タイトル: | 公開特許公報(A)_飲料中微生物の検出方法 |
出願番号: | 2004046200 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C12Q1/04,G01N21/77,G01N21/78,G01N33/14,G01N33/18 |
五十嵐 俊教 篠崎 洋平 谷地舘 恵子 JP 2005229956 公開特許公報(A) 20050902 2004046200 20040223 飲料中微生物の検出方法 キッコーマン株式会社 000004477 鈴木 英之 100125542 五十嵐 俊教 篠崎 洋平 谷地舘 恵子 7C12Q1/04G01N21/77G01N21/78G01N33/14G01N33/18 JPC12Q1/04G01N21/77 DG01N21/78 CG01N33/14G01N33/18 F 1 OL 10 2G054 4B063 2G054AA02 2G054BB02 2G054BB05 2G054CA20 2G054CA30 2G054CE02 2G054EA01 4B063QA18 4B063QQ16 4B063QQ63 4B063QR90 4B063QS12 4B063QX02 本発明は、飲料中の微生物を迅速かつ高感度に検出する方法に関する。 従来、飲料中微生物の検査方法としては、試料中で微生物を増菌培養した後、少量を採取して寒天平板培地上で培養する方法(寒天平板法)や、試料液を一定量メンブランフィルターで濾過し、フィルター上で培養する方法(濾過法)が知られている。炭酸飲料やミネラルウォーター等の一部の飲料は、原料由来の微粒子などを含まないため濾過性が高く、これらの飲料の微生物検査は濾過法を主体として実施されている。この濾過法の利点は、試料となる飲料を濾過することにより、該試料中の微生物をフィルター上に濃縮できるため、多量の試料中に混入する少数の微生物を高感度に検出できることであり、飲料によっては全量を濾過することが可能である(例えば、非特許文献1参照。)。一方、茶系飲料やミルクコーヒー、果実飲料等のように、タンパク質や繊維質、ポリフェノール類などの不溶性の微粒子を多く含む飲料は、これらの微粒子がフィルターの目詰まりを引き起こすため濾過性が低く、微生物の検査方法として濾過法を利用することは困難である。 そのため、これらの不溶性の微粒子を多く含む飲料では、試料として飲料のごく一部を採取し、寒天平板法、もしくは濾過法を用いて検査している。これらの方法では試料の一部を採取して検査に用いるため、製品中に微生物が存在していた場合、採取する試料内にこれらの微生物が含まれるよう、十分に増菌させるための前培養が必要となる。微生物の中でも、真菌類は生育が遅いことで知られており、これらが採取する試料液中に高確率に含まれる菌数まで増菌させるためには、1週間以上の前培養を必要とする場合がある。また、真菌類の中には、凝集して生育するものも知られており、こうした場合には、飲料中に混入菌が局在し一様には存在しないため、偽陰性が生じる可能性がある。さらに、容器が透明であるPETボトル製品の場合は、通常、飲料内で7〜14日間という長い期間恒温培養を行った後、目視で飲料が濁っていないことを確認しており、そのため結果が得られるまでに長時間を要し、製品を出荷できないことによる在庫の増加から、空間的・金銭的な損失が大きかった。 これらの問題を解決する方法として、牛乳や乳製品など濾過が困難な飲料に、前処理として凝集剤と濾過促進剤とを添加した後、プレフィルターである高純度濾紙を用いて濾過することにより、メンブランフィルターの目詰まりを起こすことなく飲料を濾過させ、微生物を検出する方法が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この方法ではプレフィルターに用いる濾紙への微生物の吸着や、前処理に用いた凝集剤の微生物に与える影響を考慮する必要がある。特開2003−284589号公報伊藤武 監修,「食品微生物の簡便迅速測定法はここまで変わった!」,第1版,株式会社サイエンスフォーラム,2002年11月29日,p27−30 本発明は、通常の濾過法では濾過することが困難であるとされている濁度の高い飲料を短時間に濾過することを可能とし、該飲料中の微生物を迅速かつ高感度に検出する方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、メンブランフィルター上に濾紙を重層した濾過材を用いると、濾過性の低い飲料、特に茶系飲料を、目詰まりを起こすことなく簡便かつ短時間に濾過可能であること、さらに、濾過材中に捕捉した微生物は、バイオルミネッセンス法(ATP法)により高感度かつ簡便に検出可能であることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。 すなわち、本発明は以下の6つの工程を含む、飲料中の微生物の検出方法に関する。 1.メンブランフィルター上に濾紙を重層した濾過材を用いて飲料を濾過する第1工程 2.濾過材を洗浄液で洗浄する第2工程 3.濾過材を液体培地又は寒天平板培地で培養する第3工程 4.濾過材にATP消去剤を添加し、遊離ATPを消去する第4工程 5.濾過材にATP抽出剤を添加し、微生物由来ATPを抽出する第5工程 6.第5工程で得た抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定する第6工程 本発明によれば、従来濾過が困難であった飲料を、簡便な操作で短時間に濾過することが可能となり、また、濾過材中に捕捉した微生物を高感度に測定することにより、飲料に混入した少数個の微生物を検出することが可能となる。 本発明において、試料となる飲料は、例えば茶系飲料、果汁飲料、ミネラル水、炭酸飲料、スポーツドリンク、乳性飲料、アルコール飲料(ビール、ワイン)、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。しかし、本発明の効果が顕著に現れる、茶系飲料が試料として好ましい。茶系飲料とは、緑茶、ほうじ茶、麦茶、玄米茶、紅茶、健康茶、ウコン茶、ソバ茶、ウーロン茶、これらを混合したブレンド茶、などが挙げられる。 本発明において、濾過材とは、メンブランフィルター上に濾紙を重層したものを意味する。濾過材を構成するメンブランフィルターは、微生物を捕捉できる孔径0.45μm以下のものであれば特に限定されず、例えば市販の親水性又は疎水性メンブランフィルターを利用することができる。親水性メンブレンフィルターとしては、例えば、親水性PTFE(ポリトラフルオロエチレン)、親水性PVDF(ポリビニリデンジフルオライド)、親水性PS(ポリスルフォン)、親水性PC(ポリカーボネート)、親水性PA(ポリアミド)、親水性PE(ポリエチレン)、親水性PP(ポリプロピレン)等の親水性のプラスチック系材料、又はアセチルセルロース若しくはニトロセルロース等の材料を用いたものを利用することができる。また、疎水性メンブランフィルターとしては、例えばPVDF、PTFE、PE等、あるいは、疎水性の比較的大きい親水性濾過膜、例えばPC、PP、PA、PS等を利用することができる。 また、濾過材を構成する濾紙としては、例えば、セルロース性の定量濾紙、硼珪酸塩ガラス繊維性のガラス繊維濾紙などが挙げられる。特に、本発明の効果が顕著に現れる、保留粒子径が0.40〜0.80μmであり、厚さが0.2〜0.6mmのガラス繊維濾紙を2枚重層して利用することが好ましい。 本発明においては、まず第1工程として、上記濾過材を用いて試料である飲料を濾過する。試料の濾過方法としては、フィルターホルダー(例えばアドバンテック東洋社製、減圧濾過用ホルダーKG−47)に上記濾過材を装着し減圧濾過する方法や、ポリサルホンホルダー(例えばアドバンテック東洋社製、KP−47H)に上記濾過材を装着し減圧濾過する方法などが挙げられるが、その中でも特に、上記濾過材を装着したディスポーザブルタイプのフィルターユニット(例えばアドバンテック東洋社製、37mmモニター37AS245BS−HE)を用いて減圧濾過し、微生物を捕捉する方法が、フィルターユニットごと培養が可能であり、かつ、ディスポーザブルタイプであることから、作業者の負担を軽減できるため好ましい。 次に、試料によっては、微生物の増殖を阻害する抗菌物質を含む場合があり、そのような試料を濾過した場合には、濾過材に抗菌物質が吸着され、続く培養工程に悪影響を与えることがあり、また、試料が微生物に由来しない遊離のATPや発光物質を含み、これが濾過材に吸着した場合、後の発光測定の工程に悪影響を与えることがあるため、第2工程として、濾過材を、洗浄液を減圧濾過することにより洗浄する。濾過材の洗浄液としては、例えば、レシチン、ポリソルベート液(LP希釈液)、リン酸緩衝液(pH7.2)、非イオン性界面活性剤(例えば、Tween20、60、80、Triton X-45、X-100)、有機溶媒(例えばエチルアルコール、ジメチルスルホキシド)、及びこれらを含む滅菌蒸留水などを用いることができるが、中でも本発明の効果が顕著に現れる、0.05〜0.10%のTween20溶液を用いることが好ましい。 次に、第3工程として、濾過材上に液体培地を滴下、又は濾過材を寒天平板培地に乗せて、濾過材中に捕捉した微生物を一定時間培養する。培養により、微生物由来のATP量を増加させることができ、試料中の微生物が数個であっても、高感度に検出することが可能となる。培養に用いる培地としては、細菌用の培地であればよく、例えば、標準寒天培地、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト寒天培地(SCD培地)、ブレインハートインフュージョン培地、普通ブイヨン培地、MRS培地、R2A寒天培地、及びこれらの培地に糖やペプトンを加えた培地などが挙げられる。また、真菌用としては、サブロー寒天培地、ポテトデキストロース寒天培地、ブドウ糖ペプトン培地などが挙げられる。液体培地の場合は、前記のフィルターユニット内に、前記の液体状の培地を添加し、濾過材を培地で浸した状態にして培養する。または、液体培地を適当なパッドに吸収させたものに、微生物を捕捉した濾過材を乗せて培養しても良い。寒天培地の場合は、これに微生物を捕捉した濾過材をのせて培養する。微生物の培養時間としては、細菌であれば12〜24時間程度が好ましく、真菌であれば48〜72時間程度の培養時間が好ましい。培養温度としては例えば20〜37℃とすることが好ましいが、培養温度はこれに限定されるものではなく、対象とする微生物に合わせて試験者が適宜設定することができる。 次に、第4工程として、捕捉した微生物を培養した濾過材に、ATP分解酵素を含む試薬(以下「ATP消去試薬」という)を接触させ、微生物に由来しない遊離のATP(以下「バックグランドATP」という)を分解消去する。濾過材をATP消去試薬で処理することにより、バックグランドATPが分解され、後工程の生物発光反応におけるバックグランド発光を低下させることができ、微生物の検出感度を向上させることが可能となる。ATP消去試薬としては、例えば、アデノシンリン酸デアミナーゼ溶液、アデノシンリン酸デアミナーゼとその他の酵素(例えば、アピラーゼ、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、ヘキソキナーゼ、アデノシントリホスファターゼ)溶液などのATP分解酵素を一種類、もしくは複数種類を含む混合溶液が好ましい。濾過材とATP消去試薬を接触させる場合、ATP消去試薬を濾過材上に滴下するか、ATP消去試薬に濾過材を浸漬すればよい。ATP消去試薬中に含まれるATP分解酵素は、次の工程に入る前に失活させておくことが好ましい。濾過材中にATP分解酵素が残存していた場合、後の工程で微生物由来ATPを抽出した際に、このATPも分解されてしまうため、発光量の減少がおこり、検出感度の低下を引き起こす。酵素活性を失活させる方法としては、特に限定されないが、例えば、活性阻害剤の添加や、酸やアルカリを添加し試料のpHを変化させ失活させる方法が挙げられる。 次に、第5工程として、バックグランドATPを消去した濾過材は、適当な抽出剤と接触させ、微生物由来のATPを抽出する。ATPを抽出する方法としては、公知のATP抽出試薬を添加する方法が好適である。ATP抽出試薬としては、例えば、界面活性剤、エタノールとアンモニアの混合液、メタノール、エタノール、トリクロロ酢酸、過塩素酸等が使用できるが、このうち界面活性剤はATPの抽出効率が高いほうが好ましい。界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸カリウム、モノラウロイルリン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム(BAC)、塩化ベンゼトニウム(BZC)、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。 最後に、第6工程として、上記抽出した微生物由来のATPを測定する。微生物由来ATPの測定方法としては、従来公知のATP測定法により実施することができるが、例えば、ルシフェリンとルシフェラーゼを発光試薬として用いる方法が用いられる。この場合、抽出されたATPを含む試料を、ルシフェリン−ルシフェラーゼ発光試薬と接触させ、生成した発光量を測定して微生物由来のATP量を求める。生物発光試薬中のルシフェラーゼがホタルルシフェラーゼである場合、生物発光試薬は、ルシフェリン、ルシフェラーゼおよびマグネシウムイオンを含むことが好ましい。生成した発光量は、ルミノメーター、例えばルミテスター C−100、K−100、K−200、K−210(いずれもキッコーマン社製)、ルミネッセンスリーダーBLR−201改良型(アロカ社製)、Lumat LB9501(ベルトールド社製)により測定することができる。本測定方法を用いた場合、飲料のバックグランド発光は、概ね10〜500 RLU程度の発光量を示す。これに対し、微生物が濾過材中に捕捉された場合の発光量は10,000〜1,000,000 RLU程度(1,000,000 RLU以上ではルミテスター C−100を用いた場合、SCALE OVERと表示される)となるため、微生物を検出可能となる。 以下実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。(濾過材の濾過性評価) 濾過材の濾過性を評価するため、図1に示すような構成で、以下の4種類のサンプルを用意した。 1.メンブランフィルター付きフィルターユニット(アドバンテック東洋社製、37mmモニター37AS245BS−HE) 2.上記1にガラス繊維濾紙GB−140(アドバンテック東洋社製、直径33mm、保留粒子径 0.4μm)を重ねたもの 3.上記2にガラス繊維濾紙GC−50(アドバンテック東洋社製、直径33mm、保留粒子径 0.5μm)を重ねたもの 4.上記2にガラス繊維濾紙GB−100R(アドバンテック東洋社製、直径33mm、保留粒子径 0.6μm)を重ねたもの 上記4種類のサンプルを用いて、まろ茶(コカ・コーラ社製、登録商標)2000 mL PETボトルを5分間減圧濾過し、その際の濾過量を測定した。測定結果を表1に示す。 表1に示すように、メンブランフィルター上にガラス繊維濾紙を重ねることで濾過量が向上することが示された。(芽胞の調製) オートクレーブ後のSCD寒天培地490mlに塩類溶液A及びB (溶液A: 0.25% MnCl2 2H2O、2.5% MgSO4 7H2O、0.0003% FeSO4 7H2O, 0.01 N HCl ; 溶液B: 1.5% CaCl2 2H2O, 0.01 N HCl)を5mlずつ加え、芽胞調製用の寒天培地を調製した。次いで、調製した培地一面に芽胞菌バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)を植菌し、30℃で1週間培養した。培養後、培地上に滅菌超純水5mlを滴下して芽胞を回収し、3500rpm、10分間遠心分離することにより上清を除き、滅菌超純水に再懸濁することで洗浄を行った。2回洗浄後、40% エタノール中に懸濁し、芽胞保存液とした。飲料中に添加する際には、適宜40% エタノールを用いて希釈し、好ましい菌濃度に調製したものを用いた。(試料の濾過及び洗浄) おーいお茶(伊藤園社製、登録商標)の500ml PETボトルに芽胞菌バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)を添加したものと、芽胞菌を添加していないものを、それぞれ5本ずつ、実施例1のサンプル4の濾過材を装着したフィルターユニットを用いて減圧濾過した。次いで、洗浄液として0.05% Tween20溶液50mlを用い、減圧濾過することで洗浄を行った。(微生物の培養、残存ATPの消去、微生物由来ATPの抽出) 市販の2倍濃度のSCD 培地(2×SCD) 1mlに対し、ATP消去試薬(キッコーマン社製、付属の溶解液で溶解したもの)0.1mlを加えた培地を1ml、フィルターユニット内に添加し、30℃で48時間培養した。培養後、ATP消去試薬をルシフェール希釈液(キッコーマン社製)で10倍に希釈した希釈液を、フィルターユニット内に1ml添加し、室温で10分間反応させることにより、残存するバックグランドATPを消去した。次いで、フィルターユニット内から培地と希釈液の混合液を減圧濾過により除去した後、フィルターユニット内にATP抽出試薬(100mM CHAPS、0.2% BAC)を1ml添加し、濾過材中の微生物の持つATPを抽出した。抽出液は、容量5mlのシリンジをフィルターユニットの先端に装着することにより押出した。(発光量の測定) 抽出液から0.2mlを採取し、そこにルシフェール発光試薬(キッコーマン社製、付属の発光試薬溶解液で溶解したもの)0.1mlを添加して攪拌後、直ちにルミテスター C−100(キッコーマン社製)を用いてその発光量を測定した。(寒天平板法による添加菌数の算出) 通常の表面塗抹の寒天平板法を用いて、添加した芽胞保存液中に含まれる芽胞菌数を求めた。SCD寒天平板培地に、希釈した芽胞保存液を0.1ml、滅菌ピペットで無菌的に加え、コンラージ棒により均一に広げた後、30℃で24時間培養し、現れたコロニーを計数した。そのコロニー数を、試料に添加した芽胞菌数とした。 上記で測定した芽胞を添加した試料の発光量、芽胞を添加していない試料の発光量、及び添加芽胞菌数を表2に示す。 芽胞菌バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)を添加していないサンプルの発光量は、いずれも500RLU以下であった。これに対し、芽胞菌バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)を添加したサンプルの発光量は、全て1,000,000RLU以上(ルミテスター C−100を用いた場合、SCALE OVERと表示される)であった。さらに、寒天平板法によるコロニー数を計数した結果、芽胞の添加菌数は、9.4個/サンプル(n=5)であり、飲料中の少数個の微生物を高感度に、しかも短時間に検出可能であることが示された。 本発明は、飲料中の微生物検査において有効に利用される。実施例で用いたフィルターユニットと装着した濾過材の構成を示す図符号の説明1.フィルターユニット2.ガラス繊維濾紙3.ガラス繊維濾紙4.メンブランフィルター5.吸水パッド 以下の工程を含む、飲料中の微生物の検出方法。(1)メンブランフィルター上に濾紙を重層した濾過材を用いて飲料を濾過する第1工程(2)濾過材を洗浄液で洗浄する第2工程(3)濾過材を液体培地又は寒天平板培地で培養する第3工程(4)濾過材にATP消去剤を添加し、遊離ATPを消去する第4工程(5)濾過材にATP抽出剤を添加し、微生物由来ATPを抽出する第5工程(6)第5工程で得た抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定する第6工程 【課題】 通常の濾過法では濾過することが困難であるとされている濁度の高い飲料を短時間に濾過することを可能とし、該飲料中の微生物を迅速かつ高感度に検出する方法を提供する。【解決手段】 メンブランフィルター上に濾紙を重層した濾過材を用いて、濾過性の低い飲料、特に茶系飲料を、目詰まりを起こすことなく簡便かつ短時間に濾過し、さらに、濾過材中に捕捉した微生物を、バイオルミネッセンス法(ATP法)により高感度かつ簡便に検出する。【選択図】なし20050603A1633000023従来、飲料中微生物の検査方法としては、試料中で微生物を増菌培養した後、少量を採取して寒天平板培地上で培養する方法(寒天平板法)や、試料液を一定量メンブランフィルターで濾過し、フィルター上で培養する方法(濾過法)が知られている。炭酸飲料やミネラルウォーター等の一部の飲料は、原料由来の微粒子などを含まないため濾過性が高く、これらの飲料の微生物検査は濾過法を主体として実施されている。この濾過法の利点は、試料となる飲料を濾過することにより、該試料中の微生物をフィルター上に濃縮できるため、多量の試料中に混入する少数の微生物を高感度に検出できることであり、飲料によっては全量を濾過することが可能である(例えば、非特許文献1参照)。一方、茶系飲料やミルクコーヒー、果実飲料等のように、タンパク質や繊維質、ポリフェノール類などの不溶性の微粒子を多く含む飲料は、これらの微粒子がフィルターの目詰まりを引き起こすため濾過性が低く、微生物の検査方法として濾過法を利用することは困難である。A1633000043これらの問題を解決する方法として、牛乳や乳製品など濾過が困難な飲料に、前処理として凝集剤と濾過促進剤とを添加した後、プレフィルターである高純度濾紙を用いて濾過することにより、メンブランフィルターの目詰まりを起こすことなく飲料を濾過させ、微生物を検出する方法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法ではプレフィルターに用いる濾紙への微生物の吸着や、前処理に用いた凝集剤の微生物に与える影響を考慮する必要がある。