質は、現段階ではイオン伝導率が十分に高くはない。 イオン伝導率の向上のため、液状電解質をゲル化剤で固化させたゲル電解質も検討されている。しかし、ゲル電解質には揮発しやすい液状成分が残存しているため、デバイスの安全性を十分に確保できない。 近年、固体と液体の中間的性質を有する液晶材料を用い、液晶材料が有する配向性等の特性を利用したイオン伝導体が提案されている(特許文献1〜特許文献3)。特開2001−351683号特開2002−105033号特開2002−358821号 実用に供される条件を考慮すると、電極間に配置されるイオン伝導体は、室温下で、電極間の方向に相対的に高いイオン伝導率を示すことが望まれる。また、デバイスによっては、室温下とともに高温下で高いイオン伝導率を示すことが望まれる。しかし、広い温度域で電極に対して垂直方向に高いイオン伝導率を示す、液晶材料を用いたイオン伝導体は知られていない。 そこで、本発明は、電解質と、下記式(化1)で示される分子とを含むイオン伝導体を提供する。 ただし、nは1以上7以下の整数であり、R0は炭素数が2以上10以下の直鎖アルキル基である。 温度が低くなると電解質から供給されるイオンは拡散しにくくなる。しかし、上記(化1)で示される分子は、室温程度の温度で電極に垂直な方向に沿って配列し、イオンの移動方向を電極間の方向に規制する。このため、この方向に沿ったイオン伝導率が相対的に高くなる。上記分子は、末端に極性基(シアノ基)を有するために電解質との相溶性にも優れている。以上により、例えば室温程度の温度から高温に至る広い温度域にわたって、電極に対して垂直方向に高いイオン伝導率を示すイオン伝導体を提供できる。 本発明のイオン伝導体は、式(化1)で示される分子(以下、「分子A」ということがある)とともに、下記式(化2)または式(化3)で示される液晶性分子(以下、「分子B」ということがある)をさらに含むことが好ましい。分子Bを添加すると、分子の配向性が向上し、上記垂直方向の伝導率を向上させることができる。 ただし、R1およびR2は、それぞれ炭素数が2以上10以下の直鎖アルキル基である。 本発明のイオン伝導体では、分子Aに対する分子Bの比が、モル比により表示して、1/10〜5/5が好適である。 本発明のイオン伝導体は、透明導電膜付きガラス電極間に狭持して測定した23℃におけるイオン伝導率が1.0×10-6以上であり、上記電極間に狭持して測定した65℃におけるイオン伝導率が1.0×10-5以上とすることもできる。 また、本発明のイオン伝導体を用いれば、電極に垂直方向に、即ち互いに対向するように配置した電極間の方向に沿って、相対的に高い伝導率を得ることができる。例えば、このイオン伝導体を透明導電膜付きガラス電極間に狭持して測定した23℃におけるイオン伝導率を、上記電極間と直交する方向の23℃におけるイオン伝導率よりも高くすることも可能である。室温近傍では、高温域と比較すれば伝導率は低下するが、本発明のイオン伝導体では分子の配向性が伝導率の低下を補う。 本発明のイオン伝導体では、電解質および上記分子の含有率は特に制限されないが、電解質の含有率は1〜30モル%、特に5〜20モル%、が好ましく、上記分子(式(化1)、(化2)または(化3)で示される分子)の含有率は70〜99モル%、特に80〜95モル%、が好ましい。電解質が1モル%未満となると、伝導性の発現に必要なイオンが不足し、電解質が30モル%を超えると、電解質が均一に溶解しない、あるいは配向性が発現しない場合がある。 電解質としては、アルカリ金属塩、特にリチウム塩が好適であり、具体的には、LiPF6、LiBF4、LiN(C2F5SO2)2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlF4、LiGaF4、LiInF4、LiClO4、LiN(CF3SO2)2、LiCF3SO3、LiSiF6、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等を用いることができる。 電解質はデバイスに応じて適宜選択するとよい。リチウム塩以外の電解質としては、LiI、NaI、KI、CsI、CaI等の金属ヨウ化物、4級イミダゾリウム化合物のヨウ素塩、テトラアルキルアンモニウム化合物のヨウ素塩、LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2等の金属臭化物を例示できる。 電解質の別の好ましい例はプロトン酸である。プロトン酸は無機酸でも有機酸でもよい。無機酸としては、硝酸、硫酸、亜硫酸、重亜硫酸、燐酸、亜燐酸、次燐酸、メタ燐酸、次亜燐酸、アミド燐酸、炭酸、重炭酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、オルトホウ酸、メタホウ酸、アルミン酸、アミド硫酸、ヒドラジノ硫酸、スルファミン酸を例示できる。また、有機酸としては、イソ吉草酸、イソ酪酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、乳酸、酢酸、酪酸、クロトン酸、アゼライン酸、クエン酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、フマル酸、マロン酸、リンゴ酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アニス酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、ナフトエ酸、テレフタル酸、ピロメリツト酸、アスパラギン、アスパラギン酸、4−アミノ酪酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、ゲルタミン酸、システイン、セリン、バリン、ヒスチジン、メチオニン、ロイシン、安息香酸、安息香酸−2−燐酸、アデノシン−2’−燐酸、フェノール−3−燐酸、ガラクトース−1−燐酸、ベンゼンホスホン酸、2−アミノエチルホスホン酸、2−ブロム−p−トリルホスホン酸、2−メトキシフェニルホスホン酸、t−ブチルホスフィン酸、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、4−アミノ−m−クレゾール、2,4−ジニトロフェノール、o−ブロモフェノール、p−フェノールスルホン酸、p−アセチルフェノール、アスコルビン酸、レダクチン、3−ヒドロキシフェニルホウ酸、3−アミノフェニルホウ酸、β−フェニルエチルボロン酸、ヒドラジン−N,N−ジ酢酸、ヒドラジン−N,N’−ジ酢酸を例示できる。プロトン酸は、上記に限らず、例えば、スルフォニルイミド酸、その誘導体等であってもよい。 本発明のイオン伝導体は、上記分子、電解質以外に、ゲル化剤、ポリエチレンオキサイド等その他成分を含んでいてもよいが、その他成分の含有率は、20モル%以下とすることが好ましい。 本発明のイオン伝導体は、リチウムイオン電池、燃料電池等各種デバイスへの適用が可能である。例えば色素増感型太陽電池では不揮発性のイオン伝導体が求められているが、本発明のイオン伝導体は十分に要求特性を満たす。 以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。まず、イオン伝導率等の測定方法について説明する。 (垂直方向イオン伝導率の測定方法) 図1に、イオン伝導率の測定に用いたセルを示す。このセルを作製するために、まず、アルゴングローブボックス内にて、予め透明導電膜としてITO(indium tin oxide)膜3を形成した縦25mm、横20mmのガラス板(ITO膜付きガラス電極)4に、試料充填部1として直径(r)15mmの円を打ち抜いた厚み30μmの粘着剤付きポリイミドフィルム(図2参照)をスペーサー2として貼り付けた。次いで、試料充填部1に試料(イオン伝導体)を充填して等方性液体状態となるまで加熱し、その後、もう1枚のITO膜付きガラス電極4をITO膜3が充填部1側となるように配置した。 こうして得た伝導率測定用セルは、一旦、室温(23℃)まで冷却し、室温で、または測定温度にまで昇温してから、インピーダンス測定装置(SEIKO EG&G製263Aポテンショスタットと5210 ロックインアンプ)を用いた複素インピーダンス法により、高周波数側の円弧と低周波数側の直線との交点の実数成分インピーダンスを求め、以下の式に基づいて伝導率σ(S/cm)を算出した。 σv=d/(R×A) d:スペーサー厚み(cm)、R:実数成分インピーダンス(Ω)、A:極板面積(cm2) (水平方向イオン伝導率の測定方法) 図3に、水平方向イオン伝導率の測定に用いた櫛型電極を示す。この櫛型電極11は、ガラス板上に、ITOを厚み30nmとなるように蒸着し、さらにAgとAuとからなる合金を総厚みが0.8μmとなるように蒸着することにより形成した。互いに対向するように配置した櫛型電極11は、それぞれ3つの櫛部12を有し、各櫛部12の幅Wは2mm、櫛部12の間隔Dは3mm、対向する櫛部の重複幅Vは7mmとした。この櫛型電極11の櫛部12の間に、測定対象とする試料を等方性状態となるように加熱してから塗布し、この試料を覆う領域に縦10mm、横25mmのガラス板を重ねてこの領域(測定領域13)でのみ試料を保持した。その後、垂直方向イオン伝導率の測定と同様にして伝導率σpを求めた。なお、伝導率σpの絶対値は、試料が等方性液体状態のときの測定値で補正した。 (合成例1) 4−シアノ−4’−ヒドロキシビフェニル47.9g、2−クロロエタノール24.6g、炭酸カリウム66.4gを150cm3のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、90℃で12時間加熱した後、室温まで冷却した。得られた混合物をジエチルエーテルで洗浄しながら吸引ろ過した。ろ過液に水を加えて2回洗浄し、1M(mol・dm-3)のNaOH水溶液、飽和NH4Cl水溶液、水の順で洗浄した。こうして得た有機層を、飽和食塩水、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、真空濃縮した。得られた粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル/ジクロロメタン(体積比4:1:1)を溶出液として、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。こうして、白色粉として、72%の収率で4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル−4−カルボニトリル(式(化4)参照)26.1gを得た。 (合成例2) 合成例1で得た4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル−4−カルボニトリル8g、1−ブロモプロパン12cm3、NaH1.3gに100cm3のDMFを加え、アルゴン雰囲気中、氷浴中で2時間撹拌し、さらに室温で10時間撹拌した。次いで、水で2回洗浄し、酢酸エチルを加えて3回抽出を行った。引き続き、水でさらに2回洗浄し、有機層を、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。こうして液状の粗生成物14.4gを得た。この粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル(体積比4:1)を溶出液として、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。溶出液を除去した後、70℃で真空乾燥させた。こうして、黄色の液状物として、34%の収率で4’−(2−プロポキシエトキシ)ビフェニル−4−カルボニトリル(C3EO1OCB)3.24gを得た。 (合成例3) 合成例1で得た4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル−4−カルボニトリル4g、1−ブロモヘキサン9.5cm3、NaH0.7gに60cm3のDMFを加え、アルゴン雰囲気中、氷浴中で2時間撹拌し、さらに室温で10時間撹拌した。次いで、水で2回洗浄し、酢酸エチルを加えて3回抽出を行った。引き続き、水でさらに2回洗浄し、有機層を、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。こうして液状の粗生成物5.4gを得た。この粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル(体積比5:1)を溶出液として、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。溶出液を除去した後、70℃で真空乾燥させた。こうして、粘性の液状物として、42%の収率で4’−(2−ヘキシルオキシエトキシ)ビフェニル−4−カルボニトリル(C6EO1OCB)4.4gを得た。 (合成例4) 合成例1で得た4’−(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル−4−カルボニトリル4g、1−ブロモヘプタン10.5cm3、NaH0.7gに60cm3のDMFを加え、アルゴン雰囲気中、氷浴中で2時間撹拌し、さらに室温で10時間撹拌した。次いで、水で2回洗浄し、酢酸エチルを加えて3回抽出を行った。引き続き、水でさらに2回洗浄し、有機層を、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。こうして液状の粗生成物5.1gを得た。この粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル(体積比5:1)を溶出液として、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。溶出液を除去した後、70℃で真空乾燥させた。こうして、粘性の液状物として、65%の収率で4’−(2−ヘプチルオキシエトキシ)ビフェニル−4−カルボニトリル(C7EO1OCB)3.6gを得た。 (合成例5) 4−シアノ−4’−ヒドロキシビフェニル50g、2−(2−クロロエトキシ)エタノール32.4cm3、炭酸カリウム70.0gを150cm3のDMFに溶解させ、90℃で12時間加熱した後、室温まで冷却した。得られた混合物をジエチルエーテルで洗浄しながら吸引ろ過した。ろ過液に水を加えて2回洗浄し、1MのNaOH水溶液、飽和NH4Cl水溶液、水の順で洗浄した。こうして得た有機層を、飽和食塩水、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、真空濃縮した。得られた粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル(体積比2:1)を溶出液として、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。こうして、液状物として、34%の収率で4’−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ビフェニル−4−カルボニトリル(式(化5)参照)24.6gを得た。 (合成例6) 合成例5で得た4’−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ビフェニル−4−カルボニトリル5g、1−ブロモプロパン6.5cm3、NaH0.9gに60cm3のDMFを加え、アルゴン雰囲気中、氷浴中で2時間撹拌し、さらに室温で10時間撹拌した。次いで、水で2回洗浄し、酢酸エチルを加えて3回抽出を行った。引き続き、水でさらに2回洗浄し、有機層を、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。こうして液状の粗生成物5.6gを得た。この粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチル(体積比2:1)を溶出液として、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。溶出液を除去した後、70℃で真空乾燥させた。こうして、液状物として、78%の収率で4’−[2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ]ビフェニル−4−カルボニトリル(C3EO2OCB)4.5gを得た。 (実施例1) 合成例2で合成したC3EO1OCB0.27g(9.61×10-4モル)、LiN(CF3SO2)2(キシダ化学製)0.03g(1.05×10-4モル)を、アルゴングローブボックス中のホットプレート上で100℃にて溶解させた。得られた溶液を、室温まで自然冷却した。こうして得たイオン伝導体を用いて垂直方向のイオン伝導率を測定した。 (実施例2) 合成例3で合成したC6EO1OCB0.27g(8.63×10-4モル)、LiN(CCF3SO2)2(キシダ化学製)0.03g(1.05×10-4モル)を、アルゴングローブボックス中のホットプレート上で100℃にて溶解させた。得られた溶液を、室温まで自然冷却した。こうして得たイオン伝導体を用いて垂直方向のイオン伝導率を測定した。 (実施例3) 合成例4で合成したC7EO1OCB0.24g(7.12×10-4モル)、LiN(CF3SO2)2(キシダ化学製)0.06g(2.09×10-4モル)を、アルゴングローブボックス中のホットプレート上で100℃にて溶解させた。得られた溶液を、室温まで自然冷却した。こうして得たイオン伝導体を用いて垂直方向のイオン伝導率を測定した。 (実施例4) 合成例6で合成したC3EO2OCB0.27g(8.31×10-4モル)、LiN(CF3SO2)2(キシダ化学製)0.03g(1.05×10-4モル)を、アルゴングローブボックス中のホットプレート上で100℃にて溶解させた。得られた溶液を、室温まで自然冷却した。こうして得たイオン伝導体を用いて垂直方向のイオン伝導率を測定した。 (実施例5) 合成例6で合成したC3EO2OCB0.07g(2.15×10-4モル)、式(化2)でR1がペンチル基に相当する4’−ペンチルオキシビフェニル−4−カルボニトリル(ワコーケミカル製)0.13g(4.91×10-4モル)、式(化2)でR1がヘプチル基に相当する4’−ヘプチルオキシビフェニル−4−カルボニトリル(ワコーケミカル製)0.14g(4.78×10-4モル)、LiN(CF3SO2)2(キシダ化学製)0.02g(6.97×10-5モル)を、アルゴングローブボックス中のホットプレート上で100℃にて溶解させた。得られた溶液を、室温まで自然冷却した。こうして得たイオン伝導体を用いて垂直方向のイオン伝導率を測定した。 この測定に用いたセルを、偏光顕微鏡(オリンパス製)を用いてオルソスコープ観察およびコノスコープ観察を行ったところ、室温(23℃)で電極に垂直に分子が配向していることが確認できた。 このイオン伝導体については水平方向のイオン伝導率も測定した。垂直および水平方向の伝導率の温度依存性を図4に示す。室温(23℃)では、垂直方向イオン伝導率が水平方向イオン伝導率よりも大きくなっていることがわかる。 (比較例1) 上記イオン伝導体に代えて、上記リチウム塩0.01gを4−ヒドロキシベンゼン酸−4−オクチルフェニルエステル(東京化成製、融点70℃)0.99gに溶解させたイオン伝導体を用いた以外は、実施例1と同様にして、垂直方向イオン伝導率を測定した。このイオン伝導体では、電極に対する垂直配向性は確認できなかった。 以上の実施例および比較例から得た垂直方向のイオン伝導率を表1にまとめて示す。 本発明のイオン伝導体は、室温付近から高温に至るまで高いイオン伝導率を有するため、特に使用温度域が広いデバイスに適した特性を有する。本発明のイオン伝導体は、不揮発性であって、実用面で重要となる電極間の伝導率が大きい。本発明のイオン伝導体は、リチウムイオン電池、燃料電池に代表される各種デバイスの材料として大きな利用価値を有する。本発明の実施例で用いたイオン伝導率測定用セルの断面図である。図1のセルに用いたスペーサーの平面図である。本発明の実施例で用いた水平方向イオン伝導率測定用セルにおける櫛型電極を示す平面図である。本発明のイオン伝導体のイオン伝導率の温度依存性の一例を示す図である。符号の説明 1 試料充填部 2 スペーサー 3 ITO膜 4 ITO膜付きガラス電極 11 櫛型電極 12 櫛部 13 測定領域 電解質と、下記式(化1)で示される分子とを含むイオン伝導体。 ただし、nは1以上7以下の整数であり、R0は炭素数が2以上8以下の直鎖アルキル基である。 下記式(化2)または式(化3)で示される分子をさらに含む請求項1に記載のイオン伝導体。 ただし、R1およびR2は、それぞれ炭素数が2以上10以下の直鎖アルキル基である。 透明導電膜付きガラス電極間に狭持して測定した23℃におけるイオン伝導率が、前記電極間と直交する方向の23℃におけるイオン伝導率よりも高い請求項1または2に記載のイオン伝導体。 前記電解質の含有率が1〜30モル%であり、式(化1)、(化2)または(化3)で示される分子の含有率が70〜99モル%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン伝導体。 【課題】室温から高温に至るまで、電極間に沿った方向に高いイオン伝導率を示すイオン伝導体を提供する。 【解決手段】電解質と、下記式(化1)で示される分子とを含むイオン伝導体とする。 【化1】 ただし、nは1以上7以下の整数であり、R0は炭素数が2以上10以下の直鎖アルキル基または炭素数が2以上10以下の直鎖アルコキシル基である。【選択図】図1


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