タイトル: | 公開特許公報(A)_疲労回復剤及び疲労回復用食品 |
出願番号: | 2004048417 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A61K38/00,A23L1/30,A23L1/305,A61K38/17,A61P3/02 |
小寺 智博 丹尾 式希 村上 仁志 JP 2005239579 公開特許公報(A) 20050908 2004048417 20040224 疲労回復剤及び疲労回復用食品 味の素株式会社 000000066 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 島村 直己 100101904 小寺 智博 丹尾 式希 村上 仁志 7A61K38/00A23L1/30A23L1/305A61K38/17A61P3/02 JPA61K37/18A23L1/30 AA23L1/30 BA23L1/305A61P3/02A61K37/16A61K37/12A61K37/02 4 OL 11 4B018 4C084 4B018MD20 4B018MD49 4B018MD74 4B018ME14 4B018MF12 4C084AA02 4C084BA43 4C084CA14 4C084CA38 4C084CA45 4C084DC50 4C084NA14 4C084ZC211 4C084ZC212 本発明は、日常生活で疲れを感じたり、激しい若しくは長時間の運動や労働で疲労困憊したり起床時に不定愁訴を感じる者が使用するための疲労回復剤及び疲労回復用食品に関するものである。 従来から疲労回復剤として生活者に多用されている滋養強壮飲料は、各種ビタミン、カフェイン、タウリンなどを主成分とするが、ビタミン、タウリンなどには明確な疲労回復効果は示されおらず、また疲労回復効果が認められているカフェインも中枢神経系への作用によるものであり、疲労の原因を根本的に解決するものではない。 また、朝鮮人参、ローヤルゼリーやプロポリスプロテインは、疲労回復効果が認められる場合にあっても、その作用点・作用機序等が明確ではなく、さらに、これらの製品の全ては味及び臭い等の官能上にも大きな問題があり、医薬品的な形状以外では使用し難く、日常の食生活の中で多用することは困難であると考えられる。 また、アンセリン、カルノシンといったジペプチドなどにも疲労回復効果があることが報告されているが、酵素分解により得られたペプチドは強い苦味を持つことからやはり官能上の問題がある。 これらのことから、官能的にも問題がなくかつ効果的に疲労回復効果をもつ物質が望まれている。特表平5−505524号公報特開平8−264号公報特開平9−121870号公報特開2000−83695号公報米国特許第4266031号明細書「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」,Cold Spring Harbor,1982,p.4 本発明は、運動や体力を要する仕事を行った後や早朝起床時のような体が疲労している状態(自発運動量が減少している状態)から体力をいち早く回復させたり、体力の低下を防止し、体力を維持することのできる疲労回復剤及び疲労回復用食品を提供することを目的とする。 本発明者は、前記記載の目的を達成すべく鋭意研究の結果、発芽ダイズ子葉由来のチオールプロテアーゼ及び/又は微生物に由来するセリンプロテアーゼによりタンパク質を分解して得られるタンパク質分解ペプチドが優れた疲労回復効果及び滋養強壮効果を有することを見出し本発明を完成させるに至った。 即ち、本発明は以下の発明を包含する。(1)タンパク質含有原料を、発芽ダイズ子葉由来のチオールプロテアーゼ及び/又は微生物に由来するセリンプロテアーゼにより分解して得られるタンパク質分解ペプチドを含有する疲労回復又は滋養強壮剤。(2)前記タンパク質含有原料が、カゼイン、小麦タンパク質及びカツオ節からなる群より選択される前記(1)記載の疲労回復又は滋養強壮剤。(3)タンパク質含有原料を、発芽ダイズ子葉由来のチオールプロテアーゼ及び/又は微生物に由来するセリンプロテアーゼにより分解して得られるタンパク質分解ペプチドを含有する疲労回復用又は滋養強壮用食品。(4)前記タンパク質含有原料が、カゼイン、小麦タンパク質及びカツオ節からなる群より選択される前記(3)記載の疲労回復用又は滋養強壮用食品。 本発明により、疲労回復効果及び滋養強壮効果に優れた疲労回復剤及び疲労回復用食品が提供される。また、本発明による疲労回復剤及び疲労回復食品は苦味等の官能上の問題がないため容易に摂取することができる。 以下に本発明について詳細に説明する。 本発明で用いるタンパク質分解ペプチドは、タンパク質含有原料を発芽ダイズ子葉由来のチオールプロテアーゼ及び/又は微生物に由来するセリンプロテアーゼで分解することにより得られる。 本発明で用いられる発芽ダイズ子葉由来のチオールプロテアーゼ(以下、「D3」ともいう。)は公知であり、発芽ダイズ子葉に由来し、ダイズ種子貯蔵タンパク質をアミノ酸又は低分子ペプチドまで分解しえるタンパク質分解酵素であり、以下の性質を有することが知られている:(a)至適pH:約3〜7(b)至適温度:約30〜50℃(c)分子量(SDS−PAGE):約26〜30KD(d)阻害剤:トランス−エポキシサクシニル−L−ロイシルアミド(4−グアニジノ)−ブタンで阻害される(e)活性化剤:2−メルカプトエタノール、システイン、還元型グルタチオンで活性化される D3を発芽ダイズ子葉から分離精製する方法は公知の方法により実施することができ、例えば、特開平8−264号公報に詳細に記載されている。 また、本発明で用いられるD3としては、発芽ダイズ子葉から直接得られるD3だけでなく、遺伝子組換えにより得られる形質転換体が生産するD3を用いることももちろん可能である。形質転換体を用いてD3を製造する方法は公知であり、例えば、D3をコードするDNAを適当な発現ベクターに組み込み、この発現ベクターを大腸菌や酵母等の微生物や細胞に導入してD3を生産する形質転換体を得ることができる。このような組換えD3の製造方法については、例えば、特開平09−121870号公報「新規チオールプロテアーゼをコードするDNAおよびこれを用いた該チオールプロテアーゼの製造方法」に詳細に記載されている。 D3には2種類のアイソザイム(D3−α及びD3−β)が存在するがどちらも使用できる。D3−α及びD3−βのアミノ酸配列を配列番号1及び配列番号2に示す。 本発明で用いることのできるD3としては、配列番号1又は配列番号2に示したアミノ酸配列を有するものだけでなく、その誘導体も用いることができる。ここで、D3の「誘導体」とは、天然タンパク質D3の天然アミノ酸配列のC−末端及び/又はN−末端に1若しくは複数個のアミノ酸を付加することにより、天然アミノ酸配列における1若しくは複数の異なる部位での1若しくは複数のアミノ酸の置換により、天然タンパク質のいずれかの又は両方の末端における或いはアミノ酸配列における1若しくは複数の部位での1若しくは複数のアミノ酸の欠失により、あるいは天然アミノ酸配列における1若しくは複数の部位での1若しくは複数のアミノ酸の挿入により、この酵素のタンパク質分解活性がこれによって損傷を受けていないことを条件として、天然酵素D3から誘導されたタンパク質分解酵素を意味するものと理解される。 次に、本発明で用いることのできる微生物に由来するセリンプロテアーゼ(以下、「GSP」ともいう。)について説明する。 該セリンプロテアーゼは公知であり、グルタミン酸(Glu)残基のC−末端側及びアスパラギン酸(Asp)残基のC−末端側を特異的に切断するタンパク質分解酵素であり、以下の性質を有することが知られている:(a)至適pH:約6.5〜10(b)至適温度:約40〜65℃(c)分子量(SDS−PAGE):約22〜28KD(d)阻害剤:ジイソプロピルホスホフルオリデートによって阻害されるが、フェニルメタンスルホニルフルオリドによっては阻害されない(e)活性化剤:カルシウムイオン 上記のようなセリンプロテアーゼを産生する微生物としては、例えば、バチルス属、ストレプトミセス属、スタフィロコッカス属及びアクチノミセス属等に属する微生物が挙げられる。より具体的には、例えば、バチルス・リシェニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトミセス・サーモブルガリス(Streptomyces thermovulgaris)、ストレプトミセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)等が挙げられる。本発明で用いられるGSPとしては上記のような微生物の培養物から周知の方法、例えば、米国特許第4,266,031号及び特表平5−505524号公報等に記載の方法により単離精製することができる。 また、本発明で用いられるバチルス属に属する微生物に由来するGSPは、バチルス属に属する微生物の突然変異体、例えばスブチリシンAをコードする遺伝子が、例えば前記の米国特許第4,266,031号に開示された方法による突然変異誘発物質(例えばニトソグアニジン)の利用を含む常用の突然変異誘発方法によって不活性化された突然変異体から得られたものであってもよい。さらには、本発明で用いられるGSPは、遺伝子組換えによって得られたGSP、すなわちこの酵素を生産する微生物、例えばバチルス・リシェニホルミスのcDNA又はゲノムライブラリーからGSPをコードするDNA配列を単離し、このDNA配列を適切な発現ベクターに挿入せしめ、このベクターによって適当な宿主微生物を形質転換せしめ、この酵素の生産を助長せしめる条件のもとでこの宿主を増殖せしめ、そしてこの培養物からGSPを回収することによって得られるGSPも用いることができる。これらの工程は標準の方法によって行なわれうる。T.Maniatisら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,1982を参照のこと。なお、GSPのアミノ酸配列を配列番号3に示す。 本発明で用いることのできるGSPとしては、配列番号3に示したアミノ酸配列を有するものだけでなく、その誘導体も用いることができる。ここで、GSPの「誘導体」とは、天然タンパク質GSPの天然アミノ酸配列のC−末端及び/又はN−末端に1若しくは複数個のアミノ酸を付加することにより、天然アミノ酸配列における1若しくは複数の異なる部位での1若しくは複数のアミノ酸の置換により、天然タンパク質のいずれかの又は両方の末端における或いはアミノ酸配列における1若しくは複数の部位での1若しくは複数のアミノ酸の欠失により、あるいは天然アミノ酸配列における1若しくは複数の部位での1若しくは複数のアミノ酸の挿入により、この酵素のタンパク質分解活性がこれによって損傷を受けていないことを条件として、天然酵素GSPから誘導されたタンパク質分解酵素を意味するものと理解される。 GSPは他のプロテアーゼが不活性化されている突然変異株、例えばバチルス リシェニホルミス株の場合はスブチリシンAをコードする遺伝子が、例えば実質的に不活性化されている突然変異体で調製した場合においても、培養ブロスから目的プロテアーゼ分画するほうが望ましい。分画方法としては硫安沈殿による分画や、膜処理による分画、イオン交換樹脂やゲルろ過クロマトグラフィーによる分画などいずれの方法でも良い。またプロテアーゼ以外の酵素の存在であれば、タンパク質分解物の特性に影響を与えない。 本発明で用いられるタンパク質原料としてはタンパク質成分を含む物質又は材料であれば特に限定されないが、好ましくはタンパク質成分として、乳漿タンパク質、カゼイン、肉類タンパク質、魚類タンパク質、赤血球、卵白、コラーゲン又はゼラチン等の動物性タンパク質、ダイズタンパク質、小麦グルテン、ゼイン、なたねタンパク質、むらさきうまごやしタンパク質、えんどうタンパク質、マメ科タンパク質、綿の実タンパク質、ジャガイモタンパク質、米タンパク質又はごまの実タンパク質等の植物性タンパク質及び穀類のタンパク質等のタンパク質成分を含むものが挙げられる。本発明では、タンパク質原料としてカゼイン、小麦タンパク質又はカツオ節が特に好ましい。 本発明で用いられるタンパク質分解ペプチドは以下のようにして調製することができる。 発芽ダイズ子葉由来プロテアーゼD3によるタンパク質分解物の調製例について記述する。まず、1〜10重量%濃度程度のタンパク質水溶液を調製し、必要に応じて加熱処理(例えば、121℃で15分加熱)した後、該溶液を塩酸又は硫酸等でpH3〜6、好ましくはpH3.5〜5付近に調整する。このタンパク質溶液にタンパク質分解酵素D3をタンパク質100gあたり0.05〜2g、好ましくは0.1〜1gの量を添加する。ついで、D3を添加したタンパク質溶液を30℃〜50℃(好ましくは35〜45℃)で1〜100時間、好ましくは24〜48時間酵素反応を行う。反応終了後、反応溶液を加熱処理(例えば、80℃、20分加熱処理)して酵素を失活させ、遠心分離でタンパク質分解ペプチドを含有する上清画分を得た。上清部分のpHをNaOHで中性付近に中和し、凍結乾燥により酵素分解ペプチドを得ることができる。 次にGSP分解物の調製例について記述する。 セリンプロテアーゼGSPによるタンパク質分解ペプチド調製の際、タンパク質水溶液のpHは中性か又は若干アルカリ性であるときに、ペプチド結合の切断につれて下がる傾向にあるので、このタンパク質原料の分解反応中はpHを一定に保つことが好ましい。これはこのタンパク質水溶液を塩基、例えばNaOH、KOH、Ca(OH)2又はNH3で滴定することによって行うことができる。pHのモニター及び滴定はpH-スタットにおいて自動的に行うのが好都合である。 セリンプロテアーゼGSPによるタンパク質分解ペプチド調製例としては、まず1〜10重量%濃度程度のタンパク質水溶液を調製し、必要に応じて加熱処理(例えば、121℃で15分加熱)した後、該溶液を塩基(例えば、NaOH、KOH、NaHCO3等)でpH7〜11、好ましくはpH7〜9付近に調整する。このタンパク質溶液に十分な加水分解の程度を得るため、このタンパク質分解酵素GSPをタンパク質100gあたり0.05−2g、好ましくは0.1−1gの量を添加する。ついで、GSPを添加したタンパク質溶液を30℃〜50℃(好ましくは40〜50℃)で1〜48時間、好ましくは4〜8時間酵素反応を行う。反応終了後、反応溶液を加熱処理(例えば、80℃、20分加熱処理)して酵素を失活させ、遠心分離でタンパク質分解ペプチドを含有する上清画分を得た。上清部分のpHを中性付近に中和し、凍結乾燥により酵素分解ペプチドを得ることができる。 上記のようにしてタンパク質原料をD3及び/又はGSPにより酵素分解してタンパク質分解ペプチド混合物を得る。酵素分解反応は、酵素分解後に得られるペプチドの分子量範囲が、150〜20,000、好ましくは500〜5,000となるように行う。また、上記酵素分解後に得られるタンパク質分解ペプチド混合物中の低分子量ペプチド成分(分子量150〜20,000の範囲、好ましくは500〜5,000の範囲)が、得られる全ペプチド混合物の60重量%以上を占めるように酵素分解反応を行うことが好ましい。 本発明の疲労回復剤又は滋養強壮剤(以下、本発明の栄養剤ともいう)は、上述のようにして得られるタンパク質分解ペプチドを含有し、例えば、カプセル剤、散剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、溶液剤、懸濁剤、直腸内投与剤、注射剤、点滴剤等に製剤化してもよい。これらの製剤は製剤学の分野において汎用の製剤方法に従って容易に製造することができる。 また、上述のタンパク質分解ペプチドを含有する疲労回復用食品又は滋養強壮用食品としてもよい。食品の形態としては特に限定されるものではなく、例えば、粉末、固形食、流動食、飲料、ゼリー等が挙げられる。この他に、いわゆるサプリメントのような栄養補助食品等の形態であってもよい。 本発明の栄養剤及び食品は、タンパク質分解ペプチドに加えて、その他の栄養成分や薬効成分、並びに製薬分野及び食品分野で通常使用される添加剤等を配合しても良い。そのような追加の成分及び添加剤としては、例えば、アミノ酸、ビタミン、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、カフェイン又は生薬等が挙げられ、添加剤としては色素、希釈剤、香料、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤等、保存料、酸化防止剤等が挙げられる。 本発明の栄養剤及び食品の投与量(摂取量)について説明する。マウスに酵素分解ペプチドを投与した試験の結果ではその投与量が乾燥重量として1g/kgを超える場合において疲労回復作用が認められた。この用量は、動物からヒトへ換算すると、マウスの1日あたりのタンパク摂取量が約0.9gであり、タンパク質分解ペプチドの有効最低投与量が1g/kgの場合、1個体あたりの有効酵素分解ペプチド摂取量は0.025gとなる。この比を成人の1日あたりの必要タンパク質摂取量80gに乗じると、その最低有効投与量は成人の場合2g/日以上が目安となるが、最低有効投与量は体重、年齢、性別及び疲労の程度に応じて変化し、適宜設定できる。本発明の栄養剤又は食品を摂取する時は、1日の必要最低量以上を1回で摂取してもよいし、あるいは複数回に分けて摂取してもよい。 本発明の栄養剤及び食品は、疲労時に摂取すると疲労が顕著に回復されるだけでなく、疲労していない健常者においてはその健康を維持したり、あるいは疲労するのを抑止する効果を有する。 以下、実施例により本発明を更に説明する。参考例1:酵素分解ペプチドの製法(プロテアーゼを用いたタンパク質加水分解) カゼイン、小麦タンパク質又はかつお節粉を含む500mlの懸濁液(この懸濁液は約5%タンパク質(NX6.25)を含有する)に、発芽ダイズ使用由来プロテアーゼD3(タンパク質重量として基質の0.5%)又はGSP(タンパク質重量として基質の1%)を加えた。D3についてはpH4.5、40℃にて、GSPについてはpH8.0、45℃にて酵素分解反応を行った。pH−スタット(stat)を用いて酵素分解反応中、pHを4M HCl又は4M NaOHを添加して一定に保持した。D3酵素分解反応は48時間後に、GSP酵素分解反応は6時間後に、pHを中性付近に調整して、80℃、20分間加熱処理して酵素を失活させた。さらに10,000g、5分間の遠心操作で不溶性物質を沈殿させ、可溶性画分のみを凍結乾燥し疲労回復試験に供した。 なお、比較に用いたズブチリシン(subtilisin)やペプシンによるタンパク質分解物についても上記方法に従って調製し、酵素添加量はタンパク質重量として基質の0.5%、反応時間は8時間、反応温度は40℃で酵素分解反応を行った。なお反応pHはズブチリシンを用いた場合にはpH8.0に、ペプシンを用いた場合にはpH2.0に調整した。実施例1:自発運動量の回復 各群8頭(各群n=8)からなる5週齢のCDF-1系雄性マウス群をトレッドミルにおき、強制歩行運動を3時間負荷した後、それぞれ発芽ダイズ子葉由来プロテアーゼD3で分解した、(1)カゼインペプチド、(2)小麦ペプチドをそれぞれの乾燥重量として1g/kgとなるように経口投与し、その後、赤外線センサー付自発運動量測定装置を用いて60分間の自発運動量を測定し、対照群(コントロール群;脱イオン蒸留水のみ投与)との比較を行った。結果を図1に示す。 図1に示されるように、小麦ペプチド分解物及びカゼイン分解物を投与した場合に自発運動量の回復が認められ、特にカゼインタンパク分解物においては自発運動量が顕著に増加した。実施例2 各群8頭(各群n=8)からなる5週齢のCDF-1系雄性マウス4群をトレッドミルにおき、強制歩行運動を3時間負荷した後、それぞれ、(1)発芽ダイズ子葉由来プロテアーゼD3分解カゼインペプチド、(2)ペプシン分解カゼインペプチド、(3)ズブチリシン分解カゼインペプチド、(4)セリンプロテアーゼ(GSP)分解カゼインペプチドをそれぞれ乾燥重量として1g/kgとなるように経口投与し、その後、赤外線センサー付自発運動量測定装置を用いて60分間の自発運動量を測定し、対照群(コントロール群;脱イオン蒸留水のみ投与)との比較を行った。 その結果を図2に示す。図2からもわかるように発芽ダイズ子葉由来プロテアーゼD3分解カゼインペプチド及びセリンプロテアーゼ(GSP)分解カゼインペプチドにおいて自発運動量の顕著な増加が認められたが、ペプシン分解カゼインペプチド及びズブチリシン分解カゼインペプチドを投与した群は自発運動量の増加は認められなかった。実施例3 各群6頭(各群n=6)からなる5週齢のCDF-1系雄性マウス3群をトレッドミルにおき、強制歩行運動を3時間負荷した後、それぞれ、(1)カゼインタンパク、(2)アミノ酸混合物(カゼインタンパクを構成するアミノ酸の混合物:タウリン、アスパラギン酸、スレオニン、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、リジン、ヒスチジン、アンセリン、カルノシン、アルギニンの混合物)(3)発芽ダイズ子葉由来プロテアーゼD3分解カツオ節ペプチド、(4)発芽ダイズ子葉由来プロテアーゼD3分解カゼインペプチドをそれぞれ1g/kg経口投与し、その後、赤外線センサー付自発運動量測定装置を用いて60分間の自発運動量を測定し、対照群(コントロール群;脱イオン蒸留水のみ投与)との比較を行った。 その結果を図3に示した。図にあるようにカゼインタンパク質では効果が認められなかったのに対し、発芽ダイズ子葉由来プロテアーゼD3分解カツオ節ペプチド、及び発芽ダイズ子葉由来プロテアーゼD3分解カゼインペプチドでは自発運動量の顕著な増加が認められた。実施例4 各群6頭(各群n=8)からなる5週齢のCDF-1系雄性マウス2群をトレッドミルにおき、強制歩行運動を3時間負荷した後、それぞれ、(1)発芽ダイズ子葉由来プロテアーゼD3分解カゼインペプチド1(投与量として0.5g/kg)、(2)発芽ダイズ子葉由来プロテアーゼD3分解カゼインペプチド2(投与量として1g/kg)をそれぞれ経口投与し、その後、赤外線センサー付自発運動量測定装置を用いて60分間の自発運動量を測定し、対照群(コントロール群;脱イオン蒸留水のみ投与)との比較を行った。 結果を図4に示す。図4からわかるように発芽ダイズ子葉由来プロテアーゼD3分解は1g/kg量の投与において最も効果が認められた。実施例5 各群6頭(各群n=8)からなる5週齢のCDF-1系雄性マウス2群をトレッドミルにおき、強制歩行運動を3時間負荷した後、それぞれ、(1)GSP分解カゼインペプチド1(投与量として0.5g/kg)、(2)GSP分解カゼインペプチド2(投与量として1g/kg)、(3)GSP分解カゼインペプチド3(投与量として2g/kg)をそれぞれ経口投与し、その後、赤外線センサー付自発運動量測定装置を用いて60分間の自発運動量を測定し、対照群(酵素分解していないカゼイン、及びコントロール群:脱イオン蒸留水のみ投与)との比較を行った。 結果を図5に示す。図5からわかるようにGSP分解カゼインペプチドを0.5g/kgという低投与量でも自発運動量の顕著な増加が認められた。 本発明の栄養剤及び食品は、疲労状態から健康な状態へと速やかに回復させるための疲労回復剤又は疲労回復食品としてだけでなく、健常者においては疲労を防止するための又は健康状態を維持するための滋養強壮剤又は滋養強壮用食品として有用である。実施例1の結果を示す図である。実施例2の結果を示す図である。実施例3の結果を示す図である。実施例4の結果を示す図である。実施例5の結果を示す図である。 タンパク質含有原料を、発芽ダイズ子葉由来のチオールプロテアーゼ及び/又は微生物に由来するセリンプロテアーゼにより分解して得られるタンパク質分解ペプチドを含有する疲労回復又は滋養強壮剤。 前記タンパク質含有原料が、カゼイン、小麦タンパク質及びカツオ節からなる群より選択される請求項1記載の疲労回復又は滋養強壮剤。 タンパク質含有原料を、発芽ダイズ子葉由来のチオールプロテアーゼ及び/又は微生物に由来するセリンプロテアーゼにより分解して得られるタンパク質分解ペプチドを含有する疲労回復用又は滋養強壮用食品。 前記タンパク質含有原料が、カゼイン、小麦タンパク質及びカツオ節からなる群より選択される請求項3記載の疲労回復用又は滋養強壮用食品。 【課題】 運動や体力を要する仕事を行った後や早朝起床時のような体が疲労している状態(自発運動量が減少している状態)から体力をいち早く回復させたり、体力の低下を防止し、体力を維持することのできる疲労回復剤及び疲労回復用食品を提供することを目的とする。【解決手段】 タンパク質含有原料を、発芽ダイズ子葉由来のチオールプロテアーゼ及び/又は微生物に由来するセリンプロテアーゼにより分解して得られるタンパク質分解ペプチドを含有する疲労回復又は滋養強壮剤。配列表